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アビガンはCOVID-19に効果があるのかないのか

アビガンは効果が確認されておらず、しかも、催奇形性を持つため、個人がむやみに服用していい薬ではありません。それにも関わらず、個人輸入代行業の会社のウェブサイトを見ると、「アビガン・ジェネリック(ファビピラビル)」の取扱いがあるようです。幸いどこも売り切れになっていますが。また、SNS(ツイッター)を見ると、アビガンは効果があるのだから承認すべきという声も多数見つかります。科学的に否定された事実が、なぜか世間一般では受け入れられずに、陰謀だなどという批判とともに頑なに信じられているのが、とても不思議な現象に思えます。昔、STAP細胞が研究不正として認定されたあとも、不正を働いた筆頭著者を擁護する論調がいつまでも一般の人の間に残っていたのにも似ています。科学研究は、科学者が認定する事実も実験条件の違いで二転三転する可能性もなくはないので、最新の知見を把握する必要があります。さて、アビガンはCOVID-19に効果があるのでしょうか。

2022年5月

  1. アビガン転用、頓挫か 新型コロナ治験、打ち切り 毎日新聞 2022/5/16 東京朝刊 有料記事 今年3月臨床試験(治験)が打ち切られた

2022年3月

  1. タイ赤十字 コロナ治療薬をアビガンからモルヌピラビルに変更するよう提言 2022/3/18 バンコク週報 新型コロナウイルス感染症の治療薬であるが、タイ赤十字社新興感染症臨床センターのオパート所長は3月17日、現在使われている抗インフルエンザウイルス薬のファビピラビル(アビガン)をより効果があるとされる経口抗ウイルス薬のモルヌピラビルに変更するよう提言した。

2021年12月

  1. アビガン投与の医師「事前に相談進めていればと深く反省」 2021/12/07 22:28 読売新聞オンライン 千葉県いすみ市の公立病院「いすみ医療センター」で8~9月、厚生労働省の通知に違反して内服薬の「アビガン」が新型コロナウイルスの自宅療養者に処方されていた問題で、同センターは7日、記者会見を開いた。‥ 平井医師は、観察研究を含む臨床研究に参加するための手続きに必要な倫理審査委員会も開いていないことも明かした。厚生労働省は研究に参加する医療機関に対して倫理審査を求めているが、事後でも良いとしている。

2021年11月

  1. アビガン米国治験有意性出ず 富士フイルム開発は難路に 2021年11月13日 22:00 [有料会員限定] 日本経済新聞 富士フイルムホールディングスの抗ウイルス薬「アビガン」について、カナダの開発協力企業は12日、新型コロナウイルス治療薬への転用を目指し米国などで実施した最終段階の臨床試験(治験)で「統計的な有意性を確認できなかった」と発表した。

2021年10月

  1. 富士フイルム富山化学の制御できぬ“国策薬”、コロナ治療薬候補「アビガン」 2021.10.7 4:25 会員限定 DIAMOND ONLINE アビガンに付けられた予算は粛々と執行され、研究も依然として進められていた。そんななか、ついに恐れていた出来事が発生する。妊娠していた可能性のある患者に、アビガンを投与してしまったのだ。

2021年9月

  1. 結局、アビガンはCOVID-19に効果があるのか?2021/09/13 倉原優(近畿中央呼吸器センター) 日経メディカル ファビピラビル(商品名アビガン)、シクレソニドオルベスコ)といえば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期によくコロナ病棟で処方されていた薬剤です。‥ 現在は中等症I以上への抗ウイルス薬としてはレムデシビルベクルリー)が用いられ、軽症例への吸入ステロイドについてはブデソニドパルミコート他)が有効ではないか、と考えられています。‥ タイの国民医療保障事務局(NHSO)は、国内のCOVID-19患者の治療に用いるためファビピラビルを購入しています。

2021年4月

  1. 「アビガン」新たな臨床試験を開始…コロナ治療薬として承認申請 2021/04/21 21:11 読売新聞オンライン アビガンは、子会社の富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザ治療薬。新型コロナ治療薬として、昨年10月に承認申請を行ったが、厚労省の審議会は昨年12月、その時点の臨床試験の結果などでは判断できないとして、継続審議としていた。新たな臨床試験は、20日に開始基礎疾患があるなど、重症化リスクが高い50歳以上の患者が対象となる。発熱などの症状が出てから72時間以内に投与を始め、重症化を抑えられるかどうかを確認する。臨床試験は10月末まで行い、患者約300人のデータを集めるという。

