特許侵害への反論:公知と先使用権

第1話(前編): 弁理士ジョージをよろしく 公知と先使用権 (https://www.jpaa.or.jp/comic/)というマンガを読んでいたら、機械メーカーが特許侵害を通告されて、相談を受けた弁理士がその機械メーカーの商品の販売開始日が特許取得日より早いかどうかが論点になっていました。実際そういうものなのか、Geminiに訊いてみました。

質問:ある機械メーカーが特許侵害だと通知を受けたが、その機械メーカーは古くからその商品を販売しているので「公知」であり、特許侵害にはあたらないという反論は可能ですか?

Gemini:結論から申し上げますと、その反論は十分に可能であり、かつ非常に強力な対抗手段となります。ご質問のケース(古くから商品を販売しており、その技術がすでに世に知られていた=「公知」であった)において、特許侵害を回避するための法的なロジックは主に2つあります。以下に、その仕組みと、対抗するために必要な要素を整理します。


1. 特許侵害を否定する2つの主要なロジック

相手の特許出願日(または優先日)よりもに、その製品を販売していた事実がある場合、以下の2つの主張が考えられます。

A. 特許の無効を主張する(特許法第104条の3)

「そもそも、その技術は私が昔から売っていたものであり、新しい技術(新規性)ではないため、特許になるべきではなかった」という主張です。

  • 理屈: すでに公然と知られていた発明(公知発明)は特許を受けることができません。誤って登録された特許には効力が及びません(権利行使が制限されます)。

  • 効果: 相手の特許自体を無効化できる可能性があるため、自社だけでなく業界全体にとってメリットになる場合があります。

B. 先使用権(せんしようけん)を主張する(特許法第79条)

「仮にその特許が有効だとしても、私は特許が出される前からその事業を行っていたので、継続して使い続ける権利がある」という主張です。

  • 理屈: 特許出願の時点で、すでにその発明の実施(製造・販売など)をしていた、あるいはその準備をしていた者には、通常通りビジネスを続ける権利(通常実施権)が認められます。

  • 効果: 特許そのものは潰さずに、「自分たちだけは特別に許される」という権利を確保します。

2. 反論を成功させるための「絶対条件」

この反論を行うためには、口頭で「昔からやっていた」と言うだけでは不十分です。「いつ」「誰が」「どのような技術を」公開していたかを示す客観的な証拠が必要です。

相手の特許の出願日よりも前の日付が入った、以下の資料を探し出す必要があります。

  1. 製品カタログ・パンフレット: 発行日が記載されているもの。

  2. 販売実績の記録: 注文書、納品書、請求書などで、具体的な製品名や型番が特定できるもの。

  3. 設計図面・仕様書: 日付と承認印があり、その技術内容が明確にわかるもの。

  4. Webサイトのアーカイブ: 「Wayback Machine」などで過去の掲載情報が確認できる場合など。

  5. 第三者の証言: 取引先などの客観的な証言(補助的な証拠として)。

3. 注意すべき落とし穴

「古くから販売している」と思っていても、以下の点には注意が必要です。

  • 「構成」の微妙な違い: 昔から売っていた製品と、相手の特許請求の範囲(クレーム)が完全に一致しているかを確認する必要があります。「似ているが、相手の特許には新しい工夫(進歩性)が加えられている」場合、反論が難しくなることがあります。

  • 改良品の問題: 「昔の製品」はセーフでも、最近販売している「改良版」が相手の特許に抵触している可能性もゼロではありません。

今後の対応ステップ

通知書への回答は慎重に行う必要があります。まずは以下の手順をお勧めします。

  1. 日付の確認: 相手の特許公報を確認し、「出願日(または優先日)」を特定する。

  2. 証拠の収集: その日付よりも前の自社製品のカタログ、図面、販売伝票を確保する。

  3. 対比: 「過去の自社製品」と「相手の特許の構成要件」を突き合わせる。


相手も調査不足のまま通知を送ってきている可能性(いわゆる「言ってみたもん勝ち」)もありますが、油断は禁物です。

質問:機械の場合、内部構造が特許の対象だとしたら、その商品が販売されていたとしても、内部の技術情報は公知になっていたとはいえないという議論はあり得ない?

Gemini:

結論として、その議論(内部構造だから公知ではないという主張)は、通常の一般販売が行われていた機械であれば、通用しない(特許権者側の反論としては弱い)可能性が高いです。

つまり、あなたの会社にとって有利な状況です。

なぜ「外から見えない内部構造」でも「公知(公然実施)」として扱われるのか、法的な判断基準を解説します。


1. 「分解すればわかる」なら、それは「公知」です

特許法における「公然知られた(公知)」や「公然実施された」という状態は、「実際に誰かが見た」ことまでは要求されません。

「その気になれば、誰でもその内容を知ることができる状態にあったか(知り得る状態)」

これが判断の基準になります。

    • 原則: 商品が不特定多数の者に販売(市販)されていた場合、購入者がその機械を**分解(リバースエンジニアリング)**して内部構造を調べることは自由です。

    • 結論: 「市場に出回っていた」=「誰でも分解して内部を知ることができた」=**「内部構造も含めて公知である」**とみなされます。

 

2. 特許権者側が「公知ではない」と主張できる例外ケース

逆に言えば、以下のような特殊な状況でない限り、あなたの会社は「昔から売っていた」という事実だけで勝てる可能性が高いです。

特許権者(相手)が「あれは公知ではなかった」と反論できるのは、以下のようなケースに限られます。

ケース 理由
秘密保持契約 (NDA) 下での販売 特定の顧客だけに、「内部構造を解析しない」「第三者に開示しない」という契約を結んで販売・リースしていた場合。これは「秘密」が守られているため、公知にはなりません。
分解が物理的に不可能な場合 分解しようとすると製品が破壊され、構造がわからなくなるような特殊な加工(ブラックボックス化)がされていた場合。(機械装置では稀です)
外部から観測できない内部プロセス 機械の構造ではなく、内部で起きている「化学反応」や「プログラムの処理手順」など、分解しても目に見えないものである場合。(※ただし、機械的な構造であれば通常は該当しません)

