投稿者「PhD」のアーカイブ

水酸基ーOHが結合するのも酸化反応なのか?

質問:CH4がCH3OHになったとき、メタンは酸化されたというか?

チャットGPTの回答:

CH₄→CH₃OH の転換は メタンの酸化反応 です。その理由を酸化数の変化で見てみましょう。

  1. 酸化数の変化
    • CH₄ 中の炭素の酸化数:-4
    • CH₃OH 中の炭素の酸化数:-2
  2. 酸化数が –4 → –2 に 増加 しているので、炭素が 2電子分失っている(=酸化された)ことになります。

電子の行き先
代表的には以下のような酸化剤(たとえば O₂)が関わります。
CH₄ + ½ O₂ → CH₃OH

  1. このとき
    • メタンの炭素から奪われた 2e⁻ は
    • 酸素(O₂)の 0 価 → 2価(O²⁻)への還元に使われ、結果的に H–O 結合を作るのに寄与します。
  2. 具体的には、O₂ が ½ モルあたり 2e⁻ を受け取って H₂O の酸素状態に近い形(酸化数 –2)となり、電子を“受け取る”ことで還元されます。

――まとめると、CH₄→CH₃OH は炭素の酸化数が –4→–2 と上がる「酸化反応」であり、奪われた 2 個の電子は主に酸素系の酸化剤に渡って還元反応を引き起こします。

 

質問:水素の数が減っていないことについて?

チャットGPTの回答:

酸化というのは必ずしも「水素が除かれる」ことを指すわけではなく、広義には「原子が電子を失う(酸化数が上がる)」反応をいいます。CH₄→CH₃OH の場合を改めて見ると:

  1. CH₄→CH₃OH での炭素の酸化数変化
    • CH₄ 中の C:酸化数 –4
    • CH₃OH 中の C:酸化数 –2
      → 炭素の酸化数が –4→–2 と上がっているので、炭素は 2e⁻分失っている(=酸化されている)
  2. “水素除去”ではない理由
    • 実際、CH₄→CH₃OH の際に炭素から水素 H が奪われているわけではありません。
    • 代わりに、炭素–水素結合の電子対をより電気陰性度の高い酸素へ引き寄せられることで、炭素は電子密度を失います。
  3. 酸化数の定義と電気陰性度
    • 酸化数は「結合電子をより電気陰性度の高い側が独占すると仮定して計算する数値」です。
    • O(酸素)は C より電気陰性度が高いので、C–O 結合では電子対がおおむね O 側に偏り、炭素は部分的に電子を失った(酸化された)とみなされます。
  4. まとめると
    • 「水素を取られる」=「還元剤から水素が供給される」モデルは古典的ですが、現代の化学では 「電子の移動(酸化数変化)」 を中心に考えます。
    • CH₄→CH₃OH は炭素側から見ると電子を奪われているので、水素が取られていなくても十分に酸化反応です。

もし「水素が除かれる」基準で酸化を考えるときは、アルコール→アルデヒド(CH₃OH→H₂CO)やアルデヒド→カルボン酸(H₂CO→HCOOH)など、水素除去を伴う酸化反応が該当します。
しかし、酸素付加反応も立派な酸化です。

 

質問:半反応式で説明して。

チャットGPTの回答:

思考時間: 2 ~ 3 秒

以下に酸性条件下での半反応式を示します。電子数を合わせるため、酸化側では 2e⁻、還元側も 2e⁻の反応で表記します。

1. 酸化半反応(メタンの酸化)

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺ + 2e⁻

  • 炭素の酸化数:–4 → –2
  • 電子が 2 個放出されます。

2. 還元半反応(酸素の還元)

½ O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → H₂O

  • 酸素(酸化数 0)が –2 に還元され、水が生成します。

これらを組み合わせると、全反応として

CH₄ + ½ O₂ → CH₃OH

が得られます。

水がいきなり出てきて戸惑われたと思いますが、これは「酸化半反応」を酸性条件でバランスさせるための手順です。以下のように考えます。

半反応式のバランス手順(酸化側:CH₄ → CH₃OH)

  1. 原子数のバランス
    • 元の反応:CH₄ → CH₃OH
    • C:1 → 1 ✔
    • H:4 → 4 (CH₃OH の H は 3 + OH の H 1) ✔
    • O:0 → 1 ✕

→ まず O をそろえるため、左辺に H₂O を1つ置いて O を供給します。
CH₄ + H₂O → CH₃OH

  1. すると O:1 → 1 で合います。
  2. 水素数の再バランス
    • 左辺の H:4 (CH₄) + 2 (H₂O) = 6
    • 右辺の H:4 (CH₃OH)
      → H が左に余っているので、余分な H₂ を H⁺ に変えて右辺に移します。

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺

  1. これで H:6 → 4 + 2 = 6 でバランス。
  2. 電荷のバランス(電子の出入り)
    • 左辺の総電荷:0
    • 右辺の総電荷:+2 (2H⁺)
      → 電荷をそろえるために、右辺に 2e⁻ を放出(–2)させます。

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺ + 2e⁻

こうして「CH₄ を CH₃OH に酸化するとき」に必要な酸素を H₂O で補い、最終的に H⁺ と e⁻ を出す半反応式が完成します。
――要点は「CH₃OH 側に O があるので、それを供給するために H₂O を左辺に置く」というバランス調整の手順です。

 

エネルギー貯蔵(脂肪酸合成など)の化学反応にエネルギーを使って(NADPHなど)、エネルギーを取り出すときにちゃんとそれ以上のエネルギーが取り出せるのかについて

エネルギー貯蔵(脂肪酸合成など)の化学反応にエネルギーを使って(NADPHなど)、エネルギーを取り出すときにちゃんとそれ以上のエネルギーが取り出せるのかについて、ChatGPTに訊いてみました。

質問:グルコースが過剰だと解糖系でピルビン酸にしてアセチルCoAにして、NADPHなどを使って脂肪酸をつくっていくが、そのときエネルギーを使う。だとしたら、最後、中性脂肪までしたときに使ったエネルギーと、将来、中性脂肪を利用する際に分解してエネルギーを取り出すときのエネルギーとで、取り出せるエネルギーの方が大きいのか?

