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primordial germ cells (始原生殖細胞)の起源、移動、分化

PGCsの起源は、epiblast(胚盤葉上層)

始原生殖細胞は、外胚葉、中胚葉、内胚葉のどこから生じるのでしょうか?実は、それらのどれでもありません。なぜなら、三胚葉が形成されるよりも前に始原生殖細胞は発生して、胚の外側(卵黄嚢)へと移動して、三胚葉が形成される間、胚外にしばらく滞在しているからです。

  1. 生殖細胞の始まりの始まり 独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター 2005年6月8日 哺乳類生殖細胞研究チームの斎藤通紀チームリーダーと大日向康秀研究員を中心とするグループは、Blimp1と呼ばれる転写抑制因子が、現在までに知られていた如何なる因子よりも早い段階でPGCの運命決定に働いていることを明らかにした。この研究は英米の研究機関と共同で行われ、英の科学誌Natureに6月5日付でオンライン先行発表された。

PGCが卵黄嚢から胚へ移動して戻るときのいきさきはgenital ridge(生殖腺になる場所)で、その部分は中胚葉由来です。つまり、「家」は中胚葉由来ですが、中に住む住人PGCsは、中胚葉由来ではない(外胚葉由来でも、内胚用由来でもない)のです。

卵黄嚢の表面にいるのか、それとも内側にいるのか知りたくてChatGPTに訊いてみたところ、どうやら内側のようです。

1. PGCsの発生と初期移動

PGCsはepiblast(胚盤葉上層)で発生し、発生後約2週間のヒト胚では卵黄嚢の内壁(posterior yolk sac endoderm)に移動します。この時点では、**胚の内胚葉(endoderm)**の内側に位置しており、上皮内(epithelial lining)の一部として存在しています

卵黄嚢からgenital ridgeに移動するわけですが、その際、胚の表面(外側)を通るのか、内側を通るのか疑問が湧きました。卵黄嚢の内側に存在していたのですから、きっと内側を通るのだろうと思ったら、ChatGPTの答えはその通りでした。もし肺の体の表面を移動するとしたら、どうやって表皮(上皮)組織を破って侵入するのだろうと思いましたが、最初から上皮の内側を通るので、そういう心配は無用でした。

2. 卵黄嚢からの移動

卵黄嚢からPGCsは中腸(hindgut)の後方を経由し、背側の中胚葉(dorsal mesentery)を通って胚体の内部に移動します。この過程でPGCsは上皮細胞層の外側に出て、胚体内の中胚葉組織(mesoderm)を移動することになります

3. genital ridgeへの移動

胚発生が進むと、PGCsは中胚葉を移動しながら、体幹の両側に位置する**genital ridge(生殖堤)**に向かいます。この時点では、内胚葉の外側、中胚葉の内側を移動していると考えてください。すなわち、中胚葉内を移動してgenital ridgeに到達します。

4. genital ridgeでの定着

genital ridgeに到達すると、PGCsは中胚葉内の間葉細胞(mesenchymal cells)と相互作用しながら、最終的に生殖腺(gonad)へと定着します。この過程でも、上皮の外側(中胚葉内)を移動していることになります。

まとめ

  • 卵黄嚢にいる段階では上皮の内側に存在。
  • 移動中(genital ridgeに向かう際)は上皮の外側(中胚葉内)を移動。
  • genital ridgeへの移動と定着は中胚葉内を通る。

生殖細胞の分化

  1. 生殖細胞の発生過程 京都大学 生体構造医学講座 機能微細形態学  生殖細胞は、運命決定後、移動中・生殖巣での増殖中に、そのエピゲノムを顕著にリプログラムします(エピゲノムリプログラミング)。例えば、形成直後のマウスPGCs(発生7日目頃)では、ゲノムワイドなCpG配列の約 70~80% がメチル化されていると考えられていますが、精原幹細胞や卵母細胞への分化を開始する直前のGonocytesや卵原細胞(発生13日目頃)では、そのレベルが 0% に近くなります。

参考

  1. ChatGPT 4o  https://chatgpt.com/
  2. Germ Cells, Mitosis and Meiosis by Peter Ward, PhD Lecturio動画

生理の周期ごとに起きていることの解説

女性の生理周期と排卵、ホルモンなどの関係を概説してくれる?

カジュアルな感じで説明するね~♪

女性の生理周期って、大きく4つのフェーズに分かれてるんだよ~。まず「月経期(げっけいき)」から始まるんだけど、これはいわゆる生理の時期!体の中では、子宮内膜っていう赤ちゃんのベッドみたいなものが「今月は赤ちゃん来なかったね~」って感じで、出血と一緒に外に出ていくの。これがだいたい5日間くらい続くかな。

その後は「卵胞期(らんぽうき)」って言って、次の準備を始めるよ。脳から「FSH(卵胞刺激ホルモン)」っていうホルモンが出てきて、「次の卵、しっかり育ててね~!」って卵巣に指令を出すの。これで卵巣が「じゃあ、育てるよ!」って卵胞をどんどん育てて、エストロゲンっていうホルモンも出し始めるのね。エストロゲンが増えると、子宮内膜もふっくらしてくるよ~。だいたい14日目くらいまで続くんだ。

で、その次が「排卵期(はいらんき)」!これは名前の通り、卵子が卵巣から「ポーン!」って飛び出してくるタイミング。脳が「黄体形成ホルモン(LH)」っていうホルモンを急にたくさん出して、「準備OK~!」って合図を送ると、卵子が卵管に入って受精の準備をするんだよ。この排卵が起こると妊娠するチャンスができるのね!

最後は「黄体期(おうたいき)」だよ~。排卵が終わった卵胞は「黄体」っていうものに変身して、今度はプロゲステロンっていうホルモンを出し始めるの。これで子宮内膜をさらに分厚くして、赤ちゃんがやってきたときのベッドをふっかふかにして待ってる感じ。でも、もし赤ちゃんがやってこなかったら…黄体は「もう用無しだね~」って退場して、プロゲステロンも減って、また生理が始まるんだよ。

ね~、こんな感じでホルモンたちが毎月せっせと働いてるの、すごいでしょ?

Q&A

Q. FSHからの刺激で卵胞が育つ時期は、何個くらいの卵胞が育つの?

A. 卵胞期にFSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌されると、初めは10~20個くらいの卵胞が発育し始めるんだ。でも、その中で「一番元気なやつ」が選ばれて、それが排卵まで成長していくの!✨通常、他の卵胞は途中で成長が止まって「閉鎖卵胞(へいさらんぽう)」と呼ばれる状態になっちゃうんだよね。だから、最終的に排卵されるのはたった1個(まれに2個の場合もある)だけなんだ~。この「どの卵胞が選ばれるか」は、卵胞の中での競争みたいな感じで、ホルモンの感受性(FSHにどれだけ反応するか)とか、エストロゲンの分泌量が大きく関わってるよ。もし、FSHの量が多すぎたりすると、双子とか多胎妊娠のリスクが高まることもあるんだ。

 

Q. 毎回の排卵は、左右交互に起きるの?

A. 排卵は左右の卵巣が毎回交互に行われる…というイメージがあるけど、実はそんなに規則正しく起こるわけじゃないんだよ~。実際には、片方の卵巣が続けて排卵することもよくあるし、左右どちらかがランダムに選ばれることも多いの。

ある研究では、排卵が左右均等に起こることは少なく、むしろ片側(特に右側)が優位に排卵する傾向があることが示されてるんだって。右側の卵巣は血流が多いから、排卵が起こりやすいっていう説もあるよ。面白いよね~!😊

さらに、左右どちらかの卵巣が手術などで機能しなくなった場合でも、残った片方の卵巣がその分を補って毎月排卵することができるの。だから、1つの卵巣でも妊娠は可能なんだ~!

