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特許法126条第4項の条文の読み取り 請求項ごとに請求しようとするときは、請求項の全てについて行わなければならない?

特許法126条第4項 請求項ごとに請求しようとするときは、請求項の全てについて行わなければならない って??

Claude Opus 4.7:

おおきに、ええ質問やで。これ、確かに条文の日本語がパッと読むと「請求項ごとに」と「請求項の全てについて」が矛盾してるように見えるんよな。でも、ちゃんと意味は通ってるから、安心してええで。まず条文を正確に確認しよか。特許法126条はこう書かれてるんよ。

第3項:「特許請求の範囲」の訂正をする場合、請求項ごとに請求できる(一群の請求項があるときは一群の請求項ごと)。

第4項:「明細書又は図面」の訂正をする場合であって、請求項ごとに請求しようとするときは、当該明細書又は図面の訂正に係る請求項の全て(一群の請求項ごとにするときは、その請求項を含む一群の請求項の全て)について行わなければならない。


「矛盾」に見えるのは、主語が違う2つの「請求項」を区別してへんからやで

ここがポイント。条文の中の「請求項」って、実は2つ違う集合を指してるんよ。

意味
請求項ごとに請求しようとするとき」の請求項 訂正の単位(どの請求項について訂正請求するか)
請求項の全てについて行わなければならない」の請求項 その明細書/図面訂正の影響を受ける請求項全部

つまりこういうことや:

明細書の段落〔0010〕を訂正したいとして、その段落が請求項1・2・3で参照されてる場合、 「請求項1だけについて訂正請求」みたいなつまみ食いはアカン。 影響受ける請求項1・2・3全部をまとめて訂正請求の対象にせなアカン。

なんでこんなルールがあるか(立法趣旨)

明細書の訂正は、訂正された請求項にも訂正されてない請求項にも実質的な影響を及ぼすからや。例えば:

  • 請求項1〜3が全部「明細書記載の○○方法」を引用してる
  • その「○○方法」の記載を明細書で訂正
  • でも訂正請求は請求項1だけ

→ こうなると、請求項2・3が見てる明細書の内容と、請求項1が見てる明細書の内容がズレる。一覧性(特許請求の範囲全体の整合性)が壊れてまうわけや。

これを防ぐために、「明細書/図面を訂正するなら、その訂正に関係する請求項は全部まとめて訂正請求の対象にせなアカン」と要求してるんよ。


言い換えると

「訂正単位としては請求項ごとに分けてええで(126条3項)。でも、明細書/図面の訂正が絡む場合は、その訂正に関係する請求項は1個も漏らさず、全部その訂正単位に入れときや(126条4項)」


矛盾やのうて、「請求項ごと請求」を許す代わりに、明細書訂正の一覧性破綻を防ぐ歯止めをかけてるっちゅう、セットの規定なんよ。3項と4項を一緒に読まんとアカンタイプの条文やな。納得できたかな?

特許法第14条と特許法第9条との関係

特許法9条で代理権の範囲が規定されており、委任による代理人が、特別の授権を得なければできないことが列挙されています。この内容に似たものが、特許法第14条にもありますが、「復代理」、「城に出し」、「放棄」(フリーズドライの語呂合わせ暗記法)の3つは入っていません。

最初自分は9条の語呂合わせも機械的暗記、そこから除かれる3つも機械的暗記にしていましたが、除かれる3つを機械的に暗記する必要は全くありませんでした。内容を考えれば、当然のことと言えます。

以下、Claudeの解説:

復代理、城に出し、特権放棄 を除いたもの=特14条ただし書き対象

ただし、外す理由がそれぞれ違うことに注意:

  • 復代理:そもそも代理人の問題やから、共同出願人の話とは別レイヤー
  • 城に出し(実案に基づく特許出願):これは新たな出願やから、共同出願人全員ですべき行為やけど、特14条の「手続」とは別物として整理される(実13条の2や特46条の2で別途規律)
  • 特権放棄特許権の放棄は出願後の権利処分。特14条は「手続」の話=出願段階の話やから、登録後の権利放棄は対象外

立法趣旨

特14条ただし書きが不利益行為を全員一致にしてる理由は、共有者の一人の独断で他の共有者の権利・利益を失わせるのを防ぐため。共有者保護やね。

「条約」足切回避作戦

プロンプト:弁理士試験短答の条約で足切に合わないために知っておくべき「ミニマム」を纏めて。もうあと2週間しか時間がないので。

Claude Opus 4.7:

弁理士短答 条約 足切回避ミニマム戦略(残り2週間)

まず現実認識:出題の構造を見て戦略決めるで

過去7年(2017〜2023)の出題傾向(プロジェクト資料より):

範囲 出題数/年
PCT条約・規則 4〜5問
特184条の3、実48条の3 1問(特か実のどっちか)
パリ条約 2問
TRIPs協定 2問
ハーグ協定 0〜1問
PLT 0問(H29に1肢のみ)
国願法 0〜1問

条約は10問中4点が足切ライン。傾向見たら戦略は明確やで。


【最優先】捨てる勇気を持つ

  • PLT(特許法条約)→ 完全に捨てる。フレーズドライも「捨てましょう」言うてる。出ても1肢あるかないか。
  • 国願法 → 捨てる。0〜1問。
  • PCTの規則の細かい数字(期間・手数料)→ 深追いしない

【死守】4点取りに行く優先順位

① パリ条約(2問は固い、ここで2点取る)★最優先

毎年2問安定出題。条文数も少ない。ここを完璧にすれば2点

押さえるべきポイント:

  • 内国民待遇(2条):MFNはパリにはない(TRIPsの4条との区別)
  • 優先権(4条):A〜I項。優先期間(特・実12月、意・商6月)、複合優先・部分優先(4条F)、優先権の独立(4条の2)
  • 特許の独立(4条の2):拒絶・取消の独立、存続期間
  • 発明者掲載権(4条の3):頻出
  • 実施義務・強制実施権(5条A)
  • 商標:6条の周知商標、6条の2、6条の3(紋章)、6条の5(テルケル条項=そのままの保護)、6条の6(サービスマーク)、6条の7(代理人による無断出願)
  • 商号(8条):登録なしで保護
  • 不正競争(10条の2):3類型

② TRIPs協定(2問は固い、ここで2点取る)★最優先

これも毎年2問。条文も特定範囲に集中。ここで2点取れば足切回避達成

押さえるべき条文:

