DNAは4つの塩基アデニン、グアニン、シトシン、チミンの並び順によって情報をコードしています。DNAの情報はmRNAへ転写されます。その際、チミンの代わりにウラシルが使われます。そしてmRNAからタンパク質に翻訳されるわけですが、DNAの4つの塩基の順番がどうやって、20種類からなるアミノ酸配列であるタンパク質へと変換されるのでしょうか。
4種類の塩基一つ一つに意味があるとしたら、4つのものしか表せません。
仮に、塩基2つの並び順で何種類をラベルできるかと考えると、4×4=16種類となります。アミノ酸は20種類あるので、まだ足りません。
塩基3つの並び順が何種類あるかというと、4x4x4=64通りになります今度は20よりもずっと大きい数字になりました。とりあえず、64種類のものを20種類に対応させることは可能です。実際、重複するものもあって塩基3つの並び順により、特定のアミノ酸へ対応関係が生じているということが研究により明らかになりました。これは遺伝暗号の解読として極めて意義の大きなものであったのでノーベル賞授賞の対象となりました。下の動画は、ノーベル賞を受賞した3人のうちの一人マーシャル・二ーレンバーグ(Marshall Warren Nirenberg、1927年4月10日 -2010年1月15日 )のインタビュー。
A Conversation with Dr. Marshall Nirenberg
- マーシャル・ニーレンバーグ(ウィキペディア)
- Deciphering the Genetic Code: The Most Beautiful False Theory in Biochemistry – Part 2
- Deciphering the Genetic Code (ACS)
上の動画のインタビューでニーレンバーグが話していますが、遺伝暗号はヒトでもマウスでもカエルでも魚でも植物でも酵母でもバクテリアでも同じものが使われています。これは驚くべき大発見であり、バクテリアと人が同じ遺伝暗号を使ってDNAからタンパク質を作っているという事実は、ヒトとバクテリアは別々にこの世に誕生したのではなく、ヒトもバクテリアもその他の種も全ての生命は共通の祖先を持っていて、進化の過程で種が分かれたという仮説に合うものです。人間とばい菌が同じ祖先をもつなどということはにわかには信じられませんが、DNAからタンパク質をつくる際の遺伝暗号が同一というのは、このトンデモ仮説に対する強力な証拠と言えます。