特許法 第一章 総則(第一条~第二十八条) 特許法条文朗読(ナレーション)YOUTUBE動画文字付

弁理士試験などの受験勉強をするにあたって、法律の条文をある程度暗記していたほうが有利だと思いますが、丸暗記するのは大変です。朗読をBGM替わりに流しっぱなしにすれば、少しは助けになるのではないかと思ってYOUTUBEを探したら、朗読動画がいくつかありました。

【読み上げ音声】特許法 第一章 総則(第一条~第二十八条) 法ヨミ! チャンネル登録者数 182人

特許法 令和7年6月1日 施行 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121
第一章 総則(第一条―第二十八条)

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。

一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

(期間の計算)
第三条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

(期間の延長等)
第四条 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。

第五条 特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。
3 第一項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。

(法人でない社団等の手続をする能力)
第六条 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。

一 出願審査の請求をすること。
二 特許異議の申立てをすること。
三 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
四 第百七十一条第一項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

(未成年者、成年被後見人等の手続をする能力)
第七条 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは、この限りでない。
2 被保佐人が手続をするには、保佐人の同意を得なければならない。
3 法定代理人が手続をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
4 被保佐人又は法定代理人が、その特許権に係る特許異議の申立て又は相手方が請求した審判若しくは再審について手続をするときは、前二項の規定は、適用しない。

(在外者の特許管理人)
第八条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。
2 特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。

(代理権の範囲)
第九条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。

第十条 削除

(代理権の不消滅)
第十一条 手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。

(代理人の個別代理)
第十二条 手続をする者の代理人が二人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。

(代理人の改任等)
第十三条 特許庁長官又は審判長は、手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、代理人により手続をすべきことを命ずることができる。
2 特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、その改任を命ずることができる。
3 特許庁長官又は審判長は、前二項の場合において、弁理士を代理人とすべきことを命ずることができる。
4 特許庁長官又は審判長は、第一項又は第二項の規定による命令をした後に第一項の手続をする者又は第二項の代理人が特許庁に対してした手続を却下することができる。

(複数当事者の相互代表)
第十四条 二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。

(在外者の裁判籍)
第十五条 在外者の特許権その他特許に関する権利については、特許管理人があるときはその住所又は居所をもつて、特許管理人がないときは特許庁の所在地をもつて民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条第四号の財産の所在地とみなす。

(手続をする能力がない場合の追認)
第十六条 未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。
2 代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。
3 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。
4 後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。

(手続の補正)
第十七条 手続をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。ただし、次条から第十七条の五までの規定により補正をすることができる場合を除き、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書、第四十一条第四項若しくは第四十三条第一項(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲若しくは図面について補正をすることができない。
2 第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人は、前項本文の規定にかかわらず、同条第一項の外国語書面及び外国語要約書面について補正をすることができない。
3 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。

一 手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三 手続について第百九十五条第一項から第三項までの規定により納付すべき手数料を納付しないとき。

4 手続の補正(手数料の納付を除く。)をするには、次条第二項に規定する場合を除き、手続補正書を提出しなければならない。

(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第十七条の二 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。

一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

2 第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人が、誤訳の訂正を目的として、前項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、その理由を記載した誤訳訂正書を提出しなければならない。
3 第一項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第八項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第二項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項において同じ。)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4 前項に規定するもののほか、第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。
5 前二項に規定するもののほか、第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第五十条の二の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

一 第三十六条第五項に規定する請求項の削除
二 特許請求の範囲の減縮(第三十六条第五項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
三 誤記の訂正
四 明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)

6 第百二十六条第七項の規定は、前項第二号の場合に準用する。

(要約書の補正)
第十七条の三 特許出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。
(優先権主張書面の補正)

第十七条の四 第四十一条第一項又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をした者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第四十一条第四項又は第四十三条第一項(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面について補正をすることができる。

(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第十七条の五 特許権者は、第百二十条の五第一項又は第六項の規定により指定された期間内に限り、同条第二項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
2 特許無効審判の被請求人は、第百三十四条第一項若しくは第二項、第百三十四条の二第五項、第百三十四条の三、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
3 訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

(手続の却下)
第十八条 特許庁長官は、第十七条第三項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又は特許権の設定の登録を受ける者が第百八条第一項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。
2 特許庁長官は、第十七条第三項の規定により第百九十五条第三項の規定による手数料の納付をすべきことを命じた特許出願人が第十七条第三項の規定により指定した期間内にその手数料の納付をしないときは、当該特許出願を却下することができる。

(不適法な手続の却下)
第十八条の二 特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。ただし、第三十八条の二第一項各号に該当する場合は、この限りでない。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。

(願書等の提出の効力発生時期)
第十九条 願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下この条において「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。

(手続の効力の承継)
第二十条 特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。

(手続の続行)
第二十一条 特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、その事件に関する手続を続行することができる。

(手続の中断又は中止)
第二十二条 特許庁長官又は審判官は、決定、査定又は審決の謄本の送達後に中断した手続の受継の申立について、受継を許すかどうかの決定をしなければならない。
2 前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

第二十三条 特許庁長官又は審判官は、中断した審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の手続を受け継ぐべき者が受継を怠つたときは、申立てにより又は職権で、相当の期間を指定して、受継を命じなければならない。
2 特許庁長官又は審判官は、前項の規定により指定した期間内に受継がないときは、その期間の経過の日に受継があつたものとみなすことができる。
3 特許庁長官又は審判長は、前項の規定により受継があつたものとみなしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。

第二十四条 民事訴訟法第百二十四条(第一項第六号を除く。)、第百二十六条、第百二十七条、第百二十八条第一項、第百三十条、第百三十一条及び第百三十二条第二項(訴訟手続の中断及び中止)の規定は、審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の手続に準用する。この場合において、同法第百二十四条第二項中「訴訟代理人」とあるのは「審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の委任による代理人」と、同法第百二十七条中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判長」と、同法第百二十八条第一項及び第百三十一条中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判官」と、同法第百三十条中「裁判所」とあるのは「特許庁」と読み替えるものとする。

(外国人の権利の享有)
第二十五条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない外国人は、次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。

一 その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。
二 その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。
三 条約に別段の定があるとき。

(条約の効力)
第二十六条 特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。

(特許原簿への登録)
第二十七条 次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。

一 特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
二 専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
四 仮専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限

