研究マネジメントとは

最近、大学における研究マネジメントの重要性が謳われるようになってきていますが、そもそも研究マネジメントとは何でしょうか?研究マネジメント人材に求められる仕事内容はどのようなものなのでしょうか。

民間企業における研究開発マネジメントは商品化が最終目標だと思いますが、大学における研究マネジメントはゴールが多少異なると思います。最終目標(問われる成果)は、論文数、企業との共同研究実施実績などのようです。

 本事業は、大学等が、研究経営システムを強化するため、リサーチ・アドミニストレーター(以下、「URA」という。)及び産学官連携コーディネーター(以下、「CD」という。)等に対して、研究経営能力等の育成に向けた研修の実施により、産学官連携活動の持続可能な体制整備及びURA、CD等を含む研究支援業務を担当する人材の資質向上を図るとともに、研究マネジメント人材育成のための体制整備及び強化を行うために必要となる要素及び課題を抽出し、調査・分析を行ったものである。その結果を以下の通り取りまとめた。研究マネジメント人材の育成に向けた調査分析事業 文部科学省)

 

研究開発マネジメント人材とは、JSTのファンディング事業に特化し、研究成果最大化に向け、事業における研究領域等の推進業務を行う人材です。採用された方にはイノベーションの触媒、目利きとして、研究開発プログラムの公募選考・管理・成果展開等に携わっていただきます。本制度のもと、将来的には、研究者のパートナーとなって様々な関係者をつなぎ、研究活動全体をマネジメントするプロデューサー的人材(研究開発マネージャー)へと育っていくことを目指します。事例1「青色LED」JST職員が早期に企業連携を説得 日本での実用化に成功1985年、研究の意義をいち早く見出す「研究に集中し他に時間を取られたくない」赤﨑教授を訪問 産学官連携によるGaN青色発行ダイオード開発の必要性を粘り強く説く これをきっかけに、豊田合成との産学連携プロジェクトが立ち上がり、後にノーベル賞を受賞する青色LEDの実用化にむけた取り組みが開始。事例2「iPS細胞」  京都大学教授 山中伸弥  JST職員がALL JAPAN研究体制構築に動く 山中教授は研究に専念、国際社会をリード ヒトiPS細胞樹立後、多忙を極めた山中教授 機を逃さずJSTが研究をマネジメントできる職員を長期派遣 右腕としてセンター立ち上げに貢献、滞っていた研究支援を担当。 (研究費獲得、ルール策定・学外連携、論文相談等) iPS細胞研究所(CiRA)として世界に先駆け臨床応用へ発展。(研究開発マネジメント人材の趣旨  JST)

 

本報告書において、「研究開発マネジメント」とは、大学や研究機関において、科学技 術イノベーションの創出に向けて行われる、スキル標準に示された研究戦略推進支援業務 6、プレアワード業務、ポストアワード業務、教育プロジェクト支援等の関連業務を中心 として、近年求められる、研究セキュリティ/インテグリティ、倫理的・法制度的・社会 的課題 ELSI(ethical, legal and social implications/issues)、スタートアップ支援、ファ ンドレイズ、オープンアクセス/オープンサイエンスへの対応等も含む概念とする。 研究開発マネジメントが充実することにより、研究はもちろんのこと、産学官連携、教 育、組織運営等の機能を最大限、効果的に果たすことに寄与することが期待される。

科学技術イノベーションの創出に向けた研究開発マネジメント業務・人材に係る課題の整理と今後の在り方 資料2-2 科学技術・学術審議会 人材委員会(第 102回) 令和6年6月24日(39ページPDF)

大学における研究マネジメントの事例集

  1. 研究マネジメントの現状と課題(PDF) 2023年 東工大、筑波大、立命館大、中央大の事例紹介

 

自分なりにですが簡単にまとめてしまえば、研究マネジメントとは、大学としてのビジョン(大学の社会的使命)にのっとって制度(支援組織の整備)を整えて目標を設定し、お金(外部・内部の研究費)と人(研究者およびそのほかの支援者など)をやりくりして、モノ(既にある研究設備など)と情報(誰がどんな研究成果を上げているのか、どこにビジネスチャンスがあるのか、どんな企業が何をやりたがっているのか)も活用して結果を出す(論文、資金獲得、科学研究の成果の社会実装)ということのようです。

 

研究評価 IR

研究者個人の評価指標の確立:科研費獲得件数、共同研究の実施件数、トップ10%論文数、ハイインパクトジャーナル掲載数

研究支援制度の充実

科研費不採択者に対して審査結果に応じて助成

産学連携の推進

研究シーズ集の作成、公開、キーワード検索システムの実装

研究マネジメントの成果の指標

論文数

トップ10%論文数

国際共著論文

外部資金獲得:公的研究費(科研費ほか)

大型予算 特別推進研究、基盤研究(A)

さきがけ

申請件数、採択件数、採択順位

企業との共同研究

組織対組織(大学と企業)の共同研究の件数

産学連携研究による研究費収入 受託研究費、共同研究費

受賞

参考

  1. Research Development at MIT https://research.mit.edu/research-development
  2. Research management is a broad field involving the coordination of numerous processes to move research efforts forward, from setting goals and obtaining approval to monitoring progress and ensuring compliance. For research administrators, it is vital to understand what this entails so they can manage projects effectively and make better decisions. https://cayuse.com/blog/5-key-areas-of-research-management/