3. あなたの会社が主張すべきポイント

相手が「内部構造は見えなかったはずだ」と言ってきても、以下の点を主張・立証できれば、その特許を無効化(または権利行使を阻止)できる可能性が高いです。

  1. 不特定多数への販売実績:「特別な守秘義務契約なしに、誰でも購入できる状態で販売していた」という事実。
  2. 構造の可視性:「蓋を開ければ(あるいは通常の工具で分解すれば)、その構造は容易に確認できた」という事実。
  3. メンテナンスの実態:「顧客先で修理やメンテナンスを行う際、内部構造を隠すことなく見せていた(またはマニュアルに内部図が載っていた)」という事実。

4. メンテナンスマニュアルは強力な武器になります

もし、過去の製品の**「サービスマニュアル」「パーツリスト」「分解図」**などが残っていれば、それを探してください。

  • これらは通常、修理業者の手に渡るものです。

  • 「社外の人の手に、内部構造がわかる図面が渡っていた」という証拠があれば、たとえ実機が分解されていなくても、その情報は**「公知の刊行物」または「公知の情報」**として扱われ、決定的な証拠になります。


【知財勉強ノート】特許法の正体は「相対立する2つの欲」の調停役である

特許法の勉強をしていると、細かい要件(新規性、進歩性、実施可能要件…)に目を奪われがちです。しかし、ふと立ち止まって「そもそも何のための法律なのか?」を考えると、すべてのルールの辻褄が合い、理解が一気に深まることがあります。今回は、特許法の究極の目的である「相対立する2者の利益のバランス(調和)」について整理します。

1. 「相対立する2者」とは誰か?

特許法という土俵には、常に利害が対立する「2人のプレイヤー」がいます。

  • プレイヤーA:発明者(特許権者)

    • 言い分: 「苦労して新しい技術を発明したんだ! 研究開発費も回収したいから、自分だけが独占して儲けたい(保護してほしい)! 他人には真似させたくない!」

  • プレイヤーB:第三者(社会・産業界)

    • 言い分: 「便利な技術なら、みんなで自由に使わせてほしい(利用したい)! 独占なんてされたら、産業の発展が遅れてしまうじゃないか!」

この2人の言い分は、「独占(保護)」vs「開放(利用)」という形で真っ向から対立します。 一方を立てれば、もう一方が立ちません。

  • 発明者を優遇しすぎると → 誰もその技術を使えず、社会が停滞する。

  • 第三者を優遇しすぎると → 誰も発明しなくなり(努力損になる)、技術が生まれない。

この板挟みを解決し、ギリギリのバランスで「調和」させるのが特許法の役割です(特許法第1条)。

(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121

2. バランスを取るための「大いなる取引(Deal)」

では、法律はどうやってこの喧嘩を仲裁しているのか? 答えは、「公開」と「独占」のバーター取引(交換条件)です。

特許制度の契約書

  1. 発明者へ: あなたの発明を、包み隠さず世の中に「公開」してください(社会への貢献)。

  2. 社会へ: その見返りとして、一定期間だけ発明者に「独占権」を与えてあげてください(インセンティブ)。

  3. 期間終了後: その技術は人類共有の財産(パブリック・ドメイン)として、誰でも自由に使えるようにします。

これが特許制度の基本構造です。

3. 具体例で見る「バランス」の崩壊と修正

ここで、ある「有用な遺伝子Xのリポーターマウス」の発明を例に考えてみましょう。 (※リポーターマウス:特定の遺伝子が働いたときに、蛍光などで光って知らせてくれるマウス)

ここで「実施可能要件」というルールが登場する理由も、このバランス論で説明がつきます。

ケース1:アイデアだけの出願(バランス崩壊)

もし、発明者が「遺伝子Xが働いたときに光るマウスが欲しいな(創薬に使えるはずだ)」というアイデアだけで特許を取れたとしたら?

  • 発明者: 作り方もわかっていないのに、独占権だけゲット(丸儲け)。

  • 社会: 「そういうマウスが欲しい」という願望を聞かされただけで、技術的な恩恵(作り方)は何も得ていない。それなのに、今後その研究をすることを禁止される。

これは「社会側が大損する取引」です。バランスが欠いているため、特許法はこれを許しません。

ケース2:詳細な実験データの開示(バランス成立)

発明者が、具体的なDNAコンストラクトの配列、導入方法、実際に光った写真(実験データ)を明細書(実施例)に書いて出願した場合はどうでしょう?

  • 発明者: 重要なノウハウをさらけ出すリスクを負う。

  • 社会: 「なるほど、このプロモーターを使えば作れるのか!」という再現可能な知識を得る。

ここで初めて「知識の公開」という対価が支払われたため、特許庁は「じゃあ、独占権をあげましょう」と認めます。 これが「実施可能要件(ちゃんと作れるように書きなさい)」の本質です。

4. 「再現性のない特許」はなぜ悪か?

最近話題になる「科学論文や特許の再現性のなさ(ゴミ特許)」の問題も、このバランス論で斬ることができます。

もし、書かれている通りにやっても動かない(再現性がない)特許が登録されてしまったら? それは、「社会に対して『偽の通貨(動かない技術)』を渡して、本物の商品(独占権)を騙し取った」のと同じことです。

だからこそ、特許庁の審査官は目を光らせますし、もしすり抜けても、後から第三者が「これは再現できない(実施可能要件違反だ)」と訴えて無効にする制度(無効審判)が用意されています。

これらも全て、「発明者と社会の利益バランス」を正常に戻すための自浄作用と言えます。

まとめ:学習の視点

今後、特許法の細かい条文や判例(サポート要件、均等論など)で迷ったときは、この原点に立ち返ってみてください。

「今のこの解釈は、発明者と社会、どちらの利益に偏りすぎているか? どこでバランスを取ろうとしているのか?」

そう問いかけることで、無味乾燥な法律論が、生きた「知恵の天秤」に見えてくるはずです。

(Gemini)

「仮予定」とは

AI による概要

「仮予定」とは、まだ確定していない、変更の可能性がある予定のことです。確定するまでの間、暫定的なものとしてスケジュールに登録しておくことで、行動の「見える化」や、他の予定との「仮押さえ」に使われます。

