先天性完全房室ブロックとは

下の動画は、説明がわかりやすい。

Complete heart block STAT Dose Medical Education チャンネル登録者数 1180人

完全房室ブロック(complete atrioventricular block:CAVB)とは

完全房室ブロック(complete atrioventricular block:CAVB)は、心房から心室への電気的信号が完全に途絶した状態を指す。シェーグレン症候群などの自己免疫疾患合併妊娠においては、母体の産生する抗 Ro/SSA 抗体に胎児の心臓が暴露されることで、在胎 18~24 週に CAVB を発症する。自己免疫疾患に関連した CAVB(immune-mediated CAVB:ICAVB)は、妊娠 10,000 例に約 1 例の頻度で生じるとされている。https://www.jsfc.jp/wp-content/uploads/2021/07/d191dcba36c823276f63b8cf9f0d8692.pdf

参考

  1. 抗SS-A抗体陽性母体児に生じる先天性完全房室ブロックの発生機序 市橋 光 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科 発行日:2016年1月1日 https://jpccs.jp/10.9794/jspccs.32.29/data/index.html 抗SS-A抗体陽性母体児に完全房室ブロックが生じる可能性があることはよく知られたことである 1980年代からSjögren症候群やSLEの母体に存在する自己抗体が先天性完全房室ブロック(CCAVB)の発生に関係することがわかってきた2, 3).そして,CCAVBの発生は,母体が無症状でSjögren症候群やSLEの診断がなされていなくても,むしろ自己抗体の存在に依存していた4, 5).  抗SS-A抗体52-kDa60-kDaの2つのサブユニットからなるタンパク質とリポ核酸との複合体であるRo抗原に対する自己抗体である.特に抗Ro52抗体はCCAVBを生んだ母体から高率に確認され,CCAVBの発症に強く関与している 抗SS-A抗体や抗SS-B抗体の対象抗原であるRo52,Ro60,La蛋白は細胞内に局在しているため,母体自己抗体が胎児循環内に入ってきても,抗体はすぐには抗原までたどり着くことができない. カルシウムイオンチャンネルとの交叉反応と,その後のアポトーシスによって説明されている.  抗Ro抗体とカルシウムチャンネルとの関係が複数指摘され(セロトニン誘導性のカルシウムチャンネルの活性化に関係する5-HT48)L-typeカルシウムチャンネルサブユニットCav1.2,1.39)など),これらの交叉反応によって心臓のカルシウムの恒常性に病的変化をおこし,心臓の刺激伝導系に影響を与えると考えられる.  抗SS-A抗体陽性妊娠のCCAVBが生じる確率は1~2%である.また,母体抗体は存在し続けているにもかかわらず,CCAVBの再発率は12~20%である.これらのことは,自己抗体以外の別の要因がCCAVBの発生に影響を与えている可能性を示唆している.
  2. 完全房室ブロック 小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp/disease/details/04_03_003/
  3. EP on EP Episode 78: Congenital Heart Block with Charles Berul, MD Heart Rhythm TV チャンネル登録者数 3.58万人 https://www.youtube.com/watch?v=UFkb5WT1QiM
  4. 自己抗体を持つ母親からCHBの第2子が生まれる頻度は約20% 2008/10/29 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2008/200810/508352.html

 

関連事項

  1. Myocyte Conduction Pathway and Atrioventricular Block (AV) – Heart Rate and Electricity by Thad Wilson, PhD https://app.lecturio.com/#/lecture/s/7292/25308?return=/search/atrioventricular%20block

知的財産管理技能検定(知財検定)3級、2級、1級合格、弁理士?への道筋

知的財産管理技能検定(知財検定)は業務に役立つ国家資格だと思い、受験することを思い立ちました。知財って何?特許って何?というレベルからのスタートです。

知的財産管理技能検定(知財検定)とは?

「実技」試験といっても、実際的な場面が想定された出題に対して回答するもので、3級と2級の実技試験は、実際には筆記試験です。1級の実技試験は口頭試問のようです。

試験の難易度によって、 3級、2級、 1級、 の3つの等級に区分されています。さらに1級は専門分野によって、「特許専門業務」、「コンテンツ専門業務」、「ブランド専門業務」の3つの分野に区分されています(それぞれ別個の試験です)。各等級(1級については各専門業務)ごとに、それぞれ学科試験と実技試験により行われます。学科試験と実技試験の両方の試験に合格すると、各等級(1級については各専門業務)ごとに「知的財産管理技能士」の国家資格が付与されます。https://www.kentei-info-ip-edu.org/exam/

知財検定の受験料

受検手数料

選択作業 試験種 受検手数料*
3級 管理業務 学科試験 6,100円
実技試験 6,100円
2級 管理業務 学科試験 8,200円
実技試験 8,200円
1級 特許専門業務 学科試験 8,900円
実技試験 23,000円
コンテンツ専門業務 学科試験 8,900円
実技試験 23,000円
ブランド専門業務 学科試験 8,900円
実技試験 23,000円

https://www.kentei-info-ip-edu.org/exam/payment/

知財検定3級の教科書

アマゾンで教科書を探したら、

最短合格 知的財産管理技能検定(R)3級 特許法・著作権法・各種法律がよくわかる一番やさしいテキスト (まっすぐ合格シリーズ) Kindle版 林 哲彦, イシクラ ユカ, 資格スクエア弁理士チーム(監修)

が高評価だったので帰りの電車の中でキンドル版を買い、早速読み始めました。アマゾンの評判通り、非常にわかりやすくていい本です。「考え方」が説明されているのが素晴らしい。ちょっと勉強して、すぐにテストがあるのもうまい構成です。サクサク勉強が進みます。3級のしか本が出ていないのが残念。こんなに読みやすいならもし2級、1級対策があればぜひ買いたいと思ったのですが。入り口だけ用意しておいて、あとは資格スクエアにお金払ってこの著者のコースで学んでねということなのかもしれません。それにしてもこの本は初心者にとっては最高の入門書だと思いました。感情に訴えるイラストもまた、内容の理解を助けてくれます。自分は通勤中の電車で読んで2日で読み終わりました。初めて聞く話ばかりで、1回の通読ではしっかり消化できた気がしなくて、2周目を読んでいるところです。

公式テキストも販売されていました。

  1. 【特別付録付】知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂15版] 2024/7/20 知的財産教育協会 (編集) 3300円
  2. 最短合格 知的財産管理技能検定(R)3級 特許法・著作権法・各種法律がよくわかる一番やさしいテキスト (まっすぐ合格シリーズ) Kindle版 林 哲彦, イシクラ ユカ, 資格スクエア弁理士チーム(監修)

知財検定2級の教科書

  1. 知的財産管理技能検定2級公式テキスト[改訂14版] 単行本 – 2024/7/20 知的財産教育協会 (編集)