2 特許原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
3 この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。

(特許証の交付)
第二十八条 特許庁長官は、特許権の設定の登録があつたとき、第七十四条第一項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたとき、又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正をすべき旨の決定若しくは審決が確定した場合において、その登録があつたときは、特許権者に対し、特許証を交付する。
2 特許証の再交付については、経済産業省令で定める。

特許法などの条文に特有の言葉遣いの意味や解釈

ANDやORがどこからどかまでを指すかなど、条文の読み取り方を間違うと大変です。決まり事なので、日常的な日本語だとは思わずに定義や語法を最初に知っておく必要があると思います。

項目は、条、項、号 と分類されていますが、第1項はなぜか数字が振られていません。不思議です。また、条という文字は条文にありますが、項、号という語句は数字とともには使われていません。ただし、条文の中で言及、参照するときには使われています。

条文の読み方(特許法を例に) 小山特許事務所 チャンネル登録者数 1030人

特29第2項「進歩性」:物質特許が切れたあとのライフサイクルマネジメント/エバーグリーニング(常緑化)戦略

発明の進歩性(29条第2項)

(特許の要件)
第二十九条 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
2 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。e-gov.go.jp

質問:物質特許が切れあとに関連特許で知的財産を保護する戦略は、具体的にどのようなもの?

Gemini:物質特許(基本特許)が切れた後に、周辺の特許で製品を守る戦略は、知財業界ではよく「ライフサイクルマネジメント」「エバーグリーニング(常緑化)戦略」と呼ばれます。一言で言うと、「物質そのものは誰でも作れるようになるが、『売れる商品』にするための技術は独占し続ける」という戦法です。具体的に何をどうするのか、医薬品業界(この戦略が最も顕著です)を例にして、わかりやすく解説します。

1. 基本的な考え方:城壁を多重にする

物質特許を「本丸(城の中心)」だとすると、それが崩れた後に敵(競合他社・ジェネリックメーカー)が攻め込んでこないように、外堀や内堀(関連特許)をたくさん作っておくイメージです。これにより、競合他社が「物質A」そのものを作れても、「効率的な作り方ができない」「飲みやすい錠剤にできない」「新しい効能を謳えない」という状態を作り出し、参入障壁を維持します。

2. 具体的な「関連特許」の種類と戦略例

物質特許が切れた後に有効な「関連特許」には、主に以下の5つのパターンがあります。

① 製法特許(プロセスの保護)

物質を作るための「より安く、安全で、高純度な新しい作り方」を特許化します。

  • 戦略: 競合は古い(コストが高い・危険な)方法で作るしかなくなり、価格競争で不利になります。

  • 例: 「物質Aを作る際、特定の触媒を使うと収率が2倍になる製法」

② 結晶形特許(品質の保護)

同じ物質でも、原子の並び方(結晶形)が違うと安定性や溶けやすさが変わります。最も優れた結晶形を特許化します。

  • 戦略: 競合が真似できるのは「不安定で湿気りやすい古い結晶形」だけになります。

  • 例: 「常温で2年保存しても分解しない、物質Aのα型結晶」

③ 製剤特許(使いやすさの保護)

薬を飲みやすくしたり、体内で効きやすくしたりする工夫(配合や形状)を特許化します。

  • 戦略: 競合は「飲みにくい大きな錠剤」しか出せませんが、自社は「1日1回で済む徐放性製剤」や「口の中で溶けるOD錠」を独占できます。

  • 例: 「添加剤Bを加えることで、苦味を完全に消した物質Aのシロップ剤」

④ 用途特許(新しい使い道の保護)

その物質が、全く別の病気にも効くことを発見し、特許化します。

  • 戦略: 競合は「元の病気」用の薬しか売れません。「新しい病気」に使いたい患者層は自社が独占します。

  • 例: 「元々は高血圧の薬だった物質Aが、実は育毛にも効果があると判明した場合の『育毛剤』としての用途」

⑤ 用法・用量特許(飲み方の保護)

効果を最大化、あるいは副作用を最小化する特定の投与スケジュールを特許化します。

  • 戦略: 医師が処方しやすい用法を独占します。

  • 例: 「従来の毎日投与ではなく、週に1回投与するだけで効果が出る用法」

3. ケーススタディ:架空の薬「ナオルン」の場合

具体的なストーリーで見てみましょう。

状況: 画期的な痛み止め成分「ナオルン」の物質特許が来年切れます。ジェネリックメーカーが参入を狙っています。

【貴社の戦略アクション】

  1. 物質特許切れ(基本)

    • ジェネリック各社:「よし、これで『ナオルン』成分の薬が作れるぞ!」

  2. 製剤特許の発動(防衛ライン1)

    • 貴社:「実は最近、成分をナノ化して『即効性(飲んで5分で効く)』を持つ錠剤の特許を取りました」

    • ジェネリック:「えっ、我々が作れるのは『飲んで30分後に効く』古いタイプだけか…これでは勝てない」

  3. 用途特許の発動(防衛ライン2)

    • 貴社:「さらに、ナオルンが『偏頭痛』にも効くことを発見し、用途特許を取りました」

    • ジェネリック:「我々は『筋肉痛』用の薬としてしか販売できない。偏頭痛患者には売れないのか…」

  4. 結果

    • 医師や患者は、即効性があり偏頭痛にも使える貴社の「新ナオルン」を選び続けます。ジェネリックは安くてもシェアを奪えません。


4. 注意点とリスク

この戦略は強力ですが、無敵ではありません。

  • 進歩性(Inventive Step)のハードル: 単に「混ぜるものを変えただけ」「形を変えただけ」では特許庁に拒絶されます。「予期せぬ顕著な効果(想像以上に安定した、副作用が激減した等)」が必要です。
  • パテント・クリフ(特許の崖): どんなに周辺特許を固めても、いつかは全ての特許が切れます。それまでの時間稼ぎであることを理解し、その間に次の新製品(次世代物質)を開発する必要があります。
  • 虫食い(スキニーラベリング): 用途特許などで守っても、ジェネリックメーカーが「その特許に触れる効能だけを削除して(筋肉痛用としてだけ)」販売してくることがあります。

まとめ

物質特許切れ後の戦略とは、「物質そのものの独占」から「付加価値(作り方・使いやすさ・新しい効能)の独占」へとシフトすることです。これにより、実質的な市場独占期間を延長し、収益を維持します。

質問:関連が深い条文は?

