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代謝マップいろいろ

代謝経路は複雑に絡みあっています。エネルギーを得るための異化反応の経路の中間産物であっても、場合によっては他の化合物をつくるための材料として別の経路に分岐して利用されるということがあります。そんな複雑な代謝経路の全体像を一目で見られるように代謝マップが描かれています。

  1. https://pathways.embl.de/ipath3.cgi?map=metabolic
  2. 絶食時の代謝 

脂肪酸のβ酸化、ミトコンドリアマトリックスへ輸送するためのカルニチンシャトルなど

脂肪酸の分解は、β酸化と呼ばれます。β酸化という名前の由来は、脂肪酸の構造は、端にカルボキシ基がついた炭素鎖の形HOOC-C-C-C-C-C-C をしているわけですが、まずこれがアシルCoAのかたちC-C-C-C-C-C-C-C-C(=O)-S-CoAになり、もともとカルボキシ基がついた炭素(α炭素)の隣の炭素(β炭素)Cが酸化されてC(=O)となるからです。その際端の炭素2つ(カルボキシ基およびα炭素)は切り離されアセチルCoA(構造式H3C-C(=O)-S-CoA)になります。残された炭素鎖のほうは、CoAが結合することにより、炭素2つ分短くなったアシルCoAになります。

一回のβ酸化に必要な補酵素は、FAD,NAD+,CoAで、一回のβ酸化で産生されるものは、FADH2,NADH,炭素2つ分短くなったアシルCoAです。電子運搬体であるFADH2とNADHはもちろん、電子伝達系に入ってATPをつくることができます。つまり、脂肪酸は長い炭素鎖を持っているため、β酸化を繰り返すことにより多量のFADH2とNADHとアセチルCoAを作ることができるのです。アセチルCoAもクエン酸回路に入ることで酸化されてエネルギー代謝に寄与します。

    1. 畠山『生化学』116ページ
    2. Beta Oxidation and Fatty Acid Oxidation (EVERYTHING YOU NEED TO KNOW BIOCHEMISTRY MCAT) Science Simplified チャンネル登録者数 1.81万人
    3. Metabolism | Fatty Acid Oxidation: Part 1 Ninja Nerd チャンネル登録者数 297万人
    4. Metabolism | Fatty Acid Oxidation: Part 2 Ninja Nerd チャンネル登録者数 297万人

血管内皮細胞への遊離脂肪酸の取り込みと組織への輸送

  1. Endothelial Cell Receptors in Tissue Lipid Uptake and Metabolism February 2021Circulation Research 128(3):433-450 DOI:10.1161/CIRCRESAHA.120.318003
  2. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413120302576
  3. https://www.mdpi.com/2073-4425/13/12/2301 Upregulation of FAPB4 could also increase FA efflux to perivascular cells

遊離脂肪酸のミトコンドリアマトリックス内への輸送の方法

β酸化はミトコンドリア内で起こります。そのためには脂肪酸をミトコンドリア内に輸送しなければなりません。細胞外から細胞質側へ脂肪酸を取り込むのは、脂肪酸トランスポーターがその役を果たします。

ではミトコンドリアの外膜はどうやって通過するのでしょうか。

細胞に取り込まれた脂肪酸は、細胞質でアシルCoA合成酵素の働きにいよってCoAと結合して、アシルCoAになります。

細胞質にあるアシルCoAは、ミトコンドリア外膜にあるCPT1(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1)の働きで外膜を通過すると同時に膜間腔(ミトコンドリア外膜と内膜との間の空間)でカルニチンと結合してアシルカルニチンになります。

  1. イラストレイテッド生化学 275ページ
  2. https://themedicalbiochemistrypage.org/carnitine-palmitoyltransferase-1-cpt1-deficiency/ 分かりやすい図
  3. https://www.mdpi.com/1422-0067/24/19/14857
  4. https://www.researchgate.net/figure/L-Carnitine-functions-as-a-cofactor-for-long-chain-fatty-acids-across-the-inner_fig2_373689252
  5. https://www.wikilectures.eu/w/Entry_of_fatty_acids_into_the_mitochondrial_matrix
  6. https://www.creative-proteomics.com/resource/acylcarnitine-functions-and-analysis-methods.htm

ミトコンドリア内膜上にあるカルニチントランスロカーゼ(carnitine translocase)の働きにより、アシルカルニチンはミトコンドリアマトリックス内に入ります。ここでミトコンドリア内膜上のCPT2の働きにより再度、アシルCoAに戻されます。そして、β酸化の経路へと入ります。

  1. https://pharmaxchange.info/2013/10/activation-and-transportation-of-fatty-acids-to-the-mitochondria-via-the-carnitine-shuttle-with-animation/ この解説記事中の図が実に見やすい。
  2. Fatty Acid beta-Oxidation AOCS Lipd Library
  3. 畠山『生化学』図6-3カルニチンによる脂肪酸のミトコンドリア内への輸送
  4. https://ja.wikipedia.org/wiki/カルニチン

β酸化の4ステップ

β酸化はβ炭素が酸化されてβ炭素(3位)とα炭素(2位)との間で切れると覚えれば単純ですが、なぜそんな場所で開裂することが可能なのでしょうか。

炭素鎖を簡単のためRとしておきます。β炭素を太字Cにしておきます。

ステップ1:脱水素反応

α炭素とβ炭素から水素がとれて、間に二重結合が導入される

アシルCoA R-CH2-CH2-CH2-C(=O)-S-CoA  + FAD

(酵素:アシルCoAデヒドロゲナーゼ)

→ trans-α,β-エノイルCoA R-CH2-CH=CH-C(=O)-S-CoA  + FADH2

ステップ2:水和反応

trans-α,β-エノイルCoA R-CH2-CH=CH-C(=O)-S-CoA + H2O

(酵素:エノイルCoAヒドラーゼ)

→ β-ヒドロキシアシルCoA R-CH2-C(-OH)CH2-C(=O)-S-CoA

ステップ3:脱水素反応

β-ヒドロキシアシルCoA R-CH2-CH(-OH)-CH2-C(=O)-S-CoA + NAD+

(酵素:β-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ)

β-ケトアシルCoA R-CH2-C(=O)-CH2-C(=O)-S-CoA + NADH  + H+

ステップ4:チオーㇽ開裂(Thiolytic cleavage; thiolysis)

-ケトアシルCoA R-CH2-C(=O)-CH2-C(=O)-S-CoA

(酵素:β-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ)

→ アシルCoA R-CH2-C(=O)-S-CoA + アセチルCoA CH3-C(=O)-S-CoA

  1. IX. Mitochondrial beta-oxidation Four enzymes and reactions Fatty Acids tutorial Net BioChem library.med.utah.edu
  2. 脂肪酸のβ酸化 sc.fukuoka-u.ac.jp
  3. Trudy McKee, James R. McKee『マッキー生化学: 分子から解き明かす生命』387ページ(グーグルブックス)
  4. 畠山『生化学』図6-4 β酸化 b. β酸化の反応

この4ステップが一つのサイクルとなり、脂肪酸の炭素鎖が2つずつ短くなっていきます。偶数個の炭素からなる脂肪酸だった場合は、最後の2つはアセチルCoAなのでそれで完了。

 

プロピオニルCoAの行先

脂肪酸の炭素数が奇数個だった場合は、最後に3個の炭素が残ることになります。つまり

プロピオニルCoA CH3-CH2-C(=O)-S-CoA が最後に残ります。プロピオニルCoAは、以下の反応でスクシニルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、糖新生に使われます。

プロピオニルCoA  CH3-CH2-C(=O)-S-CoA + HCO3- + ATP

→ D-メチルマロニルCoA   -O-C(=O)-C(-CH3)-H-C(=O)-S-CoA

→ L-メチルマロニルCoA   -O-C(=O)-C(-CH3)-H-C(=O)-S-CoA

(酵素:メチルマロニルCAムターゼ、補酵素B12)

→スクシニルCoA -O-C(=O)-CH2-CH2-C(=O)-S-CoA

ムターゼというのは補酵素としてビタミンB12を使って、官能基を一つとなりの炭素に移す働きをします。

補酵素B12を必要とするこれらの酵素反応においては,ある炭素に結合した水素とその隣りにある炭素に結合した置換基(Y)の場所が入れ替わる. たとえば,メチルマロニル⊖CoA転位酵素(ムターゼ)は,ある炭素に結合したHとその隣りの炭素に結合したC(=O)SCoA基の場所が入れ替わる反応を触媒する.(718ページ 第18章 酵素触媒反応の機構・ ビタミンの有機化学 ブルース有機化学概説 オンライン提供 化学同人

  1. Paula Yurkanis Bruice『Organic Chemistry 8th edition』Chapter 23 The Organic CHemistry of the Coenzymes, COmpouds Derived from Vitamins page 1142~page 1143 23.6 VITMIN B12: THE VITAMIN NEEDED FOR CERTAIN ISOMERIZATIONS

ムターゼで移動された官能基は-COO-かと思ったら、ブルースの教科書の説明によれば、-C(=O)-S-CoAの方でした。

不飽和脂肪酸のβ酸化

飽和脂肪酸の場合は上記の説明でよいとして、不飽和脂肪酸の場合、すなわち二重結合が出てきたときにどのような反応になるのでしょうか。

  1. http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/betaoxid.htm

ケトン体の産生

  1. 飢餓時におけるエネルギー源としてのケトン体の利用

食後と食間の血糖値変化

グルコースはエネルギー源として全身の細胞にとって非常に重要です。グルコースは血流にのって運ばれ、血液中のグルコースの量は「血糖値」と呼ばれます。血糖値の測定方法は、血液全体に対する濃度か、血清か、血漿かで3種類がありえます。臨床医学的には血漿(血液凝固を起こさせない状態で遠心して沈殿物を除去した上清)における濃度を測定したもののようです。

  1. Q.520 病院で測った血糖値と血糖自己測定の結果が合いません。故障でしょうか? 糖尿病ネットワーク 医療機関では静脈血漿中の血糖値を測定 自己測定用の器械は全血(血漿と血球を分けていない状態)で測定し、それを静脈血漿値に換算

食事すると糖質がグルコースにまで消化され小腸でグルコースが吸収されて血液中に入るので血糖値が上昇します。グルコースは全身の細胞で血液中から取り込まれてエネルギー源として使用されるので、食後しばらくすると血糖値は下がります。健康な人の場合、空腹時の血糖値は70 ~ 109 mg/dL、食後の上昇時は140 mg/dL未満とされています。

  1. 図1■2型糖尿病患者(n=19)および耐糖能正常者(n=21)が,野菜から摂取した日と炭水化物から摂取した日のそれぞれの平均血糖値 食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える夕食は2回に分けて食べると糖尿病やメタボリックシンドロームの発症予防が期待できる 2018-06-20 Kagaku to Seibutsu 56(7): 483-489 (2018)
  2. 血糖値と糖尿病 なかしま内科クリニック 長崎県長崎市

食事の後、血糖値が上昇し始めるとインスリンというホルモンが膵臓の膵島のβ細胞から速やかに分泌されて、血液中のグルコースを細胞に取り込ませて血糖値を下げる働きをします。こうして血糖値が上がりすぎないように調節されます。

  1. ンスリンの反応(図) 糖尿病について 池田医院 大阪府藤井寺市

逆に食間に血糖値が下がると、グルカゴンというホルモンが膵臓の膵島のα細胞から分泌されて、グリコーゲンを分解してグルコースを供給するように働きかけます。

  1. Figure 1. Anatomical organization of the pancreas Published: 11 March 2016 Pancreatic regulation of glucose homeostasis Experimental & Molecular Medicine volume 48, pagee219 (2016)  膵臓、膵島、α細胞、β細胞がわかりやすく図示されている。

また、食欲の調節は、空腹時は胃からグレリンが、食後には脂肪細胞からレプチンが分泌されて、これらのホルモンが脳に働きかけることで行われています。

  1. 食欲ホルモン「グレリン」の謎を解明 なぜ食事リズムが乱れると運動不足に? 立体構造も解明 2020年09月01日  糖尿病ネットワーク 空腹になるとから血液中に「グレリン」が分泌され、血液を流れた「グレリン」が脳の摂食調節部位に作用することで、食欲が刺激され、空腹感が生まれる。「お腹が空いた」という感覚は、血液中に分泌された「グレリン」が脳を刺激することによって生まれる。
  2. 食欲をコントロールするホルモン”レプチン”とは health.docomo.ne.jp レプチンは、脂肪組織でつくられるホルモンで、脳の視床下部に満腹を知らせるサインを送って食べ過ぎを防ぎます。

グルコース-アラニン回路と乳酸回路(コリ回路)との違い

グルコース-アラニン回路とコリ回路(乳酸回路)との違いを考える前に、もっと大きく物事を捉えることにします。そのほうが理解しやすいですし、忘れにくいと思うので。

そもそも人間はどうやってエネルギー(エネルギー通貨であるATP)を得ているのかというと、グルコースの分解(解糖系)とそれに続く(酸素が利用できる場合)クエン酸回路を利用することによってでした。エネルギー供給源としてグルコースが必要なのです。ただし、クエン酸回路に入る分子はアセチルCoAなので、脂肪酸分解など他の経路からアセチルCoAが作れる場合は、グルコースがなくてもエネルギーが取り出せます。また脳では、脂肪酸が脳血管関門を通れないためにグルコース以外としてはケトン体が利用されることもあります。

そのような事情から、グルコースは主要なエネルギー源だと言えます。食事して炭水化物(糖質)を栄養源にできるときは、小腸まででグルコースにまで分解されて、グルコースが小腸で吸収され血流に入って全身の組織に供給されるので、異化反応(分解反応)によってグルコースを代謝してエネルギーを取り出すことができます。

問題は食事してしばらくたったあと、あるいは、激しい運動をしてグルコースが枯渇してきた場合です。エネルギー源の貯蔵形態であるグリコーゲンや脂肪酸も枯渇してくると、なんとかしてグルコースを作らなければなりません。そのような状況で働くのが「糖新生」の代謝経路で、肝臓で主として起こります。「糖新生は肝臓で起こる」というのが一つ大事なポイント。なぜかというと、グルコース-6リン酸からグルコースになるステップ(糖新生の最終ステップであり、解糖系の最初のステップでもある)に必要な酵素グルコース-6-ホスファターゼが筋肉には存在せず、肝臓にあるためです。解糖系でグルコースがグルコース6リン酸になるときに働く酵素は別あって、ヘキソキナーゼという酵素でした。一般的に化学反応は可逆反応だといわれますが、なぜヘキソキナーゼが逆反応を触媒できないのかというと、それはこの反応の自由エネルギー変化の大きさのせいです。自由エネルギー変化が0に近い場合は、可逆反応になります。自由エネルギー変化が非常に大きい(グルコースとATPがグルコース6リン酸とADPになる場合のΔG=-33.4 kJ/mol)ので、逆変化のΔG=+33.4 kJ/molとなり逆反応が起きなくなります。

  1. Chandel『代謝ナビゲーション』26~27ページ
  2. https://www.cliffsnotes.com/study-guides/biology/biochemistry-i/introduction-to-biological-energy-flow/free-energy-calculations
  3. Glucose-6-Phosphatase Information
  4. Why is the reaction glucose to glucose 6-phosphate mediated by hexokinase not reversible in glyconeogenesis? (https://chat.openai.com/chat) The reaction of glucose to glucose-6-phosphate, which is catalyzed by hexokinase, is an irreversible step in glycolysis. This reaction is also not reversible in gluconeogenesis. One of the main reasons for this irreversibility is the large negative free energy change that occurs during the hexokinase-catalyzed reaction. The hydrolysis of ATP that occurs during this reaction releases a large amount of free energy, making the reaction highly exergonic. This energy is then used to drive the formation of glucose-6-phosphate. In addition, glucose-6-phosphate is trapped within the cell since it cannot diffuse across the plasma membrane due to its negative charge. In gluconeogenesis, glucose-6-phosphate is produced from fructose-6-phosphate through a different enzyme called glucose-6-phosphatase. This enzyme catalyzes the hydrolysis of glucose-6-phosphate to glucose and inorganic phosphate, which allows glucose to be released from the cell and transported to other tissues.

