自分:サポートベクターマシーンで「分類」するのと、「回帰」するのは、何が違うの?何が同じ?
ChatGPT 4o:
サポートベクターマシン(Support Vector Machine, SVM)で「分類(classification)」と「回帰(regression)」を行う場合、その考え方のコアは共通していますが、目的と損失関数、マージンの定義などが異なります。
✅ 共通点(SVMの基本思想)
項目 | 内容 |
---|---|
カーネルトリックが使える | 線形でない問題にも対応可(RBFカーネル、ポリカーネルなど) |
マージンの最大化 | どちらも「予測の余裕(マージン)」を最大化しようとする点で共通 |
最適化問題を解く | 目的関数を最小化するための凸最適化問題として定式化 |
正則化項(C)で過学習を防ぐ | 複雑さと誤差のトレードオフを制御 |
サポートベクターが学習の核 | 重要な訓練データ点だけがモデルの決定に寄与する |
❌ 相違点
観点 | 分類(SVC) | 回帰(SVR) |
---|---|---|
目的 | クラスラベルを予測(例:0 or 1) | 実数値を予測(例:価格、温度) |
出力 | 離散ラベル(分類境界のどちら側にあるか) | 連続値(近似関数) |
マージンの定義 | 正と負のクラスの間に最大マージンの境界を作る | 許容誤差ε内に収まるようなεチューブを構築 |
損失関数 | ヒンジ損失(margin-based) | ε-insensitive 損失(誤差がεより大きいとペナルティ) |
学習目標 | クラスを明確に分離 | できるだけ滑らかで誤差の小さい回帰曲線を作る |
🔍 直感的なたとえ
- 分類SVMは、「赤と青の点をできるだけ離して、真ん中に境界線を引く」作業。
- 回帰SVMは、「点群に滑らかな線を当てはめるけど、多少の誤差(ε)は許す」というイメージ。
💡どちらを使うべきか?
タスク例 | モデル |
---|---|
メールがスパムか否か | 分類(SVC) |
気温を予測したい | 回帰(SVR) |
がんの有無を予測 | 分類 |
売上高を予測 | 回帰 |
分類と回帰の類似について
「確率を知りたいのか、クラスを決めたいのか」によって、分類と回帰の境界はあいまいになることがあります。
✅ イベントが起こる「確率」を知りたい:回帰的アプローチ
たとえば:
- 病気にかかる確率 →
P(y=1 | x)
- 顧客が購入する確率 →
P(purchase=1 | features)
このような場合、出力が0〜1の連続値で、これは「確率」のように解釈されます。
SVMではこれに直接対応するのはやや苦手(理由は後述)ですが、ロジスティック回帰などはこのタスクに適しています。
✅ 確率にしきい値(カットオフ)を設けて、「分類」する:分類的アプローチ
確率が0.5を超えたら陽性(positive)、それ以下なら陰性(negative)とする、という方法:
if P(y=1 | x) ≥ 0.5 → 1(陽性)
else → 0(陰性)
これは、実質的には分類タスクですが、内部で回帰モデル(確率予測モデル)を使っている点で回帰的な分類とも言えます。
❗SVMの場合はどうか?
SVMはもともと「境界を引くこと(マージン最大化)」が目的なので、確率を出力しません(出力は +1 または -1)。
ただし、SVMでも「確率推定付きSVM(Platt Scalingなど)」を使えば、0〜1の確率を後処理で得ることができます:
from sklearn.svm import SVC
model = SVC(probability=True)
model.fit(X_train, y_train)
probs = model.predict_proba(X_test)
このようにすれば、「SVMで回帰的に確率を求め → カットオフで分類」という操作も可能です。
💡まとめ
欲しいもの | 適したモデル | コメント |
---|---|---|
クラス(0 or 1) | 分類(SVM, ロジスティック回帰など) | 出力は離散的 |
確率(0.0〜1.0) | 回帰的分類(ロジスティック回帰、Platt SVM) | 出力は連続、閾値で分類も可能 |
実数値(売上、価格など) | 回帰(SVRなど) | 数量予測 |
SVCによる分類と回帰の実例
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上の図(SVC – Classification):
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赤と青の点は2クラスのデータ。
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黒い線がSVMによる分類境界(decision boundary)。
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下の図(SVR – Regression):
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グレーの点は回帰用の訓練データ。
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青い曲線がSVRによる予測関数(予測線)。
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SVCは「2クラスを分ける線」を、SVRは「実数値を予測する滑らかな線」を、それぞれ学習するという違いが視覚的に理解できます。
SVMを分類(SVC)として使うか、回帰(SVR)として使うかは、以下の2点に依存します:
✅ 1. データの「目的」
目的 | 適したモデル |
---|---|
あるカテゴリに属するか知りたい(Yes/No, A/Bなど) | SVC(分類) |
実数の値を予測したい(価格、温度、スコアなど) | SVR(回帰) |
確率が知りたい & クラスも判定したい | ロジスティック回帰 or SVC + Platt scaling |
✅ 2. データの「性質・分布」
データの形 | 向いているSVMの使い方 |
---|---|
ラベルが2値または多クラス分類 | SVC |
出力が連続値(数値) | SVR |
出力が0〜1に分布し、確率っぽい解釈がされる | SVRでもSVCでも可(閾値次第) |
💡つまり:
- 分類か回帰かを選ぶのは、「データの出力変数(目的変数)が何を意味しているか」による。
- そしてその変数に対して、**どういう出力が欲しいか(Yes/No? 実数? 確率?)**によって、モデル(SVCかSVRか)を決めます。
🔁 ボーダーラインなケース(応用的な選択)
- クレジットカード不正利用の検知:
- 最終的には「不正 or 正常」の2クラス → 分類
- でも、不正である「確率」も知りたい → 分類+確率出力(SVC+Platt)
- 売上予測:
- 「今月いくら売れる?」→ 回帰(SVR)
- 「売上が10万円を超えるかどうか?」→ 分類(SVC)
✳補足:
SVMはもともとマージン最大化の考えに基づいたアルゴリズムなので、分類に最も適しています。ただし、回帰にも応用できるように設計されており、その場合はマージンではなく「εチューブ(誤差の許容範囲)」という別の考えを使います。