胎児期におけるヒトの顔の発生

顔の発生

この動画は素晴らしい。まずはこれを眺めて、発生過程において顔がパズルが合わさるようにして形成されることを実感し、それから教科書を読んだり下の動画解説を見るのがいいと思います。

Face Development in the Womb – Inside the Human Body: Creation – BBC BBC チャンネル登録者数 1450万人

顔の発生に関する講義動画

下の動画は、発生途上のどの構造が顔のどの部分になるかがわかりやすく説明されていました。

Development of the Face and Palate 浸透 チャンネル登録者数 335万人 (1:49〜から鰓弓の話)

上の動画にでてきた「部位」の名称や説明をざっとまとめておきます。

  • primitive pharynx
  • branchial arches (pharyngeal arches)
  • ectomesenchyme: neural crest cells from rhombomeres 1 and migrate to and infiltrate into the mesodermal tissues in the brahcial arches to make ectomesenchyme
  • branchial grooves:外側からみたときの鰓弓と鰓弓の間のくぼんだ部分
  • pharyngeal pouches:内側からみたときの鰓弓と鰓弓の間のくぼんだ部分
  • maxillary process: branchial arch I が2つに分かれたうちの一つ(前方側)。
    • upper lip: 第6週の終わりにはmaxillary processesとmedial nasal processが癒合してupper lipを形成する。
  • mandibular process:branchial arch I が2つに分かれたうちの一つ(後ろ側)。左右に存在するが中心側に伸びて左右がつながって、一続きの構造になる。発生が進むと、この部分がlower Jawになる。すべての下唇この部分から作られる。また、maillary processと癒合することにより、cheeksが形成される。
  • 第4週に顔の形成が始まる
  • frontal prominence:
  • nasal placodes(プラコードというのは一般的に、外胚葉の肥厚の呼称です): frontal prominenceの一部からできる
  • 第5週にnasal placodesの中胚葉組織が増殖して膨らみをつくる。medial nasal processとlateral nasal processと呼ばれる。
  • frontonasal process: 鼻が形成される時期にはfrontal prominenceはfrontonasal processと名前を変える。
    • medial nasal process:馬蹄を下に向けたような構造の中心側半分
      • intermaxillary segment: 左右2つのmedial nasal processsが中心にきて真ん中で、intermaxillary segmentを形成する。その後、intermaxillary segment は以下の4つの形成に寄与する
        • bridge of the nose
        • philtrum of the lip
        • 4 upper incisors
        • primary palate
    • lateral nasal process:外側半分. 発生が進むと、lateral nasal wallになる。
  • nasal pits:
  • naso-optic groove:発生が進むと、外胚葉組織によって覆われる。nasolacriminal ductを形成する
  • bucconasal groove: (ばっこ ねいざる ぐるーぶ)
  • nasal cavity:鼻腔
  • oral cavity:口腔
  • palate: 口の中の上側の壁の部分。口蓋。
  • stomodeum
  • nasal sac
  • oronasal membrane
  • primitive choana(ぷりみてぃぶ こーえいなー):nasal cavity とoral cavityをつなぐ部分。
  • primary palate
  • incisive foramen
  • palatine shelves
  • tongue
  • nasal septum
  • secondary palate: 第12週までにできる

DPES EarlyEmbryonicFacialDevelopment Faculty of Dentistry, University of Toronto チャンネル登録者数 1.33万人 (神経堤細胞の説明1:53〜)

もうひとつ、わかりやすそうな動画を見つけました。

Development of the Human Face – Embryology DentalManiaK チャンネル登録者数 4.69万人

この動画の説明の仕方は自分にとっては非常にわかりやすいものでした。たった3分で顔の発生のまとめがわかります。

  • processはprominenceと呼ばれることもある。

Special Embryology – Development of the face dissectors チャンネル登録者数 1.74万人

Embryology of the Face (Easy to Understand) Dr. Minass チャンネル登録者数 8.19万人

頭と顔を構成する骨:脳頭蓋と顔面頭蓋

頭蓋は、脳が内部にある脳頭蓋と、顔の部分である顔面頭蓋の2つに大別されます。

脳頭蓋(のうとうがい)は、8個あります。

  1. 前頭骨
  2. 頭頂骨(左右)
  3. 側頭骨(左右)
  4. 後頭骨
  5. 蝶形骨
  6. 篩骨

顔面頭蓋は9種15個(左右対になっているものがあるので)からなります。

顔面頭蓋(がんめんとうがい)

顔面頭蓋 viscerocranium (9種15個)

