病理学の教科書を手に取って読んでみて思ったのは、これぞ医学!ということです。一番医学に直結した学びだと言えます。なにしろ病気の状態の組織や細胞の写真がたくさん示されて、何がどうなっているかが説明されているわけですから。
病理学の教科書と一口にいっても、いくつかの種類があります。まず、初学者向けに術語の定義から詳しく説明されているもの。それと、アトラスがメインであまり一般的な説明がないもの。あとは、ロビンスなどに代表される大著です。
初学者向けの病理学の入門書
病理学や医学を学ぶためには、まずそこで使われている術語の正しい意味、すなわち定義を理解する必要があります。浸潤、肉芽組織、中毒、壊死、細胞傷害などの言葉です。病理学アトラスの本には、そういった説明はないので、まずは標準的な病理学の入門的な教科書を読むのがよいでしょう。その都度グーグル検索などしていては、いつまでたっても断片的な知識しか頭に入りません。急がばまわれで、まずは、300ページ程度の教科書を一冊通読するのが良いと思われます。
よくわかる専門基礎講座 病理学 高橋 徹 2006/03/03 ISBN 978-4-307-70206-5 B5判・366頁・図数:215枚 *写真や図は全て白黒です。
この本が、自分が初めて手にした病理学の教科書でした。図書館で除籍された本を貰ってきたものです。教科書は通読できてこそ教科書という前書きに共感しましたし、実際読んでみて、非常にストーリー性のある説明だと感じました。多くの本が、知識の列挙であることと対照的です。かなり気に入ったのですが、残念ながら図書館で除籍されたくらいですから出版は2006年と古く、その後改訂版は出ていません。病理学の歴史は古いので基本的な記述は問題ありませんが、免疫学など伸展が早い分野に関しては、記述の古さが目立ちます。そのため、人に勧めることはできません。自分は、最新の別の病理学の本と照らしあわせながら、一つ一つ説明が古くなっていないかを確認しながら読むということをやっています。その労力が惜しくないくらいに、良く書かれた本だと思います。
カラーで学べる 病理学 第6版 NOUVELLE HIROKAWA 2025年1月20日発行 402ページ
これは図書館の新着図書コーナーで見つけました。「よくわかる専門基礎講座 病理学」と併せて読むために、できるだけ出版年が新しいものをと思っていて見つけたものです。401ページなので、「よくわかる専門基礎講座 病理学」と同じ程度の分量で、読者対象も同じく初学者だと思います。タイトル通り、写真がカラーなのが嬉しい。やはり組織標本はカラーでないと、伝わりません。グラム陽性球菌は青紫に染色され、グラム陰性桿菌は赤~ピンク色に染色されると説明されても、白黒では全くインパクトがありませんが、この本はカラー写真なので非常にわかりやすいと思いました。説明も詳しくて良い本だと思います。第6版まで改訂されていたり、中国語や韓国語の訳本も出版されているというのもうなずけます。
病理学アトラスのタイプの教科書
病理組織マップ&ガイド 2014/4/22 深山 正久 (編集)
図書館で見かけましたが、良さげでした。
大著の病理学の教科書
Robbins Pathology
- Robbins & Kumar Basic Pathology (Robbins Pathology) 11th edition 2022/12/27 Vinay Kumar MBBS MD FRCPath (編集), Abul K. Abbas MBBS (編集), Jon C. Aster MD PhD (編集), Andrea T Deyrup M.D. Ph.D. (編集)
- ロビンス基礎病理学 原書11版 2025/1/17 豊國 伸哉 (監修, 翻訳), 高橋 雅英 (監修, 翻訳)
- Robbins Basic Pathology 第10版 910ページ 邦題:ロビンス基礎病理学