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大学発ベンチャー企業のビジネスモデル事例研究:東大発ベンチャーWASSHA

質問:?WASSHAという会社(https://wassha.com/)は、誰に何を売って、どうやって利益を上げているのでしょうか。

Gemini:株式会社WASSHA(ワッシャ)は、「アフリカの未電化地域(オフグリッド)」をターゲットにした、非常にユニークかつ合理的でしたたかなビジネスモデルを展開している日本のベンチャー企業です。彼らのビジネス、「誰に・何を・どうやって」売っているのかについて解説します。

1. 誰に、何を売っているのか?(ビジネスモデルの図解)

WASSHAは単に「ソーラーパネルを売る会社」ではありません。「電気(電力)というサービス」を小売する会社(EaaS: Energy as a Service)です。彼らの商流は 「B to B to C」 モデルです。

登場人物と役割

  1. WASSHA(本社):機材とシステムの提供者。

  2. キオスク(村の個人商店):WASSHAの「代理店」パートナー。

  3. エンドユーザー(村人):電気を使いたい未電化地域の住民。

お金の流れと商品の流れ

  • STEP 1(機材貸与): WASSHAは、提携するキオスクにソーラーパネル、バッテリー、LEDランタン等の機材を「無料(または非常に安価)」で貸し出します。
    • ポイント: キオスク側に高額な初期投資をさせないことで、爆発的に加盟店を増やしています。

  • STEP 2(仕入れ): キオスクのオーナーは、モバイルマネー(スマホ決済)を使って、WASSHAから「電力を使う権利」を購入(先払い)します。
    • ここが売上: これがWASSHAの直接的な収益源です。

  • STEP 3(小売): キオスクは、村人に対して以下のサービスを提供し、現金を受け取ります。
    • スマホの充電サービス

    • LEDランタンのレンタル

    • ラジオや家電への給電

    • キオスクの利益: WASSHAへの支払額と、村人からの受取額の「差額」がオーナーの利益になります。

2. どうやって利益を上げているのか?(儲けのカラクリ)

ただのレンタル事業に見えますが、利益を確保し、損失を防ぐための「テクノロジーによる遠隔制御」が肝です。

  • 「払わないと電気が止まる」仕組み(IoT制御)貸し出している機材には通信機能(IoT)が付いています。キオスクオーナーがモバイルマネーでWASSHAにお金を送金した分だけ、機材のロックが外れて電気が使える仕組みです。これにより、「集金コストゼロ」かつ「未回収リスクゼロ」を実現しています。
  • 継続課金(サブスクリプションに近い)村人は毎日スマホを充電したり、夜間の明かりを求めたりします。ソーラーパネル一度設置すれば、太陽がある限り電気を生み出し続けるため、WASSHAにとっては「限界費用ほぼゼロで、チャリンチャリンと収益が上がり続ける」モデルです。
  • 新たな収益源:データの活用とファイナンスこれが現在の最大の狙いです。「誰が、いつ、どれくらい電気にお金を払ったか」というデータが蓄積されます。これをもとに与信(クレジットスコア)を生成し、冷蔵庫やテレビなどの家電製品をローン(割賦販売)で提供したり、小口融資を行ったりする事業へ拡大しています。

3. いくら儲かっているのか?(収益規模)

WASSHAは未上場企業(プライベートカンパニー)であるため、決算書や正確な利益額は公開されていません。しかし、以下の指標から規模感を推測することは可能です。

  • 市場規模(ステークホルダー):

    • 展開国:タンザニア、ウガンダ、モザンビーク、DRコンゴなど。

    • 提携キオスク数:数千店舗〜1万店舗規模で拡大中。

    • 利用者数:数十万人〜百万人単位。

    • 推測: 1店舗あたりの売上は小さくても(数千円〜数万円/月)、店舗数が万単位になれば、年間売上は数十億円規模に達するポテンシャルがあります。

  • 資金調達(成長フェーズ):

    • 2019年に丸紅から10億円規模の出資。

    • 2020年以降も、東京電力PG、ダイキン工業、JICAなどから大型の資金調達や業務提携を行っています。

    • 見解: 巨額の資金調達をしているということは、現在は「利益を溜め込む」フェーズではなく、調達した資金を使って「エリア拡大・設備投資(先行投資)」を行い、赤字を掘ってでもシェアを取りに行っているフェーズである可能性が高いです。

まとめ

WASSHAの凄さは、「BOPビジネス(貧困層向けビジネス)は儲からない」という常識を、「デジタル技術(IoT×モバイルマネー)」で覆した点にあります。

  1. 誰に売る?: 支払い能力はあるがインフラがない「オフグリッド地域の住民」。

  2. 何を売る?: 初期投資不要の「電気の量り売り」。

  3. 利益の源泉: IoTによる遠隔管理で「取りっぱぐれ」を防ぎつつ、蓄積したデータで「金融業」へ展開する拡張性。

単なる慈善事業ではなく、J-Startup(経産省支援)にも選ばれるなど、日本発の「SDGsと経済合理性を両立させたモデルケース」として非常に注目されています。

質問:電気を売るっていっても、家で電気を使うためには、電線、電線の家への引き込み、家でのコンセントなどが必要にならない?それらの工事も請け負っているの?

Gemini:WASSHAの主力ビジネスモデルにおいては、各家庭への電線工事やコンセントの設置工事は「一切行っていません」日本の電力会社(東京電力や関西電力など)のイメージとは全く異なる、「電気のテイクアウト(持ち運び)」という方式をとっているからです。どういうことか、具体的に解説します。

1. 「電気を配る」のではなく「電気を詰めて渡す」

日本の家には電線がつながっていますが、WASSHAが展開するアフリカの未電化地域では、家々が点在しており、それぞれの家に電線を引くのはコストがかかりすぎて不可能です。

そこでWASSHAは、「電気そのもの」ではなく、「電気が詰まった容器(バッテリー)」を貸し出すという方法をとっています。

  • 日本モデル(グリッド): 水道管が家に引かれていて、蛇口をひねれば水が出る。

  • WASSHAモデル(オフグリッド): 井戸までバケツを持って水を汲みに行き、家に持って帰って使う。

この「バケツ」にあたるのが、WASSHAが開発した「LEDランタン(兼バッテリー)」です。

2. ユーザーの使い方は「灯油」を買うのと同じ

現地の村人がどのように電気を使っているかを見ると、工事が不要な理由がわかります。

  1. 店に行く: 村人は、WASSHAの提携キオスク(村のよろず屋)に行きます。ここには屋根にソーラーパネルがあり、大量のランタンが充電されています。
  2. 借りる(テイクアウト): お金を払い、充電済みの「LEDランタン」を借ります。
  3. 家で使う: 家にランタンを持ち帰ります。
    • 照明として: 夜、天井から吊るしたり机に置いて明かりにします(電球の代わり)。

    • コンセントとして: ランタンにはUSBポートがついています。ここにスマホのケーブルを挿せば、充電ができます(モバイルバッテリーの代わり)。

  4. 返す: 電気がなくなったら、店に返しに行き、また新しい充電済みのものと交換します。

つまり、「家自体を電化する」のではなく、「電気の入った道具を家の中に置く」だけなので、壁に穴を開けたり配線工事をしたりする必要が全くないのです。

3. 家に設置するタイプはないの?(SHS)

ただし、最近ではWASSHAも事業を拡大しており、「SHS(ソーラー・ホーム・システム)」という、家の屋根に小さなパネルを置くタイプも扱っています。「じゃあ工事が必要では?」と思われるかもしれませんが、これも日本の電気工事とはレベルが違います。

  • DIYレベルの簡易キット: パネルと、バッテリーと、いくつかの電球がセットになったキットです。
  • プラグ&プレイ: ケーブルを特定の穴に差し込むだけで使える設計になっており、専門の電気工事士(Electrician)がいなくても、村人が自分で設置したり、キオスクのオーナーが手伝うだけで設置できるレベルのものです。

結論:なぜ利益が出るか

質問者様が懸念された「電線や工事のコスト」が一切かからない(あるいは極小である)ことこそが、このビジネスが低価格で利益を出せる最大の理由です。

  • インフラ投資不要: 大規模な発電所も送電線もいらない。

  • メンテナンス不要: 壊れたら店に持ってきてもらえばいい(巡回スタッフが交換する)。

「電気=インフラ設備」ではなく、「電気=お弁当や灯油のような消費財」として扱っている点が、このビジネスの発明と言えます。

質問:このビジネスは、ビジネスモデルで特許を取ってる?

