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福島国際研究教育機構 F-REIとは?福島版OISTなのか

福嶋国際研究教育機構とは

本機構は、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力・産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指すもの https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=4&id=D124111447

 

福島国際研究教育機構の令和6年度の研究開発等業務の運営に関する計画(年度計画) 令和 6 年 3 月 29 日 福島国際研究教育機構 (18 page PDF)

F-REIではノーベル賞を取るような研究というより、新技術を開発し、既存の技術と組み合わせながら完成させて事業化する、そしてできれば地元の産業として育てたいと考えています。

福島国際研究教育機構(F-REI)理事長、金沢大学前学長に聞く人材育成の秘訣と日本復興への課題 北陸経済研究 7 2024.1 https://www.hokukei.or.jp/contents/pdf_exl/specialtop2401.pdf

令和6年度予算概算決定及び施設整備の状況令和6年1月12日復興庁 (4 page PDF) 福島国際研究教育機構 研究費 令和6年度予算案額 99億円(令和5年度予算額 126億円)【①ロボット】 24.0億円(39.7億円)【②農林水産業】 19.2億円※(14.0億円)【③エネルギー】 31.6億円※(29.6億円)【④放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用】 16.1億円(33.7億円)【⑤原子力災害に関するデータや知見の集積・発信】 8.2億円(9.0億円) 注:( )は令和5年度予算額

  1. 2023.06.5 震災・原発事故 【福島国際研究教育機構】職員が2日で「出勤断念」【エフレイ】 政経東北 https://www.seikeitohoku.com/f-rei-high-handed-attitude-of-bureaucrats/ 「職員の多くは中央省庁からの出向組 ‥ 着任1日目の職員(当事者の中年男性)に敬語も使わず、いきなり『あんた』呼ばわりだったらしい。 ‥ とにかく、すべてが前時代の高圧的・パワハラ的対応。『この上司と信頼関係を築ける気がしない』と感じたそうです」

福島国際研究教育機構が達成すべき 研究開発等業務についての運営に関する目標 (中期目標) 令和 5 年 4 月1日 復 興 庁 文 部 科 学 省 厚 生 労 働 省 農 林 水 産 省 経 済 産 業 省 環 境 省 (16 page PDF)

 

 

役人の思いは法律に込められているんですよ。このままいったら、福島国際研究教育機構、これは単なる天下りの巣窟になっちゃう可能性だってあるんですよ。

2022-07-23 単なる国の施設でよいのか、福島国際研究教育機構

InDesignの使い方

将来出版したい書籍の原稿を書き貯めるのに、マイクロソフトのワードがいいのかグーグルドキュメントで書くのがいいのかと思ってChatGPTに訊いてみたら、それにくわえてアドビのインデザインというものがあることを知りました。

InDesignを使うと出版社に入稿するフォーマットで原稿作成ができるので、もしそこで完成形まで作れれば、いきなり本ができてしまうようです。今はキンドル書籍を自費出版するのも容易ですし、出版社を通さずに出版することは全然普通にできる時代です。

InDesignの最初の新規ファイルをブックを選んで開いたら、いきなり原稿用紙?みたいなグリッドが出てきて、その先何をすればいいのかわからなくなりました。新規ファイルを「ドキュメント」にしても、アドビイラストレーターみたいに白紙がひとつ表示されるだけで、文章をどうやって打っていくのかイメージが湧きません。

まったく使い始め方がわからないので、ここで躓くくらいならワードでもグーグルドキュメントでもいいのでとりあえず内容を書き貯めようと思いました。

 

参考

  1. https://fare.blue/2020/02/indesign-kumihan/

タンパク質の定量方法

ブラッドフォード法が良く使われています。

原著論文

A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein-dye binding Marion M. Bradford Analytical Biochemistry Volume 72, Issues 1–2, 7 May 1976, Pages 248-254 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0003269776905273 本文有料

パラグラフライティングの方法:科学的な文章を書く基本技術

パラグラフライティングという言葉はすっかり巷に流布していますが、実際にパラグラフライティングが何かを知っている人はあまりいないのではないでしょうか。自分も、せいぜいトピックセンテンスをパラグラフの最初に書くやつね?くらいの認識しかありませんでした。しかし、図書館で「理系のパラグラフライティング」(羊土社)という本を見つけて開いてみたら、もっと具体的で系統だった説明がありました。その中の内容をネタに、自分なりに説明してみます。

パラグラフライティングは、お作法です。決め事があります。まず、パラグラフの第1文は、トピックセンテンスと呼ばれるものを書きます。トピックセンテンスとは、トピック(パラグラフの主題)があり、それがどうした?の部分「コントローリングアイデア」が続いて、1文になります。2文目からは、そのトピックセンテンスの主張をサポートする、サポーティングセンテンスを書いていきます。サポートの中身としては、①さらに詳細な説明、②具体例、③理由や根拠が書かれるのが一般的です。そしてパラグラフの最後は、コンクルーディングセンテンスで締めくくります。コンクルーディングセンテンスは、書かれないこともあるようです。

作法としてはこれだけなので話は単純なはずですが、「知っている」ことと「できる」こととは大違いで、実際に書いてみるとこの作法に従わない文章を平気で書いてしまうものです。

ありがちな失敗としては、まず「トピックセンテンス」がパラグラフの中に存在しないということがあります。自分がトピックセンテンスのつもりで書いていても、そうなってないようというわけです。主張+サポート(具体例)の形があることからわかるように、トピックセンテンスの主張にはある程度の「抽象性」が要求されます。最初に抽象的に書くからこそ、そのあとで具体例が書けるのです。

