因果関係と相関関係:研究のデザイン

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科研費の申請書には、よく「AがBに関与しているかどうかを検証する」という研究目的とともに、AとBの頻度を調べるという実験計画が示されていたりします。もしAとBともに数値データとして得られるのであれば、散布図を描くと直線状に乗るというイメージです。もしどこかで高低を分けて、分割表に書けば

|    Bが低値 Bが高値

Aが低値 8    2

Aが高値 1    9

と言った感じになります。これにより、AがBに関与している(Bを生じさせている)と言えるでしょうか?もちろん、言えません。「相関関係」があると言えるだけで、「因果関係」に関しては何も言えないわけです。Aが原因でBが結果なのかもしれないし、逆に、Bが原因でAが結果として生じているのかもしれません。

因果関係を実証する理想的な実験デザインとしては、AとBの両方が起きているときに、Aを取り除くとBが起きなくなること(AはBの必要条件)、また、AとBのどちらも起きていないときに、Aを生じさせると、Bも生じること(AはBの十分条件)を示す必要があります。

科研費申請書の研究計画で、このあたりをうやむやにして「関与を調べる」と書いていると、おそらく採択される可能性は低いだろうと思われます。

参考記事

相関関係と因果関係
ある研究者が,低コレステロール血症は胃癌の発生率と高い相関があり,低脂血症が危険因子であると警告を発したが,結果的には癌が低コレステロール血症を引き起こしていたことが判明した2)。このように,相関があることがそのまま因果関係があることにはならない。https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n1997dir/n2232dir/n2232_12.htm

 

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