ChatGPTの回答:

中性脂肪(トリアシルグリセロール)を合成するときに使うエネルギー量より、その脂肪を分解してβ-酸化/TCA回路でATPに換えたときに得られるエネルギー量のほうが大きくなります。これは「脂肪は高効率なエネルギー貯蔵分子」であるゆえんです。以下に大まかな流れとエネルギー収支の理由を示します。


1. 脂肪合成に要するエネルギー(例:パルミチン酸 C₁₆ の場合)

  1. グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA
    • 解糖系でグルコース1分子あたり 2ATP(実質)+2NADH(≒5ATP分相当)を得るが、これをすべて脂肪酸前駆体に使うと考えると実質的にATPは中和される。
  2. アセチルCoA→マロニルCoA
    • ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)反応で ATP 1分子を消費
  3. 脂肪酸合成反応(脂肪酸シンターゼ)
    • 2炭素伸長ごとに NADPH を 2 分子消費
    • パルミチン酸(C₁₆)合成にはアセチルCoA 1+マロニルCoA 7 → 合計 7 回の延長 → NADPH 14 分子消費
  4. NADPH の供給コスト
    • 主にペントースリン酸回路で作る場合、グルコース6-P 1分子あたり NADPH 2 分子を生成。NADPH 14 を作るにはグルコース6-P およそ 7 分子分を割り当て → 解糖系由来ATPが減少。

――これらをまとめると、パルミチン酸1分子合成には

  • ATP:7(ACC)+ペントース回路の機序で実質数ATP相当のロス
  • NADPH:14分子分(≒14×2.5ATP相当=約35ATP相当)
    …という大きなエネルギー投資が必要です。

2. 脂肪酸の分解(β-酸化+TCA回路)で得られるエネルギー

パルミチン酸(C₁₆)1分子あたりの標準的な収支は:

  1. β-酸化
    • 7サイクルで:FADH₂ 7、NADH 7 を生成
  2. TCA回路
    • 8アセチルCoA → 各1サイクルで:GTP(ATP相当)8、NADH 24、FADH₂ 8
  3. 電子伝達系換算
    • NADH 1 → 約 2.5 ATP、FADH₂ 1 → 約 1.5 ATP

――合計するとパルミチン酸1分子あたり約106 ATP が得られます。


3. なぜ “取り出せるエネルギー” のほうが大きいのか?

  • 高度に還元された炭素鎖
    • 脂肪酸は炭素が水素で満たされた「飽和・長鎖構造」で、酸化還元反応によって大量のNADH/FADH₂を生み出せる。
  • 貯蔵時の投資 vs. 取り出し時の回収効率
    • 合成時にはNADPH(電子供与体)を使うが、分解時にはNADH/FADH₂(より高い還元電位)を生成する。NADPH生成コスト(ペントース回路)のATP換算より、NADH/FADH₂からのATP合成量のほうが大きいため、純粋に「回収量>投資量」となる。
  • 生理学的意義
    • 生体は余剰エネルギーを最も高効率で貯蔵し、必要時に大きなエネルギーを一気に取り出せるようにこの仕組みを発達させてきたのです。

まとめ:脂肪合成には大量のATP&NADPHを“前払い”しますが、分解時にはそれを遥かに上回るATPを“回収”できるため、脂肪は極めて効率的なエネルギー貯蔵形態となります。

 

質問:出発点であるアセチルCoAの段階での比較をした場合はどうなる?

ChatGPTの答え:

脂肪酸合成に要するエネルギー vs. β-酸化で得られるエネルギー(Acetyl-CoA まで)

ここでは代表としてパルミチン酸(C₁₆)を例に、合成側と分解側の「Acetyl-CoA まで」のΔG を比較します。

(A)パルミチン酸合成のエネルギー投資

  1. NADPH 使用量:14 mol NADPH × ΔG₁ =
    ΔG₁ ≒ −n·F·E = −2 e⁻×96.5 kJ/V·mol×(−0.370 V) ≈ +71.4 kJ/mol
    → 14×71.4 ≈ +1 000 kJ
  2. ATP 使用量:7 mol ATP × 約+30 kJ/mol = +210 kJ

合計投資 ΔG ≒ +1 210 kJ

(B)β-酸化(Acetyl-CoA まで)で得られる還元当量

  1. NADH 生成:7 mol × (−2 e⁻×96.5 kJ/V·mol×(−0.280 V)) ≈ −7×54 = −378 kJ
  2. FADH₂ 生成:7 mol × 約−43 kJ/mol = −301 kJ
  3. ATP 投資(アシルCoA合成で AMP + PPi = 2 ATP 相当の消費)= +60 kJ

合計回収 ΔG ≒ (−378) + (−301) + (+60) = −619 kJ


結論

  • 合成投資 (+1 210 kJ) > 分解回収 (−619 kJ)
  • 「Acetyl-CoA まで」の段階では、エネルギー投資のほうが大きく、トントンにはなりません。
  • β-酸化で生成した NADH/FADH₂ を電子伝達系で酸化しATPに換える(さらに Acetyl-CoA をTCA回路で完全酸化する) ことで、初めて 全体として正味の大きなエネルギー回収(約+2 000 kJ)が実現します。