サポーティングセンテンスに関してもアリがちな失敗がいくつかあります。一つ目は、トピックをサポートしない情報を書いてしまう、つまり、不要なことを書いてしまうことです。知っていることは何でもつい書いておきたくなるのが人情ですが、それをやると、締まりのない文章になります。2つ目の失敗は、必要なことを書かないことです。主張をする以上、その主張が抽象的なのであれば具体例が必要ですし、その主張が直ちに読者に受入れられないようなことであれば、根拠を示す必要があります。

コンクルーディングセンテンスを書くときの失敗例としては、トピックセンテンスで述べた以上のことを書いてしまうことなどが挙げられます。最後になって突然新たな主張を始めたり、主張を拡大してみたりするのはダメよというわけです。コンクルーディングセンテンスは、内容としてはトピックセンテンスと完全に一致していないといけません。かといってトピックセンテンスをコピペしてパラグラフの最後に持って来るのも芸がありませんので、言葉を変えて表現する必要があります。

この本の教えだと第1文は必ずトピックセンテンスでありコントローリングアイデアを含めるようにとのことです。ただ現実的には、トピックがあまり読者に馴染が無い場合にはトピックの背景や詳細を説明してから、主張を書くということは普通にありますので、あまり「型にはめること」を優先してしまうと本末転倒になるのではないかと思いました。一番優先すべきは、読みやすいこと、理解しやすいこと、文章に自然な流れがあることでしょう。

理系の人に役立つパラグラフライティングの本は今まで類書を見たことがなかったので、この本はなかなか良い教材になると思います。また、学生に教える立ち場の人にとっても、演習のために使う教材、指定教科書・指定参考書になるのではないでしょうか。

脳外科医 竹田くん あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

  1. 脳外科医 竹田くん あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語(漫画のサイト)
  2. 民事裁判を起こしました私(医療従事者)と医誠会病院との闘いの記録(医療過誤被害に遭った患者家族のブログ)

参考

  1. NHKクローズアップ現代 2024年11月19日 16時51分
  2. 赤穂市民病院『脳外科医 竹田くん』モデル医師、ついに法廷へ…!「ドリルで神経を巻き込んだ」痛ましい事故は「自分の責任ではない」と断言 週刊現代 2024.09.16 手術中の視野を確保するためには、止血を十分に行い、生理食塩水を使って患部周辺を洗浄する必要がある。しかしこの手術では、A医師の執刀中に血液があふれ、手術野が不鮮明になっていたことが事故の原因になったとされる。
  3. 「あのマンガは事実無根です」「メスは置いたつもり」赤穂市民病院『脳外科医 竹田くん』モデル医師が法廷で放った「驚愕の発言」をスクープする 週刊現代 2024.09.16 赤穂市民病院検証委員会外部有識者D医師が手術映像を見て報告した言葉〈L4・L5は問題ない。L2・L3(A医者の執刀部位)から操作、術野は一変した。馬尾神経に事故が起きてもおかしくない
  4. 『脳外科医 竹田くん』モデルの医師がついに「書類送検」された…渦中のA医師が直撃取材で語ったこと 週刊現代 講談社 2024.05.27 # 医療 【連続スクープ】「今回の報道で、『何があろうと病院は絶対にA先生を守る』という確約が得られたからでしょう。現場では、リスクの高い患者さんをA先生に回さないようにしています。院長や病院の方針には逆らうことになりますが、すべては患者さんを守るためです」
  5. 「ひとりずつ院長に呼び出されて…」『脳外科医 竹田くん』モデル医師を告発した、吹田徳洲会病院スタッフの「怒りと絶望」 週刊現代 2024.05.27 # 医療
  6. https://yamatotakada.blog.ss-blog.jp/2024-07-25-6
  7. 高確率で患者は死に、後遺症に苦しむ…トンデモ外科医”竹田くん”をクビにせず雇用し続ける病院の言い分 過酷な労働条件ゆえ常に医師不足に悩む「救急救命科」で働いている PRESIDENT Online 筒井 冨美 筒井 冨美 フリーランス麻酔科医、医学博士 2024/05/20 10:00 〈私は長年この病院に勤めていますが、こんなにひどい医者は初めてです。彼の力量不足とデタラメな処置で、治るはずの患者さんが、命の危機にさらされることが度重なっています。今すぐ医者を辞めてほしい。多くのスタッフが、心の底からそう思っています〉C病院スタッフによる内部告発(『週刊現代』2024年5月11日号)。
  8. 「指に針を突き刺して…」決死の内部告発!『脳外科医 竹田くん』のモデル医師が吹田徳洲会病院で「デタラメ診療」連発、院内は大混乱 週刊現代講談社 2024.05.07 「転んで顎や手を打った女性が運ばれてきました。A先生はCT検査で『異常なし』と判断し、傷を縫って帰宅させた。ですが、その後画像を確認した放射線技師が『顎の骨が折れている』と気づいたのです。‥ 緊急搬送された患者に、A先生はアドレナリン静脈注射を指示しました。ですが、アドレナリン注射は心停止の場合しか行ってはならないのが常識。スタッフが反対して事なきをえましたが、指示通りにしていれば、患者が亡くなったおそれもあります」 「発熱で運ばれてきた高齢の患者さんに、カリウム製剤を大量投与するよう指示したことです。カリウム製剤は命にかかわる副作用を起こすことがあるため、慎重に投与するのが当たり前です。」
  1. 一部週刊誌に掲載された記事について 先日、某週刊誌に掲載された当院救急部門の ER 医師に関する記事について、これまで の経緯と現状について述べさせていただきます。 雑誌社から質問状が届きインタビューに応じました。質問された各事象については医療 過誤と言えるものが一件もないことを医学的観点から丁寧に説明し正直かつ誠実に回答し ました。しかし、記事にはほとんど反映されず、昨年夏から冬にかけて報告された内容を いたずらに曲解・誇張し、誤った誹謗中傷の情報まで記載されていました。的外れで、事 実を捻じ曲げ、悪い評判を煽るだけの今回の週刊誌編集部に対しては断固として抗議を行 うつもりです。 該当医師の ER での診療態度やスタッフとの付き合い方に問題があったのは事実です。 病院として、注意や警告も含めて何度も指導してきたつもりでしたが、その効果が出るの に予想以上に時間がかかり、ER現場のスタッフには思いがけないストレスをかけることに なってしまいました。これが今回の週刊誌へのリークに至った理由です。紆余曲折があり ましたが、ここに来て当該医師も診療態度を改め、スタッフもチーム医療を最優先とした ER運営ができるようになりました。当該医師の ER 医師としての診療能力は ER と連携す る各診療科の責任者に聞いても評価されるようになってきており、頑張ってくれている、 との声も聞こえてくるようになりました。さらに一般外来に専門医の診察を要する重症患 者さんが来られた場合にも迅速かつ的確に ER で対応できる体制となっています。 当院の ER で定期的に勤務していただいている非常勤の先生方は診療経験豊かなベテラ ン医師が多く、若い先生方も大学医局からの派遣で熱心な医師ばかりです。 常勤医としての自覚をしっかりと持つようになった当該医師が加わって、今後の当院の ER 診療は地域の皆さんの期待に今まで以上に応えることができるものと考えています。 今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。 2024 年 5 月 8 日 吹田徳洲会病院 病院長 高橋 俊樹 https://www.suita.tokushukai.or.jp/wp-content/uploads/2024/05/2208aa85824a8082645325cc76898fbd-1.pdf
  2. あだ名は「殺人鬼」手術ミス連発で患者が次々死亡…現役医師が語る「本当にヤバかった事故」「危ない医師の見分け方」 社会・政治FLASH編集部 記事投稿日:2024.02.29 06:00 SMART FLASH 患者にわいせつ行為をした小児科医や、出会い系サイトで知り合った未成年とわいせつ行為をした形成外科医がいますが、2人とも、逮捕された後も医師を続けていますからね。‥ 「外科専門医」の資格を取得しているからといって、手術の腕が保証されたわけではありません。定められた年数の経験と、研修を修了して試験を受ければ、取得できますから。‥ 「技術認定医」を取得している医師は信頼できると思います。たとえば、日本内視鏡外科学会は、手術を映した動画などをもとに、技量を審査して認定していますから。