仮予定の主な特徴と使い方

変更の可能性がある: 確定した予定とは異なり、後に予定が変更されたり、キャンセルされたりする可能性があります。

「見える化」と行動のきっかけ: 確定はしていなくても、カレンダーや手帳に「(仮)」と書いて登録することで、ぼんやりとした予定を具体的な行動につなげやすくなります。 仮押さえ: 会議やイベントなどで、日時や場所を正式に決める前に、他の人に取られないように一時的に確保しておく場合にも使われます。

表示方法: カレンダー機能では、確定予定と区別するために異なる色で表示されることがあります。

関連する言葉

暫定(ざんてい): 最終的な決定が下されるまでの間、仮に決められた状態を指します。

仮押さえ(かりおさえ): 本格的な契約の前に、特定の日時や場所を一時的に確保しておくことです。

ばらす: 複数人で仮に押さえていた予定を、都合がつかなくなったなどの理由で白紙に戻す際に使われる言葉です。一般的には「キャンセル」とは区別して使われます。

「近しい」の意味?

AI による概要
「近い」は物理的な距離、時間、血縁、関係性、性質など幅広い意味で使われる。

「近しい」は主に心理的な近さや親密さを表し、「近い」よりも限定的なニュアンスを持ちます。

ただし、近年では「近しい」が物や性質の近さを示す際にも使われるようになっています。

 

「近しい」という言葉は、2000年代に急に広まったのではないでしょうか?自分は今まで使ったこともないし、使える気がしません。

  1. 「近しい」という言葉に違和感があります。 2012/2/23 10:40 Yahoo!知恵袋
  2. どうしても気に障る言葉「近しい」2016-02-22

自分が感じる違和感を感じている人が、世の中にはほかにもいたようです。

企画頭出し とは?

AI による概要
「企画頭出し」とは、会議や提案の前に、その企画の概要や要点を事前に相手に伝えておくことです。これにより、相手が事前に情報を把握し、その後の話し合いをスムーズに進めることができます。

目的と効果
スムーズな合意形成: いきなり詳細を話すと相手が戸惑う可能性があるため、事前に大まかな内容を伝えることで、探り合いをなくし、本題に入りやすくなります。

相手の準備を促す: 相手に事前に情報を与えることで、会議や話し合いに向けた準備をしてもらう時間を提供します。

意見やノウハウの活用: 事前に情報を共有することで、参加者から早い段階で経験やノウハウを活かした意見を引き出すことができます。

具体的な方法
簡潔な連絡: メールや電話で「こういう案件を検討しています」のように、タイトルや概要をサラッと伝える。

資料の提示: 会議の冒頭部分だけを事前に共有する、要点だけをまとめた資料を渡す。

早い段階で: 協働する場面や関連する人が多い場合は、早めに頭出しをすると効果的です。

類似の表現
下相談(しもそうだん): 相談の前に、あらかじめ行っておく下話や打ち合わせのこと。

特68条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。

業として の読み方

業は、「ぎょう」(稼業 かぎょう など)、「ごう」(自業自得 じごうじとく など)、「わざ」(神業 かみわざ) といろいろな読み方が日本語にはあります。生業(せいぎょう、なりわい)という読み方もありますよね。あまりにも多様な読み方があるため、法律の条文に出てきた「業」の読み方が何なのか?わからずにいましたが、「ぎょう」と読むようです。

特許法

(特許権の効力)第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。

9.特許権の効力 特許を取得した場合に得られる効力について説明します。 初心者向け入門講座 ひでさん 古谷栄男 チャンネル登録者数 404人

サポート要件とは

プロンプト:「サポート要件」って、日本の特許法の条文に使われる言葉?

Geimi:いいえ、「サポート要件」という言葉そのものは、日本の特許法の条文には出てきません。これは、特許法第36条第6項第1号に定められている規定を指す、実務上・学説上の通称(略称)です。

1. 実際の条文(特許法第36条第6項第1号)

法律の条文では、以下のように記述されています。

特許法 第三十六条

6 (略)特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

この「発明の詳細な説明に記載したものであること」という要件を、実務家や裁判所は「(明細書の記載に)サポートされている必要がある」という意味で、「サポート要件」と呼んでいます。

2. 判決文での使われ方

ご提示いただいた判決文(PDF)でも、裁判所はこの通称をそのまま使って判断を下しています。

  • 判決文の記載: 「本件特許は、サポート要件及び実施可能要件に違反し…」

  • 意味: 「本件特許のクレーム(特許請求の範囲)は、明細書(発明の詳細な説明)に記載された範囲を超えており、条文(36条6項1号)が求める『記載したものであること』という条件を満たしていない」という意味です。

つまり、「サポート要件」は法律用語そのものではありませんが、裁判でも当然のように使われる、極めて定着した専門用語です。

PCT出願(国際特許出願)とは

 

参考

  1. 【弁理士が解説】外国での特許取得について~国内出願と国際出願どちらがお得?~ ZeLo Law Square UPDATE : 2024.08.23  https://zelojapan.com/lawsquare/48376
  2. PCT出願(国際特許出願)とは 梅澤国際特許事務所 https://www.umepat.com/pct出願の流れと費用/

抗体で特許が取れるための条件:機能か構造か「アムジェン対サノフィ」の最新の判例に学ぶ

特許法

(特許出願)
第三十六条 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

(特許法 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121)

経済産業省令 特許法施行規則

(発明の詳細な説明の記載)
第二十四条の二 特許法第三十六条第四項第一号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。

(経済産業省令 特許施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000400010#Mp-Ch_3-At_24_2)

抗体特許の要件は機能か構造か

抗体医薬における特許戦略は、ご指摘の通り「機能(エピトープや結合親和性)で広く網をかけるか」vs 「構造(アミノ酸配列)で確実に権利化するか」というジレンマが最大の争点です。

近年、特に米国最高裁の判決(Amgen v. Sanofi)により、このランドスケープは劇的に変化しました。研究者としての視点も踏まえつつ、日米欧の違いと最新の戦略をまとめます。


1. 中心的課題:機能 vs 構造(配列)

