MRIの原理
- MRIってどんな検査? | なるほど!MRIの仕組み 平成横浜病院 MRIでは、人体中にどこにでも分布している水分子を構成する水素原子の原子核(プロトン)の磁気を利用しています。特定の周波数の電波(ラジオ波)を体に照射すると陽子の方向は横に傾くように変化し、照射をやめると元の方向に戻っていきます。磁場の戻る時間は組織(骨や水、脂肪、がん細胞など)によって異なり、この戻る時間の差を画像化したものがMRIの画像となります。
MRIかCTか:両者の違い
- 絶対知っておくべき頭部CT・MRIの読影 1st Sedai webiner 2020.12.12 関⻄医科⼤学 放射線科 http://sedai.net/wordpress/wp-content/uploads/2020/12/055abdd7e4b4264a62e7fb14abf6a212.pdf
頭部CTと頭部MRIは、どちらも脳の検査に用いられますが、見えるものや得意分野が異なります。CTは骨や出血など硬い組織の観察に優れ、検査時間が短く緊急時にも対応しやすいです。一方、MRIは脳組織や血管など軟部組織の観察に優れ、より詳細な情報を得ることができます。
CTとMRIの違いのまとめ
検査
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CT
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MRI
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原理
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X線
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磁気と電波
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被ばく
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あり(放射線)
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なし
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検査時間
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短い(数分程度)
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長い(10分~20分程度)
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描出できるもの
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骨、出血、石灰化など
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脳組織、血管、腫瘍、炎症など
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得意分野
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骨折、外傷、急性出血
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脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤など
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- 骨の観察:骨折や骨の異常を詳しく見ることができます.
- 緊急時の対応:検査時間が短いため、緊急性の高い状況で迅速に診断できます.
- 費用:一般的にMRIよりも費用が安価です.
- 軟部組織の観察:脳の組織や血管、腫瘍などを詳細に観察できます.
- 病変の早期発見:脳梗塞や脳腫瘍などの早期発見に役立ちます.
- 被ばくがない:放射線を使用しないため、被ばくの心配がありません.
- 緊急性が高い場合:CT検査が優先されます.
- 詳細な情報が必要な場合:MRI検査が推奨されます.
- 被ばくを避けたい場合:MRI検査が適しています.
- MRIは、体内に金属がある場合(ペースメーカーなど)は撮影できないことがあります.
- CTは、造影剤を使用しないと血管の状況がわかりにくい場合があります.
- どちらの検査も、それぞれの特徴を理解した上で、医師の診断に基づいて選択することが重要です.
頭部検査画像の基本的な見方(読影)
頭部画像CT、MRI画像を見る上で押さえておきたい7つのレベル解説動画 #概要欄に無料講座あり。 画像診断チャンネル チャンネル登録者数 3.4万人
【看護師国家試験】 頭部CT・MRI 国試の部屋 チャンネル登録者数 1.11万人
- 脳梗塞の部位 https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/web20201012/
- https://keyaki-nrc.com/blog/【脳ドック結果の疑問を解消】mri画像の種類(t1-t2-flair/
頭部MRIの見方
- 頭部MRIを自信を持ってプレゼンする7 Rules 山本大介 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院 解説動画リンクあり。みんなの脳神経内科Ver.2 2024/4/17 著者
- 病気が見える 脳・神経 頭部MRI 画面上の部位をタップすると解剖学的な名称が表示されるすぐれもの。ページ下のスライダーで、観察する位置の高さを変更できます。
- 頭部検査の結果の見方 東京メディカルクリニック 画像検査センター
頭部MRA(脳の血管)MR angiography
MRA(Magnetic Resonance Angiography)が「脳の血管だけ浮き出して見える」理由は、MRI画像全体から血流のある部分だけを“抜き出して”表示する特殊な撮像法を使っているからです。
1. 基本原理
MRAはMRIの一種ですが、血液が動いていること(flow)を信号として利用します。
- 通常のMRIは静止している組織(水や脂肪など)からの信号を拾います。
- MRAでは「流れている血液」と「止まっている周囲の組織」とで信号の出方が違うことを利用して、血管だけを目立たせます。
2. 方法の種類と仕組み
代表的なMRAには2種類あります。
方法 | 仕組み | 特徴 |
---|---|---|
TOF法(Time-of-Flight) | 同じ断面を繰り返し励起すると静止組織は信号が飽和して暗くなるが、新しく流れ込む血液はまだ飽和していないため明るく写る | 頭部MRAでよく使う。造影剤不要。 |
PC法(Phase Contrast) | 血流による位相の変化を計測して画像化 | 流速や流向も計測できる。 |
3. 他の部分はどうなっているのか?
撮影した時点では周囲の脳実質や骨も信号を持っていますが、
- 静止組織はTOF法では信号を飽和させて暗くしてしまう
- 画像処理(MIP: Maximum Intensity Projection)で最も明るい画素だけを残す
この処理によって、血流のある部分(血管)だけが白く残り、その他は黒背景のように見えるのです。
つまり、脳の他の部分は「写ってない」のではなく、意図的に信号を抑えて見えなくしているのです。
MRIとMRAは“別の撮像シーケンス”として順番に撮っていることが多いです。
つまり、1回の検査枠の中で
- 通常のMRI(T1/T2など)
- MRA(TOFやPCなど)
…と別々に撮像します。
1. なぜ別になるのか?