赤穂市民病院 脳神経外科における医療事故に関する記者会見

赤穂市民病院 脳神経外科における医療事故に関する記者会見(2022年6月28日) 赤穂民報チャンネル チャンネル登録者数 483人 (2:00:58)

ヒスチジンのプロトン化の生理的な意義 

ヒスチジンは生理的なpH=7.4ではプロトン化されていませんが、弱酸性になるとプロトン化されています。

The imidazole ring in histidine exhibits a pKa value within the pH range from 5.5 to 7.4); at pH 5.0, the imidazole ring is protonated and positively charged, whereas, at pH 7.0, it is electrically neutral. https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/44/5/44_b20-01013/_html/-char/ja

研究セミナーを聞いていたら、ヒスチジンのプロトン化がpHセンサーとして働くという例が示されていて、「へぇ~」と思いました。生き物はうまくできていますね。ヒスチジンのプロトン化は、pHセンサーとして働く意外にも、様々な重要な役割がありました。

 

酵素の活性調節

酵素の活性中心に存在するヒスチジンは、pHに応じてプロトン化・脱プロトン化しやすい性質を持ち、酸-塩基触媒として機能します。 例: セリンプロテアーゼ(例: キモトリプシン)では、ヒスチジンが触媒三重体の一部として、基質の加水分解に関与します。 **カルボン酸脱水酵素(炭酸脱水酵素)**では、ヒスチジンがH⁺の授受を媒介して反応を促進します。 意義: ヒスチジン残基のプロトン化状態が変化することで、酵素反応の速度や特異性が制御されます。

  1. Cancer-associated arginine-to-histidine mutations confer a gain in pH sensing to mutant proteins Science Signaling 5 Sep 2017 Vol 10, Issue 495 DOI: 10.1126/scisignal.aam9931  Given that histidine residues are critical in proteins that respond to changes in pH, White et al. looked at two proteins that frequently have Arg-to-His mutations in tumors and found that a rise in intracellular pH conferred these mutants with oncogenic effects. Molecular modeling of the growth factor receptor EGFR suggested that the mutation stabilizes the kinase in an active conformation, but only when the cells have a high pH.
  2. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0021925820447714

 

pHセンサーとしての機能

ヒスチジンは、側鎖のpKaが約6.0と生理的pH(7.2〜7.4)に近いため、小さなpH変化に敏感に反応します。 例: イオンチャネルや輸送体タンパク質では、ヒスチジンがpH変化を感知して活性を調節します。 **pH感受性Gタンパク質共役受容体(GPCRs)**では、ヒスチジン残基が細胞外のpH変化に応答します。 意義: 組織や細胞環境の酸塩基平衡を感知することで、生体の恒常性維持に寄与します。

  1.  A Transmembrane Histidine Kinase Functions as a pH Sensor Biomolecules . 2020 Aug 14;10(8):1183. doi: 10.3390/biom10081183. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32823946/
  2. Protonation of Individual Histidine Residues Is Not Required for the pH-Dependent Entry of West Nile Virus: Evaluation of the “Histidine Switch” Hypothesis J Virol. 2009 Sep 23;83(23):12631–12635. doi: 10.1128/JVI.01072-09 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2786769/ Histidine residues have been hypothesized to function as sensors of environmental pH that can trigger the activity of viral fusion proteins.
  3. Histidine-Proline-rich Glycoprotein as a Plasma pH Sensor THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol. 273, No. 10, Issue of March 6, pp. 5493–5499, 1998 https://www.jbc.org/article/S0021-9258(18)67800-7/pdf