    Overall, the irreversible nature of the hexokinase-catalyzed reaction is an important feature of glucose metabolism, as it ensures that glucose is rapidly and efficiently converted to glucose-6-phosphate for energy production, and that glucose-6-phosphate is effectively trapped within the cell for further metabolism.

すると、糖新生を肝臓で行うための、出発材料は何で、どこで手にはいるのかということが問題になります。筋肉では酸素が利用できない条件下では解糖系でピルビン酸からさらに乳酸にまでなります。この乳酸が血液を通って肝臓に運ばれて、肝臓における糖新生の出発材料になります。肝臓でできたグルコースは再び血中を通って筋肉に戻されてエネルギー源として使われます。これで、回路が完成しますので、乳酸回路(コリ回路)と呼ぶのです。

筋肉では解糖系でできたピルビン酸が乳酸にならずにアミノ基が付加されてアラニンになる経路もあります。

ピルビン酸 CH3-C(=O)-COOH  + グルタミン酸H2N-CH(-COOH)-CH2-CH2-COOH

アラニンCH3-C(-NH2)-COOH +αケトグルタル酸 C(=O)(-COOH)-CH2-CH2-COOH

このアラニンが血液中を通って肝臓に運ばれて、糖新生の出発材料になります。

コリ回路:(筋肉)グルコース→ピルビン酸→乳酸(血中、肝臓)→グルコース(血中、筋肉)

グルコースアラニン回路:(筋肉)グルコース→ピルビン酸→アラニン(血中、肝臓)→グルコース(血中、筋肉)

こうして書き比べると、肝臓での糖新生の出発材料が筋肉で得られる乳酸かアラニンかという違いしかないことがわかります。

  1. マークス臨床生化学400ページ

ちなみに筋肉中のグルタミン酸は、αケトグルタル酸にアミノ基転移が起きることで生じます。じゃあ、そのアミノ基はどこからくるかというと、筋肉でタンパク質がアミノ酸にまで分解され、そのアミノ酸がαケト酸になるときに生じるアミノ基です。

アミノ酸H2N-CH(-COOH)-側鎖  +αケトグルタル酸 C(=O)(-COOH)-CH2-CH2-COOH

αケト酸 C(=O)(-COOH)-側鎖 + グルタミン酸H2N-CH(-COOH)-CH2-CH2-COOH

ちなみに肝臓でアラニンがつかわれるとき、炭素骨格は糖新生に使われますが、窒素の部分は尿素になり最終的に尿として排出されます。

  1. マークス臨床生化学541ページ、598ページ

グルコース-アラニン回路とコリ回路(乳酸回路)との使い分け

人工知能ChatGPT(https://chat.openai.com/chat)に聞いてみます。

質問:When alanine is preferred and when lactate is prefferred in gluconeogenesis as a starting materials?

回答:

In gluconeogenesis, both alanine and lactate can be used as starting materials for glucose synthesis, but their utilization is dependent on the specific metabolic conditions. Alanine is typically preferred as a starting material in gluconeogenesis when there is a high demand for glucose and when amino acids are being mobilized from muscle tissue. During intense exercise or prolonged fasting, skeletal muscle breaks down protein to release amino acids, including alanine. Alanine is then transported to the liver where it is converted to pyruvate and used in gluconeogenesis to produce glucose. The conversion of alanine to pyruvate also generates ammonium ions, which can be incorporated into the urea cycle and excreted in urine. Thus, alanine is an important source of both glucose and nitrogen during times of high energy demand. Lactate, on the other hand, is preferred as a starting material in gluconeogenesis when there is a high demand for glucose and a shortage of oxygen. During intense exercise, the demand for ATP exceeds the supply of oxygen, leading to the production of lactate via anaerobic metabolism. Lactate is then transported to the liver, where it is converted to pyruvate and used in gluconeogenesis to produce glucose. This process is important for maintaining blood glucose levels during periods of intense exercise or hypoxia.

Overall, the utilization of alanine or lactate in gluconeogenesis is dependent on the metabolic state of the organism and the specific demands for glucose production.

酸素の供給が足りない条件では、筋肉で乳酸ができるため、乳酸回路が働くという答えでした。

 

人工知能ChatGPTに聞いてみた

今や人工知能ChatGPTは、米医師資格試験に合格できるくらいの実力なのだそうです。

  1. ChatGPTが米医師資格試験で合格ライン 医学学習支援に活用できる可能性も 2023年02月17日 17:40 MedicalTribune

そこで、ChatGPT(https://chat.openai.com/chat)にグルコース-アラニン回路とコリ回路(乳酸回路)との違いについて聞いてみました。

質問:What is the difference between glucose-alanine cycle and glucose-lactate cycle?

回答:

The glucose-alanine cycle and the glucose-lactate cycle are two different metabolic pathways that occur in the body during periods of intense exercise or prolonged fasting.

The glucose-alanine cycle, also known as the Cori cycle, is a metabolic pathway that occurs in the liver and skeletal muscles. During periods of intense exercise, skeletal muscles break down glycogen to produce glucose. The glucose is then transported to the liver, where it is converted to pyruvate and then to alanine, which is released into the bloodstream. The alanine is transported back to the skeletal muscles, where it is converted back to pyruvate and used to regenerate glucose through gluconeogenesis. The glucose is then transported back to the liver, completing the cycle. ん?よくわからないせつめい。

In contrast, the glucose-lactate cycle, also known as the Lactic acid cycle, is a metabolic pathway that occurs in the skeletal muscles. During periods of intense exercise, the skeletal muscles break down glycogen to produce glucose, which is then converted to pyruvate through glycolysis. Under conditions of low oxygen, pyruvate is converted to lactate instead of being further metabolized to produce energy. The lactate is then transported to the liver, where it can be converted back to glucose through gluconeogenesis.

The key difference between the two cycles is the end product that is transported from the muscles to the liver. In the glucose-alanine cycle, alanine is transported, whereas in the glucose-lactate cycle, lactate is transported. Additionally, the glucose-lactate cycle occurs entirely within the skeletal muscles and liver, while the glucose-alanine cycle occurs between the liver and skeletal muscles. これもよくわからない説明

 

筋肉に存在した物質を利用して、肝臓で糖新生を行うことで筋肉へのグルコースを供給する回路として、グルコース-アラニン回路と似たものとしてコリ回路というものがありました。コリ回路は別名、乳酸回路とも呼ばれることからわかるように、無酸素運動により筋肉中でできた乳酸を肝臓に送ってグルコースに変えて、また筋肉に戻して利用するものです。ハーバーの生化学の教科書にはこれら2つの回路を一つの図としてまとめたものが掲載されていてわかりやすかったのですが、2つ同時に、2つの違いに注意しながら勉強するのがお勧めです。

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インスリンの作用、インスリン依存性および非依存性取り込み、GLUT

インスリンの作用

ご飯を食べると唾液内のアミラーゼや膵臓から分泌されたアミラーゼの腸管における作用によって炭水化物がグルコースにまで分解されて、腸管の上皮細胞からグルコースが吸収され血流に入ります。血液中のグルコースの濃度、すなわち血糖値が上昇すると、膵臓のランゲルハンス島(膵島とも呼ばれる)にあるβ細胞がそれを検知してホルモンの一種であるインスリンを分泌し、インスリンは血流にのって全身の細胞にグルコースを取り込むように指令を出します。そうすることで血糖値が下がり、血糖値が一定の範囲内に調節されるわけです。

血流から組織内へのインスリンの移動

インスリンが全身の細胞に働きかけるためには、血管の中から組織のほうに出ていく必要があります。血管の一番内側は血管内皮細胞があるわけですが、どのようにして血管を出ていくのでしょうか。

そのメカニズムはというと、血管内皮細胞の表面にはインスリン受容体があり、血流の中のインスリンはこのインスリン受容体に結合することによって、血管内皮細胞の中にいったん取り込まれ、反対側に移動して血管の外に出ていくか(transcytosis)、もしくは、血管内皮細胞と血管内皮細胞との間をすり抜けて移動していく(paracellular diffusion)という2つのメカニズムが想定されています。

  1. Endothelial Transcytosis of Insulin: Does It Contribute to Insulin Resistance? Warren L. Lee and Amira Klip 10 AUG 2016 https://doi.org/10.1152/physiol.00010.2016  insulin must exit capillaries, which (in tissues like skeletal muscle and fat) are lined by a layer of continuous endothelium. Insulin must therefore pass between endothelial cells (paracellular diffusion, green arrow) or be transported across individual cells by transcytosis (red arrow) to access the interstitium.

血流から組織内へのグルコースの移動

細胞の代謝活動は,血管を循環する血液により供給される糖や酸素などにより支えられている.体の大部分においては,これらの物質は血管壁を容易に通過して組織へと浸透していく.しかしながら,脳など一部の器においては血液と組織細胞の間に関門が形成され,このような自由な物質の移動が妨げられている。この「血液一組織関門」(blood-tissuebarriers)の存在により得られる特殊な環境は,光にする透明度が要求される眼球をはじめとして,その器特有の機能の発揮に大きく寄与している.それでは,関門で取りまれた細胞へはどのようにして栄養が届くのであろうか.ここでは,最近明らかになった糖輸送体GLUT1ギャップ結合蛋白質コネキシンの関与する糖の関門通過機構について,関門の構造とも関連づけながら述べる. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/33/2/33_2_99/_pdf

インスリン依存性グルコース輸送体GLUT4

全ての細胞は解糖系を持っていてグルコースを代謝してエネルギーを取り出しています。細胞がグルコースを細胞外から取り込むときにグルコーストランスポーター(輸送体)Glucose Transporter (GLUT)が働きますがGLUTには1サブタイプがあります。

  1. GLUT4(糖輸送体タイプ4) 実験医学 糖輸送には13種類に及ぶ糖輸送タンパク質が組織特異的に発現し,異なった機能特性・制御メカニズムによって細胞内糖輸送を担っている。GLUT4は骨格筋,心筋,脂肪細胞に豊富に発現
  2. Metabolism | Glycolysis Ninja Nerd チャンネル登録者数 293万人
  3. 2型糖尿病に関わるグルコース輸送体「GLUT4」上の糖鎖の機能を解明 -たった1つのN型糖鎖がインスリンに応答した血糖値調節を左右する- 2011年7月19日 独立行政法人 理化学研究所  研究チームは、N型糖鎖の付加されないGLUT4は、付加された場合に比べて分解が速いことを明らかにし、N型糖鎖がGLUT4の品質管理に重要な役割を果たしていることを見いだしました。さらに、GLUT4がGLUT4小胞に蓄積してインスリンに応答するには、N型糖鎖の正しい構造が必要であることも発見しました。

GLUT2

GLUT2は他のサブタイプに比べると比較的グルコースに対して低親和性を示し、グルコースが高濃度になったときに膵臓のβ細胞に取り込まれて、糖代謝によりATPが産生されてATP依存的カルシウムチャネルが開いて細胞外から細胞内へとカルシウムイオンが流入し、カルシウム依存的な膜小胞の開口が生じるのでインスリンが分泌されます。

  1. 生化学 畠山 医学書院 第4章 投資す代謝 血糖調節とインスリン 図4-4
  2. 糖尿病の発症メカニズム ② インスリン分泌のメカニズム 食事により栄養素が体内に吸収されると、小腸からインクレチンが分泌され、栄養素が吸収されたことをすい臓に伝えます。その状態で、グルコースがすい臓に入ってくると、グルコースの濃度に応じてすい臓からインスリンが分泌されます。

GLUT2肝臓細胞でブドウ糖の出入り制御を助けている。また、膵臓すいぞうのβ細胞における血中ブドウ糖濃度の監視にも使われていて、濃度が上がったことを検知するとインスリン(insulin)が放出される。

https://numon.pdbj.org/mom/208?l=ja

GLUT4 is an insulin-dependent GLUT () whereas GLUT2 is, in contrast, an insulin-independent transporter ().

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7522350/

インスリン依存性、インスリン非依存性のグルコース取り込み

In the human body, glucose uptake is accomplished via two mechanisms, insulin mediated glucose uptake (IMGU), which occurs only in insulin-sensitive tissues (i.e. liver, muscle and adipocytes) and non-insulin mediated glucose uptake (NIMGU), which occurs in both insulin-sensitive and non-insulin-sensitive tissues (i.e., brain, blood cells, nerve, etc.).