――以上より、「中性脂肪を分解して Acetyl-CoA にするまで」の段階では投資>回収ですが、その先のTCA回路+電子伝達系を通じて得られるエネルギーこそが、脂肪を高効率なエネルギー貯蔵形態にしている、というわけです。


  1. 脂肪合成までの投資(パルミチン酸 C₁₆ 合成を例に)
    • ATP:7 mol × 約 +30 kJ/mol = +210 kJ
    • NADPH:14 mol × 約 +71 kJ/mol = +1 000 kJ
    • 合計投資 ≒ +1 210 kJ
  2. β-酸化で Acetyl-CoA まで回収できるエネルギー
    • NADH:7 mol × (−54 kJ/mol) = −378 kJ
    • FADH₂:7 mol × (−43 kJ/mol) = −301 kJ
    • ATP 投資(活性化コスト):+60 kJ
    • 合計回収 ≒ −619 kJ

Acetyl-CoA まででは投資 (+1 210 kJ) > 回収 (619 kJ)
この段階ではまだ赤字です。

  1. 完全酸化(TCA 回路+電子伝達系)での最終回収
    • 上記 Acetyl-CoA 8 mol × TCA+ETC による ATP 収量を足すと
      約 −2 000 kJ(ネットのプラス)となり、
    • ここで初めて「回収量 > 投資量」の高効率が実現します。

ですので「Acetyl-CoA までの段階ではトントンではなく赤字」「TCA+ETC を含めることでネットで大きなプラスになる」

 

補足


1. NADP⁺/NADPH と NAD⁺/NADH の標準(生理学的)還元電位

カップル E′°(pH 7, V) 注記
NADP⁺ + H⁺ + 2 e⁻ ⇄ NADPH −0.370 生理学的条件下の見かけの値(NADPH/NADP⁺ 比 ≒ 50:1) (Wikipedia)
NAD⁺ + H⁺ + 2 e⁻ ⇄ NADH −0.280 生理学的条件下の見かけの値(NADH/NAD⁺ 比 ≒ 30:1) (Wikipedia)
  • ΔE = E(e⁻ 受容) − E(e⁻ 放出) の観点で、NADPH のほうがより負の電位をもち、より強い還元剤(電子供与体)です。

インスリンの働き

インスリンは血液中のグルコースを末梢組織の細胞が取り込むようにします。具体的にはインスリン依存性のグルコーストランスポーターを活性化します。では、取り込まれた糖はその後、どうなるのでしょうか。エネルギー代謝を勉強した人は、解糖系が回って、クエン酸回路、電子伝達系が働いてATPがたくさんできると考えるかもしれません。しかしエネルギーが十分にある状態なので、ATPをさらにつくるよりも、むしろ、グルコースを貯蔵に回す、もしくは解糖系の産物であるピルビン酸からできたアセチルCoAを脂肪酸の材料として脂肪酸合成にまわすなどして、グリコーゲンや中性脂肪という形でエネルギー貯蔵に向かわせることが、インスリンの重要な働きといえるでしょう。その際、インスリンの細胞内情報伝達機構は、様々な酵素や酵素活性を制御する因子に働きかけて、どの代謝経路を働かせるかを制御しています(つまり、エネルギー貯蔵に向かうような代謝経路を選ぶ)。

そのあたりのことをChatGPTに解説してもらいました。

 

質問:インスリンの働きは、末梢に血糖を取り込ませて解糖系、クエン酸回路を回してATPを作らせるため という主張は正しいか?

ChatGPTの回答:

Insulinの働きについて考察

インスリンは確かに骨格筋や脂肪組織といった末梢組織でのグルコース取り込みを促進し、その結果、細胞内での解糖系→ピルビン酸→アセチルCoA→クエン酸回路→酸化的リン酸化といった流れでATP産生を支援します。ですが、これだけがインスリンの役割ではありません。

  1. グルコース取り込みの機構
    • インスリンは主に骨格筋・脂肪細胞の細胞膜上にあるGLUT4トランスポーターを細胞内の貯蔵ヴェシクルから細胞膜へ移動(トランスロケーション)させ、血中のグルコースを速やかに取り込ませます。
  2. エネルギー産生以外の“貯蔵・合成”シグナル
    • インスリンは取り込んだグルコースをすぐにATPに変えるよりも、まずはグリコーゲン合成(肝・筋)、脂肪合成(肝・脂肪組織)、蛋白質合成(筋)などの「同化的代謝」を活発化させるホルモンです。
    • これにより、エネルギー源としてのグルコースを貯蔵分子へ変換し、血糖を恒常的に低く保つことが最優先されます。
  3. 糖新生・リポリシスの抑制
    • 同時にインスリンは肝臓での糖新生(グルコース新生)や脂肪組織でのリポリシス(脂肪分解)を抑制し、血糖値と遊離脂肪酸の上昇を防ぎます。
  4. ATP産生との関係
    • 確かに解糖系とクエン酸回路を通じたATP産生は起こりますが、インスリンの本質的な「目的」は①過剰な高血糖の是正と②同化的貯蔵反応の促進にあります。運動時のATP需要に応じたエネルギー供給は、糖取り込みだけでなくアドレナリンやAMPKなど別のシグナルが大きく関与しています。

まとめると
「インスリンは末梢に血糖を取り込ませてATPを作らせるためのホルモン」という表現は、一面では正しいものの “ATP産生” を主目的とするホルモン というには不十分で、むしろ 血糖を同化的代謝(貯蔵・合成)に回すことで、血糖値を適正に維持する” という働きが中心、というのがより正確です。

