位置演算子 \( \hat{x} \) の固有方程式を解く場合、
\[
\hat{x} \psi(x) = x \psi(x)
\]
は次の形になります:
\[
x \psi(x) = x_0 \psi(x),
\]
ここで \( x_0 \) は固有値です。この方程式を考えるとき、重要なのは以下です:
### **1. 方程式の解釈**
– 上記の方程式が成り立つためには、\( \psi(x) \) がゼロでないところで \( x = x_0 \) が成り立つ必要があります。
– つまり、\( \psi(x) \) は \( x_0 \) の位置に集中して存在する波動関数を表します。
このような波動関数は **ディラックのデルタ関数** \( \delta(x – x_0) \) で表されます。
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### **2. 解:デルタ関数**
固有方程式の解は次のように与えられます:
\[
\psi(x) = \delta(x – x_0)
\]
ここで、デルタ関数 \( \delta(x – x_0) \) の性質は次の通りです:
– \( \psi(x) \) は \( x = x_0 \) の位置にのみ集中しています(位置の確定状態)。
– デルタ関数は次の条件を満たします:
\[
\int_{-\infty}^{\infty} \delta(x – x_0) f(x) dx = f(x_0),
\]
任意の連続関数 \( f(x) \) に対して成り立ちます。
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### **3. 物理的意味**
この解 \( \psi(x) = \delta(x – x_0) \) は、粒子が正確に位置 \( x_0 \) に局在していることを意味します。
– ただし、この状態は理想的なもので、現実の波動関数はデルタ関数のように無限小の範囲に集中することはありません。
– また、位置 \( x \) が確定しているとき、運動量 \( p \) は完全に不確定になります(不確定性原理)。
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### **まとめ**
位置演算子 \( \hat{x} \) の固有方程式 \( \hat{x} \psi(x) = x_0 \psi(x) \) の解は、ディラックのデルタ関数 \( \psi(x) = \delta(x – x_0) \) です。この解は、粒子が位置 \( x_0 \) に局在している状態を表します。ただし、これは数学的に理想化されたケースであり、実際の波動関数はこうした理想化された状態にはなりません。