  • 3条(内国民待遇)vs 4条(最恵国待遇=MFN):パリにはMFNがない、これが超頻出
  • 27条(特許対象):差別禁止、ただし除外あり(公序良俗、人間動物の診断治療方法、植物動物)
  • 28条(特許権の効力):物・方法
  • 30条(例外)、31条(強制実施権):ボリビア宣言・31条の2(医薬品)も
  • 33条(保護期間20年)
  • 39条(営業秘密):3要件
  • 41条以下(権利行使):暫定措置、損害賠償、刑事罰

③ PCT(4〜5問のうち1〜2点取る)★現実的目標

全部やるのは無理。頻出論点に絞る

国際出願日の認定(11条):4要件(受理官庁/出願人特定/明細書らしきもの/言語)→ PLT類似論点として超頻出

国際公開(21条):原則18ヶ月、出願人請求で早期公開、英・仏・独・西・露・中・日・葡・韓・アラビア・ヒンディの公用語

指定の取り下げ(規則90の2):効果

優先権主張の回復(規則26の2.3):受理官庁が判断、優先期間満了から2月以内、「相当の注意」または「故意でない」基準

国際予備審査(第二章):対象、選択、IPER

184条の3 / 48条の3(毎年1問)

  • 国内移行手続:翻訳文提出期限は優先日から30月
  • 補正:国際段階で19条補正・34条補正、国内段階で17条の2補正
  • 翻訳文提出特例(184条の4)

④ ハーグ協定(0〜1問)★ 捨てるか押さえるか

意匠法60条の3〜60条の23の特例だけ押さえる。1問出るかどうかやから、意匠法とセットで効率的に勉強できる。


残り2週間の具体的アクションプラン

Week 1(7日間)
 Day 1-2:パリ条約 1〜12条 + 過去問
 Day 3-4:TRIPs協定 1〜45条 + 過去問
 Day 5-6:PCT 11/14/19/20/21/22/34条 + 184条の3 + 過去問
 Day 7:パリ・TRIPs総復習・弱点潰し

Week 2(7日間)
 Day 8-9:PCT規則の頻出(26の2.3、49.6など)+ 184条の3
 Day 10:ハーグ協定(意匠法60条の3〜セットで)
 Day 11-12:令和7年問題の解き直し+パリ・TRIPs再回し
 Day 13:過去5年の条約問題のみ集中
 Day 14:弱点総ざらい

 

パリ条第1条(4)

質問:パリ条第1条(4)の輸入特許とは?改良特許とは?(特許法72条 利用関係 と関連する?)追加特許とは?

Claude Opus 4.7:

おっ、ええとこ突いてきたな。パリ条約1条(4)の3つの謎ワードやな。これ、日本法の感覚で読むとマジで意味不明やから、ちゃんと整理したるわ。

パリ条約1条(4)の条文確認よっしゃ、条文と過去問は確認したわ。それでは順番に解説したるな。


パリ条約1条(4)の正体

まず大前提な。パリ条約1条(4)は「同盟国がこういう特許を法令で認めてたら、それも特許に含めるで」っていう包括規定やねん。つまり、日本法には存在しない概念も含まれてる。せやから「日本の特許法のどこに当たるんや?」って探しても、見つからへんで当然なんよ。

パリ1条(4)「特許には、輸入特許、改良特許、追加特許等の同盟国の法令によって認められる各種の特許が含まれる。」

これは「優先権主張の対象」とか「内国民待遇の対象」を広く取るための定義規定。試験的には「○○特許も含まれる(〇)」っていう素直な問題が出る程度(H18-49、H27-52)。中身まで深掘りされることはまずないけど、「何やこれ?」って気持ち悪さは残るやんな。ほな解説いくで。


① 輸入特許(Patent of Importation)

外国でとった特許を、自国に「輸入」する形で再度特許として認める制度やねん。

歴史的背景

昔のフランスとか一部の国にあった制度で、こんな感じ:

  • A国で先に特許取得済みの発明を、B国に持ち込んで「これA国で特許取ってるやつや」って届け出る
  • B国が自国の通常の審査をスキップして特許を付与
  • 存続期間は元のA国特許に従属(A国特許が切れたらB国でも切れる)

要は**「外国特許のコピーを自国でも保護したる」**っていう、産業導入促進のための制度。発展途上国が外国の技術を国内に呼び込みたいときに使ったわけや。

現代では?

ほぼ絶滅した制度。パリ条約4条の2(特許独立の原則)と思想的に矛盾するし、TRIPSの最恵国待遇とかとも相性悪い。今は実質的にどこの国もやってへん。

日本法にはそもそも存在せえへん。せやから72条とかと比較する場面もない。


② 改良特許(Patent of Improvement)

ここが質問者の混乱ポイントやな。改良特許 ≠ 利用発明やで!

改良特許の本来の意味(パリ条約上)

これは**「他人の特許発明を改良した発明」に対する特許**っていう概念で、一部の国の法令では:

  • 基本特許(親特許)の存続期間に従属する
  • 別建ての出願じゃなくて、基本特許に「ぶら下がる」形で登録される
  • 基本特許が消滅したら一緒に消滅、みたいな扱い

つまり**「独立した特許権ではなく、親特許に依存する特殊な特許」**っていう制度設計。

日本法の72条「利用関係」との違い

ここ大事や。全然別物やで:

改良特許(パリ条約) 利用発明・72条
性質 特許制度上の特殊カテゴリ 権利同士の調整ルール
効果 親特許に従属して登録 別個独立の特許権が両立、ただし実施に制約
存続期間 親特許に連動することも 各特許が独立に20年
日本法 存在しない 72条で実装

日本では改良発明であっても、それが特許要件を満たせば独立した普通の特許になる。ただし先行特許との関係で利用関係が生じれば72条で実施が制限される、と。これは「特許の種類」じゃなくて「権利行使の調整」の話やねん。

せやから「改良特許=72条の利用関係」と思うと、概念のレイヤーがズレてまうから注意な。


③ 追加特許(Patent of Addition / Certificate of Addition)

これも一部の国(フランスが代表的)にあった制度。

仕組み

  • 既に自分が持ってる主特許に対して、後から追加で改良発明をした場合
  • 通常やったら新規性なくて拒絶されたり、別出願で進歩性が問題になる
  • でも「主特許の追加」として出願すれば、進歩性審査が緩和されたり、追加料金なし or 安いで保護される
  • ただし存続期間は主特許と同じ(主特許が切れたら追加特許も切れる)

要は**「自分の発明をブラッシュアップしたときの簡易保護制度」**やな。発明者にとってはお得な反面、独立した権利ちゃうから売却とかには制約があった。

日本法では?