知財検定1級の教科書・問題集

知財検定1級対策本はあまり見当たりません。なぜでしょうか、とても不思議です。

  1. 過去問題 https://www.kentei-info-ip-edu.org/gakushujoho/kakomon/
  2. 知的財産管理技能検定1級 特許専門業務 過去問題集, 2026年度版 (知的財産管理技能検定 特許専門業務シリーズ)  5170円 
  3. 知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)学科試験対策問題集 米国特許法【改訂2版】 Kindle版 喜至 (著) 形式: Kindle版 ”2番目に出題数の多い「米国特許法」。出題率があわせて14%程度となっており、合格を左右する科目”
  4. 知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)学科試験対策問題集 パリ条約・PCT【改訂2版】 Kindle版 喜至 (著) 形式: Kindle版 398円

知財検定1級合格者の体験談

  1. 合格者の声:1級(特許専門業務) https://www.kentei-info-ip-edu.org/view_popup.php?pageId=1037
  2. 私が知的財産業界を目指したときのこと 40 セアカ セアカ 2023年1月7日 01:52 https://note.com/seakasan/n/n7fa95c3631b1

経営戦略を成功に導く知財戦略(実践事例集)

知財検定1級問題・解説の本のサンプル頁をアマゾンで見ていたら、経営戦略を成功に導く知財戦略(実践事例集)の何ページめを参照しろみたいなことが書いてありました。だったら、この解説本を読まずにその参照されている本を見たほうがよさそうです。これは特許庁が刊行しているPDFみたいです。

  1. 経営戦略を成功に導く知財戦略(実践事例集) 特許庁 https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2020/all.pdf 2020年

知財関連の書籍

  1. 勝つための知財経営戦略 2025年版(別冊日経サイエンス272)) ムック – 2024/10/29 日経サイエンス編集部 (編集) 最先端の知財戦略を紹介すると同時に、知的財産に関する基本事項もまとめ、ビジネスパーソンに必要な情報をすべて提供  
  2. デジタル時代の知財経営戦略 (別冊日経サイエンス257) ムック – 2023/2/14 日経サイエンス編集部 (編集) 2023/2/14 Part1 デジタル時代の知財戦略  取材協力/内閣府 知的財産戦略推進事務局 1 デジタル化の進展、 産業構造の変化は知的財産をどう変えるか? 2 海外と日本、知財戦略の違い 特許数重視vsオープン&クローズ戦略 3 大学・スタートアップの知財エコシステム強化で研究成果のスピーディな社会実装を Part2 知財とは何か   取材協力/日本弁理士会 副会長 伊賀誠司氏 1 知的財産権とは何か 保護の対象と主な要件 2 知的財産を守るための権利を取得する手続き 3 知的財産権を登録する前に 特許権等の調べ方と相談窓口  Part5 知財戦略の先進事例 CASE-01 東京大学 知財をてこに「エコシステム」を創る 10社に1社が上場する東大発スタートアップ 未来ビジョン研究センター副センター長/教授 執行役・副学長 工学系研究技術経営戦略学専攻教授(兼務)渡部俊也氏
  3. 競争力を高める化学・材料系特許明細書の書き方,志賀国際特許事務所知財実務シリーズ出版委員会,発明推進協会,2022年 ”弊所所員が執筆・編集を担当し、日々の実務経験を惜しみなく形にしています。特許事務所としての基幹業務である“特許明細書の作成”をメインテーマに据え、化学・材料系に特化した対応、さらには中間対応についても幅広くご紹介しました。”(書籍紹介ページ
  4. 競争力を高めるバ」医薬系クレームドラフティング (知財実務シリーズ) 2017/12/19 特許業務法人志賀国際特許事務所知財実務シリーズ出版委員会 (著, 編集)
  5. 医薬・ヘルスケアの法務 : 規制・知財・コーポレートのナビゲーション,アンダーソン・毛利・友常法律事務所医薬・ヘルスケア・プラクティス・グループ,商事法務,2020年 ”医薬・ヘルスケア業界で法務・知財・規制に係る業務に従事されている方のみならず、これから医薬・ヘルスケア業界に参入しようとする事業会社や投資会社の業務に従事されている方等も読者層として想定し、これらの読者に重要な法律の概要を掴んで頂くことを目的として執筆された実務書です。” https://www.amt-law.com/insights/books/publication_0022205_ja_001/
  6. すごいぞ!はたらく知財 : 14歳からの知的財産入門,内田朋子 ほか,晶文社,2019年 ”著作物、特許、商標、意匠などの知的財産にかかわる11の仕事に焦点をあて、知財を生み出す仕事の奥深さにふれるとともに、そこに生まれるさまざまな権利や、その正しい利用方法をわかりやすく解説”
  7. 知財がひらく未来 : 山本秀策仕事の哲学,山本秀策,朝日新聞出版,2019年 ”フェイスブック、GoPro、DFSグループ、コヴィディエン、ノバルティス、ハーバード、スタンフォード、MIT、東大、京大、大阪大、北大、名大など国内外の有名企業、大学をクライアントに持ち、特許出願、知的財産の運用について絶大な信頼を得る鬼才弁理士・山本秀策氏の自伝的「知財論」であり、ビジネスの核心と人生を説く「仕事論」。”(アマゾン商品紹介ページ)
  8. 知財担当者になったら読むべき本,大石憲一,発明推進協会,2017年 ”知財業務に慣れるまでには相当な時間と労力を要すると思います。本書の基本コンセプトは、「この本だけ読んでおけば何とかなる!」です。
  9. 創薬研究のための薬事と知財の連結戦略ガイド,内海潤,南山堂,2015年 ”特許取得&薬事承認を目指す,研究マネジメントの道しるべ 創薬(特許取得・薬事承認)を目指す基礎研究者ならびに臨床研究者が,実験段階から特許申請・薬事申請までにやるべきことがわかる! 研究計画・データ解析法の策定や,論文・学会発表など,さまざまな場面の研究マネジメント法を,研究者目線で解説.産学連携の担当者にもおすすめの一冊.”
  10. 新しい理系キャリアの教科書 : 30代・理系人間は知財を武器に勝ち残れ,廣田浩一,幻冬舎メディアコンサルティング,不明
  11. 化学とバイオテクノロジーの特許明細書の書き方読み方 : 研究者と特許担当者のための手引き書,渡邉睦雄,発明協会,2007年
  12. 知財立国 : 日本再生の切り札 : 100の提言,”荒井寿光, 知的財産国家戦略フォーラム”,日刊工業新聞社,2002年

知財関連の読み物

  1. 世界は知財でできている,稲穂健市,講談社,2025年 ”「知財」を巡る現状と今後の方向性に関する最新知識を楽しく学んでいただくことで、一般の読者の皆さんの「知財」のリテラシーをアッ プグレードしてもらうことを目指した” https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000418104

 

知財1級と弁理士とのギャップはどれくらいあるのか

ChatGPT 5:とても良い質問です。結論から言うと――知財検定1級に合格できる実力は、弁理士試験の「入り口レベル」には達していると言えますが、それだけでは弁理士試験に合格できるほどではありません。以下に詳細を整理します。