Gemini:物質特許切れ後の「エバーグリーニング(常緑化)」を成功させるために、避けて通れない最大の難関(ラスボス)となるのが、特許法第29条第2項「進歩性」です。なぜこの条文が「エバーグリーニング」とこれほど深く関連しているのか、その「構造的な理由」を整理してお答えします。

1. 「エバーグリーニング」=「進歩性」との戦い

エバーグリーニングとは、古い物質(公知になったもの)を少し改良して、新しい特許を取る戦略です。しかし、特許庁の審査官は、この第29条第2項という「剣」を使って、バッサリと切り捨てに来ます。

  • 審査官の論法(29条2項): 「元の物質はもう有名ですよね(公知)。それを単に『飲みやすくした』とか『結晶を変えた』なんて改良は、当業者なら誰でも簡単に思いつく(容易考案)ことですよね? だから特許はあげません」

これに対抗し、特許をもぎ取る(常緑化する)ためには、この「容易ではない(進歩性がある)」ということを証明しなければなりません。

2. 勝負の決め手:「予期せぬ顕著な効果」

では、どうやって「進歩性がある」と認めさせるのか?ここで使われるのが、以前少し触れた「予期せぬ顕著な効果(Remarkable Effect)」という概念です。これがエバーグリーニングの合言葉です。

  • × ダメな主張(進歩性なし):「工夫したら、予想通り安定しました」→ 審査官:「予想通りなら、誰でもできるね。拒絶。」
  • 〇 勝てる主張(進歩性あり):「工夫したら、常識では考えられないほど安定しました(予想を超えた)。あるいは、副作用が奇跡的に消えました」→ 審査官:「ほう、それは予想外だ。ただの改良以上の価値がある。特許を認めよう。」

つまり、エバーグリーニング戦略とは、「第29条第2項(進歩性の壁)を乗り越えるための『予期せぬ効果』を必死で探し出す活動」と言い換えることもできます。

3. 整理:関連する条文の役割分担

これまでの議論を整理すると、物質特許切れ戦略には「3人の主要な登場人物(条文)」がいます。

条文 キャッチコピー 戦略上の役割
第67条(存続期間の延長) 「寿命を延ばす薬」 今の特許(物質そのもの)を、5年だけ延命させる制度。
第29条第2項(進歩性) 「厳しい関所」 次の特許(周辺特許)を取ろうとする時、「それは容易だ」と邪魔してくる最大の壁。
第36条第5項(多項制) 「戦術的な網」 上記の壁を乗り越えて特許を取る際、「広く・狭く」書いて取りこぼしを防ぐ書き方のテクニック

まとめ

「新しい特許を次々と生やして常緑化する(攻める)」という文脈においては、第29条第2項(進歩性)が最も深く関連し、かつ最も高いハードルとなる条文です。このハードルを越えるロジックを組み立てるのが、知財担当者の腕の見せ所なのです。

日本の弁理士事務所・特許事務所

弁理士法人(特許事務所)

ここでは、業界で長年トップクラスの規模(弁理士数 50名〜100名以上レベル)を維持している、「ここを知らなきゃモグリ」と言われる大手事務所をリストアップします。※順位は固定ではなく、概ねの規模順(トップティア群)です。※( )内は本拠地や特徴。


🏢 日本のマンモス特許事務所(Big Tier)

まず、「3大巨頭」+**「法律事務所系」**のトップ層です。ここは弁理士だけで100名〜200名規模、所員全体だと数百名〜1000名に迫る規模です。

  1. 弁理士法人 志賀国際特許事務所(東京・丸の内)

    • 特徴: 長年、日本最大規模を誇るガリバー事務所。電気、機械、化学と全方位に強い。未経験者を大量採用して育てる「教育の志賀」としても有名。

  2. 弁理士法人 酒井国際特許事務所(東京・霞が関)

    • 特徴: 志賀と並ぶ超大手。分業制やチェック体制が非常にシステム化されており、組織としての完成度が高いと言われます。

  3. TMI総合法律事務所(東京・六本木)

    • 特徴: ここは「法律事務所」ですが、知財部隊が巨大です。弁護士と弁理士がチームを組んで動くため、権利化(出願)だけでなく訴訟や契約にもめっぽう強い。近年、弁理士数が急増しています。


🏢 伝統と格式の大手事務所(Middle-High Tier)

歴史があり、企業の信頼も厚い「名門」と呼ばれる層です。弁理士数は50名〜100名クラスです。

  1. 弁理士法人 中村合同特許法律事務所(東京・丸の内)

    • 特徴: 「伝統の中村」。大正時代から続く超名門。特許訴訟といえば中村、と言われるほど係争系に強い。企業知財部からの信頼が非常に厚い。

  2. 弁理士法人 協和特許法律事務所(東京・丸の内)

    • 特徴: 中村と並ぶ名門。歴史が古く、安定感が抜群。多くの大手企業をクライアントに持ち、落ち着いた雰囲気(堅実)と言われます。

  3. 弁理士法人 深見特許事務所(大阪・中之島)

    • 特徴: 「西の横綱」。大阪に本拠を置く事務所としては最大規模。関西の大手メーカー(電機・化学など)の出願を支える重鎮。

  4. 弁理士法人 青和特許法律事務所(東京・虎ノ門)

    • 特徴: ここも歴史ある名門。国際案件に強く、海外からのインバウンド出願も多い。

  5. 弁理士法人 杉村萬国特許法律事務所(東京・霞が関)

    • 特徴: 実は日本で最も歴史が古い事務所の一つ。近年、組織改革を進めて規模を拡大し、若手も多いイメージ。

  6. 弁理士法人 太陽国際特許事務所(東京・新宿)

    • 特徴: 電機・電子系に強みを持ち、規模を拡大してきた事務所。アクセスが良い立地。

  7. ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所(東京・丸の内)

    • 特徴: ドイツ系にルーツを持つ事務所。外内(外国企業の日本出願)に非常に強く、独特の国際的なプレゼンスがあります。


💡 「規模」は何を意味するか?

