日本の失われた30年:日本だけ経済成長がゼロ、給料が全く上がっていない国な理由

科学行政や科学研究の予算は、日本経済の影響を受けます。科学技術政策の動向を把握するためには、日本経済全体を見ておく必要もあります。そこで、自分が今まで考えたことがあまりなかった、経済成長について少し調べておきたいと思います。

日本だけこの30年間、経済成長していないということをよく聞きます。自分がそれを一番実感するのは、自分の収入が自分の父親が自分と同じ年齢だった時と比べてずっと少ないという事実です。物価は上がっているのに、そして自分のほうが父親よりもはるかに高学歴なのにです。

日本人だけ30年間賃金・給与が増えていない

このグラフはわかりやすいですね。かなりショッキングなグラフだと思います。

https://www.elibrary.imf.org/view/journals/002/2023/128/article-A003-en.xml Real Average Annual Wages for Full-Time Workers (In index [1995 = 100], 2021 prices) Citation: IMF Staff Country Reports 2023, 128; 10.5089/9798400237409.002.A003 Sources: OECD and IMF staff calculations

  1. 失われた30年とは?日本株はこれから復活する?~インフレの変化を解説 2025年01月24日 ふじのーと https://www.yamanashibank.co.jp/fuji_note/life/lost30years.html 「失われた30年」とは一言で表すと、「企業はしっかり稼いでいたけれど、それを設備投資や給与アップに回さなかった時代」です。‥ 上図の通り、企業が稼いだ利益(ここでは利益剰余金)や、それを蓄えた純資産大きく伸びていることがわかります。一方、設備投資(ここでは有形固定資産の増え方)や、人々の給与(ここでは人件費)はほとんど横ばいで推移していることが見て取れます。
  2. 労働分配率って簡単にいうと何?ChatGPT:労働分配率を簡単にいうと、企業が生み出した利益(付加価値)のうち、どれくらいを従業員の給与や福利厚生に回しているかを示す割合のことだよ。例えば、会社の売上から材料費や設備費などを引いた「付加価値」が100万円で、そのうち60万円が従業員の給料に使われたら、労働分配率は**60%**ってことになる!
  3. What Caused Japan’s Wages to Stagnate for 30 Years? James Saunders-Wyndham https://www.romancing-japan.com/posts/japan-s-wages-stopped-changing/
  4. Japan’s workers haven’t had a raise in 30 years. Companies are under pressure to pay up Michelle Toh Emiko Jozuka Analysis by Michelle Toh and Emiko Jozuka, CNN 6 minute read Published 7:06 PM EST, Fri February 3, 2023 https://edition.cnn.com/2023/02/03/business/japan-workers-wages-inflation-intl-hnk/index.html
  5. 2023.01.12 Why are wages not rising in Japan? https://www.kobe-u.ac.jp/en/news/article/feature0004/

賃金上昇の見込み?

大学内だと科研費の採択を倍増しよう!という掛け声が聞こえてきますが、国レベルだと賃金を引き上げよう!という声をトップがあげているようです。

賃金が上がらなかった理由

日本経済の失われた30年

  1. 経済成長とは? 日本が経済成長しない理由と今後の影響を解説 2024.02.18 (最終更新:2024.02.18)  https://www.asahi.com/sdgs/article/15170786

日本だけ過去30年間、経済成長が無かったというグラフをSNSでよく見かけますが、IMFのウェブサイトで簡単にグラフが作れて、数値データもダウンロードできます。

グラフ出典:国際通貨基金IMF https://www.imf.org/external/datamapper/NGDPDPC@WEO/JPN/FRA/DEU/USA/GBR/CHN/KOR/ITA/CAN/SGP/TWN