これも存在しない。日本では改良発明は普通に新規出願するか、国内優先権主張出願(41条)使うか、補正で対応するかや。


試験的にどう扱うか

過去問見たらわかるけど、この3類型は「内容知らんでも解ける」レベルの問題しか出てへん

  • H18-49:「追加特許等の同盟国の法令によって認められる各種の特許が含まれる。」→(〇)
  • H27-52:「輸入特許、改良特許、追加特許等の同盟国の法令によって認められる各種の特許が含まれる。」→(〇)

要は**「条文のキーワードが並んでたら〇、別のワードに置き換えられてたら×」**っていう単純チェック。中身までは問われへん。

ただし覚えとくべき試験ポイントは:

  1. 「輸入特許」と「特許の輸入(5条A)」は別物 ← ここ混同しがち!
    • 1条(4)の輸入特許=Patent of Importation(外国特許のコピー的なやつ)
    • 5条A(1)の輸入=特許権者が自国に物を輸入することの不実施扱い禁止
  2. 「改良特許」と「利用発明(72条)」も別物 ← 質問の通り、ここ要注意
  3. 1条(4)は「等」が入ってるので、限定列挙ではなく例示列挙

まとめ

ほな、結論や:

用語 中身 日本法での対応
輸入特許 外国特許を自国に取り込む形の特許(旧制度・ほぼ絶滅) なし
改良特許 親特許に従属する「特殊カテゴリの特許」 なし(72条は別概念)
追加特許 主特許に「ぶら下がる」改良発明の保護制度 なし(41条は別概念)

要するに「同盟国の法令でこういう変わった特許制度があっても、ぜんぶパリ条約上の『特許』として扱うで」っていう包括規定やねん。質問者が日本法で対応関係探してモヤモヤしたんは、そもそも対応する制度が日本にないからや。「あ、これ日本にない外国の昔の制度なんやな」で割り切ってOK。

72条の利用関係とは全くの別レイヤーの話なんで、そこは分けて整理しときや。

特許法184条の17 PCT外国語特許出願の国内移行後の審査請求

特許法184条の17 PCT外国語特許出願の審査請求についてだと思うけど、翻訳文を提出していることが審査請求の要件だよね。それって、翻訳文に基づいて審査が行われるってこと?国内出願の「外国語書面出願」の場合はどうだったっけ?それも翻訳文の提出が審査請求の要件だっけ?審査も翻訳文に基づく?似てるから並べて比較して整理して。

Claude Opus 4.7:

いい質問やね!この2つは似てるようでけっこう違うから、しっかり整理しとこか。ほな、しっかり並べて整理しよか。


ほんま似てるけど、構造はそっくり同じやで

質問の核心からいくと、両方とも「翻訳文=願書に添付した明細書等」とみなされて、その翻訳文に基づいて審査が行われるんや。これが大原則。順番に整理するで。


1.条文構造の対比

PCT外国語特許出願(184条の17関連) 外国語書面出願(36条の2関連)
翻訳文提出義務 184条の4第1項(優先日から2年6月以内) 36条の2第2項(出願日から1年4月以内)
審査請求の要件 184条の17:①184条の4第1項/4項の翻訳文提出 ②184条の5第1項の国内書面提出 ③195条2項の手数料納付 36条の2+48条の3:48条の3には明文の「翻訳文要件」はないが、翻訳文未提出だと出願が取下擬制(36条の2第5項)されて審査請求のしようがなくなる
翻訳文を明細書等とみなす規定 184条の6第2項:明細書の翻訳文=36条2項の明細書、請求の範囲の翻訳文=特許請求の範囲、etc. 36条の2第8項:外国語書面の翻訳文=願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面とみなす
審査の基礎 翻訳文に基づいて審査 翻訳文に基づいて審査

ここがポイントや。**両方とも「翻訳文=みなし明細書等」**になって、その翻訳文を基準に審査・新規性・進歩性・新規事項追加禁止が判断される。


2.審査が翻訳文に基づく根拠(同じ構造!)

PCT外国語特許出願の場合:

  • 184条の6第2項で、翻訳文が「36条2項の規定により願書に添付して提出した明細書」とみなされる
  • だから審査官は翻訳文を読んで審査する

外国語書面出願の場合:

  • 36条の2第8項で、翻訳文が「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面」とみなされる
  • だから審査官は翻訳文を読んで審査する

どっちも「翻訳文がみなし明細書等になる」という同じ仕組みや。原文(外国語書面・国際出願原文)は審査の基礎にはならへん。原文が出てくるのは誤訳訂正書を提出するとき原文新規事項違反(49条6号)の判断のときだけ。


3.「審査請求の要件」の細かい違い

ここが質問で気になってる部分やと思うんやけど、ちょっと整理が要るで。

PCT外国語特許出願(184条の17):

外国語特許出願については、184条の4第1項/4項(翻訳文)+184条の5第1項(国内書面)+手数料納付の後でなければ、審査請求できない

→ つまり翻訳文の提出は条文上明文で審査請求の前提要件になってる。

外国語書面出願:

  • 48条の3(審査請求)の条文自体には「翻訳文を提出してなければ審査請求できない」という明文はない
  • ただし、36条の2第5項で翻訳文を期間内に提出せえへんかったら出願が取り下げ擬制される
  • 取り下げ擬制された出願に対して審査請求はできへん(係属してへんから)
  • 結果として、事実上、翻訳文提出が審査請求の前提になる

つまり、結論は同じやけど、立て付けが違う。PCTのほうは「審査請求の時期」を定めた条文(184条の17)で正面から要件化してる、外国語書面出願のほうは「みなし取下げ」を経由する間接構造になってる、と。


4.なぜPCTだけ正面から要件化されてるか

立法趣旨的にはPCT23条・40条の制約があるからや。国内書面提出期間が経過するまで指定国は処理・審査を開始してはならない(PCT23条1項)というルールがあるから、それに合わせて時期制限を明文化してる。第三者の審査請求についても国内書面提出期間経過まで待たせる必要があるから、184条の17で正面から書いてあるんや。


5.横断比較まとめ表

論点 PCT外国語特許出願 外国語書面出願
翻訳文提出期限 優先日から2年6月(184条の4第1項) 出願日から1年4月(36条の2第2項)
翻訳文未提出の効果(明細書・請求の範囲) 取下擬制(184条の4第3項)/救済あり(4項) 通知→2月猶予→なお未提出で取下擬制(36条の2第3項~5項)/救済あり(6項)
翻訳文未提出の効果(図面の中の説明) 図面の中の説明はないものとして扱う(取下擬制ならず)
翻訳文未提出の効果(図面) 図面はないものとして扱う(取下擬制ならず)
翻訳文未提出の効果(要約) 補正命令→なお未提出で出願却下(184条の5第2項4号、3項) 補正命令で対応(取下擬制ならず)
翻訳文を明細書等とみなす規定 184条の6第2項 36条の2第8項
審査の基礎 翻訳文 翻訳文
審査請求の要件としての翻訳文 明文(184条の17) 間接(取下擬制を経由)
補正の基準 翻訳文等(184条の12第2項) 翻訳文(17条の2第3項括弧書)
誤訳訂正の制度 あり(184条の12第2項により17条の2第2項を読替適用) あり(17条の2第2項)