抗体特許におけるクレーム(請求項)の特定方法は、大きく分けて以下の3つの階層があります。

    1. 機能的クレーム(Functional Claims): 最も広い。

      • 例:「抗原Xに結合し、シグナルYを阻害する抗体」

      • メリット:競合他社がアミノ酸配列を変えて同じ効果を持つ抗体を作った場合も排除できる。

      • デメリット:実施可能要件(Enablement)やサポート要件を満たすのが非常に難しくなっている。

    2. エピトープクレーム(Epitope Claims): 中間的。

      • 例:「抗原Xのアミノ酸残基10-20番に結合する抗体」

      • メリット:結合部位を特定することで、構造が違っても同じ場所に結合する抗体をカバーできる。

    3. 構造的クレーム(Sequence Claims): 最も狭いが確実。

      • 例:「配列番号1(VH)および配列番号2(VL)のCDRを含む抗体」

      • メリット:特許として成立しやすい(明確性・実施可能性が高い)。

      • デメリット:わずかに配列を変えた「デザインアラウンド(回避設計)」を許すリスクがある。

2. 最大の転換点:米国「アムジェン対サノフィ」判決

これまでの「機能で広く取る」戦略に冷や水を浴びせたのが、この判例です。

米国最高裁判決(Amgen v. Sanofi, 2023

  • 事案: アムジェン社がPCSK9というタンパク質に結合する抗体に関して、「特定のエピトープに結合し、PCSK9をブロックする」という広範な機能的クレーム(Genus claim)で特許を取得。サノフィ社を訴えた。

  • 判決: アムジェン敗訴(特許無効)。

  • 理由: 「実施可能要件(Enablement)」の欠如。数種類の抗体の配列を開示しただけで、その機能定義に当てはまる「数百万の抗体候補」すべてを独占することは許されないと判断されました。「多大な実験(Undue experimentation)」なしに当業者が他の抗体を作れなければならない、という非常に厳しい基準が示されました。

  • 教訓: 米国では、もはや「少数の実例だけで、機能的に定義された広範な抗体特許を取ることはほぼ不可能」になりました。


3. 国・地域による戦略の違い

米国が厳格化したことで、グローバル戦略にねじれが生じています。

項目 米国 (US) 日本 (JP) 欧州 (EPO)
機能的クレーム 極めて困難 (Amgen判決以降)。構造と機能の相関(Structure-function relationship)の厳密な開示が必要。 可能だが厳しい。サポート要件(36条6項1号)違反となりやすい。「発明の詳細な説明」に記載された範囲を超えると判断され、減縮を迫られることが多い。 可能。ただし、クレームされた範囲全体にわたって効果が得られること(Plausibility)が求められる。実験データのない拡張には厳しい。
エピトープ特定 構造的特徴(配列)とのリンクがないと、記載要件違反になりやすい。 許容される傾向にあるが、実際に取得・確認できた抗体のバリエーションが少ないと、範囲を限定される。 比較的好意的だが、明細書での定義(結合実験データなど)が厳密に求められる。
配列特定 CDR配列(全6箇所)による特定が標準的(Full structural coverage)。 CDR特定が基本だが、高い相同性(例:90%以上)を持つ配列を含める戦略も有効。 同様。

4. 推奨される特許戦略(ハイブリッド・アプローチ)

現状、機能だけで広い権利を取ることはリスクが高いため、以下の「多層的な」戦略が推奨されます。

① クレームの階層化(Layering)

出願時に多様な範囲のクレームを用意しておきます。

    • Claim 1 (チャレンジ枠): 機能的定義(結合活性+エピトープ)。米国では拒絶される前提だが、日・欧での権利化や、競合への牽制として残す。

    • Claim 2 (準広範枠): 「特定のCDR配列を有し、かつ◯◯の機能を持つ」あるいは「配列番号Xと90%以上の相同性を有し、かつ機能を持つ」という書き方。

    • Claim 3 (安全地帯): 具体的なCDR配列(または可変領域全体の配列)による特定。確実に権利化する部分。

② 実施例の充実(Quantity matters)

アムジェン判決を乗り越える(あるいは日本でサポート要件を満たす)には、「たまたま見つけた数個の抗体」では足りません。

  • 多様な抗体の取得: 構造が異なるが、同じ機能・エピトープを持つ抗体をできるだけ多く取得し、明細書に載せる。

  • 共通構造の特定: それらの抗体に共通するアミノ酸配列のパターン(コンセンサス配列)を見出し、それをクレームに盛り込む。「機能」と「構造」を結びつけるロジックが必要です。

③ 周辺特許での要塞化

物質特許(配列)の回避設計を防ぐために、以下で脇を固めます。

  • 製剤特許: 安定化剤、バッファー組成など。

  • 用途特許: 特定の疾患、あるいは特定のバイオマーカーを持つ患者層への投与。

  • 投与用法・用量: 皮下注、投与間隔など。

結論

これからの抗体特許は、「機能的クレームという『魔法の杖』は折れた」という前提で動くべきです。特定の配列(CDR)で確実な権利を取りつつ、「構造的バリエーション(相同性)」「共通する構造的特徴」を大量の実験データで裏付けて、少しでも権利範囲を外側に広げていく、という泥臭い戦略が最も有効になります。

(Gemini)

アムジェンの抗体特許の争いは、非常に混沌とした印象があります。ちょっと古い論説や教科書を読むと、結論が逆になっているので要注意です。最終的に、アメリカでも日本でもアムジェンの抗体特許は認められないという結論になったようです。

令和7年4月16日判決言渡
令和5年(ネ)第10107号 損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令
和2年(ワ)第8642号)
口頭弁論終結日 令和7年1月29日
判 決
控訴人 アムジエン・インコーポレーテツド
被控訴人 サノフィ株式会社
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30
日と定める。
事実及び理由
以下、略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。また、原判決中の「原
告」、「被告」はそれぞれ「控訴人」、「被控訴人」に読み替える。
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、10億円及びこれに対する令和2年6月23日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94092.pdf

上の文書の読み取り方が最初よくわからなくて、「被控訴人(サノフィ)は控訴人(アムジェン)に対して10億円を払え」というのを読んでアムジェンが勝ったのかと誤解してしまいましたが、これはアムジェンの控訴内容に過ぎず、その控訴が棄却された判決ということになります。