  1. 日本:2025年対日4条協議終了にあたっての声明 2025年2月7日 国際通貨基金 https://www.imf.org/ja/News/Articles/2025/02/07/mcs-020725-japan-staff-concluding-statement-of-the-2025-article-iv-mission
  2. たった23年でトップから最下位…G7で“日本だけ”が経済成長できない「2つの理由」 連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質 会員限定 2023/05/22 掲載  https://www.sbbit.jp/article/fj/113491
  3. 日本経済はなぜ低迷し続けるのか —政策評価と日韓の考え方比較の視点̶— 鞠 重鎬 横浜市立大学教授 著者プロフィール 2023年3月27日 2023年5月30日 https://ippjapan.org/archives/7554
  4. じつはGDPの順位自体には意味がない…「日本は世界有数の経済大国」という常識を疑うべき経済学的な理由 経済は成長してこそ価値がある髙橋 洋一 2023/04/08 PRESIDENT Online https://president.jp/articles/-/68271?page=1
  5. 成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に 「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(2) (3/3 ページ) 2021年04月19日 11時00分 公開 [小川真由/小川製作所,MONOist] https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2104/19/news005_3.html
  6. 2019.01.07 就職氷河期世代にとって消費増税は天敵――あるべき経済政策はなにか 金子洋一 前参議院議員(神奈川県選出) https://synodos.jp/opinion/economy/22378/
  7. De Gruyter Open Access August 30, 2024 Long-term economic outlook for Japan, as impacted by COVID-19 Panagiotis Tsigaris EMAIL logo , Jaime A. Teixeira da Silva EMAIL logo and Masayoshi Honma EMAIL logo From the journal Open Health https://doi.org/10.1515/ohe-2023-0042
  8. Japan’s Economy and Prices over the Past 25 Years: Past Discussions and Recent Issues Ichiro Fukunaga et al. Bank of Japan https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24e14.pdf
  9. Beyond secular stagnation: A digital and green economy? D. Hugh Whittaker Pages 365-386 | Received 20 Sep 2021, Accepted 27 Nov 2021, Published online: 15 Dec 2021 Cite this article https://doi.org/10.1080/2329194X.2021.2012806
  10. Japan’s Lost Decade: Lessons for Other Economies Naoyuki Yoshino and Farhad Taghizadeh-Hesary No. 521 April 2015 Asian Development Bank Institute https://www.adb.org/sites/default/files/publication/159841/adbi-wp521.pdf

失われた30年が過ぎてきた。自民党政権がやってきたことを簡単に総括すると、景気が落ち込んだときには財政出動によって意図的に景気を引き上げてリスクを回避し、その反面で膨らむ一方の財政赤字を埋めるために消費税率を引き上げ、再び景気を悪化させる……。そんな政治の繰り返しだったと言っていい。

2012年からスタートしたアベノミクスでは、財政出動の代わりに中央銀行である日本銀行を使って、異次元の量的緩和という名目で、実際は「財政ファイナンス(中央銀行が政府発行の国債を直接買い上げる政策)」と同じような政策を展開してきた。政府に逆らえない中央銀行総裁が登場したのも、日本経済の「失われた20年、30年」と無縁ではないだろう。

日本人は「失われた30年」の本質をわかってない 原因と責任を突き止め変えねば低迷はまだ続く 岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト 2020/01/26 8:00 東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/325346

消費税の導入

日本では1989(平成元)年に最初3%で消費税が導入されてから、1997(平成9)年に5%2014(平成26)年に8%、そして2019(令和元)年10月から10%と税率が引き上げられてきました。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_13.html

消費税導入の社会的影響はどのくらいなのか、議員さんが語っていました。リーマンショックに置き換えて考えるとわかりやすいですね。よく、広さを示すのに甲子園の何倍の広さみたいな言い方をしますが、それと同じやり方。

日本の経済成長を妨げている最大の要因は財務省だという批判があります。

経済成長と財政支出の関係

金融の引き締め

最初の政策ミスが起きた1997年は、結果的にわが国経済の繁栄から停滞への分水嶺となりました。消費増税や社会保障カットで9兆円の国民負担増となった、いわゆる橋本増税があり、山一證券の廃業、北海道拓殖銀行の破綻などの金融危機も生じました。同時に公共事業も当初予算で同年度の9.8兆円がピークで、その後もこの年の予算以下となっています。この年から日本経済が本格的に金融引締め財政緊縮=歳出カットで成長路線から外れてしまったのでした。各国が、ITをはじめとする新分野での成長にアクセルを踏んでいる中で、わが国政府だけがブレーキを踏み続けている。これではいくら企業や個人が工夫を凝らしてもまともに経済が成長するわけがありません。https://synodos.jp/opinion/economy/22378/

