自律神経系、交感神経(ノルアドレナリン)と副交感神経(アセチルコリン)の役割

自律神経系とは

自律神経系 autonomic nervous systemは、意識したり努力したりする必要なしに、勝手に(自動的、自律的に)動作して、血圧や呼吸数その他、臓器の働きなどを調節しています。それに対応して随意運動を生じる神経系は体性神経系 somatic nervous systemと呼ばれます。自律神経系 autonomic nervous systemと体性神経系 somatic nervous systemの2つをあわせて末梢神経系と呼びます。

  1. 体性神経系 Weblio辞書

体性神経系は末梢神経系の一部ですが、体制神経系の細胞体は中枢神経系である脊髄の中にあります。だとしたら体性神経系を末梢神経系と呼ぶのもおかしい気がしますが、あまりその点を解説したものが見当たりません。

The somatic nervous system consists of the cell bodies located in either thebrainstem or the spinal cord. They have an extremely long course as they do not synapse after they leave the CNS until they are at their termination in skeletal muscle.  https://www.sciencedirect.com/topics/veterinary-science-and-veterinary-medicine/somatic-nervous-system

The somatic nervous system is also a part of the peripheral nervous system. One of its roles is to relay information from the eyes, ears, skin and muscle to the central nervous system (brain and spinal cord). It also obeys commands from the central nervous system and makes muscles contract or relax, allowing us to move. https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/conditionsandtreatments/nervous-system

The nervous system subdivides into the central nervous system and the peripheral nervous system. The central nervous system is the brain and spinal cord, while the peripheral nervous system consists of everything else. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK542179/

ChatGPT-3.5をどれだけ信用していいのかわかりませんが、一応ChatGPT-3.5からの解説を紹介しておきます。神経系をCNSとPNSとに分類するときに、脊髄の内部に細胞体をもち軸索は脊髄の外にある運動ニューロンを細胞体と軸索とに分断しているのね?と聞いたときのChatGPTの解答です。ChatGPTは結構、こっちのいいなりに返事してくるので要注意なのですが。

Exactly! When we categorize the nervous system into the central nervous system (CNS) and the peripheral nervous system (PNS), we’re essentially dividing it based on anatomical location and function. For example, when we talk about motor neurons of the somatic nervous system, which control voluntary muscle movements, we recognize that their cell bodies are located within the CNS (in the spinal cord or brainstem), but their axons extend out into the PNS to reach skeletal muscles. So, in a sense, we are conceptually dividing a single neuron into its different components—the cell body within the CNS and the axon extending into the PNS—when we discuss the broader organization of the nervous system.

  1. https://dbuweb.dbu.edu/dbu/psyc1301/softchalk/s2lecture1/s2lecture14.html このウェブサイトではCNSとPNSを色分けして説明しています。こうやって色分けすると、脊髄(CNS)から出ている軸索はPNSということになります。

自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つから成り立っています。

Neurology | Autonomic Nervous System Ninja Nerd チャンネル登録者数 293万人

自律神経系が支配するもの

自律神経系の支配を受ける臓器・器官は、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、正規、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺などです。

The Autonomic Nervous System: Sympathetic and Parasympathetic Divisions Professor Dave Explains チャンネル登録者数 294万人

自律神経系(交感神経と副交感神経)の解剖学的な特徴

自律神経系の経路は、2つの神経細胞により構成されています。1つ目の神経細胞は、脳幹または脊髄に細胞体が存在し、神経線維(軸索)を2つ目の神経細胞に対して伸ばしています。2つ目の神経細胞の細胞体は、自律神経節に存在しており、細胞体から伸びた神経線維(軸索)は支配する内臓につながっています。

交感神経系の自律神経節は、脊髄のすぐ外の左右両側に存在しています。それに対して、副交感神経系の自律神経節は、支配する内臓の付近もしくは内臓の内部に存在しています(MSDマニュアルの図を参照)。

 

交感神経優位と副交感神経優位

自律神経が支配する臓器はたくさんあって、交感神経と副交感神経の両方の支配を受けているものが多く、知識を整理するのが大変ですが、どのように考えて理解すれば良いのでしょうか。交感神経と副交感神経は逆の作用を持ち、一方が促進するなら他方は抑制して、両者のバランスによって内外の変化に対応し、生体の恒常性を保っています。

交感神経は、興奮状態・運動を作り出すときために活動します。瞳孔を開き、血管を収縮させて血圧を上昇させ、心拍数を上げ、血流増加、血糖値を上げる(エネルギーを使う)のが交感神経です。よく言われるのが、外敵が来たりしてストレスがかかったときに、戦うか逃げるか(fight or flight)という興奮状態(ストレス反応)を作り出すというものです。副交感神経は逆に、これらを抑制して安静の状態や消化吸収を活発にする(エネルギーを蓄積する)状態を作り出すときに活動します。

体が興奮状態だと、食べたものの消化吸収がうまくできないんですね。眠るという行為は一番安静の状態ですが、そのときに働く自律神経系は、副交感神経というわけです。

  1. 自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経 ( 専門外来コラム せたがや内科・神経内科クリニック)

神経伝達物質

血圧、体温、その他の体の恒常性を保つために働いています。自律神経には、交感神経(ノルアドレナリン、アドレナリン)と副交感神経(アセチルコリン)の2種類があり、この2つが拮抗する働きをしつつ、バランスをとることで恒常性が保たれています。交感神経が効果を強める働き、副交感神経が効果を弱める働き、いうなればアクセルとブレーキの役割を担っています。