Gemini:WASSHAは特許を取得しています。

いわゆる「ビジネスモデル特許(ビジネスに関連する発明)」の範疇に入る、ITとハードウェアを組み合わせた仕組み部分で権利化を行っています。単に「電気を売るアイデア」は特許になりませんが、彼らはそれを実現する「技術的な仕組み(システム)」を特許として押さえています。彼らが「どこを」特許で守っているのか、その戦略を解説します。

1. 何を特許にしているのか?(権利の核心)

彼らが特許化しているのは、主に「支払いと機器制御の連動システム」です。J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)などで確認できる彼らの特許(または出願内容)の傾向を見ると、以下のような技術的ポイントを押さえています。

  • 決済連動型の給電制御」 ユーザーがモバイルマネーでお金を払った情報を受信し、「払った分だけ自動的に電気が流れるようにスイッチをONにする(またはトークンを発行してロックを解除する)」という、サーバーとデバイスの一連の動きです。
  • フライン認証技術」 アフリカの未電化地域は通信環境が悪いです。そのため、常にネットに繋がっていなくても、スマホアプリとデバイスがBluetooth等でやり取りをして、正しく決済情報を認証し、電気を使えるようにする仕組みなども重要な技術要素です。

要するに:誰かが「アフリカで電気を売ろう」と真似することは自由ですが、「モバイルマネーで払ったら、自動でカギが開いて電気が使えるようになる、効率的なシステム」を作ろうとすると、WASSHAの特許に引っかかるような網を張っているわけです。

2. なぜ特許を取るのか?(ベンチャーの知財戦略)

WASSHAのようなスタートアップにとって、ビジネスモデル特許は「攻め」と「守り」の両面で生命線になります。

① 大手企業や模倣犯への「防波堤」(守り)

電気ビジネスは、資金力のある大手商社や現地の通信会社が「うちもやろう」と思えば参入できてしまいます。しかし、特許があれば、大手が全く同じ効率的なシステム(自動化システム)を使うことを阻止できます。「手動でやるならどうぞ(でもコスト合わないですよね?)」と言える状態を作ることで、参入障壁を築いています。

② 企業の「値打ち」を上げる(攻め)

前述のように、WASSHAは丸紅や東大系VCなどから巨額の出資を受けています。投資家は、「この会社にお金を出す価値があるか?」を見るとき、「このビジネスモデルは他社にすぐ真似されないか(独占できるか)?」を厳しくチェックします。「特許でガチガチに守られているので、他社は簡単には真似できません」という事実は、企業価値(バリュエーション)を吊り上げるための最強のカードになります。

3. 大学発ベンチャーとしての強み

WASSHAは、もともと東京大学の研究室(阿部力也先生のデジタルグリッド構想など)周辺から生まれてきたバックグラウンドを持っています。大学発ベンチャーは、「技術を権利化(知財化)する」という意識が非常に高い傾向にあります。単なる「人助けのアイデア」で終わらせず、それを「再現性のある技術(アルゴリズムや装置)」に落とし込み、しっかりと「特許庁に登録する」。この「アカデミア仕込みの知財戦略泥臭い現地のオペレーション」の両輪が回っていることが、WASSHAが単なるNPOやボランティア団体と一線を画し、利益を上げる株式会社として成立している大きな理由です。

質問:WASSHAの鍵となるテクノロジーは何?要するに「充電池」?何が従来のものと違うの?

Gemini: WASSHAの鍵となるテクノロジーは「充電池(バッテリー)」そのものではありません。中身の電池は、極端に言えばどこにでもある普通のものです。彼らのコア技術(競争力の源泉)は、そのバッテリーに取り付けられた「IoTコントローラー(電子基板)」と、それを運用する「ソフトウェア(アプリ)」にあります。要するに、ただの「電池」を、お金を払わないと電気が流れない自動販売機」に変える装置が、彼らの発明であり、従来のものとの決定的な違いです。具体的に何が違うのか、3つのポイントで解説します。

1. 「遠隔ロック機能」がついてる(PAYG技術)

従来の充電池やソーラーシステムは「売り切り」です。一度渡してしまえば、相手がお金を払わなくても電気は使い放題ですし、回収するには現地まで取り立てに行く必要がありました。

  • 従来の電池: ただの「電気の箱」。渡したら最後、制御不能。

  • WASSHAの電池: 「デジタルの鍵」がかかった箱。

WASSHAの機材には、特殊なチップ(IoTコントローラー)が埋め込まれています。キオスクのオーナーがモバイルマネーで送金すると、その金額分だけ「カギが開く(通電する)」仕組みになっています。期間が過ぎたり、支払いが滞ると、機材は手元にあってもただの箱(鉄屑)になり、電気が一切出なくなります。これにより、泥臭い集金業務をゼロにし、未回収リスクをなくしています。

2. 「ネットがなくても動く」通信技術(オフライン認証)

ここがWASSHAの技術的に最も渋い(すごい)ところです。「IoT(モノのインターネット)」と言うと、通常は常にインターネットに繋がっている必要があります。しかし、アフリカの奥地では電波が不安定で、常時接続など不可能です。

  • 従来のIoT: ネットが切れると制御不能になる。

  • WASSHAの技術: Bluetooth等を活用し、オフラインでも鍵が開く。

  1. キオスクオーナーのスマホ(ここだけ一瞬電波が入ればOK)に、解除コード(トークン)が届く。

  2. スマホとWASSHAの機材をBluetoothなどで近づける。

  3. 機材自体はネットに繋がっていなくても、「正しいコードだ」と認識してロックが解除される。

この「劣悪な通信環境でも確実に動作するプロトコル(手順)」こそが、大手電機メーカーが簡単に参入できない技術的な参入障壁になっています。

3. 「信用」をデータ化する機能(ログ収集)

従来の電池は、誰がいつ使ったか分かりません。WASSHAのコントローラーは、「稼働データ(いつ、いくら分発電し、消費されたか)」を記録し、通信できるタイミングでサーバーに送ります。

  • 従来の電池: 壊れるまで黙って働く。

  • WASSHAの電池: 「この店のオーナーは、毎月ちゃんと稼いで、遅れずに払っています」と喋る。

このデータが蓄積されることで、「この人は信用できるから、次は冷蔵庫をローンで貸してあげよう」という金融ビジネスが可能になります。ただの電池が、「動く信用調査書」になっている点が革新的です。

まとめ:何が違うのか?

分かりやすく例えるなら、以下のようになります。

  • 従来のもの:「水筒」を売っている。(水筒を渡したら、相手が水をどう飲もうが関知できない)
  • WASSHAの技術:「コイン投入口がついた、絶対に壊れないハイテク水筒」を貸している。(お金を入れないと蓋が開かないし、誰がいつ飲んだか全部記録されている)

電池の性能(容量や寿命)で勝負しているのではなく、「電気を確実に換金する仕組み(コントローラー)」で勝負している点が、彼らの強みです。

(Gemini)

参考

  1. 産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン【追補版】産学官連携を通じた価値創造に向けて 令和2年6月30日文部科学省経済産業省 https://www.mext.go.jp/content/20230329-mxt_sanchi02-000020147_01-2.pdf
  2. 【東京大学×ダイキン工業株式会社】東京大学のみならず、東大発ベン ーを含むエコシステムとダイキンが大規模な連携体制を構築するこ とで、多様なフェーズのプロジェクトを創出。これらの 組みを通じて、ダイキン工業が直接ベンチャーにコンタクトし、東京大学発ベンチャーであるWASSHA 株式会社とのアフリカでの空調サブスクリプションビジネス等、多様なフェーズの連携プロジェクトが開始している。

国立大学法人運営費交付金(2004年度~)に関して

国立大学法人等に対する運営費交付金は、2004年の国立大学の法人化に伴って導入された制度で、導入後から年1%の割合で削減されて、大学の研究者の研究環境を大きく悪化させた元凶とされています。そもそも法人化と同時に始まった制度なのだとしたら、それ以前はどのような制度があったのでしょうか。

Gemini:「運営費交付金」という名称・制度そのものが始まったのは、2004年(平成16年)4月の国立大学法人化と同時です。ですから、「(以前からあった)運営費交付金という制度が、法人化を機に減らされた」という表現だと、論理的に矛盾して聞こえます。では、なぜ現場の研究者は「法人化で(運営費交付金が)減らされた」と嘆くのでしょうか。そのカラクリは、制度の「切り替わり方」と、法人化後に組み込まれた「自動削減ルール」にあります。

1. 2004年以前はどうだったのか?

法人化前(国の内部組織だった時代)は、「運営費交付金」ではなく、「国立学校特別会計」という枠組みの予算でした。

  • 以前(~2003年度):

    • 電気代」「旅費」「人件費」など、細かく費目が決まった予算が国から配分されていました(紐付き予算)。

    • 「足りない分は国が補填する」という性格が強く、経営努力は求められない代わりに、安定していました。

2. 法人化で何が変わったのか?

2004年の法人化で、これらが「運営費交付金」という一本化されたお金(使途自由なブロック・グラント)に変わりました。

  • 建前(メリット):「使い道を大学の裁量で自由に決めていいですよ(経営の自由化)」
  • 本音(デメリット・削減の正体):「その代わり、毎年1%ずつ自動的に交付金を減らしますね(効率化係数)」

つまり、研究者が怒っている「削減」の正体は、「法人化と同時に導入された『効率化係数』というルールによって、前年比マイナスが10年以上続き、結果としてベースの予算が激減したこと」を指しています。

3. なぜ「話が合わない」と感じるほどの激痛なのか?

「毎年1%減」と聞くと大したことないように聞こえますが、これがボディブローのように効いています。

  1. 「人件費」は削れない 大学の予算の大部分(7~8割)は教職員の人件費です。教員は簡単に解雇できないため、人件費はほぼ固定です。
  2. しわ寄せは「研究費」へ 全体の予算が1%減ると、固定費(人件費・光熱費)は削れないため、残りの「自由に使える研究費(校費)」が真っ先に削られます。結果として、全体額の減少幅以上に、現場の研究費は「半分以下になった」「ゼロになった」という感覚に陥ります。

結論

運営費交付金の制度開始時期は、2004年(法人化と同時)。法人化以前の『国立学校特別会計』の予算規模と比較して、法人化後の『運営費交付金』は、効率化係数というルールにより年々減らされ続けてきた。グラフで見ると一目瞭然ですが、2004年のスタート時をピークに、階段を転がり落ちるように減額されている(近年は横ばい・微増ですが、物価高などで実質価値は低下)のがわかります。これが「法人化で減らされた」という言葉の正体です。

質問:国立学校特別会計と、運営費交付金は、同じものと考えていいの?