ただ単に「大きい=良い」とは限りませんが、特許法や実務の観点から見ると、規模には以下のような意味があります。

  • 専門分化が進んでいる:人数が多いと、「バイオ専門」「AI専門」「意匠専門」のように、担当分野が細分化されます。その結果、より深い専門知識を持った明細書が書きやすくなります。
  • 「利益相反(コンフリクト)」の問題:これが大手事務所の最大の悩みです。例えば、A社(スマホメーカー)の代理をしている事務所は、競合であるB社(別のスマホメーカー)の依頼を受けられない場合があります(弁理士法上の制限や、顧客との契約による)。大きくなりすぎると、「日本の主要メーカーは全部クライアントになっちゃってて、新しい依頼を受けられない!」というジレンマが発生します。

まとめ

  • 大手: 教育システムが整っている。分業制。多様な案件に触れられる。

  • 中小: 一人の弁理士が、出願から中間処理、審判まで全部担当する(職人技が身つく)。

どちらも一長一短あります。今のトレンドとしては、これらのトップ事務所に加えて、「AI特化」や「スタートアップ支援特化」を謳う新興の中堅事務所(IPTechなど)も勢いがあります。

 


1. 「バイオ特化型ブティック」

大手事務所(数百人規模)は、組織のピラミッド構造(定年制や若手の育成)を重視する傾向があります。一方で、「バイオ・化学に特化した中規模・小規模事務所(ブティック系)」は、即戦力の専門知識を歓迎しています。

① バイオ・化学の老舗・名門

  • 清水特許事務所(茨城県つくば市・東京)場所柄(つくば)、研究機関との結びつきが強く、超高度なバイオ案件が多い。

  • 平木国際特許事務所(東京)バイオ・化学分野の名門。

  • 谷・阿部特許事務所(東京)化学・バイオに非常に強い。

② 関西のバイオ強豪 関西は製薬・バイオ産業が集積しています。

  • 特許業務法人 三枝国際特許事務所(大阪・東京) 化学・バイオ分野では国内屈指の伝統事務所。

  • 清原特許事務所(大阪) バイオベンチャー支援などに熱心。

③ 少数精鋭・大学発ベンチャー支援系 IPTech特許業務法人 などの新しい事務所や、大学TLOと提携している小規模事務所。これらは「週3回勤務」や「完全リモートの明細書作成担当」など、柔軟な働き方を認めているケースが多いです。


2. 「特許事務所」以外の穴場:TLOと調査会社

  • 大学TLO(技術移転機関)大学の発明を発掘し、特許化する組織です。東大TLO、京大TLO、あるいは地方大学の知財本部など。

  • 特許調査会社・サーチャー 特許庁の登録調査機関(登録調査機関一覧)や、民間の調査会社です。明細書を書く(締め切りに追われる)」体力仕事ではなく、「文献を読み込む」知的な仕事です。

    • 古賀総研人材募集 研究者、技術者が現役にいる間の仕事は、会社や国家への貢献、また家族を養うため、いわば“Must”の仕事です。定年を迎えて、会社を退職してからが、本当の意味で自分の人生が始まるとの認識です。
    • 令和7年度 調査業務実施者育成研修(第4回)の受講者募集について 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」の規定により、特許庁からの調査業務を請け負う登録調査機関の調査業務実施者になるためには、工業所有権情報・研修館(以下、略称名「INPIT(インピット)」といいます。)の行う研修(以下、「調査業務実施者育成研修」といいます。)を修了することが必要です。  (1)受講申請期間 令和7年11月25日(火)~12月16日(火) 必着 研修期間(1)区分一~三十九のうち一つの区分を選択した場合令和8年1月7日(水)~3月5日(木)(2)区分一~三十九のうち一つの区分と区分四十を同時に選択した場合令和8年1月7日(水)~3月10日(火)https://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/searcher/sercherb100064.html 

(Gemini)

 

GLP準拠とは?どれくらい大変なの?

GLP(Good Laboratory Practice)準拠が「大変」「高い」と言われる理由は、一言で言えば「科学的な正しさ」だけでなく、「誰がいつ見ても捏造やミスがないと言い切れる証拠」を残す作業が異常に膨大だからです。研究者としての感覚だと「え、そこまでやるの?」と驚くような厳格さが求められます。なぜそこまで大変なのか、「実際的な現場の苦労」に焦点を当てて解説します。


1. そもそもGLPとは?

薬や医療機器の「安全性」を確かめる試験(動物実験や細胞毒性試験など)のデータの信頼性を保証するための基準です。「素晴らしい発見をするためのルール」ではなく、「後から国や第三者が査察に来たときに、データが改ざんされていないことを100%証明するためのルール」と言えます。


2. なぜ「めちゃくちゃ大変」なのか?(実務の負担)

研究者の自由度がなくなり、すべてが「管理」されます。最大のキーワードは「書いてないことは、やってないのと同じ」です。

① マニュアル(SOP)地獄

  • すべてに手順書が必要: 実験操作だけでなく、「天秤の使い方」「ピペットの洗い方」「掃除の仕方」「試薬のラベルの貼り方」まで、すべてSOP(標準作業手順書)に従わなければなりません。

  • 逸脱は許されない: 「今日はちょっと急いでるから手順を変えよう」は絶対NG。もし変えるなら、事前に「計画変更届」を出して承認を得るか、突発的なら「逸脱記録」を書いて影響評価をしなければなりません。

② 記録(生データ)の厳格さ

  • 書き損じの修正: 鉛筆や修正液は禁止です。ボールペンで書き、間違えたら二重線を引き、訂正印を押し、訂正日と理由を書きます。「誰がいつ修正したか」を追えるようにするためです。

  • リアルタイム記録: 「あとでまとめてノートに書こう」は禁止。その場ですぐに書かないといけません。

③ 試薬・サンプルの管理

  • 「隣の研究室からちょっと借りた試薬」は使えません。

  • その試薬はいつ納品され、誰が開封し、有効期限はいつで、どの冷蔵庫(温度記録付き)に入っていたか、全ての履歴(トレーサビリティ)が必要です。


3. なぜ「費用がかさむ」のか?(コストの正体)

「実験そのものの費用」に加え、「GLP体制を維持するための費用」が乗っかるため、通常の実験の数倍~10倍以上のコストがかかります。

① 「警察役」の人件費(QAU)