2021年3月

  1. 「アビガン」200万人分備蓄へ コロナ治療薬承認審査中 厚労省 2021年3月19日 21時51分 NHK 厚生労働省によりますと、ことし1月に富士フイルム富山化学から55万人分を購入し、さらに79万人分を購入する契約を19日付けで結んだということです。購入費用は合わせて139億円で、すでに備蓄しているおよそ70万人分と合わせて、計画どおり200万人分を確保したことになります。‥ 厚生労働省は「製薬企業がすでに契約の準備を進めていたことに加えて、感染が拡大している中で危機管理の観点から必要と判断した。承認されれば治療薬として使いたい」などとコメントしています。
  2. アビガン使用 国が計画する 備蓄量の約0.5%のみ 2021年3月18日 NHK政治マガジン 去年4月、政府は、当時治療薬が限られていた新型コロナウイルスへの効果も期待できるとして、今年度中に200万人分を備蓄する計画をまとめました。厚生労働省は、すでに備蓄しているおよそ70万人分に加えて、ことし1月に富士フイルム富山化学から55万人分を購入し19日、さらに79万人分を購入する方針です。費用は合わせておよそ139億円を見込んでいます。‥ 日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は、「去年4月は手探りのなかで少しでも効果があるならと備蓄が決められたが、まだ臨床研究が続いていて、効果が証明されていない」としたうえで、「計画どおりに備蓄するのか、一度立ち止まるのかを考えていかなければならない。これまでに得た情報をもとに、ほかの治療薬を活用することも含めて改めて検討すべきだ」と指摘しています。

2021年2月

  1. アビガンが承認下りないのも不思議でない根拠 期待されたコロナ治療薬候補の知られざる実力 村上 和巳 2021/02/13 13:00 東洋経済ONLINE アビガンの動物実験ではサル、マウス、ラット、ウサギの4種類の動物で催奇形性が認められており、ラットでは初期の受精卵(初期胚)が死滅したことも報告されている。
  2. アビガンが今になっても承認下りない根本理由 2021/02/12 14:00 村上 和巳東洋経済ONLINE 現時点で使用可能な薬は、従来感染症に使われ、新型コロナの重症肺炎患者で死亡率を低下させることが報告されたステロイド薬のデキサメタゾン、アメリカでの臨床試験を基に5月に特例承認された、ウイルス増殖を抑える抗ウイルス薬のレムデシビル2種類のみだ。‥ パンデミック初期の昨年2月中国科学院武漢ウイルス研究所アビガンが試験管内で新型コロナウイルスに対して効果を示したと報告。同5月には安倍晋三前首相が「今月中の承認を目指したい」とまで言及した。

2020年10月

  1. アビガン数奇な23年 研究員は上司に内緒で探し始めた 2020年10月26日 7時00分  有料会員記事 真海喬生、江口英佑 朝日新聞アピタル  6月末に都内で開かれた、アビガンを開発した富士フイルム富山化学の親会社、富士フイルムホールディングスの株主総会は活気に満ちていた。6人の株主が質問に立ち、うち4人がアビガンについて尋ねた。質疑後には株主から「頑張って」という声もかかる。最後は社長が「治療薬を早く届けたい。全力を挙げている」と話して総会は終わった。

2020年7月

  1. アビガンはなぜ「特効薬」の座から滑り落ちたのか「正しい価値」は科学に徹頭徹尾、正対する道しかない 2020年07月24日 ニュースイッチ中国で緊急避難的に実施された新型コロナ患者へのアビガンの投与結果が「良好」らしいとの情報が伝わるや否や、2月29日安倍首相自らが会見で、「アビガン」「カレトラ」「ベクルリー」の3つのクスリが新型コロナ感染症に対する有力な治療薬の候補だと挙げ、アビガンについては国の備蓄分を使って患者への投与をスタートしたと表明した。‥ 3月28日の会見で安倍首相は、「すでに症状の改善に効果が出ているとの報告もある」と強調したうえで、「正式承認に向けた治験プロセスを開始する」と踏み込んだ。4月7日の緊急事態宣言の発令後に開いた会見では、「アビガンの備蓄量を現在の3倍の200万人分まで拡大する」と宣言。20年度補正予算の中にアビガンの増備として139億円を付けた。さらに、緊急事態宣言の延長を決めた5月4日には、「今月中の承認をめざしたい」とまで言い切った。‥ タレントの石田純一さんや脚本家の宮藤官九郎さんなどが相次いで、アビガンが効いたという趣旨の体験談を公表。‥ 6月以降、安倍首相の口からは、血税を投入したにもかかわらず、アビガンという言葉が発せられなくなった。 ‥ 藤田医科大が7月10日、特定臨床研究の最終報告において「ウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたものの、統計的有意差には達しませんでした」と結論付けた