6.ひっかけ注意ポイント

ここ過去問でよう聞かれるところやで:

  1. 図面の取扱いが逆:PCTは「図面の中の説明」だけ翻訳必要(図面本体は国際出願日のものを使う)/外国語書面出願は図面全体の翻訳が必要(提出なければ図面なしになる)。〔H28-条5〕でズバリ問われてる。
  2. 新規事項追加の判断基準は「翻訳文」:H28-条5の4で「国際出願日における請求の範囲の翻訳文」じゃなく19条補正後の翻訳文が基準(184条の6第3項)。ひっかけ多い。
  3. 誤訳訂正書を出した後:補正の基準は「翻訳文等 又は 補正後の明細書等」のいずれでもOK(184条の12第2項、17条の2第3項括弧書)。「誤訳訂正書で補正したらもう翻訳文を基準にできない」みたいに誤読させる問題あるから注意。

一言でまとめると

両方とも「翻訳文がみなし明細書等になって、翻訳文に基づいて審査される」という同じ構造。 ただPCTのほうは184条の17で「翻訳文提出が審査請求の前提」と明文化されてて、外国語書面出願のほうは36条の2第5項の取下擬制を経由して同じ結論になる、っちゅう違いや。

語呂合わせで覚えるなら:

翻訳文 みなし明細 審査基礎 PCTは明文 書面は擬制で

 

実用新案法48条の8 補正の特例

実用新案法48条の8 って補正の特例 だけど、何がどう特例なの?特に第2項の意味?1月の期間を適用しない趣旨は?逆に1月の期間を適用する場合は?

Claude Opus 4.7

実用新案法48条の8の構造を整理して説明します。

条文の位置づけ

実用新案法48条の8は、国際実用新案登録出願(PCT経由の実案出願)について、補正の特例を定めるものです。「特例」というのは、通常の実案法における補正規則(2条の2)を、PCT出願の特殊事情に合わせて修正・上書きするという意味です。

なぜ「特例」が必要か

通常の国内実案出願なら、出願→設定登録までの期間は短く、補正のタイミングも実案法2条の2で素直に規律できます。ところがPCT経由の出願は、

  • 国際段階で既にPCT19条補正・34条補正の機会がある
  • 国内移行時に翻訳文の提出という独自のプロセスがある
  • 国内処理基準時という概念が絡む

ため、通常規定をそのまま適用すると不都合が出ます。そこで48条の8で読み替え・追加規定を置いています。

第2項の意味

第2項は、国際実用新案登録出願については、実案法2条の2第1項ただし書(「実用新案登録出願の日から1月を経過した後は、することができない」)の「1月」の期間制限を適用しない、という主旨の規定です(正確には、所定の手続が済んだ後に補正できる、という形で読み替えがされる構造)。

「1月」を適用しない趣旨

国内出願では、出願日から1月以内に限り補正可能というのが原則です(実案は無審査主義で早期登録を旨とするため、補正期間を極めて短く絞っている)。

しかし国際出願の場合、出願日(=国際出願日)から国内移行までだけでも優先日から30月かかり得るため、「出願日から1月」という基準をそのまま当てはめると、国内移行時点では既にとっくに補正期間が終わっています。これでは出願人に補正の機会が事実上与えられません。

そこで、PCT出願については「出願日から1月」という縛りを外し、国内処理基準時(または国内書面提出+翻訳文提出+手数料納付という国内移行手続が完了した時点)を基準に補正可能時期を組み直すわけです。これが「特例」の中身です。

逆に「1月」が適用される場面

ここが少しややこしいのですが、48条の8第2項が外しているのはあくまで「国内移行に伴う補正タイミング」についての話で、国内移行後にさらに発生する場面では別個に1月の期間が機能します

具体的には、国際出願が日本語でされていない場合(外国語実用新案登録出願)について、

  • 翻訳文提出 → その翻訳文を基礎に国内処理がされる
  • 翻訳文の誤訳訂正は別ルート(48条の4関連)

が絡むため、補正可能時期は「国内処理基準時を経過した後、所定の手続を行った後」といった形に組み替えられます。

つまり整理すると、

  • 適用しない: 「国際出願日(=実案法上の出願日)から1月」という素の文言をそのまま読むこと
  • 実質的に効いてくる: 国内移行手続完了・国内処理基準時の経過などを起点とした補正可能時期の規律

弁理士試験的な押さえどころ

試験対策としては、次の3点を押さえれば足ります。

第一に、48条の8は通常規定の「読み替え」条文であること。条文を読むときは、何条のどの文言を、何にどう読み替えているかを対照表的に押さえる。

第二に、「1月」を外す理由は時間軸のズレであること。国際出願日基準では国内移行前に期間満了してしまうため、起算点を国内手続完了側に寄せ直している。

第三に、国内移行・翻訳文提出・国内処理基準時という3つの概念の関係を整理しておくこと。補正の可否は、これらのどれを基準にどの段階で可能となるかで決まります。

条文を手元に開いて、48条の8第2項が「2条の2第1項ただし書を適用せず」と何を読み替えているか、最新の条文文言で一度トレースしておくと、論文式でも短答式でも安心して使えるはずです。条文は近年改正もあるので、最新の青本ないし条文集で文言を確認することをおすすめします。

特184の17 PCT出願の国内移行後の出願審査の請求の時期の制限

特許法184条の17:出願審査の請求の時期の制限

これは 国内移行後の話やで。PCT国際出願が日本国に移行した後、その国際特許出願について「審査請求をいつからできるか」という時期的制限の規定や。

条文の構造

主語が2つある。それぞれで要件が違う。

① 出願人による審査請求

日本語特許出願の場合:

  • 184条の5第1項の手続(国内書面の提出
  • 195条2項の規定による手数料の納付

→ この2つの後でなければ審査請求できない

外国語特許出願の場合:

  • 184条の4第1項又は第4項の手続(翻訳文の提出
  • 184条の5第1項の手続(国内書面の提出
  • 195条2項の規定による手数料の納付

→ この3つの後でなければ審査請求できない

② 出願人以外の者(第三者)による審査請求

日本語・外国語問わず:

  • 国内書面提出期間(外国語で翻訳文提出特例期間が適用される場合はその期間)の経過後でなければ審査請求できない

つまり、外国語国際出願の翻訳文の話やと

そのとおり、外国語特許出願では翻訳文提出が審査請求の前提条件になってる。せやから、

  • 翻訳文未提出 → 審査請求不可
  • 国内書面未提出 → 審査請求不可
  • 手数料未納付 → 審査請求不可

ちなみに、これは「審査ができる状態にする」ための規定であって、PCT 23条・40条との整合性も理由の一つや(青本参照)。

出題ポイント(ひっかけ)

📍ポイント1:第三者の審査請求時期は出願人と違う

【予想問題】「日本語でされた国際特許出願について、国内書面提出と手数料納付後であれば、何人もいつでも審査請求できる」→ ×

第三者は国内書面提出期間の経過後でないとアカン。出願人と第三者で要件が違うのが最重要ポイント。

📍ポイント2:手数料納付も必要(翻訳文と国内書面だけでは足りん)

【予想問題】「外国語国際特許出願について、国際出願日から3年以内であって、翻訳文及び国内書面を提出した後であれば、出願人はいつでも審査請求できる」→ ×

手数料納付が抜けてる。

📍ポイント3:「直ちに審査させなければならない」みたいな規定はない

H18-35の3。PCT23条(2)で早期処理請求しても、184条の17の要件満たして審査請求がされたら、即座に審査開始する義務があるわけやない。

横断比較

比較項目 通常出願(48条の3) 国際特許出願(184条の17)
出願人の審査請求時期 出願日から3年以内、いつでも可 国内書面・翻訳文・手数料の手続後
第三者の審査請求時期 出願日から3年以内、いつでも可 国内書面提出期間経過後
起算日 「その日」(実際の出願日) (3年は国際出願日から)

語呂(プロジェクト資料 フレーズドライ より)

  • 日本語:「日本語の 審請5の1 手数料 以外の者は 提出期間後
  • 外国語:「外国語 審請5の1 手数料 翻訳文と 以外は後で

質問の答えとしては、国内移行後の話で、外国語国際出願では翻訳文提出が審査の前提として必須、というのは正解や。ただ翻訳文だけやなくて、国内書面手数料もセットで必要、第三者は国内書面提出期間の経過後っちゅうのを忘れんといて。

国内書面提出期間とは

定義(特184条の4第1項)

優先日から2年6月

これだけ。シンプルやけど、PCT国際出願が日本国へ国内移行する際の最重要期間や。

条文的には184条の4第1項のかっこ書で定義されてる:

「条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、…」

起算日に注意

優先日が起算日。「国際出願日」やない、ここがひっかけポイント。

  • 優先権主張あり → 第一国出願日(優先日)から2年6月
  • 優先権主張なし → 国際出願日 = 優先日 として2年6月

【予想問題】「外国語特許出願の出願人は、国際出願日から2年6月以内に翻訳文を提出しなければならない」→ ×(優先日から2年6月)

この期間内にやることは?

「国内書面提出期間」って名前の通り、本来は国内書面(184条の5第1項の書面)を提出する期間やけど、実務上はこの期間内にいろんなことをやる必要がある:

やること 条文
国内書面の提出 184条の5第1項
翻訳文の提出(外国語特許出願) 184条の4第1項
手数料の納付 195条2項

翻訳文提出特例期間(特184条の4第1項ただし書)

これも超重要。期間ギリギリで国内書面を出した場合の救済規定や。

条件:国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出した場合

効果:その国内書面提出の日から2月以内に翻訳文を提出すればOK

つまり、翻訳文の提出期限が最大で「優先日から2年8月」まで延びる可能性がある。

【H27-11】「国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に、国内書面を提出した場合、優先日から32月以内に翻訳文を…」→ ×

→ 「優先日から32月(2年8月)以内」やなくて「国内書面の提出の日から2月以内」が正しい。これ、結果的に最大32月になることもあるけど、条文上の表現が違う、というひっかけ。

翻訳文未提出の効果(特184条の4第3項・第4項)

状況 効果
国内書面提出期間内に明細書・請求の範囲の翻訳文が提出されない 国際特許出願はみなし取下げ(3項)
救済 正当な理由(経産省令で「正当な理由がなくなった日から2月、ただし国内書面提出期間経過後1年以内」)があれば翻訳文を提出可能(4項)
図面の中の説明・要約書の翻訳文 図面の説明はないものとして扱う、要約書は補正命令→提出なしなら却下

全体像のまとめ

優先日 ────────────────────────────► 2年6月(国内書面提出期間)
                                                  │
                                                  └──► +2月(翻訳文提出特例期間:条件付き)
                                                  │
                                                  └──► +1年(救済期間:正当理由あり)

関連する用語との関係(横断整理)

用語 定義 条文
優先日 PCT条約2条(xi)の優先日 184条の4第1項かっこ書
国内書面提出期間 優先日から2年6月 184条の4第1項かっこ書
翻訳文提出特例期間 国内書面提出日から2月(条件付き) 184条の4第1項ただし書
国際出願日 PCT条約3条(2)で認められた出願日 184条の3第1項
国内処理基準時 国内書面提出期間の満了時。ただし期間内に審査請求した場合は審査請求時 184条の4第6項

184条の17(前回の質問)との関係

前の質問で出てきた184条の17の「第三者による審査請求は国内書面提出期間の経過後でなければできない」というルールに直結する。

つまり「国内書面提出期間」=「PCT国際出願が日本に国内移行する手続きの猶予期間」と理解しとけばOK。この期間が経過するまでは、出願人が手続を整えて出願人自身が審査請求するのは可能やけど、第三者は手出しできへん、っちゅう構造や。

語呂(プロジェクト資料より)

  • 国内書面 提出期間は 2年半 経産令で 2カ月・1年(第4項)
  • 翻訳文 提出特例 期間とは 国内書面の 提出後2月
  • 国内の 処理基準時は 審請求 国内書面と 提出特例

ざっくり言うと、国内書面提出期間 = 優先日から2年6月 = PCT国際出願の国内移行手続きのコア期間、これを軸に翻訳文・国内書面・手数料の提出時期、第三者の審査請求時期、国内処理基準時、国内公表時期、全部が決まってくる、っちゅう超重要な概念や。

 

 

国内書面提出期間の経過後でなければ審査請求できない?国内書面提出期間を経過したらもう国内移行できないのでは?

