大学の事務の人と話をすると、特に何かを提案した場合のことですが、「前例がないので、できません。」とう言葉がしばしば返ってきます。「昨年と同様にやりましょう。」というのも良く耳にするフレーズです。前例がない新しいことをやらない限り、大学は改善していかないのではないかと、いつも素朴な疑問が生じてしまうのですが、実際のところどうなのでしょうか。
大学事務職員の仕事とはどのようなものであり、それが大学にどう評価されて昇進につながるのか、大学職員はどのようなモチベーションで日々仕事に励んでいるのか、そんなことが疑問として湧いてきました。
何もしないので失敗もしなかった人が昇進する組織なのでしょうか。それとも何かをやろうとして失敗しても、許される組織でしょうか。いまどき、正規雇用の常勤職員は少なくて、ほとんどの人は、非常勤の派遣やアルバイトです。ところが不思議なことに、派遣やアルバイトの人の方が仕事に対する情熱を感じさせることがしばしばあります。正規職員のほうが、淡々としています。この熱量の差も自分にとって謎の一つです。
年代や職階が上がるほど、規則や前例、理事会・教授会の決定に従って忠実に事務処理を行うことを重視する傾向が強ければ、組織に変化は起きにくい。
大学を強くする「大学経営改革」[90] 職員の貢献度を高めるための課題と方策 〜真の「協働」の実現に向けて〜 吉武博通 2020/11/09 リクルート進学総研 https://souken.shingakunet.com/higher/2020/11/90-ceb1.html
言われたことだけをやっていたら先がないという感覚で長いこと生きてきたので、言われたことしかやらない、言われていないことはやらない(勝手にやったら怒られるので)という価値観、仕事観を初めてしったときは、かなり新鮮でした。しかし、教員組織の下に事務組織が置かれているため、教員の指示なしで事務職員が勝手に動くということはあり得ません。
これから期待される理想的な大学職員像とはどのようなものなのでしょうか。
高度化・複雑化する課題に対応していく職員として一般的に求められる資質・能力には、例えば、コミュニケーション能力、戦略的な企画能力やマネジメント能力、複数の業務領域での知見(総務、財務、人事、企画、教務、研究、社会連携、生涯学習など)、大学問題に関する基礎的な知識・理解などが挙げられる。
事例1 学長からは、「生き残りがかかっているのに、戦略的な運営がしにくい。外部資金をどんどん集めるように。」と号令をかけられている。
職員の対応:①②③自分の大学がどのような財務構造になっているのか、調べてみる。④文部科学省等の説明会に行き、詳しい情報を得る。⑤心当たりの教員に外部資金への応募を勧める。支援する。⑥職員から提案して申請や学内改革までつなげる。
4.大学職員の役割~ただの「事務」から一歩踏み出す~ https://www.ynu.ac.jp/about/project/manabi/images/28/pdf/01_1_PPT_Satomi.pdf
上の事例を見ると、これはまさに今はやりのリサーチ・アドミニストレータ-(URA)に求められている役割と重なります。職務が完全にオーバーラップしているんですね。
- 大学職員が読むべき10冊 20 タチバナシ タチバナシ 2023年1月4日 19:31 https://note.com/brownhorse/n/n0c06583e4201#e65d11ff-21c8-4baf-9bc3-f42c9ca7e027
- 職位ごとの人材像と求められる能力 https://www.nara-ni.ac.jp/about/data/policy/jimujinnzaiikuseihousin.pdf
- 事務改革アクションプラン 平成19年3月 豊橋技術科学大学
- https://www.tut.ac.jp/develop/actionplan/h19/070329.pdf
- 大学事務職員大改造論 -職員が日本の大学を底上げする: 英国・ヨーロッパにおける職員研修を体験して- ロンドン研究連絡センター 松村 彩子 https://www.jsps.org/publications/files/lon_matsumura.pdf
- あらためて考えてみる 大学で働くということ ー真の教職協働の実現に向けてー 地域連携推進センター 蜂屋大八 2017 https://tandai.or.jp/manage/wp-content/uploads/%E6%95%99%E5%8B%99/2017kyomu_kenshu_kouen.pdf