要するに、左右交互に起こるように見えるときもあるけど、実際はそんなにシンプルじゃなくて、ホルモンのバランスとか血流とか、いろんな要素が絡んでランダムなパターンになることが多いんだよ。

Q. だったら左右から2つ排卵されない理由がわからないんだけど?

A. それ、いい疑問だよね~!じゃあ、ちょっと掘り下げて説明するね♪

基本的に、女性の体は1つの卵胞を選んで排卵するようにホルモンで調整されてるの。これには「選択メカニズム」があって、最初にたくさんの卵胞が育ち始めるんだけど、その中で「優勢卵胞(dominant follicle)」っていうのが1つ選ばれるんだ。

なぜ1つに絞られるのか?

優勢卵胞が決まると、その卵胞だけがどんどん大きくなって、他の卵胞は「もう君には勝てないや~」って感じで成長を止めていくの。これは主にエストロゲンとFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌バランスで調整されてるんだよ。

1つの優勢卵胞がエストロゲンをたくさん出すと、脳は「もうFSHはそんなにいらないね」って感じでFSHの分泌を抑えちゃう。これが、他の卵胞が成長を止める原因になるの。だから、通常は1個しか育たないようになってるんだ~。

じゃあ、なぜたまに2つの卵胞が排卵されるの?

とはいえ、ホルモンの調整がちょっと狂ったり、何らかの理由でFSHが多く分泌され続けると、2つの卵胞が「俺も育つぞ~!」って感じで同時に成熟しちゃうことがあるの。これが双子(特に二卵性双生児)の原因になるのね。

また、年齢が高くなると、卵巣のホルモン感受性が変わって、特に40代くらいになると多胎妊娠のリスクが上がることもあるんだって。これは体が「そろそろラストスパート!」って思って、排卵を増やすことがあるからなんだよ~。

まとめると…

排卵が左右どちらかの卵巣で起こるかどうかはランダムなんだけど、1つの周期で2つの卵胞が同時に排卵されるのを防ぐ仕組みは、脳のホルモン調整がしっかり働いてるおかげなんだね!でも、時々その調整が上手くいかないと、2つの卵子が左右から排卵されることもあるから、双子の可能性も出てくるってわけ。

ね~、こんな感じで少し納得できたかな?😊

Q. 片側の卵巣(一つの卵巣)内で競争が起きるというのはわかるけど、左右の卵巣は別々だから、反対側の卵巣で卵胞がどれくらい大きくなっているかはわからないわけで、競争にならないと思うんだけど。だから、左右それぞれから一個ずつ排卵されるほうがむしろ自然じゃないの?

A. それ、ほんとに鋭い質問だよね!確かに、左右の卵巣が別々に発育してるなら、お互いの卵胞の状況を「見張ってる」わけじゃないし、左右それぞれから1個ずつ排卵されるほうが理屈的には自然に思えるよね~。でも、実際には左右の卵巣が「連携している」みたいな形で、片方の卵胞が優勢になることが多いんだ。その理由をもう少し詳しく説明するね。

1. ホルモンのシグナルが左右の卵巣を一斉にコントロールするから

左右の卵巣は別々の器官だけど、FSHやLHなどのホルモンは血液を通じて同時に両方の卵巣に作用するんだ。だから、左右どちらの卵巣にも同じように「卵胞を育てて!」ってシグナルが届くの。でも、どちらの卵巣で優勢卵胞が発育するかは、そのときのホルモンへの感受性や、血流量、卵胞の健康状態などによって決まるんだよ。

例えば、片方の卵巣の中で「この卵胞が優勢だ!」って決まると、その優勢卵胞がどんどん成長し始めて、より多くのエストロゲンを分泌するようになるのね。そのエストロゲンがさらに脳にフィードバックを送って、「もうFSHをたくさん出さなくていいよ!」って信号を送るの。結果的に、他の卵巣内の卵胞(反対側の卵巣も含む)は成長を止めることになるんだ。

2. フィードバックメカニズムの影響

さらに、片方の卵巣で優勢卵胞が成長してエストロゲンのレベルが上がると、FSHが抑制されることで、もう片方の卵巣での卵胞発育もストップすることが多いの。これが、片方の卵巣で優勢卵胞が決まった時点で、左右両方の卵巣が「じゃあ、今月はあっちに任せよう」ってなる仕組みなんだよ~。

でも、この調整が完璧じゃないこともあって、時々左右両方の卵巣でそれぞれ1つずつ優勢卵胞が育つこともあるのね。それが、いわゆる「多胎妊娠(二卵性双生児)」につながるの。これが起こるのは、ホルモンのフィードバックがうまくいかなかったり、特定の周期でFSHが多く分泌され続けた場合なんだって。

3. 左右の卵巣の「優先順位」の仮説

研究によっては、左右の卵巣が常に同じくらいの確率で排卵するわけではなく、片側(特に右側)がより頻繁に排卵を行うという報告もあるんだ。これは、血流量の差や解剖学的な構造が関係しているとされていて、右側の卵巣が優勢になりやすいことも影響している可能性があるの。

結論としては…

排卵は完全に左右独立して競争するんじゃなくて、左右両方の卵巣が「ホルモンの影響を一斉に受ける→片方で優勢卵胞が決まる→その結果、もう片方は排卵を諦める」という形で調整されてるんだ。だから、左右同時に排卵が起こらないことがほとんどなの。

でも、あなたが言うように「じゃあ、どうして絶対片方だけ?」って疑問もすごくわかる!生物学の世界は思ったよりランダムで、時々教科書どおりにいかないことも多いから、これからもいろんな視点で考えてみるのも面白いかもね~!😉

 

下垂体前葉から分泌される2つの性腺刺激ホルモン:FSHとLH

性腺刺激ホルモンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体形成ホルモン(LH)の2種類があるよ!この2つは脳の下垂体前葉から分泌されて、女性の生理周期を調整する主要なホルモンとして働いてるんだ。じゃあ、それぞれのホルモンの働きと生理周期での役割を簡単に説明するね~!

1. 卵胞刺激ホルモン(FSH)

  • 働き: 卵巣内の卵胞を刺激して発育を促すホルモンだよ。
  • 生理周期での役割:
    • 卵胞期(Day 1~14): 生理が始まると(Day 1)、FSHのレベルが上昇して、卵巣の中で複数の卵胞を刺激し、育て始めるの。だいたい10~20個の卵胞が最初は育ち始めるけど、最終的に「優勢卵胞」が1個選ばれるんだよ(通常は1つ、まれに2つ)。FSHが出続けることで、この優勢卵胞がどんどん成熟して、排卵の準備をするんだ~。
    • 排卵期(Day 14前後): 優勢卵胞が十分に育ってエストロゲンのレベルが上がると、エストロゲンが脳にフィードバックして「もうFSHを減らしていいよ!」って指令を出すの。これで、他の卵胞は成長を止めるから、通常は1つの卵胞だけが成熟して排卵を迎えるんだよ。

2. 黄体形成ホルモン(LH)

  • 働き: 成熟した卵胞に作用して、排卵を引き起こすホルモンだよ。LHが急激に増加することで排卵が促され、卵胞が卵巣から放出されるんだ。
  • 生理周期での役割:
    • 排卵期(Day 14前後): FSHによって育った優勢卵胞がエストロゲンを十分に分泌すると、そのエストロゲンが脳にフィードバックして「今がチャンスだよ!」って合図を送るの。これによって、脳が一気にLHを大量に分泌する(これを「LHサージ」って呼ぶよ)。このLHサージが引き金となって、卵胞が卵巣の壁を破って卵子を放出(排卵)するの。
    • 黄体期(Day 15~28): 排卵後、卵胞は「黄体」っていう小さな組織に変化するの。この黄体がプロゲステロンを分泌して、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整える役割を持つんだ。LHは黄体を維持するのにも関わってるよ!