🧩 1. 両者の目的とレベルの違い

項目 知財検定1級 弁理士試験
主催 日本知的財産協会・発明協会 特許庁(国家試験)
目的 知財実務の理解・企業知財部での応用 特許・意匠・商標などの**独占代理権者(弁理士)**資格
難易度 難関民間検定(合格率15~20%) 国家試験として最難関級(合格率6~7%)

知財検定1級は「企業実務の体系的理解」を問うのに対し、弁理士試験は「法律解釈力・論理構成力・条文運用力」を問う点で性質が異なります。

📘 2. 知識の重なり

共通部分は確かにあります。

  • 特許法・実用新案法・意匠法・商標法の基本構造
  • 知財戦略や制度趣旨に関する理解
  • 先行技術調査・権利化プロセスなどの基礎実務

したがって、弁理士試験の短答式(択一試験)の基礎部分では優位に立てます。

🧠 3. 弁理士試験で新たに必要になる力

ただし、弁理士試験では以下が壁になります:

  1. 条文・判例の細部まで正確に理解し、運用できる法解釈力
  2. 論文式試験での法的思考の文章構成力
  3. 口述試験での瞬発的な応答力(面接)
  4. 改正法・判例への迅速な追随能力

知財検定は「知識の網羅」ですが、弁理士試験は「法的推論と構成力の競技」です。

🔍 4. 実際の勉強時間目安

試験 学習目安時間 コメント
知財検定1級 約400~600時間 社会人でも到達可能
弁理士試験 約2,000~3,000時間 1~2年計画が一般的

知財検定で得た基礎を土台としてさらに約4~5倍の学習量が必要、というのが実情です。

🏁 5. 現実的なステップアップ例

もし弁理士を目指すなら:

  1. 知財検定1級レベルの基礎を復習しつつ、
  2. 弁理士向け予備校の「短答過去問演習」を始める(LEC, TAC, etc.)
  3. 条文暗記+判例趣旨の整理に時間を割く
  4. その後、論文対策へ段階的に移行

多くの弁理士合格者も、「知財検定1級 → 弁理士短答突破 → 論文挑戦」というルートを辿っています。

💬 まとめ

  • 知財検定1級は「弁理士試験の基礎体力」に相当。
  • ただし、合格には法的論理展開力と圧倒的な学習量が必要。
  • 現実的には、短答式試験突破までは到達し得るが、論文・口述には追加訓練必須

参考

  1. 令和7年度弁理士試験受験案内 特許庁 https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/jukenannai.html

動画で学ぶ知財戦略・産官学連携

下の動画は、節水バルブを発明した会社の製品化の話。節水量が90%という1番手の知財化だけでなく、2番手3番手の技術も知財化しておき、節水量が80%の技術で後から他の会社がマーケットに食い込んでこないようにという戦略だったそうです。他の話題は、地域団体商標の話し。

【ケース解説】⑤マーケティングミックス編 ~知って得する知財マネジメント~ INPIT Channel チャンネル登録者数 1020人

  1. 知財マネジメント人材育成教材の提供 独立行政法人工業所有権情報・研修館https://www.inpit.go.jp/jinzai/ipmgmt_material/index.html 上の動画に関連する教材が無料でダウンロードできます。
  2. 特許(法律・基準等)ライフサイエンス分野の審査基準等について 動画教材  IPePlat  独立行政法人 工業所有権情報・研修館 知財に関する動画教材が豊富。要登録(無料)
  3. ライフサイエンス分野の審査基準等について 3.医薬発明(16分41秒) https://ipeplat.inpit.go.jp/Elearning/View/Course/P_studyview2.aspx#no-back
  4. 特許・実用新案審査ハンドブック 特許庁 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html

受動免疫(母子免疫):母親の血液中のIgGが胎児の血液中に入れる仕組み

疑問:胎児や新生児の免疫は母親の抗体で賄われている?なぜ母親の抗体が胎児の血液に入れるの?母親の血液と胎児の血液は胎盤で決して交じり合わないんじゃなかったっけ?

Gemini 2.5 Pro:はい、その通りです。胎児や新生児の免疫の大部分は、母親から受け継いだ抗体によって賄われています。これは受動免疫(または母子免疫)と呼ばれます。ユーザーさんの疑問は、生物学的に非常に重要なポイントを突いています。血液同士は交じり合わないのに、なぜ抗体だけが移動できるのか、その仕組みを解説します。

👶 胎児・新生児の免疫と母親の抗体

胎児や生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分で十分な抗体(免疫グロブリン)を作ることができません。そのため、母親から抗体を受け取ることで、感染症から身を守っています。

  • 胎児期(お腹の中): 胎盤を通じて、母親の血液中にある「IgG(免疫グロブリンG)」という種類の抗体を受け取ります。
  • 新生児期(生まれた後): 主に母乳、特に分娩後数日間の「初乳」に含まれる「IgA(免疫グロブリンA)」という抗体を受け取ります。これは主に赤ちゃんの腸管を感染から守ります。

母親から胎盤経由でもらったIgG抗体は、生後6ヶ月頃まで赤ちゃんの体内に残り、さまざまな感染症(はしか、風疹、おたふくかぜ等、母親が免疫を持つ病気)から守ってくれます。

🛡️ なぜ抗体だけが胎盤を通過できるのか?

ユーザーさんのご指摘通り、母親の血液と胎児の血液は、胎盤で決して直接交じり合いません

胎盤は、母親の血管と胎児の血管が非常に近接している場所ですが、両者の間には「胎盤関門」と呼ばれる薄い細胞の層があります。この関門は「関所」のような働きをしています。

  1. 血液細胞は通過できない:赤血球や白血球などの血液細胞は大きすぎるため、この関所(胎盤関門)を通過できません。もし交じり合ってしまうと、お互いの血液型や免疫細胞が反応し合い、大変なことになります。(※ただし、出産時などに微量に混ざることがあり、それがRh血液型不適合などの原因になることもあります。)
  2. IgG抗体は「特別に」通過できる:酸素や栄養素、老廃物などは、この関所を通過して交換されます。そして、数種類ある抗体のうち、IgGだけが、この関所を通過するための特別な仕組み(能動輸送)を持っています。
    • IgGは、胎盤関門にある特定の「運び屋」(専門的にはFcRn受容体と呼ばれます)と結合します。
    • この「運び屋」が、IgGを母親の血液側からキャッチし、関門の細胞内を通って、胎児の血液側へと運び届けるのです。

つまり、IgGは「特別な通行証」を持っており、胎盤の「関所」を意図的に通過することが許されているのです。他の抗体(IgMやIgAなど)はこの仕組みを持っていないため、胎盤を通過できません。

✅ 結論

ユーザーさんの疑問をまとめると、以下のようになります。

  • 疑問1: 胎児・新生児の免疫は母親の抗体で賄われている?
    • 答え: はい。胎盤を通じてIgGを、母乳を通じてIgAを受け取っています。
  • 疑問2: なぜ母親の抗体が胎児の血液に入れるの?
    • 答え: 抗体のうちIgGだけが、胎盤を通過するための特別な輸送システム(運び屋)を持っているためです。
  • 疑問3: 母親と胎児の血液は交じり合わないのでは?
    • 答え: その通りです。血液細胞そのものは交じり合いません。胎盤という「関所」を介して、酸素や栄養素、そしてIgG抗体のような必要な物質だけが選択的に交換されています。

 

参考図書

  1. 10-17 The neonatal Fc receptor carries IgG across the placenta and prevents IgG excretion from the body. Janeway’s Immunobiology 10e, Pages 433-434.
  2. 15-26 The fetus is an allograft that istolerated repeatedly. Janeway’s Immunobiology 10e, Pages 741-742.