Gemini:

日米ともに「機能だけで広く定義された抗体特許は認めない」という同じ方向性で決着しました。これが現在の抗体特許における世界的なトレンド(決定的な流れ)と考えて間違いありません。日本の判決と、米国の判決を比較して、なぜこれが「トレンド」と言えるのか整理します。

1. 日米の判決の共通点:アムジェンの敗因

両国とも、アムジェンが主張した「機能的クレーム(参照抗体と競合する抗体)」を無効にしました。

  • 日本(今回の判決)のロジック:

    • サポート要件違反: クレームでは「参照抗体と競合する抗体」と広く定義していますが、その中には「中和活性(薬効)を持たない抗体」も含まれてしまうことが実験で示されました(乙2号証など)

    • 明細書に書かれた発明の範囲を超えて、効果が保証されないものまで権利化しようとしたため、「サポート要件」を満たさないと判断されました

    • アムジェンが後から持ち出した「EGFaミミック(特定のエピトープに結合する)」という概念も、出願当時の明細書や技術常識からは導き出せないとして退けられました

  • 米国(最高裁判決)のロジック:

    • 実施可能要件(Enablement)違反: アムジェンは数個の抗体を開示しただけで、「競合して結合する」という機能を持つ数百万の抗体すべてを独占しようとしました。

    • 他社がその範囲に含まれる抗体を作るには、過度な実験(Undue experimentation)が必要になるため、特許として認められないとされました。

結論: 法律の条文(日本はサポート要件米国は実施可能要件)は違いますが、「少数の具体例(構造)を開示しただけで、機能的な定義によって広大な領土(権利範囲)を独占することは許さない」という司法判断は完全に一致しています。

2. これが「抗体特許のトレンド」である理由

かつては、新しい抗原を見つければ、その抗原に結合する抗体を「機能」で広く押さえることが許容されていました。しかし、技術が進歩し、抗体医薬が巨大産業になった現在、特許庁や裁判所は以下のスタンスにシフトしています。

  1. 「機能」から「構造」へ:

    • 「〇〇に結合する抗体」という機能的な書き方(リーチスルー・クレーム)は、もはや通用しません。

    • 「配列番号Xのアミノ酸配列を持つ抗体」という構造的な特定が必須になりつつあります。

  2. 予測可能性の重視:

    • 抗体はアミノ酸が1つ変わるだけで機能が激変することがあるため、「構造が変わっても機能は同じはずだ」という推測(類推)が認められにくくなっています。

    • したがって、広い権利を取りたいなら、膨大な数の実験データ(構造と機能の相関データ)を出願当初から明細書に書いておく必要があります。

まとめ

「機能クレームで広く網をかける時代の終わり」が明確になりました。今後の抗体特許戦略は、「どれだけ多様な構造(配列)の抗体を実際に取得し、実験データを積み上げられるか」という、質より「量」と「泥臭い実験」が勝負の鍵を握るトレンドになっています。

(Gemni)

特許の教科書『化学・バイオ特許の出願戦略 改訂11版』(2025年6月20日出版, 発明推進協会)(73ページ)に、 PCSK9に対するモノクロ―ナル抗体事件(知財高判平成30.12.27平29(行ケ)10226 が紹介されていて、請求項が例として紹介されていましたが、これはもはやお手本としてはいけないということになったようです。

Gemini:その教科書が「機能的クレーム(競合抗体による特定)の書き方の『成功例』」として2018年(平成30年)の判決を紹介しているのであれば、その記述は現在では「真似をしてはいけない例」になってしまっています。なぜそのようなことが起きているのか資料(2025年の判決文)に基づいて整理します。

1. 教科書が引用している「平成30年判決」とは?

教科書に載っている「平成29年(行ケ)10226号(平成30年12月27日判決)」は、今回ご提示いただいた資料の中で「第1回各審決取消訴訟」と呼ばれているものです。

  • 当時の状況: この時点では、特許庁も知財高裁もアムジェンの特許を「有効」と判断しました。

  • 当時の結論: 「サノフィの請求を棄却する(=アムジェンの特許は維持される)」

  • 教科書の視点: おそらく、「競合する抗体」という機能的な表現を使うことで、広い権利範囲を確保できた「上手なクレーム作成の事例」として紹介していたのだと思われます。

2. 最新の「令和7年(2025年)判決」で何が起きたか?

しかし、資料(令和7年4月16日判決)は、その後の「第2シーズン(ちゃぶ台返し)」の結果です。

  • 何が変わったか: 新たな証拠(B博士・C博士の供述書や実験データなど)が提出され、「参照抗体と競合するからといって、必ずしも中和活性(薬効)があるとは限らない」という事実が科学的に証明されてしまいました

  • 裁判所の判断: 以前の判決(平成30年判決)は「前提となる事実に疑義が生じた」ため、もはや維持できないと判断されました 

  • 結論: 「特許は無効にされるべきものである」 

3. 教科書の記述はどう扱うべきか?

その後の無効判決(2023年の知財高裁判決や今回の2025年判決)があるため、教科書で紹介されている2018年の判決に基いた例に則ってクレームを書くと、現在では以下の理由で拒絶・無効化される可能性が高いです。

  1. サポート要件違反: 「機能(競合)」で定義した範囲の中に、効果がないものが含まれていると見なされます

  2. 実施可能要件違反: 広範な抗体をスクリーニングする過度な負担を強いると見なされます。

その教科書の該当部分は、「かつてはこれで特許が取れた時代もあった」という歴史的資料として読むべきであり、「これからの戦略の指針」にしてはいけません。最新の判例に基づけば、「機能的クレームに頼らず、構造(配列)で特定し、かつ十分な実験データでサポートされたクレームを書く」ことが唯一の正解です。

(Gemini)