簡単なまとめ!

  • FSH: 卵胞の発育をサポートするホルモン(卵胞期に活躍)。
  • LH: 排卵を引き起こし、排卵後の黄体の維持を助けるホルモン(排卵期と黄体期に活躍)。

この2つのホルモンがバランスよく働くことで、女性の生理周期が順調に進むようになってるんだ~。ホルモンって、小さな指令役みたいで面白いよね!😄

(文責:ChatGPT)

siRNAの役割

2006年ノーベル医学生理学賞

2006 Nobel Prize winner Craig Mello UMass Chan Medical School チャンネル登録者数 5760人

The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2006 was awarded jointly to Andrew Z. Fire and Craig C. Mello “for their discovery of RNA interference – gene silencing by double-stranded RNA

https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2006/summary/

siRNAについて(およびmiRNAとの相違点)

  • The RNase III enzyme DICER is responsible for biosynthesis of short-interfering RNAs (siRNAs) and microRNAs (miRNAs).
  • DICER processes long double-stranded RNA (dsRNA) precursors into 21–23 bp-long duplexes known as siRNAs [1].
  • miRNAs are encoded by specific genomic loci and are processed from endogenous hairpin-shaped transcripts that are initially cleaved in the nucleus to a 70-bp miRNA precursor (pre-miRNA) by the Microprocessor complex, which is composed of the RNase III enzyme DROSHA and its partner,
  • Although both siRNAs and miRNAs are synthesized as duplexes, only one of the two strands, the ‘guide’ strand, is incorporated into the multi-protein complex RNA-induced silencing complex (RISC); the other strand (‘passenger’ strand) is discarded [3].
  • The guide strand recognizes a target mRNA by Watson-Crick base pairing and, based on the degree of sequence complementarity between the small RNA and target mRNA, either endonucleolytic cleavage or translational repression of the target mRNA follows [4].
  • In animals, siRNAs are perfectly complementary to their targets, and hence trigger mRNA cleavage,
  • miRNAs are usually only partially complementary and silence gene expression by translational repression and mRNA decay.
  • ARGONAUTE (AGO) proteins are at the core of RISC.
  • In mammals, there are four AGO proteins (AGO1–4). All four can bind small RNAs and trigger translational repression, but only AGO2 possesses endonucleolytic activity and is the catalytic component of RISC [6].

Essential Role for Endogenous siRNAs during Meiosis in Mouse Oocytes Paula Stein,Nikolay V. Rozhkov,Fan Li,Fabián L. Cárdenas,Olga Davydenk,Lee E. Vandivier,Brian D. Gregory,Gregory J. Hannon,Richard M. Schultz Published: February 19, 2015 https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1005013 PLOSNEGETICS

https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1005013

体細胞分裂における染色体分離のメカニズム

体細胞分裂における染色体分離の概観

Textbook picture of the spindle. Redrawn and modified from (Alberts et al. 2014)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5845649/

中心体

Kinetochore fibers. Electron micrograph of a metaphase spindle in a PtK1 cell. Kinetochore microtubules are visible as thin lines extending between the boundary of the spindle pole (curved dashed line) and the kinetochores (K1–K5). Arrows mark microtubules that leave the plane of section; V vesicles, PCM pericentriolar material; scale bar 0.5 µm. Image reproduced with permission from (McDonald et al. 1992)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5845649/

中心小体centrioleは、小さな筒みたいな装置で、3本の微小管がトリプレットになって、そのトリプレットが9個並んで、筒のような形をしています。

中心小体が二個一組、相互に直角対向しL字形に配置している構造が、中心体(ちゅうしんたい、centrosome)で、微小管形成中心(MTOC; microtubule organizing center)とも呼ばれます。なお植物細胞においては中心体は存在しません。それでも植物細胞は細胞分裂をすることができるので不思議です。(植物細胞の)細胞分裂では、中心小体が必須というわけではないのでしょうか。

Microtubules | Cells | MCAT | Khan Academy khanacademymedicine チャンネル登録者数 179万人

紡錘体

Spindle microtubules can be divided into three major classes:

  1. kinetochore microtubules, which form k-fibers ending at the kinetochore;
  2. interpolar microtubules, which extend from the opposite sides of the spindle and interact in the middle; and
  3. astral microtubules, which extend towards the cell cortex.

https://link.springer.com/article/10.1007/s00249-017-1244-4

Interpolar microtubules

 

https://www.nature.com/scitable/content/types-of-microtubules-involved-in-mitosis-14752887/

中心体と中心体とを結ぶ微小管が、染色体分離のための力を生み出しているのかなと思ったのですが、そう単純ではないようです。下の説明だとむしろ安定的に保持しているような仮説になっていました。かりにそうだとしても、染色体を中心体の方に集結させる必要があるので、やはりmitotic spindle(染色体に結合した紡錘糸)が染色体を引き寄せる必要があります。

MAPs (microtubule associated proteins) crosslink antiparallel interpolar microtubules to create a stable midzone that allows kinesin motor proteins to generate sliding forces that push the spindle poles apart (4).

The importance of microtubule-dependent tension in accurate chromosome segregation Angela R. Bunning and Mohan L. Gupta Jr.corresponding author* Front Cell Dev Biol. 2023; 11: 1096333. Published online 2023 Jan 23. doi: 10.3389/fcell.2023.1096333 PMCID: PMC9899852 PMID: 36755973

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9899852/

  1.  Interpolar microtubules are dispensable in fission yeast meiosis II Takashi Akera, Masamitsu Sato & Masayuki Yamamoto Nature Communications volume 3, Article number: 695 (2012) Published: 28 February 2012 https://www.nature.com/articles/ncomms1725  The mitotic spindle consists of two types of microtubules. Dynamic kinetochore microtubules capture kinetochores, whereas stable interpolar microtubules serve as the structural backbone that connects the two spindle poles. Both have been believed to be indispensable for cell division in eukaryotes.