 

金属イオンとの結合

ヒスチジンは、プロトン化状態によって金属イオン(Zn²⁺, Cu²⁺, Fe²⁺など)への親和性が変化し、タンパク質の構造や機能に影響を与えます。 例: ヘモグロビンでは、ヒスチジンが鉄(Fe²⁺)と結合し、酸素結合に寄与します。 メタロ酵素(例: カルボン酸脱水酵素やスーパーオキシドジスムターゼ)では、金属イオンとの結合を通じて触媒活性を発揮します。 意義: 金属イオンの結合や解離を調節し、酵素の触媒機能や基質特異性を制御します。

 

タンパク質間相互作用の調節

ヒスチジンのプロトン化状態が変化すると、分子間の静電相互作用や水素結合の形成が変化し、タンパク質間相互作用を調節します。 例: シグナル伝達経路の中で、タンパク質の結合部位のヒスチジンがプロトン化状態を変えることで結合強度が調整されます。 ヒスチジンリン酸化(プロカリオットでよく見られる)は、細胞内シグナル伝達に関与します。 意義: タンパク質の動的な挙動や複合体形成に重要です。

 

タンパク質の構造変化と機能調節

プロトン化されたヒスチジン残基は、タンパク質の三次構造や四次構造を安定化または不安定化する場合があります。 例えば、酸性環境下では、ヒスチジンのプロトン化により静電相互作用が変化し、タンパク質のフォールディングやアンフォールディングに影響を与えます。 pHに依存したタンパク質の構造変化や機能調節に寄与しするという意義があります。

  1. Protonation State of a Histidine Residue in Human Oligopeptide Transporter 1 (hPEPT1) Regulates hPEPT1-Mediated Efflux Activity Biological and Pharmaceutical …/ 2021 年 44 巻 5 号 p. 678-685 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/44/5/44_b20-01013/_html/-char/ja

 

細胞内外のpH調節

ヒスチジン残基がプロトンの供与体または受容体として働き、細胞内外のpH調節に関与します。 例: ヘモグロビンのボーア効果では、ヒスチジンのプロトン化状態が酸素解離能を調節します。 意義: 酸素輸送や代謝調節において重要な役割を果たします。

 

その他の参考論文

  1. A pH-sensitive histidine residue as control element for ligand release from HLA-DR molecules December 5, 2002 99 (26) 16946-16950 https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.212643999
  2. https://elifesciences.org/articles/29002

総説論文(review article, reviewpaper)の種類9個とそれぞれの特徴

総説論文(review article, review paper)には、目的や形式によっていくつかの種類があります。総説論文を書く際には、そもそも自分はどの種類の総説論文を書こうとしているのかを決める必要があります。逆に自分が総説論文を読む場合には、その総説論文がどの種類に該当するものなのかを素早く見抜く必要があります。

総説論文の種類に関して、代表的なものを見てみましょう。

Narrative Review(ナラティブレビュー)

特定のトピックに関する研究を包括的にまとめて、そのテーマの全体像を提示してみせるようなレビューはNarrative Review(ナラティブレビュー)と呼ばれます。ナラティブレビューの特徴としては、 執筆者の独自の視点に基づいているということが上げられます。つまり、ナラティブレビューを書く人が自分で問題意識を持ち、問題設定をしてそれに基づいて文献を調べてまとめるというものです。ナラティブレビューは主観的な要素が強く、 レビュー論文を書くにあたって文献をどのようにして系統的に検索したかという方法を示すことは要求されていません。注目した論文の選び方にそもそも主観が入るというわけです。

 

Systematic Review(系統的レビュー)

Systematic Review(系統的レビュー)というのは、特定の研究課題について、事前に定めた方法論に基づき、系統的に客観性をもった手順で文献を収集し、評価し分析してかかれたレビュー論文です。その特徴:としては、明確なリサーチクエスチョンが設定されます。その際には、いわゆるPICOなどのフレームワークが利用されます。また、文献検索のプロセスは詳細に記載されるのが普通です。

 

Meta-Analysis(メタアナリシス)

Meta-Analysis(メタアナリシス)は文字通り「分析」であり、系統的レビューの一部として行われることが多いです。全ての系統的レビュー論文がメタアナリシスを含むというわけではありません。逆に、メタアナリシスが必ず統計的レビューの一部とうわけでもなく、すでに統計的レビュー論文が存在する場合に、その統計的レビュー論文に基いてメタアナリシスを実施して、「メタアナリシス論文」として発表されることもあります。

統計的手法を用いて複数の研究結果を統合・解析するレビューであるという特徴があります。 とくに、定量的な結果を導き出すことが目的です。異なる研究論文を比較することにより、一貫性や総合的な効果を検討します。

 

Scoping Review(スコーピングレビュー)

Scoping Review(スコーピングレビュー)は、設定したテーマに関して全体的な範囲を探索し、主要な概念、証拠の種類、研究ギャップなどを特定するためのレビュー論文です。 特徴としては、メタアナリシスにみられるような厳密な評価や統合を必ずしも目的としないということがあります。 例えば、「人工知能を用いた医療診断に関する研究の現状」といったテーマがスコーピングレビューとしては考えられます。

スコーピングレビューとナラティブレビューの共通点として、どちらも広範なトピックを扱い、特定のテーマについて包括的に情報を収集し、全体像を示すことを目的としているということがあります。また、メタアナリシスのような厳密な統計解析を行わず、定量的な統合は行わないこと、質的な情報を主に扱うことにおいても共通しています。系統的な手法が必須とはされておらず、: スコーピングレビューもナラティブレビューも、方法論的には柔軟なアプローチがとられます。