Gemini:国立学校特別会計(以下、特会)と運営費交付金(以下、交付金)を「全く同じもの」として単純に一本の線でつなぐと、数字の解釈を大きく間違える(あるいは実態が見えなくなる)という罠があります。結論から言うと、「趣旨(何のための金か)」は同じですが、「金額の計算式(中身の構成)」が全く異なります。ここを混同すると「法人化で予算が半分になった!」といった誤解や、逆に「いやいや、国は十分出している」という強弁を生んでしまいます。知っておくべき「接続」の真実を解説します。


1. そもそも「同じもの」と考えていいの?

趣旨は同じですが、お金の「計算ルール」が逆転しました。

ここが最大のポイントです。

  • 法人化前(~2003年):【総額予算主義】

    • 大学が稼いだお金(授業料や病院収入)は、一度すべて国庫(国)に入れます。

    • その上で、国が「必要な経費全額」を予算として配分します。

    • 数式: 国の税金授業料・病院収入国立学校特別会計予算

  • 法人化後(2004年~):【純額予算主義】

    • 大学が稼いだお金(授業料や病院収入)は、大学の懐に入ります(自己収入)。

    • 国は、「必要な総額」から「大学が自分で稼げる額」を差し引いた差額(赤字分)のみを渡します。

    • 数式: 必要な総額授業料・病院収入運営費交付金

結論:

したがって、金額ベースで単純比較すると、法人化前の方が「授業料や病院収入が含まれている分、見た目の金額は圧倒的に巨額」に見えます。

これらを連続的に見るためには、特別会計時代の予算の中から「国からの繰入金(=税金の投入額)」だけを抜き出して比較する必要があります。


2. 「税金投入額」で見る連続的な推移

では、条件を揃えて「国が大学の基盤経費として出した税金(一般会計からの投入額)」で推移をつなぐとどうなるでしょうか。

① 法人化前夜(~2003年)

  • 実は、法人化の直前まで、国からの投入額(一般会計繰入金)は微増傾向にありました。

  • ピーク時(2000年代初頭)で、およそ1兆5,000億円規模(※恩給費等を含むベース)でした。

② 法人化の瞬間(2004年)

  • ここで制度が切り替わり、約1兆2,400億円(運営費交付金スタート時の額)となりました。

  • ※ここには特殊な会計操作(付属学校や研究所の再編など)があるため単純な減額とは言えませんが、制度変更の「継ぎ目」です。

③ 法人化以降(2004年~現在)

  • ここからが研究者の嘆きの根源です。

  • 「効率化係数(毎年-1%)」のルールが適用され、2004年の1兆2,415億円から、2015年頃まで見事な右肩下がりを描きます。

  • 2010年代半ば以降: 1兆1,000億円を切る水準(約1兆700億円前後)で「横ばい・底這い」状態が続いています。

3. この推移が意味すること(現場の実感)

1兆2400億が1兆1000億になった程度(約10%減)なら、そこまで大騒ぎすることか?」と思われるかもしれません。しかし、現場の「体感温度」は違います。

  1. 固定費は減らない: 人件費や光熱費は削れません。削減された1,000億円以上の分は、すべて「教育研究経費(実際に研究に使うお金)」から削られました。これにより、多くの講座で配分される校費が半分以下やゼロになりました。
  2. 物価上昇と消費税: この20年間で消費税は5%→10%に上がり、光熱費も高騰しましたが、交付金は増えていません。実質的な購買力は額面以上に低下しています。
  3. 競争的資金へのシフト: 減らされた分の一部は「競争的資金(科研費やJSTなど)」や「機能強化分(競争に勝った大学へのボーナス)」に振り替えられました。つまり、「黙ってても貰える金」が減り、「書類を書いて勝ち取らないと貰えない金」に変わったのです。

まとめ

  • 金額比較の注意点: 法人化前の「特別会計総額」と今の「交付金」を比べると、前者が巨額すぎて話が合いません。「国からの繰入金(税金分)」で比べる必要があります。

  • 推移の実態: 税金投入分で見ても、法人化(2004年)を境に「微増」から「確実な減少・停滞」へとトレンドが完全に変わりました。

  • 同じものか?: 「国の大学への基礎的支援」という意味では同じですが、国にとっては「出すだけでよかった金」から「効率化(削減)を迫れる金」へと、運用の性質が変わったと言えます。

(Gemini)

「施策」の読みは、「せさく」?「施行」は?

質問:行政の文脈において、「施策」の読み方は?

Gemini:

行政の文脈においては、慣例的に「せさく」と読みます。

一般の辞書では「しさく」が正しい読み方とされていますが、役所や自治体の現場ではなぜ「せさく」と読むのか、その理由と実務上のポイントを解説します。

1. 「せさく」と読む理由

行政用語として「せさく」と読む最大の理由は、「聞き間違い(音の混同)を防ぐため」です。

  • 試作(しさく): プロトタイプを作ること

  • 思索(しさく): 物事を深く考えること

  • 施策(しさく): 政策を実行する計画・策

会議や口頭報告の際、「〇〇の『しさく』について報告します」と言うと、それが「試しに作ってみた(試作)」話なのか、「政策(施策)」の話なのかが文脈に依存して紛らわしくなります。これを避けるために、行政官や政治家は意図的に「せさく」と発音し、区別しています。

2. 実務での使い分けのポイント(URA・行政担当者視点)

  • 省庁・自治体との会話では「せさく」文部科学省などの官公庁職員や、自治体職員と話す際は、「せさく」と発音するのが「共通言語」です。「次期の科学技術『せさく』についてですが…」と話すと、相手にとって耳馴染みが良く、スムーズに会話が進みます。
  • 一般・教員との会話では「しさく」でもOK一方、一般的なニュースや大学の先生方の間では、辞書通りの「しさく」と読まれることも多いです。相手が「しさく」と言っている場合に無理に訂正する必要はありませんが、ご自身が発言する際は、誤解を避けるために「せさく」を使う、あるいは「政策(せいさく)」と言い換えるのが無難です。

補足:他にもある「行政特有の読み方(有職読み)」

行政の世界には、同様の理由で一般とは異なる読み方をする言葉がいくつかあります。

  • 重複: 一般=「ちょうふく」 / 行政=「じゅうふく」

    • (「ちょうふく」が「往復」などと聞き間違えられないようにするためと言われますが、現在では一般でも「じゅうふく」が浸透しています)

  • 遺言: 一般=「ゆいごん」 / 法務・行政=「いごん」

  • 競売: 一般=「きょうばい」 / 法務・行政=「けいばい」

これらを知っておくと、行政文書や法律の専門家と話す際に役立ちます。

質問:「施行」の読み方は?

Gemini:行政や法律の専門的な文脈においては、「せぎょう」と読みます

一般的には「しこう」と読まれますが、「施策(せさく)」と同様に、これも聞き間違いを防ぐための「有職読み(慣用読み)」です。

1. なぜ「せぎょう」と読むのか?

同音異義語が非常に多く、特に実務上致命的な聞き違いを避けるためです。

  • 施行(しこう): 法令の効力を発生させること。

  • 施工(しこう): 工事を行うこと。

  • 試行(しこう): ためしに行うこと(トライアル)。

  • 指向(しこう): ある方向を目指すこと。

行政現場での混乱例:

「新しい制度のシコウ期間についてですが…」と言った場合、

  • 試行(お試し期間)」の話なのか?

  • 「施行(正式な効力発生)」の話なのか?これが区別できないと、法的拘束力の有無に関わる重大な誤解を生みます。そのため、実務では以下のように読み分けます。
  • 施行「せぎょう」

  • 施工「せこう」

  • 試行「しこう」

2. 実務での使い分け(行政担当者視点)

  • 法律・規程の話をする時:大学の規程や国の法律について「この法律の**施行(せぎょう)**日は4月1日です」と言うと、専門的な正確さが伝わります。
  • 工事の話をする時:施設整備などで「新しい研究棟の**施工(せこう)**業者」と読むのが一般的です。(現場監督や建築業界では「せこう」が標準です)
  • 一般的な会話・ニュース:テレビのニュースや一般的な会話では「しこう」が使われます。相手が専門職でない場合は、「しこう」と言った方が通じやすい場合もありますが、会議の場では「せぎょう」を使うのが無難です。

まとめ:行政・法律のプロとしては、法令の効力発生については「せぎょう」、工事については「せこう」と読み分けるのがマナーとなっています。

特79条「先使用権」とは?

実務上最も重要で、かつ最もトラブルになりやすい「先使用権(せんしようけん・79条)」について、ゼロから解説します。これは一言で言うと、「早い者勝ちの特許ルールにおける、唯一の『例外』」であり、「老舗(しにせ)を守るための権利」です。

1. 先使用権(79条)のストーリー

~「頑固オヤジのラーメン屋」VS「大手チェーン」~

【登場人物】

  • あなた(Aさん): 昔ながらのラーメン屋の店主。秘伝のスープを開発し、細々と営業中。特許なんて興味なし。

  • B社(大手): 後から同じようなスープを開発し、すぐに特許出願した企業。

【第1幕:ある日突然の警告】

あなたは、もう5年も前から「秘伝スープ」でラーメンを売っていました。

ある日、大手B社があなたの店に来てこう言います。

「このスープの製法、先月うちが特許を取りました。あなたがこれを使うのは特許権侵害です。今すぐ店を閉めるか、ライセンス料を払ってください!」

【第2幕:あなたの反論】

あなたは怒ります。「ふざけるな! 俺はあんたたちが特許を出すずっと前からこの味でやってるんだ! パクったわけじゃない!」

しかし、B社は冷たく言います。

「特許法は『先願主義(早い者勝ち)』です。先に発明したかどうかは関係ない。先に『出願(手続き)』をした我々が勝者なんです」

【第3幕:79条の救済】

B社の言うことは原則としては正しいのですが、これではあまりにあなたが可哀想ですよね。

そこで登場するのが「先使用権(79条)」です。

法律の結論:

「Aさんは、B社が出願する『前』から、そのスープを作っていた実績がある。

だから、特許権に関係なく、タダ(無償)でそのまま店を続けてよし!」

これが先使用権です。


2. なぜ「タダ」で使えるのか?