叫ぶのを繰り返したり舌打ちを繰り返したりする症状?チック症・トゥレット症・汚言症について

満員電車の中で自分の前にいた人が、「あっ!」とか「わっ!」とかずーっとデカい叫び声をあげたり、大きな音で舌打ちするのを連続的にやってたりする男性で、最初は自分に押されたと思って腹を立ててこちらに対して威嚇してきたのかと思ったのですが、どうやら、自分が標的になったわけではなくて、誰に対してということもなく叫んだりしていたようです。これは何かの病気なのでしょうか。Geminiに訊いてみました。

Gemini 2.5 Pro:電車の中でそのような場面に遭遇すると、驚かれたことと思います。ご質問いただいた内容(大きな叫び声や舌打ちを繰り返す)から、特定の「病気」を診断することはできません。AIや第三者が、限られた情報で医学的な診断を下すことは不可能であり、不適切です。

その上で、一般論として考えられる可能性について説明します。

考えられる可能性:チック症(トゥレット症)

ご質問いただいたような、本人の意思とは関係なく、突然「あっ!」などの声(音声チック)が出たり、舌打ちや特定の動き(運動チック)を繰り返したりする症状がある場合、「チック症(Tic disorders)」と呼ばれる状態の可能性があります。

チック症とは?

  • 不随意(ふずい):本人が「やろう」と思ってやっているのではなく、意図せずに出てしまう動きや声のことです。
  • 運動チック:まばたき、顔をしかめる、首を振る、舌打ち、飛び跳ねるなど、体の動きとして現れるもの。
  • 音声チック:咳払いや鼻を鳴らす単純なものから、「あっ!」という叫び声、不適切な言葉(汚言症:コプロラリア)など、声として現れるもの。

トゥレット症(Tourette’s Syndrome)

チック症の中でも、複数の「運動チック」と1つ以上の「音声チック」が1年以上にわたって続く場合、**トゥレット症(トゥレット障害)**と診断されることがあります。これは神経発達障害の一つと考えられています。

注意点

  • チックだけとは限らない:もちろん、これらの行動が必ずしもチック症やトゥレット症であるとは限りません。他の発達障害(例:自閉スペクトラム症の常同行動や自己刺激行動)や、精神疾患(例:強迫症)、あるいは極度のストレスなど、他の様々な要因によって引き起こされる行動の可能性も否定できません。
  • 診断は専門家のみ:どのような理由であれ、その行動の背景にあるものを正確に知るには、医師による専門的な診察と評価が必要です。

したがって、その男性が「なんという病気か」という問いに対しては、「情報が不足しているため、また医療行為にあたるため、お答えすることはできません」というのが正確な回答となります。

 

トゥレット症とチック症の違いは?

Gemini 2.5 Pro:「チック症(Tic disorders)」と「トゥレット症(Tourette’s Syndrome)」の違いについての、非常に良いご質問ですね。簡単に言えば、「チック症」は全体を指す広い概念(総称)であり、「トゥレット症」はその「チック症」というカテゴリの中に含まれる、特定の一つの診断名です。

階層で見る違い

  • チック症(チック障害):これが一番大きなカテゴリ(総称)です。
    • このカテゴリは、主に「①チックの種類」と「②症状の持続期間」によって、いくつかの診断名に分類されます。
    • その分類の一つが「トゥレット症」です。

チック症の主な分類

「チック症」は、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)などに基づき、主に以下の3つに分類されます。

  1. トゥレット症(トゥレット障害)
  2. 持続性(慢性)チック症
  3. 暫定的(一過性)チック症

この3つの違いは、**「症状の期間」「チックの種類」**の組み合わせで決まります。

3つの分類の具体的な違い

診断名 1. チックの種類 2. 症状の持続期間
トゥレット症 運動チック(体の動き)と

音声チック(声)の両方がある

1年以上続いている
持続性チック症 運動チック または 音声チック

どちらか一方のみ

1年以上続いている
暫定的チック症 運動チック、音声チック

(または両方)

1年未満で症状が治まる

ポイントのまとめ

  • トゥレット症と診断されるには、①「運動」と「音声」の2種類のチックが両方あり、かつ②それが「1年以上」続いている必要があります。
  • もし1年以上続いていても、まばたき(運動)だけ、または咳払い(音声)だけ、のようにどちらか一方の種類のチックしかない場合は、「持続性チック症」と呼ばれます。
  • チックが始まってからまだ1年経っていない場合は、「暫定的チック症」と呼ばれます。

参考

【チック症】家族チャンネル始めました! チック症と家族の日記 チャンネル登録者数 5.28万人

汚言症とは

AI による概要

汚言症とは、自分の意思とは無関係に、卑猥な言葉や不適切な言葉を不随意に発してしまう症状です。これは医学的にはコプロラリアと呼ばれ、多くの場合、チック症やトゥレット症候群の症状の一つとして現れます。本人が言いたくないと思っていても口から出てしまうため、自己嫌悪や罪悪感を抱いたり、社会生活に大きな困難を感じたりすることがあります。

主な特徴 不随意性:自分で制御できない、意思に反して言葉が出てしまう。

不適切な言葉:卑猥語、罵倒語、差別的な言葉など、社会的に容認されない言葉を発する。

チック症の一種:咳払いなどの他の音声チックと同様に、突然、突発的、急なリズムで繰り返されることがある。 トゥレット症候群の症状:トゥレット症候群の患者の一部に見られる特徴的な症状だが、すべての患者にみられるわけではない。

多様な症状:人によって発する言葉の内容や頻度には個人差があり、手話での罵倒や不適切なジェスチャーを伴う場合もある。 周囲の誤解:周囲からは単なる癖やマナー違反と誤解されやすく、差別や偏見の対象になることがある。

本人の苦悩 強い自己嫌悪:言ってはいけない言葉を言ってしまうことへの罪悪感や、自己嫌悪に陥りやすい。 社会生活への影響:誤解されたり、嫌われたくないという不安から、外出が困難になったり、引きこもりになったりすることもある。

感情の負担:症状を無理に我慢すると、かえって悪化することがあるため、我慢しきれない苦しさを抱えている。

 

15秒に1回、大声がでる「トゥレット症」と闘うウーバー配達員(28)が叶えたい夢【報道特集】 TBS NEWS DIG Powered by JNN チャンネル登録者数 310万人

 