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2894300/

GLUT1 is insulin-independent and is widely distributed in different tissues. GLUT4 is insulin-dependent and is responsible for the majority of glucose transport into muscle and adipose cells in anabolic conditions.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9801136/

  1. https://www.sciencedirect.com/topics/agricultural-and-biological-sciences/glucose-transporter

GLUTs 1, 3, and 4 are transporters that have high affinity for glucose ranging in Km of 2–5 mM glucose. Consequently, the functions of these transporters align with the physiological concentration of glucose of about 5 mM. On the other hand, GLUT2 has a low affinity for glucose with its Km of about 15–20 mM glucose. GLUT2, therefore, is able to move glucose into the liver cell and the pancreatic beta cell in proportion to the plasma level of glucose.

https://www.sciencedirect.com/topics/biochemistry-genetics-and-molecular-biology/glut4

肝臓のGLUTs

An auxiliary function of some GLUTs in the liver seems to be the transport of dehydroascorbic acid (DHA), the oxidized form of ascorbic acid (AA, vitamin C) as described for the GLUT isoforms GLUT1, GLUT3, and GLUT4 [188]. The last-mentioned glucose transporter GLUT4 is known as major isoform in muscular and adipose tissues and only shows minor expression levels in the liver as well [228].

https://link.springer.com/article/10.1007/s00424-020-02417-x

GLUT-2 (SLC2A2)  also transports other dietary sugars such as galactose, mannose and fructose with a high affinity for glucosamine[11,24,25]. GLUT-2 is highly expressed in the liver, pancreatic beta cells, and on the basolateral surface of kidney and small intestine epithelia[26,27] with expression regulated by sugars and hormones[23,28].

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3520166/

過敏性腸症候群の科研費研究

過敏性腸症候群に関するウェブ記事

  1. 過敏性腸症候群(IBS)の改善に低FODMAP食の進め方 セレキノンS 田辺製薬

 

過敏性腸症候群に関する和文総説論文

  1. 過敏性腸症候群の病因 福土 審 日消誌 2014;111:1323―1333 IBS の食事療法として現在最も注目されている のが低 FODMAP ダイエットである .これ は,fermentable(発 酵 性oligosaccharides(オリゴ糖),disaccharides(二糖類),monosaccharides(単糖類)and polyols(ポリオール)など の糖類を控える食事療法である .これらの糖類 は小腸内で消化・吸収されにくく大腸に流入し,大腸内で発酵が促進され,ガス産生をおこす. 更に,糖類は高浸透圧により腸管内腔に水分を引 きつける.そこで,低 FODMAP ダイエットで は,フルクタン,ガラクタン,ポリオール,果糖, 乳糖などの糖類を含む食品を具体的に挙げ,それ らの摂取を制限する.

 

