中立説は非常に有名で名前だけはよく知っていましたが、今一つそれが何なのか、高校の生物で習ったダーウィンの自然選択説とどう折り合いがつくのか、つかないのかよく分からないままに今までしてきました。最近読んだ本に、明確な説明があったので紹介しておきます。この本では「中立説」ではなく「中立論」と呼んでいます。説というとまだ仮説みたいに響きますが、これはもう正しい理論だから論と呼ぼうという著者の態度の現れです。
- 【「進化=自然選択」だと思っていませんか?】進化学のこれからについて学ぶ 2022/10/12 東京大学オープンコースウェア open courseware 現在の進化学では、なんでも自然選択理論で説明してしまうのは、正しくないだろうと考えられています。
- ダ ー ウ ィニ ズ ム に つ い て の 誤 解 1988年 科学基礎論研究
- ダーウィンの自然選択説に関する二つの疑惑 (学説の先取権争いに関すること)
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木村資生中立説とは(ダーウィンの自然選択説との違い)
- 淘汰論では、なんらかの意味で生存に有利な突然変異だけが進化の過程で生き残っていると考える。
- 突然変異が生じても生物が生きてゆく上であまり影響がないこともある。これらを「中立突然変異」とよぶ。
- 中立突然変異を持つ個体が子孫を増やせるかどうかは、「遺伝的浮動」と呼ぶ偶然に支配される。
- その結果、生き残る遺伝子の大部分は中立突然変異だというのが中立論の主張である。
- 中立論は、少数ながら生存に有利な突然変異が生き残っていることも認めている。
図17 中立論と淘汰論の違い 遺伝子は35億年の夢を見る 斎藤成也 大和書房
下の動画でも上の図と同じ説明をしていました。環境に有利なものが生き残り、与えられた環境で不利なものは死滅するという点では、自然選択説も中立説も変わりありません。大多数がどうなのか?というのが論点です。
Neutral Theory of Molecular EvolutionAnders Gorm Pedersen3.56K subscribers
なんと、中立説は今では高校生物で習うんですね。
中立説・遺伝的浮動【進化】 高校生物 矢口はっぴー 9.62K subscribers