参考

  1. 2025.04.16 「アムジェン v. サノフィ」 知財高裁令和5年(ネ)10107 ― 機能的クレームにおけるサポート要件の適用と無効理由の再主張の可否 ― Fubuki Fubuki 2025年5月26日 21:31
  2. 令和7年4月16日判決言渡 令和5年(ネ)第10107号 損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令 和2年(ワ)第8642号) 口頭弁論終結日 令和7年1月29日  判 決 控 訴 人 アムジエン・インコーポレーテツド 被控訴 人 サ ノ フ ィ 株 式 会 社 (裁判所判例検索ウェブサイト) https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94092.pdf 主 文 1 本件控訴を棄却する。
  3. 2023.09.28 「アムジェン v. サノフィ」東京地裁令和2年(ワ)8642 ― 取得困難を自認した出願後の発明者のメール内容が実施可能要件及びサポート要件の判断に影響した事例 ― 2024.11.14 「医薬系 “特許的” 判例」ブログ  アムジェンの米欧の特許クレームは、日本ファミリーの本件特許のような「参照抗体と競合する」という発明特定事項をもつクレームではなく、その抗体を、(a)PCSK9の特定のアミノ酸残基(エピトープ)に結合する及び(b)PCSK9とLDLRの結合をブロック又は抑制するという構成により、機能的に表現するものであった。
  4. 知財高裁が、抗PCSK9抗体特許がサポート要件に違反するとして当該特許を無効と判断した事例  令和5年5月12日号 特許ニュース KUBOTA アムジェンの抗PCSK9抗体特許に対し、本件特許明細書において、①PCSK9との結合に関して参照抗体と競合する抗体であれば結合中和抗体としての機能的特性を有すること、 ②参照抗体が結合を中和するメカニズム等について明記したとはいえないことから、サポート要件違反であるとし、リジェネロンにより請求された無効審判請求を棄却する審決を取り消す判決が出された(知財高裁令和5年1月26日判決(令和3年(行ケ)第10093号))。
  5. 「アムジェン v. サノフィ」 知財高裁令和5年(ネ)10107 ― 機能的クレームにおけるサポート要件の適用と無効理由の再主張の可否 ― 2025.04.16  「医薬系 “特許的” 判例」ブログ
  6. Amgen v. Sanofi 特許侵害紛争(アムジェン v. サノフィ) 2024 6/04 解説・演習 知的財産法
  7. 欧州における抗体特許──機能的クレームの記載要件── 知 財 管 理 Vol. 73 No. 6 2023 https://www.maiwald.eu/wp-content/uploads/%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E7%AE%A1%E7%90%86-Vol73-No6-p690%E3%80%80%E8%97%A4%E6%9C%AC.pdf アムジェ ン社のEP 2 215 124特許は最終的に維持された クレームでは「配列番号Xと少なくとも90%同 一の配列を有する軽鎖可変領域・・・を含む抗原 結合タンパク質」などの文言により構造特定を 取り入れているが変異を許している。   アムジェン社サノフィ社抗体製剤レパーサ」(アムジェン)と「プラルエント」(サノフィ)を巡る特許係争は,日本では2019年10月30日にアムジェン社の主張を支持する知財高裁判決5)が下された後,サノフィ社の最高裁上告に対し2020年4月24日未受理の決定がなされプラルエント販売停止に至っているが,米国では2019年控訴裁判所CAFCの無効決定によりアムジェン社が敗訴した。欧州では2019年7月にドイツ・デュッセルドルフ地裁が侵害を認め差止を言い渡したが,2020年の欧州アピール審決にてクレームが限定されたため販売は再開され,それぞれ実に異なる結果にたどり着いている。米国では最高裁判所が最近Certiorari上訴受理したことにより無効決定覆しの可能性が出てきて気になるところである。本
  8. 抗体医薬及び食品用途発明における近年の 審査傾向とその国際比較 令和元年度バイオ・ライフサイエンス委員会 第 2 部会 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3567 配列限定なく登録さ れた特許は抗体医薬特許全体の約3割存在し,抗体機能,競合抗体,抗原を特定して登録された特許も全体の 約 1 割存在していることが判った。配列限定することなく登録される傾向は,日本≒欧州>米国
  9. 判例研究 機能および特性により特定したバイオ関連発明の 記載要件の充足を認めた事例 -PCSK9に対する抗原結合タンパク質事件- 知財高判平成30年12月27日平成29年(行ケ)10225号 [プロタンパク質コン ベルターゼスブチリシンケクシン 9 型に対する抗原結合タンパク質] 劉 一 帆 https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2020/10/a727e7a3e979fa2db7f4aeafb58525b3.pdf 、特許庁が下した無効不成立審決に対して、審判請求人である原告X社(サノフィ)が特許権者である被告Y社(アムジエン・インコーポレーテッド)を相手取って提起した審決取消訴訟 本件特許は、Y社製剤およびY社抗体を保護するための特許群の一部であるが、X社抗体は、Y社抗体とはその構造(アミノ酸配列)が異なる。
  10. 2021.10.07 国内知財情報 機能で特定した抗体の発明は、特許を受けることができるか? 名古屋国際弁理士法人 https://www.patent.gr.jp/articles/p2899/ 機能によって特定した抗体の発明について、記載要件を満たすとの判断がなされた判例(平成31年(ネ)第10014号)抗体をその構造(アミノ酸配列)で特定することなく、「PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ、参照抗体と競合する」という機能のみによって抗体を特定
  11. 抗体医薬と特許 〈日本知財学会誌〉Vol. 16 No. 1― 2019 : 5- 19 https://www.ipaj.org/bulletin/pdfs/JIPAJ16-1PDF/16-1_p5-19.pdf
  12. 2019年 令和元年10月30日判決言渡 平成31年(ネ)第10014号 特許権侵害差止請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第16468号) 口頭弁論終結日 令和元年7月3日 判 決 控 訴 人 サ ノ フ ィ 株 式 会 社 同訴訟代理人弁護士 三 村 量 一 東 崎 賢 治 中 島 慧 浜 崎 翔 多 同訴訟代理人弁理士 南 条 雅 裕 同補佐人弁理 士 瀬 田 あ や 子 伊 波 興 一 朗 被 控 訴 人 アムジエン・インコーポレーテッド 同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二 山 口 裕 司 多 田 宏 文 同補佐人弁理 士 森 田 裕 主 文 1 本件控訴を棄却する。 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-89010.pdf
  13. https://www.harakenzo.com/jpn/seminar/data/20081107.pdf