スコーピングレビューがナラティブレビューと異なる点はいくつかあります。まず、目的が明確に異なります。ナラティブレビューでは、知識の整理やトピックの概要を提供するという目的があります。執筆者の主観に基づき、情報の解釈や選択が行われます。それに対して、スコーピングレビューではトピックの範囲をマッピングすることに焦点を当てます。「何がわかっているか」「研究のギャップはどこか」を明らかにすることはスコーピングレビューの目的です。スコーピングレビューは、ナラティブレビューに比べて、もっと構造化された方法論を用いることが求められます。またその方法論の記載すんわち、透明性も要求されます。スコーピングレビューでは、系統的レビューほど厳密ではないものの、文献検索の手順や選定基準を明示することが求められます。

スコーピングレビューは、研究分野がまだ発展途上であり、系統的レビューを行うのに十分なエビデンスが揃っていない場合に特に有用とされます。それに対して、ナラティブレビューは、発展段階に関わらず幅広いテーマで行われることが多いといえます。

スコーピングレビューもナラティブレビューも、とられる方法論に柔軟性があること、定量的な分析を伴わないこと、研究のギャップの特定や広範な概要を示すことなどはナラティブレビューの目的と重なることから、スコーピングレビューをナラティブレビューの一形態とみなす場合もあり得ます。

Critical Review(クリティカルレビュー)

Critical Review(クリティカルレビュー)は、執筆者が選んだトピックに関連する文献を批判的に評価することにより、現在受け入れられている仮説を見直して、新たな洞察や解釈を提供するレビュー論文です。 クリティカルレビューの特徴は、過去に行われたそれまでの研究に対して批判的に解釈し、研究に関する改善の提案、新たな仮説の可能性の提示を行うものです。クリティカルレビューにおいては、 執筆者の分析力や理論的な視点・考察が重要になります。

 

Mini Review(ミニレビュー)

ミニレビューは話題を限局し、特定の側面について簡潔にまとめたレビュー論文です。 通常、1,000~3,000語程度の短い記事になります。新規性の高いトピックや急成長している分野で執筆されることが多い種類の論文です。

 

Umbrella Review(アンブレラレビュー)

アンブレラレビューとは、複数の系統的レビューやメタアナリシスを統合し、広範なテーマについて俯瞰的な結論を導き出すレビューです。「レビューのレビュー」ともいえます。そのため、エビデンスレベルが高い論文とされます。

 

State-of-the-Art Review(ステート・オブ・ザ・アートレビュー)

文字通り、特定の研究分野の最前線の進展や知識をまとめたレビュー論文になります。 最新の研究成果に焦点を当てているという特徴があります。 将来の研究課題や展望を示すことが多いです。例えば、「量子コンピューティングの現状と未来」といったテーマがありえます。

 

Historical Review(ヒストリカルレビュー)

ヒストリカルレビューとは、特定のトピック・分野の歴史的な発展を追ったレビュー論文です。 時系列に沿って知識や理論の進展を記述するという特徴があります。 現在の理解に至った歴史的経緯、背景が書かれます。「がん研究の歴史的展望」といったテーマが例としてありえます。

アロマアセクとは

 

言葉の定義

アセクシュアル(asexual):If you identify as asexual, you may experience a little sexual attraction or none at all.

アロマアセク:恋愛感情を抱かないアロマンティックと性的欲求を抱かないアセクシュアルの2つのセクシュアリティをもち合わせるセクシュアリティ

バイセクシャル:男性と女性、両方の性に対して恋愛感情を抱いたり性的にも惹かれたりするセクシュアリティ

恋愛的指向(romantic orientation):どちらの性別に対して恋愛感情をいだくかに関する傾向のこと。

クロス・オリエンテーション(cross orientation):性的指向と恋愛的指向が一致しないこと

  1. クロスオリエンテーション 1 神風セナ 神風セナ 2024年6月1日 03:31 男性と付き合った。よく聞く話のような、カップル独特の恋愛感情を楽しめた。しかし性的には全く魅力を感じられなかった。‥ 女性と付き合った。とても可愛らしくて素敵な女性だったのに、全くかつての恋人のような恋らしい恋を感じなかった。しかしかつての恋人になかった下品な欲だけは感じられた。

参考

  1. 恋愛感情も性的関係もない…セクシュアルマイノリティの私達が「友情結婚」したワケ #令和の親 #令和の子 11/19(火) /2024 18:02配信 560 コメント560件 THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)ヤフーJAPANニュース 「子どもはいたほうがいい」と話していました。‥ 性行為がなくても妊娠する方法のうち、二人が選択したのは排卵周期ごとにタイミングをとるシリンジ法。
  2. https://www.healthline.com/health/what-is-asexual#Asexuality-defined
  3. 性的少数者(ウィキペディア)
  4. https://acearobu.com/glossary/
  5. https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000121/121316/lgbtq817.pdf
  6. https://lgbtq.fandom.com/ja/wiki/ヴァリオリエンティッド

毛の発生

毛の構造

Int J Mol Sci. 2021 Oct 13;22(20):11030. doi: 10.3390/ijms222011030 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8538579/

毛の形成

間葉が表皮に働きかけて、表皮の一部がプラコード(原基)に分化します。

09 June 2021 A 4D road map for the formation of hair follicles https://www.nature.com/articles/d41586-021-01482-1

 

Organogenesis. 2018 Feb 15;14(1):46–63. doi: 10.1080/15476278.2017.1421882 Embryonic skin development and repair https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6150059/

 

ChatGPTの解説です。

毛を作る細胞やその構成成分についての具体的な仕組みを以下に整理します。


1. 毛をつくる細胞は?