過敏性腸症候群は原因が不明の病気で、現在活発に病態や病因に関する研究が進められています。科研費研究でどのようなものがあるのか調べてみました。

過敏性腸症候群に関する科研費研究

  1. 過敏性腸症候群に対する心理治療者養成のためのオンライン教育プログラムの開発 2022-08-31 – 2024-03-31 【概要】本研究では過敏性腸症候群に対する認知行動療法を担う治療者に向けた、オンラインツールを活用したCBT治療者養成のための教育プログラムを開発し、その有効性と実現可能性を評価する。具体的には、①オンデマンド動画視聴後、質問票を用いて必要な知識を評価し、②必要知識の8割以上を満たした参加者が、実際の過敏性腸症候群の患者に対しオンラインで認知行動療法を実施し、患者の疾患重症度や生活の質の改善度で本教育プログラムの有効性と実施可能性を評価する。
  2. 網羅的遺伝子発現解析を用いた過敏性腸症候群(IBS)の病態解明 2022-04-01 – 2024-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)は人口の約15%の人が罹患しており、ストレス負荷により急激な下痢の発症をきたすが、この下痢の発症の機序については不明な点が多い。我々はIBSモデルラットにて、免疫組織学的に大腸の筋層だけでなく回腸の粘膜下層が活性化されていることを発見し、IBSの下痢の発症において腸管運動の亢進だけでなく、腸管分泌が関与している可能性を発見した。また我々の研究では回腸粘膜下層に存在するVIPが関与している可能性も発見した。本研究では、IBSモデルラットを用いて腸管の網羅的遺伝子発現解析を行い、ストレス下における下痢発症の分子機序に迫ると共に新たな治療法の開発へとつながることを目的とした。
  3. 小児思春期の過敏性腸症候群における低FODMAP食とグルテン不耐症に関する研究 2022-04-01 – 2026-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)は、排便と関連した反復性腹痛を特徴とする機能性消化管疾患である。我々は小児・思春期のIBS患者において、低FODMAP食(オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール)が、IBS症状を改善させ、時に小麦の除去で腹痛や下痢が劇的に改善することを確認した。小麦除去が有効な機序として、フルクタン不耐症、小麦アレルギー、グルテン不耐症が考えられる。いずれもグルテンフリー食が有効であるが、制限食による成長期の子どもへの精神的負担と栄養素欠乏のリスクがあり、慎重な対応が必要である。FODMAP食とグルテン不耐症の病態への関与及び脳腸相関について解明し、小児IBS患者のQOLを改善させたい。
  4. ニューラルフィードバックによる脳腸相関異常を制御する装置開発とその練習効果の検証 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】過敏性腸症候群: IBSは腹痛と便通異常を伴って日常生活に障害をもたらす.IBS有症状者は,健常者と比べて腹部不快感や便通の変動に警戒心が高く,身体感覚に過度な注意を向けて(BV)消化管症状が増悪しやすい.IBSには腹部症状と伴にそれらに向けられた注意から,脳波の研究において脳領域間の相互の活動に異常が報告されてきた.本研究はこれまでに調査されたIBSの安静時脳波の特徴から,異常な脳活動を患者自身で制御できるようにする練習方法(decorded neural feedback training:IBS-DecNef)を開発し,IBS有症状者が症状を自己制御する方略を提案する.
  5. 腹部手術後イレウスと術後せん妄に対する新規治療法の探究 2022-04-01 – 2026-03-31 【概要】腹部術後イレウスと術後のせん妄は重大な術後合併症であり,患者の生命予後やQOLに大きなインパクトを与えるが,それらに対する治療法の選択肢は乏しい.過敏性腸症候群はcorticotropin-releasing factor,Toll-like receptor 4,炎症性サイトカイン経路の活性化により,腸管バリアの傷害が引き起こされ,発症する機序が考えられている.本研究は,腹部術後イレウスと術後のせん妄も同様の機序により,腸管機能異常,脳血管関門の傷害が引き起こされるという可能性に着目して,それを検証することにより,これら術後合併症の病態解明と新規治療法の開発を目指すものである.
  6. 感染後過敏性腸症候群におけるToll様受容体9-ブラジキニン経路の解明と治療応用 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】Toll-like receptor 9シグナルとブラジキニンB2受容体経路に着目した過敏性腸症候群の発症メカニズムを腸管知覚の評価や生物学的手法によって検討し、複雑な病態の解明を試みるとともに、新規治療法の開発を視野に入れ検証していく。
  7. 機能性消化管障害における粘膜バリアと小腸刷子細胞の機能解析と治療応用 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】本研究は,機能性消化管疾患における症状発現と消化管粘膜バリア機能の低下および腸内細菌叢の変容に対する刷子細胞(タフト細胞)の関与およびその病態解明と治療応用を考案することを目的とする.機能が明らかでないタフト細胞に着目し,機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群を含む機能性消化管疾患におけるその発現と消化管粘膜バリア機能との関連を解析する.さらに粘膜バリア機能に重要であるタイト結合蛋白分子の発現局在と制御および影響を及ぼす因子は全く明らかでない.この発現制御に関わりうるタフト細胞および粘膜上皮由来サイトカインやグループ2自然リンパ球が産生するサイトカインに着目し,バリア機能への影響を解析する.
  8. 過敏性腸症候群の腸管透過性の亢進を制御する腸内細菌および宿主の病態解析 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)は腹痛を伴う下痢や便秘が慢性的に持続する疾患で、罹患率が高くQOLが著しく低いがそのメカニズムは不明である。腸管の内視鏡や通常の画像検査では異常を認めないものの、腸管粘膜のバリア機能が低下顕微鏡レベルでの粘膜内の微小な炎症、さらに腸内細菌の異常が報告されている。腸内細菌培養モデルを中心とした細胞と細菌培養実験を軸に腸内細菌と腸管の細胞の相互作用を解析し、腸内細菌叢の異常により、腸管上皮の透過性を亢進(バリア機能を低下)させIBSを発症させるメカニズムを解析する。またIBS動物モデルも併用し、腸内細菌の異常、宿主の異常の双方の解析からIBSの分子学的な機序の解明を行う。
  9. 過敏性腸症候群の認知行動療法を社会実装する 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】本研究では,我が国で初めてIBSに対するCBT-IEのランダム化比較試験を実施して有効性を検証する。本研究においてビデオ教材を併用したCBT-IEの有効性が示唆されれば,日本全国のIBS患者と治療者に,過度の負担を強いることなく,心理社会的治療法として均質なCBTプログラムを広く普及することが可能となる。
  10. 過敏性腸症候群の内臓痛覚過敏制御を志向したTRPV2の機能解明 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】内臓感覚は、臓器に分布する知覚神経が末梢で刺激を受けて生じる感覚である。過敏性腸症候群(IBS)の主症状である内臓痛覚過敏は、内臓感覚の異常により引き起こされ、社会生活に大きな支障を与えることが問題となっている。IBSは難治性であり、患者数が増加の一途をたどっていることから、新しい標的の探索は国際的に重要な課題である。TRPチャネルは、知覚神経に多く発現し、腸の環境変化を感知するセンサーとして機能している。申請者は、知覚神経と腸管マクロファージに高発現するTRPV2に着目した。本研究では、内臓痛覚過敏における細胞特異的なTRPV2の役割を明らかにし、治療標的としての可能性を検討する。
  11. 機能性消化管疾患モデルのTRPチャネル起因消化管知覚過敏における神経免疫の関与 2022-04-01 – 2025-03-31 【概要】申請者は「炎症性腸疾患モデル動物の結腸粘膜における知覚過敏性には、熱感を感受するTRPV1チャネル発現神経線維の数の増大が関与している」ことを明らかにした。当該研究では、機能性消化管疾患である過敏性腸症候群および非びらん性胃食道逆流症のモデル動物を作製し、その消化管組織において、TRPV1チャネルおよびTRPM8チャネル発現神経の数が増加しているか、その増加に関連して知覚過敏反応が亢進しているかどうかを明らかにしていく。さらに、その知覚過敏にマスト細胞や好酸球の関与を検討する。この研究成果によって、微細炎症を抑える薬物は機能性消化管疾患の知覚過敏を改善するという新たな治療法を提案できる。
  12. 腸内細菌代謝物プロピオン酸による過敏性腸症候群増悪メカニズムの解明 2022-04-22 – 2024-03-31 【概要】本研究は、腸内細菌が産生する代謝物の一種であるプロピオン酸に着目し、腸内細菌代謝産物とIBS病態の関連を明らかにするものである。これまで申請者は、拘束ストレス性IBSモデルマウスにプロピオン酸を混餌投与すると下痢症状が悪化することを見出してきた。さらに、受容体欠損マウスを用いた検証により下痢症状悪化に関与するプロピオン酸受容体を特定した。今後は、プロピオン酸が作用する標的細胞の特定と下痢症状を誘導するメカニズムの解明を行うことにより、腸管内のプロピオン酸のストレス性下痢症状および腸管の神経系への生理作用を明らかにしていく。
  13. 電気生理学的手法を用いた内因性疼痛抑制能の測定法の確立 2021-04-01 – 2025-03-31 【概要】皮膚侵害受容器を選択的に刺激する表皮内電気刺激法と、瞬目反射を用いることにより、客観的CPM測定法の確立を目指す。表皮内電気刺激法はコントロールが容易な侵害刺激法であり、現在のところレーザーを除いて唯一の選択的痛覚刺激法である。申請者はこの手法の開発者である乾博士(愛知県医療療育総合センター 発達障害研究所 障害システム研究部門)と現在共同研究をすすめており、本申請については、すでにパイロット実験を行っている。瞬目反射は当然意識外の事象であり、客観的なものである。これにより、簡便かつ客観性に富んだ、実臨床に応用できるCPM測定ができると期待される。
  14. 胆汁酸性下痢症における新規診断法および革新的治療法の開発 2021-04-01 – 2026-03-31 【概要】胆汁酸性下痢症は、下痢型過敏性腸症候群や機能性下痢症の患者に多数含まれていると考えられているが、診断法や治療法が確立されていないことから消化器病専門家の間でも疾患概念の認知度は低い疾患である。本研究では、C4(7α-hydroxy-4-cholesten-3-one)、FGF19(Fibroblast growth factor 19)を測定することにより、これまで診断が困難であった本疾患を採血で簡便に診断する方法を確立させ、さらに本疾患患者に陰イオン交換樹脂、プラセボを用いたRCTを実施し、本疾患の治療法を確立させることを目的としている。
  15. 医学的背景のある不登校児のオーダーメイド加療プログラムの構築 2021-04-01 – 2025-03-31 【概要】本研究の最終目標は、不登校のオーダーメイド介入プログラムを構築することである。そのために以下の3つの方法により研究を計画する。Ⅰ.ランダム化試験:対象者を元気☆生活プログラム(不登校と睡眠障害の小中学生を対象とした短期入院プログラム)の単独群(単独群)と高照度光療法を併用する群(併用群)の2群にランダムに割り付け効果を検証する。Ⅱ.解析と評価:発達障害やゲーム障害、環境因子などの要因を説明変数として定量化し、不登校に対する影響を解析・評価する。Ⅲ.開発と検証:Ⅱの結果から、不登校児の介入方法をオーダーメイドに作成するアルゴリズム(オーダーメイド介入プログラム)を開発し、その効果を検証する。
  16. 過敏性腸症候群からみる心身相関-ストレスとバランス機能、腸内細菌叢の関係を探る- 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】本研究の概要は、過敏性腸症候群という腹痛や腹部不快感と共に便通異常をきたす疾患と運動の関連について調査するものである。過敏性腸症候群の原因は未だ不明だが、ストレス腸内環境も影響するといわれている。治療には薬物療法食事療法心理療法の他、運動療法も推奨されているが,実施や継続が困難な場合も多くみられる。本研究では,過敏性腸症候群の症状を持つ方の心理傾向やストレス反応,腸内細菌叢の検査と共に,運動経験やバランス機能を測定し,過敏性腸症候群の重症度や生活活動量への影響を検証する。過敏性腸症候群の症状を持つ方やストレスを感じやすい方について、運動の影響を解明する研究である。
  17. 食道知覚過敏が中枢性感作を介してブラキシズムと顎関節症関連疼痛に与える影響の解明 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】我々のこれまでの研究や他グループのメタ解析等により、最近、内臓の知覚異常が胃食道逆流症(GERD)や過敏性腸症候群に関与しており、これらが睡眠時ブラキシズム(SB)や顎関節症(TMD)の有力な危険因子であることが分かってきた。しかし、これらがどのように関わっているのかについては、不明な点が多い。そこで、申請者らは神経系の異常に着目して、『食道知覚過敏が、胃酸逆流による食道への頻回な刺激を介して、咀嚼筋の過活動や中枢性感作による三叉神経の疼痛閾値の低下を惹起して、SBとTMDを引き起こす。』という仮説を立て、検証することを目的とした。
  18. 慢性炎症疾患の口腔マイクロバイオーム解析 2021-04-01 – 2022-03-31 【概要】ヒトの口腔には数百種類・数千億個の細菌が常在し、腸に次いで多様な細菌コミュニティーを形成している。従来の研究は、歯科臨床上重要な齲蝕菌や歯周病菌が主流であった。近年の解析技術の進歩により、齲蝕菌や歯周病菌だけでなく、病原性のない共生細菌の異常な増減が、口腔の枠を越えて全身疾患の発症に関係することが分かってきた。しかし、腸内細菌に比べて口腔細菌と疾患の研究は遥かに少なく、口腔細菌との関連がほぼ不明な疾患が多数残されている。本研究では、慢性炎症疾患のうち乾癬・多発性硬化症・過敏性腸症候群・アトピー性皮膚炎に焦点を絞って患者の口腔細菌の全体像を解析し、診断・予後予測への応用を目指す。
  19. 脳血流量の変化を指標とした慢性疼痛患者の脳機能評価 2021-04-01 – 2026-03-31 【概要】ぼんやり見ていると気がつかないが、集中すると細かな模様も細部まで見え、普段には感じていない心臓の拍動が、意識すると心拍も感じられる。慢性痛患者では、同様にわずかな体の変化を、腰など、様々な部位に、不快な感覚・情動体験(=疼痛)として感じているのではないかと考えた。そして、その背景には、感覚情報処理障害のような中枢神経機能変容機序が関与していると仮定した。本研究では、脳血流量の変化を指標とした慢性疼痛患者の脳機能評価を行うことを目的とし、器質的原因が同定できない慢性一次性疼痛における脳内感覚受容・認知の変容基盤の解明から、臨床現場で診断補助に活用できる検査方法の確立につながることを期待する。
  20. 腸内細菌叢の攪乱と消化管微小炎症における Reg ファミリー蛋白の役割 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】我々は Reg 蛋白が消化管粘膜の再生・修復を促進することを明らかにしたが、近年、抗菌ペプチドとして粘膜防御に役割を果たす可能性も示唆されている。本研究では、機能性消化管障害と寛解期の炎症性腸疾患に生じる過敏性腸症候群様症状の病態解明を念頭におき、種々の動物モデル (Reg 遺伝子改変マウス、抗菌薬および高脂肪食負荷による dysbiosis モデル、母子分離ストレスモデル) を用いて腸内細菌、粘膜バリア機能および免疫応答における Reg family 蛋白の機能解析を行い、腸内細菌叢の攪乱と消化管微小炎症における Reg family 蛋白の役割を明らかにすることを目的として研究を遂行する。
  21. 過敏性腸症候群の粘膜細菌叢および糞便中有機酸解析と治療開発 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】IBSの病態に腸内細菌により産生される酪酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸や胆汁酸に加え、これらの受容体を有するL細胞から産生される消化管ホルモンGLP-1が、腸管の運動異常や知覚過敏に関与していることが報告されている。しかし糞便中の短鎖脂肪酸やGLP-1のIBS治療への臨床応用に関する研究はない。MAMおよびその代謝産物やGLP-1に着目し、IBS-CとIBS-Dの共通点と相違点について検討することにより、腹痛・便秘・下痢の各症候の病態を解明し、IBSの新規治療に臨床応用できると考えた。さらに、動物実験によりヒト糞便中の有機酸の効果を確認し、新規治療の臨床応用へと展開させる。
  22. 中枢神経系による腸管バリア制御機序の解明とLeaky gut治療への応用 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】腸管バリアの破綻(Leaky gut)は腸管疾患だけでなく腸管外疾患にも関連し、Leaky gut syndrome(LGS)として注目されている。近年、本研究室は世界で初めて中枢神経系が腸管バリア制御に関与することを報告した。更にこの研究を発展させ、我々は脳内Ghrelinが迷走神経を介してLeaky gutを改善させることを報告した。この神経を介する迅速な腸管バリア調節は、急激なストレスで症状が増悪する過敏性腸症候群などのLGSの病態を考える上で意義深い。そこで本研究は、脳内Ghrelinによる中枢神経系の腸管バリア調節機序を解明し、それを新規LGS治療開発につなげることを目的とする。
  23. 過敏性腸症候群の身体・精神症状とグルテン感受性の関連及び新規治療手段の検討 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】過敏性腸症候群は、下痢や便秘や腹痛などの消化器症状を呈するだけでなく、不安や抑うつなどの多くの精神症状を伴いQOLが低下する。その原因は未だ解明されていないが、複数ある要因の一つとしてグルテンの関与が指摘されている。本研究では、グルテン感受性が原因である過敏性腸症候群患者を適切に判別し、より有効な治療を行うことを目的とし、抗グリアジン抗体等をマーカーとして、グルテン感受性を有する過敏性腸症候群患者の臨床的背景および身体・精神症状を明らかにし、さらに、 抗グリアジン抗体陽性過敏性腸症候群患者にグルテンフリー食を提供し、その治療有効性を明らかにする。
  24. 血栓止血系分子とHMGB1の相互干渉による疼痛制御のメカニズムと臨床的意義の解明 2021-04-01 – 2024-03-31 【概要】マウスあるいはラットの難治性疼痛モデルにおいてHMGB1の関与とトロンボモジュリンアルファの予防効果を検証した上で、HMGB1の由来細胞を同定する。次に、内因性トロンビンの活性や産生を阻害する各種抗凝固薬が、難治性疼痛の発症やトロンボモジュリンアルファの疼痛抑制効果に及ぼす影響を検証する。また、病院薬剤師の支援を得て、化学療法誘発性末梢神経障害や糖尿病性末梢神経障害の患者情報を収集し、抗凝固薬の使用が痛みの発症に悪影響を及ぼしているか否かを検証する。
  25. 過敏性腸症候群の脳(心)と腸をつなぐ神経回路を解明する 2021 – 2022 【概要】機能性消化管疾患(FGIDs)は心身相関をベースとする疾患概念であるが脳(心)と腸をつなぐ神経回路は具体的に示されていない。本申請内容では、FGIDsの代表疾患である過敏性腸症候群(IBS)について、渡航先の新規動物実験モデルの改良と最新の消化管機能解析技術を駆使し、IBSの「体」の異常である腸内細菌-腸粘膜機能と、「体」を調節する自律神経系ネットワークのつながり、そして「脳(心)」をつなぐ神経回路を見つけ、IBSの知覚過敏の所在を明らかにする。さらに、基研究で開発している消化管機能解析法を用い「脳(心)」と「体」の神経回路を標的とした新規治療法を探索する。
  26. 精神疾患におけるグルテン感受性関連解析を起点とした新規治療手段の提供 2020-09-11 – 2023-03-31 【概要】グルテンとは、小麦に含まれるグリアジンとグルテニンが結合して生成される蛋白質であり、日常的に摂取される食品に多く含まれている。グルテン感受性とは、グルテン摂取により、腹痛、下痢、頭痛、倦怠感、抑うつ、不安等の様々な 身体・精神症状を呈する症候群である。グルテン感受性と臨床的背景との関連は全く明らかになっていない。本研究では、統合失調症、うつ病患者を対象に、グルテン感受性の血清学的マーカーである抗グリアジン抗体等を用いて客観的にグルテン感受性を評価し、臨床的背景との関連性を調べる。さらに、グルテン感受性を有する精神疾患患者において、グルテンフリー食摂取の治療有効性を明らかにする。
  27. 機能性消化管障害の病態にシナプス接着分子がどのように関与するか 2020-07-30 – 2022-03-31 【概要】機能性消化管障害とは、慢性の腹部症状を呈するにもかかわらず、検査によって器質的疾患(がん、潰瘍など)が認められない機能性の消化器疾患群であり、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群が含まれる。病態の理解に「脳腸相関」の重要性が明確になっているが、未だ不明な点が多い。申請者らは、中枢神経系と腸管神経系に発現するシナプス接着分子「LRR膜貫通タンパク質群」を欠損するマウスでは神経学的症状の他に消化管機能が変化している可能性を見いだした。LRR膜タンパク質遺伝子変異マウスを対象にして、多角的な解析を行うことにより、「LRR膜タンパク質が脳腸相関の生理的な調節にどのように関わるのか」を明らかにする。