 

インスリンは単にグルコース取り込み量を増やすだけでなく、取り込まれたグルコースがどの代謝経路に振り分けられるか(解糖→TCA 回路、脂肪合成、グリコーゲン合成など)の「分岐点」をホルモンシグナルによってダイナミックに制御します。以下、代表的な仕組みと実例を示します。


1. 解糖 vs. グルコース新生の分岐:PFK-2/F-2,6-BP 系

  • 仕組み
    • インスリンが肝細胞内で PP2A(Protein Phosphatase 2A)を活性化→PFK-2(6-ホスホフルクトキナーゼ-2)を脱リン酸化して活性化
    • PFK-2 活性化により F-2,6-BP(フルクトース-2,6-ビスリン酸)が上昇
    • F-2,6-BP は解糖系の律速酵素 PFK-1(6-ホスホフルクトキナーゼ-1)を強力に活性化し、同時に FBPase-1(フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ)を抑制 → 解糖系へ流量シフト (Wikipedia, Diabetes Journals)
  • 生理的意義
    • 摂食直後、肝臓でのグルコース取り込みと解糖系促進により、ATP 産生および中間代謝物(G3P 以降)が十分に供給され、脂肪合成やアミノ酸合成の前駆体が得られる (サイエンスダイレクト)

2. 脂肪酸合成への振り分け:ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)の制御

  • 仕組み
    • インスリンシグナルは Akt→PP2A を介して ACC を脱リン酸化・活性化
    • 活性化 ACC はアセチルCoA からマロニルCoA を生成し、脂肪酸合成を開始
    • さらに、細胞内クエン酸の蓄積は ACC のアロステリック活性化因子として働き、脂肪合成フローを一層促進 (PMC, Physiology Journals)
  • 生理的意義
    • 食後に取り込まれたグルコースはまず解糖系でピルビン酸→アセチルCoA へ変換され、余剰エネルギーは主に中性脂肪として肝および脂肪組織に貯蔵される

3. グリコーゲン合成への振り分け:GS(グリコーゲンシンターゼ)の制御

  • 仕組み
    • インスリンは PI3K/Akt 経路を介して GSK-3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)を不活化
    • また、インスリンは PP1(Protein Phosphatase 1)を活性化し、
      • グリコーゲンシンターゼ(GS) を脱リン酸化して活性化
      • グリコーゲンホスホリラーゼ を脱リン酸化して不活化 → グリコーゲン合成を優先 (PubMed, Endocrine.org)
    • 加えて、G6P(グルコース-6-リン酸)が GS のアロステリック活性化因子として働き、グリコーゲン合成をさらに促進 (Wikipedia)
  • 生理的意義
    • 摂食直後の高血糖時に、一時的なエネルギー貯蔵庫としてグリコーゲンを速やかに合成・蓄積し、血糖値の急激な上昇を抑制

まとめ

  • インスリンは「酵素のリン酸化状態」や「アロステリックエフェクター」を操作することで、同じグルコース取り込み後の中間体を ①解糖系(ATP・前駆体生成) ②脂肪合成 ③グリコーゲン合成 にダイナミックに振り分けます。
  • これにより、摂食状態に応じたエネルギー恒常性と同化的貯蔵が効率的に行われています。

 

α-リポ酸 lipoic acidとは

  1. 脂肪酸合成の場所は細胞質?ミトコンドリア?

脂肪酸は通常、細胞質で合成されますが、特殊なケースとしてミトコンドリアで合成される脂肪酸があります。ミトコンドリアで合成される脂肪酸は、リポ酸などの補酵素脂肪酸です。

α-リポ酸は下のような構造をしています。別名、チオクト酸だそうで、チオール基(-SH)が2つあって、ジスルフィド結合をして環を形成しており、オクタンの名前の通り炭素8個が繋がっています。そして、酸というとおり、カルボン酸です。炭素鎖と環の分岐に位置する炭素は、4本の手がそれぞれ異なる分子と結合する「不斉炭素」なので、向きまで指定された構造式が描かれています。

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/Α-リポ酸

α-リポ酸は、糖代謝においてピルビン酸からアセチルCoAができる際の酵素である、「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ」の補酵素のうちの一つとして働きます。ヒトの体内でも合成されるので、「ビタミン」とは言えませんが、「ビタミン様(よう)」物質と言われることがあります。

  1. https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/食事性因子/リポ酸
  2. http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/tca_cycl.htm

ChatGPT:

**α-リポ酸(α-lipoic acid)は、補酵素として働くときに「還元型(ジヒドロリポ酸)」から「酸化型(リポ酸)」へ戻る=つまり、「還元型が酸化される」**という反応が起こります。


🔬 α-リポ酸の酸化還元サイクル

🧪 構造的に見ると:

  • 酸化型リポ酸(lipoic acid)
    • 環状ジスルフィド構造(–S–S–)
    • 酸化されている形
  • 還元型リポ酸(ジヒドロリポ酸, dihydrolipoic acid)
    • ジスルフィドが開いて2つのチオール基(–SH, –SH)になる
    • 還元された形

🔁 反応の流れ(例:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体)

  1. α-リポ酸は酸化型(–S–S–)で存在
  2. 基質(例:ピルビン酸)からアセチル基が転移 → α-リポ酸の一部が**還元型(–SH, –SH)**になりながらアセチル基を受け取る
  3. アセチル基はCoAへ渡され、α-リポ酸はジヒドロリポ酸のままになる(還元状態)
  4. ジヒドロリポ酸は、FADやNAD⁺を介して再び酸化型(–S–S–)に戻る

⚙️ まとめ表

状態 構造 機能
酸化型リポ酸 ジスルフィド環(–S–S–) アセチル基を受け取る(反応前)
還元型リポ酸 2つのチオール(–SH, –SH) アセチル基を運搬、反応後に戻る必要あり

💡ポイント

  • α-リポ酸は酸化還元を繰り返しながら、アシル基や電子をやり取りする「シャトル」のような存在
  • そのため「還元型 → 酸化型へ戻る」のはまさに補酵素としての役割そのもの

質問:ジヒドロリポ酸は、FADやNAD⁺を介して再び酸化型(–S–S–)に戻る ということは、このステップで、NADHやFADH2が産生されるの?生化学の教科書にそんなこと書いていたっけ??