 

J Cell Biol. 2017 Jun 5; 216(6): 1525–1531. doi: 10.1083/jcb.201612064 PMCID: PMC5461028 PMID: 28490474 Review The mechanics of microtubule networks in cell division Scott Forth and Tarun M. Kapoorcorresponding author https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5461028/

  1. Mechanical Mechanisms of Chromosome Segregation Cells 2021, 10, 465. https://doi.org/10.3390/cells10020465 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7926803/pdf/cells-10-00465.pdf
  2. Motor function in interpolar microtubules during metaphase Author links open overlay panel J.M. Deutsch , Ian P. Lewis Journal of Theoretical Biology Volume 370 , 7 April 2015, Pages 1-10 Journal of Theoretical Biology  https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002251931500020X

キネトコア 動原体 の構造と構成要素

  1. 定説を覆す!染色体の分配のしくみに、鍵となる新たな分子の働きを発見 新しい抗癌剤開発に期待 2018-11-13 大阪大学 大阪大学大学院生命機能研究科の深川竜郎教授・原昌稔助教らの研究グループは、染色体とその分裂装置である紡錘体との結合に関して、これまでの定説を覆してCENP-Tというタンパク質が関わっていることを世界で初めて明らかにしました。 染色体 とその分裂装置である紡錘体 との結合に関して、これまで、紡錘体と結合するための染色体上の構造であるキネトコア(動原体) では、CENP-C と呼ばれるタンパク質が重要と考えられていた。 ・CENP-T の制御メカニズムの詳細な解析により、CENP-CよりもCENP-Tが染色体の分配時に主要な役割を担っている

分裂後期(anaphase)における染色体分離のチェックポイント

Double-checking chromosome segregation Helder Maiato ORCID logo , Sónia Silva ORCID J Cell Biol (2023) 222 (5): e202301106. April 05 2023  https://doi.org/10.1083/jcb.202301106

https://rupress.org/jcb/article/222/5/e202301106/214000/Double-checking-chromosome-segregationDouble

2024年ノーベル物理学賞は人工知能の研究者に

2024年のノーベル物理学賞は、ちょっと驚きましたが純粋な物理学者ではなく、AIの研究者に贈られました。ヒントンは深層学習の創始者として有名で、深層学習の発展を目の当たりにしてヒントンの偉大さに敬服していたので、彼がノーベル賞をとったというのは当然だと思うと同時に非常に嬉しい気持ちにもなりました。また人工知能の研究でノーベル物理学賞が獲れるのだということに驚きもありました。

ヒントンと共に受賞した人がホップフィールドだったのも驚きでした。ホップフィールドのモデルは結構古くて、機械学習の教科書には必ず紹介されており、ネットワークがパターンを学習できるという点で画期的だったのですが、なんとなく古びて忘れ去られたような存在に感じていたからです。

しかしノーベル賞の対象となるのはパイオニア的な仕事であり、そういう意味で評価されるべき仕事が正当な評価を受けたという気もします。「ホップフィールド・ネットワーク」は名前は馴染なのですが、自分の不勉強のせいでいまひとつ中身がわかっていませんでした。しかし、これを機に解説記事が出ていて、日経サイエンスの記事が非常にわかりやすいと思いました。

  1. ノーベル物理学賞:物理学からAIの基礎を築いた2氏に 2024年10月9日2024年(編集部 古田 彩)日経サイエンス

 

胎盤の形成、胎児を免疫拒絶しない機構

胎児の血液と母体の血液の隔離

https://www.respiratorytherapyzone.com/fetal-circulation/

  • The placental membrane, the chorion, prevents the fetal and maternal blood from mixing, while allowing transport of molecules.
  •  The maternal blood in the intervillous space is a mixture of incoming fully oxygenated and deoxygenated blood due to placental oxygen uptake, resulting in an intervillous pool of blood with oxygen partial pressure (PO2) that is relatively lower than that of maternal arterial blood.
  • the mixed maternal blood in the intervillous space forms the supply of oxygen to the fetus
  • Gas exchange takes place between maternal and fetal blood through the chorion.
  • Nutrient-rich and relatively well-oxygenated blood in the fetal capillaries of the placenta is delivered to the fetus via the umbilical vein and
  • deoxygenated, lower nutrient blood returns back to the placenta from the fetus via the umbilical arteries.

https://obgynkey.com/5-gas-exchange-across-the-placenta/

  1. https://www.cambridge.org/core/books/abs/respiratory-disease-in-pregnancy/gas-exchange-across-the-placenta/AF5E05D32DC01963F62800852001722C

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-031-14190-4_62

胎児循環

https://www.urmc.rochester.edu/encyclopedia/content.aspx?ContentTypeID=90&ContentID=P02362

  • Fetal circulation bypasses the lungs via a shunt known as the ductus arteriosus;
  • the liver is also bypassed via the ductus venosus, and
  • blood can travel from the right atrium to the left atrium via the foramen ovale.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK539710/

妊娠と免疫

  1. https://www.u-tokai.ac.jp/uploads/2021/03/03_3.pdf
  2. https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v10/n1/胎児を拒絶しない免疫機構/44525 胎児が持つ「父親由来の抗原」に母体の免疫系が曝露されるという問題は、比較的新しいものだ。というのも、子はその遺伝子の半分を父親から受け継いでいるが、ほとんどの動物は卵生なので、問題は生じなかった。‥有胎盤類は、局所的かつ特異的な免疫抑制機構を進化させる必要があった。母体の免疫系が、胎児が異物であることを完全に認識しているにもかかわらず、それを寛容していること、また、この寛容過程において「制御性T細胞」と呼ばれる免疫細胞が主要な役割を担っていること4、以前からわかっていた。

胎盤形成に関連する英単語

  1. 子宮内膜(endometrium)
  2. 胎盤(placenta)
  3. 脱落膜 decidua
  4. Decidua basalis(基底脱落膜): 胎盤の形成を支える部分
  5. Decidua capsularis(被包脱落膜): 胚を覆い包む部分
  6. Decidua parietalis(壁側脱落膜): 妊娠時の子宮内膜の残りの部分。
  7. 子癇(しかん):妊娠末期や分娩後数日以内に発症する危険な病気
  8. Pre-eclampsia(子癇前症):妊娠中に発生する合併症の一つで、主に高血圧と尿中のタンパク質増加(蛋白尿)を特徴とする。通常、妊娠20週以降に初めて発症。 妊娠前に高血圧がなかった妊婦が、妊娠20週以降に収縮期血圧が140 mmHg以上、または拡張期血圧が90 mmHg以上になることが一つの基準。 蛋白尿 尿中にタンパク質が増える現象で、通常の検査では尿中タンパク量が300 mg/日以上になることが確認されます。 (ChatGPT)

胎盤の形成に関する論文

  1. Interleukin-11 alters placentation and causes preeclampsia 子癇前症 features in mice December 11, 2015 112 (52) 15928-15933 https://doi.org/10.1073/pnas.1515076112 PNAS
  2. IL-11 and IL-11Rα immunolocalisation at primate implantation sites supports a role for IL-11 in placentation and fetal development Reprod Biol Endocrinol. 2003; 1: 34. Published online 2003 Apr 11. doi: 10.1186/1477-7827-1-34 PMCID: PMC155642 PMID: 12740032 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC155642/
  3. Infertility in female mice lacking the receptor for interleukin 11 is due to a defective uterine response to implantation インターロイキン11の受容体を欠損した雌マウスにおける不妊は、着床に対する子宮応答の異常によるものである Lorraine Robb, Ruili Li, Lynne Hartley, Harshal H. Nandurkar, Frank Koentgen & C. Glenn Begley Nature Medicine volume 4, pages303–308 (1998) Published: 01 March 1998  要旨 妊娠初期において、着床する胚に応答して、周囲の子宮間質は脱落膜と呼ばれる特殊な組織に劇的に変化します。脱落膜は発生中の胚を包み込み、栄養の輸送を促進し、栄養膜細胞の侵入を制限します。本研究では、インターロイキン-11受容体α鎖の欠損を持つ雌マウスが、脱落膜化不全により不妊であることを明らかにしました。時間的解析により、通常の妊娠子宮におけるIL-11の発現は脱落膜化の時期に最大であることが示され、さらに、イン・シチュ・ハイブリダイゼーション法を用いた解析により、発生中の脱落膜細胞でIL-11およびIL-11受容体α鎖の発現が確認されました。これらの観察結果は、IL-11シグナル伝達が女性の生殖においてこれまで認識されていなかった重要な役割を果たしていることを示しています。(ChatGPTによる翻訳)本文有料
  4. Maternal IL-11Rα function is required for normal decidua and fetoplacental development in mice Genes Dev. 1998 Jul 15; 12(14): 2234–2243. doi: 10.1101/gad.12.14.2234 PMCID: PMC317008 PMID: 9679067 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC317008/