中用権や後用権は「お金(対価)」が必要でしたが、先使用権はタダ(無償)です。なぜなら、「あなた(Aさん)には1ミリも落ち度がないから」です。

  • あなたは誰のアイデアも盗んでいません(独自に発明した)。

  • あなたはB社より先に事業を始めていました。

  • ただ「特許庁に手続きしなかった」だけです(特許を取るかどうかは自由です)。

先にやっていた人」の既得権(今まで通りの生活)を守るのは当然のことなので、B社にお金を払う義理はないのです。


3. 先使用権が成立するための「3つの条件」

「前からやってました」と口で言うだけではダメです。以下の3つを証明する必要があります。

① 特許出願の「際(瞬間)」にやっていること

B社が特許庁に書類を出した「その日時(分単位)」の時点で、すでにあなたが事業を始めている必要があります。「B社が出した翌日に始めました」ではダメです。0.1秒でも負けてはいけません。

② 「善意」であること(盗んでいないこと)

ここでいう善意は、「B社の発明を知らずに、独自に発明した(または正当な人から教わった)」という意味です。B社の研究所から盗み出したネタで先に工場を作っても、先使用権は認められません。

③ 事業の「準備」でもOK

ここが重要です。まだラーメンを1杯も売っていなくてもOKです。

「店舗を契約した」「寸胴鍋を発注した」「メニュー表を印刷した」といった、「即時実施の意図を持って、客観的な準備が進んでいる」段階であれば、先使用権は発生します。

4. 唯一の弱点:「範囲」の限定

~「そのまま」ならいいけど、「拡大」はダメ~

先使用権は「今まで通り続けていいよ」という権利であって、「特許権者より強くなる権利」ではありません。

そのため、「事業の目的の範囲内」という制限がつきます。

  • 〇 OKな例: ラーメン屋をそのまま続ける。売上が伸びて生産量が増える。

  • × ダメな例: 「お、このスープ特許取れるくらい凄いのか! よし、全国展開して工場を建てて、カップ麺としてコンビニで売りまくろう!

このように、特許出願の時点で計画していなかったようなビジネスの大転換(種類の変更など)を行うと、そのはみ出した部分は特許権侵害になります。

5. まとめ(79条 単体)

  • どんな権利?: 特許出願よりからやっていた人が、そのまま続けられる権利。

  • お金は?: 不要(タダ)。

  • 条件は?: 「独自に発明したこと」と「出願時点で事業(または準備)をしていたこと」の証明。

  • 注意点: 証拠(日付入りの日誌、図面、領収書など)がないと裁判で負ける。「知財管理(証拠確保)」が超重要。

 

それでは、「4つの権利」を、一気に横並びにして比較します。

1. 全体像:タイムラインで位置をつかむ

まず、「いつ、ビジネスを始めたか?」で大きく2つのグループに分かれます。

  • グループA:出願の「前」からやっていた

    • $\rightarrow$ 先使用権 (79条)

    • (特許のレースが始まる前から走っていた人)

  • グループB:特許が「一度死んでから」始めた

    • $\rightarrow$ 中用権 (80条)、回復後 (112条の3)、後用権 (176条)

    • (レースが中断している隙にコースに入ってきた人)


2. 決定版! 4大権利の比較表

「お金(対価)がいるか?」と「特許権者に落ち度はあるか?」に注目して見てください。

権利の名前 条文 発生タイミング 対価 (お金) 判定のロジック (心の声)
先使用権 79条 出願の 不要 (タダ) 「私が元祖です。後から来たお前に金を払う義理はない!」
回復後の実施権 112条の3 特許料の未納による消滅期間 不要 (タダ) 「期限を守らなかった権利者が悪い。タダで使われても自業自得。」
中用権 80条 無効審判で権利者が交代する前 必要 (有料) 「元の権利者もかわいそうだけど、新しい権利者への敬意(金)は払おう。」
後用権 176条 再審で特許が復活する前 必要 (有料) 「権利者は騙された被害者だ。ビジネスは認めるから、家賃は払ってあげて。」

3. 「タダ」か「有料」かの境界線はどこ?

ここが一番の悩みどころですが、実はシンプルなルールがあります。

【タダ(無償)になるケース】

「権利者側に重大なミスがある」 or 「使う側が圧倒的に正しい」

  • 79条: 使う側(先使用者)は、独自に発明した正義の人です。文句なしでタダ。

  • 112条の3: 権利者が「期限管理ミス」という大失態を犯しています。ペナルティとしてタダ。

【有料(有償)になるケース】

「権利者側には罪がない(または薄い)」

  • 80条・176条: どちらも、審判や裁判という「公的な判断」が二転三転した結果、巻き込まれたケースです。

    • 権利者は、好きで特許を失ったわけではありません。

    • だから、「せめてお金くらいは払ってバランスを取ろう(衡平の原則)」となります。


4. 実践! ケーススタディ(クイズ)

以下の状況で、Aさんはどの権利を主張すべきでしょうか?また、お金は必要でしょうか?

ケース1:

Aさんは、ライバルB社が特許出願する1年前から、工場で製品を作っていた。B社から警告状が届いた。

  • 正解: 先使用権 (79条)

  • お金: 不要

  • 解説: 「出願前から」なのでこれ一択です。

ケース2:

B社の特許が「特許料未納」で消えているのを見て、Aさんは工場を作った。その後、B社が追納して復活した。

  • 正解: 回復後の通常実施権 (112条の3)

  • お金: 不要

  • 解説: 権利者のミス(未納)なので、AさんはタダでOKです。

ケース3:

B社の特許が無効審決で確定した。Aさんはそれを見て工場を作った。しかし、実は証拠が偽造で、再審によりB社の特許が復活した。

  • 正解: 後用権 (176条)

  • お金: 必要

  • 解説: Bさんは被害者なので、Aさんは対価を払う必要があります。


5. 最後に:初学者が間違えやすいポイント

最後に、これだけは気をつけてください。

  • 「いつ始めたか」を確認する癖をつける!

    • トラブルになったら、まず**「出願日」**を見ます。

    • それより前なら「79条(最強・タダ)」。

    • それより後なら、「特許が死んでいた空白期間はあるか?」を探します。

  • 「中用権」という言葉を乱用しない!

    • 80条以外(特に112条の3)を中用権と呼ぶのは、プロの前では禁物です。

これで、中用権・後用権・先使用権の3大セット(+112条の3)の解説は完結です!法律の「公平さを保とうとする意図」が見えてくると、丸暗記しなくても答えが出るようになりますよ。

特許法の条文の番号が変更されない理由

質問:特許法は何条は「削除」とか、何条の2とか付け足したりして、改正されても、第何条という番号が保持されてるのはなぜでしょうか?この不動の順番は、「旧法」以来なのでしょうか?特許法の歴史の中で番号は変化していないのでしょうか。

Gemini:法律の「条文番号」は特許法に限らず、日本の法律全体の「お作法」に関わる深い話です。現在の番号の並び順は、1959年(昭和34年)に決まったもので、それ以前(旧法)とは別物です。

1. 「旧法」と「現行法」の成立年

まず、特許法の歴史における「2つのビッグバン(全面改正)」の日付を押さえましょう。

名称 成立年 備考
(初代)専売特許条例 1885年(明治18年) 日本初の特許制度。
旧法(大正法) 1921年(大正10年) これがいわゆる**「旧法」**と呼ばれるものです。
現行法(昭和法) 1959年(昭和34年) 今、私たちが勉強している法律です。

質問にある「不動の順番」は、1959年(昭和34年)にリセットされて決まったものであり、大正時代の旧法から引き継いだものではありません。

ここがポイント:

1959年の改正は「部分的な手直し」ではなく、**「フルモデルチェンジ(全部改正)」**でした。

だから、この時に条文番号はガラガラポンと作り直されています。

2. なぜ「第◯条の2」とか「削除」にするの?

1959年以降、特許法は何度も改正されています(平成改正、令和改正など)。

それなのに、なぜ番号をズラさない(繰り上げ・繰り下げしない)のでしょうか?理由はズバリ、「社会が大混乱するのを防ぐため(法的安定性)」です。もし、間に新しい条文を入れて、それ以降の番号を全部「+1」してズラしてしまうと、どうなるでしょうか?