ChatGPT:

 

🔬 結論から言うと:

はい、NADHが産生されます(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体などにおいて)

しかし、FADH₂は解放されません(酵素内で使われる)


🧬 例:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDH複合体)

この複合体は以下の3つの酵素で構成されています:

サブユニット 酵素名 補酵素
E1 ピルビン酸脱炭酸酵素 TPP(チアミンピロリン酸)
E2 ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ リポ酸, CoA
E3 ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ FAD, NAD⁺

🔁 還元の流れ(重要ポイント)

  1. ピルビン酸がアセチル基になり、E2のリポ酸に転移される
    → この時、リポ酸は**還元型(ジヒドロリポ酸)**になる。
  2. 還元されたジヒドロリポ酸は、E3にある**FADによって再酸化(=–S–S–型に戻る)**される
    → この時、FAD → FADH₂になる
  3. しかしこのFADH₂はすぐにNAD⁺に電子を渡す(=酸化されてFADに戻る)
    NAD⁺ → NADH + H⁺ が実際に系外に出ていく還元当量

🧪 教科書ではどう書いてある?

  • 「FADH₂がNAD⁺に電子を渡すので、実質的な産物はNADHである」という説明が一般的です。
  • Lehninger(『レーニンジャー生化学』)やVoetの教科書などでは、**「E3によってリポ酸が再酸化され、その過程でNADHが得られる」**と明記されています。

🔍 まとめ

ステップ 電子の流れ 実際に「生じて回収される」もの
ジヒドロリポ酸 → 酸化型 → FAD → NAD⁺ NADH
FADH₂自体 酵素内循環で使用され、遊離しない ❌ 出てこない

✅ 最重要ポイント

生化学の教科書がNADHだけを強調するのは、FADH₂はその場でNAD⁺に渡して再酸化されるから。FADH₂自体は「自由な産物」ではないのです。

脂肪酸合成の場所は細胞質?ミトコンドリア?

生化学の教科書には、脂肪酸のβ酸化はミトコンドリアのマトリックス内で起きるが、脂肪酸合成はβ酸化の逆反応として起こるわけではなくて、別の場所、すなわち細胞質で起こると説明されています。

ところがウィキペディアを見たら、

Two de novo fatty acid syntheses can be distinguished: cytosolic fatty acid synthesis (FAS/FASI) and mitochondrial fatty acid synthesis (mtFAS/mtFASII). https://en.wikipedia.org/wiki/Fatty_acid_synthesis

と書いていて、少し混乱させられましたので、ChatGPTに訊いてみました。以下が、その答えです。

教科書的・基本的な生化学の授業では、「脂肪酸合成は細胞質で起こる」と教えられるのが一般的です。これは「de novo脂肪酸合成(FAS/FASI)」に限った話です。


🔬 脂肪酸合成が「細胞質で」と教えられる理由(FAS/FASI)

  • 通常、生合成される**パルミチン酸(C16:0)**などの長鎖脂肪酸は、細胞質で以下の材料から合成されます:
    • アセチルCoA(出発点)
    • NADPH(還元力)
    • 脂肪酸合成酵素(FAS)複合体
  • この系は**「脂肪酸合成系(FAS, Fatty Acid Synthase)」**と呼ばれ、細胞質(cytosol)で機能します。
  • したがって、ほとんどの生化学の教科書ではこれを「脂肪酸合成」と定義しており、「細胞質で行われる」と説明されます。

🧬 Wikipediaにある「ミトコンドリア脂肪酸合成(mtFAS)」とは?

これは一般にはあまり知られていない第2の脂肪酸合成経路です。

✅ mtFASの特徴

項目 内容
場所 ミトコンドリア基質内
役割 **リポ酸(lipoic acid)**などの特定脂肪酸や補因子の合成
酵素系 細胞質とは異なり、**バクテリア型(FAS II)**の酵素が個別に働く
生理的意義 ミトコンドリア内の酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体など)に必要なリポイル基の合成に関与

📌 重要な点

  • mtFAS はエネルギー代謝に必須ですが、一般的な脂肪酸(例:パルミチン酸)」を合成するわけではない
  • したがって、教科書的な文脈では「脂肪酸合成=細胞質」と教え、mtFASは「特殊経路」として記載される程度。

🔍 まとめ

系統 略称 場所 主な産物 教科書での扱い
細胞質脂肪酸合成 FAS / FASI 細胞質 パルミチン酸などの長鎖脂肪酸 基本
ミトコンドリア脂肪酸合成 mtFAS / FASII ミトコンドリア リポ酸など補酵素脂肪酸 上級・特殊な話題
  1. α-リポ酸とは

 

臨床研究論文を読めるようになるための教科書的な本

 