  28. アルドステロンと腸内細菌に関連する新規血圧調節機序の解明とヒトにおける検証 2020-04-01 – 2023-03-31 【概要】臨床研究では、原発性アルドステロン症の高血圧予後規定因子としての腸内細菌叢の意義を明らかにする。また、新規探索的評価項目として、原発性アルドステロン症の治療(薬物治療および外科治療)による腸内細菌叢の変化も評価する。基礎研究では、腸管における短鎖脂肪酸トランスポーターの発現に与える腸管MRの機能を、腸管上皮特異的MR欠損マウスを用いて明らかにする。また、腸管MRと腸内細菌叢の相互作用に伴う血圧調節の新たな機構を解明する。
  29. 自己臭恐怖の病態と神経基盤の解明:精神症状と消化器症状の相互作用に焦点を当てて 2020-04-01 – 2023-03-31 【概要】わが国で有病率が高い自己臭恐怖(Olfactory reference syndrome)の病態メカニズムと神経基盤の解明を目指す。自己臭恐怖は自分から嫌な臭いがすることへの恐怖を持つ疾患であるが世界的に研究が乏しい。近年、日本のみでなく国外でも罹患者が多いこと、国内では消化器症状に関連する臭いを主訴とする自己臭恐怖患者には実際に過敏性腸症候群が50%以上の割合で併存していたことが報告されてきた。脳と腸の相互作用(脳腸相関)と、嗅覚を含めた観点から症状メカニズムや神経基盤を検討することで、自己臭恐怖や類縁疾患の病態解明において新しい知見を提供できる可能性がある。
  30. 非定型口腔顔面痛における病態と三環系抗うつ薬治療の脳構造・機能的な作用機序の解明 2020-04-01 – 2023-03-31 【概要】「非器質的疼痛」とは、従来「心因性疼痛」と呼ばれていた痛みが近年の脳画像技術の発達により、「脳内で痛みを過剰かつ過敏に認知するようになってしまった病態」の痛みだと判明し、新たに提唱された名称である。非定型口腔顔面痛は典型的な「非器質的疼痛」疾患であり、経験的に三環系抗うつ薬が有効であるが、そのメカニズムは不明である。本申請研究では、頭部磁気共鳴画像(MRI)を用いて、病態特異的な脳構造と機能・連絡性、治療前後における変化を調査し、非定型口腔顔面痛の病態は前頭前野の異常興奮にあること、三環系抗うつ薬の治療によりその異常興奮が正常化することを仮説として検証する。
  31. 漢方における生薬のPaneth細胞を介した腸内環境制御メカニズム解明 2020-04-01 – 2022-03-31 【概要】漢方で用いられる生薬は様々な症状に対して伝統的に用いられており、食による健康維持を考える上で重要な候補であるが、それらの生薬が症状を改善するメカニズムについては未だ明らかとなっていない。本研究はPaneth細胞の自然免疫機能に着目し、生薬の効能をPaneth細胞の顆粒分泌を介した腸内環境制御という視点から明らかにする。具体的には、腸の症状に有効とされる漢方、生薬について、小腸上皮組織の3次元培養系であるenteroid内腔へのマイクロインジェクションやマウスin vivo試験などにより、どのように腸内環境制御に関与するかを明らかにし、健康維持に有益な食材の発見や開発に貢献する。
  32. グルコース活性化転写因子による酢酸代謝調節機構の解明と肥満予防への展開 2020-04-01 – 2023-03-31 【概要】食物繊維摂取による肥満予防効果の機序の一つとして、食物繊維を原料として腸内細菌により産生された酢酸の役割が注目されている。申請者はグルコース活性化転写因子ChREBPの抑制による抗肥満効果を報告した。ChREBP欠失マウスの腸内細菌叢の解析結果から、ChREBP欠失マウスでは腸内細菌による酢酸産生増加が予想されるため、ChREBP抑制による抗肥満効果は酢酸を介する効果と考えられる。本研究ではChREBPによる血中酢酸調節機構、ChREBP抑制作用薬と食物繊維摂取の併用による肥満予防の有効性を検証する。本申請の成果は新規肥満予防法の臨床応用につながる。
  33. 診断困難な消化管運動異常症と機能性消化管疾患との境界症例の病態解明 2020-04-01 – 2022-03-31 【概要】消化管運動異常症の中の食道運動異常症・偽性腸閉塞症に対して、High-resolution manometryや独自開発したコンピュータ支援によるシネMRIの運動機能解析、内視鏡的食道筋層生検などによる局所の病理組織学的解析を行う。そして、超拡大内視鏡による消化管粘膜の観察や小腸細菌異常増殖の解析など総合的解析が可能な体制を整え症例を蓄積することで、消化管運動異常症と機能性消化管疾患の境界症例の“違い”を明らかにする。本研究により、将来的には消化管運動異常症を病態に基づく疾患概念に改編し、病態に基づく新規治療法の開発が期待される。
  34. 過敏性腸症候群におけるストレス脆弱性の神経生理基盤に影響する早期環境要因の解明 2020-04-01 – 2025-03-31 【概要】ストレス関連疾患の代表である過敏性腸症候群(IBS)の病態は完全には解明されておらず、心理社会的要因、消化管運動機能異常、内臓知覚異常を中心とした脳腸相関の病態が想定されている。近年、幼少期における親の養育行動が子どものストレス脆弱性に影響し、IBSの発症・病態形成に寄与しているのではないかと推測されるようになった。しかし、IBS患者に認められる脳腸軸のストレス反応性の異常に対して早期環境がどのような役割を果たしているのかについては十分明らかにされていない。本研究の目的は、幼少期に獲得した心理的特性とストレスに対するIBSの神経生理学的変化の関連性を詳しく理解することである。
  35. 腸神経系の機能異常による薬物消化管吸収挙動の変動とその機構解析 2020-04-01 – 2025-03-31 【概要】Enteric Nervous System (ENS) による小腸機能制御には不明な点が多く、ENS機能異常の関連が示唆されている消化器疾患発症時の薬物吸収についても一定の評価は得られていない。本研究では、ENSの機能異常時における薬物吸収について、異なる機構により吸収される様々な薬物について系統的に検討し、その全貌を明らかにすることを目指す。具体的には、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病等で関与が指摘されている5-HT代謝異常時を中心に、受動拡散 (経細胞経路、細胞間隙経路)、PEPT1、P-gp、MRP2、BCRP等を介する吸収、分泌、更には経口投与後の吸収挙動に大きな影響を及ぼす胃排出を含めた消化管内移行性について明らかにする。
  36. 脳・脊髄による大腸運動制御における雌雄差のメカニズム解明 2020-04-24 – 2022-03-31 【概要】ストレスにより排便異常が起こる疾患として過敏性腸症候群(IBS)が知られている。IBSの症状や発症率には男女差が存在する。またIBSに限らず便秘の発症率など排便異常には明確な男女差がある。しかしながら性別に関連した排便異常の原因は不明である。そのため現状では適切な治療を行うことが難しい。申請者の所属研究室では中枢神経系による大腸運動制御に着目し、痛みによる制御を解明してきた。申請者は、この痛みによる制御に明確な雌雄差が存在することを発見した。そこで本研究では中枢神経系による大腸運動制御の雌雄差を特定し、その調節機構の解明を目的とした。形態学的手法および光遺伝学的手法を用いて目的の達成を目指す。
  37. 中枢神経による大腸運動制御機構と排便異常に認められる性差のメカニズム解明 2020-04-01 – 2023-03-31 【概要】ストレスに起因する過敏性腸症候群(IBS)において、症状に性差が認められ、男性は下痢、女性は便秘が多いことが知られている。このような性差が認められる理由は不明であるので、本研究ではそのメカニズムを解明することを目的とする。実験にはラットを用い、正常な状態で、大腸運動を調節する神経回路に性差があるか、痛覚過敏を誘発した場合に認められる変化に性差があるか、特定の神経を活性化/沈静化することにより大腸運動異常を改善できるか、を検討する。この研究により、QOLの著しい低下をもたらすIBSの病態が解明でき、中枢の乱れを是正する治療薬の開発、さらにオーダーメイド治療の道を拓くことが期待できる。
  38. 過敏性腸症候群を不安モデル症例とした新しい注意バイアス修正法の開発 2020-04-01 – 2024-03-31 【概要】本研究の目的は,注意研究者と臨床応用研究者が手を組み,基礎研究で挙げられた主要な注意制御要因が,実世界で問題となる不安の注意バイアスの修正効率を上げるかを検証することである。過敏性腸症候群罹患者は学校不適応問題が生じやすいことから,昨今の社会状況に適した効率的なスクリーニング手法を開発する。対象者を選定した後,注意バイアス強度を増大する変数を特定する。注意の競合,履歴効果,および利用・実在性がこの際の最初に操作の対象となることが見込まれる。EEG計測から過敏性腸症候群での注意変調の神経対件を得て,注意バイアス測定の精度とバイアス修正効率を向上させる技術を開発する。
  39. 予測的符号化に基づく計算論的心身医学ー過敏性腸症候群を対象とした基礎的検討ー 2019-10-07 – 2024-03-31 【概要】脳は身体状態のモデルを構成して身体からの感覚信号を予測し、それにより身体内部の知覚である内受容感覚を創発していると考えられている。本研究は、脳と身体の機能疾患である心身症はこのメカニズムの不全であるとの仮説を設定する。本研究では、代表的な心身症である過敏性腸症候群を対象とし、この疾患について豊富な研究経験と患者のデータ・ベースを持つクロアチアのリエカ大学と共同して、この仮説を実証的に検討する。特に、患者の内受容感覚に関する計算論的モデルを開発し、実験データとの適合性を検討することにより、計算論的心身医学ともいうべき研究と臨床実践の新しい領域を拓くことを目指す。
  40. 逆流性食道炎と口腔内細菌叢との関連に関する研究 2019-08-30 – 2022-03-31 【概要】人体には数百兆個の細菌が生息し、固有の常在細菌叢を形成している。この常在細菌叢の存在が恒常性の維持に必須である一方で、唾液と共に嚥下される口腔内細菌もしくはその代謝産物の変化が様々な食道疾患の病態に関与する可能性も示唆される。本研究は、齲蝕以外にも多くの疾患に関係すると考えられている口腔内病原細菌であるコラーゲン結合型Streptococcus mutans菌が食道粘膜へ直接付着及び侵入することで炎症反応を惹起し、逆流性食道炎の発症あるいは治療抵抗性に関与するかについて検討を行うものである。
  41. 消化管メカノセンシングによる骨恒常性維持機構の解明 2019-06-28 – 2021-03-31 【概要】近年、細胞表面におけるずり応力を認識して活性化するカルシウムイオンチャネル群(メカノセンサー遺伝子)が相次いで発見され、注目を集めている。申請者らは、腸上皮に発現するメカノセンサー遺伝子が骨量を制御していることを示す証差を得た。本研究では、メカノセンサーが腸においてどのような機序で活性化しているのか、また、遠隔臓器である骨の代謝をどうやって制御しているのかを明らかにする。また、腸-骨連関を担う分子実体の同定をつうじて、腸上皮メカノセンサーを標的とした経口骨粗鬆症治療薬を開発する。
  42. 過敏性腸症候群-中枢ネットワークのゲノム・メタゲノム・メタボローム依存性解析 2019-06-28 – 2022-03-31 【概要】過敏性腸症候群は代表的なストレス関連疾患であり、脳腸相関の病態生理を呈する重要疾患である。その主要病態をゲノムワイド関連解析、メタゲノム解析、メタボローム解析、ならびに脳機能画像を組み合わせて明らかにする。中枢ネットワークのゲノム・メタゲノム・メタボローム依存性解析により、過敏性腸症候群を発症・継続させる因子を同定する。中枢ネットワークがゲノム、腸内細菌、代謝物質によって健常から異常に変化するところを描出するため、挑戦的研究としての意義が大きい。このような研究はこれまでに実施されておらず、旧来のストレス関連疾患の概念を人間を対象として直接、根本的に変える潜在力を持つ。
  43. 痛みと心的イメージ~慢性疼痛に対する疼痛時イメージ書き直し技法の導入と効果検証 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】慢性疼痛患者は疼痛時に原因となった事故や激痛の記憶など過去のトラウマや将来の懸念を視覚化したネガティブなイメージを体験している事例が多いことが報告されている。この疼痛時の心的イメージが悲観的な思考や感情を引き起こし、痛みを強め、生活機能障害に結び付く回避行動につながっている可能性が考えられる。本研究では、疼痛時に体験しているイメージの内容を質的に明らかにし、痛み、感情、思考、行動に対する影響を検討して、痛みが慢性化する心理的なメカニズムのさらなる解明を試みる。さらに、疼痛時の視覚的イメージを書き直す新しい認知行動療法の技法を作成・実施し効果を検証する。
  44. TLR9シグナルを介した感染後過敏性腸症候群の病態解析と治療応用 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】重篤な腸炎後に生じる過敏性腸症候群(PI-IBS)において、その発生機序や詳細な病態は不明であり、治療法も確立したものがない。本研究では、ヒトPI-IBS患者の大規模追跡調査で病態発症との関連が示唆されたToll-like receptor 9(TLR9)に着目し、「TLR9シグナル異常がPI-IBSの病態にどう影響を与えるか、その機序はなにか、さらにTLR9 pathwayをターゲットとした治療が可能か」をマウスモデルとヒト検体を用いて検証する。
  45. 自律神経障害を介した自己免疫性消化管運動障害の病態解明 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】自己免疫性消化管運動障害は種々の自己抗体介在性の難治性消化管疾患で, 胃不全麻痺や慢性偽性腸閉塞症などの一部がこれに含まれる. 本症では自己免疫性自律神経障害の病原性自己抗体である抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体など複数の自己抗体が検出される.今回の研究では本症の症状,検査所見(自律神経機能,消化管検査),自己抗体プロファイル,治療を解析し,その臨床的特徴を把握する.また抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体陽性の本症症例血清IgG移送による動物モデルを作製し,抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体の病原性検証に取り組む.
  46. 下痢型過敏性腸症候群(IBS)霊長類モデルの確立とその病態解析 2019-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  47. マインドフルネス瞑想による過敏性腸症候群の症状改善と脳波正常化の効果検討 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)は代表的なストレス関連疾患である。IBSは脳波のα-power減衰とβ-power増強があり,ストレス関連ペプチドであるCRH拮抗薬投与により,脳波異常が正常化するとともに消化器症状が改善することが報告されている。近年,IBSの消化器症状や精神症状の改善に,マインドフルネスに基づく心理療法が注目されている。マインドフルネスは,健常者においてα-powerとθ-powerを増強させることも報告されている。そこで,本研究では,IBS患者に対してマインドフルネス瞑想を実施し,IBSにおける自覚ストレスおよび消化器症状が脳波の正常化を伴って改善することを検証する。
  48. 腹部聴診音のコンピューター解析による過敏性腸症候群の病態評価システムの構築 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】本研究では、①過敏性腸症候群(IBS)を評価するための腹部聴診音の測定法(部位、時間、食事条件、腹痛時の測定やストレス負荷の必要性)を最適化し、②腹部聴診音の解析指標と腸管運動との関連性を調べ、③ IBSの病態を表す腹部聴診音解析指標を抽出することによって、IBSの簡便かつ客観的な診断と病態評価を可能とする腹部聴診音解析システムの開発に向けての基盤技術を確立する。
  49. 爪中副腎皮質ホルモンを用いた過敏性腸症候群の心理-生理モデルの構築 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】本研究では過敏性腸症候群(IBS)における爪中副腎皮質ホルモン(コルチゾールおよびDHEA)とIBSに特化した認知・行動的要因との関連を中心に検討する。IBSが慢性疾患であることを考慮し、爪検体から長期的な生理学的特徴を把握し、より精緻なIBSの心理-生理学的メカニズムを構築する。具体的にはIBS保有者および非保有者を対象とし、3ヶ月間、月1回の調査票記入、その時期に形成された爪検体を調査開始4ヶ月後以降に採取する。上記手続きから、①IBSの有無による爪中副腎皮質ホルモンの差、②IBS保有者における爪中副腎皮質ホルモンとIBS症状に関連した認知・行動的要因、感情、腹部症状の関連を明らかにする。
  50. 消化管知覚過敏を軽減させるニューラルフィードバック練習装置の開発 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】本研究は,IBSの脳波活動パターンをもとに機械学習アルゴリズムによって被験者の脳から情報を読み出し, その情報を被験者にフィードバックする装置を開発する. この練習装置を用いて特定の脳領域活動を特定のパターン (ターゲットパターン) に誘導し, 被験者の内臓知覚変化を誘導し,練習に用いた脳領域の活動を, 対応する知覚や認知・行動の変化を引き起こすことを検証する. すなわち, IBSのDMNが腹痛のない人に近似してくると視覚や音声でフィードバックして, IBSの中心病態にある脳腸相関の病態DMNを補正させ, この練習がIBSの腹痛を減弱させるセルフマネジメントの有力な手段になると期待している.
  51. 循環器疾患患者のための人工知能を活用した在宅運動療法システムの確立 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】予後予測因子である心拍変動(heart rate variability:HRV)の指標をベースに人工知能(AI)を活用して、在宅での活動量を主体とした新しい運動療法システムを確立する。HRV指標として副交感神経を反映しているとされる高周波成分(high Frequency:HF)の指標を用い、活動の増加がHFを増加させることを活用する。運動」としては、1)握力運動、2)日常生活活動、3)月1回の定期受診日に行うトレッドミルとする。在宅における日常生活活動量とトレッドミルによる運動負荷量、加えてそれぞれのHFを人工知能(AI)に入力し、HFの維持・改善のための目標活動量を明らかにする。
  52. 過敏性腸症候群の発生に対する歯科口腔衛生状態の関連についての疫学研究 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】過敏性腸症候群は腹痛や腹部不快感、便通異常を主症状とした消化器症状が持続、または寛解と増悪を繰り返す機能性消化管障害の一つである。これまでの国内外の研究では偏りのある有病症例が対象となっていて罹患率や罹患のリスク要因も全く検討されていないので、主として臨床症状に基づいた診断の国際基準である「RomeⅢ」日本語版質問紙票を用いた調査が既に5年前に実施されている40~74歳の一般京都府民3,910人において再調査を行い、その罹患率と罹患に関わるリスク要因を前向き研究として実施する。
  53. 疼痛による自律神経系の変動を調節する情動の役割 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】痛みは苦痛を誘発する感覚であるため、自律神経系や記憶等の脳内神経に影響を与える。そこで本研究では、このようなストレスによる自律神経活動のバランスの変化と脳内神経の活動状態を解明し、痛みが身体に及ぼす影響を明らかにする。その後、音楽等の環境がそれらの変化に有効に対応するかを明らかにし、除痛効果が得られる環境を探索する。このような痛みの研究は、医学界の臨床現場で応用できるものと考えられる。
  54. 「認知性疼痛」病態/治療における脳の構造/機能ダイナミクス(横断・縦断研究) 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】非定型口腔顔面痛は代表的な「認知性疼痛」(脳内で痛みを過剰かつ過敏に認知するようになってしまった病態)です。抜歯や補綴など歯科治療を契機とするものが多く、治療として加えられた侵害刺激に比して過大な症状を呈し、日常生活が続けられないほど重症化する例も少なくなく、中年以上の女性患者に多く見られます。経験的に三環系抗うつ薬投与が有効であるが、その病態と治療機序は不明ですが、本研究では、健康被験者と非定型口腔顔面痛患者を対象に頭部磁気共鳴画像 (MRI)を取得し(患者群は治療前・後の時系列で撮影)、横断的・縦断的アップローチを組み合わせて解析し、その病態機序・治療機序を明らかにすることが目的です。