  1. 過去の判決文が死ぬ

    • 「最高裁の昭和〇年の判決で、特許法29条についてこう言ってたよね」という議論が、番号が変わると「えっと、今の法律だと30条だっけ?29条だっけ?」と照らし合わせるのが地獄になります。

  2. 契約書が死ぬ

    • 企業間のライセンス契約書に「本契約は特許法79条(先使用権)に基づく…」と書いてあった場合、法律の番号が変わると、契約書の書き直しや読み替えが必要になり、ビジネスが大混乱します。

  3. 教科書が死ぬ

    • 私たち受験生や実務家が「29条は新規性!」「29条の2は拡大先願!」と暗記しているのが、全部パーになります。

だから、日本の法律(立法技術)では、以下のルールを鉄則としています。

  • 新しい条文を入れたい時:

    • その場所に「枝番(えだばん)」をつける。(例:29条の次に「29条の2」を作る)

  • 条文がいらなくなった時:

    • 番号を詰めずに、「削除」という空箱だけ残す。(例:「第〇条 削除」と書いておく)

これを「枝番(えだばん)方式」と呼びます。これによって、昭和34年から現在まで、主要な条文(29条や104条の3など)の番号は「不動」のまま維持されているのです。

3. 歴史の中で番号は変化しなかったの?

しました!ここが誤解しやすいところですが、「明治や大正の旧法」と「今の昭和法」では、番号は全然違います。比較してみましょう。

内容 旧法(大正10年) 現行法(昭和34年)
特許できる発明(要件) 第1条 第29条
新規性の喪失の例外 第4条・第5条 第30条
先願主義 第8条 第39条

全然違いますよね?旧法(大正法)では、いきなり第1条で「発明をした者は特許を受ける権利を有する」みたいな実質的な話から始まっていました。一方、現行法(昭和法)では、第1条は「この法律の目的」、第2条は「定義」…と、現代的な法律の構成(パンデクテン方式に近い整理)に組み直されました。つまり、こういうことです。

  • Q. この不動の順番は、旧法以来?

  • A. いいえ、違います。 1959年(昭和34年)の全面改正の時に、現在の並び順に「リセット」されました。

  • Q. 番号が変化したことはないの?

  • A. 1959年まではありました。 しかし、1959年に現行法ができてからは、「枝番」と「削除」を駆使して、意地でも番号をズラさないように守り続けています。

まとめ

  • 旧法(大正10年法)現行法(昭和34年法)は、番号が全く違う別物。

  • 今の番号(29条=新規性、など)は、1959年生まれ

  • それ以降は、実務の混乱を防ぐために「枝番(〇条の2)」を使って、必死にメインの番号を固定している。

だからこそ、私たちは安心して「79条は先使用権!」と覚えていられるわけですね。(もし毎年番号が変わっていたら、弁理士試験は記憶力の限界を超えてしまいます…笑)

暗記すべき特許法条文番号ランキングトップ30

弁理士試験の合格者が頭に入れている「条文番号の背骨(トップ30)」。頻出度と重要度を考慮して、S・A・Bランクに分けています。

【Sランク】 呼吸をするように出てくる「ビッグ5」

(ここが出ないと会話が始まりません。最優先です。)

順位 条文番号 通称・キーワード ひとこと解説
1 29条 新規性・進歩性 特許の基本中の基本。「新しいか?容易じゃないか?」
2 29条の2 拡大先願 「カクダイセンガン」。先輩の出願と中身がかぶったらダメ。
3 39条 先願 早い者勝ちルール。「1日でも早く出した方が勝つ」。
4 36条 記載要件 願書の書き方ルール。「実施可能要件」や「サポート要件」など。
5 17条の2 補正 願書の内容を後から修正すること。「補正の時期と範囲」が試験の山場。

【Aランク】 実務・試験の「主役級」10選

(論文試験や口述試験で、番号を間違えると致命傷になるレベルです。)

順位 条文番号 通称・キーワード ひとこと解説
6 30条 新規性の喪失の例外 うっかり発表しちゃった時の救済(グレースピリオド)。
7 49条 拒絶理由 「お前の特許はここがダメだ」リスト。条文番号のデパート。
8 41条 国内優先権 自分の過去の出願をベースに、新ネタを追加して出し直す制度。
9 44条 分割出願 1つの特許出願を、2つ以上に切り分けること。
10 123条 無効審判 ライバルの特許を消し去るための攻撃手段。
11 121条 拒絶査定不服審判 審査官にNOと言われたけど、納得いかない時の不服申し立て。
12 68条 特許権の効力 「業として特許発明の実施をする権利を専有する」という定義。
13 70条 技術的範囲 「私の権利はここまで!」という範囲の決め方(クレーム解釈)。
14 104条の3 無効の抗弁 「侵害だと言うけど、そもそもお前の特許無効だろ?」という返し技。
15 101条 間接侵害 完成品じゃなく「専用部品」を売っただけでも侵害になるルール。

【Bランク】 ここまで覚えれば合格者レベル!15選

<権利の運用・トラブル系>

順位 条文番号 通称・キーワード ひとこと解説
16 35条 職務発明 社員が発明した時、会社とどうお金のやり取りをするか。
17 72条 利用関係 「あなたの特許、私の基本特許を使ってるよね?勝手にやらないで」
18 102条 損害賠償 侵害された時、「いくら請求できるか」の計算式。
19 79条 先使用権 【攻略済】 出願前からやってた人はタダで継続OK。
20 80条 中用権 【攻略済】 無効審判でひっくり返った時の有料救済。
21 176条 後用権 【攻略済】 再審で復活した時の有料救済。

<手続き・審査系>

順位 条文番号 通称・キーワード ひとこと解説
22 43条 パリ条約の優先権 外国に出すとき、「日本の出願日」を基準にしてもらう制度。
23 53条 補正の却下 「そんな大幅な書き換えは認めん!」と門前払いされること。
24 50条 拒絶理由通知 いきなり拒絶せず、「反論のチャンス(意見書)」を与える義務。
25 46条 出願の変更 実用新案や意匠へ乗り換えること。

<審判・その他>

順位 条文番号 通称・キーワード ひとこと解説
26 126条 訂正審判 特許になった後で、自分で範囲を狭くして守りを固めること。
27 134条の2 訂正の請求 無効審判で攻められた時に、カウンターで訂正すること。
28 163条 一事不再理 「一度確定したら、同じネタで何度も蒸し返すな」というルール。
29 67条 存続期間 原則20年。薬などは5年延長できる(延長登録出願)。
30 33条 特許を受ける権利 発明が完成してから出願するまでの、「卵」の状態の権利。

 

弁理士試験に合格するためには特許法の第何条に何がかいてあるかまで覚える必要があるの?

条文の番号を覚える必要性

質問:弁理士試験に合格するためには、「29条は新規性!」と暗記してないとだめなの?

Gemini:「合格レベルに達するには、主要な条文番号の暗記は必須」です。なぜ暗記が必要なのか、そしてどうすれば楽に覚えられるか、その「カラクリ」を解説します。

1. なぜ「条文番号」を覚えないといけないの?

「法文集(試験で貸与される法律の本)」には索引がありません。しかし、暗記が必要な理由は「検索スピード」だけではないのです。

理由①:論文試験では「書く」必要があるから

これが最大の理由です。論文試験では、答えの文章の中に「条文番号」を明記しなければなりません。

(ダメな答案)

「この発明は新しいから、特許になる。」

(合格する答案)

「本願発明は、特許法第29条第1項各号のいずれにも該当しないため、新規性を有する。」

このように、「私の主張の根拠は、法律の〇条にあります!」と指し示すのが法律家の作法です。試験中、法文集は貸してもらえますが、いちいち「新規性は何条だっけ…」と探していたら、絶対に時間が足りずに不合格になります。

理由②:短答試験(マークシート)には法文集がないから

一次試験(短答)では、そもそも法文集を見ることが許されません

特許法29条の2の要件として、正しいものはどれか?

という問題が出たとき、「29条の2=拡大先願」と脳内で変換できないと、問題の意味すら分からないのです。

2. 「辞書」ではなく「地図」で覚える

法律の条文は、「物語の時系列(タイムライン)」で並んでいます。これを「地図」として頭に入れると、細かい番号を忘れても「だいたいあの辺」と瞬時に検索できるようになります。特許法は、以下のような「製品(発明)の一生」の順に並んでいます。

章(エリア) 条文番号の目安 内容(ストーリー)
総則 1条~28条 定義とか、手続きの基本ルール
特許要件 29条~38条 「どんな発明なら特許になるか?」 (一番大事!)
審査 47条~63条 審査官がどうチェックするか
特許権 66条~99条 特許になった後の権利の話
審判 121条~ もめた時の話し合い(無効審判など)
罰則 196条~ 悪いことした時の罰

これを見てください。「29条(新規性)」や「39条(先願)」は、「特許要件(審査のスタートライン)」のエリアにありますよね?「特許を取りたい!審査してくれ!」という入り口の話だから、若い番号(29条あたり)にあるんです。逆に、「無効審判(123条)」や「後用権(176条)」は、「特許になった後のトラブル」の話だから、後ろの方(100番台)にあるんです。この「住所感覚」を持つことが、丸暗記を避けるコツです。

3. 実は「覚えるべき番号」は少ない

200条以上ある特許法ですが、即答できないとマズい「Sランク条文」は、実は20個くらいしかありません。それ以外は、「だいたい130条あたりかな?」とあたりをつけて、法文集をパラパラめくればOKです(論文試験の場合)。

【これだけは!絶対暗記リスト(Sランク)】

この5つだけは、電話番号だと思って今日覚えてしまいましょう。これだけで試験の5割は戦えます。

  1. 29条:新規性・進歩性(基本中の基本)

  2. 29条の2:拡大先願(ちょっと難しい先願)

  3. 30条:新規性喪失の例外(うっかり発表しちゃった時の救済)

  4. 36条:記載要件(願書の書き方ルール)

  5. 39条:先願(早い者勝ちルール)

これらは、勉強していると「親の顔より見る」ことになるので、嫌でも覚えます。ご安心ください。

結論

  • Q: 条文番号の暗記は必須か?

