シュレーディンガーの方程式って、演算子(物理量)x波動関数=固有値x波動関数 のこと?


いいえ、「**演算子(物理量) × 波動関数 = 固有値 × 波動関数**」は量子力学の**固有値方程式**であり、シュレーディンガー方程式そのものではありません。ただし、シュレーディンガー方程式の特定の解の形で、固有値方程式と関連する場合があります。

### **シュレーディンガー方程式と固有値方程式の違い**

1. **時間に依存しないシュレーディンガー方程式**:
シュレーディンガー方程式の時間依存性を取り除いた形が以下のようになります:
\[
\hat{H} \psi = E \psi
\]
– ここで \( \hat{H} \) はハミルトニアン(エネルギー演算子)、
– \( \psi \) は波動関数、
– \( E \) はエネルギー固有値。

これはシュレーディンガー方程式の**特定の形**であり、ハミルトニアン演算子に対する固有値方程式となります。

2. **時間に依存するシュレーディンガー方程式**:
一般的な形は以下のように書かれます:
\[
i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi(x, t) = \hat{H} \psi(x, t)
\]
– これは波動関数 \( \psi(x, t) \) の時間発展を記述する式です。
– この式では、ハミルトニアン \( \hat{H} \) の作用によって波動関数が時間とともにどのように変化するかが決まります。
– この場合、波動関数 \( \psi \) は時間依存のものなので、固有値方程式の形ではありません。

### **固有値方程式とシュレーディンガー方程式の関係**
– **時間に依存しないシュレーディンガー方程式**は固有値方程式の一例です。
– つまり、エネルギー演算子(ハミルトニアン)に対する固有値方程式を解くことで、エネルギー固有値 \( E \) とその対応する固有状態 \( \psi \) を得ることができます。
– この固有値方程式は、エネルギーの許容値(離散的または連続的)を決定します。

– 他の演算子(例えば位置演算子 \( \hat{x} \)、運動量演算子 \( \hat{p} \))に対しても同様に固有値方程式を考えることができ、それらの物理量に対応する固有値と固有状態を決めます。

### **結論**
– 「**演算子 × 波動関数 = 固有値 × 波動関数**」は固有値方程式であり、シュレーディンガー方程式ではありません。
– ただし、**ハミルトニアン(全エネルギー演算子)**を用いた固有値方程式は、時間に依存しないシュレーディンガー方程式に対応します。
– 時間に依存するシュレーディンガー方程式は、波動関数の時間発展を記述するもっと一般的な方程式です。

演算子(物理量)x波動関数=固有値x波動関数 は時間に依存しないということが前提なの?

はい、一般に「**演算子(物理量) × 波動関数 = 固有値 × 波動関数**」という形の**固有値方程式**は、時間に依存しない波動関数を前提としています。これが成り立つのは、**時間に依存しないシュレーディンガー方程式**や、他の時間に無関係な演算子に関連する状況です。

### **固有値方程式と時間依存性**
1. **時間に依存しない場合**:
固有値方程式は次のように書かれます:
\[
\hat{A} \psi = a \psi
\]
– ここで波動関数 \( \psi \) は時間に依存しないもので、演算子 \( \hat{A} \) の作用によって元の形を変えず、スカラー倍される関数です。
– この場合、物理量(例えばエネルギーや運動量)の値が一定である、つまり時間に依存しない状態を表します。

2. **時間依存する場合**:
時間依存する波動関数 \( \psi(x, t) \) では、一般に固有値方程式は成り立ちません。
– 時間依存する波動関数は、時間に応じて形が変化するため、演算子の作用によって生成される状態が時間とともに変わることがあります。
– このような場合、波動関数の時間発展は**時間依存シュレーディンガー方程式**で記述されます:
\[
i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi(x, t) = \hat{H} \psi(x, t)
\]
– この式では波動関数が時間的にどう変化するかを追跡しており、固有値方程式の形にはなりません。

### **固有値方程式が時間依存しない理由**
固有値方程式が時間に依存しないのは次の理由からです:

1. **物理量の測定結果が確定している状態を表す**:
固有値方程式は、物理量(例えばエネルギーや運動量など)の値が確定している状態を記述します。この状態は時間と無関係です。

2. **時間依存性を分離した場合**:
– 時間に依存する波動関数 \( \psi(x, t) \) は、時間依存部分と空間依存部分に分けられることが多いです:
\[
\psi(x, t) = \phi(x) e^{-iEt / \hbar}
\]
– 空間依存部分 \( \phi(x) \) は時間に依存しない波動関数であり、これが固有値方程式に従います:
\[
\hat{H} \phi(x) = E \phi(x)
\]
– 時間依存部分は別の位相因子として扱われます。

### **まとめ**
「演算子 × 波動関数 = 固有値 × 波動関数」という形の固有値方程式は、**時間に依存しない波動関数**を前提としています。時間依存する波動関数を扱う場合は、時間依存シュレーディンガー方程式を使用し、時間依存性と空間依存性を分離することで固有値方程式を取り出すことができます。