教科書、講義資料、など勉強用リソースのまとめです。
人体発生学・発生学
人体誕生
山科正平 人体誕生 からだはこうして造られる (ブルーバックス) 2019/10/16 講談社
説明がとにかくわかりやすい。一般書だから当然だとはいえますが、医学部の学生が読んでも当然、分かりやすいはず。医学部の先生が書いた本なので、医学部の学生を意識して書かれていると思います。網羅的ではないですが、発生学の主要なイベントに関して、理解の勘所が説明されていて、とても良いです。発生学を学ぶ際の、最初の一冊としてお勧めです。いきなり普通の発生学の教科書を読もうとしても、普通の人はすぐに挫折すると思います。この本なら、発生学の何がどう面白いのかという点に絞って詳細に解説されているので、興味を掻き立てられます。
Life Unfolding
ジェイミー・A・デイヴィス 人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち
Jamie A. Davies Life Unfolding: How the Human Body Creates Itself 2014/4/1この本は、発生学の物語を紡ぐようい書かれていて、とにかうストーリー性があります。断片的な知識の伝授ではなく、物語としての発生学が楽しめます。大学ではこんな発生学の講義を聴きたい思わせる内容です。
キメラ・クローン・遺伝子
ニコル ルドアラン キメラ・クローン・遺伝子: 生命の発生・進化をめぐる研究の歴史 2012/1/1
ウズラとニワトリのキメラの実験で発生学の発展に貢献した研究者による著書 内容は動物の発生学が中心。これは大学の理学部生物学科の学生が読むと特に面白いんじゃないかと思います。一流の研究者の解説が聞ける素晴らしい機会です。
新発生学(Qシリーズ)
白澤信行、佐藤巌、小泉憲司 新発生学(Qシリーズ) 改訂第4版 2012/9/25 日本医事新報社
この本は実によくできた本だと思います。右ページに図、左ページに解説という体裁で、無駄なく、漏れなく解説されています。この本だけで発生学を学べるかは疑問ですが、大著を読んだときにどうもしっくりこなかったり、逆に易しく書かれた教科書を読んでもっとちゃんと知りたくなったときにこの本を開くと、絶妙なバランスで必要かつ十分な内容が書かれていることに気付きます。文字でちゃんと説明されている。図にちゃんと描かれていると気付くたびに、感動しました。
ビジュアル人体発生学
山田 重人, 山口 豊 ひと目でわかるビジュアル人体発生学 2022/11/1 羊土社
この本もコンパクトにまとまっていて、眺めながら通読するのに向いています。
ミニマル発生学
岡敦子 ミニマル発生学 医学書院 2023年
医学部初年度の学生向けに書かれた、本当にミニマムに絞った内容の本。それでいて、著者が理学部出身で医学部教授という経歴を反映してか、動物モデルを用いた発生学研究全体を俯瞰した書き方にもなっていて、医学部の先生が書いた発生学の教科書とは一線を画す。本文が150ページなので一気に通読できる分量で、速習したい人や俯瞰したい人、最低限の知識が何かを知りたい人にピッタリだと思います。
Carlson
Bruce M. Carlson MD PhD Human Embryology and Developmental Biology 2023/12/5
発生学の教科書で大著なものがいくつかありますが、改訂版が新しいので自分は、これをベースに勉強しようと思ってこれを買いました。
Larsen
ラーセンの教科書
発生学の教科書は1冊だけで全てを理解するのは難しいと感じて、理解しにくいところを教科書を読み比べながら理解する戦略をとるために、ラーセンも買いました。カールソンよりもラーセンのほうがメリハリをもって書かれている印象です。主張が明解ということ。なので印象に残りやすいです。
Langmann
ラングマン人体発生学 第12版 2024/3/22
Moore
ムーア人体発生学 原著第11版 K.L.Moore, 大谷 浩 2022/4/4
有機化学
松島 芳隆, 渡邊 総一郎. 古荘 義雄 基礎講座 有機化学 – 株式会社 化学同人 B5 ・528ページ 使用している紙が薄いのか、ページ数のわりに薄い(300ページ程度の教科書と同等の厚み)ので持ち運びやすいです。初学者思いの極めて親切な説明です。有機化学に入門したければこれ一択だと自分は思っています。マッカリーやブルースの大著に手を出す前に、一通り基本を押さえておくのに良いです。
- 『化学』20222年6月号 有機化学の教科書と教育にいま何が求められているか 最新刊! 『基礎講座 有機化学』を著者が語る (PDF)
マクマリー有機化学 第10版 ウェブ上で完全無料で提供されています。これは凄い!PDF版(200MB弱)もあります。
- John E. McMurry Organic Chemistry 10th edition Year: 2023 ISBN 13: 9781951693985 Publisher: OpenStax
ブルース有機化学 第8版 この本も自分は気に入っています。紙版を購入済み。
解剖学
山科正平 カラー図解 新しい人体の教科書 下 (ブルーバックス)
山科 正平 カラー図解 新しい人体の教科書 上 (ブルーバックス) 2017/4/19