- 通常のMRIは静止している組織の信号(T1、T2、プロトン密度など)を描出します。
- MRAは血流を強調するため、静止組織はむしろ暗くしてしまう特殊な設定にします。
- 両者は撮像条件(シーケンス、パラメータ、撮影時間)がかなり違うため、1回の撮影で両方を同時に満足させることは基本的にできません。
2. 実際の検査の流れ(例:頭部)
- 通常MRI:T1強調像、T2強調像、FLAIRなどで脳実質・病変を確認
- MRA:TOF法などで血管像を撮影
- 必要に応じて造影MRIや造影MRAも追加
検査中は同じMRI装置・同じ寝台上で行うので、患者さんから見ると「連続してやっている」感じですが、機械の中では別モードで動いています。
3. 例外
ごく最近の一部技術では同時取得(Simultaneous Multi-Contrastや4D-MRAなど)も研究されていますが、臨床ルーチンではまだ少数派で、ほとんどは別撮りです。
もしご希望なら、MRI検査での「通常画像→MRA画像」への切り替えの流れ図を作って、患者さんにもわかる説明用にできます。
そうすると「同じ検査時間の中で別々に撮ってます」が直感的に理解できると思います。
(ChatGPT 5)
あくまで下から上に流れる血流を画像化するので、乱流といったくるくる回っているような血流がある所や、横方向に流れるものに対してMRAは弱い
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/38710
- 血管周囲腔(Perivascular space)とは? https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/2899
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頭部CTの見方
【医療系学生】初心者向き頭部CT 1. 超基本 国試の部屋 チャンネル登録者数 1.11万人
脳の萎縮
- 若くても「脳が萎縮する人」と年を取っても「脳が若い人」、一発でわかる「見た目の違い」とは? 瀧 靖之: 脳科学者 笹井恵里子: ノンフィクション作家、ジャーナリスト 健康News&Analysis 2025年1月29日 5:58 会員限定 https://diamond.jp/articles/-/358269
副鼻腔炎
- 副鼻腔炎のMRI/CTでの解剖、症状、治療について解説 勝川脳神経クリニック
MRI検査と身につけている金属
MRI ( Magnetic Resonance Imaging : 磁気共鳴画像 ) 検査は、強力な磁力を持った機械の中に入り、頭や体の断面画像や血管の画像を撮る検査です。 金属(磁石に付くもの)を持ち込むと画像が乱れて検査に支障が出るだけでなく、MRI装置の磁力で引っ張られて物が飛んだり、MRI装置本体に物が吸着してしまうため大変危険です。https://www.ssn-hp.jp/cms/department/ns8lmp00000007yq.html
動脈瘤治療で金属コイルがあるとMRIは禁忌?
脳動脈瘤治療で金属コイルがあると、必ずしもMRIが禁忌とは限りません。多くの場合は、現在使用されているコイルは白金(プラチナ)製で、MRI検査による影響は少ないとされています。しかし、過去にステンレス製のクリップなどが使用されていた場合や、材質が不明な場合は、MRI検査を受ける前に必ず担当医に相談し、材質を確認することが重要です。
-
現在のコイル:
脳動脈瘤のコイル塞栓術で使用されるコイルは、主に白金(プラチナ)製です。この素材は磁性を持たないため、MRI検査による影響は少ないとされています。
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過去のクリップ:
1990年代以前に脳動脈瘤の手術で使われたクリップには、ステンレススチールなどの磁性を持つ金属が使用されていた場合があります。これらのクリップは、MRI検査によって発熱や移動、破損の可能性があるため、禁忌となる場合があります。
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材質の確認:
過去に手術を受けた病院で、使用された金属の種類や材質を確認することが推奨されます。
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MRI検査の可否:
担当医は、患者の状況や使用された金属の種類を考慮して、MRI検査の可否を判断します。
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安全対策:
MRI検査を受ける際は、金属類を外す必要があります。また、磁気の影響を受ける可能性のある機器(ペースメーカーなど)は、事前に医師に相談する必要があります。
MRI検査時の音のうるささについて
知人が頭部MRIを受けたときに、すさまじい騒音だったのに、耳栓をもらえなかったと怒ってました。他の病院だと耳栓をくれるのだそう。耳栓をくれない病院って、ひどいですね。
自分は受けたことがないのでわかりませんが、YOUTUBEにMRIの音のうるささが紹介されていました。