How to read a paper

論文の読み方という書籍タイトルですが、実際には臨床研究のデザインの良しあしに関する批判的な見方を紹介していたりして、論文の文言から何を読み取るかというよりも、その論文の研究デザインに妥当性はそもそもあるのかといった批判的態度を習得することができるという点で、素晴らしい「研究の教科書」だと思います。研究費獲得のために申請書を書く際にも研究デザインを示す必要がありますが、自分の考えている研究デザインが本当にそれでいいのかを批判的に吟味することもできるようになるはず。臨床研究の力を付けるための格好の教科書といえそうです。そのような批判的な態度が身につけばこそ、論文を読む力が上がるのでしょう。

本書は改訂を重ねていて、2024年に第7版が出ていました。

How to Read a Paper: the Basics of Evidence-Based Healthcare (English Edition) 7th edition 2024/12/23 Kindle版 ¥6,906  Trisha M. Greenhalgh (著), Paul Dijkstra (著) ページ数 : 328ページ

amazon.comでかなり高い評価を得ている本です。

How to Read a Paper: The Basics of Evidence-based Medicine and Healthcare 6th Edition by Trisha Greenhalgh (Author) 4.6 out of 5 stars 431 ratings (May 6, 2019) 288 pages

読む技術 論文の価値を見抜くための基礎知識 トリーシャ・グリーンハーフ 日経メディカル 2016年  Kindle版¥4,312 How to read a paper: the basics of evidence-based medicine 5th edition, Trisha Geenhaigh (原書261ページ)医学論文を探し、見つけた論文の科学的妥当性や診療との関連性を評価し、適切であればその結果を実践に移したいと考えるあらゆる人に向けた書(初版 序文 より)

これは第5版の邦訳。第13章質問票調査を報告する論文では、”他のほぼどのような研究デザインよりも、質の悪い質問票調査が多く存在するという事実”などといった調子で、かなり辛口の表現があります。「ゴミを入力すれば出力結果もゴミである」がどこよりも該当するのが質問票調査だなどと、辛口なコメントが続きます。

こうしてみるとHow to read a paperといいつつ、研究をしている人(研究者)が読めば、 How to conduct a research の本ともいえそうです。

 

心要の研究デザインが分かる本

医学論文、わからにのは統計だけ?肝心要の研究デザインが分かる本 新興医学出版社 2021年 https://shinkoh-igaku.jp/mokuroku/data/914.html 論文読破に必要な知識は統計学だけではありません。肝心要は「研究デザイン」です。 東京大学特任助教、特任講師が執筆、教授が監修 紙の本のみでキンドル書籍はなし。133ページの小冊子のような本。

医学部の学生が生理学を勉強するためのお勧めの教科書

医学部の学生が生理学を勉強するためのお勧めの教科書をChatGPTに訊きました。

世界的に評価されている英語の教科書(原書)

1. Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology

  • 著者:John E. Hall

  • 出版社:Elsevier

  • ページ数:1,200ページ以上(最新版)

  • 特徴

    • 世界で最も広く使われている医学生理学の教科書。

    • 平易な文章で説明されており、図表が豊富。

    • 生理学的メカニズムを丁寧に説明。

    • 電解質、内分泌、神経、心肺、腎など全ての臓器系をカバー。

  • 最新版:14版(2020年)

  • https://clinref.com/data/uploads/books/Guyton_and_Hall_Textbook_of_Medical_Physiology_14th_Ed.pdf
  • Kindle版 (電子書籍) ¥11,659

2. Ganong’s Review of Medical Physiology

  • 著者:Kim E. Barrett 他

  • 出版社:McGraw-Hill

  • ページ数:700~900ページ(版により異なる)

  • 特徴

    • Guytonより少しコンパクトだが、より専門的な記述もある。

    • 各章末の臨床コラムや簡潔なまとめが便利。

    • 問題演習にも適する構成。

    • 26版 https://jasulib.org.kg/wp-content/uploads/2022/10/2.-Ganongs-Review-of-Medical-Physiology.-Twenty-%E2%80%93-sixth-edition.-Kim-E.-Barret.pdf
    • 25版 https://archive.org/details/GanongsReviewOfMedicalPhysiology25thEdition

3. Boron & Boulpaep Medical Physiology

  • 著者:Walter F. Boron, Emile L. Boulpaep

  • 出版社:Elsevier

  • ページ数:1,300ページ以上

  • 特徴

    • より研究志向・詳細重視のテキスト。

    • 分子・細胞レベルから臓器系レベルへのつながりを強調。

    • 医学部高学年や大学院生にも適している。

    • 第3版 https://emedicodiary.com/book/view/135/boron-boulpaep-medical-physiology

【医師国家試験過去問】I型糖尿病、II型糖尿病の治療選択に関する問題

問題119D42

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://ameblo.jp/hama1951s/entry-12893418148.html

問題118E34

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://note.com/kosei_taro/n/nad1b064c6db5

問題115A53

58歳の男性。空腹時血糖の高値を主訴に来院した。20年前に2型糖尿病を指摘され、15年前からインスリン自己注射を開始した。現在は超速効型ヒトインスリンを各食直前に6単位、就寝前に持効型溶解インスリンを12単位自己注射している。内服薬は服用していない。最近の自己血糖測定値を下記に示す。睡眠中に著明な発汗を伴い目覚めることがある。身長173cm、体重62kg。脈拍68/分。血圧126/82mmHg。身体所見に異常を認めない。尿所見:蛋白(−)、糖2+、ケトン体(−)。血液所見:随時血糖178mg/dL、HbA1c 6.4%(基準4.6〜6.2)。 まず行うべきなのはどれか。

a. 夕食後の散歩 b. 夕食時の糖質減量 c. 明け方の血糖値の測定 d. スルホニル尿素薬の内服の追加 e. 夕食前の超速効型ヒトインスリンの増量

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://medical-illustration.club/kakomon-chart/med/115_a/53

