脂肪酸合成の場所は細胞質?ミトコンドリア?

生化学の教科書には、脂肪酸のβ酸化はミトコンドリアのマトリックス内で起きるが、脂肪酸合成はβ酸化の逆反応として起こるわけではなくて、別の場所、すなわち細胞質で起こると説明されています。

ところがウィキペディアを見たら、

Two de novo fatty acid syntheses can be distinguished: cytosolic fatty acid synthesis (FAS/FASI) and mitochondrial fatty acid synthesis (mtFAS/mtFASII). https://en.wikipedia.org/wiki/Fatty_acid_synthesis

と書いていて、少し混乱させられましたので、ChatGPTに訊いてみました。以下が、その答えです。

教科書的・基本的な生化学の授業では、「脂肪酸合成は細胞質で起こる」と教えられるのが一般的です。これは「de novo脂肪酸合成(FAS/FASI)」に限った話です。


🔬 脂肪酸合成が「細胞質で」と教えられる理由(FAS/FASI)

  • 通常、生合成される**パルミチン酸(C16:0)**などの長鎖脂肪酸は、細胞質で以下の材料から合成されます:
    • アセチルCoA(出発点)
    • NADPH(還元力)
    • 脂肪酸合成酵素(FAS)複合体
  • この系は**「脂肪酸合成系(FAS, Fatty Acid Synthase)」**と呼ばれ、細胞質(cytosol)で機能します。
  • したがって、ほとんどの生化学の教科書ではこれを「脂肪酸合成」と定義しており、「細胞質で行われる」と説明されます。

🧬 Wikipediaにある「ミトコンドリア脂肪酸合成(mtFAS)」とは?

これは一般にはあまり知られていない第2の脂肪酸合成経路です。

✅ mtFASの特徴

項目 内容
場所 ミトコンドリア基質内
役割 **リポ酸(lipoic acid)**などの特定脂肪酸や補因子の合成
酵素系 細胞質とは異なり、**バクテリア型(FAS II)**の酵素が個別に働く
生理的意義 ミトコンドリア内の酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体など)に必要なリポイル基の合成に関与

📌 重要な点

  • mtFAS はエネルギー代謝に必須ですが、一般的な脂肪酸(例:パルミチン酸)」を合成するわけではない
  • したがって、教科書的な文脈では「脂肪酸合成=細胞質」と教え、mtFASは「特殊経路」として記載される程度。

🔍 まとめ

系統 略称 場所 主な産物 教科書での扱い
細胞質脂肪酸合成 FAS / FASI 細胞質 パルミチン酸などの長鎖脂肪酸 基本
ミトコンドリア脂肪酸合成 mtFAS / FASII ミトコンドリア リポ酸など補酵素脂肪酸 上級・特殊な話題
  1. α-リポ酸とは