  1. 鼻骨 nasal bone 有対
  2. 鋤骨 vomer 無対
  3. 涙骨 lacrimal bone 有対
  4. 下鼻甲介 inferior nasal concha 有対
  5. 上顎骨 maxilla 有対
  6. 頬骨 zygonatic bone 有対
  7. 口蓋骨 palatine bone 有対
  8. 下顎骨 mandible 無対
  9. 舌骨 hyoid bone 無対

参考

  1. 顔面頭蓋 (がんめんとうがい、英:viscerocranium) VISUAL ANATOMY
  2. 頭蓋骨を構成する骨と縫合 高津整体院

鰓弓(さいきゅう, branchial arch)/咽頭弓(いんとうきゅう, pharyngeal arch)の構造

鰓弓は咽頭弓とも呼ばれる。鰓(エラ)に分化するわけではないので、咽頭弓という呼称のほうが適切とする考え方がある。

  • 脊椎動物の発生において咽頭部に生じる、支柱状に突出した形態物。
  • 外側は外胚葉上皮、内側は内胚葉上皮に覆われており、内部を神経堤細胞と中胚葉の間葉が満たす。
  • 各咽頭弓の間は咽頭裂と呼ばれ、将来の鰓裂になる。陸上生活を行う多くの四肢動物では各弓の間は、咽頭の内外で溝状の構造として残る外胚葉上皮が溝状にくぼんだ構造は特に咽頭溝と呼ばれる。
  • 各咽頭弓の間で、咽頭内胚葉上皮が体の外側へ向かって嚢状に膨出した構造を咽頭嚢と呼ぶ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/咽頭弓

鰓弓とそれによってできる器官

第1鰓弓第2鰓弓下あご、口、耳などを作るもとなります。https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/kuchi/saikyu.html

  1. 第1第2鰓弓症候群・小耳症による顔面変形の治療 東京警察病院 形成外科・美容外科

顎骨をふくむ頭蓋顔面骨の多くは神経細胞由来であり、腸骨を含む体幹や四肢の骨の多くは中胚葉由来である。

KAKEN

下顎骨と上顎骨の発生における類似性 明らかに、上顎骨と下顎骨の間でそれらの発生について興味深い比較が行われている(Dixon,·1957年)。それらの意義は、過大評価されている可能性もあるが、顔面隆起の外胚葉性間葉由来であること、骨化に先立ち上皮-間葉の相互作用が必要 https://www.quint-j.co.jp/books/browse/other/2024/2401_gakuganmen/pageindices/index4.html#page=4

Pharyngeal Arches and its Derivatives – MASTER pharyngeal arches in LESS than 7 minutes ONLY! DentalManiaK 39.3K subscribers

  1. https://youtube.com/shorts/HoOIRMz2RSA?si=Z0ZwntN1O9XXvL98 数秒のアニメーション。顔が作られる様子
  2.  Development of face and palate HD Videos チャンネル登録者数 283人 https://www.youtube.com/watch?v=oz1kJexvEFE

顎(あご)の進化

円口類の一種であるヤツメウナギには、普通のサカナである顎口類のような顎はない。そのため無顎類とも呼ばれるが、口が吸盤のような構造をしていて

鰓弓のうち、前方のものが発達して、上下の顎骨になった、というのが脊椎動物の顎の”はじまり物語”とされている

https://gendai.media/articles/-/79383?page=2

(上顎骨は鰓弓由来ではないのでは?)

上顎の発生

Development Of Maxilla – EmbryologyDentalManiaKチャンネル登録者数 4.69万人

下顎の発生

Development of the Mandible – Embryology [ Learn it in the most SIMPLE way] DentalManiaK 39.3K (4:00)

Development of Mandible | Anatomy and Embryology for Medical Students sqadia.com チャンネル登録者数 10.5万人

論文

  1. A new origin for the maxillary jaw (PDF) 2004年

口蓋 palateの発生

Development Of Palate || Embryology || Easy Explaination || Cleft Palate || Defective Development Knowing Anatomy チャンネル登録者数 10万人

舌の構造

舌(ぜつ、した)は、動物の口の中にある器官。脊椎動物の舌は、筋肉でできた突起物である。https://ja.wikipedia.org/wiki/舌

舌は筋肉からできていて、その筋肉は中胚葉由来のようです。

解剖学的記載は「全ての舌筋は後頭体節に由来する中胚葉から発生し、舌下神経に支配される」とされている。http://douken.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20160906174906-88C33B81B56F727295145970BA381F950612515FA9CDD93589F07BB1FEB16D14.pdf

舌の発生

舌体部の起源については,第1鯉弓にある1対の隆起の融合によるとするもの(Dursy1),Kolliker2)), 第1鰓弓と第2鰓弓との境界部に由来するとするもの(Reichert3),Hammer4),His5り)),tuberculumimparに由来するとするもの(His6)),などの他に外側舌隆起とtuberculumimparとの融合によるとするもの(Kallius7),McMurrich8))などがある.教科書的には外側舌隆起とtuberculumimparとの融合によるが,一般にtuberculumimparは一過性の隆まりにすぎず,舌にとって重要な構成要素ではないという考え方になっている(Hamilton9),Arey10))という記載がある.