2020年5月

  1. アビガンの受託生産に乗り出す企業続々 増産目指し原薬製造や製造工程で協力 2020/05/20 04:50 ミクスOnline 5月19日には、三谷産業(本社:石川県金沢市)の子会社で、医薬品原薬の開発・製造を手がけるアクティブファーマ(東京都千代田区)が、原薬製造を7月に開始すると発表。ニプロファーマ(大阪市中央区)も9月からの生産を予定していると発表した。‥ 製造販売元の富士フイルム富山化学が生産体制を拡大し、増産を開始している。同社では、グループ会社の富士フイルム和光純薬で医薬品中間体の生産設備を増強するほか、原薬や原料の製造や製剤の工程に、国内外15社程度が協力し、同剤の増産を推進するとしていた。アクティブファーマやニプロファーマのほか、すでに医薬品開発支援機関(CRO)のシミックホールディングス日医工(本誌既報)などが、受託生産を開始すると明らかにしている。

アビガンの催奇形性とPMDAの承認

T705の動物実験で確認された「初期胚の致死並びに催奇形性の確認」という副作用への懸念が、治験の最終段階になっても払拭できなかった

富山化学は2011年に「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症」の効能効果で医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認を申請

PMDAでは3年間という異例の審査期間を経た後、「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)」という効能効果でもってアビガンを承認した。(アビガンはなぜ「特効薬」の座から滑り落ちたのか 2020年07月24日 ニュースイッチ)

アビガンの開発

開発したのは、感染症領域の創薬に伝統的に強かった旧富山化学工業(現、富士フイルム富山化学)と白木公康富山大学名誉教授。「T705」の開発コードで、新しいインフルエンザ治療薬を目指して治験が進められた。当時、鳥インフルエンザウイルスH7N9型が猛威を振るい、さらに、代表的なインフルエンザ治療薬であったスイス・ロシュ社製の「タミフル」は耐性ウイルスを出現させやすいという点が医療現場から憂慮されていた。(アビガンはなぜ「特効薬」の座から滑り落ちたのか 2020年07月24日 ニュースイッチ)

BioFire社のFilmArrayとは 新型コロナウイルスSARS-Cov-2検出でも活躍

BioFire社のFilmArrayは、感染症の病原体を迅速に同定するための装置です。その特徴は、数十種類ものウイルスパネルが用意されていて、多数の病原体を調べることが可能で、なおかつ「迅速」であること。操作に必要な時間は数分。あとは装置任せで1時間後には結果が出るそうです。

今の時代は昔のように病原体を培養して数日かかって検出するわけではないようです。マルチプレックスPCRの原理に基づく装置、その他、非常に進展が早い分野です。

微生物検査方法の変遷

一般細菌であれば概ね1日程度で培地上に発育し,発育してきた菌株を純培養するのに1日同定検査・薬剤感受性検査に1日かかるため,結果を得るためには最短でも3日程度の時間が必要となる(Fig. 2)。培養検査は細菌が生物であることをうまく利用した検査であるが,増殖を待たなくてはならず,急性期の治療方針が経過を左右する感染症診療では,より早期の情報入手が常に求められる。(遺伝子検査の導入による新しい感染症診療 理日:2018年6月11日 日本化学療法学会雑誌 Vol. 66 No.6