  55. 小腸絨毛基底膜における「窓」の脂肪吸収に対する調節機能の解明 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】基礎研究として、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いたラット、肥満型マウスにおける小腸絨毛基底膜の窓と、そこを通過するカイロミクロンおよび自由細胞との関連を検討し、脂肪吸収の効率とその制御機能につき解析を行う。併せて、臨床研究としてヒトの小腸生検組織での窓の評価と、高脂肪食負荷を行った上での十二指腸絨毛と空腸絨毛のカプセル内視鏡観察を行うことにより、生体における新たな脂肪吸収評価法の確立を行う。さらに、小腸内細菌増殖症(SIBO)の状態の測定と脂肪吸収の効率、窓との相関を検討することにより、腸管因子からみた肥満のメカニズムや肥満についての新しい診断法、治療法の確立を目指す。
  56. IBSのストレス性増悪因子としての直腸粘膜下血管機能異常 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)の患者ではストレス負荷時の直腸粘膜血流の減少が遷延することから、直腸循環障害の存在が示唆される。IBSでは知覚神経の閾値低下が起こるため、血管に分布する知覚神経の過活動により血管が収縮し、虚血によりさらに知覚神経が刺激される悪循環が仮定される。本課題では、直腸粘膜下細動脈の神経性(交感神経、知覚神経、壁内神経)制御機構と血流を促進する自発活動(自発収縮、Ca2+上昇)について検討する。正常ラットおよび、IBS様の症状を呈する直腸知覚過敏モデルを用いた検討を行い、病態における変化を明らかにする。IBS患者のストレス性増悪を直腸血管機能異常の視点から捉える研究である。
  57. オレキシンを中心とした内臓知覚過敏の中枢機構解明とその過敏性腸症候群治療への応用 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】本研究では神経薬理学的手法やオプトジェネティクスの手法を用いて、脳内オレキシンを中心とした網羅的脳内内臓知覚調節機構を解明し、内臓知覚過敏が主病態であるIBSの病態解明と脳内オレキシンとその上流及び下流シグナルを標的にしたIBSの新たな治療法を模索する。
  58. 腸内細菌叢からみた過敏性腸症候群の病態解明 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】本研究では、ストレス誘因動物消化管運動機能障害モデルを使用し、IBSの病態における神経ペプチドやの生理活性物質の局所での発現や伝達経路の解明、また腸内細菌叢のストレスによる変化や探査脂肪酸などの代謝産物の変化、局所での腸管透過性の変化を解析し、それらに特定の生理活性物質、また腸管上皮のDNAマイクロアレイ解析と腸内細菌叢のメタゲノム解析を組み合わせたパスウェイ解析からその相関関係を明らかにする。
  59. “痛み”体験に特異的な脳活動パターンの開発と機能性疼痛の病態評価への応用 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】本研究は、主観的体験である“痛み”現象を脳活動パターンとして再現性をもって客観的にとらえられるかの検討である。痛みが慢性化した状態では、中枢での疼痛処理機構の変化が複雑に痛みを修飾する.中枢をターゲツトとした病態の解明が必要である.とくに機能性疼痛では、痛みのある部位にその原因をもとめても器質的変化がなく、診断は患者の主観的症状の訴えにもとづいて行われる.ゆえに中枢での「痛み」体験が病態形成に重要な役割を果たすと考えられている。本検討では主観的痛み体験の座を脳ととらえ、従来型の脳画像解析ではなく機械学習のアルゴリズムを応用することで、予測精度の高い痛み脳指標を作成する挑戦である。
  60. 過敏性腸症候群に対する認知行動療法のランダム化比較試験と治療効果の神経基盤の解明 2019-04-01 – 2023-03-31 【概要】我々の研究チームは、心理社会的治療法の開発が遅れている難治性の過敏性腸症候群(IBS)領域において「ビデオ教材を併用したCBT-IE(内部感覚曝露を用いた認知行動療法プログラム)」を開発した。本研究では、我が国で初めてCBT-IEのランダム化比較試験を実施しその有効性を検証する。プログラムの有効性が検証されれば、日本全国のIBS患者と治療者に、過度の負担を強いることなく均質なCBTプログラムを広く普及することができる。また、CBT-IE及び通常治療の前後の脳MRI画像を評価することにより、IBSの客観的な診断・治療マーカーを特定し、難治化の予測、治療適応の判定に活用することが出来る。
  61. 腸、脳に発現するTRPM8チャネルを標的とした過敏性腸症候群の治療 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や腹部不快感をともなう下痢や便秘などの便通異常が慢性的にくり返される疾患であり、急増する患者数と生活の質を著しく低下させることが問題となっている。IBSの発症は「ストレス」が、重要な鍵を握っていると考えられているが、難治性で病因が複雑であることから、その病態解明と治療薬の開発が社会的に強く求められている。本研究では、成因の異なる3種類のIBSモデルや遺伝子欠損動物を用い、TRPM8によるIBSの病態制御メカニズムを解明する。さらに作用薬を用いた薬理学的解析から、TRPM8を標的としたIBS治療薬の開発に向けた基礎研究を行う。
  62. 子どものための診断アセスメントとサービス改善プロジェクト 2019-04-01 – 2024-03-31 【概要】本研究は多施設研究として行われ、尺度研究と観察研究から構成されている。尺度研究では、K-SADS-PL DSM-5版、ICD-11のPTSD及び複雑性PTSDに対応した追加モジュール、SCID-5-PD、CATS、CATS-Cについて心理測定学的特性を調査する。観察研究では、上記の構造化面接及び質問紙に加えて、国際頭痛学会のICHD-3などを用いて機能性身体症候群を診断する。前医診断と構造化面接診断を比較することで、本邦の小児における過剰診断と過少診断の実態を明らかにし、被験者登録から平均1.5年後の経過を調査することで、精神障害や機能性身体症候群の慢性化に関連した危険因子を調査する。
  63. 過敏性と炎症を映す消化管興奮連携の可視化による病態解明と治療戦略の開拓 2019-04-01 – 2022-03-31 【概要】消化管は多くの役割を果たすユニークな臓器である。内容物の攪拌・運搬や栄養素の吸収をするとともに、ホルモンや神経を介し中枢など多臓器を制御する。最近の研究から、基礎リズムを発生するカハール間質細胞(ペースメーカ)ネットワークが、正常・病態時の消化管の連携的興奮に重要な働きをすることが明らかとなってきた。そこで本研究では、独自に開発した透析膜補強・微小電極アレイ法や、蛍光Caセンサを用いて消化管ペースメーカの連携興奮を可視化し、消化管の過敏性および炎症がどのように時間空間的連携に影響を及ぼすか特徴付ける。これにより、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患での消化管運動異常の予防・診断・創薬治療へ貢献する。
  64. IBS症状のセルフケアためのeHealthシステム構築及びその効果についての研究 2019-02-07 – 2023-03-31 【概要】
  65. 腸内環境の生理流体力学:過敏性腸症候群の病態メカニズムの革新的理解 2018-06-29 – 2020-03-31 【概要】
  66. 運動機能解析と組織病理解析の併用による消化管運動異常症の包括的病態解明 2018-04-01 – 2022-03-31 【概要】
  67. 日本版低FODMAP食導入による過敏性腸症候群への臨床効果 2018-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  68. 内臓知覚過敏におけるアデノシンA(2B)受容体の役割に関する研究 2018-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  69. 過敏性腸症候群に対する内部感覚曝露を取り入れた認知行動療法のランダム化比較試験 2018-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  70. 小児IBSに対するlow FODMAP dietの有効性と腸内環境の解析 2018-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  71. 過敏性腸症候群患者に対する生活習慣改善を促す看護援助プログラム作成に関する研究 2018-04-01 – 2022-03-31 【概要】
  72. 思春期心身症に対する不登校予防としての教育・医学連携の学校健診システム構築 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  73. 過敏性腸症候群の病態に関連する粘膜細菌叢およびバクテリオファージの検討 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  74. 機能性消化管障害の新規治療標的の探索-粘膜内微小炎症による知覚受容の増強- 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  75. 寛解後炎症性腸疾患患者に残存する消化器症状発現メカニズムの解明 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  76. クローン病において制御性B細胞が機能低下に至る新規メカニズムの解明 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  77. 過敏性腸症候群とメタボリックシンドロームの病態共通性から新しい治療法を探究する 2018-04-01 – 2022-03-31 【概要】
  78. 過敏性腸症候群に対する携帯情報端末を用いたビデオ認知行動療法プログラムは有効か? 2018-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  79. カンナビノイド受容体とT型Caチャネルを標的とする過敏性腸症候群の新規治療戦略 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  80. 炎症性・機能性腸疾患モデル動物の消化管知覚過敏におけるTRPチャネル増加の機序 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  81. 下痢型IBSを対象とした暴露療法:消化管症状に対する不安条件付けの消去 2018-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  82. テレビ電話・動画視聴・アプリケーションによる新たな認知行動療法の開発と臨床応用 2018-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  83. 脳腸連関の統合的理解に基づく新しい創薬標的探索を指向した萌芽的研究 2017-06-30 – 2019-03-31 【概要】
  84. 看護学生におけるレジリエンスと脳腸相関との関連性について 2017-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  85. 過敏性腸症候群における、症状出現トリガーと口腔ー腸内細菌叢ネットワークの解明 2017-04-01 – 2022-03-31 【概要】
  86. 難治性消化管疾患に対する糞便微生物移植法の最適化を目指した腸内細菌叢解析 2017-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  87. 過敏性腸症候群における腸管粘膜上皮表層細菌叢と病勢との相関解析 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  88. 脳腸相関制御による大腸運動の解明ー新規大腸運動機能改善剤の開発に向けてー 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  89. 過敏性腸症候群の病態因子としての消化管ストレスホルモンの役割の解明 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  90. 消化管運動の調節に関与する新規イオンチャネルの同定と機能解析 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  91. MFG-E8による制御性B細胞を介した腫瘍免疫回避機構の解明と大腸癌治療への応用 2017-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  92. 認知行動療法が心身症患者の自己評価機能に及ぼす効果の脳画像による検証 2017-04-01 – 2022-03-31 【概要】
  93. 内臓知覚過敏における肥満細胞由来メディエーターの役割 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  94. 機能性胃腸症における胃の痛覚過敏へのCRF2を介したインターロイキン6の関与 2017-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  95. 腸管上皮におけるマイクロバイオーム代謝産物受容とその生理・病態生理機能解析 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  96. セロトニン異常による薬物消化管吸収挙動の変動機構解析 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  97. ワサビと高脂肪食による新規機能性ディスペプシア病態動物の確立と和漢薬の薬効評価 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  98. 睡眠と食習慣に焦点をあてた精神神経疾患モデルの病態解明と新規治療法の開発 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  99. 脳画像疫学データにより解明する「意志の力」の棄損と、内臓知覚訓練による改善の試み 2017-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  100. 内臓痛の鎮痛適応を起こす神経回路シフト 2017-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  101. 下行性疼痛抑制経路を介する大腸運動の中枢性制御機構の解明 2017-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  102. 消化管機能におけるプロスタグランジンI2の役割解明と新規IBS治療薬への挑戦 2016-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  103. 過敏性腸症候群の未患者に対する携帯情報端末を用いた認知行動論的介入は有効か? 2016-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  104. 慢性ストレス関連疾患の機序の解明と治療標的の探索 2016-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  105. 地域在住女性高齢者における便失禁予防・改善に向けた包括的排泄ケアプログラムの開発 2016-04-01 – 2023-03-31 【概要】
  106. 循環器疾患患者の腎機能保護に向けた在宅運動療法確立のための基礎的および臨床的研究 2016-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  107. ヒト内視鏡生検検体を用いた腸炎上皮傷害に関わるバイオマーカーの探索的研究 2016-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  108. 過敏性腸症候群の脳腸相関の病態基盤を形成する腸内細菌叢の同定 2016-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  109. β-ヒドロキシ酪酸が過敏性腸症候群の大腸機能、自律神経、内分泌に及ぼす効果の検討 2016-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  110. 難治性消化管疾患の病態制御における温度感受性TRPV4チャネルの役割 2016-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  111. 腸内細菌に応答する膜タンパク質を標的とした消化管疾患に対する新規治療戦略 2016-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  112. 単純な脊椎動物の腸神経系機能の可視化と光遺伝学による腸運動の制御 2016-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  113. 短期の解決規則ネットワークの生成モデルの構築 2016-04-01 – 2021-03-31 【概要】
  114. 東北大震災放射能・津波被災者の居住福祉補償とコミュニティ形成--法学・医学の対話 2016-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  115. 過敏性腸症候群の内臓知覚過敏に関する研究 2016-11-07 – 2019-03-31 【概要】
  116. 意思決定行動と認知行動理論を基盤としたIBS症状の維持悪化メカニズムの検証 2015-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  117. 機能性消化管障害および炎症性腸疾患モデルマウスを用いた腸管神経の役割の解析 2015-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  118. 関連施設における乳頭括約筋機能障害の有病率及び内視鏡的圧測定法の診断妥当性の検証 2015-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  119. 過敏性腸症候群の脳構造・脳機能研究:MRIによる認知行動療法の作用メカニズム解明 2015-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  120. 過敏性腸症候群におけるT型カルシウムチャネルの機能変化と制御因子の影響 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  121. 過敏性腸症候群に対する内部感覚曝露を用いた集団認知行動療法の開発研究 2015-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  122. iPS細胞を用いた慢性偽性腸閉塞症の疾患モデルの作成と創薬研究 2015-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  123. 過敏性腸症候群の網羅的メタボローム・遺伝子解析による原因物質の同定 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  124. 大学生版QOL指標の開発を踏まえた学修成果測定研究の新展開 2015-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  125. 消化管知覚異常を改善させる運動時多感覚情報処理の電気生理学的検証 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  126. 粘膜免疫機構の発達と小児消化器疾患の病態に関する検討 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  127. ラット機能性ディスペプシアモデルにおけるPhosphodiesteraseの関与 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  128. 母子分離ストレスモデルでの腸管グリア細胞応答と消化管機能変調の分子生物学的解析 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  129. 病態モデル・患者標本における炎症性消化管知覚過敏における熱・冷刺激受容体の役割 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  130. 過敏性腸症候群における認知・行動評価尺度の標準化と心理-生理モデル構築への応用 2015-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  131. IBS患者の受療行動低減と治癒力向上のための対症包括的セルフマネジメント法の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  132. 脳腸相関の異常における脳腸ペプチドの作用 2015-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  133. 骨格筋機能とサルコペニアに関連する消化管ミクロビオームの基盤研究 2015-04-01 – 2019-03-31 【概要】