毛を作る細胞は、主に以下のようなものがあります:

(1) 毛包細胞(Hair follicle cells)

  • 役割:
    • 毛包は、毛髪を生成するための構造で、毛の成長サイクルを担う複数の細胞で構成されています。
    • 毛包には、以下のような細胞が含まれます:
      1. 外毛根鞘細胞(Outer root sheath cells):
        • 毛包の外側を覆い、構造を支える。
      2. 内毛根鞘細胞(Inner root sheath cells):
        • 毛髪の成長方向を誘導する。

(2) 毛母細胞(Matrix cells

  • 役割:
    • 毛母細胞は、毛包の底部(毛球部)にある重要な細胞で、毛髪の実際の生成に直接関与します。
    • **毛乳頭細胞(Dermal papilla cells)**からのシグナルを受けて分裂し、ケラチンを合成
    • 毛髪の主成分(ケラチン)を作り出し、毛髪の構造を形成。

Hair bulb matrix cells are unspecialized epithelial cells that grow the hair follicle and hair: 

  • LocationLocated in the hair bulb, surrounding the dermal papilla 
  • FunctionAct as germ cells to grow the hair follicle and hair 
  • CompositionA mixture of cells, including keratinocytes, melanocytes, and Langerhans cells 
  • Role in hair growthAs matrix cells divide, the hair follicle and hair grow longer 
  • Role in hair colorMelanocytes, which produce melanin, are mixed among the matrix cells and give the hair shaft its color 
  • Role in keratinizationMatrix cells undergo keratinization, which forms a layer of keratin that prevents the hair from falling out 
Hair growth occurs in a cyclical process with three phases:
  • AnagenThe active growth phase, when cells divide rapidly at the root of the hair
  • CatagenA transition phase that lasts 2 to 3 weeks
  • TelogenA resting phase that lasts about 2 to 4 months 
At the end of the telogen phase, another anagen phase begins.

(3) 毛乳頭細胞(Dermal papilla cells)

  • 役割:
    • 毛母細胞の増殖と分化を制御。
    • 真皮由来の線維芽細胞が集まり、毛包の底部に位置して毛髪形成を支える。
    • 毛乳頭細胞から放出される成長因子(FGF-7、Wntシグナルなど)が毛母細胞に作用して毛髪形成を促進。

2. 毛は何でできている?

毛髪の主成分は**ケラチン(Keratin)**です。

(1) ケラチンとは?

  • 概要:
    • ケラチンは繊維状のタンパク質で、毛髪、爪、角質などの主要成分。
    • 主に毛母細胞で合成される。
  • 硬ケラチンと軟ケラチン:
    • 毛髪には「硬ケラチン」が含まれており、これが毛髪の強度と弾力性を担う。

(2) 毛髪の構造

  • 毛髪は3層構造を持ちます:
    1. 毛髄質(Medulla):
      • 毛の中央部分。主に空気を含む。
    2. 毛皮質(Cortex):
      • ケラチンが密に詰まっており、毛髪の弾力性や強度を担う部分。
    3. 毛表皮(Cuticle):
      • 毛髪の最外層で、スケール状に重なったケラチン細胞からなる。

3. 毛が黒い理由

毛の色は、**メラニン(Melanin)**という色素によって決まります。

(1) メラニンの種類

  • 毛母細胞周辺にある**メラノサイト(Melanocyte)**がメラニンを生成します。
  • メラニンには2種類があります:
    1. ユーメラニン(Eumelanin):
      • 黒や濃い茶色の色素を生成。
    2. フェオメラニン(Pheomelanin):
      • 赤みがかった黄色の色素を生成。

(2) 毛が黒いメカニズム

  • 毛母細胞の中にメラノサイトが色素顆粒を分泌し、それがケラチン細胞に取り込まれることで、毛髪に色がつきます。
  • アジア人(特に日本人)の毛髪は、ユーメラニンが多く含まれるため、黒や濃い茶色の毛髪になります。

(3) 毛髪の色の変化

  • 白髪:
    • メラノサイトの機能低下や消失により、メラニンが生成されなくなると白髪になります。
  • 加齢や環境要因:
    • 加齢、ストレス、栄養不足がメラニン生成に影響を与える。

4. 部位による毛髪の違い

毛包と毛髪の構造や性質は、体の部位によって異なります。

(1) 頭髪

  • 成長サイクルが長く、密度も高い。
  • 主にケラチンとユーメラニンが豊富。
  • 髪の太さや形状(直毛、波状毛、縮毛)は毛包の形状に依存。

(2) 体毛(腕や脚)

  • 成長サイクルが短く、毛包の密度が低い。
  • フェオメラニンが多い場合、色が薄くなる。

(3) 眉毛やまつ毛

  • 成長サイクルが短く、一定の長さで成長が止まる。
  • 機能的には目を保護する役割を持つ。

まとめ

  1. 毛を作る細胞:
    • 毛母細胞が毛の主成分(ケラチン)を生成。
    • 毛乳頭細胞が成長因子を分泌して毛母細胞を制御。
  2. 毛の構成:
    • 主成分はケラチンで、髪の強度や弾力性を支える。
    • メラニンが毛髪の色を決定。
  3. 毛が黒い理由:
    • ユーメラニンの生成が多いため。
    • メラノサイトが毛母細胞と協働。
  4. 部位ごとの違い:
    • 頭髪、体毛、眉毛などの特徴は毛包の構造やシグナルによる。

 

以下の説明もChatGPT4oによるもの。

EDA(Ectodysplasin A)とEDAR(Ectodysplasin A receptor)は、主に外胚葉由来の構造(毛包、汗腺、歯、乳頭など)の形成や分化に関与する重要な分子とその受容体です。これらはTNF(Tumor Necrosis Factor)ファミリーに属し、細胞間のシグナル伝達を介して発生過程を調節します。

以下にEDA/EDARシグナル伝達機構の詳細を説明します。


1. EDA/EDARの概要

(1) EDA(Ectodysplasin A)