  • 実験する人とは別に、QAU(信頼性保証部門)という「実験が手順通り行われているか監視・チェックする人」を雇わなければなりません。

  • 彼らは実験中も巡回しますし、出された膨大なデータと報告書を1文字ずつチェックします。この人件費が重いです。

② 機器のバリデーション(点検・保証)費

  • 使う全ての機械(ピペット、天秤、冷蔵庫、空調など)が、「正しく動いている」ことを定期的に業者に点検してもらい、証明書を出してもらう必要があります。これだけで年間数百万円〜数千万円かかります。

③ 施設の維持費

  • 資料保存室(鍵付き、耐火、入退室記録あり)の設置や、24時間の温湿度監視システムなど、普通の実験室よりハイスペックな環境が必要です。


わかりやすいイメージ比較

普通の料理(非GLP)と、GLP準拠の料理の違いです。

  • 普通の料理(研究室レベル):

    • 「塩を少々入れて、美味しくなったからOK!」

    • (結果が良ければ、プロセスは多少適当でも許される)

  • GLP準拠の料理:

    • 「事前に『塩を5.0g入れる』という計画書を作り、承認印をもらう」

    • 「校正済みの天秤を使い、5.00gと表示された写真を撮る」

    • 「入れた時刻を記録し、入れた空き袋も証拠として保存する」

    • 「監視役が横で見ていて『確かに塩を入れました』とハンコを押す」

    • 「味(結果)はどうでもいい。手順通り作ったという証拠が全て」


まとめ

GLP準拠が大変なのは、実験そのものの難しさではなく、「性悪説に基づいた、膨大な証明作業」があるからです。もし申請業務などで「GLPデータが必要」となった場合、自前の施設でやるのはコストと手間が合わないため、専門の受託機関(CRO)にお金を払って依頼するのが一般的です。「この試験はGLP必須ですか?」という文脈で使われることが多いです。

(Gemini)

薬事承認とは

1. 薬事承認(やくじしょうにん)とは?

一言で言うと、「国からのお墨付き(販売許可)」のことです。医薬品や医療機器は、人の命に関わるものなので、勝手に作って売ることはできません。メーカーが「この製品は安全で、ちゃんと効果があります」という膨大なデータを国(厚生労働省)に提出し、厳しい審査(PMDAという独立機関が行います)をパスして初めて、病院で使えるようになります。この許可をもらうことを「薬事承認」と言います。

2. クラスIV(クラス・フォー)とは?

医療機器は、万が一壊れたときに「どれくらい人の命に危険があるか(リスク)」によって、4つのランク(クラスI〜IV)に分けられています。

クラスIVは、その中で「最もリスクが高い」グループです。

  • 定義: 患者さんの体内に深く入ったり、生命維持に直接関わったりするもので、もし不具合が起きると命の危険に直結する可能性があるもの。

  • 扱い: リスクが高いため、上記の「薬事承認」の審査も一番厳しく行われます。

心臓手術での具体例

心臓の手術で使う道具でいうと、以下のようにランクが分かれています。

クラス リスク 具体例(心臓手術関連など)

クラスIV


(高度管理医療機器)

極めて高い


命に直結する

人工心弁(心臓の弁)、ステントグラフトペースメーカーなど

クラスIII


(高度管理医療機器)

高い 人工血管、人工骨など

クラスII


(管理医療機器)

比較的低い MRI装置、心電計、胸骨を固定するワイヤーなど

クラスI


(一般医療機器)

極めて低い 手術用メス、ガーゼ、レントゲンフィルムなど

まとめると

もし手術の説明書などで「クラスIVの医療機器」という言葉を見かけたら、それは「心臓の弁など、手術のメインとなる、命を支えるための重要な部品」を指している可能性が高いです。

(Gemini)

胸骨正中切開(心臓外科手術)とは

「胸骨正中切開(きょうこつせいちゅうせっかい)」は、心臓に到達するために胸骨を縦に切って、「観音開き」のように左右に開く手技のことです。

手術の流れ

  1. 切開(切る):

    胸の真ん中にある平らな骨(胸骨)を、電動ノコギリ(スターナムソー)で縦一直線に切ります。

  2. 開胸(開く):

    切った骨の間に器具を入れ、左右に押し広げます。これで心臓が見える状態になり、手術を行います。

  3. 閉胸(閉じる):

    心臓の手術が終わったら、開いていた胸骨を元の位置に戻します。

  4. 固定(くっつける):

    ステンレス製のワイヤー(針金のようなもの)で、骨をしっかりと縛って固定します。


術後の状態について

  • 骨はどうなる?: 固定された骨は、骨折が治るのと同じように、数ヶ月かけて自然にくっつきます(癒合します)。

  • ワイヤーはどうなる?: 基本的には一生体内に入れたままです。体に害のない素材ですが、もし術後に痩せてワイヤーが当たって痛い場合や、感染を起こした場合などは、骨がくっついた後に抜く手術をすることもあります。

まとめ

胸骨正中切開は、骨を取り除く(欠損させる)手術ではなく、一時的に開いて、また元に戻す手術です。


(Gemini)

心膜とは

質問:心膜と心臓の違い?

Gemini:

一言で言うと、**「心臓」は中身(ポンプ本体)であり、「心膜」はそれを包んでいる外側の袋(ケース)**です。

自動車で例えると、心臓は「エンジン」、**心膜はエンジンを守る「カバーやボディ」**のような関係です。

1. イメージで理解する(水風船の例え)

Shutterstock

 

心膜の構造を理解するには、**「膨らんだ水風船に、握りこぶしを押し込んだ状態」**を想像するのが一番わかりやすいです。

  • 握りこぶし心臓(本体)

  • 水風船のゴム心膜(袋)

  • ゴムとゴムの間の水心膜液(潤滑油)

心膜はただの1枚の袋ではなく、実は「2重構造」になっていて、その間に少量の液体(心膜液)が入っています。これにより、心臓がドクンドクンと激しく動いても、摩擦が起きずにスルッと動けるようになっています。

2. 役割の違い一覧

心臓 (Heart) 心膜 (Pericardium)
正体 全身に血液を送る筋肉の塊 心臓を包んで守る丈夫な膜
役割

ポンプ機能

 