  134. 腸電位計測による過敏性腸症候群診断システムの構築 2014-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  135. 消化管上皮の内腔圧受容とATP放出機構の解明 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  136. 脳腸相関と視床下部ストレス・ホルモンネットワーク機構の解明 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  137. 新規麦芽乳酸菌由来活性物質による腸内細菌叢変化と過敏性腸症候群への臨床応用 2014-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  138. 過敏性腸症候群の未患者に対する携帯情報端末を用いた認知的介入は有効か? 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  139. 過敏性腸症候群における小腸運動異常の研究 2014-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  140. 睡眠および食習慣の乱れに起因した生活習慣病動物モデルの確立と病態解明 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  141. 直腸病変に対する肛門温存手術後にみられる排便障害の発症機序とその対策 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  142. 内視鏡下食道粘膜透過性評価法の確立とその臨床応用に関する検討 2014-04-01 – 2020-03-31 【概要】
  143. 非celiacグルテン過敏性腸症の実態調査-過敏性腸症候群との関連に注目して- 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  144. 脳内オレキシンシグナル低下はIBSの病態を引き起こす 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  145. 機能性疼痛障害の中枢機能バイオマーカーの探索 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  146. 管腔臓器内臓痛を引き起こすシグナル経路の同定と内臓知覚過敏治療への応用 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  147. LPS,炎症性サイトカインと末梢CRF受容体サブタイプの消化管機能における相関 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  148. セロトニン異常が関与する消化管疾患時における薬物吸収挙動の解析 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  149. 腸粘膜組織セロトニン量とトリプトファン可用性に着目した犬の炎症性腸疾患の病態解析 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  150. メタボリックシンドロームとメンタルヘルスの同時予防を目指す包括型健康プログラム 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  151. ストレス脆弱性を左右するエピジェネティック制御因子の同定とその分子機構 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  152. 脊髄排便中枢を介する大腸運動制御メカニズムの解明 2014-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  153. 神経障害性疼痛発現の分子基盤としての侵害受容チャネルの関与とその制御機構の解明 2014-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  154. 生物-心理-社会モデルに基づいたソーシャルスキル教育支援システムの構築 2014-04-25 – 2016-03-31 【概要】
  155. 呼気法、超音波法を用いた機能性胃腸症の病態解明の検討 2013-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  156. 下痢や便秘を伴う消化器疾患に対する腸管アクアポリンを標的とした新規治療戦略 2013-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  157. カプセル内視鏡を用いた過敏性腸症候群の客観的評価 2013-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  158. 過敏性腸症候群の意思決定とその神経基盤 2013-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  159. 心身症患者の自己評価-神経機構の解明と認知行動療法介入の効果- 2013-04-01 – 2018-03-31 【概要】
  160. 機能性胃腸症における胃の痛覚過敏への副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体の関与 2013-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  161. 経口で腸炎抑制効果を有する日本酒ペプチドの同定と作用機序解明 2013-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  162. 身体イメージ彩色図法を活用した健康支援の研究 2013-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  163. メンタルヘルスにおける脳腸相関の応用-腸機能の解析・評価法に視点をあてて 2012-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  164. 腸管組織におけるオートファジーの機能および腸管炎症病態との関連性の解明 2012-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  165. ストレス誘発過敏性腸症候群モデルにおける消化管痛覚過敏発現メカニズムの網羅的解析 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  166. イフェンプロジルの依存物質再使用抑制効果の前向き研究 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  167. セロトニン環境に着目した犬の炎症性腸疾患の病態解析 2012-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  168. 大学生の睡眠習慣の乱れがQOLの低下に及ぼすメカニズムの解明 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  169. 青年期を対象とした過敏性腸症候群に対する認知行動療法プログラムの開発 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  170. 断続的なレム断眠ストレスに起因した注意欠陥/多動性障害動物モデルの確立と病態解明 2012-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  171. 消化管知覚の発現機構 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  172. 過敏性腸症候群のエンドフェノタイプに対する感受性遺伝子とストレスの影響 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  173. 非可逆性糖尿病性胃麻痺に対する神経幹細胞移植の開発 2012-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  174. 小腸の消化吸収機能の低下を感知する新しい血液マーカーの開発 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  175. 成長過程におけるストレス応答と腸管グリア細胞による内臓知覚過敏とその包括的解析 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  176. 画期的中和抗体定量法を用いたクローン病の生物学的製剤個別化投与アルゴリズムの構築 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  177. 過敏性腸症候群患者の心理的異常を改善するための心理療法の開発 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  178. 過敏性腸症候群のストレス応答を規定する神経免疫学的基盤の解明 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  179. 思春期過敏性腸症候群発症とトラウマの関連―東日本大震災の影響の検討 2012-04-01 – 2017-03-31 【概要】
  180. 慢性骨盤痛症候群における肥満細胞の意義および病態解明 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  181. ストレス関連疾患における神経‐マスト細胞相互作用の増強:接着分子CADM1の関与 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  182. ストレス性内臓知覚過敏における温度感受性受容体の役割:病態動物とヒトの標本の解析 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  183. 心理的ウェルビーイングの向上は心理生物学的ストレス反応の軽減に寄与する 2012-04-01 – 2016-03-31 【概要】
  184. 消化器症状に対する不安を測定する心理尺度の開発 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  185. 過敏性腸症候群患者の生活習慣を改善させるリハビリテーションプログラムの開発 2012-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  186. 慢性ストレス形成過程における中枢神経系の機能変化と低血圧発症の関係 2011 – 2012 【概要】
  187. 漢方薬によるマウス大腸炎の治療効果を評価できる13C 酪酸注腸呼気試験の確立 2011 – 2012 【概要】
  188. 末梢性顔面神経麻痺の重症化における膜結合型プロスタグランジンE合成酵素(mPGES-1)の関与の解析 2011 – 2012 【概要】
  189. CRHR1陽性子宮内膜癌細胞発現におけるストレス影響と遺伝的背景の解明 2011-04-28 – 2015-03-31 【概要】
  190. 呼気ガス成分による健康度推定 2011 – 2012 【概要】
  191. 不定愁訴を持つ児童・生徒に対する教育保健学的研究 2011-04-28 – 2015-03-31 【概要】
  192. ラットストレスモデルにおける排尿機能、性機能の検討 2011 – 2013 【概要】
  193. 骨盤臓器組織障害性疼痛におけるセロトニン受容体シグナル系の役割 2011 – 2013 【概要】
  194. 腸神経系が関与する消化管疾患時における薬物吸収挙動の解析 2011 – 2013 【概要】
  195. n-3系多価不飽和脂肪酸の意外な作用:血管弛緩に関わる新しい機序 2011 – 2013 【概要】
  196. バレット食道と食道腺癌に対する新規マイクロRNA治療の開発 2011 – 2012 【概要】
  197. 心身症に共通する心理的背景の神経基盤の解明 2010 – 2011 【概要】
  198. 過敏性腸症候群のストレス反応とその治療 2010-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  199. 唾液中炎症系バイオマーカーを用いたストレス評価 2010 – 2011 【概要】
  200. 過敏性腸症候群における認知の変容が不安・生理的要因・腹部症状に及ぼす影響 2010 – 2011 【概要】
  201. 過敏性腸症候群の診断と最適治療のための非侵襲的大腸小腸運動機能評価システムの開発 2010 – 2011 【概要】
  202. 機能性胃腸症における胃の痛覚過敏に関わるメディエイターの解析 2010 – 2012 【概要】
  203. 血清中マイクロRNAを用いた炎症性腸疾患に対する治療効果予測法の確立 2010 – 2012 【概要】
  204. 脳機能画像を用いた内臓感覚の記憶と認知変容過程の研究 2010-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  205. 炎症性腸疾患バイオフィルム微生物由来活性物質を介した粘膜保護作用の解析とその制御 2010-04-01 – 2014-03-31 【概要】
  206. 腸管の蠕動発現メカニズムの究明:各種ノックアウトマウスを武器とした新たな展開 2010 – 2012 【概要】
  207. 脳腸相関の病態生理における脳腸ペプチドの役割 2010-04-01 – 2015-03-31 【概要】
  208. 線維筋痛症患者の経験に関する医療人類学的研究-患者医療者関係と受療行動に着目して 2010 – 2012 【概要】
  209. 過敏性腸症候群におけるストレッサーへの認知的評価と副腎皮質・自律神経活動の関連 2009 – 2010 【概要】
  210. 肥満に対する認知行動療法のシステマティックレビュー 2009 – 2010 【概要】
  211. 炎症性腸疾患における消化管運動機能障害に対する漢方薬の有効性についての検討 2009 – 2010 【概要】
  212. ラット水浸拘束ストレスモデルにおけるSSRI、SNRIの大腸運動への効果 2009 – 2011 【概要】
  213. 感情発達と関係性に注目したアレキシサイミア形成要因に関する実証的研究 2009 – 2012 【概要】
  214. 過敏性腸症候群症状を有する大学生のストレス対処の柔軟性と心理生理学的ストレス反応 2009 – 2010 【概要】
  215. 霊長類を用いた食及び情動行動に関する研究 2009 – 2010 【概要】
  216. 過敏性腸症候群の生物学的マーカーと遺伝子・環境相関 2009 – 2011 【概要】
  217. 新たな健康指標としての腸内細菌叢の可能性-運動・生活習慣との関連からの検証 2009 – 2011 【概要】
  218. 幼児期の脳内ストレス処理回路の発達と成熟に内臓知覚過敏が及ぼす影響 2009 – 2012 【概要】
  219. ストレスによる温度感受性受容体発現知覚神経の反応性増大とオピオイド天然物の作用 2009 – 2011 【概要】
  220. ストレスに伴う消化管運動異常に対する新規概念構築:排便中枢におけるグレリンの役割 2009 – 2010 【概要】
  221. ヒスタミン拮抗薬d‐マレイン酸クロルフェニラミンの過敏性腸症候群への効果の検討 2008 – 2011 【概要】
  222. 「ストレス性下痢」~治療の新展開 2008 – 2011 【概要】
  223. 質量分析法を用いた呼気ガス分析による生活習慣病の新しいスクリーニング法の研究 2008 – 2009 【概要】
  224. 過敏性腸症候群に対する作業療法の神経心理学的効果検証 2008 – 2010 【概要】
  225. グリア細胞系による消化管粘膜免疫の調節 2008 – 2011 【概要】
  226. 過敏性腸症候群における食物不耐性の役割と蛋白分解酵素薬の有効性に関する研究 2008 – 2011 【概要】
  227. 消化管におけるストレス応答とその食品因子による制御の分子基盤解析 2008 – 2010 【概要】
  228. 内臓感覚を形成する脳機能モジュール 2008 – 2009 【概要】
  229. 腸管の平滑筋およびカハール細胞におけるムスカリン作動性カルシウム制御機構 2008 – 2009 【概要】
  230. 時間周波数解析と共分散構造解析を用いた消化管知覚変容過程の神経科学的検証 2007 – 2008 【概要】
  231. 思春期過敏性腸症候群の発症因子と長期予後に関する前向き調査 2007 – 2010 【概要】
  232. 過敏性腸症候群モデル動物における温度感受性受容体を介する知覚過敏性反応 2007 – 2008 【概要】
  233. 胃から産生される新しいペプチドによる消化管運動の調節機序 2007 – 2009 【概要】
  234. 脳腸ペプチドによる脳腸相関の制御機構の解明 2007 – 2009 【概要】
  235. 過敏性腸症候群におけるホット受容体の機能異常 2006 – 2008 【概要】
  236. 器質的および機能性胃腸症における胃の痛みのメカニズムの解析 2006 – 2007 【概要】
  237. 消化管内ガス測定と大腸バロスタットを用いた過敏性腸症候群における腹部膨満感の評価 2006 – 2007 【概要】
  238. 高齢者の日常生活活動及び身体機能と免疫機能の関連の実態とこれに対する介入研究 2006 – 2008 【概要】
  239. 内臓刺激による知覚と情動の形成機序 2006 – 2007 【概要】
  240. 消化器心身症患者に対する作業療法の心理・神経学的効果の検討及び作業療法の確立 2005 – 2007 【概要】
  241. 過敏性腸症候群における感作現象の役割と病態メカニズムの解明 2005 – 2006 【概要】
  242. 過敏性腸症候群における腸管神経ペプチドホルモン系の動き-大腸粘膜細菌の役割 2005 – 2006 【概要】
  243. 過敏性腸症候群の原因としてのCHRM3およびβ3AR遺伝子多型の研究 2005 – 2007 【概要】
  244. 思春期・青年期の心身の健康や問題行動に及ぼす家庭内及び家庭外の逆境体験について 2005 – 2006 【概要】
  245. 情動発現の神経基盤及びその制御機構の解明-前頭眼窩野とドーパミンに着目して- 2005 – 2007 【概要】
  246. 消化器心身症状を呈する若年者に対する臨床心理援助の生理・心理・行動学的効果検証 2004 – 2005 【概要】
  247. ストレス性胃腸運動障害にからむ新規神経ペプチド・ウロテンシンIIの知覚神経刺激 2004 – 2005 【概要】
  248. 器質的および機能的胃腸症に見られる胃の知覚過敏のメカニズムの解析 2004 – 2005 【概要】
  249. 過敏性腸症候群のストレス感受性と遺伝子多型の日米比較 2003 – 2005 【概要】
  250. セロトニンによるAQP発現調節からみたIBSの病態解明 2003 – 2004 【概要】
  251. 機能性ディスペプシア病態生理の解明と総合的評価法および治療法の確立 2003 – 2005 【概要】
  252. 思春期における過敏性腸症候群および摂食障害の疫学的調査-自己効力感の与える影響- 2003 – 2006 【概要】
  253. 脳腸相関におけるストレス関連ペプチドCRHの役割 2003 – 2006 【概要】
  254. 機能性腸疾患の病態生理からみた治療法の確立 2002 – 2003 【概要】
  255. ストレス関連大腸運動異常における慢性内臓過敏の意義と抗セロトニン療法の探究 2002 – 2005 【概要】
  256. 機能性消化管障害の国際的疫学調査を行うための日本における基盤作成に関する調査 2001 【概要】
  257. 機能性消化管疾患およびストレス関連疾患の臨床像と疫学に関する調査 2001 – 2002 【概要】
  258. 産業保健における過敏性腸症候群患者のQOLに関する疫学研究 2001 – 2002 【概要】
  259. 腸吸収上皮細胞株におけるAQP発現と消化管ホルモン、サイトカインによる調節の解明 2001 – 2002 【概要】
  260. 消化管機能異常症の病態生理に関する神経内分泌学的検討 2000 – 2001 【概要】
  261. ストレスの腸免疫系に及ぼす遺伝学的変化の解析 2000 – 2002 【概要】
  262. 脳腸相関における脳内ヒスタミンニューロンの役割 1999 – 2002 【概要】
  263. 食事成分由来の腸管内物質、特に脂肪酸の腸粘膜バリヤー機構におよぼす影響 1998 – 1999 【概要】
  264. 炎症免疫反応の神経・内分泌系による制御とその破綻による消化管粘膜障害に関する研究 1998 – 2000 【概要】
  265. ヒト大腸電気刺激による脳・腸機能相関の生理と病態生理 1995 【概要】
  266. ヒト脳-腸機能相関における視床下部ペプチドの役割 1994 【概要】
  267. 平滑筋細胞レベルからみた消化管運動の研究 1994 – 1996 【概要】
  268. ヒト消化管運動-脳機能相関の生理と病態生理 1993 【概要】
  269. 中枢性消化管機能調節に関する基礎的検討 1993 – 1995 【概要】
  270. 過敏性腸症候群における中枢神経-消化管運動の相互作用 1990 【概要】
  271. 過敏性腸症候群の全消化管運動に対する情動ストレスの影響 1989 【概要】
  272. 過敏性腸症候群の病因に関する研究(運動機能と分泌機能、ならびに両者の関連についての病態整理学的検討) 1988 – 1989 【概要】
  273. 胃腸疾患における脳消化器管ペプチドの免疫細胞化学的研究 1986 – 1987 【概要】
  274. 拘束ストレス法による過敏性腸症候群の動物実験モデル作製およびその薬理学的検討 1984 【概要】