  • EDAとは:
    • TNFファミリーに属する膜結合型のリガンド(分泌型もあり)。
    • EDA1EDA2の2つのスプライシングバリアントが存在します。
      • EDA1はEDARに結合。
      • EDA2はEDARADD(異なる受容体)に結合。
  • EDAの発現場所:
    • 主に**外胚葉細胞(ectodermal cells)**で発現し、毛包や汗腺、歯、乳頭の発生に重要な役割を果たします。

(2) EDAR(Ectodysplasin A receptor)

  • EDARとは:
    • EDAの受容体であり、細胞膜貫通型の受容体タンパク質。
    • TNF受容体スーパーファミリーの一員。
  • EDARの発現場所:
    • 主に表皮細胞やその周辺の構造に発現し、外胚葉性器官の形態形成に関与。

2. EDA/EDARのシグナル伝達機構

(1) リガンド結合と受容体活性化

  • EDA1EDARに結合すると、EDARの細胞内ドメインが活性化します。
  • 活性化されたEDARは、アダプター分子である**EDARADD(EDAR-Associated Death Domain)**と相互作用します。

(2) 下流シグナル伝達

  • EDARADDを介して、NF-κB(Nuclear Factor kappa B)経路が活性化。
    1. **TRAF6(TNF Receptor-Associated Factor 6)**のリクルート:
      • EDARADDにTRAF6が結合し、下流のシグナル伝達を開始。
    2. **IKK複合体(IκB Kinase complex)**の活性化:
      • TRAF6によってIKK複合体がリン酸化され、NF-κBが核内に移行。
    3. NF-κBの転写活性化:
      • 核内でNF-κBが標的遺伝子を転写活性化し、細胞の分化や形態形成を促進。

(3) 主要な標的遺伝子

  • 毛包形成:
    • 毛包形成に必要な遺伝子群を活性化(例: Shh, Wnt)。
  • 汗腺、歯、乳頭形成:
    • 各器官の発生に特異的な遺伝子も活性化。

3. EDA/EDARの機能と役割

(1) 毛包形成

  • 発生の初期段階:
    • 表皮と真皮の相互作用を通じて、毛包のプラコード(placode)の形成を誘導。
  • 毛包の分極化:
    • EDA/EDARシグナルは、毛包の形状と方向性を決定する。

(2) 汗腺形成

  • 腺の形成:
    • EDA/EDARシグナルが汗腺の発生を誘導。
  • 異常がある場合:
    • 汗腺の形成不全(無汗症など)を引き起こす。

(3) 歯の形成

  • 歯の形態形成:
    • 歯胚(tooth germ)の形成においてEDA/EDARが重要。
  • 歯の異常:
    • 発生段階でEDA/EDARが欠損すると、歯の数や形態に異常が生じる。

(4) 乳頭(乳房)の形成

  • 乳頭形成:
    • 外胚葉性構造としてEDA/EDARが発生段階で寄与。

4. 発生異常と疾患

EDA/EDARシグナルの異常は、さまざまな発生異常を引き起こします。

(1) 外胚葉異形成症候群(Ectodermal Dysplasia, ED)

  • 概要:
    • EDA/EDARシグナルの遺伝的異常により、外胚葉由来の器官が正常に形成されない。
  • 症状:
    • 毛髪の薄毛や脱毛(毛包形成不全)。
    • 汗腺の欠損や機能不全(無汗症)。
    • 歯の形成異常(少数歯や欠損歯)。

(2) ヒト遺伝子変異

  • EDA遺伝子変異:
    • X染色体上のEDA遺伝子の変異が、男性に外胚葉異形成を引き起こす。
  • EDAR遺伝子変異:
    • 常染色体優性または劣性の形態で、毛や歯の異常を引き起こす。

5. 発生過程におけるEDA/EDARの相互作用

(1) 他のシグナルとのクロストーク

  • Wntシグナル:
    • 毛包や歯の初期形成においてEDA/EDARシグナルと協働。
  • Shh(Sonic Hedgehog)シグナル:
    • 毛包の分極化や歯の形態形成に関与。

(2) 表皮-真皮間の相互作用

  • 表皮細胞:
    • EDAを分泌。
  • 真皮細胞:
    • EDARを発現し、毛包や汗腺の分化を誘導。

6. 臨床応用の可能性

  • 再生医療:
    • EDA/EDARシグナルを用いた毛包や歯の再生研究が進行中。
  • 遺伝子治療:
    • EDA/EDAR関連疾患への治療法として、遺伝子治療が期待されている。

まとめ

EDA/EDARは、外胚葉由来の構造形成(毛、汗腺、歯など)において不可欠な役割を果たすシグナル伝達機構です。その異常は発生異常や疾患につながり、これらの分子を標的とした再生医療や治療法の開発が進んでいます。このシグナルの動的な調節が、発生過程における細胞の分化と形態形成を支えています。

MINI REVIEW article Front. Genet., 03 April 2023 Volume 14 – 2023 | https://doi.org/10.3389/fgene.2023.1168538 The EDA/EDAR/NF-κB pathway in non-syndromic tooth agenesis: A genetic perspective https://www.frontiersin.org/journals/genetics/articles/10.3389/fgene.2023.1168538/full

毛の発生のシグナリング

Nature Communications volume 9, Article number: 2333 (2018) Published: 20 June 2018 FGF signalling controls the specification of hair placode-derived SOX9 positive progenitors to Merkel cells

STEM CELLS Tissue-Specific Stem Cells Free Access Concise Review: Wnt Signaling Pathways in Skin Development and Epidermal Stem Cells Anthony Veltri, Christopher Lang, Wen-Hui Lien First published: 19 October 2017 https://doi.org/10.1002/stem.2723 https://stemcellsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/stem.2723