 

抗体特許・出願

  1. 【出願日】令和7年6月25日(2025.6.25) 特開2025-146842(P2025-146842A)(43)【公開日】令和7年10月3日(2025.10.3)(54)【発明の名称】抗GAL9免疫阻害性結合分子 【請求項1】 第1のガレクチン-9(GAL9)抗原の第1のエピトープに特異的な第1の抗原結合性部位(ABS)を含むGAL9抗原結合性分子であって、前記第1の抗原結合性部位は、P9-01、P9-02A、P9-03、P9-06、P9-07、P9-11、P9-12、P9-14、P9-23、P9-24、P9-25、P9-29、P9-30、P9-34、P9-37、P9-38、P9-40、P9-41、P9-42、P9-43、P9-44、P9-45、P9-46、P9-50、P9-51、P9-52、P9-53、P9-56、及びP9-57から選択されるABSクローンのいずれか1つに由来する3つ全てのVH CDRを含む、GAL9抗原結合性分子。
  2. 【出願日】令和7年5月14日(2025.5.14) 【請求項1】ヒトクローディン6(CLDN6)タンパク質(配列番号200)と、第2の抗原とに結合する二重特異性抗原結合タンパク質であって、a.前記抗原結合タンパク質は、CLDN6の細胞外ドメイン(ECD)の細胞外ループ2(EL2)に結合し、CLDN6の前記ECDの細胞外ループ1(EL1)には結合しないか、またはb.クローディン3(CLDN3)、クローディン4(CLDN4)、及びクローディン9(CLDN9)のいずれにも結合せず、OVCA429細胞により内因的に発現されるCLDN6への参照抗体の結合を約1200nM未満で阻害するか、またはc.その組み合わせ、である、前記二重特異性抗原結合タンパク質。
  3. 【出願日】令和6年8月22日(2024.8.22) 【請求項1】プログラム死-1(PD-1)およびプログラム死リガンド-1(PD-L1)間の相互作用を破壊する治療有効量の抗体またはその抗原結合部分を対象に投与することを含む癌に罹患している対象を処置する方法であって、該抗体またはその抗原結合部分はPD-1またはPD-L1に特異的に結合する、方法。https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
  4. 【出願日】令和6年8月9日(2024.8.9) 【請求項1】 配列番号1で規定されるhPD-L1に特異的に結合し、該hPD-L1への結合について抗体1D05と競合し、モチーフX1GSGX2YGX3X4FD (式中、X1、X2、及びX3は独立して任意のアミノ酸であり、X4は存在するか又は存在しないかのいずれかであり、存在する場合、任意のアミノ酸であり得る)を含有するCDRH3を含むV Hドメインを含んでなる、抗体又はその断片。https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
  5. 【出願日】令和4年8月12日(2022.8.12) 特許 有効 (登録公報の発行) 【請求項1】 配列番号1で規定されるhPD-L1に特異的に結合し、該hPD-L1への結合について抗体1D05と競合し、モチーフX1GSGX2YGX3X4FD (式中、X1、X2、及びX3は独立して任意のアミノ酸であり、X4は存在するか又は存在しないかのいずれかであり、存在する場合、任意のアミノ酸であり得る)を含有するCDRH3を含むV Hドメインを含んでなる、抗体又はその断片。https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
  6. 【出願日】令和3年5月17日(2021.5.17) 【翻訳文提出日】令和5年1月16日(2023.1.16) 【請求項1】野生型IL-15のVal3、Ile6、Asp8、またはHis105に対応する1つ以上のアミノ酸残基に変異を含む、IL-15変異ポリペプチド。【要約】ヒトIL-15分子変異体、ならびに前記IL-15変異体および複合変異を含む融合タンパク質を提供する。前記融合タンパク質は免疫細胞の活性化および増殖の媒介をすることができ、腫瘍疾患の治療に使用することができる。https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
  7. 【発明の名称】PD-L1タンパク質が含まれた融合タンパク質およびその用途 特許 有効 (登録公報の発行) 【出願日】令和3年1月6日(2021.1.6) 【翻訳文提出日】令和4年7月20日(2022.7.20) 【請求項1】 PD-L1(programmed cell death-ligand 1)タンパク質および改変された免疫グロブリンFc領域を含む融合タンパク質。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
  8. 【発明の名称】抗-TIGIT抗体及びその用途 【出願日】平成31年2月28日(2019.2.28) 【翻訳文提出日】令和2年10月23日(2020.10.23)  【要約】本発明は腫瘍免疫抑制因子であるTIGIT(T  cell  immunoglobulin  and  immunoreceptor  tyrosine-based  inhibitory  motif[ITIM]  domain)に特異的に結合する新規の抗体又はその抗原結合断片、前記抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸、前記核酸を含むベクター及び宿主細胞、前記抗体又はその抗原結合断片の製造方法及び前記抗体又はその抗原結合断片を有効成分として含む医薬組成物及びその用途に関するものである。本発明によるTIGITに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、又はこれを有効成分として含む医薬組成物は好ましくは癌又は腫瘍治療の用途に使われることができる。【請求項1】  配列番号1又は2のアミノ酸配列を含む重鎖(heavy  chain)CDR1、  配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、及び  配列番号5又は6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、を含む重鎖可変領域と、  配列番号7又は8のアミノ酸配列を含む軽鎖(light  chain)CDR1、  配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、及び  配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3、を含む軽鎖可変領域と、  を含む、抗-TIGIT抗体又はその抗原結合断片。https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200

post hoc sub analysis ポストホックサブ解析とは?

post hoc解析とは

post hoc(事後)解析とは、臨床研究で当初予定してなかった解析を、データが取得された後で行うことです。post hoc解析には2種類あり、一つは当初予測できていなかった興味深い関係がありそうだと思ったときに、計画していなかった変数に関して解析を行うことです。つまり新しい仮説を検証することになります。もう一つは、全てのデータを解析するのでなく、被検者を何らかの方法でこまかくグループに分けて、特定のグループ(すなわち、サブグループ)に関してのみ仮説を検証するための統計学的な解析を行うことです。

AI による概要
Post-hoc analyses can involve both the re-examination of subgroups and the testing of unplanned new variables (or hypotheses) that were not specified in the original study plan. The term “post hoc” (Latin for “after this”) means the analysis is conducted after the data has been collected and examined.