舌根部については,第2鰓弓だけから生ずるとするもの(Reichert,Hammer,Born11)),第2鰓弓と第3鰓弓とに由来するとするもの(His6)),第2鰓弓とcopulaとに由来する(Arey),あるいは第3鰓弓の中胚葉が上皮下で移動し,第1鰓弓の中胚葉と融合する(Hamilton)という記載がある.

〔原著〕ヒトの舌発生についての研究 日本医科大学第1解剖学教室(主任:中村逸雄教授)(指導:横尾安夫名誉教授)横尾敦夫* 日医大誌第37巻第6号(1970)(383)―1

消化管の上皮細胞は内胚葉由来であるが,口腔内の粘膜や歯は外胚葉由来であるため,舌上皮も外胚葉由来と混同されやすい.しかし,最近の系統追跡実験などから舌上皮に存在する味蕾やその構成細胞である味細胞は同じ内胚葉由来であるとわかってきた. https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=629

副甲状腺の発生

  • 四足動物はカルシウムを食餌からしか得ることができないので、骨にカルシウムを蓄積し、濃度が低下する度に血液中に適量溶かし出す必要がある。副甲状腺は、血液中のカルシウム濃度を監視し、副甲状腺ホルモンを血液中に分泌して全身の骨からカルシウムを溶かし出し、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ司令塔なのである。
  • 脊椎動物の上陸時に、首の中に副甲状腺が現れた。一方消えていったのは、肺呼吸で不要になったエラである。
  • 3番目の咽頭嚢は胸腺(免疫細胞の分化に関わる)と副甲状腺を、4番目は副甲状腺のみを産み出し
  • 解剖学的に魚類には副甲状腺がない
  • 哺乳類で、咽頭曩から副甲状腺が形成される過程は、Gcm-2という遺伝子によって制御されている
  • ゼブラフィッシュ胚におけるGcm-2の機能を抑制したところ、鰓芽が発生せず魚類においてGcm-2はエラの形成に必要
  • Gcm-2という遺伝子は元来エラの発生に必要な遺伝子であり、陸上に上る時にその機能を副甲状腺の発生に転用したと考えてよさそう
  • ゼブラフィッシュ胚で調べてみた。2つの副甲状腺ホルモンカルシウム感受性受容体はどれもエラで作られていることがわかった
  • 発生学的にも、生理学的にも、エラと副甲状腺はよく似た存在であると考えることができ、副甲状腺がエラから進化してきた可能性

新天地を目指して ―陸上への引っ越しと器官のリサイクル 岡部正隆 東京慈恵会医科大学 DNA医学研究所 JT生命誌研究館

  1. Duplicated zebrafish co-orthologs of parathyroid hormone-related peptide (PTHrP, Pthlh) play different roles in craniofacial skeletogenesis Yi-Lin Yan, Poulomi Bhattacharya,1 Xin Jun He, Bhaskar Ponugoti,1 Ben Marquardt,1 Jason Layman,1 Melissa Grunloh,1 John H. Postlethwait, and David A. Rubin1 J Endocrinol. 2012 Sep; 214(3): 421–435. Published online 2012 Jul 3. doi: 10.1530/JOE-12-0110 PMCID: PMC3718479 NIHMSID: NIHMS488120 PMID: 22761277 Parathyroid hormone (PTH) acts as the main hypercalcemic hormone while PTH-related protein (PTHrP, official human symbol PTHLH (PTH-like hormone) and referred to as Pthlh in this manuscript), is essential for embryonic development, differentiation, and tissue patterning (). Unregulated paracrine secretion of Pthlh is associated with a type of tumor that results in elevated blood calcium levels, a condition called humoral hypercalcemia of malignancy (HHM), while regulated secretion of Pthlh during mouse embryogenesis is essential for the developmental patterning of cartilage, bone, teeth, CNS, pancreas, and other tissues ().

単語

上顎(じょうがく):上(うわ)あごのこと。

下顎(かがく):下あごのこと

皮骨(コトバンク):膜骨とも呼ばれる。はじめ軟骨として発生し,それが骨化してできる骨を軟骨性骨または置換骨というのに対して、軟骨をへずに真皮中に直接形成される骨を皮骨または膜骨という。

顔の発生講義動画

  1. Development of the Face and Palate 浸透 チャンネル登録者数 310万人 (8:16)
  2. Development of the Human Face – Embryology DentalManiaK 39.3K (3:16)