  1. 感染症診療における検査法 日内会誌 107:2230~2239,2018 従来から行われている分離培養法及び生化学的同定法と比較し,より早く微生物を検出し,有用な情報を提供することができる.代表的なものとして,質量分析装置(matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry:MALDI-TOF MS)と全自動且つ迅速な遺伝子検査(機器)が挙げられる
  2. 臨床応用される注目の検査法 2)フィルムアレイ(1995)Vol.33,No.10,2017 3.感染症の診断において従来から行われている塗抹・培養同定検査は重要な検査法である。しかし,これらの検査法では検出できない原因微生物も多く,迅速性に欠けるため,臨床症状や患者背景等を考慮して治療方針を決定している。その結果,不必要な抗菌薬の投与が行われ,薬剤耐性菌の出現にもつながっている。近年,感染症診断技術において迅速性に優れたさまざまな方法が開発され,臨床応用されている。その中でも質量分析遺伝子検査の発展は目覚ましい
  3. 感染症検査の最前線-迅速な薬剤感受性検査の最新動向を含めて- 東京医科大学 微生物学分野 教授 大楠 清文 2015年12月
  4. 技術革新がもたらす今後の微生物検査の展開と課題 ダンメディア 61巻12号2015[座談会]話題になっているはマルチプレックスのPCRです。 同時に多項目を検出する検査法で、アメリカではFDAの承認も取得しています。 特に話題になっているのはバイオファイアというビオメリュー社が買収した会社の検査法です。
  5. 遺伝子解析技術の新たな潮流と感染制御への適応 日本化学療法学会雑誌SEPT. 2011

BioFire社のFilmArrayおよび他社製品の比較など

Commercially available FDA-cleared multiplex nucleic acid-based tests for infectious agents include systems from Luminex, GenMark, and BioFire (now a subsidiary of bioMérieux) (Table 1). At present, all such systems combine the sequential steps of:

  1. Nucleic acid purification from the appropriate human sample matrix (e.g., nasal swab, blood or blood culture, stool)
  2. cDNA synthesis (reverse transcription) to convert viral RNA to DNA, if necessary
  3. Multiplex PCR to amplify molecules of the pathogen nucleic acid
  4. Specific detection of the expected amplicons to confirm that the correct target nucleic acids have been identified

(Multiplex PCR for Detection and Identification of Microbial Pathogens 10 November 2018 Advanced Techniques in Diagnostic Microbiology pp 475-493)

  1. Multiplex PCR system for the rapid diagnosis of respiratory virus infection: systematic review and meta-analysis. Clinical Microbiology and Infection Volume 24, Issue 10, October 2018, Pages 1055-1063 diagnostic accuracies of three multiplex PCR systems (mPCRs)—BioFire FilmArray RP (FilmArray), Nanosphere Verigene RV+ test (Verigene RV+) and Hologic Gen-Probe Prodesse assays—on the detection of viral respiratory infections.
  2. Multiplex PCR for Detection and Identification of Microbial Pathogens 10 November 2018 Advanced Techniques in Diagnostic Microbiology pp 475-493
  3. 感染症検査の最前線-迅速な薬剤感受性検査の最新動向を含めて- 東京医科大学 微生物学分野 教授 大楠 清文 迅速な薬剤感受性検査の新たな知見を含めて、全自動遺伝子検査による臨床検体から直接の病原体検出、遺伝子解析技術や質量分析法による菌株同定、シークエンス解析による分子疫学的なタイピングに関する最新の動向を概説 FilmArray®システム(米国Bio Fire社) フィルム製のパウチに凍結乾燥した試薬が装填されており、検体の破砕、核酸の精製、multiplex PCRによるDNAの増幅、そして各病原体のDNAがアレイ上で自動的に検出される(図1-C)。欧米では呼吸器病原体パネル(20項目)や血液培養陽性用パネル(24病原体の同定と薬剤耐性遺伝子検出;mecA, vanA/B, KPC)などの網羅的検出試薬2)が既に販売されている。検体と試薬溶解用のシリンジを挿入するだけのわずか1、2分の操作(hands-on time)のみで、かつ1時間で測定が完了することから、point-of-care testing (POCT)として外来診療やベッドサイドでの実施が期待される。なお、現在(2015年12月)、わが国でのFilmArray®システムの販売は未定である。

BioFire社のFilmArrayとは

FilmArray® システム、FilmArray® Torch システム

マルチプレックスPCR法を採用し、専用の試薬を用いてグラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母様真菌、ウイルスや薬剤耐性遺伝子などの核酸同定を同時に行い、結果報告を行う検査システムです。(biomerieux-jp.net)

The FILMARRAY is an FDA-cleared multiplex PCR system that integrates sample preparation, amplification, detection and analysis. It requires just a few minutes of hands-on-time and its turnaround time is just about an hour, giving you faster results which may lead to better patient care. (biomerieux-usa.com)