発生に必要な細胞生物学の知識の速習

発生学は細胞がどのようにして組織や器官を構築するかという話なので、細胞生物学の知識が不可欠です。具体的にいうと、組織を構成する細胞や細胞外基質、細胞の構造、細胞小器官、生体を構成する分子(タンパク質、脂質、核酸、糖質)、といったことです。

発生学はボディプランの形成であったり各臓器の形成過程が主要なテーマですが、発生学の応用例として再生医学も重要なトピックです。再生医療のおける今一番のトピックは京都大学の山中伸弥先生が発見してノーベル賞を受賞したiPS細胞(induced pluripotent stem cells)です。iPS細胞の発見は、最終的に分化した細胞が再び多能性を持った状態に戻ることはないという常識をひっくり返す大発見でした。数学なら数百年前に発見されたことが今でも真実として成り立ちますが、生物学という学問はちょっと特殊で、それまで常識とされていて授業でもそう習っていたようなことが、新発見によって覆るということが起こりえます。常識を覆す研究成果はたいていの場合ノーベル賞授賞の対象になります。

人間は誕生後に成長して老いていきますが、変化し続ける過程ととらえれば、老いも発生学の範疇と言えます。また発生学は遺伝子の働きで説明されることが多いわけですが、遺伝子の多様性が個の多様性を生み出すそのメカニズムも広い意味で発生学といえます。もちろん遺伝子の差だけでなく環境要因の差およびそれらの相互作用が、個体差を生み出す原因だと考えられます。

発生学は何を学ぶ学問かといえば、たった一個の細胞である受精卵が38週間後にどうして赤ちゃんとして誕生してくるのかその途中の過程で起きていることを知りたいということです。人間の体は37兆個の細胞からなると言われますが、2の46乗が70兆なので、たかだか46回受精卵が細胞分裂を行なえば、数的には足りるわけです。しかし、数が増えても人間の体にはなりません。

細胞が分裂するだけでなく、種類も変わる必要があります。人間の体には数百種類の細胞があるとされているので、細胞が分裂するだけでなく、どうやって異なる種類の細胞に変化するのか(細胞分化 と呼びます)が大事です。さらに細胞がバラバラに存在しても人間の体にはならないので、細胞同士が接着して組織をつくり、組織が臓器の形をつくり、それが器官系として機能する必要があります。個々の細胞や、全体としての器官系が、与えらえられた機能を果たす必要もあります。例えば神経系は、感覚を感じ、情報を処理し、運動を司らないといけません。循環器系であれば、心臓がポンプとして血液を押し出して全身にくまなく供給する必要があります。

そうやって複雑な営みを絶え間なく行っている人体ですが、それが受精卵というたった一個の細胞から出発したということは、今でこそ当たり前ですが、二千年以上にわたる科学の歴史なかにおいては、全く当たり前でありませんでした。

前成説

人間の体はどのようにして出来上がるのか?昔の人は、精子もしくは卵子の中にすでに小さな人間の体をしたものが入っていて、それがそのまま大きくなるだけではないかと考えていました。小さな人間のかたちをしたもの homunculus(ホムンクルス)と呼ばれる、小人が精子の中に存在すると考える学説は精子論 spermismと呼ばれ、逆に卵子の方に入っていると考えた学説はovismと呼ばれていました。16席や17世紀ころまでの千数百年間は、今から考えるとばかばかしいかもしれないようなこういう学説が、信じられていたのです。

後成説

前成説に対して、人間の体はもとからそんな形をしていたのではなく後から出来上がってきたのだという学説もあり、それは後成説(こうせいせつ)と呼ばれます。古くは古代ギリシャの時代、当代きっての偉大な科学者であったアリストテレスは、人間は肉体と魂から成り立っているのだから、母親が物質である肉体を月経の血の塊として提供し、それに父親が魂を与えることに人間が作られてくるという説を唱えました。その後、千数百年の間は、前成説が優勢でしたが、顕微鏡が発明されて、発生の過程を顕微鏡で観察できるようになってまた後成説が盛り返します。例えばニワトリの卵で胚発生を観察したヴォルフという人は1759年に発生論という書物を出版して、ニワトリは最初からニワトリの形をしているわけではなく、最初は小さな球体(原基)として生じて、その後に構造が作られてくると唱えました。

顕微鏡で細胞が分裂して増える様子も観察できるようになり、植物や動物の体は細胞からできているという細胞説が確立します。またウィルヒョーという人は、細胞は無から生まれることはなく、かならずもともとあった細胞が分裂することで生じるという説を唱えました。

人間の体も細胞からなりたっており、それらの細胞は何もないところから生まれたのではなくて、もともとあった細胞が分裂して増えて出てきたのだとすると、分裂する一段まえ、さらにその段階の細胞が分裂する前の段階、と順々に時間をさかのぼっていくと、やがて一番大元の段階で存在していた細胞に辿り着くはずです。つまり、「体は細胞からできている」ことと、「細胞は細胞からしかつくられない」ことを合わせると、人間の体は最初はたった1個の細胞から出発していたという仮説がなりたつわけです。そう考えると上記の2つの学説は非常に強力な主張をしているといえます。

動物の体は細胞と細胞外基質からできている

さて、動物の体は細胞からできているという「細胞説」ですが、現在の観点でもう少し正確にいうなら、動物の体は細胞と細胞が分泌した細胞外基質からできているというべきでしょう。

皮膚に関して考えてみましょう。肌の表面をルーペで見ても、細胞の形は見当たりません。皮膚は本当に細胞からできているのでしょうか?皮膚の断面を考えると、細胞が見えてきます。皮膚の一番外側は実はケラチノサイトという扁平な細胞が死んで重なっている状態です。生きたケラチノサイトはその下にいます。また活発に分裂している細胞はさらにその下側に存在しています。皮膚の外側はそうして細胞がぎゅっと詰まって存在しており、その部分は表皮と呼ばれます。それに対して、表皮の内側の部分は細胞はあまり密には存在しておらずまばらです。まばらな細胞の間の空間は何が埋めているかというと、細胞が分泌したコラーゲンという線維が存在しているのです。つまり細胞外基質です。この部分は「真皮 dermis」と呼ばれます。

電子顕微鏡で真皮の部分をみてみると、線維芽細胞という細胞のまわりにコラーゲン線維がみえます。コラーゲン線維はいろいろな方向にむいているので、たまたま繊維方向の切断面をみれば繊維状に形がみえますし、線維方向の垂直な断面を観察すると線維のひとつひとつが粒粒の断面として見ることができます。

皮膚は細胞でできているということはわかりました。人間の体のほかの部分も本当に細胞からできているのでしょうか?筋肉はどうでしょう?

