主要評価項目(primary endpoint)を複合評価項目とすることについて

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臨床試験においては主要評価項目(プライマリーエンドポイント)は一つに絞るのが望ましいと聞きます。しかし最近の研究報告を見ていたら、複数の評価項目が設定されていてそれらを複合しているという手法がありました。

主要評価項目は、①死亡、②心不全イベント数、③初回心不全イベントまでの期間、④治療90日後におけるカンザスシティ心筋症質問票総合症状スコア(KCCQ-TSS)のベースラインからの5ポイント以上の変化―の複合とした。(急性心不全の新たな選択肢となるか EMPULSE試験でエンパグリフロジンが臨床的有用性示す 2021年11月25日 05:05 MedicalTribune)

こういうやり方も一般的なようです。

主要な目的に関する複数の評価指標の中から,主要評価項目として1つを選ぶことができない場合などに,事前に複数の評価指標を合成して単一の評価項目を定義することも多重性の問題に対応する選択肢の1つである 。(引用元:臨床試験における多重性の諸問題の現状と今後の課題について―非統計家向け解説書―日本製薬工業協会医薬品評価委員会データサイエンス部会2019年度タスクフォース4 多重性調整チーム)

上記の資料には、実例の紹介があります。

主要評価項目(プライマリーエンドポイント)は一つに絞るというのが原則ですが、実際には、逆に複数の主要評価項目があるほうが望ましいと考えらる場合もあるのだそうです。

理由は,つぎの3つである(Pocock,1997;Sankoh,D’Agostino,andHuque,2003;Chuang-Steinetal.,2007).
(1) 疾患の状態や治療効果の評価が多次元的に特徴づけられる
(2) 主要変数の重要性に関する医学的見解が一致していない
(3) 疾患の原因が明らかでない
(引用元:主要評価変数が複数ある臨床試験の統計的諸問題)計量生物学Vol.34,No.1,35–52(2013)

参考

  1. Composite endpoints. Journal of Clinical Epidemiology Volume 128, December 2020, Pages 157-158
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