BioFire社のFilmArrayの評判

下の動画は、医師がFilmArrayを絶賛する声をまとめたもの。何しろ1時間で病原菌やウイルスが特定できるわけですから、診断におけるこの製品の有用性は、ゲームチェンジャーだ、パラダイムシフトだといった声があります。

The Clinical Impact of the BioFire® FilmArray® System 2020/01/17 BioFire Diagnostics

Stop waiting. Start living. The BioFire® FilmArray® System. 2013/10/30 BioFire Diagnostics

BioFire® FilmArray® System Demo 2013/04/06 BioFire Diagnostics

診療科に合わせて検出したい病原体のパネルが用意されているようです。

バイオファイアのフィルムアレイ特許

SALT LAKE CITY, Utah,(March13, 2013) –BioFire Diagnostics,Inc.,today announced that the United States Patent and Trademark Office has issued U.S.Patent No. 8,394,608 covering the company’s FilmArray system. FilmArray’s proprietary technology represents a significant advancement in user-friendliness and multiplex infectious disease testing capability for hospital clinical labs. This is the first U.S. patent issued to cover the FilmArray system, and BioFire has exclusive rights to the patented technology. Specifically, the patent covers methods for sample preparation and two-step multiplex polymerase chain reaction (PCR) in a sealed container. (BioFire Diagnostics)

 

COVID-19とFilmArray 呼吸器パネル2.1

  1. FilmArray製品概要 -呼吸器パネル2.1 ターゲット遺伝子:S gene & M gene

中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)は7月22日、新たにマイクロアレイ法を用いる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の臨床検査試薬を承認した。8月から保険適用される予定。… 「FilmArray呼吸器パネル2.1」の、SARS-CoV-2陽性の鼻咽頭検体との陽性一致率は98%、同陰性検体との陰性一致率は100%(各50検体での比較)。(新型コロナ・インフル、同時検査が可能に レポート 2020年7月22日 (水) 小川洋輔(m3.com編集部))

FilmArray呼吸器パネル2.1 承認取得のご案内 このたび、全自動遺伝子解析装置FilmArray® シリーズの専用試薬として、FilmArray® 呼吸器パネル2.1を発売する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。 FilmArray® 呼吸器パネル2.1は、鑑別の難しい呼吸器感染症の18 種のウイルス(SARS-CoV-2 を含む)3種の細菌を同時測定する遺伝子検査です。これら計21種の呼吸器病原体の核酸を同時に45 分 で検出することが可能で、迅速な治療方針の決定などに貢献します。 1. 承認取得日: 2020年 6 月 2 日( 火 ) 2. 製品情報 販売名 : FilmArray呼吸器パネル2.1 製造販売承認番号 : 30200EZX00032000 検体種 : 鼻咽頭ぬぐい液 (biomerieux.co.jp

BIOFIRE® COVID-19試薬は、鼻腔咽頭拭い液中のSARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)を検出する試薬として開発され、FilmArray®2.0システム※1およびFilmArray®TORCHシステム※2を使用し、約45分で結果が得られます。本試薬は、米国国防総省からの支援を受けて開発されました。 また並行して、ビオメリュー社ではFilmArray ®呼吸器パネル※3を改良した新しいパネルを鋭意開発中で、新項目としてSARS-CoV-2が加えられる予定です。(BIOFIRE® COVID-19 試薬に対するアメリカ食品医薬品局(FDA) 緊急使用許可について 01 April, 2020 bioMérieux ビオメリュー社

 

テレビで紹介

  1. FilmArray 呼吸器パネル2.1 情報ライブ ミヤネ屋 2020年7月27日(月)日本テレビ 価格.com

 

FilmArray Blood Culture Identification (BCID) panel

The FilmArray Blood Culture Identification (BCID) panel, which is able to identify 24 different microorganisms and the resistance genes Klebsiella pneumoniae carbapenemase (KPC), mecA and vanA/B, has the potential to facilitate point-of-care testing and provides results in 1 hour. (Application of BioFire FilmArray Blood Culture Identification panel for rapid identification of the causative agents of ventilator-associated pneumonia. Clinical Microbiology and Infection Volume 24, Issue 11, November 2018, Pages 1213.e1-1213.e4)

 