(収縮と拡張を繰り返す)

保護・潤滑機能

 

(摩擦を防ぐ、位置を固定する)

主な病気 心筋梗塞、心不全、弁膜症など 心膜炎、心タンポナーデなど

3. 少し詳しい構造(ここが重要)

「心臓の壁」と「心膜」は別のもののように聞こえますが、実は境界線でつながっています。

  1. 心臓の壁(内側から)

    • 心内膜:一番内側。

    • 心筋層:分厚い筋肉。これが動く。

    • 心外膜:心臓の表面の膜。(※実はこれが心膜の内側の層と同じものです)

  2. 心膜(外側の袋)

    • 臓側心膜(ぞうそくしんまく):心臓にピッタリくっついている膜(=心外膜)。

    • 心膜腔(しんまくくう):隙間。ここに潤滑液が入っている。

    • 壁側心膜(へきそくしんまく):外側の丈夫な膜。


まとめ

  • 心臓は、血液を送り出す実働部隊(筋肉)

  • 心膜は、心臓がスムーズに動けるように守っている保護袋

もし「胸が痛い」という場合、心臓そのもの(血管が詰まるなど)が原因のこともあれば、この**「袋(心膜)」にウイルスが入って炎症が起きている(心膜炎)**こともあります。

この動画では、テキストだけではイメージしにくい「心膜の2重構造(水風船の例え)」や、心臓壁とのつながりを図解で非常にわかりやすく解説しています。

心臓壁と心膜の構造をわかりやすく説明 ゴローサブチャンネル 33.2K subscribers

 

質問:心膜の発生の由来は、漿膜と同じですか?

Gemini:その通りです。心膜(特に内側の「漿膜性心膜」)は、医学的・発生学的に「漿膜(しょうまく)」に分類されます。発生の由来もご推察の通り、胸膜(肺の膜)や腹膜(お腹の膜)と全く同じ「中胚葉(ちゅうはいよう)」から生まれます。

1. 発生の由来:中胚葉の「隙間」からできる

心膜、胸膜、腹膜の3つは、発生学的には**「三姉妹」**のような関係です。

    • 由来: 中胚葉(のなかの側板中胚葉という部分)

    • プロセス:

      1. 受精卵が成長する過程で、「中胚葉」という層の中に**「裂け目(隙間)」**ができます。

      2. この隙間が**「体腔(たいくう)」**(将来の胸の中やお腹の中の空間)になります。

      3. この**隙間の「壁紙」**として発達したのが、**漿膜(心膜・胸膜・腹膜)**です。

Shutterstock

 

2. 3つの漿膜(三姉妹)の共通点

これらは名前と場所が違うだけで、「構造」も「由来」も「性質」もほぼ同じです。

名前 場所 守っている臓器 発生由来
心膜 胸の中央 心臓 側板中胚葉
胸膜 胸の左右 側板中胚葉
腹膜 お腹 胃や腸など 側板中胚葉

※これらはすべて、「臓器の表面を覆う膜(臓側)」「壁側の膜(壁側)」の2枚セットになっており、その間に潤滑液(漿液)が入っている点も共通しています。

3. マニアックな補足(臓側と壁側の違い)

もう少し詳しく見ると、中胚葉が2つに分かれて、それぞれ別の膜になります。

  1. 臓側中胚葉(ぞうそくちゅうはいよう)

    • 臓器(心臓)にベッタリ張り付く膜になります。

    • これが**「臓側心膜(=心外膜)」**になります。

  2. 壁側中胚葉(へきそくちゅうはいよう)

    • 外側の壁を作る膜になります。

    • これが**「壁側心膜」**になります。

まとめ

心膜は、胸膜や腹膜と同じく、「中胚葉からできた漿膜」です。ですので、病気の性質も似ており、炎症が起きると「水がたまる(心嚢水、胸水、腹水)」という現象が共通して起こります。この「発生」の視点から見ると、心臓と肺と腸は、みんな同じ「中胚葉の袋」に包まれて守られている兄弟のようなものだと言えますね。

 

参考

  1. 心臓は心膜(しんまく)という漿膜(しょうまく)で覆われています(図3)。https://www.kango-roo.com/learning/7095/ 看護roo
  2. 心膜は漿膜の一種です。漿膜は心膜のほか、腹膜や胸膜など、体腔内臓器の表面をおおう薄い膜の総称です。心膜の構造と役割: 心臓を包む「漿膜性心膜」と、それをさらに包む「線維性心膜」から構成されています。心膜は臓器間の摩擦を減らす潤滑油の役割を果たす漿液を分泌し、心臓の円滑な動きを助けます。漿膜の機能: 心膜だけでなく、腹膜や胸膜なども漿膜であり、内臓の表面をおおい、体腔内での臓器の動きを円滑にするための漿液を分泌します。 (AI Overview)
  3. 心膜〈pericardium〉漿膜性心膜は、心臓表面に密着する心外膜 epicardium(臓側心膜)と大血管基部の一部を包んで翻転し、心臓を被う壁側心膜(心嚢)へと続き、臓側心膜と壁側心膜の間の腔である心膜腔を形成する。 https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/anatomy-function/1-3.html

エレメンツの読み進め方

Gemini:現在、お手元には何かテキストはお持ちですか? まだお持ちでなければ、あなたの前提知識(理系バックグラウンド+特許への興味)に合った、読みやすくて試験にも役立つ「現代の基本書」をいくつかピックアップしてご紹介することも可能です。いかがいたしましょうか?