The main characteristics are:
Unplanned Nature: The crucial aspect is that these analyses were not part of the original, pre-specified research protocol or statistical analysis plan. The ideas for the analyses often arise from observing interesting or unexpected patterns in the data after the main trial analyses are performed.

Subgroup Analysis: A common form of post-hoc analysis is to examine findings within specific subgroups of the study population (e.g., whether a drug works better in older adults vs. younger adults, or men vs. women) to see if the treatment effect differs among them.

Testing New Variables/Hypotheses: Researchers might also explore relationships between variables or outcomes that were not the primary or secondary endpoints of the original study.

Due to their unplanned nature and the potential for multiple comparisons, post-hoc analyses have a higher risk of producing false positive results (findings that appear significant by chance alone). Therefore, their findings are generally considered hypothesis-generating for future research, rather than definitive proof, and should be interpreted with caution.

ad hoc サブグループ解析

 investigators frequently use analyses of subgroups of study participants to extract as much information as possible. Such analyses, which assess the heterogeneity of treatment effects in subgroups of patients, may provide useful information for the care of patients and for future research. However, subgroup analyses also introduce analytic challenges and can lead to overstated and misleading results. This report outlines the challenges associated with conducting and reporting subgroup analyses, and it sets forth guidelines for their use in the Journal.

Statistics in Medicine — Reporting of Subgroup Analyses in Clinical Trials Authors: Rui Wang, M.S., Stephen W. Lagakos, Ph.D., James H. Ware, Ph.D., David J. Hunter, M.B., B.S., and Jeffrey M. Drazen, M.D.Author Info & Affiliations Published November 22, 2007 N Engl J Med 2007;357:2189-2194 DOI: 10.1056/NEJMsr077003 VOL. 357 NO. 21 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsr077003

 

In clinical trials, it is not uncommon that the primary analysis fails to achieve the study objective for demonstrating the safety and efficacy of a test treatment under investigation, while a specific sub-population analysis shows a significant positive result.

(A Proposal for Post Hoc Subgroup Analysis in Support of Regulatory Submission. Therapeutic Innovation & Regulatory Science, 13 Sep 2022, 57(2):196-208 https://doi.org/10.1007/s43441-022-00459-0 PMID: 36100794 )

  1. Post Hoc Subgroup Analysis and Identification—Learning More from Existing Data Proceedings 2023, 91(1), 422; https://doi.org/10.3390/proceedings2023091422 Login to Jenni Published: 9 April 2024 https://www.mdpi.com/2504-3900/91/1/422
  2. JNCI Cancer Spectr. 2023 Nov 25;7(6):pkad100. doi: 10.1093/jncics/pkad100 Characteristics of post hoc subgroup analyses of oncology clinical trials: a systematic review https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38006333/ Subgroup analyses in clinical trials assess intervention effects on specific patient subgroups, ensuring generalizability. However, they are usually only able to generate hypotheses rather than definitive conclusions. 
  3. A Proposal for Post Hoc Subgroup Analysis in Support of Regulatory Submission September 2022Therapeutic Innovation and Regulatory Science 57(2) DOI:10.1007/s43441-022-00459-0 https://www.researchgate.net/publication/363531808_A_Proposal_for_Post_Hoc_Subgroup_Analysis_in_Support_of_Regulatory_Submission
  4. Exploratory subgroup analysis: Post-hoc subgroup identification in clinical trials Alex Dmitrienko (Quintiles) Ilya Lipkovich (Quintiles) EMA Expert Workshop 2014 https://www.ema.europa.eu/en/documents/presentation/presentation-exploratory-subgroup-analysis-post-hoc-subgroup-identification-clinical-trials-alex-dmitrienko-ilya-lipkovich_en.pdf

参考

  1. 第12回(最終回特別編)EBMに潜む八つのワナ~論文を正しく読むコツ~2014/08/18 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/noto/201408/537922.html 研究で実証できるエンドポイントは一次エンドポイントだけ 二次エンドポイントは仮説を実証するものではなく示唆するオマケにすぎない 後付け(post hoc)解析は情報バイアスが極めて大きいため、仮説検証ではなく仮説提唱・探求に過ぎない 
  2. 7 サブグループ解析 オンライン版の R によるメタ分析:ハンズオン https://bookdown.org/content/25561078-f6d8-4a13-b4bd-45ebbc1b05c8/subgroup.html 固定効果(複数)モデルは、ランダム効果(サブグループ内)と固定効果(サブグループは固定されていると仮定されているため)の両方を含むので、文献上では混合効果モデル (mixed-effects model) としても知られている。 
  3. ホーム カテゴリーなし サブグループ解析とはサブグループ解析とは何か+失敗を防ぐには https://www.questionpro.com/blog/ja/ https://www.questionpro.com/blog/subgroup-analysis/ サブグループ解析とはサブグループ解析とは何か/ サブグループ解析は、2つのタイプに分類することができます: 1.事前指定あり 2.ポストホックです。

post-hoc sub-analysisの例

  1. Blood pressure reduction with empagliflozin in Japanese patients with type 2 diabetes and cardiovascular diseases: a post-hoc sub-analysis of the placebo-controlled randomized EMBLEM trial Brief Communication Special Issue: Current evidence and perspectives for hypertension management in Asia Published: 24 May 2024 https://www.nature.com/articles/s41440-024-01725-4

サブ解析とサブグループ解析は同じ?

 AIによる概要

「サブ解析」と「サブグループ解析」は、一般的に同じ意味で使われます。どちらも、データ全体の中から特定の属性を持つ集団(サブグループ)を抽出して分析する手法を指します。
サブグループ解析:試験参加者全体から、年齢、性別、疾患の重症度などの特定の属性を持つ集団を分ける分析方法です。
目的:特定のサブグループに対して、介入の効果がどのように異なるか(介入群間差の一様性)を確認すること。人種、年齢、性別など、様々な属性を持つ集団で結果がどのように異なるかを確認すること。