BioFire FilmArray Meningitis/Encephalitis panel

The BioFire FA ME addresses such diagnostic underutilization by providing a comprehensive panel testing for 15 CNS pathogens simultaneously using a minimal amount of CSF with rapid turn-around time (1 h). Shown to be an effective alternative for other infections such as gastroenteritis [3], and bacteremia [5–8] BioFire’s FA ME was approved by the Federal Drug Administration on October 8, 2015 with promising results both in the US [9] and internationally [10, 11]. (Enhancing pathogen identification in patients with meningitis and a negative Gram stain using the BioFire FilmArray® Meningitis/Encephalitis panel. Annals of Clinical Microbiology and Antimicrobials volume 15, Article number: 26 (2016))

BioFire FilmArray Pneumonia Panel

The BioFire FilmArray pneumonia panel (BFPP) was recently FDA cleared (November 2018) for detection and identification of multiple respiratory viral and bacterial pathogens in addition to selected antimicrobial resistance genes from sputum or bronchial alveolar lavage (BAL)-like specimens from individuals with suspected lower respiratory tract (LRT) infections. This assay includes targets for 18 bacteria and 8 viruses that commonly cause pneumonia as well as 7 antibiotic resistance genes. (Evaluation of the BioFire FilmArray Pneumonia Panel for Detection of Viral and Bacterial Pathogens in Lower Respiratory Tract Specimens in the Setting of a Tertiary Care Academic Medical Center. Journal of Clinical Microbiology)

The BioFire FilmArray Pneumonia Panel (FA-Pneumo; BioFire Diagnostics, Salt Lake City, UT, USA) was recently cleared by the US Food and Drug Administration (US FDA, Washington, DC, USA). FA-Pneumo is a fully automated multiplex PCR assay for identifying a number of typical and atypical bacterial pathogens, respiratory viruses, and several classes of antimicrobial susceptibility-associated genes directly from sputum, endotracheal aspirate (ETA), and bronchoalveolar lavage-like specimens in approximately 1 h (Table 1). The assay provides semi-quantitative results for 15 typical respiratory bacterial pathogens.

Table 1. FilmArray Pneumonia Panel plus targets.

Typical bacteria

  1. Acinetobacter calcoaceticus–baumannii complex
  2. Enterobacter cloacae complex
  3. Escherichia coli
  4. Haemophilus influenzae
  5. Klebsiella aerogenes
  6. Klebsiella oxytoca
  7. Klebsiella pneumoniae group
  8. Moraxella catarrhalis
  9. Proteus spp
  10. Pseudomonas aeruginosa
  11. Serratia marcescens
  12. Staphylococcus aureus
  13. Streptococcus agalactiae
  14. Streptococcus pneumoniae
  15. Streptococcus pyogenes

Atypical bacteria

  1. Chlamydia pneumoniae
  2. Legionella pneumophila
  3. Mycoplasma pneumoniae

Viruses

  1. Adenovirus
  2. Human metapneumovirus
  3. Human rhinovirus/enterovirus
  4. Influenza A
  5. Influenza B
  6. Parainfluenza virus
  7. Respiratory syncytial virus

Antimicrobial resistance genes

  1. Methicillin resistance
  2. mecA/C and MREJ
  3. Extended-spectrum β-lactamase
  4. CTX-M
  5. Carbapenemases
  6. NDM, IMP, OXA-48-like, KPC, and VIM

(Evaluation of the BioFire FilmArray Pneumonia Panel for rapid detection of respiratory bacterial pathogens and antibiotic resistance genes in sputum and endotracheal aspirate specimens. International Journal of Infectious Diseases Volume 95, June 2020, Pages 326-331)

 

BioFire FilmArray Gastrointestinal (GI) Panel 消化管パネル

  1. PMDA 承認・認証年月等 令和3年3月
  2. The BioFire® FilmArray® Gastrointestinal (GI) Panel The FDA-cleared BioFire GI Panel tests for 22 of the most common pathogens associated with gastroenteritis—all from one patient sample and one easy to use reagent, with results available in about one hour.
  3. The BioFire® FilmArray® Gastrointestinal (GI) Panel (PDF)