トゥレット症 の現在の治療法にはどんなものがありますか?標準療法、その他、保険適用でないものも含めて教えてください。

Gemini 2.5 Pro:トゥレット症の現在の治療法について、保険適用、保険適用外のものも含めてご説明します。まず大切な前提として、現在のところトゥレット症を完全に根治させる(症状をゼロにする)治療法は確立されていません治療の主な目的は、症状を完全に消すことではなく、チック症状を本人がコントロールできる範囲に軽減し、日常生活や社会生活における困難を減らし、生活の質(QOL)を向上させることにあります。治療は「症状が軽い場合は何もしない」という選択も含め、以下の方法を単独または組み合わせて行われます。

1. 標準的な治療法(保険適用が中心)

まずは土台として、本人と周囲がチックについて正しく理解する「心理教育」と「環境調整」を行い、その上で必要に応じて行動療法や薬物療法が選択されます。

🌎 心理教育と環境調整

  • 心理教育: 本人、家族、学校や職場の関係者が、チックが「わざとやっているのではない」不随意なものであることを正しく理解します。症状を無理に止めさせたり叱責したりしないことが非常に重要です。
  • 環境調整: ストレスや緊張、疲労はチックを悪化させる要因になり得ます。本人がリラックスできる環境を整え、ストレス要因をできるだけ取り除くようにします。軽症の場合は、これだけで症状が軽減することも多いです。

🧠 行動療法

薬物を使わない治療法として近年非常に重視されており、第一選択肢となることもあります。

  • CBIT(シービット:包括的行動的介入)
    • トゥレット症の行動療法として、有効性が高く評価されている治療法です。
    • チックが出そうになる「前兆(むずむずする感覚など)」に気づく訓練(気づきの訓練)と、チックが出そうになった時に、そのチックと両立しない別の動作(例:声を出す代わりに深呼吸をする、首を振る代わりに首の筋肉に力を入れる)を行う訓練(拮抗反応)を組み合わせます。
    • 専門的な訓練を受けたセラピストの指導が必要ですが、日本ではまだ実施できる医療機関が限られています。
  • 習慣逆転法(HRT)
    • CBITの中核をなす技法で、上記の「気づきの訓練」と「拮抗反応」を指します。

保険適用について:

認知行動療法に基づくこれらの技法は、診療報酬(保険)上は「通院・在宅精神療法」などの枠組みで行われることがありますが、CBIT自体が特定の治療プログラムとして公的保険で広くカバーされている状況ではありません。

💊 薬物療法

行動療法だけでは症状のコントロールが難しい場合や、チックによって日常生活に大きな支障(例:痛み、怪我、いじめ、学業や仕事への影響)が出ている場合に用いられます。

  • 主な薬剤(保険適用):
    • 非定型抗精神病薬(ドーパミン遮断薬): トゥレット症の薬物療法の中心です。脳内のドーパミン系の活動を調整することで、チックを軽減します。
      • アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)
      • リスペリドン(商品名:リスパダール)
    • 定型抗精神病薬: 古くから使われているドーパミン遮断薬です。
      • ハロペリドール(商品名:セレネースなど)
      • ピモジド(商品名:オーラップ)
  • その他の薬剤: 併存する症状(ADHDや強迫症)に応じて、ADHD治療薬や抗うつ薬、漢方薬などが併用されることもあります。

2. その他の治療法(保険適用外・特定の条件下で適用)

標準的な治療法で効果が得られない、特に重度の難治性の場合に検討される治療法です。

🧠 DBS(脳深部刺激療法)

  • 内容: 脳の特定部位(視床など)に電極を植え込み、胸のあたりに植え込んだ刺激装置から微弱な電気を流して脳の活動を調整する外科手術です。
  • 対象: 他の治療法(薬物療法や行動療法)を長期間行っても効果がなく、日常生活が著しく困難な、成人の重症・難治性トゥレット症に限られます。
  • 保険適用: このDBS手術は、難治性トゥレット症に対しても保険適用となっています。 ただし、実施できる医療機関は大学病院などの専門施設に限られます。

💉 ボツリヌス注射(ボトックス)

  • 内容: チックが現れる特定の筋肉(例:まぶた、首、肩など)にボツリヌス菌の毒素(ボトックス)を注射し、筋肉の緊張を緩めてチックを局所的に抑えます。
  • 対象: 体の一部分に限定された、頑固な運動チックや音声チック(声帯への注射)に有効な場合があります。
  • 保険適用: トゥレット症の治療としては、現在保険適用外(自費診療)となります。(眼瞼けいれんなど、他の疾患では保険適用です)

🦷 マウスピース(口腔内スプリント)

  • 内容: 特別に作製したマウスピースを装着することで、噛み合わせの位置を調整し、脳の感覚入力を変化させることでチックを軽減するという報告があります。
  • 保険適用: 保険適用外であり、まだ研究段階の治療法とされています。

💊 保険適用外の薬物使用(オフラベル使用)

  • 抗てんかん薬(トピラマートなど)や、高血圧の薬(クロニジンなど)、少量L-ドパ療法など、本来トゥレット症の適応が承認されていない薬が、医師の判断で(保険適用外で)使用されることがあります。

治療法の選択

どの治療法を選択するかは、症状の重さ、本人がどれだけ困っているか、併存症(ADHD、強迫症など)の有無、そして本人の年齢によって大きく異なります。

まずは専門の医師(小児科、児童精神科、精神科、神経内科)と相談し、メリットとデメリットを理解した上で治療方針を決めていくことが重要です。

 

 

陽子線を用いたがん治療のしくみ

放射線治療という言葉は聞いたことがありましたが、陽子線が、がん治療に使われているというのを初めて知りました。通常の放射線を用いるよりも、陽子線を用いるほうが、がん組織に対してピンポイントで攻撃ができるメリットがあるそうです。

 陽子線治療の概要 国立がんセンター 東病院

上のグラフが非常に分かりやすいです。

 

抗がん剤「クレスチン」(一般名:カワラタケ由来たん白多糖体、PSK)

プロンプト:抗がん剤クレスチンってまだ使われている?

Gemini 2.5 Pro:抗がん剤「クレスチン」(一般名:カワラタケ由来たん白多糖体、PSK)は、日本では現在、製造・販売が中止されており、医療用医薬品としては使用されていません。

経緯

  1. 承認と使用: クレスチンは1976年に日本で承認され、胃がんや結腸・直腸がん、小細胞肺がんの患者さんに対し、化学療法と併用する免疫賦活剤(免疫力を高める薬)として広く使用されていました。
  2. 販売中止: しかし、その後の薬効再評価や、製造に必要な原料の調達困難、需要の減少などを理由に、製造販売元のクレハおよび販売元の第一三共は、2017年9月末をもって「クレスチン細粒」の販売を中止しました。
  3. 薬価削除: 経過措置期間を経て、2018年3月末をもって薬価基準(公的医療保険で使える薬のリスト)から削除されました。

したがって、日本の医療機関で「クレスチン」が処方されることは現在ありません。

補足:海外での状況

クレスチンの有効成分である「PSK」(Polysaccharide-K)は、海外(特にアジアや、一部欧米)では、がんの補助療法やサプリメントとして研究が続けられていたり、使用されている場合があります。しかし、日本国内においては、上記の通り医薬品としての役目を終えています。

 

プロンプト:薬効再評価で、抗腫瘍効果が全く存在しなかった?