  1. 金融引き締めって具体的に何をどうすること?その影響は? ChatGPT: 金融引き締めとは? 金融引き締め(tightening monetary policy)とは、お金の流れを抑えて、景気の過熱やインフレを防ぐために中央銀行が行う政策のこと。具体的には、次のような方法があるよ: 主な金融引き締め策 政策金利の引き上げ(利上げ) 中央銀行が基準となる金利(政策金利)を引き上げることで、銀行が貸し出す金利も上がる企業や個人がローンを借りにくくなり、投資や消費が減る。 市中銀行の資金供給を減らす **公開市場操作(オペレーション)**で中央銀行が市場から国債などを売却し、お金を吸い上げる。 これにより、銀行が貸し出せる資金が減り、世の中のお金の流通量が減少する。 預金準備率の引き上げ 中央銀行が市中銀行に対し、預金の一定割合を中央銀行に預けるよう求める比率(準備率)を引き上げる。 これにより、銀行が貸し出せるお金が減る。 金融引き締めの影響 ① 景気の抑制 企業の借り入れコストが上がり、設備投資や事業拡大が鈍化。 個人の住宅ローンや自動車ローンの金利が上がり、消費が減る。 結果として、経済成長が鈍化する。 ② 物価(インフレ)の抑制 金利が上がることで、企業のコストが増え、商品価格の上昇が抑えられる。 消費者の購買意欲が低下し、インフレが落ち着く。 ③ 株価・資産価格の下落 金利が上がると、企業の利益が減るため株価が下がる傾向。 不動産ローンの負担が増し、不動産価格が下がることも。 ④ 為替レートの変動 金利が上がると海外からの資金流入が増え、**自国通貨の価値が上がる(円高など)**傾向。 輸出企業にはマイナス(製品が高くなり競争力低下)、輸入企業にはプラス(仕入れコスト減)。 まとめ 金融引き締めは、インフレを抑えつつ、景気の過熱を防ぐために行われるけど、景気が冷えすぎるリスクもあるから、バランスが重要!中央銀行(日本なら日銀、アメリカならFRB)は、経済状況を見ながら慎重に調整するよ。
  2. 一人当たりのGDP を英語に直すと? ChatGPT: 「一人当たりのGDP」は英語で “GDP per capita” と言うよ。

ChatGPTに訊いてみました。

「金融引き締めって具体的に何をどうすること?その影響は?」
ChatGPT:

金融引き締めとは?

金融引き締め(tightening monetary policy)とは、お金の流れを抑えて、景気の過熱やインフレを防ぐために中央銀行が行う政策のこと。具体的には、次のような方法があるよ:

主な金融引き締め策

  1. 政策金利の引き上げ(利上げ)
    • 中央銀行が基準となる金利(政策金利)を引き上げることで、銀行が貸し出す金利も上がる。
    • 企業や個人がローンを借りにくくなり、投資や消費が減る。
  2. 市中銀行の資金供給を減らす
    • **公開市場操作(オペレーション)**で中央銀行が市場から国債などを売却し、お金を吸い上げる。
    • これにより、銀行が貸し出せる資金が減り、世の中のお金の流通量が減少する。
  3. 預金準備率の引き上げ
    • 中央銀行が市中銀行に対し、預金の一定割合を中央銀行に預けるよう求める比率(準備率)を引き上げる。
    • これにより、銀行が貸し出せるお金が減る。

金融引き締めの影響

① 景気の抑制

  • 企業の借り入れコストが上がり、設備投資や事業拡大が鈍化。
  • 個人の住宅ローンや自動車ローンの金利が上がり、消費が減る。
  • 結果として、経済成長が鈍化する。

② 物価(インフレ)の抑制

  • 金利が上がることで、企業のコストが増え、商品価格の上昇が抑えられる。
  • 消費者の購買意欲が低下し、インフレが落ち着く

③ 株価・資産価格の下落

  • 金利が上がると、企業の利益が減るため株価が下がる傾向。
  • 不動産ローンの負担が増し、不動産価格が下がることも。

④ 為替レートの変動

  • 金利が上がると海外からの資金流入が増え、**自国通貨の価値が上がる(円高など)**傾向。
  • 輸出企業にはマイナス(製品が高くなり競争力低下)、輸入企業にはプラス(仕入れコスト減)。

まとめ

金融引き締めは、インフレを抑えつつ、景気の過熱を防ぐために行われるけど、景気が冷えすぎるリスクもあるから、バランスが重要!中央銀行(日本なら日銀、アメリカならFRB)は、経済状況を見ながら慎重に調整するよ。

 

GDPと企業の利益と社員の給与の関係

ChatGPTへの質問「過去30年で、利益剰余金は増えているのに、なぜ国民一人当たりのGDPは横ばいなの?」
ChatGPT:

過去30年間で企業の**利益剰余金(内部留保)**が増えているのに、国民一人当たりのGDP(GDP per capita)が横ばいなのは、以下のような要因が考えられるよ。


1. 企業の利益が「賃金」や「設備投資」に回っていない

  • 企業は利益を出しているものの、それを従業員の給与国内の設備投資に回さず、内部留保として蓄えている。
  • その結果、個人の所得が伸びず、消費も伸びない → GDPの成長が鈍化。

背景

  • バブル崩壊(1990年代)やリーマンショック(2008年)などの影響で、企業は「現金や内部留保を増やし、リスクを避ける」経営を重視するようになった。
  • グローバル競争が激化し、日本企業が海外進出を進める一方で、国内での賃金上昇が抑えられた。

2. 労働生産性の伸び悩み

  • GDPの成長には労働生産性(1人当たりの付加価値生産量)の向上が必要。
  • しかし、日本は長時間労働非正規雇用の増加で、労働生産性が他の先進国と比べて低いまま。
  • 企業の利益が増えても、従業員の働き方やスキル向上に十分投資されず、経済全体の成長につながらない

3. 少子高齢化による影響

  • 労働人口(生産活動をする人)の減少が進み、経済成長のブレーキになっている。
  • 高齢者の割合が増えると、医療・年金負担が増え、消費の伸びも鈍化。
  • 成長力のある若い世代が減少することで、GDPの伸びが抑えられる

4. 需要不足(デフレ傾向)

  • 企業が賃金を上げない → 消費が伸びない → 企業の投資が進まない → 経済が活性化しない という悪循環が続いている。
  • 長年のデフレ傾向(物価が上がらない状態)もあり、企業は値上げしにくく、収益拡大が難しい。
  • 結果として、GDPの成長が鈍化。

5. グローバル化と海外投資の増加

  • 日本企業の利益の一部が海外投資に回り、日本国内に還元されにくい
  • 例えば、日本の大企業が海外で工場を建設し、そこで利益を上げても、日本国内の雇用や消費には直接つながらない。

結論

企業は利益をため込んでいるが、それが給与や国内投資に回らないため、経済が活性化せず、GDPが伸びない。
労働生産性の向上や賃金上昇が進まないと、国民一人当たりのGDPの成長は難しい。
少子高齢化の影響もあり、労働力不足や消費の伸び悩みがGDP成長の妨げになっている。

日本経済が成長するには、企業の内部留保を設備投資や賃金上昇につなげる施策が必要になってくるね。

 

質問「個人の給与所得とGDPは関連するってことなの?」

ChatGPT:

個人の給与所得とGDPは関連するのか?

結論から言うと、関連する! けど、完全にイコールではなく、他の要因も絡むよ。


1. 給与所得(労働者の所得)はGDPの一部

GDP(国内総生産)は、国全体で生み出された付加価値の合計で、**「誰がその付加価値を受け取るか」**によって以下の3つに分けられる。

GDPの構成(分配の視点)

雇用者報酬(給与・ボーナス・社会保険負担)

  • 企業が労働者に支払う賃金。
  • 個人の給与所得が増えれば、GDPのこの部分も増える

営業余剰・混合所得(企業の利益・自営業者の所得)

  • 企業の利益や、自営業者が稼いだ所得。
  • 企業の利益が増えても、従業員の給料に回らなければ、給与所得には直接影響しない。

固定資本減耗(設備の減価償却)

  • 機械や建物の価値の減少分。

2. 給与所得が増えればGDPは上がる?

基本的にはYES!

  • 給与が増えれば、個人の消費が増える → 企業の売上が伸びる → 経済全体が成長し、GDPが上がる。
  • 実際に、給与が高い国(例:アメリカやドイツ)は消費が活発で、GDPも高い傾向にある。

ただし、給与が増えてもGDPが伸びないケースもある

  • 貯蓄に回る場合 → お金が使われず、経済が活性化しない。
  • 輸入が増える場合 → 国内での消費増が他国のGDPに貢献してしまう。
  • 生産性が低い場合 → 給与を上げても、企業の収益が増えず、成長につながらない。

3. GDPが増えても給与が上がらないケース

実は、日本ではこのケースが問題になっている!

