統計学の教科書 検定と推定

統計学の教科書は何が一番いいのかは自分でも悩みますし、人にお勧めの教科書は何ですかと聞かれることもあります。結局、手持ちのデータがすでにあって解析をただちにしたいのかそれとも理屈を知りたいのかといった目的と、読むのに使える時間と、どのくらい数学的原理的なことから根本的に理解しておきたいかというモチベーションなどによって、最適の一冊が変わってきます。

インターネットに統計学のチュートリアルサイトが多数存在しており、つまみ食いてきに必要な情報を得ることができますが、統計学を俯瞰したければやはり定評のある教科書を一冊通読しておく必要があります。一読して全部を理解できなくても、何度も繰り返して読むに値する本を選びたいところです。

医学・保健学の例題による統計学

医学・保健学の例題による 統計学』 1982/10/1 豊川 裕之, 柳井晴夫 (編)

  • 豊川裕之 第1章 統計学を学ぶに当たって
  • 丸井英二 第2章 統計データと調査
  • 三宅由子 第3章 記述統計
  • 丸井英二 第4章 相関と回帰
  • 高木廣文 第5章 確率分布
  • 高木廣文 第6章 標本分布
  • 青木繁伸 第7章 検定と推定の考え方
  • 青木繁伸 第8章 検定と推定の実際
  • 柳井晴夫 第9章 実験計画法

本書は、推薦文の説明によると、東京大学医学部保健学科で実施されている統計・情報処理講義演習の内容を整理する形で纏められたものだそうです。図書館で借りて読みましたが、実に丁寧に書かれた教科書でした。統計の教科書は、数学音痴のためにことさらわかりやすさを強調したものが多いですが、この本はそういった最近よく見る本よりもむしろ説明が丁寧でわかりやすい印象を持ちました。

統計学の根本を数学的な原理から理解するための本ではありませんが、数式でもって基本事項を押さえて実際のデータに統計を適用したい人向けの本だと思います。

医学・保健学の例題によるというサブタイトルの通り、医学や保健学からの例題が多数掲載されており、自分が解析したいことが何に相当するのか、同じ例題が見つかりやすいので、適用すべき統計学的手法がどれになるかがわかりやすいです。

古い本のため絶版になってはいますがアマゾンなどで、古書が低価格で入手可能なので、医学や保健学領域で統計をやる人は手元に置いておくと大変重宝するのではないかと思います。もちろん多分野の人でも統計学をマスターするための教科書として大変勉強しやすい本です。