Gemini 2.5 Pro:いえ、「全く効果が存在しなかった」と結論づけるのは、正確ではありません。

これは非常に重要な点で、クレスチンのケースは「効果がゼロだった」という単純な話ではなく、「医学の進歩によって、求められる“有効性”の基準が変わった」という、科学的評価の変遷を示す典型的な例です。


1. 「効果がなかった」とは言えない理由

クレスチンは「免疫賦活剤(免疫力を高める薬)」であり、がん細胞を直接殺す細胞毒性型の抗がん剤ではありませんでした。

  • 当時のエビデンス: 承認された1970年代〜1980年代の臨床試験や、その後のメタアナリシス(複数の研究の統合分析)では、「化学療法と併用することで、胃がんや大腸がん、小細胞肺がん患者の生存期間を延長する」というデータが確かに存在しました。(検索結果 3.2, 3.8参照)
  • 1989年の再評価: 実際に1989年に行われた薬効再評価では、これらのデータ(化学療法との併用による生存期間の延長)が認められ、承認が維持されています。(検索結果 3.2参照)
  • 作用機序: 生物学的な効果(免疫担当細胞の活性化など)も研究されていました。(検索結果 3.5, 3.9参照)

つまり、「当時の医療水準において、一定の臨床的有用性(効果)が証明されていた」のは事実です。


2. なぜ「再評価で厳しくなった」のか?

問題は、1990年代以降、EBM(根拠に基づく医療)の考え方が主流になり、「臨床的有用性」を証明するためのハードル(基準)が劇的に上がったことです。

  1. エビデンスの「質」への要求:
    • 当時: 「腫瘍が少し小さくなった(奏効率)」や、小規模な試験でも「有効」と判断されることがありました。
    • 現在: 大規模なランダム化比較試験(RCT)で、「全生存期間(Overall Survival, OS)」をどれだけ明確に延長できるか、という非常に厳格な基準(統計的有意差)が求められます。
  2. 新しい治療法の登場(相対的な価値の低下):
    • クレスチンが示していた(とされる)生存期間の延長効果は、現代の基準で見ると「わずか」または「統計的に不安定」と判断される可能性が高いものでした。
    • 2000年代以降、分子標的薬や、特にオプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬が登場しました。これらは、一部のがんに対して従来の薬とは比較にならない劇的な効果を示しました。
    • これらの新薬が示す「明確で大きな効果」が、現代の「有効」の基準となりました。

結論

クレスチンが市場から消えたのは、「全くのウソだった」からではありません。

**「かつては有効とされたが、より厳格な現代のEBMの基準で見直した場合、その臨床的有用性(生存期間の延長効果)は、新しく登場した薬に比べて“不十分”または“不明確”と見なされるようになったから」**というのが実態です。

臨床現場の医師たちが、よりエビデンスレベルの高い新薬を優先して処方するようになったため「需要が減少」し(検索結果 2.1)、メーカーも原料調達の困難さ(検索結果 2.1)も相まって、製造を続ける意義がなくなった、というのが正確な流れです。

これは、クレスチンに限らず、多くの古い薬が直面する「科学の進歩による“歴史的役割”の終了」と言えます。

 

参考

  1. 副作用はほぼないが効果も証明されていない…そんな「日本独自の薬」が50年以上販売され続けているワケ 臨床で効果を発揮できない「話題先行の特効薬」という問題 PRESIDENT Online 名取 宏 名取 宏 内科医 2024/02/20 14:00 https://president.jp/articles/-/78722?page=2 クレスチンやピシバニールにかかった医療費は、ピーク時には年間数百億円累積では一兆円を超えたといいます。その後、有効性は確認できず、クレスチンは販売中止、ピシバニールも一部の良性疾患には使用されているものの、がんに対する標準医療とはみなされていません。
  2. 日本における抗癌剤開発とガイドラインの歴史 前田英紀*1, * 2 ,黒川達夫*1 薬史学雑誌 49(2),196-204(2014) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhp/49/2/49_196/_pdf/-char/ja
  3. 第126回国会 衆議院 厚生委員会 第6号 平成5年(1993年)4月2日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=112604237X00619930402 074・菅直人 ○菅委員 丹羽大臣、大臣もこの委員会は長いから、あるいは御記憶にあるかもしれませんが、実はこのクレスチンという薬は、最初の審査のときにも同じ問題があるわけですよ。 これは一九八一年ですからもう古い話ですが、私はこの委員会でやはり取り上げたのです。最初の審査に当たっても、つまりクレスチンの効果があるというデータを出された、たしか二人だったと思いますが、二人の方が抗悪性腫瘍剤調査会のメンバーになっていて、そして堂々とその審査に当たっていた。それが後になってわかりまして、簡単に言えば、そのときに中央薬事審議会のあり方について相当議論があったわけです。 その同じ薬がまた再評価に当たって、発言をしていないといっても、専門家のそう多くない集団の中で、私が責任を持って出したデータではこんなに効いていますというものが出されているところで、いや、どうもあのデータの中身はちょっとおかしいんじゃないか、他のデータもあるんじゃないかと言うことは、やはり若干遠慮というものが当然ながら発生するわけですよ。 しかもこのクレスチンという薬は、御承知だと思いますが、先日出してもらったデータによると、最大時年間五百三十億円程度の売り上げがあった。承認から現在に至るまで、単独では一兆円まではいかないかもしれませんが、少なくとも一兆円に近い数千億という巨額の売り上げをこの薬は上げているわけです。 しかも、率直に言いましてこの薬についての効能は、再評価では少なくともその水準には達していないということになって、併用剤としての承認のみになったわけですが、結局この負担はだれがしているのか。大部分の国民の加わっている、あるいは全国民が加わっている保険診療の中から出ているわけです。そういうものがそのスタートの段階に当たっても大変問題のある形で質疑をされて許可をされ、今度は再評価に当たっても、もう取り消されるのではないかと言われていたのが、併用剤という形でいわば生き延びた。疑惑を二重にも招いているわけです。 それで、平成二年に規程を変えて、少し厳しくしたと言われますが、少なくともこの一九八一年当時、園田大臣の当時ですから大分古い話になりますが、もうその時点からこのことが指摘されているにもかかわらず、その後約十年近くにわたってきちんとした改正がされてこなかった責任というのは、厚生省、特に業務局の体質に非常に問題があるのではないか。業務局というのはどうしてもメーカーとの関連が非常に深い。先ほど、今回の企業指導というのも何か手数料をもらってやるんだと言われるから、どうもぴんとこないのですね、そういうことも含めて。そういう点で、業務局の姿勢に基本的に問題があるのではないかと私は思いますが、大臣、いかがお考えですか。 発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112604237X00619930402/74
  4. 1990年1月 クレスチン・ピシバニール再評価の科学的問題点 https://npojip.org/tip_menu/tip_contents_20c.htm

 

硝子体手術

プロンプト:硝子体手術で、世界で初めて硝子体を入れ替える手術をした医師、患者、年は?