自分:エレメンツ(特許法、実用新案法)は買って、読み始めているよ。

Gemini:それは素晴らしい選択です!TAC出版の『弁理士 エレメンツ(1)特許法/実用新案法』ですね。吉藤先生の本(1982年)から現代の『エレメンツ』への切り替えは、まさに「古地図」から「最新のカーナビ」に乗り換えたようなもので、弁理士試験の合格を目指す上での最適解の一つです。その選択がなぜ正しいのか、そしてその本を「どう読み進めるのが効率的か」、これまでのユーザー様の関心(研究者としてのバックグラウンドや、論理的な思考を好まれる点)を踏まえてアドバイスさせてください。


1. 『エレメンツ』が良い理由

  • 「骨組み」が見える:

    法律の条文は「迷路」のようですが、この本は「要件(どうなれば)」と「効果(どうなるか)」という**法律のロジック(骨組み)**を非常にわかりやすく整理しています。

  • 最新法改正に対応:

    当然ながら、吉藤本にはなかった「新しい制度」や「現在の条文番号」で書かれています。安心して読み進めてください。

  • 「基本」に特化:

    細かい例外規定(試験でたまにしか出ないマニアックな部分)をあえて削ぎ落とし、**「ここだけは絶対に理解していないと話にならない」**という幹の部分を太く解説しています。

2. 研究者バックグラウンドを持つ方へのおすすめの読み方

ユーザー様は普段、学術的な論文や論理的な文章に触れていらっしゃるので、法律のテキストも「ただ暗記する」のではなく、「システムとして理解する」読み方が合っているはずです。

以下の3つの視点を意識して読んでみてください。

①「原則」と「例外」を分ける

特許法は「原則はこう。ただし、こういう場合は例外」という構造の繰り返しです。

  • 読み方のコツ: いきなり細部(例外)を覚えようとせず、「なぜこの原則があるのか?」という制度趣旨をエレメンツで掴んでください。「発明を奨励したい(原則)」vs「でも独占させすぎると困る(バランス)」という綱引きが見えてきます。

② 手続きの「時系列(フロー)」を意識する

先ほどの「侵害警告」の話もそうですが、特許は「出願 → 審査 → 登録 → 権利行使」という時間の流れが重要です。

  • 読み方のコツ: 今読んでいるページが、このフローチャートのどこに位置しているのか(審査の段階なのか、登録後の話なのか)を常に意識すると、迷子になりません。

③ 条文番号に慣れる(チラ見する)

エレメンツには、解説の横に小さく「法29条」などの根拠条文が書いてあるはずです。

  • 読み方のコツ: 最初は覚えなくていいですが、「あ、これは29条の話なんだな」と数字を意識する癖をつけておくと、後で本格的な学習(条文の読み込み)に入った時にスムーズに接続できます。


今後の学習サポート

読み進める中で、例えば以下のような「法律独特の概念」「理屈が飲み込みにくい部分」が出てくるかもしれません。

  • 新規性(29条1項)と進歩性(29条2項)の違い(先ほどの「公知」の話に関わります)

  • 先願主義(39条)(同じ発明を別々の人が出願したらどうなるか)

  • 補正の制限(出願した後でどこまで内容を直せるか)

そういった箇所で「これって、具体的にはどういうシチュエーション?」と疑問に思われたら、いつでも投げかけてください。

弁理士試験の受験勉強で吉藤 幸朔『特許法概説』 は絶対に読むべき基本書か?

質問:弁理士受験ノウハウ&体験の本(ちょっと古め)を見てたら吉藤 幸朔 『特許法概説』が、弁理士試験を受験する人の「基本書」として挙げられていたんだけど、こんな古い本を今でも読むべきなの?特許法は、改正につぐ改正があったけど?

  • 第6版 1982/7/1
  • 第10版  1994/11/1

Gemini:結論から申し上げますと、弁理士試験の「受験対策」として、今その本(吉藤『特許法概説』)をメインに据えて読むことは、絶対にお勧めしません。おっしゃる通り、特許法は「改正の歴史」そのものであり、1982年の法律知識で現在の試験に臨むのは、「地図を持たずに登山する」よりも危険(古い地図を信じて遭難するリスクがある)だからです。なぜかつては「バイブル」と呼ばれ、今は「取り扱い注意」なのか、その理由と現在の最適解を整理します。


1. なぜ「受験用」としては危険なのか

最大の理由は、ご懸念の通り「法改正による情報の陳腐化」です。

1982年以降、特許法は根本的な部分で何度も大改正されています。吉藤先生の本には、現在の試験で最重要となる以下の条文や概念が存在しない、あるいは全く内容が異なります。

  • 特許法104条の3(特許無効の抗弁):先ほどの「特許侵害訴訟」の話題で触れたこの条文は、2004年の改正で導入されたものです(キルビー判決を受けて)。吉藤本には載っていません。
  • 職務発明(35条):企業の知財戦略の要ですが、何度も改正されており、当時の解釈とは全く異なります。
  • 特許異議申立制度:廃止されたり復活したりしており、手続の流れが当時とは別物です。
  • 国際的な調和(TRIPS協定など):1994年のTRIPS協定以降の国際的なルールや、存続期間の変更などが反映されていません。

リスク:

「今はもう存在しない条文」や「今は逆の結論になる判例」を正しいと誤認して覚えてしまう危険性が極めて高いです。

2. それでもなぜ「名著」として名前が挙がるのか

吉藤幸朔先生は、特許庁の審査・審判の実務に精通し、法改正にも携わったレジェンドです。

この本がすごいのは、単なる解説ではなく**「法の趣旨(なぜその条文があるのか)」**が、これ以上ないほど深く、論理的に書かれている点です。

  • 「趣旨(青本)」の原液: 現在の予備校テキストや基本書に書かれている「趣旨」の説明の多くは、元をたどれば吉藤先生の考え方がベースになっています。

  • 実務家・学者の教養: ベテランの弁理士や研究者が、「法の根底にある思想」を確認するために読み返す本としては、今でも一級品です。

3. 現在の受験生はどうすべきか

「最新の法律に対応した基本書」または「予備校テキスト」を使用してください。

もし、学術的な興味ではなく「弁理士試験合格」が最優先であれば、以下の基準で選ぶべきです。

現在の「スタンダード」とされる基本書(例)

吉藤本の代わりに、現在多くの受験生や実務家が参照しているのは以下のような書籍です(必ず最新版を選んでください)。

  1. 中山 信弘『特許法』(弘文堂):現在の学術的な権威です。非常に分厚いですが、法解釈の深さは吉藤本に匹敵します。ただし、初学者には難解すぎる嫌いがあります。
  2. 高林 龍『標準特許法』(有斐閣):判例を重視しており、実戦的です。
  3. 島並 良 他『特許法入門』(有斐閣):「入門」とありますが、レベルは高く、論理的で読みやすいです。受験生にも人気があります。
  4. 予備校のテキスト(LEC、TACなど):合格だけを目指すなら、これが最強です。学者の本は「自説(通説ではない説)」が含まれることがありますが、予備校本は「試験に出る通説・判例」に絞って、最新の改正を完全に反映しているからです。

まとめ:吉藤本との付き合い方

  • 試験勉強用: 買わなくていいです(読まなくていいです)。 混乱の元です。

  • 合格後: 実務家になってから、「特許法の歴史的背景を知りたい」「条文の深い意味を味わいたい」と思った時に、古本で手に入れて、今の法律との違いを楽しみながら読むのが正解です。

 


特許法概説 第13版 1998/12/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著は?