はい、ほとんどの病院や検査センターではMRI検査のとき必ず耳栓かヘッドホンを渡してくれます。
理由
- MRI装置は撮像中に**「ガガガガッ」「ドンドンドン」**といった大きな騒音を出します。
- 音の正体は、強力な磁場を急速に切り替えるときに勾配コイルが物理的に振動して発生する衝撃音です。
- 音量は部位や装置によりますが、**80〜100デシベル(電車のガード下くらい)**になることもあります。
- 長時間聞くと耳に負担がかかるため、防音対策として耳栓やイヤーマフが必要です。
実際の対応
- 耳栓(スポンジタイプが多い)を渡される
- 施設によっては音楽付きヘッドホンやイヤーマフ型の防音カバーを使う
- 小児では騒音対策と安心感のため、ヘッドホンから音楽や保護者の声を流すことも
ちなみに、MRAだけでも音は出ますが、頭部MRI全体で30分前後装置の中に入ることが多いので、耳栓はほぼ必須です。
(ChatGPT 5)
MRAの原理(詳細)
1. 基礎的枠組み
MRAはMRIの特殊な撮像法であり、動いているスピン(血流)と静止しているスピン(組織)で信号挙動が異なることを利用して血管像を抽出します。
原理的には以下の二系統に分けられます:
- 非造影MRA
- TOF法(Time-of-Flight)
- PC法(Phase Contrast)
- 造影MRA
- Gd造影剤でT1短縮 → 高SNRの血流信号抽出
今回は特に臨床で多い非造影MRA(TOF/PC)を詳述します。
2. TOF法(Time-of-Flight)の原理
2.1 基本アイデア
MRIでは励起RFパルスを繰り返すと、静止組織の縦磁化は繰り返し抑えられて定常状態(steady state)に達し、信号が飽和して減衰します。
一方で、血液のように新たに撮像スライスへ流入するスピンは、それまでRF照射を受けていないため、縦磁化がほぼ
M0M_0
に回復した状態でスライスに入ってきます。
→ その結果、流入スピンは高い信号強度を持ち、背景組織より明るく描出されます。
2.2 数式モデル
RFパルス間隔
TRTR
と縦緩和時間
T1T_1
の関係で定常状態の縦磁化は
Mz,ss=M01−e−TR/T11−cosα⋅e−TR/T1M_{z, \mathrm{ss}} = M_0 \frac{1 – e^{-TR/T_1}}{1 – \cos\alpha \cdot e^{-TR/T_1}}
- 静止組織:繰り返し照射 →
Mz,ssM_{z,\mathrm{ss}}が低い(信号暗くなる)
- 流入血液:前のRF照射を受けていない →
Mz≈M0M_z \approx M_0(信号明るい)
2.3 実装上の工夫
- 短TR & 大きめフリップ角(例:TR ≈ 20–40 ms, α ≈ 20–30°)で背景飽和を強める
- スラブ選択:頭頸部では流入方向(頸動脈→脳)に合わせてRF照射スラブを配置
- **MIP(Maximum Intensity Projection)**で高信号ピクセル(血流)だけを2D投影し、血管像として再構成
2.4 制約
- 流速が遅い(静脈や狭窄遠位部)と流入効果が弱く描出不良
- 乱流・層流の崩れ → 位相分散で信号低下
- 血流方向依存性(スラブ面に平行な流れは描出されにくい)
3. PC法(Phase Contrast)の原理
3.1 基本アイデア
MR信号の位相は**スピンの位置変化(速度)**に比例して変化します。
勾配磁場パルスを対称に印加すると、静止スピンの位相変化は相殺されますが、動いているスピンは完全には相殺されず、速度に比例した位相シフトが残ります。
3.2 数式モデル
速度
vv
と印加勾配のモーメント
m1m_1
の関係:
ϕ=γ⋅m1⋅v\phi = \gamma \cdot m_1 \cdot v
γ\gamma:磁気回転比
m1m_1:1次モーメント(勾配強度×時間²の積)
3.3 実装
- 正負の速度エンコード勾配(VENC)をかけた2つの画像を撮影し、位相差を取る
- VENCは最大速度に合わせて設定(例:頭蓋内動脈では 80–120 cm/s)
- 位相差マップから血管構造を抽出
- 流速や流量解析も可能(4D flow MRIでは時相も追加)
3.4 制約
- 撮像時間が長くなる(位相エンコード方向×VENC条件)
- 位相エイリアシング(設定VENCより高速流で折り返し)
- ノイズや呼吸・拍動性の動きに敏感
4. 造影MRAの原理(簡単に)
- Gd造影剤(パラ磁性)で血液のT1緩和時間を短縮 → 高信号化
- ダイナミック撮像で動脈相をタイミング良く捕捉
- 高速3D GREシーケンスで全身血管撮影可能
5. MIP処理の役割
いずれの方法も得られるのは3Dボリュームデータ。
これを最大値投影(Maximum Intensity Projection)で2D表示すると、最も信号強度が高い血管構造が“浮き出す”ように見える。
この段階で脳実質や骨は低信号として沈み、血管のみ強調される。
6. まとめ図(模式)
TOF法:
短TR・大フリップ角 → 静止組織飽和
↓
新規流入血液は高M_z → 高信号 → MIPで血管像
PC法:
対称勾配ペアで位相差測定
↓
動スピンのみ位相残存
↓
位相差画像 → 血流構造抽出
(ChatGPT 5)