Gemini 2.5 Pro:

世界で初めて現代的な「硝子体手術(経毛様体扁平部硝子体手術)」を成功させたのは、以下の通りです。

  • 医師: ロバート・マヘマー(Robert Machemer)医師
  • 年: 1970年4月20日
  • 患者: 患者の具体的な氏名は公表されていませんが、「慢性の糖尿病性硝子体出血」を患っていた米国マイアミの患者であったと報告されています。

補足情報

ロバート・マヘマー医師は、この手術のために「VISC (vitreous infusion suction cutter)」と呼ばれる、硝子体の吸引・切除と灌流(眼内圧を維持するための液体注入)を同時に行う器具を開発しました。

彼の手法(pars plana vitrectomy)が確立される以前にも、1960年代にデビッド・カスナー(David Kasner)医師らによる「オープン・スカイ法」(角膜を大きく切開して硝子体を除去する方法)などの試みはありましたが、眼球に小さな穴を開けて手術を行うマヘマー医師の低侵襲な手法は画期的であり、彼は「現代網膜手術の父」と呼ばれています。この最初の手術により、患者の視力は大幅に改善したとされています。

【統計誤用例】マン・ホイットニー検定で平均値の有意差を述べるのは間違い

正規分布する2群(対象群と実験群)の平均値に有意差があるかどうかを検討する場合には、t検定が使われます。では、正規分布するかどうかわからない、もしくは正規分布しているようには見えない2群の平均値の有意差をみるには、どうすればいいでしょうか?

マン・ホイットニー検定を用いて2群の平均値の有意差をみればよい?自分はうっかり、そう思っていたのですが、それは間違いでした。自分と同じ誤解をしている人も多いのではないかと思い、生成AIとの会話を書いておきます。

 

質問:正規分布でなく、未知の分布に従う観測量に関して、実験群と対照群の間に平均値の差があるかないかを調べる統計学的手法は何?その場合は、t検定ではないいよね?マン・ホイットニー検定だっけ?

Gemini 2.5 Pro:

おっしゃる通り、データが正規分布に従うという仮定ができない場合、2群の平均値の差を検定するためにt検定を使うのは適切ではありません。

ご指摘の「ホイットニー検定」(一般にはマン・ホイットニーのU検定、またはウィルコクソンの順位和検定と呼ばれます)は、まさにそのような正規分布を仮定しない(ノンパラメトリックな)場合に用いられる代表的な手法です。

ただし、厳密な意味で「平均値」の差を直接検定しているわけではない点に、少し注意が必要です。

マン・ホイットニーのU検定 (Mann-Whitney U test)

  • 何を検定しているか?
    • この検定は、データを順位(ランク)に変換して扱います。
    • 検定している帰無仮説は「2つの群の分布が同じである」ということです。
    • 対立仮説は「2つの群の分布の位置が異なる(一方が他方より大きい値を取りやすい)」となります。
  • 「平均値」ではなく「中央値」
    • この検定は、分布の「平均値」よりも「中央値」の差に敏感です。
    • もし「2つの群の分布の形状は同じだが、位置だけが異なる」という仮定を置けるのであれば、この検定は「中央値の差の検定」と解釈することができます。
    • 正規分布を仮定しない場合、外れ値などの影響を受けにくい中央値の差を見るマン・ホイットニーのU検定が、t検定の代わりとして最も一般的に使われます。

「平均値」の差を検定する他のノンパラメトリック手法

もし、どうしても「中央値」ではなく「平均値」の差にこだわりたい場合、以下の計算機集約的な手法(リサンプリング法)があります。

  1. ブートストラップ法 (Bootstrap method)
    • 各群の観測データから、復元抽出し(同じデータを何度も選んでよい)、元のサンプルサイズと同じ大きさの「ブートストラップ・サンプル」を多数(例:10,000回)作成します。
    • 各ブートストラップ・サンプルペアの平均値の差を計算し、その差の分布(信頼区間など)を経験的に構築します。
    • 観測された実際の平均値の差が、この分布において統計的に有意かどうかを評価します。
  2. 順列検定 (Permutation test)
    • 「2群間に差がない」という帰無仮説のもと、両群の全データ(例:実験群10人、対照群12人、合計22人)をごちゃ混ぜにします。
    • その22人のデータから、ランダムに10人を「新しい実験群」、12人を「新しい対照群」として割り当てる、という操作を多数(例:10,000回)繰り返します。
    • 各繰り返しで平均値の差を計算し、「ランダムな割り当てで生じる平均値の差の分布」を作ります。
    • 実際に観測された平均値の差が、この分布の中でどの程度稀な(極端な)値であるかを評価し、p値を算出します。

まとめ

  • t検定: 正規分布を仮定する場合は、平均値の差の検定に使えますが、今回は不適切です。
  • マン・ホイットニーのU検定: ご指摘の通り、正規分布を仮定しない場合の最も一般的な代替手法です。ただし、厳密には「中央値(分布の位置)」の差を見ています。
  • ブートストラップ法 / 順列検定: 分布を仮定せず、かつ「平均値」の差を直接検定したい場合に強力な手法です。

臨床研究や生物学の実験データでは、正規分布に従わないことも多いため、マン・ホイットニーのU検定が非常に頻繁に用いられます。

研究の文脈で「代表値の差を見たい」のであれば、マン・ホイットニーのU検定(中央値の差)を採用するのが一般的かと思います。もし「平均値」そのものの差をノンパラメトリックに検定する必要がある場合は、ブートストラップ法などを検討することになります。

 

質問:自分がこれまで読んできた科学研究論文はほぼ全てで、平均値の差の有無を調べるために、マンホイットニー検定をしてたと思うんだけど、「マンホイットニー検定の結果、平均値に有意な差があった」という言い方は、厳格にいうと、間違いってこと?つまり中央値に差はあったとしても、実は平均値には差が無いということもありうる?

Gemini 2.5 Pro:

はい、非常に鋭いご指摘です。その疑問は統計学を実践で使う上でとても重要です。

結論から申し上げます。

  1. 厳密には間違いか?
    • はい、厳密に言えば「マン・ホイットニーのU検定(MWU検定)の結果、平均値に有意な差があった」という記述は間違いです。
    • MWU検定は、あくまで**順位(ランク)**に基づいており、「分布の位置(多くの場合、中央値で代表される)が異なる」ことを検出する検定です。
  2. 中央値に差があるが、平均値に差がないケースはありうるか?
    • はい、ありえます。
    • これは、一方の群に極端な「外れ値」があり、それが平均値を大きく引っ張っている(歪めている)場合に発生します。

🤔 現実的に、その言い方は許容されているのか?