問題114A29

50歳の男性。糖尿病治療の目的で来院した。 1か月前から両眼のかすみと視力低下を自覚して自宅近くの医療機関の眼科を受診したところ,両眼増殖糖尿病網膜症と診断され,内科を紹介されて受診した。これまで健康診断は受けていなかった。職業は自営業でデスクワークをしている。この1年間で体重は8kg減少している。身長170cm,体重62kg。脈拍72/分,整。 血圧182/102mmHg。 両側アキレス腱反射は消失している。 両側足関節の振動覚は著明に低下。尿所見(空腹時): 蛋白3+,糖3+,ケトン体1+,潜血(-)。血液生化学所見(空腹時):尿素窒素38mg/dL, クレアチニン2.4mg/dL, 血糖348mg/dL,HbA1c 14.6%(基準4.6~6.2),トリグリセリド362mg/dL,HDLコレステロール28mg/dL,LDLコレステロール128mg/dL,Na 136mEq/L,K 5.2mEq/L,Cl 98mEq/L。 この患者の食事療法として正しいのはどれか。

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://m3e-medical.com/montore_pages/114KA029

問題113A59

62歳の男性。血糖コントロールと腎機能の悪化のため来院した。20年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所でスルホニル尿素薬の内服治療を受けている。5年前から血糖コントロールが徐々に悪化し、血清クレアチニンも上昇してきたため、紹介されて受診した。身長165cm、体重76kg。脈拍84/分、整。血圧168/62mmHg。両眼に増殖性網膜症を認める。両下腿に軽度の浮腫を認める。アキレス腱反射は両側消失。尿所見:蛋白2+、糖2+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球395万、Hb 11.2g/dL、Ht 32%、白血球5,500、血小板22万。血液生化学所見:尿素窒素40mg/dL、クレアチニン3.2mg/dL、空腹時血糖226mg/dL、HbA1c 10.8%(基準4.6~6.2)。 糖尿病治療について最も適切な対応はどれか。

a 食事療法を強化する。b ビグアナイドを追加する。c インスリン製剤を導入する。d スルホニル尿素薬を増量する。e α-グルコシダーゼ阻害薬を追加する。

  1. https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/ishi/

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://www.e-resident.jp/content/examination/6392
  2. https://kasotuukablog.com/jinkinoteikatounyobyo/

問題112F53

12歳の女児。低血糖性昏睡で救急搬送された。 11歳時に1型糖尿病を発症し、インスリン強化療法を受けている。 体育の授業中に意識を失ったという。来院時の血糖値は22mg/dLで、20%ブドウ糖液を静注したところ、2分後に意識は回復した。 精査・加療目的で入院した。入院後の聴取では「低血糖かなとは思ったが、 進学したばかりの中学で相談できる先生や友達もなく血糖測定もしづらいと思っていたら、いつのまにか気を失っていた」との事であった。 退院後の学校生活における指導内容で適切でないのはどれか。

a: 小児糖尿病サマーキャンプを紹介する。 b: スティックシュガーを常に携行するように指導する。 c: 体育の授業の後などは低血糖になりやすいことを指導する。 d: 血糖の自己測定をしやすい環境の確保を担任の教諭に依頼する。 e: 意識を消失したらインスリン皮下注射を行うよう担任の教諭に指導する。

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://www.e-resident.jp/content/examination/6393

問題105

45歳の男性。めまい,嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
現病歴:24歳から毎年健康診断を受けていたが,異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け,空腹時血糖98 mg/dL,HbA1c 5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し,7月30日に突然,口渇,多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し,熱中症ではないかと自己判断して,スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し,8月2日に受診した。
既往歴:5年前に痔瘻の手術。
生活歴:喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が高血圧症,高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
現 症:意識は清明。身長171 cm,体重58 kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分,整。血圧102/68 mmHg。甲状腺の腫大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖3+,ケトン体2+。血液所見:赤血球468万,Hb 13.9 g/dL,Ht 42%,白血球12,300(好中球75%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板27万。血液生化学所見:血糖610 mg/dL,HbA1c 5.8%(基準4.3~5.8),総蛋白7.5 g/dL,アルブミン3.9 g/dL,尿素窒素12 mg/dL,クレアチニン0.6 mg/dL,尿酸6.9 mg/dL,総コレステロール246 mg/dL,トリグリセリド190 mg/dL,総ビリルビン0.9 mg/dL,AST 10 IU/L,ALT 16 IU/L,LD 177 IU/L(基準176~353),ALP 174 IU/L(基準115~359),アミラーゼ950 IU/L(基準37~160),Na 131 mEq/L,K 4.4 mEq/L,Cl 97 mEq/L。CRP 1.0 mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.25,PaCO2 28 Torr,PaO2 102 Torr,HCO3 12 mEq/L。
この病態で特徴的な症候はどれか。

  1. https://m3e-medical.com/montore_pages/105KG066

問題 101H37

32歳の女性。口渇,多飲,多尿および体重減少を主訴に来院した。意識は清明。身長160cm,体重46kg。脈拍80/分,整。血圧104/72mmHg。甲状腺の腫大は認めない。尿所見:タンパク(-),糖4+,ケトン体2+。血清生化学所見:空腹時血糖324mg/dL,HbA1c 10.2%(基準4.6~6.2)。
治療方針決定に有用な検査はどれか。2つ選べ。

a. 動脈血ガス分析 b. インスリン負荷試験 c. 尿中アルブミンの定量 d. 尿中Cペプチドの測定 e. 75g経口ブドウ糖負荷試験

解答・解説ウェブ記事へのリンク

  1. https://m3e-medical.com/montore_pages/101KH037

関連リンク

  1. https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/19/1/19_32/_pdf

stay suture とは

Stay Sutures

Stay Sutures in Surgery #goodtoknow #suturing #funfacts #vet #medicine #surgeon #surgeonlife #hacks Vetventures チャンネル登録者数