BioFire FilmArray Gastrointestinal (GI) Panelの有用性を検証した論文

  1. Impact of the BioFire FilmArray gastrointestinal panel on patient care and infection control. February 6, 2020 PLOS ONE Routine PCR detected one or more pathogens in 52 (28.6%) patients compared to 72 (39.6%) using the FilmArray. Turnaround time (including transport) decreased from median 53 hours for the routine PCR to 16 hours for the FilmArray.
  2. Evaluation of the BioFire FilmArray Gastrointestinal Panel and Real-Time Polymerase Chain Reaction Assays for the Detection of Major Diarrheagenic Pathogens by a Multicenter Diarrheal Disease Surveillance Program in China Foodborne Pathogens and Disease Vol. 16, No. 11
  3. Contribution of the FilmArray® Gastrointestinal Panel in the laboratory diagnosis of gastroenteritis in a cohort of children: a two-year prospective study International Journal of Medical Microbiology Volume 308, Issue 5, July 2018, Pages 514-521
  4. FilmArray™ GI panel performance for the diagnosis of acute gastroenteritis or hemorragic diarrhea 12 May 2017 BMC Microbiology volume 17, Article number: 111 (2017)
  5. Multicenter Evaluation of the BioFire FilmArray Gastrointestinal Panel for Etiologic Diagnosis of Infectious Gastroenteritis. 19 February 2015 Journal of Clinical Microbiology Vol. 53, No. 3

バイオファイア社フィルムアレイシステム

新型コロナウイルスワクチンの原理:ファイザー、モデルナのmRNAワクチン、アストラゼネカのDNAウイルスベクターワクチン、その他

ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンはmRNA、モデルナ社の製品もmRNAというのはテレビニュースなどで一般の人にとっても常識となっていますが、アストラゼネカ社のワクチンは少し仕組みが複雑なため、どういうタイプのものなのかがわかりにくいようです。

ワクチンを体に届ける仕組みを理解するためには、タンパク質はmRNA(えむあーるえぬえー、めっせんじゃーあーるえぬえー)から作られること、mRNAはDNAから作られることを知っておく必要があります。また、体内にそれらを届ける仕組みが必要であり、モデルナ社のワクチンの場合は、運び屋(ベクターと呼ばれる)が必要です。

ウイルスのワクチンは従来ですと、感染力や病原性を失わせた不活性化されたウイルスそのものをワクチンとして用いたり、あるいは、ウイルスを構成する一部の蛋白質(一部の蛋白質だけだと感染もしないし、病原性も発揮されない)をワクチンとして用いることが一般的でした。それに対して、今回の新型コロナウイルスワクチンの画期的なところは、従来のワクチンの作り方とは全く異なる新しい方法が開発されて実用化されたところです。ウイルスを構成するスパイク蛋白質をワクチンの成分とする目的で、タンパク質そのものではなく、その前段階の物質であるmRNAをワクチンとして体の中に注射するようにしたのがファイザー社やモデルナ社のmRNA型ワクチンです。もちろん、ただ単にmRNAを水に溶かして体内に注射しても細胞内に取り込まれにくいので、効率良く細胞に取り込まれるようにする工夫が施されています。mRNAは水の中にむき出して溶けているわけではなく、リピッドナノパーティクルと呼ばれる脂質の粒の中に収められています。

  1. mRNA-lipid nanoparticle COVID-19 vaccines: Structure and stability. International Journal of Pharmaceutics Volume 601, 15 May 2021, 120586 International Journal of Pharmaceutics Review

アストラゼネカのワクチンは、抗体が認識する標的(抗原)はファイザーと同じくスパイク蛋白質ですが、mRNAの形でいれるのではなく、そのさらに前段階であるDNAの形で入れます。DNAをどうやって運び入れるかが問題になるわけですが、そこで運び屋(ベクター)として使われるのが、アデノウイルスです。アデノウイルスは文字通りウイルスなのですが、これを改変して増殖できなくしてベクターとして利用します。新型コロナウイルスのスパイク蛋白質をコードするDNAをアデノウイルスベクターの中に収納しておいて、このアデノウイルスベクターを注射して人間に感染させます。アデノウイルスはありきたりのウイルスなので人間はすでにそれに対する抗体を持っていて、免疫機能によって排除されてしまうので、チンパンジーのアデノウイルスが使われます。すると人間はチンパンジーのアデノウイルスに対する抗体は持っていないので、感染して細胞内に入りスパイク蛋白質がDNAから作られるわけです。しかし、このワクチン接種を一度受けた人は、このチンパンジーのアデノウイルスに対する抗体もつくることになるため、もう一度同じようにワクチン接種することはできません。そんなわけで、アストラゼネカ製のワクチンは2回接種ではなく一回きりの接種ということになります。