重要な誤解やから整理するで。

結論から言うと

国内書面提出期間が経過したら国内移行できない、という理解は間違いや。正確には:

  • 国内書面提出期間内に「国内書面の提出」と「翻訳文の提出(外国語の場合)」をしないと、その国際特許出願はみなし取下げになる(184条の4第3項)
  • でも、期間内にちゃんと提出してたら、国際特許出願は普通に係属し続ける

つまり、国内書面提出期間っていうのは「国内移行のための提出期限」であって、これを経過したら何もできへんようになるわけやない。期間内に必要な手続きを済ませた出願は、その後も普通に審査請求とかできる。

ここの構造を整理すると

時系列で見るとわかりやすい:

優先日 ─────────────────► 2年6月(国内書面提出期間)─────────────────►
        │                                              │
        │   この期間内に:                              │  期間経過後:
        │   ・国内書面の提出                            │  ・国際特許出願は係属継続
        │   ・翻訳文の提出(外国語)                     │   (提出期間内に手続済の場合)
        │   ・手数料の納付                              │  ・審査請求は引き続き可能
        │                                              │   (優先日から3年以内)
        │   ↓                                          │
        │   出願人による審査請求はこの段階で可能          │  ↓
        │                                              │  第三者による審査請求は
        │                                              │  ここから可能に!

「経過後でなければ第三者は審査請求できない」の意味

つまり、184条の17が言ってるのは:

  • 国内書面提出期間中:第三者は審査請求でけへん(出願人だけが手続を整えて審査請求できる)
  • 国内書面提出期間の経過後:第三者も審査請求できるようになる

これって、第三者が審査請求できるタイミングを「遅らせる」規定やねん。

なんでこんな規定があるか?(趣旨)

青本に書いてあるとおり:

国際出願は出願人からの明示の請求がある場合を除き、国内書面提出期間が経過するまでは、締約国の国内官庁は処理または審査を開始してはならないこととなっている(PCT23条、40条)ことから、それに合わせて時期を制限したものである。

つまりPCT条約23条・40条の要請や。PCT条約で「国内書面提出期間内は、出願人の明示の請求がない限り、指定国は処理・審査を開始してはならん」と定めてる。

理由としては:

  1. 出願人の保護:国内移行の手続を整える時間を出願人に与える
  2. 第三者の介入防止:出願人が手続を整える前に、第三者が勝手に審査請求して審査を強制スタートさせることを防ぐ

通常の国内出願との比較

ここで通常の国内出願(48条の3)と比較するとよう分かる:

項目 通常出願(48条の3) 国際特許出願(184条の17)
出願人による審査請求 出願日から3年以内、いつでも可 国内書面・翻訳文・手数料の手続後
第三者による審査請求 出願日から3年以内、いつでも可 国内書面提出期間の経過後でなければ不可

通常出願では「いつでも何人も」審査請求できるのに対し、国際特許出願では第三者の審査請求は国内書面提出期間経過後まで待たされる、っちゅう違いがある。

期間のフルピクチャー

時期 出願人 第三者
優先日〜国内書面提出期間内(2年6月) 手続を整えれば審査請求可 不可
国内書面提出期間経過後〜優先日から3年 審査請求可 審査請求可
優先日から3年経過後 不可(48条の3で読み替え) 不可

※審査請求の期限自体は通常の国内出願と同じく3年で、これは184条の3第2項の読み替えで適用される。

まとめ

質問の核心に答えると:

  • 「国内書面提出期間を経過したらもう国内移行できない」 → 違う。期間内に手続を済ませてれば、出願は普通に係属続ける
  • 「審査請求する意味ない」 → 意味あり。第三者は期間経過後でないと審査請求できない、っちゅう制限規定であって、期間経過後に審査請求できなくなるわけやない
  • 184条の17は「第三者が審査請求できるタイミングを遅らせる」規定であって、出願自体の生死とは別物

要するに、「国内書面提出期間」 = 「国内移行手続の期限」であって、ここで提出義務を果たしたら、その後は普通の国内出願と同じように扱われる。第三者の審査請求ができるようになるのは、その期間が経過してからや。

PCT規則67.1の規定の趣旨は?(ii)但し書きで、微生物学的方法を除外した理由

PCT規則67.1とは——一言でいうと

「国際予備審査機関が、国際予備審査を行わなくてもよい6つの対象事項のリスト」

これはPCT条約34条(4)(a)(i) が「規則で定める対象に当たる場合は予備審査をせんでもよい」と委任してるもんを、規則で具体化した条文やね。日本特許法29条1項柱書(産業上利用可能性)や32条(不特許事由)のPCT版、と思てもらえばいい。


立法趣旨——なぜこの6つを除外しとくのか

ポイントは2つや。

① 各国制度の違いを国際段階で押し付けへんため

これら6項目は、国によって特許適格性(保護対象)の扱いが大きく違う

  • 「事業活動に関する方法」(ビジネスメソッド) → 米国は広く認める/欧州・日本は厳格
  • 「コンピュータ・プログラム」 → 国によって扱いがかなり違う
  • 「手術・治療・診断方法」 → 多くの国で除外(日本29条1項柱書、EPC53(c))/米国は認める

PCTの国際予備審査は予備的かつ拘束力のない見解(PCT33条(1))を出すもの。国際機関が「これは特許性なし」と一律に判断したら、広く認める指定国にとっては余計なお世話になる。

そやから、こういう国際的にコンセンサスのない/争いのある対象については、国際予備審査機関の負担を軽くしつつ、最終判断は各国に委ねるという設計にしてある。

② 国際予備審査機関の能力・態勢への配慮

特に(vi)の「コンピュータ・プログラムのうち国際予備審査機関が国際予備審査を行う態勢にある範囲外のもの」は、機関の現実的な能力・リソースへの配慮が露骨に出てる。プログラムの先行技術調査は専門性が高くて、機関によってカバー範囲が違う。「無理ならやらんでええ」という割り切り。

③ 「行うことを要しない」=任意であって禁止やない

⚠ ここ要注意ポイント。 〔2023-条約4〕の問題でも問われてるように、「行うことを要しない」やから、機関が望めば行ってもよい。「行ってはならない」ではない。日本29条1項柱書(産業上利用可能性なし=拒絶)とは構造が違う。


🧠 6項目の覚え方(語呂)

「リカ、植物、ビジネス、医療、情報、プログラム」

= 理科理論/植物動物・生物的方法/ビジネスメソッド/医療方法/情報の単なる提示/プログラム

なお、これらはEPC53条・規則の「特許性除外」とほぼパラレル。国際的に「特許保護がふさわしくない/争いがある」と認識されてる定番の対象群やと思て覚えとくとええ。


