でんぷん(澱粉)の組成:アミロースとアミロペクチン
お米やイモは炭水化物で、でんぷん(アミロースとアミロペクチンの混合物)からできています。アミロースはグルコースが直線状につながったもので、アミロペクチンはアミロースがところどころ枝分かれした構造をしたものです。
βでんぷんとαでんぷん
アミロースは直線状の鎖の構造をしていて、分子内の水素結合によりらせん状の構造を保持しています。
- 【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解など 2018年11月19日 化学のグルメ
そしてさらに「結晶化」して固い状態で存在できます。炊く前のお米が固い理由は、まさにこれです。この固い状態のでんぷんのことをβーでんぷんと呼びます。それに対して、水を加えて加熱するとお米は柔らかくなります。これは、結晶化していた構造が崩れて、でんぷんの分子のまわりに水分子が大量に結合(水素結合で)した結果です。この状態のでんぷんはαーでんぷんと呼ばれます。
でんぷんの糊化と老化
βでんぷんが、水とともに加熱されて柔らかくなってαーでんぷんになることは、糊化(こか)と呼ばれます。
植物中にある生デンプン粒は、硬く密着集合して微結晶な状態(ミセルと呼ぶ)で存在している。結晶構造の生デンプンはβデンプンと言われている。生デンプンを水とよく混ぜながら加熱すると、60℃付近から、半透明な溶液になってゆく。デンプン粒のミセル構造がほぐれ、膨潤しネバネバした溶液になる、さらに加熱すると、デンプン粒は崩壊し粘度が低下してサラサラになる。これをブレークダウンと言う。デンプンが膨潤して、ネバネバした糊状になることを、糊化(α化)とよんで、出来たデンプンがαデンプンである。αデンプンは、生のβデンプンと異なりアミラーゼの作用を受けて消化され易いものになります。https://www.azeron.co.jp/_src/4532902/foodtopics_22_5.pdf
- 子どもと楽しむ料理の科学 サツマイモが甘くなる加熱のコツ 2020.10.22 Z会
一度柔らかくしたお米(αでんぷん)が、放置しておくと水分がぬけて再びβでんぷんにもどって固くなることを「老化」と呼びます。
- 米の食感 ~でんぷんの糊化と老化~ 宝酒造
- デンプン(ウィキペディア)
- 調理師の過去問 平成29年度 調理理論 問49 問題 でんぷんの調理性に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。 正解 糊化でんぷんは、放置すると粘りがなくなり、老化でんぷんに変わる。
アルファ化米とは
登山をやる人向けに、乾燥させたお米なのに水に戻すだけですぐに食べられるα化米というものがうられていますが、これはαでんぷんの状態にしたあと急速に凍結乾燥することででんぷんが再結晶化する暇をあたえず、やわらかい構造のまま水分だけ抜いたものです。
- アルファ化米について アルファ食品
お米のもちもち感を決めるもの:アミロペクチンの含有量
- うるち米のでん粉:15~25%がアミロース 75~85%がアミロペクチン
- もち米のでん粉:アミロペクチン100%
- もちもち食感:アミロペクチンの比率が高いほどもちもち食感
https://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000047.html
地上澱粉と地下澱粉
地上澱粉…・穀類澱粉 (米・小麦・とうもろこし)・茎幹澱粉・種子澱粉
地下澱粉・…根茎澱粉(馬鈴薯),・塊根澱粉(甘藷・タピオカ・くず)https://www.surugaya.co.jp/school/kisogaku/denpun_kiso.html
その他の参考記事
- 多糖の分岐を考える ~澱粉構造と枝作り酵素の研究から~ (Glycoforum. 2021 Vol.24 (3), A7) DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A7J
- デ ン プ ン の 老 化 (PDF) 山 田 博 昭 和62年(1987) 2月
- 【食べ物】でん粉の糊化/老化 SGS総合栄養学院
- https://www.sci-museum.jp/wp-content/themes/scimuseum2021/pdf/study/universe/2021/08/202108_12-13.pdf
- https://imidas.jp/science/?article_id=k-051-020-11-09-g385
- フードスペシャリスト資格認定試験問題 平成29年度(60問)
- フードスペシャリスト資格認定試験問題 2019年度(60問)