  1. アストラゼネカ社新型コロナワクチン どのような対象者に接種すべきか 忽那賢志 | 感染症専門医 5/22(土) 13:51 YAHOO!JAPAN オックスフォード大学/アストラゼネカ社の新型コロナワクチン(ChAdOx1 nCoV-19、AZD1222)はウイルスベクターワクチンという技術を用いています。 ウイルスベクターワクチンとは、人体に無害なウイルスを「ベクター(運び屋)」として使用し、新型コロナウイルスのスパイク蛋白の遺伝情報をヒトの細胞へと運ぶものです。 ベクターを介して細胞の中に入った遺伝子からスパイク蛋白が作られ、体がスパイク蛋白に対する免疫を作ることで効果を発揮します。 新型コロナウイルスそのものを接種するわけではなく、また接種することによってヒトの遺伝子が書き換えられることもありません。 ChAdOx1 nCoV-19はチンパンジーのアデノウイルスをベクター(運び屋)として使っています。 このチンパンジーアデノウイルスはヒトには無害であり、また体内では増殖できないようになっています。 ヒトのアデノウイルスは多くの人が免疫を持っているためベクターとして使えないため、チンパンジーのアデノウイルスが用いられていますが、一度ワクチンを接種してしまうと、このチンパンジーアデノウイルスに対しても免疫ができてしまうため、2回以上は接種できないと考えられています。

新型コロナウイルス南アフリカ型の日本国内における感染状況

2021年5月

新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(空港検疫)令和3年5月21日(金) 厚生労働省 海外から到着した者で、検疫により確認された新型コロナウイルス感染症の患者等について、国立感染症研究所で検査したところ、英国で最初に検出された変異株が19例、南アフリカで最初に検出された変異株が7例、日本でブラジルからの渡航者に最初に検出された変異株が1例、フィリピンで最初に検出された変異株が1例確認されました。

  • ※No.49、73、78~80、115、147は南アフリカで最初に検出された変異株
  • No. 到着地 到着日 年代 性別 滞在国 症状
  • 49 成田 4月21日 40代 男性 ウガンダ 無症状
  • 73 羽田 4月26日 60代 男性 インド 無症状
  • 78 成田 4月27日 50代 女性 フィリピン 無症状
  • 79 成田 4月27日 50代 女性 フィリピン 無症状
  • 80 成田 4月27日 20代 男性 フィリピン 無症状
  • 115 成田 4月30日 20代 女性 ネパール 無症状
  • 147 成田 5月2日 20代 女性 アメリカ合衆国 無症状

福岡県で500人コロナ感染、県内初の南アフリカ型変異株を確認 5月19日発表 2021年5月19日 午後7時05分 腹囲新聞 福岡県は2021年5月19日、新型コロナウイルスに感染した4人が死亡し、500人の陽性が判明したと発表した。これまでに計上した感染者1人から、県内初となる南アフリカ型の変異株を確認したことも明らかにした。

2021年3月

フィリピン、南ア型コロナ変異株を初確認 ワクチン効果に懸念 2021年03月02日(火)15時37分 Newsweek REUTERS [マニラ 2日 ロイター] – フィリピン保健当局は2日、新型コロナウイルスの南ア型の変異株の感染者が6人確認されたと明らかにした。同国で南ア型変異株の感染が確認されるのは初めて。‥ 確認された6人中3人は国内感染で、2人は海外から帰国したフィリピン人。残りの1人は現時点で感染経路が特定できていないという。

2021年2月

<新型コロナ>南アフリカ型変異株に2人感染 神奈川で初、50代女性と10代男性 2021年2月5日 11時06分 東京新聞 厚生労働省と神奈川県は4日、南アフリカで拡大している新型コロナウイルスの変異株に、県内の50代女性とその濃厚接触者の10代男性が感染したと発表した。県によると、国内で南ア型の変異株が空港検疫以外で見つかるのは初めて。‥ 女性は1月にアフリカ地域から帰国し、成田空港での検疫では陰性だったため、自家用車で帰宅した。女性は国の要請に基づく2週間の自宅待機中だった同月中旬に、10代男性は同月下旬に、それぞれ発熱などの症状が症状が出てコロナ陽性が判明。