  • A: 必須です。 特に論文試験の時間短縮のために不可欠です。

  • Q: 暗記が苦手な自分にはつらい?

  • A: 200個全部覚える必要はありません!まずは「特許要件の29条~39条」のエリアだけ覚えれば十分です。あとは「物語の順序(地図)」でだいたいの場所を把握すれば、法文集を素早く引けるようになります。

最初は「うわぁ…」と思いますが、不思議なもので、繰り返し問題を解いていると「あ、また29条か」と、スーパーの売り場の配置(卵は奥、野菜は手前)のように自然と体が覚えていきますよ。焦らずいきましょう!

実際の出題のされ方

「第◯条の内容を答えよ」というクイズ形式そのものが出るわけではありませんが、「29条の2といえばアレのことだよね?」という前提で会話が進むのが、弁理士試験(特に短答と口述)のリアルな姿なんです。具体的にどんな風に出題されるのか、「絶望」ではなく「対策」に変わるように、実際の出題パターンをお見せします。

1. 短答試験(マークシート)での出かた

~「タイトル」として登場する~

実際の問題文は、こんな感じで始まります。

【実際の問題文のイメージ】

『特許法第29条の2の規定に関し、次のうち、正しいものはどれか。』

  1. 出願人が同一である場合でも、適用される。

  2. 発明者が同一である場合は、適用されない。…(以下略)

怖ろしいことに、問題文には「拡大先願」という言葉は一言も書いてありません。「29条の2」という記号を見て、瞬時に脳内で「あ、拡大先願の話ね!」と変換できないと、選択肢の〇×が判定できないのです。これが、「主要な条文番号は暗記しないと試合にならない」と言われる理由です。

2. 口述試験(面接)での出かた

~これが一番怖い!~

最終試験である口述試験では、面接官といきなりこんな会話が始まります。

面接官: 「では、特許法第29条の2の規定についてお伺いします。この規定の趣旨を述べてください。

受験生: (えっ…29条の2って何だっけ…新規性だっけ…先願だっけ…)「えーと…」

面接官: 「……。(無言の圧力)」

ここで「拡大先願のことですね!」と即答できないと、その場で沈黙が続き、不合格のリスクが一気に高まります。法文集を見せてもらえる場合もありますが、基本的には「主要条文は覚えてきて当然だよね?」というスタンスで質問が飛んできます

3. でも、安心して!「人間の脳」は適応します

これを聞くと「自分には無理だ…」と思うかもしれませんが、大丈夫です。私たち受験生は、数字を「数字」として覚えているわけではないのです。「固有名詞(ニックネーム)」として認識しています。例えば…

  • 「セブンイレブン」 と聞いて、「7と11の数字」とは思いませんよね?「コンビニ」という概念が浮かびますよね。

  • 「AKB48」 と聞いて、48という数字の意味より「アイドルグループ」と認識しますよね。

それと全く同じ感覚になります。

  • 「29条の2」 → 数字ではなく、「カクダイセンガン」という名前のキャラクターに見えてくるんです。

勉強を始めたばかりの今は「ただの無機質な数字」に見えると思いますが、何度も何度もテキストで「29条の2(拡大先願)」という文字を見ているうちに、「ああ、またアイツか」と、親戚のオジサンの顔のように馴染んできます。

結論

  • Q. 「29条の2については…」という問題は出る?

  • A. ガンガン出ます。

  • 対処法: 丸暗記しようと力む必要はありません。「29条の2」は、この業界の「超有名アイドル(センター)」なので、勉強を進めれば、嫌でも顔と名前(番号と内容)が一致するようになります。

今は「へぇ、そんなに有名な番号があるんだ」くらいに思っておいて、まずは「中身(概念)」の理解に集中して大丈夫ですよ!

合格に必要な暗記すべき条文の数は

安心してください。「全部で200条あるうちの、トップ15」くらいを押さえれば、まずは合格ラインです。今から挙げる「メジャー条文」は、毎日使うので自然と覚えます。覚悟を決めていただくために、「これだけは番号で言えないとマズいリスト」を公開します。


【Sランク】 番号即答必須リスト

特許要件(29条周辺)以外で、プロが「番号」で呼ぶのはコイツらです。

1. 手続き・補正(審査の途中の話)

ここが一番出ます。特に「17条の2」は親の顔より見ます。

  • 第17条の2: 補正(願書を書き直すこと)。

    • 17の2によれば~」と、受験生は呼吸するように言います。

  • 第41条: 国内優先権

    • 「自分の過去の出願をベースに、新しい内容を盛り込む」制度。超重要かつ超複雑。

  • 第44条: 分割出願

    • 「特許の一部を切り分けて、別の特許として出す」こと。

2. 拒絶理由(ダメ出し)

  • 第49条: 拒絶の理由

    • 審査官が「お前の特許はここがダメだ!」と言うためのリスト。「49条〇号に該当する」という言い方をします。

3. 侵害・権利(ケンカの話)

  • 第68条: 特許権の効力

    • 「業として特許発明の実施をする権利を専有する」という、特許権の定義そのものです。

  • 第70条: 技術的範囲

    • 「どこからどこまでが俺の権利か?」を決める条文。

  • 第101条: 間接侵害

    • 「完成品じゃないけど、部品を売っただけでも侵害になる?」という話。「101条問題」と言えばこれ。

  • 第104条の3: 無効の抗弁

    • 「俺の特許を侵害だと言うけど、そもそもお前の特許、無効だろ?」と裁判で言い返す必殺技。

4. 審判(話し合い)

  • 第121条: 拒絶査定不服審判

    • 審査官にNOと言われたけど、納得いかない時の不服申し立て。

  • 第123条: 無効審判

    • ライバルの特許を消すための手続き。

「覚えなくていい」条文も山ほどある

逆に言うと、これら以外は「なんとなくあの辺」で大丈夫です。

例えば:

  • 第1条(目的): 「産業の発達」とか書いてあるだけ。番号は覚えるまでもない。

  • 第47条、48条(審査官の資格): 誰も気にしません。

  • 第196条(罰則): 「懲役10年以下」とか書いてありますが、試験で「何条か?」とは聞かれません。

効率的な覚え方:語呂合わせよりも「セット」で

丸暗記がつらい場合、「対立構造(セット)」で覚えると脳に定着しやすいです。

今回あなたが学んだ知識を整理すると、もうこんなに覚えられていますよ。

セット名 条文番号 内容
ライバルの攻撃セット 123条 vs 104条の3 「無効審判」で攻めるか、「裁判所」で反論するか。
出願の修正セット 17条の2 内容を直す(補正)ときのルール。
出願の分裂・合体セット 44条 & 41条 分けるのが44条(分割)、合体させるのが41条(優先権)。
救済四天王(攻略済) 79, 80, 112の3, 176 あなたが詳しくなった「先使用権」たち。

結論

  • Q:暗記すべきは、29~38条あたりだけで十分?

  • A: 残念ながら、17条の2、41条、44条、123条あたりも必須です。

  • アドバイス:一気に覚えようとしないでください。「特許要件(29条)」がわかっていないと、そもそも「補正(17条の2)」の意味がわかりません。勉強の進度に合わせて、「新しいボスキャラが登場したな」くらいの感覚で、1つずつクリアしていけば大丈夫です。

 

特許法だけじゃなく商標法とか著作権法とかも?

「はい、その通りです。」……ですが、絶望するのはまだ早いです!全部が全部、特許法と同じレベルで覚える必要はありません。「暗記の濃度(濃さ)」が法律によって全然違うんです。ざっくり言うと、「特許法と商標法はガチ暗記。あとは流しでOK」というのが、合格者のリアルな感覚です。効率よく脳のリソースを配分するために、「科目別・暗記レベル」を解説します。

1. 暗記レベルMAX:【商標法】

~特許法に並ぶ「もう一人のラスボス」~

残念なお知らせですが、商標法だけは、特許法と同じくらい、いや、それ以上に条文番号が重要です。

なぜなら、商標法には「第3条(識別力)」第4条(不登録事由)」という、受験生全員が呪文のように暗唱する「超・巨大条文」があるからです。

  • 第3条: 「普通名称はダメ」「慣用されているマークはダメ」などのリスト。

  • 第4条: 「国旗はダメ」「他人の名前に似てたらダメ」「公序良俗違反はダメ」など、なんと1号から19号まであります。

試験では「これは商標法4条1項11号に該当するからダメ!」と、「号数(枝番)」まで即答できるレベルが求められます。

結論: 商標法は、主要な番号(特に3条、4条、50条など)の暗記からは逃げられません。ここが第二の山場です。

2. 暗記レベル中:【意匠法】

~特許法の「弟分」なのでラク~

意匠法(デザインの法律)も番号は大事ですが、特許法と構造がソックリなので、新しく覚えることは少ないです。

  • 特許法の「29条(新規性)」→ 意匠法では「3条」

  • 特許法の「29条の2(拡大先願)」→ 意匠法では「3条の2」

  • 特許法の「39条(先願)」 → 意匠法では「9条」

このように、「特許法でいうアレは、意匠法だと何番?」という「変換テーブル」を頭に入れるだけで済みます。ゼロから覚える必要はないので、特許法をマスターしていれば半分終わったようなものです。