解剖生理学
人間の体はどういう仕組みで動いているのか?に関する知識がまとまっているのが解剖生理学という学問分野です。
なるほどなっとく解剖生理学
改訂2版 南山堂 多久和 典子、多久和 陽 著
303ページなのでなんとか読破できそうな厚さの本です。見た目の柔らかさから、看護学部の学生向けに書かれた教科書だと思います。最初の一冊としては、こういった本から入るのが良さげ。
ヒューマンボディ
ヒューマンボディ からだがわかる解剖生理学 原著第5版 ELSEVIER 電子書籍付き 前書きを読むと、この本はアメリカで「新人ナースのバイブル」と言われているそうで、看護学部の学生向けに書かれているようです。そのため、生化学や物理化学の予備知識も求めておらず、敷居が低い教科書だと思います。邦訳書は、学術用語に日本語と英語の併記が採用されていて、便利です。
The Human Body in Health and Illness 7th Edition – March 15, 2021 Author: Barbara Herlihy Paperback ISBN: 9780323711265 9 7 8 – 0 – 3 2 3 – 7 1 1 2 6 – 5 eBook ISBN: 9780323811231
最初のほうで、12の器官系(外皮系、骨格系、筋系、神経系、循環器系、内分泌系、リンパ系、消化器系、呼吸器系、泌尿器系、生殖器系)のイラスト(人間の姿+器官系)がまとめて掲げられていて大変わかりやすいと思いました。教科書としては小さくありませんが、それでも読み物として面白いように書かれています。つまり、読む気が起きる本です。
その他の解剖生理学の教科書
Bruce M. Carlson MD PhD The Human Body: Linking Structure and Function 2018/11/9
人間科学
遺伝学
J.F. クロー クロー遺伝学概説 木村 資生, 太田 朋子 訳 1991/1/1 培風館
行動遺伝学
ダニエル・ディック THE CHILD CODE 「遺伝が9割」そして、親にできること: わが子の「特性」を見抜いて、伸ばす 2024/1/30
安藤寿康 能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ (ブルーバックス) 2023/6/21 :双子の研究の成果に基づく主張
キャスリン・アズベリー, ロバート・プローミン 遺伝子を生かす教育: 行動遺伝学がもたらす教育の革新 2016/11/10
フィッシャー『自然選択の遺伝学的理論』1930年 :優生学の推進
ゴルトン『自然的遺伝 (Natural Inheritance)』1889年 才能は正規分布すると主張
ゴルトン『人間の才能とその発達の研究』(Inquiries into Human Faculty and its Development)1883年 優生学という用語を作り出した著作
老年科学
スー・アームストロング 人はなぜ老いるのか―老化の謎に挑む科学 2023/9/19 大修館書店
小林 武彦 なぜヒトだけが老いるのか 2023/6/22 講談社
佐藤 信紘, 佐藤 和貴郎 順天堂大学の老年医学に学ぶ 人はなぜ老いるのか 2022/3/19 世界文化社
小林 武彦 生物はなぜ死ぬのか 2021/4/14 講談社
戸川 達男 動物の老い人間の老い: 長寿の人間科学 2005/10/1 コロナ社
戸川 達男 動物の生き方人間の生き方: 人間科学へのアプロ-チ 2004/8/30 コロナ社
レオナード ヘイフリック 人はなぜ老いるのか: 老化の生物学 1996/6/1 三田出版会
動物学
ブルック・バーカー 生まれたときからせつない動物図鑑 2018/7/19 ダイヤモンド社
ブルック・バーカー せつない動物図鑑 2017/7/20 ダイヤモンド社
本川達雄 ゾウの時間ネズミの時間 : サイズの生物学 科学とは自然の見方、つまり世界観を与えるものだという考えのもとに、生物学的世界観を分かりやすく説く著書を執筆(システムブレーン紹介文)
生化学
集中講義 生化学 改訂2版
メディカルビュー社:医学部向けに書かれた教科書。トピックが全て「~か?」と疑問形でまとめられているので、疑問を解決するという形で知識が得られて頭に残りやすいと思います。
マークス臨床生化学
大著で読破するのは大変かもしれませんが、ストーリー性があり読み物として楽しめます。
ハーパー生化学
ロングセラーで非常にきっちり書かれている教科書だと思います。将来研究者になるつもりの人は、この本は取り組む価値があるでしょう。
マクマリー生化学反応機構:どうしてその反応が起きるのかを知りたい人にお勧めの一冊。
生化学 医学書院
看護学のシリーズで、古典的な生化学の範囲に加えて、細胞生物学(セルシグナリング経路など)も加わった広い範囲がコンパクトにまとまっています。コンパクトな量で、網羅的に書かれている分、ストーリー性がないため、初学者がこの本でで独学するのは大変でしょう。大学の授業による解説とセットで学ぶべきものだと思います。看護学生向けに書かれているため、看護系の大学の指定教科書になっていることが多いようです。
大学の生化学の教科書のページにも、まとめました。