ジャーナル自身が自己引用することによるインパクトファクターの押し上げ

MDPI社が発行するジャーナルSustainabilityのセルフサイテーションがひどいという論文をみかけました。

ジャーナル自身が自己引用することによるインパクトファクターの押し上げ

Journal Impact Factor = Citations in 2020 to items published in 2018 and 2019  / Number of citable items in 2018 and 2019

=  (18,186+20,818) /(4,815 +7,184)

= 39,004 / 11,999 = 3.251

Journal Impact Factor without self cites =(Citations in 2020 to items published in 2018 and 2019 − Self Citations in 2020 to items published in 2018 and 2019 ) / Number of citable items in 2018 (4,815) and 2019 (7,184)

= (18,186+20,818) – (4,066+6,677) / (4,815 + 7,184)

=(39,004 − 10,743)/11,999=2.355

(jcr.clarivate.com)

上の例でみると、10745/39004 = 27.5%がセルフサイテーションになっています。これによってインパクトファクターが押し上げられているわけですね。

  1. Sustainability (MDPI) 2020 JOURNAL IMPACT FACTOR 3.251

MDPI社の別の雑誌INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR SCIENCESで同様にみてみると、

2020 JOURNAL IMPACT FACTOR 5.923

JOURNAL IMPACT FACTOR WITHOUT SELF CITATIONS 5.356

とやはりセルフサイテーションの有無で大きな差があります。2年分の引用数61,237のうち自己引用が5,865件で、割合でいえば、9.6%になります。Sustainability誌ほどではないですが、IJMSも引用件数およそ10%がセルフの引用なんですね。他の出版社のジャーナルの場合はどうなのかを見てみますと、nature communicationsの場合、

2020 JOURNAL IMPACT FACTOR 14.919

JOURNAL IMPACT FACTOR WITHOUT SELF CITATIONS 14.526

であまり大きな差はありません。2年間の引用数157,111のうち 4,134件がセルフ。割合は2.6%に過ぎません。やはりIJMSの10%は大きな数字だと思います。