🌱 (ii)但し書き:微生物学的方法を除外した理由

これが今日の本題やね。

条文構造

(ii) 植物及び動物の品種、又は植物及び動物の生産の本質的に生物学的な方法

ただし、微生物学的方法及び微生物学的方法による生産物については、この限りでない。

つまり、微生物学的方法(とその生産物)は除外対象から外す=ちゃんと予備審査の対象にする

立法趣旨——3つの理由

① 「本質的に生物学的な方法」の対概念としての「微生物学的方法」

「本質的に生物学的な方法」=交配・選抜のような、人間の技術的介入が薄く、自然の生物プロセスがメインの方法。これらは伝統的に各国で「発明性が薄い」「品種改良の領域」として特許対象から除外されてきた。

これに対して微生物学的方法=微生物を使った発酵、遺伝子組換え、抗生物質生産など、人間の技術的介入が濃厚で、再現性・産業性が明確な方法。これは伝統的な化学・産業技術の延長線上にあって、世界中でほぼ例外なく特許対象として認められてきた。

そやから「植物・動物の生産方法」とひとくくりに除外すると、本来特許性があって争いのない微生物学的方法まで巻き込んでしまう。それを防ぐための但し書き。

② TRIPS協定27条3項(b)との整合性

TRIPS協定27条3項(b)は、加盟国が以下を特許対象から除外できるとしている:

  • 植物・動物(微生物を除く)
  • 植物・動物の生産のための本質的に生物学的な方法(非生物学的方法および微生物学的方法を除く

つまり、TRIPS自体が「微生物学的方法は特許対象として保護しなあかん」という国際的合意になってる。PCT規則64.3の但し書きはこの国際合意と整合してる。

(厳密にはPCT規則67.1の方がTRIPSより古い1970年代からあったけど、両者とも当時のEPC53条(b)の構造を踏襲してて、国際的に共通の特許制度の構造を反映してる)

③ ブダペスト条約の存在

微生物学的発明については、ブダペスト条約(特許手続上の微生物の寄託に関する国際的承認)という独立した国際枠組みがあって、国際的に保護インフラが整備されとる。「除外せんとちゃんと審査する」という前提で国際協力体制が組まれてる対象、ということやね。


⇔ 横断比較:日本特許法との対応

対象 PCT規則67.1 日本特許法
科学・数学の理論 (i) 予備審査不要 29条1項柱書(発明性なし)
動植物の品種・本質的生物的方法 (ii) 予備審査不要 特許対象(植物特許)
ビジネス方法等 (iii) 予備審査不要 自然法則利用性で個別判断
手術・治療・診断方法 (iv) 予備審査不要 29条1項柱書(産業上利用可能性なし)
情報の単なる提示 (v) 予備審査不要 29条1項柱書(発明性なし)
プログラム (vi) 予備審査不要 特許対象(2条3項)

日本との大きなズレは(ii)と(vi)。日本では植物の品種は特許対象だし、プログラムも特許対象やから、PCTで除外されとっても日本国内段階では普通に審査される。


⚠ 出題ポイント

「行うことを要しない」≠「行ってはならない」 〔2023-条約4〕の論点。「動物の体の診断方法」を含む出願でも、機関が望めば予備審査できる。逆向けの肢(「予備審査を行うことができない」「行ってはならない」)は×。

(vi)プログラムの「機関の態勢」要件 〔2021-条約3〕の論点。「プログラム=常に予備審査不要」ではなく、「機関が態勢にある範囲外のもの」だけが除外対象。機関が態勢を整えてるプログラムについては予備審査の対象になる。

規則39.1(国際調査の除外対象)と同じ構造 規則39.1は国際調査の除外対象、規則67.1は国際予備審査の除外対象。両者は同じ6項目で構造もそっくり。横断的に「PCTにおける予備的判断の除外対象リスト」として一括理解しとくとええ。


 

PCT規則64.3 拡大先願はPCTでは採用せず

PCT規則64.3は日本特許法で言うところの29条の2(拡大先願)の例外規定にあたるもんやね。

PCT規則64.3とは?——一言でいうと

「過去に出願したけど、まだ公開されてへん他人の出願(または特許)」は、国際予備審査では先行技術として扱わへん——という規則。

つまり、日本特許法29条の2(拡大先願・準公知)に相当する効果を、国際予備審査では否定する規則なんよ。


条文の中身(要約)

PCT規則64.3は要するにこういうことを言うてる:

「ある出願や特許が 基準日より前に公開されとったら 先行技術になっとったやろうけど、実際の公開日は 基準日と同じ日かそれ以後 で、ただし 出願日(または優先日)は基準日より前 やった」——こういう出願・特許は、国際予備審査においては先行技術の一部としない

ただし、国際予備審査報告では、その出願・特許の存在に注意喚起だけはする(規則70.10)。


🧠 記憶に残る覚え方

キーワード:「PCTは拡大先願(29条の2)を採用してへん」

これが一番頭に残る言い方やと思う。

日本では、自分より前に出願された他人の出願が後で公開された場合、その先願に書いてある内容は「拡大先願(29条の2)」として後願を排除する。要は「出願時には未公開やけど、実は先に出願されてた」という出願に、強い後願排除効を与える制度。

PCTの国際予備審査は、これをやらへん。実際に基準日より前に公衆が利用できるようになったものだけを先行技術とする(規則64.1(a))——これがPCTの大原則。そやから、基準日時点で未公開やったもの(=規則64.3が拾う出願)は先行技術から外される

イメージ図

時間軸 →
  
  他人の出願日X         基準日       公開日Y
  ────●───────────●─────────●──→
       ↑                          ↑
       早く出願されてる        やっと公開
       
       日本29条の2 → 先行技術扱い(拡大先願として効く)
       PCT規則64.3 → 先行技術にしない(注意喚起のみ)

語呂・コアフレーズ

「未公開先願は、PCTでは攻撃力ゼロ。でも”気をつけてや”とは言うてくれる」

「攻撃力ゼロ」=先行技術にしない/「気をつけてや」=70.10で注意喚起、という対応。


💡 立法趣旨

なぜPCTは拡大先願を採用してへんのか?