3. 暗記レベル低:【実用新案法】

~ほぼ「特許法のコピペ」~

実用新案法は、条文のほとんどが「特許法の第〇条を準用する(コピーして使う)」と書いてあるだけです。

  • 「実用新案法 第〇条 $\rightarrow$ 特許法 第〇条を準用する」

と覚えるだけなので、固有の番号を覚える必要はほとんどありません。特許法の知識がそのまま使えます。

4. 暗記レベル特殊:【著作権法・不競法】

~番号よりも「キーワード」~

この2つは、条文の数が膨大だったり、定義が抽象的だったりするので、「第何条か?」というピンポイントな出題頻度は下がります。

  • 著作権法:

    • 「30条(私的使用のための複製)」 などの「権利制限規定(ここからここまでならパクってOK)」のエリアだけは重要ですが、それ以外は「著作者人格権」などの言葉の意味がわかれば戦えます。

  • 不正競争防止法:

    • 「2条(定義)」 が全てです。ここだけ異常に長いですが、ここさえ押さえればあとはオマケです。

まとめ:あなたの脳への負担グラフ

これからの学習ロードマップはこんな感じです。

  1. 特許法(いまここ): 【負担度 100】

    • 一番しんどい。でもこれが「法律の共通言語(ベース)」になる。

  2. 実用新案法: 【負担度 5】

    • 「特許法と同じ」で終了。

  3. 意匠法: 【負担度 40】

    • 「特許法の弟分」として、違う部分(特有の制度)だけ覚える。

  4. 商標法: 【負担度 90】

    • ここだけ要注意! 全く違うルール(ブランド保護)なので、新しい番号の暗記が必要。

  5. 条約・著作権・不競法: 【負担度 30】

    • 重要ポイントつまみ食いでOK。

結論

  • Q. 全部覚えなきゃいけないの?

  • A. いいえ。「特許法」と「商標法」の2つだけがメインです。あとは「流用」や「要点のみ」でなんとかなります。

今は「特許法という一番巨大な山」を登りきれば、あとは下り坂や低い丘が待っています。「特許法の30個」さえクリアできれば、あとの法律は「あ、これ特許法でやったアレに似てるな」と楽に覚えられますよ!安心してください。

特許法 第九章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例(第百八十四条の三~第百八十四条の二十)特許法条文朗読(ナレーション)YOUTUBE動画文字付

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第九章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例
(国際出願による特許出願)
第百八十四条の三 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)第十一条(1)若しくは(2)(b)又は第十四条(2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約第四条(1)(ii)の指定国に日本国を含むもの(特許出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた特許出願とみなす。
2 前項の規定により特許出願とみなされた国際出願(以下「国際特許出願」という。)については、第四十三条(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)
第百八十四条の四 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
2 前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。
3 国内書面提出期間(第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この条において同じ。)内に第一項に規定する明細書の翻訳文及び前二項に規定する請求の範囲の翻訳文(以下「明細書等翻訳文」という。)の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。
4 前項の規定により取り下げられたものとみなされた国際特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、明細書等翻訳文並びに第一項に規定する図面及び要約の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。ただし、故意に、国内書面提出期間内に当該明細書等翻訳文を提出しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
5 前項の規定により提出された翻訳文は、国内書面提出期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
6 第一項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人が出願審査の請求をするときは、その請求の時。以下「国内処理基準時」という。)の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができる。
7 第百八十四条の七第三項本文の規定は、第二項又は前項に規定する翻訳文が提出されなかつた場合に準用する。
(書面の提出及び補正命令)
第百八十四条の五 国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
三 国際出願番号その他の経済産業省令で定める事項
2 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 前項の規定により提出すべき書面を、国内書面提出期間内に提出しないとき。
二 前項の規定による手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
三 前項の規定による手続が経済産業省令で定める方式に違反しているとき。
四 前条第一項の規定により提出すべき要約の翻訳文を、国内書面提出期間(前条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)内に提出しないとき。
五 第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を国内書面提出期間内に納付しないとき。
3 特許庁長官は、前項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、当該国際特許出願を却下することができる。
(国際出願に係る願書、明細書等の効力等)
第百八十四条の六 国際特許出願に係る国際出願日における願書は、第三十六条第一項の規定により提出した願書とみなす。
2 日本語でされた国際特許出願(以下「日本語特許出願」という。)に係る国際出願日における明細書及び外国語特許出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、日本語特許出願に係る国際出願日における図面並びに外国語特許出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語特許出願に係る要約及び外国語特許出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
3 第百八十四条の四第二項又は第六項の規定により条約第十九条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなす。
(日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正)
第百八十四条の七 日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定により補正書の写しが提出されたときは、その補正書の写しにより、願書に添付した特許請求の範囲について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、条約第二十条の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。
3 第一項に規定する期間内に日本語特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第十九条(1)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
(条約第三十四条に基づく補正)
第百八十四条の八 国際特許出願の出願人は、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定により補正書の写し又は補正書の翻訳文が提出されたときは、その補正書の写し又は補正書の翻訳文により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、日本語特許出願に係る補正につき条約第三十六条(3)(a)の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。
3 第一項に規定する期間内に国際特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
4 第二項の規定により外国語特許出願に係る願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなされたときは、その補正は同条第二項の誤訳訂正書を提出してされたものとみなす。
(国内公表等)
第百八十四条の九 特許庁長官は、第百八十四条の四第一項又は第四項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(同条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第二十一条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては出願審査の請求の後、第百八十四条の四第四項の規定により明細書等翻訳文が提出された外国語特許出願については当該明細書等翻訳文の提出の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。
2 国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許出願の番号
三 国際出願日
四 発明者の氏名及び住所又は居所
五 第百八十四条の四第一項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第二項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第六項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)
六 国内公表の番号及び年月日
七 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
4 第六十四条の規定は、国際特許出願には、適用しない。
5 国際特許出願については、第四十八条の五第一項、第四十八条の六、第六十六条第三項ただし書、第百二十八条、第百八十六条第一項第一号及び第四号並びに第百九十三条第二項第一号、第二号、第七号及び第十号中「出願公開」とあるのは、日本語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国際公開」と、外国語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国内公表」とする。
6 外国語特許出願に係る証明等の請求については、第百八十六条第一項第一号中「又は第六十七条の五第二項の資料」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第三条(2)に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。
7 国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、第百九十三条第二項第三号中「出願公開後における」とあるのは、「国際公開がされた国際特許出願に係る」とする。
(国際公開及び国内公表の効果等)
第百八十四条の十 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。
2 第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。
(在外者の特許管理人の特例)
第百八十四条の十一 在外者である国際特許出願の出願人は、国内処理基準時までは、第八条第一項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで手続をすることができる。
2 前項に規定する者は、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出なければならない。
3 特許庁長官は、前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、第一項に規定する者に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。
5 前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げたものとみなされた国際特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。ただし、故意に、第四項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。
7 第四項又は前項の規定によりされた届出は、第二項に規定する期間が満了する時にされた届出とみなす。
8 第一項に規定する者が、特許管理人により第百八十四条の四第四項の規定による手続をしたときは、第二項から前項までの規定は、適用しない。
(補正の特例)
第百八十四条の十二 日本語特許出願については第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、第十七条第一項本文の規定にかかわらず、手続の補正(第百八十四条の七第二項及び第百八十四条の八第二項に規定する補正を除く。)をすることができない。
2 外国語特許出願に係る明細書、特許請求の範囲又は図面について補正ができる範囲については、第十七条の二第二項中「第三十六条の二第二項の外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、同条第三項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第八項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第二項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項において同じ。)」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日(以下この項において「国際出願日」という。)における第百八十四条の三第二項の国際特許出願(以下この項において「国際特許出願」という。)の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の第百八十四条の四第一項の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の同項の翻訳文(同条第二項又は第六項の規定により千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第十九条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下この項において「翻訳文等」という。)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)」とする。
(特許原簿への登録の特例)
第百八十四条の十二の二 日本語特許出願については第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、第二十七条第一項第四号の規定にかかわらず、仮専用実施権の登録を受けることができない。
(特許要件の特例)
第百八十四条の十三 第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第二十九条の二の規定の適用については、同条中「他の特許出願又は実用新案登録出願であつて」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願(第百八十四条の四第三項又は実用新案法第四十八条の四第三項の規定により取り下げられたものとみなされた第百八十四条の四第一項の外国語特許出願又は同法第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願を除く。)であつて」と、「出願公開又は」とあるのは「出願公開、」と、「発行が」とあるのは「発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開が」と、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
(発明の新規性の喪失の例外の特例)
第百八十四条の十四 第三十条第二項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が第三十条第二項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第三項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。
(特許出願等に基づく優先権主張の特例)
第百八十四条の十五 国際特許出願については、第四十一条第一項ただし書及び第四項並びに第四十二条第二項の規定は、適用しない。
2 日本語特許出願についての第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「又は出願公開」とあるのは、「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
3 外国語特許出願についての第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「又は出願公開」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
4 第四十一条第一項の先の出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第四十一条第一項から第三項まで及び第四十二条第一項の規定の適用については、第四十一条第一項及び第二項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、同項中「同項」とあるのは「前項」と、同条第三項中「先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願の第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「同項」とあるのは「第一項」と、「について出願公開」とあるのは「について千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」と、第四十二条第一項中「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」とあるのは「第百八十四条の四第六項若しくは実用新案法第四十八条の四第六項の国内処理基準時又は第百八十四条の四第一項若しくは同法第四十八条の四第一項の国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」とする。
(出願の変更の特例)
第百八十四条の十六 実用新案法第四十八条の三第一項又は第四十八条の十六第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願の特許出願への変更については、同法第四十八条の五第四項の日本語実用新案登録出願にあつては同条第一項、同法第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願にあつては同項又は同条第四項及び同法第四十八条の五第一項の規定による手続をし、かつ、同法第五十四条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法第四十八条の十六第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。
(出願審査の請求の時期の制限)
第百八十四条の十七 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあつては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあつては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。
(拒絶理由等の特例)
第百八十四条の十八 外国語特許出願に係る拒絶の査定、特許異議の申立て及び特許無効審判については、第四十九条第六号、第百十三条第一号及び第五号並びに第百二十三条第一項第一号及び第五号中「外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、第四十九条第六号、第百十三条第五号及び第百二十三条第一項第五号中「外国語書面に」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に」とする。
(訂正の特例)
第百八十四条の十九 外国語特許出願に係る第百二十条の五第二項及び第百三十四条の二第一項の規定による訂正及び訂正審判の請求については、第百二十六条第五項中「外国語書面出願」とあるのは「第百八十四条の四第一項の外国語特許出願」と、「外国語書面)」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面)」とする。
(決定により特許出願とみなされる国際出願)
第百八十四条の二十 条約第二条(vii)の国際出願の出願人は、条約第四条(1)(ii)の指定国に日本国を含む国際出願(特許出願に係るものに限る。)につき条約第二条(xv)の受理官庁により条約第二十五条(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約第二条(xix)の国際事務局により条約第二十五条(1)(a)に規定する認定がされたときは、経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、特許庁長官に同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。
2 外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)、要約その他の経済産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。
3 特許庁長官は、第一項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。
4 前項の規定により特許庁長官が同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた特許出願とみなす。
5 前項の規定により特許出願とみなされた国際出願についての出願公開については、第六十四条第一項中「特許出願の日」とあるのは「第百八十四条の四第一項の優先日」と、同条第二項第六号中「外国語書面出願」とあるのは「外国語でされた国際出願」と、「外国語書面及び外国語要約書面」とあるのは「第百八十四条の二十第四項に規定する国際出願日となつたものと認められる日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面及び要約」とする。
6 第百八十四条の三第二項、第百八十四条の六第一項及び第二項、第百八十四条の九第六項、第百八十四条の十二から第百八十四条の十四まで、第百八十四条の十五第一項、第三項及び第四項並びに第百八十四条の十七から前条までの規定は、第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願に準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