毛の再生シグナリング

Front Med (Lausanne). 2022 Apr 14;9:863786. doi: 10.3389/fmed.2022.863786 Epithelial-Mesenchymal Interaction in Hair Regeneration and Skin Wound Healing https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9048199/

 (雑誌社の論文もフリーだがその図よりもSEMANTICSCHOLARのウェブサイトの図のほうが高解像度)

https://www.semanticscholar.org/paper/Maintaining-Hair-Inductivity-in-Human-Dermal-Cells%3A-Taghiabadi-Nilforoushzadeh/c05f7a947c658f8921ebb08182f27897141f625a/figure/0

皮膚の発生・形成機構

皮膚の発生・形成機構に関するChatGPTのまとめ:

真皮の形成は複雑で、多くのシグナル伝達経路が関与しています。以下に、真皮の形成をより詳細に説明し、BMPの発生源、標的、作用、部位ごとの違い、そして真皮の機能(髪の毛の形成や表皮との関係)について整理します。


1. 真皮の形成メカニズム

(1) 真皮の起源

  • 胚発生中、真皮の起源:
    • 背中や体幹部の真皮: **体節の皮(dermomyotome)**に由来。
    • 四肢や腹側の真皮: **側板中胚葉(lateral plate mesoderm)**に由来。
    • 頭部の真皮: **神経堤細胞(neural crest cells)**から派生。

    これにより、体の部位ごとに真皮の起源が異なるため、特性や厚みも部位ごとに変わります。


(2) BMPシグナルの役割

  • BMP(Bone Morphogenetic Protein)とは:
    • 発生における重要なシグナル伝達分子で、TGF-βファミリーに属します。
    • 真皮の分化や表皮との相互作用に関与。
  • BMPの発生源:
    • 真皮形成時、周囲の外胚葉(表皮の前駆細胞)や側板中胚葉がBMPを分泌します。
    • 体節では、皮板や椎板の周囲にある細胞もBMPを放出
  • BMPの作用標的:
    • 真皮の前駆細胞(dermal progenitors):
      • BMPシグナルにより、真皮の前駆細胞は線維芽細胞(fibroblasts)や他の真皮成分に分化。
    • 表皮前駆細胞:
      • BMPは真皮だけでなく表皮の角化細胞にも影響し、表皮の厚みや機能を調節します。
  • BMPの制御因子:
    • BMPの活性はNogginChordinなどの阻害分子によって局所的に調節されます。
    • 例えば、Nogginの発現は特定の部位でBMP活性を抑え、真皮前駆細胞の分化を制御します。

2. 真皮と表皮の相互作用

(1) 表皮とのシグナルクロストーク

  • 真皮が表皮に与える影響:
    • 真皮から分泌されるシグナル(FGF、Wnt、BMP)は、表皮の角化細胞や毛包前駆細胞に作用します。
    • 真皮が表皮の厚みや構造を決定づけます。
  • 表皮が真皮に与える影響:
    • 表皮由来のWntシグナルが真皮細胞に作用し、線維芽細胞の分化やコラーゲン産生を促します。

(2) 毛包(髪の毛)の形成

  • 発生プロセス:
    1. 表皮と真皮の相互作用によって**毛包前駆細胞(placode)**が誘導される。
    2. 表皮のWntシグナルと真皮のBMP/Wnt/FGFシグナルがクロストークし、毛包形成が進行。
    3. 毛包の周囲の真皮乳頭(dermal papilla)細胞が毛髪形成をサポート。
  • 部位ごとの違い:
    • 頭皮:毛包が密集し、毛髪を生成。
    • 四肢:毛包の密度は低く、短い体毛を生成。

3. 部位ごとの真皮の特徴

(1) 背中や体幹部の真皮

  • 由来:
    • 体節の皮板(dermomyotome)。
  • 特性:
    • 厚みがあり、コラーゲンやエラスチン繊維が豊富。
    • 毛包の密度が低い。

(2) 四肢の真皮

  • 由来:
    • 側板中胚葉。
  • 特性:
    • 弾性繊維が発達し、皮膚の伸縮性をサポート。
    • 毛包が疎らで、薄い体毛。

(3) 頭部の真皮

  • 由来:
    • 神経堤細胞(cranial neural crest)。
  • 特性:
    • 毛包が密集し、頭髪を形成。
    • 表皮の角化が強く、頭皮として特化。

4. 真皮の成分と役割

(1) 線維芽細胞と細胞外マトリックス

  • 線維芽細胞はコラーゲンやエラスチンを産生し、皮膚の強度や弾性を確保。

(2) 毛包形成を支える細胞

  • 真皮乳頭(dermal papilla)細胞は毛包の発生と成長を促進。

(3) 表皮の厚みとシグナル伝達

  • BMPやWntのシグナルが表皮細胞の増殖を制御し、部位ごとの表皮の厚みや特性を決定

5. 真皮形成の異常と疾患

  • 真皮形成の異常:
    • 線維形成不全: 遺伝的要因でコラーゲン産生が低下。
    • 毛包形成不全: 毛包誘導の失敗による無毛症(alopecia)。
  • 疾患例:
    • 遺伝性弾性繊維形成不全症(Ehlers-Danlos症候群): 真皮の構造異常。
    • 瘢痕化(scarring): 線維芽細胞の過剰活性による。

まとめ

  1. BMPの役割:
    • 真皮の前駆細胞の分化を促進し、表皮とのクロストークにより皮膚構造を形成。
  2. 部位ごとの違い:
    • 体の部位に応じて真皮の起源や機能が異なる。
  3. 真皮と表皮の協調:
    • 毛髪や表皮の厚み、皮膚の機能は真皮と表皮の相互作用に依存。
  4. 疾患への応用:
    • 真皮形成のメカニズムを理解することで、皮膚疾患や創傷治癒研究への応用が期待される。