脳脊髄液漏出症とは

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脳やせき髄を覆う膜

硬膜とは脳脊髄を包んでいる硬い膜である。硬膜の下の構造はくも膜軟膜、脳/脊髄実質が存在している。硬膜・くも膜・軟膜を合わせて髄膜と呼ぶ。硬膜は脳や脊髄を外傷や感染から守っている役割を果たす。脳を包んでいるのが脳硬膜、脊髄を包んでいるのが脊髄硬膜である。

硬膜 - 脳科学辞典

髄膜の発生

  • 軟髄膜 (leptomeninx)
  • 髄膜のうちくも膜と軟膜は合わせて leptomeninx と呼ばれる
  • 軟髄膜は硬膜と脳表との間に位置し脳脊髄血管を包埋し、神経組織の機械的支持性や生理的機能に関わり、病態の理解の上で重要である
  • Harvey&Barrの報告以降[22]、髄膜は神経堤と中胚葉のdouble origin で、鳥類[23]、哺乳類[24]の前脳の髄膜はneural crest由来、後脳および脊髄は中胚葉由来であり、髄膜の血管は場所に限らず中胚葉由来と考えられてきた。しかし最新の分子マーカーを使用した研究では部位に限らず鳥類、哺乳類ともに髄膜はneural crest 由来で中胚葉は髄膜の血管の形成に寄与しているとの報告もある[25]。
  • 髄膜の発生はneural crest もしくは中胚葉の細胞が神経管周囲にCarnegie stage 10-11(受精後22-24日)ごろに移動することではじまる。
  • Stage 11-12(24-28 日)ごろに脳や脊髄周囲に血管の形成が始まる。
  • Stage 14-15(33-36 日)ごろには脳全体が疎な結合組織である primitive meninx に取り囲まれる

https://nicheneuroangio.com/pdf/2023nnac/202301mizutani.pdf

脳脊髄液漏出症とは

脳脊髄液漏出症は、外傷等により脳脊髄を覆っている膜が損傷を受け、脳脊髄液が漏れ出すことにより頭痛、頚部痛、めまい、倦怠感、不眠、記憶障害などさまざまな症状を呈する疾患です。
平成24年6月、厚生労働省により、脳脊髄液漏出症の疾患概念と画像診断基準が取りまとめられるとともに、この疾患に対する治療法である硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が先進医療と定められ、平成28年4月からは脳脊髄液漏出症(関連学会の定めた診断基準において確実又は確定とされたもの)に対して、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)による治療を行う場合に保険適用されることになりました。

脳脊髄液漏出症について 東京都保健医療局

脳脊髄液漏出症の罹患率

  • 脳脊髄液漏出症ついては『この病態は滅多にない』とする報告もある一方で『稀ではない』と報告する施設もあり、一般外来レベルでの頭痛診療で苦慮することが多い。
  • 当院開業後3年2か月の間に経験した脳脊髄液漏出症患者について検討し頭痛関連患者数に占める割合について調査した。
  • 当院における総受診者数6,644名のうち頭痛関連で受診されたのは3,186名(48.0%)であった。
  • 当院は脳神経外科、神経内科、内科を標榜しており頭痛を主訴に受診される患者さんの割合が一般内科と比べてはるかに多いと考えられる。
  • 初診患者5,335名に占める頭痛患者数2,191名(41.1%)。このうち起立性頭痛を訴えて来院され、その経過や画像診断から脳脊髄液漏出症と判断した症例は4例であった。これは頭痛で受診した患者の0.12%、総初診者数に対しては0.06%である

http://csfleak.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20170219021339-EA919456185AA4DC6083DC1F17168CE98D13716C1C62C0288D142B4AD446E4A0.pdf

  • 脳脊髄液漏出症は起立性頭痛を中心とした症状を訴える疾患である.
  • 特発性では 1/2~5 万人/年,外傷性では骨折・脱臼のない頚椎捻挫患者において2人/100事故の割合と報告され,いずれも発症機転や原因を有し,頭痛の出現時期が明確な場合が多い.
  • 機序は硬膜破綻による脊髄髄液漏であるが,原因には硬膜脆弱性など内的因子や交通外傷の報告がある.
  • 症状は起立性頭痛が特徴的であるが,一般に両側性の重い頭頸部痛である.加えてめまい,嘔気,視覚症状,聴覚症状,倦怠感などをきたす.

http://csfleak.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20170219021339-EA919456185AA4DC6083DC1F17168CE98D13716C1C62C0288D142B4AD446E4A0.pdf

 

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