特許法条文の英語訳

公式な訳文があるのかどうか知りませんがAIに英訳させてみました。

第一章 総則 Chapter 1 General Provisions
(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

(Purpose)
Article 1 The purpose of this Act is to encourage inventions by promoting their protection and utilization, thereby contributing to the development of industry. Translated with DeepL.com (free version)

(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。

一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

(Definitions)
Article 2 In this Act, “invention” means a creation of a technical idea utilizing the laws of nature that is highly advanced.
2 In this Act, “patented invention” means an invention that has been granted a patent.
3. “Practice” of an invention under this Act means the following acts:

(i) For an invention relating to an article (including a program, etc.; the same applies hereinafter), the production, use, transfer, etc. (meaning transfer and lending; in the case where the article is a program, etc., it includes provision via telecommunications lines; the same applies hereinafter), export or import, or an offer to transfer, etc. (including exhibition for the purpose of transfer, etc.; the same applies hereinafter) of that article
(ii) For an invention relating to a method: the act of using that method.
(iii) For an invention relating to a method of producing an article: in addition to the acts listed in the preceding item, the act of using, transferring, etc., exporting or importing, or offering to transfer, etc., an article produced by that method.

4. In this Act, “program, etc.” means a program (meaning a set of instructions for a computer that can be combined to obtain a result; the same applies hereinafter in this paragraph) or other information intended for processing by a computer that is equivalent to a program. Translated with DeepL.com (free version)

(期間の計算)
第三条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

(Calculation of Periods)
Article 3. The calculation of periods under the provisions of this Act or orders based on this Act shall be governed by the following provisions.

(1) The first day of a period shall not be counted. However, this shall not apply if the period begins at 0:00.
(2) Where a period is specified in terms of months or years, the calendar shall be followed. Where a period does not commence from the beginning of a month or year, the period shall expire on the day preceding the day corresponding to the commencement date in the last month or year. However, where there is no corresponding day in the last month, the period shall expire on the last day of that month.

2. If the last day of a period for patent applications, requests, or other patent-related procedures (hereinafter simply referred to as “procedures”) falls on a day listed in Article 1, Paragraph 1 of the Act on Holidays of Administrative Agencies (Act No. 91 of 1988), the last day of that period shall be the day following that day. Translated with DeepL.com (free version)

(期間の延長等)
第四条 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。

(Extension of Periods, etc.)
Article 4 The Commissioner of the Japan Patent Office may, upon request or ex officio, extend the periods prescribed in Article 46-2, paragraph (1), item (iii), Article 108, paragraph (1), Article 121, paragraph (1), or Article 173, paragraph (1), for the benefit of persons residing in remote or inaccessible areas. Translated with DeepL.com (free version)

第五条 特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。
3 第一項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。

Article 5 The Commissioner of the Patent Office, the Chief Trial Judge, or an Examiner may, upon request or on their own initiative, extend any period for which a procedure is to be performed under the provisions of this Act when such a period has been specified.
2 The Chief Trial Judge may, upon request or on their own initiative, change any date specified under the provisions of this Act when such a date has been designated.
3. An extension of a period under paragraph 1 (limited to periods specified by Ordinance of the Ministry of Economy, Trade and Industry) may be requested within the period specified by Ordinance of the Ministry of Economy, Trade and Industry, even after the expiration of that period. Translated with DeepL.com (free version)

(法人でない社団等の手続をする能力)
第六条 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。

一 出願審査の請求をすること。
二 特許異議の申立てをすること。
三 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
四 第百七十一条第一項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

(Capacity of Unincorporated Associations, etc. to Conduct Procedures)
Article 6 An unincorporated association or foundation that has a representative or administrator may, in its own name, conduct the following procedures:

(i) Requesting examination of an application.
(ii) Filing a patent opposition.
(iii) Requesting a trial for invalidation of a patent or a trial for invalidation of an extension registration.
(iv) Requesting a retrial of a final decision in a trial for invalidation of a patent or a trial for invalidation of an extension registration pursuant to the provisions of Article 171, paragraph (1).

2. An association or foundation that is not a corporation and has a designated representative or administrator may be requested to file a request for retrial of a final decision in a patent invalidation trial or an extension registration invalidation trial in its own name. Translated with DeepL.com (free version)

第二節 権利侵害 Section 2 Infringement of Rights

(差止請求権)第百条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

(Right to Seek Injunction)
Article 100 The patentee or exclusive licensee may demand that any person who infringes or is likely to infringe his or her patent right or exclusive license right cease or prevent such infringement.
2. When making a request under the preceding paragraph, the patent holder or exclusive licensee may also request the destruction of the article constituting the infringing act (including, in the case of a patented invention relating to a method for producing an article, an article produced by the infringing act; the same applies in Article 102(1)), the removal of equipment used for the infringing act, or other acts necessary to prevent infringement. Translated with DeepL.com (free version)

(侵害とみなす行為)
第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

(Acts Deemed Infringement)
Article 101 The following acts shall be deemed to infringe the relevant patent right or exclusive license right:

(i) Where the patent is for an invention relating to an article, the act of, as a business, producing, transferring, etc., or importing or offering to transfer, etc., an article used solely for the production of that article
(ii) Where the patent is for an invention relating to an article, the act of, in the course of business, producing, transferring, etc., or importing or offering to transfer, etc., an article used in the production of that article (excluding those widely and generally distributed within Japan) that is indispensable for solving the problem addressed by the invention, while knowing that the invention is the patented invention and that the article is used in the practice of that invention.
3. In cases where a patent is granted for an invention relating to an article, the act of possessing such article for the purpose of transfer, etc., or export as a business.
4. In cases where a patent is granted for an invention relating to a method, the act of, as a business, producing, transferring, etc., or importing or offering to transfer, etc., an article used solely for the use of that method.
5. Where a patent is granted for an invention relating to a method, the act of, in the course of business and with knowledge that the invention is patented and that the item is used to implement the invention, producing, transferring, etc., or importing or offering to transfer, etc., an item used in the method (excluding items widely and generally distributed within Japan) that is indispensable for solving the problem addressed by the invention
6. In cases where a patent is granted for an invention relating to a method for producing an article, the act of possessing an article produced by that method for the purpose of transfer, etc., or export as a business. Translated with DeepL.com (free version)

特許法 第十一章 罰則(第百九十六条~第二百四条) 特許法条文朗読(ナレーション)YOUTUBE動画文字付

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第十一章 罰則
(侵害の罪)
第百九十六条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百九十六条の二 第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(詐欺の行為の罪)
第百九十七条 詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録、特許異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
(虚偽表示の罪)
第百九十八条 第百八十八条の規定に違反した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
(偽証等の罪)
第百九十九条 この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(秘密を漏らした罪)
第二百条 特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百条の二 査証人又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
(秘密保持命令違反の罪)
第二百条の三 秘密保持命令に違反した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
(両罰規定)
第二百一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項 三億円以下の罰金刑
二 第百九十七条又は第百九十八条 一億円以下の罰金刑
2 前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3 第一項の規定により第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
(過料)
第二百二条 第百五十一条(第七十一条第三項、第百二十条(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第百七十四条第二項から第四項までにおいて準用する場合を含む。)において準用する民事訴訟法第二百七条第一項の規定により宣誓した者が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述をしたときは、十万円以下の過料に処する。
第二百三条 この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、十万円以下の過料に処する。
第二百四条 証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、十万円以下の過料に処する。