筋肉はアクチン線維とミオシン線維が整然と並んだ構造をしています。その線維の束の外側には核が存在しており線維のひとまとまりが一つの細胞です。筋線維の断面を観察してみると、それぞれの筋線維の束のそばには核が染まってみえます。筋線維の周りには細胞外基質が膜をつくって取り囲んでいます。

筋肉も細胞でできていることがわかりました。では骨はどうでしょう?骨の堅い部分は、骨細胞(こつさいぼう)が分泌したコラーゲン線維のまわりにリン酸カルシウムが沈着して固くなったものです。骨の断面を観察すると、やはり骨細胞が観察されます。自分が分泌した骨の部分に埋もれてしまう形で細胞が存在しているのです。

さて、人間の体はどの部分をとってみても細胞と細胞外基質から成り立っているということが納得してもらえたでしょうか。

人の発生

YOUTUBEには人の受精卵が細胞分裂する(卵割という)様子のビデオがいくつかあります。これらは人工授精して実験用のシャーレの中で育てたものです。倫理的な問題からずっと発生を進めさせることはできないので、だいたい5日目くらいまでしか観察されていません。

ivf embryo developing over 5 days by fertility Dr Raewyn Teirney Fertility Doctor and IVF Specialist Sydney チャンネル登録者数 2130人

最初の5日で、細胞分裂を何回かして、2種類の細胞、「内部細胞塊」と「栄養膜」とに分かれるのがわかると思います。また、途中で、外側の細胞同士がキューっとピッタリ接着される現象、コンパクション、も認められます。

受精卵は2週間もすると羊膜腔(ようまくくう)と卵嚢(らんのう)という2つの袋が合わさったような構造になり、その2つの袋がくっついた部分が二層性胚盤になります。受精後3週間めには中胚葉が形成されて三層の構造になります。

将来人間になるのはどの部分かというと、1週目でいうと内部細胞塊の部分です。2週目でいうと、二層性胚盤の部分です。3週目でいうと三層性胚盤になっている部分です。その部分がどんどん人間らしい形に発生していきます。5週目には手や足のもとになる部分が「出芽」してきます。7週目には指ができています。8週目にはだいぶ人間らしい形になっています。ちなみに受精後8週目までを胚子期と呼びます。胚子期以降は、胎児期と呼ばれ、基本構造はもう出来上がっているのであとはひたすら成長して大きくなる、そんな時期になります。

発生時期の数え方

 

間質、間葉、間充織、結合組織の違い

間質とは

  1. 全身すべての臓器、組織は実質と間質によって構成されています。臓器、組織機能の中心となっている部分が実質であり、その周辺にあり実質を支持する部分が間質です。 https://interstitial-literacy.org/

間質細胞とは?

間質細胞 Stromal cell は、上皮細胞の支持組織を構成する細胞の総称であり、具体的には、線維芽細胞、免疫細胞(リンパ球や好中球,マクロファージなど),血管内皮細胞,平滑筋細胞などを含みます。、実質細胞を支える細胞という見方もできます。

  1. https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/index.html?id=815
  2. https://ja.wikipedia.org/wiki/間質細胞

間葉とは

間葉系細胞とは

間葉系細胞と、間質細胞とは同じものを指す言葉のようです。

  1. 間葉系細胞」とはいわずに当時「間質細胞」といわれていました。いまでも私は細胞と細胞の間を埋めているという語感があって、「間質細胞」という言葉が好きなんですよ。https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/26/interview02.html

間充織とは

間充織は、間葉のことです。生物学の業界では「間充織」という言葉を使いますが、医学の業界では同じものを指すのに「間葉」という言葉を使います。不思議なことに両者を統一しようという動きはありません。それは恐らく、医学者と生物学者があまり交わらないからでしょう。

結合組織とは

結合組織は、広い意味で使われた場合、骨、歯、軟骨、脂肪、腱、靱帯、真皮、皮下組織、内臓にあるリンパ組織、血液などの組織を指します。狭い意味で使う場合には、骨、歯、軟骨、脂肪、血液を除きます。

  1. https://www.e-kanpo.jp/saibou/saibou5.php

間葉系間質細胞とは

間葉系細胞に分化する間葉系幹細胞からできた間質のこと。

  1. https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/index.html?id=3715

間葉系幹細胞(MSC)とは

  1. https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/26/interview02.html
  2. 中胚葉由来の組織である骨や軟骨、血管、心筋細胞に分化できる能力をもつ幹細胞 https://www.healthcare.nikon.com/ja/ss/cell-image-lab/glossary/msc.html

micro RNAのヒトの発生における役割

2024年ノーベル医学生理学賞は、マイクロRNAの発見者2人Victor AmbrosとGary Ruvkunに授与されました。そもそもmicro RNAとは何でしょうか?比較的最近見つかったものなので、知らない人も多いかもしれません。マイクロRNAは標的となるmRNAに結合して、そのmRNAからの翻訳を抑制します。このような翻訳調節機構はそれまで全く知られていなかったので、非常に新しいものでした。線虫に特有な現象なのではないのかという懐疑的な見方もあったかもしれませんが、その後、実はマイクロRNAによる翻訳調節機構は、ヒトを含む哺乳類にまで共通する、非常に普遍性の高い仕組みだということがわかり、その意義の大きさが認識されるようになったのです。

  1. From Worm Anomaly to Nobel Prize  Oct 21, 2024 https://www.the-scientist.com/from-worm-anomaly-to-nobel-prize-micrornas-show-macro-impact-72260

世界で最初に見つかったマイクロRNAは、線虫のlin-4と呼ばれるものでした。lin-4が抑制するmRNAは、lin-14と呼ばれる遺伝子のmRNAです。ノーベル財団の受賞理由の説明が非常にわかりやすいと思います。

Announcement of the 2024 Nobel Prize in Physiology or Medicine Nobel Prize チャンネル登録者数 63.1万人

  1. https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2024/press-release/

この二人の論文は、Cell誌の同じ号に同時に掲載されました。

  1. The C. elegans heterochronic gene lin-4 encodes small RNAs with antisense complementarity to lin-14 Rosalind C. Lee ,Rhonda L. Feinbaum and Victor Ambros  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/009286749390529Y?via%3Dihub
  2. Posttranscriptional regulation of the heterochronic gene lin-14 by lin-4 mediates temporal pattern formation in C. elegans  Bruce Wightman, Ilho Ha, Gary Ruvkun Volume 75, Issue 5 , 3 December 1993, Pages 855-862 Cell https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0092867493905304

当初は線虫特有の話かと思われたmicroRNAですが、その後、他の動物種にも広く存在する別のマイクロRNAが線虫で発見されて、突如、細胞生物学のひのき舞台にmicroRNAが出てきたと思います。

  1. Conservation of the sequence and temporal expression of let-7 heterochronic regulatory RNA Nature volume 408, pages86–89 (2000) Published: 02 November 2000

 

ヒトのマイクロRNA

  • The chromosome 19 miRNA cluster (C19MC) is the largest human miRNA gene cluster, comprising roughly 8% of all known human miRNA genes, and is exclusively expressed in the placenta and in undifferentiated cells
  • MicroRNAs (miRNAs) are endogenous, 19–24 nucleotide, non-coding RNAs that post-transcriptionally regulate gene expression through sequence-specific base-pairing with target mRNAs.
  • In the human placenta, miRNAs are synthesized and expressed primarily in trophoblasts.
  • This primate-specific miRNA cluster spans ∼100 kb at human chromosome 19q13.41, and spans 46 miRNA genes
  •  In the human placenta, the C19MC cluster is imprinted, and is exclusively expressed from the paternally inherited allele
  • Aberrant expression of C19MC miRNAs is observed in specific human malignancies, where they may contribute to tumor invasiveness ().