ここが最も悩ましい実務上の問題です。

お察しの通り、多くの科学論文(特に生物医学分野)で、正規分布を仮定できないデータに対してMWU検定を使い、その結果を(暗黙的に)「平均値の差」のように記述しているケースは非常に多く見られます

これは、以下の背景があるためです。

  1. 歴史的経緯と慣習: t検定が「平均値の差」を検定する代表的な手法であったため、そのノンパラメトリック版であるMWU検定も、t検定と同じ目的(=代表値の差)で使われるという慣習が根付いています。
  2. 実質的な結論の重視: 研究者が知りたいのは「薬Aは薬Bより効果があるか(=値が大きくなるか)」であり、その代表値が平均値であれ中央値であれ、実質的な結論は変わらないことが多いです。分布が極端に歪んでいない限り、平均値が大きければ中央値も大きい傾向があります。
  3. 外れ値への頑健性: 生物データなどは外れ値が出やすいため、平均値は外れ値に引っ張られて「代表値」として不適切になることがあります。その場合、中央値の方がデータの中心的な傾向をよりよく表します。そのため、「平均値」を比較するt検定よりも「中央値」を比較するMWU検定の方が、データの性質上望ましいと判断されます。

望ましい記述(ベストプラクティス)

統計学的に最も厳格で正確な記述は以下のようになります。

「実験群と対照群の比較にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。その結果、両群の分布には統計的に有意な差が認められた (p < 0.05)。」

(または、中央値に言及して)

「…その結果、実験群の中央値は、対照群の中央値と比較して有意に高かった (p < 0.05)。」

この場合、グラフも「平均値±標準誤差 (Mean ± SEM)」ではなく、「中央値と四分位範囲 (Median with IQR)」を示す箱ひげ図を使うのが最も整合性が取れます。

現実(よくある記述)

「両群の比較にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。その結果、実験群は対照群と比較して有意な増加を示した (p < 0.05)。」

このように「平均値」という言葉を意図的に避け、「増加」や「差」といった曖昧な言葉で表現することも多いです。


結論として: 「MWU検定で平均値の差を見た」という記述は、厳密な統計学の観点からは不正確です。しかし、多くの研究分野において「正規分布しないデータに対してt検定の代わりに行った検定」という文脈で、慣習的に(あるいは不正確さを承知の上で)そのように解釈・記述されているのが実情です。

もしご自身で論文を書かれる際は、「中央値の差」または「分布の差」と記述するか、グラフを箱ひげ図にして中央値を示すのが最も安全で正確です。

このあたりの統計手法の「厳密さ」と「現場での使われ方」のギャップは、多くの研究者が悩むところですね。

 

質問:マンホイットニー検定をしたのに、Mean ± SEMで表記していたら、それは、間違った行為 といえるわけね。箱ひげ図で示すべきだったというわけね。

Gemini 2.5 Pro:

はい、その通りです。厳密に言えば、**「間違った行為」または「統計的に一貫性のない(misleadingな)行為」**と言えます。

🚨 なぜ一貫性がないのか?

  1. 検定手法の目的:
    • マン・ホイットニーのU検定 (MWU検定) は、データが正規分布していない、あるいは外れ値がある可能性を考慮し、**中央値(Median)**や分布全体の位置を比較するために選択されるノンパラメトリック検定です。
    • この検定を選ぶ時点で、「平均値 (Mean) は、このデータの代表値としてふさわしくない」と判断していることになります。
  2. グラフ・記述統計の目的:
    • Mean ± SEM(平均値 ± 標準誤差)は、平均値を中心的な代表値とみなし、その推定精度を示すものです。これはt検定のようなパラメトリック検定と相性が良い記述方法です。
  3. 矛盾:
    • 検定では「平均値は信頼できないので中央値を見ます」と言っておきながら、グラフでは「やはり平均値で示します」と言っていることになり、論理的な矛盾が生じます。
    • MWU検定で得られたp値は、あくまで中央値(あるいは分布)の差に対するものであり、グラフに示されたMean ± SEMの差に直接対応するものではありません。

📈 あるべき姿

おっしゃる通り、MWU検定を行った場合の記述統計とグラフは、以下のようにするのが統計的に一貫しています。

グラフ: 箱ひげ図 (Box plot)を用いる。 * 箱ひげ図は、MWU検定が注目している中央値 (Median)四分位範囲 (IQR)、およびデータの全体の広がりを視覚的に完璧に表現します。

  • 本文や表での記述: 「中央値 (四分位範囲)」、すなわち Median (IQR) を記載する。
    • 例: 「実験群の中央値は 10.5 (IQR: 8.2-13.7) であり、対照群の 5.3 (IQR: 3.1-7.4) と比較して…」

この「検定手法」と「記述・グラフ」の一貫性は、論文の査読(レビュー)においても非常に重要視されるポイントです。MWU検定を使っているのにMean ± SEMの棒グラフが示されていると、査読者から「なぜ中央値で示さないのか?」と指摘される可能性が十分にあります。

 

平均値が同じで中央値に有意差がつくデータ例

平均値が同じで中央値が異なり、有意差がつくデータ例を、Geminiに作ってもらいました。

# Group A: 中央値は低いが、外れ値が平均値を引き上げる
group_a = np.array([
100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 164
])

# Group B: 中央値は高いが、平均値はAと同一
group_b = np.array([
105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 119
])

群A 平均値: 110.00
群A 中央値: 104.50
群B 平均値: 110.00
群B 中央値: 109.50

MWU検定 (両側): p = 0.0171
MWU検定 (片側 B > A): p = 0.9931
t検定 (参考): p = 1.0000

 

質問:データ、正規分布じゃないからマンホイットニー使いましたって言いたい場合に、正規性の検定はどうすればいいの?散布済みて明らか とは言えないよね。

Gemini 2.5 Pro:

おっしゃる通り、「散布図を見て明らか」というのは主観的であり、論文などで正規性を否定する根拠としては弱いです。

そのために、正規性の検定 (Normality Test) という統計学的手法を用います。

1. シャピロ・ウィルク検定 (Shapiro-Wilk Test)

最も一般的で、検出力の高い(=正規分布から少しでも外れているのを見抜く力が強い)正規性の検定手法です。

  • 帰無仮説 ($H_0$): 「このデータは正規分布に従う
  • 対立仮説 ($H_1$): 「このデータは正規分布に従わない

したがって、検定結果の p値 の見方は、t検定やMWU検定とはになります。

  • $p < 0.05$ の場合: 帰無仮説が棄却される
    • → 「データは正規分布に従わない」と結論できる
    • → t検定は不適切。マン・ホイットニーのU検定(MWU検定)を使う強力な根拠となる。
  • $p \ge 0.05$ の場合: 帰無仮説は棄却されない
    • → 「データが正規分布に従わないとは言えない」(正規分布と仮定してもよい)
    • → t検定を使ってもよい、という根拠になる。

重要な注意点: t検定を使うには、両方の群が正規性の検定をパスする($p \ge 0.05$)必要があります。片方でも $p < 0.05$ となれば、両群の比較にはMWU検定を使うべきです。