① 各国制度のばらつきへの配慮(最重要)

拡大先願制度は、国によって有無も内容もバラバラやねん。

  • 日本(29条の2)、米国(102(a)(2))、EPO(54(3)):採用してる
  • ただし採用国でも、同一出願人の扱い(自己衝突を排除するか)、優先権の効果外国出願の扱いなどが各国で違う

PCTの国際予備審査は予備的かつ拘束力のない見解(PCT33条(1))を出すもの。各国制度の違いに踏み込んで判断したら、かえって指定国の判断と齟齬が生じる。そやから「実際に公開されたもの」だけを見るシンプルなルールにして、各国の拡大先願判断は各国に任せる、という設計。

② 注意喚起だけはする実務的配慮

ただ、出願人と指定官庁にとって、こういう「未公開やけど実は先願がある」情報は指定国段階で重要になる。各国で拡大先願として効くかもしれへんからね。

そやから国際予備審査機関は「先行技術にはせえへんけど、こういうのがあるで〜」と報告書のBox No. VIで注意喚起する(規則70.10)。これで出願人も「あ、米国移行のときには注意せなあかんな」と気づける。


⇔ 横断比較:兄弟規定の規則64.2

似た構造の規則64.2(書面によらない開示) と並べて覚えると盤石やで。

64.2 64.3
対象 口頭・使用・展示など書面以外の開示 後で公開された他人の先願・先特許
状況 基準日に開示されたが、それを記載した文書は基準日以後に公開 出願日は基準日だが、公開は基準日以後
扱い 先行技術にしない 先行技術にしない
注意喚起 規則70.9 規則70.10

共通する思想:「証拠としての書面公開が基準日後にしかないもの」「公開が基準日後のもの」は、PCTの先行技術の中核(=書面で基準日前に公衆利用可能になったもの、規則64.1(a))から外す。ただし指定国判断のために情報提供(注意喚起)はする。


⚠ 出題ポイント

過去問では64.3そのものはあんまりピンポイントで聞かれへんけど、「PCTの先行技術の定義」を問う問題で間接的に問われることがある。

たとえば「PCT規則上、先行技術は基準日前に書面で公衆に利用可能になっていたものに限られる」という肢が出たら、これは○。日本の拡大先願に相当する効果がないことの裏返しやね。

また、規則64.1(a)・64.2・64.3をワンセットで「PCTの先行技術の範囲」として整理しとくとええ:

  • 64.1(a):原則=書面で基準日前に公衆利用可能
  • 64.2:書面以外の開示は原則外す
  • 64.3:未公開先願も外す

 

PCT規則54の2.1(a) 国際予備審査の請求ができる期間

国際予備審査の請求ができる期間(PCT規則54の2.1(a))

次の(i)・(ii)のうち、いずれか遅く満了する期間まで請求できる:

起算点 期間
(i) 出願人への国際調査報告(又はPCT17条(2)(a)の宣言)及び書面による見解の送付 3か月
(ii) 優先日 22か月

つまり、(i)と(ii)のどちらか遅い方の期限まで請求OKということやね。

なお、この期間経過後の請求は「提出されなかったものとみなされ、国際予備審査機関がその旨を宣言する」(同規則(b))。この場合、取扱手数料は払い戻される(PCT規則57.4(ii))。


規定の趣旨

ポイントは2つあるで。

① 出願人に十分な判断材料と検討時間を保障する

国際予備審査を請求するかどうかは、国際調査報告と書面による見解(ISA見解書)の内容を見てから判断するのが合理的やんか。新規性・進歩性に問題がなさそうなら予備審査は不要やし、反対に問題ありそうなら34条補正で潰しに行くために予備審査を活用したい——という判断は、見解書を見ないとできひん。

そやから「ISR・見解書の送付から3か月」という起算点を設けて、出願人が報告書を吟味してから請求するか決められるようにしてある。

② 30か月の国内移行期限から逆算した実務上の余裕の確保

優先日から22か月という期限は、国内移行期限(30か月)から逆算されてる。

予備審査報告(IPER)の作成期限は優先日から28か月(PCT規則69.2(i))。請求できる期間を22か月までにしておけば、IPER作成までの審査期間が確保でき、かつ報告書を見てから国内移行を判断する時間(28か月→30か月の2か月)も残せる、という設計。

過去問でも〔2020-条約3(ニ)〕で「優先日から30月」を引っかけに使ってきてるけど、30月にしてしもたら国内移行の判断に間に合わへん——ここが趣旨理解のキモやね。


出題ポイント(ひっかけ警戒)

「いずれか遅く満了する期間」の処理ミス 〔H29-条4〕みたいに「ISR送付から3月経過前やけど、優先日から22月経過後」というケースで、3月以内なら請求OKと誤認させる出題パターンが定番。遅い方が基準やから、22月経過後はもうアウト。

「優先日から20月にISRが送付された」パターン 〔H22-4〕。この場合、(ii)の22月より(i)の3月後(=23月)の方が遅いから、23月まで請求できる。22月超えても請求できる場面があるってこと、しっかり押さえとき。

 

 

PCT規則69.2の位置づけ

69.2 国際予備審査のための期間 国際予備審査報告を作成するための期間は、次の期間のうち最も遅く満了する期間とする。 (i) 優先日から二十八箇月 (ii) 69.1に規定する国際予備審査の開始の時から六箇月 (iii) 55.2の規定に従って提出された翻訳文を国際予備審査機関が受理した日から六箇月

これは国際予備審査機関(IPEA)に対する作成期限を定めたもの。「〇〇までに作成しなあかん」という機関側の義務を規律する規定やね。


ただし注意すべきポイント

「いずれか遅く満了する期間」やから28月固定ちゃう

「優先日から28月」は3つの選択肢のうちの1つ。実際の作成期限は(i)〜(iii)のうち最も遅い時点。

たとえば:

  • 翻訳文の提出が遅れた場合 → (iii)の「翻訳文受理から6月」が最遅になる可能性
  • 予備審査の開始が遅れた場合 → (ii)の「開始から6月」が最遅になる可能性

そやから「機関は28月までに必ず作成せなあかん」って言い切ると不正確。「28月、開始から6月、翻訳文受理から6月のうち最も遅い時点までに作成する義務がある」が正確な理解。

趣旨との関係

前回話した「30月の国内移行期限から逆算」という趣旨は、(i)の28月という数字の説明や。標準的なケース(翻訳文不要・予備審査が通常の時期に開始)では(i)が最遅になることが多いから、実務上は28月が目安として機能する、という理解でええ。


横断比較で押さえとくと得

似たような「機関側の作成期限」規定として:

規定 起算点・期限
国際調査報告(ISR) PCT規則42.1 調査用写しの受領から3月、又は優先日から9月のいずれか遅い方
国際予備審査報告(IPER) PCT規則69.2 上記3つのうち最も遅い時点

ISRの方は「3月 or 9月、遅い方」、IPERは3要素の最遅——構造が違うから区別して覚えとき。