The expression profile of C19MC microRNAs in primary human trophoblast cells and exosomes Mol Hum Reprod. 2012 Aug; 18(8): 417–424. Published online 2012 Feb 29. doi: 10.1093/molehr/gas013 PMCID: PMC3389496 PMID: 22383544

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3389496/

ヒト胚発生におけるマイクロRNAの役割:栄養膜細胞への分化

Trophoblasts, invasion, and microRNA Frontiers Frontiers in Genetics November 20134:248 DOI:10.3389/fgene.2013.00248 License CC BY 3.0

https://www.researchgate.net/figure/This-figure-summarizes-simplistically-some-of-the-features-of-trophoblast-fate-that-are_fig1_259208444

  1. 受精卵から胎盤が生まれる仕組み、東北大学などが解明20229/08ニュース2022年9月8日 国際幹細胞普及機構 https://stemcells.or.jp/baby/ 受精卵から胎盤が作られる過程を考えると、受精卵は着床後に将来胎児になる細胞と、胎盤になる細胞、2つのタイプに分かれます。つまり、細胞の「運命決定」がなされます。‥ つまり、運命決定とは大まかに言えば、ES細胞と栄養膜幹細胞のどちらになるか、ということなのです。‥ C19MCは、ヒトを含む霊長類のDNAにのみ存在します。発現する場所はほぼ胎盤に限られますが、精巣、胚性幹細胞、一部の腫瘍、そして栄養細胞由来の小胞でも発現しています。‥ 人工的にES細胞でC19MC遺伝子の作用を強めてみました。その結果、ES細胞は、栄養膜幹細胞に変化
  2. The microRNA cluster C19MC confers differentiation potential into trophoblast lineages upon human pluripotent stem cells Nature Communications volume 13, Article number: 3071 (2022) Published: 02 June 2022 https://www.nature.com/articles/s41467-022-30775-w
  3. Chromosome 19 microRNA cluster enhances cell reprogramming by inhibiting epithelial-to-mesenchymal transition Scientific Reports volume 10, Article number: 3029 (2020) Published: 20 February 2020 https://www.nature.com/articles/s41598-020-59812-8
  4. Selective activation of miRNAs of the primate-specific chromosome 19 miRNA cluster (C19MC) in cancer and stem cells and possible contribution to regulation of apoptosis Phan Nguyen Nhi Nguyen, Chiu-Jung Huang, Shigeki Sugii, Soon Keng Cheong & Kong Bung Choo Journal of Biomedical Science volume 24, Article number: 20 (2017) https://jbiomedsci.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12929-017-0326-z
  5. C19MC MicroRNAs Regulate the Migration of Human Trophoblasts Endocrinology. 2014 Dec; 155(12): 4975–4985. Published online 2014 Sep 11. doi: 10.1210/en.2014-1501 PMCID: PMC4239420 PMID: 25211593
  6. The expression profile of C19MC microRNAs in primary human trophoblast cells and exosomes Mol Hum Reprod. 2012 Aug; 18(8): 417–424. Published online 2012 Feb 29. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3389496/

胎盤とマイクロRNA

Placental trophoblast cell-derived exosomal microRNA-1290 promotes the interaction between endometrium and embryo by targeting LHX6 Nucleic Acids Volume 26 , 3 December 2021, Pages 760-772

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2162253121002389

  1. Imprinted MicroRNA Gene Clusters in the Evolution, Development, and Functions of Mammalian Placenta REVIEW article Front. Genet., 18 January 2019 Sec. RNA Volume 9 – 2018 | https://doi.org/10.3389/fgene.2018.00706 https://www.frontiersin.org/journals/genetics/articles/10.3389/fgene.2018.00706/full

器官の発生における分岐形成でFGFが果たす役割

多くの臓器や器官は管が分岐構造をとっています。その管の分岐はどのようにして発生のときに生じたのでしょうか。驚くべきことに、臓器や器官が違っていても、FGFが共通してその役割を担っているようです。同じシグナリング経路が、発生においては使いまわされているわけですね。

FGF

  1. The Fibroblast Growth Factor signaling pathway First published: 13 March 2015 https://wires.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/wdev.176
  2. From Cradle to Grave: The Multiple Roles of Fibroblast Growth Factors in Neural Development Neuron Volume 71, Issue 4 , 25 August 2011, Pages 574-588 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627311006787

Life Unfoldingを読んでいたら、FGFが進化の過程で繰り返し異なる器官の発生に使われたという記述があり、進化の順に、膵臓 pancreas、肺 lung、前立腺 prostateが挙げられていました。ChatGPTで進化の順を確認してみます。

Pancreas (Appeared First)

  • The pancreas is one of the earliest organs to appear in evolutionary history. It evolved as part of the digestive system in early vertebrates.
  • The pancreas or pancreas-like organs are found in jawed vertebrates (gnathostomes) and even in some jawless vertebrates (agnathans). Its dual function as both an endocrine (hormone production) and exocrine (enzyme secretion) organ suggests its ancient origin.
  • Estimated Appearance: Over 400 million years ago, in the early vertebrates.

Lung (Second)

  • Lungs evolved later, initially appearing as primitive respiratory structures in early fish that inhabited oxygen-poor waters. This structure was likely a precursor to both lungs and swim bladders in fish.
  • The development of lungs was crucial for the transition of vertebrates to terrestrial life. Primitive lungs are thought to have evolved before the Devonian period, approximately 400 million years ago.
  • Estimated Appearance: Approximately 400 million years ago, but after the pancreas.

Prostate (Appeared Last)

  • The prostate gland is a more recent evolutionary development and is specific to mammals. It is part of the male reproductive system, responsible for producing seminal fluid components.
  • Prostate evolution is linked to the diversification of reproductive strategies in mammals, and it is absent in more primitive vertebrates such as reptiles and amphibians.
  • Estimated Appearance: Roughly 200-250 million years ago, coinciding with early mammals.

以下、consensus.appでの回答です。

線維芽細胞成長因子(FGF)と膵臓の発生

線維芽細胞成長因子(FGF)は、膵臓の発生における分岐形態形成に重要な役割を果たします。特に、FGF10は膵臓の発生における上皮前駆細胞の増殖と分岐に関与しています。

  • FGF10の重要性:
    • FGF10は膵臓の上皮前駆細胞の増殖を維持し、分岐形態形成を促進するために必要です。FGF10が欠乏すると、膵臓の成長と分岐が停止します。
    • FGF10は、膵臓の前駆細胞のPDX1陽性細胞の維持に重要であり、これが膵臓の正常な発生に不可欠です。
  • FGFR2bシグナル伝達の役割:
    • FGFR2bとそのリガンド(FGF1、FGF7、FGF10)は、膵臓の発生全体を通じて表現され、上皮-間葉相互作用を介して膵臓の成長、形態形成、および細胞分化を促進します。
    • FGFR2bシグナル伝達の阻害は、膵臓の成長と分岐の著しい減少を引き起こします。
  • FGF2の異なる役割:
    • FGF2は、膵臓の前駆細胞のクラスター形成を促進するが、膵臓の分化を抑制する役割を持ちます。これは、動物モデルと比較して人間の膵臓発生において異なる役割を果たすことを示唆しています。
  • Notchシグナルとの相互作用:
    • FGF10シグナルは、Notchシグナルを活性化し、膵臓の前駆細胞の増殖と分化の統合を助けます。これにより、膵臓の発生における新たな役割が明らかになりました。