Sutures

Introduction to Suture Surgical Counts チャンネル登録者数

新規睡眠薬:オレキシン受容体拮抗薬デービゴ、クービビック、ほか

以下は、ChatGPT 4oによるオレキシン受容体拮抗薬の作用をもつ新規睡眠薬の作用機序等のまとめです。

 

新規睡眠薬である**オレキシン受容体拮抗薬(Orexin Receptor Antagonists, ORAs)**について、主に代表的な2剤 デエビゴ(Dayvigo)クービビック(Quviviq) を中心に、網羅的に解説します。


🔷 1. 概要:オレキシンとその拮抗薬とは?

▶ オレキシンとは?

  • 視床下部から分泌される神経ペプチド(オレキシンA / B)。
  • 覚醒の維持、食欲、エネルギー代謝などに関与。
  • ナルコレプシー患者ではオレキシンが欠損しており、逆に「オレキシンを抑えれば睡眠を誘導できる」という発想から、睡眠薬のターゲットに。

🔷 2. 代表薬剤

一般名 商品名(日本/米国) 製造企業 承認年(FDA / 厚労省)
レンボレキサント デエビゴ(Dayvigo) エーザイ 2019 (FDA) / 2020 (日本)
ダリドレキサント クービビック(Quviviq) Idorsia(スイス) 2022 (FDA) / 2023 (日本)
スボレキサント ベルソムラ(Belsomra) MSD(米国) 2014 (FDA) / 2014 (日本)

🔷 3. 化学名と作用機序

▪ レンボレキサント(Dayvigo)

  • 化学名: [(−)-2-(2-chloro-4-(methylnaphthalen-1-yl)phenyl)-1,3-oxazol-4-yl]-[2-methyl-2H-tetrazol-5-yl]methanone
  • 作用機序: **オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)**の両方を可逆的に阻害し、覚醒シグナルを抑制。

▪ ダリドレキサント(Quviviq)

  • 化学名: (2S)-4-(2-chloro-7-methoxyquinolin-4-yl)-4-((1-methyl-1H-imidazol-2-yl)amino)piperidine-1-carboxamide
  • 特徴: 半減期が短め(約8時間)で、翌朝の眠気を軽減するように設計。

🔷 4. 睡眠のメカニズムとオレキシンの役割

  • 脳には**覚醒を促進する神経系(オレキシン、ヒスタミンなど)**と、**睡眠を促す神経系(GABAなど)**がある。
  • オレキシン神経系は、睡眠状態に入らせないように働く
  • 従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)はGABA受容体を増強し、神経の抑制を高める
  • 対してオレキシン拮抗薬は、「覚醒を止める」というアプローチ。

🔷 5. 既存の睡眠薬との違い

比較項目 従来薬(ベンゾ系など) オレキシン受容体拮抗薬
主な作用部位 GABA受容体 オレキシン受容体(OX1R/OX2R)
筋弛緩作用 あり(転倒リスク) 少ない
依存性 高い(長期使用で耐性) 低いとされる
睡眠構造 睡眠が浅くなる 自然な睡眠に近いとされる
中止後の不眠(リバウンド) 起こりやすい 少ない

🔷 6. 主な副作用

項目 内容
日中の眠気 特に高用量で見られる
転倒 筋弛緩は少ないが、転倒リスクは依然存在
異常夢・夢見の増加 睡眠構造への影響と関連あり
頻度は低いが注意すべき副作用 ナルコレプシー様症状(睡眠麻痺、幻覚)、複雑な睡眠行動(夢遊病様行動)など

🔷 7. 患者・臨床医の声(国内外レビューより)

  • 「起きたときにボーッとしないのがいい
  • 「自然に眠れる感じがする」
  • 「効くまでに2〜3日かかったが、効果は穏やか」
  • 「ベンゾ系で副作用が強かった高齢者に適している」
  • 一方で「高価」「保険適用が限られる」といった声も。

🔷 8. 承認の経緯・開発背景

▶ レンボレキサント(Dayvigo)

  • 開発元:エーザイ(日本)
  • ナルコレプシー研究を元に創薬。
  • 米FDAでは2019年12月に認可、日本では2020年7月に承認。
  • 高齢者を含む大規模試験(SUNRISE-2など)で効果と安全性を確認。

▶ ダリドレキサント(Quviviq)

  • 開発元:Idorsia(アクテリオン社から分離独立したスイスの製薬会社)
  • FDA承認:2022年、日本での承認:2023年。
  • 比較的新しい薬であり、「持ち越し眠気が少ない」として注目

🔷 9. 医療現場での位置づけ

  • 特に高齢者や既存薬に耐性が出た患者、依存リスクのある人に対して、ORAsは新たな選択肢
  • ただし、価格・効果発現時間・医師の習熟度などから、現場への普及はゆっくり。
  • 使い分けが重要(例:即効性を求めるならゾルピデムなども考慮)。

🔷 10. まとめ

特徴 内容
薬理学的特性 オレキシン受容体(OX1R, OX2R)を選択的に阻害
対象患者 慢性的な不眠症・高齢者・ベンゾ依存歴のある人など
メリット 自然な睡眠、依存性が低い、筋弛緩作用なし
デメリット 高価格、効き始めが緩やか、翌朝の眠気が出ることも
承認年 デエビゴ:2020年(日本)、クービビック:2023年(日本)