ビタミンCとは

ビタミンCとは

ビタミンCは、ビタミン13種類の中でも一番有名だと思います。働きは大きく2つ。一つは抗酸化作用。2つめは、コラーゲンを水酸化(ーOH基をつける)する反応に必要な補酵素として。コラーゲンは水酸化されて初めて正常な機能を持ちます。コラーゲンは、歯肉(歯ぐきのこと)など結合組織を構成する重要な成分。ビタミンC欠乏症は、壊血病(かいけつびょう)とも呼ばれ、歯肉炎や皮下出血などの症状を呈します。

ビタミンCの構造

ビタミンC(アスコルビン酸)の構造式(ChemSketchから)

  1. 【解ければ化学者】ビタミン C はどれ? ケムステーション

壊血病の症状と名前の由来

血管は場所によって太さが違います。細い毛細血管の場合は、一番内側は血管内皮細胞で、その外がわには「血管壁」を構成する細胞があります。血管内日斎藤と血管壁の細胞の間には「基底膜」と呼ばれる膜があり、基底膜はコラーゲンでできています。もっと太い血管の場合は、内膜、中膜、外膜という三層構造をしており、外膜と中膜はコラーゲンやエラスチンでできています。これ‐減は血管を構成する非常に重要なタンパク質なのです。

  1. カラダをつくり、キレイをつくるコラーゲン 資生堂コラーゲンラボ

壊血病とは血管がもろくなり出血する病気です。口や鼻から多く出血し、いかにも血液が壊れていくような症状であったことから壊血病と呼ばれるようになりました。(ビタミンCの必要性~歴史から見るビタミンC~ 分子生理科学研究所)

  1. ビタミンC欠乏症(壊血病)(MSDマニュアル家庭版)
  2. 大航海時代に船員が斃れまくった壊血病~解決したライム野郎って?2022/09/27

補因子としてのビタミンCの働き

ビタミンCは、ジオキシゲナーゼという水酸化酵素の補因子としても重要です。ビタミンC欠乏症(壊血病)で血管がもろくなるのは、血管を構成するコラーゲン繊維ができなくなることが原因です。コラーゲンは、プロリンとリシンが水酸化されることで繊維構造をつくれるようになります。

  1. ビタミン C は酵素反応の補因子として多様な生理作用を発揮する 2020年
  2. ビタミンCの真実 東京都健康長寿医療センター研究所 分子老化制御 石神 昭人

 

細かい話ですが根源的な部分を知れば、全体が統一的に理解できるようになります。まさに生化学は医学の土台ですね。

  1. ビタミンCはコラーゲンのプロリンとリシンの水酸化に必要な補酵素
  2. 水酸化されたコラーゲンは3量体を形成して繊維構造をとることができる。
  3. コラーゲンは結合組織の重要な成分であり、歯ぐき(歯肉)や血管の壁、その他、臓器と臓器、組織と組織を結びつけるような場所に必要。
  4. ビタミンC欠乏症(壊血病)では、コラーゲンが繊維構造をつくれなくなるため、血管がもろくなり出血しやすくなる。歯ぐきが弱くなり歯が抜ける。

細胞分化におけるビタミンCの役割

  1.  Ascorbate regulates haematopoietic stem cell function and leukaemogenesis. Nature. 2017; 549: 476-481
  2. Restoration of TET2 Function Blocks Aberrant Self-Renewal and Leukemia Progression. Cell. 2017; 170: 1079-1095.e20 Notably, exogenous vitamin C promotes DNA demethylation in embryonic stem cells (ESCs) and induced pluripotent stem cells (iPSCs) (Chung et al., 2010, Esteban et al., 2010) and dramatically enhances 5hmC levels in a TET-dependent manner (Blaschke et al., 2013, Chen et al., 2013, Yin et al., 2013).

ひきこもりの子供が振るう親や兄弟に対する家庭内暴力の原因と対処方法

家庭内暴力を止める方法

暴力と引きこもりは、親和性が高い

一過性の暴力

  • 50%程度に一過性の暴力
  • 親が自分をコントロールしようとしていることに非常に敏感で怒りを感じる
  • 本人の人格を否定したり、怠け者扱いをしたり、「早く仕事をしろ」などと追い詰められると、それに対する反発として暴力が起こる
  • 家族に、本人に対する批判や否定をやめてもらう

慢性的な暴力

  • 10%弱のケースに慢性的な暴力
  • 慢性型の暴力は比較的やっかい
  • これまでの人生に対してすごく否定的な思いが渦巻いていて、他責的になりやすい。親にぶつけずにいられなくなってしまう これが慢性的な暴力の根源
  • 親に「自分の苦しさを味わえ」「共感せよ」と言っている
  • 根源にあるのは怒りや攻撃性というよりは悲しみでありその悲しみを分かってほしいという思い

参照元:家庭内暴力、止める方法あります 精神科医の斎藤環(たまき)筑波大教授 2019年6月20日 5時30分 朝日新聞DIGITAL

自分を情けないと思う心理

ひきこもり、家庭内暴力、自分を情けないと思う人を解説 / Explaining people who think they are pathetic
 親が学校の先生や医者だったりする場合は要注意

 

参考ウェブサイト

  1. ひきこもりにみられる症状と対応 愛知県
  2. 「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について 平成15年7月28日
  3. 家庭内暴力 斎藤 環 (精神科医 筑波大学教授 こころのドア船橋スーパーバイザー)(こころのドア船橋 千葉県船橋市)精神病、すなわち幻覚や妄想などをともなわないものは適切に対応すればほとんどは解決可能 ゆっくり眠る時間すら奪われてしまいます。真夜中に叩き起こされ、本人が唐突に思い出した昔の恨みつらみを何時間でも延々と聞かされます。 精神分析家の神田橋條治氏が指摘するように、家庭内暴力の背後にある感情は、「憎しみ」ではなく「悲しみ」 本人にとってどんなことが刺激になりうるかを正確に知っておく 断定的な話し方 共感的に理解 他人を介在させる 本人は、他人が入り込むことをひどく嫌うのですが、いったん受け入れてしまうと、それが暴力を鎮めるきっかけになりやすい 家庭内暴力の場合、家族が通報して警察官が駆けつけてみると暴力はすっかりおさまっていることがほとんど
  4. 子どもの引きこもりを解決!家庭内暴力から脱出する3ステップ ニュースタート

ビタミンAとは?構造、作用

ビタミンは13種類あり、9つは水溶性、4つが脂溶性です。脂溶性ビタミンのうちの一つがビタミンAです。化合物の名称は、レチノール。名前が示すように網膜(レチナ)に関係し、オールという語尾からわかるようにアルコールつまり水酸基(-OH)を持っています。

ビタミンA(レチノール)およびビタミンA誘導体の構造

レチノール(ビタミンA)が酸化されるとレチナールになります。水酸基ーOHがアルデヒドーCHOになった形です。レチナールのアルデヒドがさらに酸化されてカルボキシ基になったものがレチノイン酸です。レチノール、レチナール、レチノイン酸は合わせてレチノイドという総称でも呼ばれます。

  1. Vitamin A (Retinol) (vivo.colostate.edu)

ニンジンなどの野菜にふくまれるβカロチンはレチノイドが2つ合わさった形をしており、プロビタミンAと呼ばれます。プロは前という意味なので、ビタミンAの前段階の化合物という意味です。ビタミンAを食事から摂取する方法に関していえば、動物性食品からビタミンAを直接接種するだけでなく、野菜などからβカロチンを摂取してもいいというわけです。βカロチンは体内で半分に分解されてビタミンAとして働きます。

 

ビタミンAの生体内の働き方は大きく分けると2つあります。一つは視細胞において、光を受容する働きです。私たちが物を見ることができているのは、ビタミンA誘導体レチナールが光を吸収しているのからです。二重結合の両側がトランスの配向かシスかということですが、光を受容するとトランスが11-シスになります。炭素の番号のつけ方は、6員環のメチル基が2つついた炭素が1番で、反時計回りに2,3,4,5,6、枝のほうに出て、7,8,9,10,11,12,13,14、15です。メチル基の枝は無視して、主鎖に最初に番号を振っていきます。上の図で11番と12番の間の二重結合に関してシスに変化しています。

  1. A Quantum Chemical Study of the Retinal of Squid Rhodopsin Fig. 15

もう一つの働き方は、細胞を分化させるなどの細胞の運命を調節する働きです。

ビタミンAの構造式をどうやって覚えるかですが、6員環から枝が伸びていて二重結合が全部に入ると思えばいいでしょう。主鎖の炭素が15番までと覚えて、あとは視覚的にメチル基の枝の場所を覚えられるのではないかと思います。

視細胞におけるビタミンA誘導体レチナールの働き

ビタミンAの働きは何かというと、ひとつはレチナ(網膜)で光を感じるのに必要です。私たちは普段、目でものをみていますが、これは外界から入ってきた光を捕獲しているということにほかなりません。光を捕獲する物質こそがレチナールなのです。光を受け取る前はシス型になっていますが、光を受け取るとオールトランス型に変わります。レチナールはオプシンというタンパク質に結合しており(レチナールが結合した桿体細胞のオプシンをロドプシンと呼ぶ)、レチナールが光を受容して形がかわったことで視細胞の膜状にあるロドプシンは細胞内へシグナルを伝えます。視細胞は、この変化を電気的な活動に変換します(過分極応答)。これが私たちがものを見えているときに起きている現象なのです。錐体細胞も同様で、オプシンに11-シスレチナールが結合しています。錐体のオプシンは3種類あり赤、緑、青の色覚を受け持っています。ロドプシンは色は感じません。同じレチナールが同じようにオプシンに結合しているのになぜ違う色が見えるのかはかなり不思議なことですが、それぞれのオプシンの違いがレチナールの周囲の環境の違いとなって、吸収される波長が変わるのだそうです。

Though all of these opsins bind the same 11-cis-retinal chromophore, their absorption properties are uniquely modulated by the protein environment and its coordinated water molecules of each of the opsins to produce the set of pigments that enable color vision []. (The photochemical determinants of color vision Bioessays. 2014 Jan; 36(1): 65–74.)

The dominant physical mechanism responsible for the opsin shift in color vision is the interaction of dipolar amino acid residues with the ground- and excited-state charge distributions of the chromophore.How color visual pigments are tuned Gerd G. Kochendoerfer, Steven W. Lin, Thomas P. Sakmar, Richard A. Mathies Volume 24, Issue 8, 1 August 1999, Pages 300-305 Journal home page for Trends in Biochemical Sciences Review )

  1. 第1回 色覚はなぜ、どのように進化してきたのか ナショナルジオグラフィック
  2. 哺乳類の眼においての光情報伝達 光受容細胞 (photo1.biophys.kyoto-u.ac.jp/)

 

胚発生におけるレチノイン酸の働き

目で光を感じるときにレチナール(ビタミンAの誘導体)が必要なことから、ビタミンAが欠乏すると光を受容する感度が下がってしまい、暗い場所や光が少ない夜間にはものがみえない夜盲症という病気になります。しかし、ビタミンAの重要性は、視覚での働きだけではありません。胚の発生にも重要な働きがあります。レチノイン酸には催奇性があり、妊婦がビタミンAを過剰に摂取すると、奇形児になる恐れがあります。多すぎもダメなんですね。

  1. 動物の体作りに重要なレチノイン酸の可視化に成功—脊椎動物の胚でレチノイン酸が直線的な濃度勾配を形成— 平成25年4月8日 独立行政法人 理化学研究所 独立行政法人 科学技術振興機構 <原論文情報> Satoshi Shimozono, Tadahiro Iimura, Tetsuya Kitaguchi, Shin-ichi Higashijima & Atsushi Miyawaki “Visualization of an endogenous retinoic acid gradient across embryonic development” Nature,2013, doi: 10.1038/nature12037

 

皮膚の細胞におけるレチノイン酸の働き

レチノイン酸はまた、皮膚の細胞を分化させ角質のタンパク質であるケラチンを発現させる働きもあります。

When human keratinocytes are grown on their dermal equivalent (fabricated collagen lattices), physiologic concentrations (1–10 nm) of RA result in an epithelium very similar to that in normally keratinized epidermis (Retinoic Acid-Induced Epidermal Transdifferentiation in Skin J. Dev. Biol. 2014, 2(3), 158-173; https://doi.org/10.3390/jdb2030158)

  1. Regulation of keratin expression by retinoids Dermatoendocrinol. 2011 Jul-Sep; 3(3): 136–140. Published online 2011 Jul 1. doi: 10.4161/derm.3.3.15026 PMCID: PMC3219164 PMID: 22110773
  2. Retinoids as important regulators of terminal differentiation: examining keratin expression in individual epidermal cells at various stages of keratinization. R Kopan, G Traska, E Fuchs Crossmark: Check for Updates Author and Article Information J Cell Biol (1987) 105 (1): 427–440. July 01 1987  https://doi.org/10.1083/jcb.105.1.427
  3. 表皮ケラチノサイトのビタミンA結合蛋白に関する実験的研究 研究課題 サマリー 研究課題/領域番号 61570492 研究種目 一般研究(C) 1986年 ビタミンAには表皮の分化調節作用があることは明らかである、この作用は細胞内のレセプター蛋白を介して発現すると考えられている。

 

ビタミン誘導体の薬理作用

ビタミンAは生体内で多彩な働きをしていることからビタミンAに関連した薬物を治療薬として使うという戦略があります。

  1. ビタミンA関連医薬の現状と展望 香月博志 熊本大学大学院生命科学研究部薬物活性学分野教授 ファルマシア Vol.51 No.3 2015

 

ビタミンAに関する参考記事

  1. Vitamin A (Oregon State university Linus Pauling Institute » Micronutrient Information Center)
  2. Vitamin A: β-Carotene (LibreText Chemistry)
  3. Mechanisms of Transport and Delivery of Vitamin A and Carotenoids to the Retinal Pigment Epithelium Mol Nutr Food Res . 2019 Aug;63(15):e1801046. doi: 10.1002/mnfr.201801046. Epub 2019 Feb 14. Vision depends on the delivery of vitamin A (retinol) to the retina. Retinol in blood is bound to retinol-binding protein (RBP).