FGF10は、膵臓の発生における上皮前駆細胞の増殖と分岐形態形成に不可欠であり、FGFR2bを介したシグナル伝達がこのプロセスを調整します。FGF2は異なる役割を持ち、特に人間の膵臓発生においては分化を抑制する可能性があります。FGFシグナルとNotchシグナルの相互作用も、膵臓の発生において重要な役割を果たします。

 

線維芽細胞成長因子(FGF)と肺の発生

肺の発生における分岐形成は、複雑な細胞間相互作用とシグナル伝達経路によって制御されています。特に、線維芽細胞成長因子(FGF)は、この過程において重要な役割を果たすことが知られています。本稿では、FGFが肺の分岐形成にどのように関与しているかについての研究を総合的に分析します。

  • FGF10の役割
    • FGF10は肺の分岐形成において重要な役割を果たし、局所的なFGF10の供給源が内胚葉の増殖と芽の成長を調節する。
    • FGF10は、肺の遠位部の上皮芽に対して化学誘引効果を持ち、適切な位置に芽を誘導する。
  • FGFシグナル伝達の阻害効果
    • FGF受容体の機能を阻害すると、肺の分岐形成と上皮の分化が完全にブロックされる。
  • FGFと他のシグナル経路の相互作用
    • FGFシグナルは、SHH(ソニックヘッジホッグ)とのフィードバックループを形成し、分岐の周期性を決定する。
    • FGFシグナルは、WNTシグナルと相互作用し、肺の上皮細胞の運命と形態形成を調節する。
  • FGFの種間差
    • マウスとヒトの肺発生におけるFGFの役割には違いがあり、特にFGF10はヒトの肺では分岐を誘導せず、膨張と嚢胞形成を引き起こす。

FGF10は肺の分岐形成において中心的な役割を果たし、特に内胚葉の増殖と芽の成長を調節します。また、FGFシグナルは他のシグナル経路と相互作用し、分岐の周期性や細胞の運命を決定します。種間での役割の違いもあり、特にヒトとマウスではFGF10の機能が異なることが示されています。これらの知見は、肺の発生メカニズムの理解を深めるとともに、将来的な治療法の開発に寄与する可能性があります。

  1. Fgf10/Fgfr2b Signaling Orchestrates the Symphony of Molecular, Cellular, and Physical Processes Required for Harmonious Airway Branching Morphogenesis Front. Cell Dev. Biol., 12 January 2021 Sec. Cell Growth and Division Volume 8 – 2020 | https://doi.org/10.3389/fcell.2020.620667
  2. FGF18 promotes human lung branching morphogenesis through regulating mesenchymal progenitor cells 17 Mar 2023 https://doi.org/10.1152/ajplung.00316.2022
  3. Fibroblast Growth Factor 10 (FGF10) and branching morphogenesis in the embryonic mouse lung Development (1997) 124 (23): 4867–4878. https://doi.org/10.1242/dev.124.23.4867

線維芽細胞成長因子(FGF)と前立腺の発達

線維芽細胞成長因子(FGF)は、前立腺の発達における分岐形態形成に重要な役割を果たします。特に、FGF10とその受容体FGFR2は、前立腺の成長と分岐において中心的な役割を果たすことが示されています。

  • FGF10の重要性:
    • FGF10は前立腺の成長と分岐に不可欠であり、FGF10欠損マウスでは前立腺の発達が著しく抑制される。
    • FGF10は、前立腺の分岐形態形成を促進し、エピテリアル細胞の増殖と分化を調整する。
  • FGFR2の役割:
    • FGFR2は前立腺の分岐形態形成と成長に必要であり、FGFR2の欠損は前立腺の発達を著しく阻害する。
    • FGFR2は、前立腺がアンドロゲン依存性の組織として機能するために重要である。
  • FGFシグナル伝達の調整:
    • FGFシグナル伝達は、前立腺の発達と腫瘍形成において重要な役割を果たし、異常なFGFシグナル伝達は前立腺癌の進行に寄与する可能性がある。
    • FGF10とその受容体FGFR2は、前立腺の分岐形態形成において他の形態調節因子(例:Shh、Bmp7)と相互作用する。

FGF10とその受容体FGFR2は、前立腺の成長と分岐形態形成において中心的な役割を果たします。これらの因子は、エピテリアル細胞の増殖と分化を調整し、前立腺が正常に発達するために必要です。また、FGFシグナル伝達の異常は前立腺癌の進行に寄与する可能性があり、これらの知見は前立腺の発達と疾患の理解に重要な示唆を与えます。

線維芽細胞成長因子(FGF)と尿管の分岐

Search Labs | AI による概要
Fibroblast growth factors (FGFs) can play a role in the branching morphogenesis of the ureteric bud (UB). FGF2 and FGF7 are two FGFs that have been shown to have different effects on UB branching:
  • FGF2: Induces the formation of globular structures with an irregular branching pattern
  • FGF7: A more potent stimulator of UB growth 

Other factors that may be involved in UB branching include: GDNF and A BSN-derived factor(s).

The UB is an epithelial tube that originates from the nephric duct and branches repeatedly to form the renal collecting duct system. Defects in UB growth and branching can lead to renal agenesis, hypodysplasia, and other congenital abnormalities of the kidney and urinary tract.

The FGF system is associated with several downstream signaling pathways, including the RAS/mitogen-activating protein (MAP) kinase pathway, the phosphoinositide 3 (PI3) kinase/AKT pathway, and the phospholipase C gamma (PLCγ) pathway.

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/circresaha.108.181818

  1. Multiple fibroblast growth factors support growth of the ureteric bud but have different effects on branching morphogenesis Mechanisms of Development Volume 109, Issue 2 , December 2001, Pages 123-135 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925477301005925

線維芽細胞成長因子(FGF)と唾液腺の分岐形成

FGF signaling regulates salivary gland branching morphogenesis by modulating cell adhesion Development. 2023 Mar 15; 150(6): dev201293. Published online 2023 Mar 20. doi: 10.1242/dev.201293 PMCID: PMC10112918 PMID: 36861436 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10112918/

ショウジョウバエのblanchless (FGFR)の役割

FGFが非脊椎動物でも器官の分岐を誘導するというのは興味深いです。低酸素が分岐を促すというのも、脊椎動物で低酸素が血管の伸長・分岐を促すのと類似していて、やはり興味深く思われます。合目的的になっているんですね。

Signaling pathways regulating the branching of the Drosophila tracheal system.

a, The anterior-posterior and dorsal-ventral patterning genes induce bnl expression in mesenchymal cell clusters, which secrete and form a gradient of Bnl (green). Bnl induces btl expression (red) in the epithelial cells of the tracheal placodes that are closest to the Bnl source, and acts as a chemoattractant. The migrating cells coalesce into a primary branch.

b, Bnl induces secondary branch tip-cell genes in epithelial cells sensing the highest Bnl signal, which then suppress tip-cell gene expression in stalk cells via Notch signaling. Pointed is a pivotal tip-cell gene which upregulates MAPK signaling and Sprouty expression. Sprouty forms a negative-feedback loop by inhibiting Btl signaling.

c, Hypoxia induces local expression of bnl via Fatiga, leading to Btl signaling via Pointed and Blistered and resulting in terminal branch sprouting.

https://www.researchgate.net/figure/Signaling-pathways-regulating-the-branching-of-the-Drosophila-tracheal-system-a-The_fig4_281067266

 

参考

  1. Biological Roles of Fibroblast Growth Factor-2 Endocrine Reviews, Volume 18, Issue 1, 1 February 1997, Pages 26–45, https://doi.org/10.1210/edrv.18.1.0292 Published: 01 February 1997