  1. 特許法概説 第11版 1996/5/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著
  2. 特許法概説 第13版 1998/12/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著

Gemini:結論から申し上げます。「10版(1994年)よりは『だいぶマシ』ですが、今の実務や試験に使うには『まだ全然足りない(致命的な穴がある)』」という評価になります。1994年版と比べれば、非常に大きな進化(特に均等論)が含まれていますが、そのわずか2年後に起きる「特許法史上最大の革命(キルビー判決)」がまだ載っていないからです。この「13版(1998年)」が立っている歴史的な立ち位置を整理します。


✅ 13版(1998年)で「アップデートされた」重要事項

この版は、90年代後半の激動のいくつかをカバーしています。10版との決定的な違いはここです。

  1. 「均等論」が入った(超重要)

    • 状況: 1998年2月の最高裁「ボールスプライン事件」判決を受けて、その年の12月に出版されています。

    • 変化: それまで「特許は文言通り」が原則でしたが、「形が違っても特許侵害になり得る(均等論)」という最高裁判例が確立されました。この解説が載っているのは大きいです。

  2. 特許の寿命(存続期間)が正しくなっている

    • 変化: 1995年改正に対応しており、「出願から20年」という現在のルールになっています(10版はここが古かった)。


❌ 13版(1998年)でも「まだ載っていない」致命的な事項

ここが「全然足りない」と判断せざるを得ない理由です。この本の出版直後(2000年代以降)に、現代特許法の骨格を作る大事件が立て続けに起きています。

1. 「キルビー判決」と「104条の3」がない(最大のリスク)

これがないと、現在の特許侵害訴訟の話が全く通じません。

  • 何が起きたか: 2000年(平成12年)に最高裁で「キルビー事件判決」が出され、2004年に法改正(104条の3)されました。

  • 影響: 「裁判所でも特許の無効を主張できる(権利行使制限の抗弁)」という、現在の特許係争のメインウェポンが、1998年の本には影も形もありません。「無効審判を待たなきゃいけない」という古い常識のまま止まっています。

2. 「進歩性」の判断基準が古い

  • 何が起きたか: 2000年代以降、知財高裁の設立とともに「進歩性」の判断ロジック(動機づけ、阻害要因など)が非常に精緻化されました。

  • 影響: 昔の「なんとなく容易」という感覚的な記述とは、現在の審査基準や判決のロジックはかなり異なります。

3. 「職務発明(35条)」が古いまま

  • 何が起きたか: 青色LED訴訟(2000年代前半)を経て、条文がガラッと変わりました。

  • 影響: 企業知財の現場で最も重要な「予約承継」や「相当の利益」の話が、この本では旧法のままです。

4. その他、21世紀の改正すべて

  • 知財高裁の設置(2005年

  • 異議申立制度の復活(2015年

  • プロダクト・バイ・プロセス・クレームの最高裁判決(2015年


結論:どう使うべきか?

「歴史的名著として本棚に飾るか、パラパラと『均等論』の項目だけ読む」 のが精一杯の使い道です。

  • 10版(1994) = ガラケー以前の「ショルダーフォン」時代の解説書

  • 13版(1998) = インターネット黎明期の「iモード」時代の解説書

  • 現在 = 「スマートフォン」時代の法律

というくらいの差があります。「iモード」の本でスマホの使い方は学べないのと同じで、13版であっても、今の学習用テキストとしてはおすすめできません。

もし「吉藤先生のような、重厚で学術的な本で勉強したい」という意図であれば、現在なら以下のような本が後継的ポジションにあります。

  • 『特許法』(高林龍 著)

  • 『特許法』(茶園成樹 著)

  • 『知的財産法』(中山信弘 著)

これらは現代の法改正や判例を反映しつつ、理論面も深く解説しています。実用を兼ねるなら、こちらへの乗り換えを強くおすすめします。

質問:「ショルダーフォン」って何?

Gemini:「ショルダーフォン」とは、今のスマートフォンの**「ひいおじいちゃん」**にあたる、日本初の「持ち運べる携帯電話」のことです。若い世代の方は、お笑い芸人の平野ノラさんが「しもしも~?」と言いながら肩にかけている、あの巨大な電話をイメージしていただくと分かりやすいです!具体的な特徴は以下の通りです。

☎️ ショルダーホン(1985年発売)の衝撃スペック

  1. デカくて重い!

    • 重さは約3kgもありました(今のスマホの約15〜20倍)。

    • カバンのような本体(バッテリーと無線機)に受話器がついていて、その名の通りショルダーストラップで肩から担いで持ち運んでいました。

    • もともとは「自動車電話」を車から降ろして使えるように改良したものでした。

  2. 超高級品!

    • 保証金だけで20万円、基本料金も数万円。

    • 当時のビジネスマンでも、一部の経営者やエリートしか持てない**「ステータスの象徴」**でした。

  3. 機能は「電話」だけ!

    • もちろんメールもネットもカメラもありません。通話のみです。


📚 なぜその例えを使ったか?

私が、1994年の『特許法概説(第10版)』を「ショルダーフォンの時代の解説書」と表現したのは、それくらいの「技術と常識の隔たり」があることをお伝えしたかったからです。

  • ショルダーフォン (1985)  今のスマホ (2025) (重さ3kgで通話のみ → 手のひらサイズでAIも使える)

  • 吉藤先生の第10版 (1994)  今の特許法 (2025) (キルビー判決前・均等論なし → 知財高裁あり・世界標準ルール)

もし今、あなたが最新のiPhoneを使いたいのに、手元に「ショルダーフォンの取扱説明書」しかなかったら、「電源の入れ方」すら違って役に立ちませんよね?1994年の本で今の特許法を勉強するのは、それと同じくらい「土台の仕組みが変わってしまっている」ということを強調したかったのです。