  • 企業の利益が増えても、内部留保(貯金)に回り、給与に還元されない。
  • 非正規雇用の増加で、雇用者報酬の伸びが抑えられている。
  • 少子高齢化で労働人口が減り、成長力が鈍化している。

GDPの成長が必ずしも給与の増加につながるわけではなく、企業の利益配分や労働市場の構造が影響するんだね。


まとめ

給与所得はGDPの重要な構成要素の一つ!
給与が増えれば、消費が活性化し、GDP成長につながる可能性が高い。
でも、GDPが増えても給与が上がらないケースもある(企業が利益をため込むなど)。
給与とGDPの関係を強めるには、企業の利益を労働者に還元する仕組みが必要!

日本で一人当たりGDPが伸び悩んでいるのも、この「給与と企業利益のバランス」が崩れていることが大きな要因だね。

 

質問「社員の給与の伸びは抑えられていたとしても、企業の利益が上がっていれば、GDPは増加しないとおかしいってこと?この30年間、企業は稼いでいたのになぜGDPは増えていないの?」

ChatGPT:

企業の利益が増えていたのに、なぜGDPは増えていないのか?

企業が過去30年間で利益を増やしていたのに、**GDPが増えていない(国民一人当たりGDPが横ばい)**のは、いくつかの要因が絡んでいるよ。


1. GDPの計算と企業利益の関係

GDP(国内総生産)は、基本的に以下の式で計算される:

 

GDP=消費+投資+政府支出+(輸出−輸入)GDP = 消費 + 投資 + 政府支出 + (輸出 – 輸入)

企業の利益が増えても、それがGDPのどこかの要素に還元されないと、GDPは増えない。つまり、

  • 利益が賃金に回れば、消費が増えてGDPが上がる。
  • 利益が設備投資に回れば、投資が増えてGDPが上がる。
  • 利益が海外投資に流れれば、日本国内のGDPには貢献しない。
  • 利益が内部留保として貯め込まれると、GDPには影響しない。

この30年間、日本企業は利益を増やしていたが、国内での賃金や投資に十分回さなかったため、GDPの成長につながらなかった。


2. 企業の利益の使われ方

過去30年、日本企業の利益は増えたが、主に以下の形で使われた。

① 内部留保として蓄積

  • 企業はバブル崩壊やリーマンショックを経験し、リスク回避のため利益をため込む傾向が強くなった。
  • 内部留保(利益剰余金)はこの30年で約3倍に増えたが、賃金や投資には回らなかった。
  • 内部留保はGDPには直接カウントされないため、GDPの成長につながらなかった。

② 海外投資の増加

  • 日本企業は国内市場の成長が鈍化したため、海外進出を強化した。
  • 例えば、海外で工場を建設したり、海外企業を買収したりしたが、これは日本のGDPには含まれない。
  • つまり、「企業は稼いでいるが、その利益の一部が海外に流れている」状態。

③ 株主還元(配当・自社株買い)の強化

  • 企業は利益の一部を株主配当や自社株買いに使った。
  • これは株価を上げる効果はあるが、GDPに直接影響しない(消費や投資に結びつかない)。

3. 日本のGDPが伸びなかった主な理由

企業の利益は増えていたのにGDPが増えなかったのは、企業の利益の使われ方に加えて、以下の要因も関係している。

① 賃金が上がらず、消費が伸びなかった

  • 日本のGDPの約50%以上は「個人消費」。
  • しかし、賃金がほとんど上がらなかったため、消費が伸びず、GDPが横ばいのまま。
  • 特に、非正規雇用の増加で、可処分所得が増えにくかった。

② 労働人口の減少

  • 1990年代と比べ、日本の労働人口(働く人の数)は減少。
  • 労働人口が減ると、GDP成長のポテンシャルも下がる。

③ 企業の国内投資が低迷

  • 日本企業はバブル崩壊後、「守りの経営」を続け、大規模な国内投資を抑えた。
  • これにより、生産性向上が遅れ、GDP成長が鈍化した。

④ デフレの影響

  • 物価が下がる(デフレ)と、企業は利益を上げにくくなり、設備投資や賃金アップが抑えられる。
  • 結果として、経済が停滞し、GDPの伸びが鈍化した。

4. まとめ

企業は稼いでいたが、その利益がGDPの成長に回らなかった(内部留保・海外投資・株主還元)。
給与が上がらず、消費が伸びなかったため、GDPが成長しなかった。
労働人口の減少やデフレの影響で、経済全体の成長力が低下した。

つまり、企業が利益を出している=GDPが増える、とは限らない。 企業の利益が「国内の投資や賃金アップ」に回らないと、GDP成長にはつながらないんだね。