アセチルコリンノルアドレナリンアセチルコリンを分泌する神経線維はコリン作動性線維と呼ばれます。ノルアドレナリンを分泌する線維はアドレナリン作動性線維と呼ばれます。一般的に、アセチルコリンは副交感作用(抑制作用)、ノルアドレナリンは交感作用(刺激作用)を示します。ただし、アセチルコリンには一部の交感作用もあり、例えば、発汗を刺激したり、毛を逆立てたりすることがあります。( 自律神経系の概要 MSDマニュアル家庭版)

  1. 自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経 せたがや内科・神経内科クリニック

 

瞳孔の調節:散大(交感神経)と収縮(副交感神経)

瞳孔の大きさは、放射状に配置された瞳孔散大筋と、瞳孔の周囲に円形状に存在する瞳孔括約筋とによって調節されています。瞳孔散大筋が収縮すると瞳孔が開き、瞳孔括約筋が収縮すると瞳孔は小さくなります。一方が収縮しているときは、他方は弛緩します。

  1. 散瞳(さんどう、mydriasis)(ウィキペディア)
  2. 5分でわかる!明暗調節のメカニズム Try-It
  3. ミドリンP点眼液(トロピカミド・フェニレフリン塩酸塩点眼液)トロピカミドは瞳孔括約筋弛緩作用、フェニレフリン塩酸塩は瞳孔散大筋収縮作用により、それぞれ散瞳効果を示す。
  4. 散瞳薬アトロピンシクロペントラート、トロピカミド、フェニレフ
    リン)
  5. カテコールアミン(脳科学辞典):カテコールアミンとは本来カテコール基とアミノ基をもつ化合物であるが、神経科学においては主に神経伝達物質として機能するドーパミン、ノルアドレナリン(またはノルエピネフリン)、アドレナリン(またはエピネフリン)の3つを指す。生合成経路上はドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの順に合成され、各細胞における最終的な産物の決定は合成酵素の有無によって決まる。
  6. カテコール (catechol) (ウィキペディア):ベンゼン環上のオルト位に 2個のヒドロキシ基を有する有機化合物。
  7. 薬剤師国家試験 152 交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。 つ選べ。 1 サルブタモールは、アドレナリン α1受容体を選択的に刺激して、血管平滑筋 を収縮させる。 2 クレンブテロールは、アドレナリン α2受容体を選択的に刺激して、血管平滑 筋を弛緩させる。 3 ドブタミンは、アドレナリン β1受容体を選択的に刺激して、心筋収縮力を増 大させる。 4 チモロールは、アドレナリン α1受容体を選択的に遮断して、眼圧を低下させ る。 5 フェニレフリンは、アドレナリン α1受容体を選択的に刺激して、散瞳を引き 起こす。

アドレナリンとノルアドレナリンの共通点と相違点

  1. アドレナリンとノルアドレナリンの違いは?! 健康管理検定 ノルアドレナリンとアドレナリンの最も大きな違いは、脳への精神的な作用の有無です。ノルアドレナリンは、脳内で神経伝達物質 アドレナリンは脳内ではほとんど分泌されず、また、副腎髄質で分泌されたアドレナリンは血液脳関門を通過することができない

涙の分泌:促進(副交感神経)

唾液の分泌:促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

気道の弛緩(交感神経)と収縮(副交感神経)

血管の収縮(交感神経)

心臓を支配する神経、心拍数の調節:速める(交感神経)・遅くする(副交感神経)

心臓には延髄から(延髄に細胞体があるニューロンから)迷走神経(軸索)が伸びてきて、心臓の外側で一度リレーされて、心臓を支配しています。迷走神経は、心拍数の調節などに関与します。交感神経は、脊髄にある神経細胞からの軸索が、脊髄の外側にある交感神経幹( sympathetic trunk)の細胞に投射して、そこ中継され、交感神経幹の神経細胞が心臓の心筋へと投射します。場所としては、心房や心室に投射しており、心臓の収縮力を調節します。

  1. 自律神経系(資料9)解剖学講座(神経機能形態学)(旧第二解剖) 佐藤 真 (非常にわかりやすい図と説明!)
  2. 副交感神経系の支配領域(図)自律神経系(図) 自律神経系の概要 MSDマニュアルプロフェッショナル版
  3. カンデル神経科学第2版 1028ページ図41-4 自律神経系の交感神経と副交感神経(図)
  4. Autonomic Plexuses LibreTexts Autonomic plexuses are formed from sympathetic postganglionic axons, parasympathetic preganglionic axons, and some visceral sensory axons.
  5. 第11章 自律神経系、視床下部 The Autonomic Nervous System The Hypothalamus 要約:筑波大学基礎医学系神経内分泌学:野上晴雄
  6. https://www.kango-roo.com/learning/2234/ 看護roo!
  7. 心臓の神経支配(交感神経と迷走神経/変時作用・変伝導作用・変力作用) かずひろ先生の徹底的国司対策解剖学

発汗:促進(交感神経)

肝臓でのブドウ糖の産生と放出の促進(交感神経、腹腔神経節)

胃での消化の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

胆嚢からの胆汁の放出(副交感神経)

膵臓からの消化液の分泌の促進(副交感神経)・抑制(交感神経)

腸管での分泌の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

副腎髄質ホルモンの分泌の促進(交感神経)

排尿の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

オルガスム(交感神経、副交感神経)

勃起(副交感神経)

射精(交感神経)

 

参考

  1. 自律神経系の概要 MSDマニュアル家庭版