特017の5 訂正の補正

特許法

(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第十七条の五 特許権者は、第百二十条の五第一項又は第六項の規定により指定された期間内に限り、同条第二項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

2 特許無効審判の被請求人は、第百三十四条第一項若しくは第二項、第百三十四条の二第五項、第百三十四条の三、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

3 訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

 

プロンプト:

特許法第17条の5 第2項では、訂正の請求書を補正できると書いていますが、訂正を訂正するということなのでしょうか?するとこの場合、補正=訂正 ということになりますか?だとしたら、そもそも補正と訂正の違いは何なのでしょうか。

Gemini 3:

この条文は「一度出した『訂正』の内容を、後から『補正』という手続きで書き換える」ことを認めるルールです。「訂正を訂正する」という感覚は非常に正しいです。なぜわざわざ「補正」と「訂正」という言葉を使い分けているのか、その違いを整理しましょう。


1. 「補正」と「訂正」の根本的な違い

知財業界では、この2つは明確に区別されています。

項目 補正 (Amendment) 訂正 (Correction)
タイミング 主に出願中(特許になる前) 特許権の設定登録後(特許になった後)
目的 出願書類の不備を直したり、範囲を調整する 登録された権利に欠陥がある場合などに、後から直す
対象 手続中の書類全般(願書、明細書など) 特許権の「明細書、特許請求の範囲、図面」
条文例 第17条(手続の補正)、第17条の2など 第126条(訂正審判)、第134条の2(訂正の請求)

2. なぜ第17条の5では「訂正を補正」するのか?

ご質問の第17条の5第2項は、特許無効審判の中での話です。

  1. 訂正の請求(アクション): 無効審判を仕掛けられた特許権者が、「守りを固めるために、特許の内容を少し修正させてください!」と訂正の請求書を出します。

  2. 訂正した明細書等の補正(リアクション): しかし、後から「やっぱりさっきの修正案(訂正の請求書)だと不十分だった。修正案の文字をさらに書き換えたい」となることがあります。

このとき、「訂正の請求書という『書類』を書き換える手続き」のことを、法律用語で「補正」と呼ぶのです。

  • 訂正: 特許そのものを直そうとする行為

  • 補正: その「訂正の請求書」という書類の内容を後から修正する行為

つまり、「訂正(という手続)の内容を、補正(という手段)でブラッシュアップする」という関係性になります。


3. なぜ「補正=訂正」ではないのか?

もしここで「訂正の訂正」と呼んでしまうと、「どの時点の特許をベースに直しているのか」が混乱してしまうからです。

  • 訂正: 登録されている「元々の特許」が対象。

  • 補正: 特許庁に提出した「(訂正の請求書などの)書類」が対象。

第17条の5第2項は、「一度出した訂正のプラン(書類)を、指定された期間内なら微調整(補正)してもいいですよ」という猶予を与えている規定なのです。

[たとえ話]

  • 訂正: すでに完成して納品した「家(特許)」のリフォームを申し込むこと。

  • 補正: そのリフォームの「設計図(訂正の請求書)」に、後から「やっぱりここも直して」と赤字を入れること。


まとめ

  • 第17条の5第2項は、「訂正の内容をさらに修正する」ための規定。

  • 「補正」は書類を直す手段、「訂正」は登録後の特許を直す手続、という使い分け。

特許法は、このように「手続きの対象」が何であるかによって言葉を厳密に使い分けています。

特134の2 第5項 特許無効審判における訂正の請求

(特許無効審判における訂正の請求)
第百三十四条の二 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

2 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

3 前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

4 審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。

5 審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

6 第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

7 第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

8 第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。

9 第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

プロンプト:

  • とくに第5項がよくわからないから、説明してくれる?
  • 申立てって、誰が何を申し立てるの?
  • 無効審判を請求した人が、非請求者(特許権者)が出してきた訂正を読んで、さらに意義を唱えるということ?
  • そもそも、請求人が、特許権者が出した訂正にを読んで申立てをできるというのは特許法のどこに書いてある?

 

注意!

上のプロンプトを生成AI3つ(Gemini, Claude, ChatGPT)に投げたところ、Geminiはそもそも条文を取り違えてわけのわからない回答を出してきましたし、請求人が申立てできる根拠となる条文に関しては3者バラバラの回答でした。生成AIの回答は日本の法律に関しては、信頼性が落ちる場合があるようです。鵜呑みにはできません。

 

ChatGPT 5.2:了解です。ここは条文構造をほどいて読むと、一気に見通しがよくなります。
ポイントは「第5項は“誰が申立てるか”を定める条文ではない」という点です。


① 第134条の2第5項は「何を言っている条文か」

まず条文を一文ずつ分解します。

審判官は、
第一項の訂正の請求が

  • 同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、
  • 又は(準用される)第126条5~7項に適合しないことについて、
    当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

ここで言っていることは、かなり限定的です。

要するに

相手方が「その訂正はダメだ」と言っていなくても、
審判官は職権で「その訂正が許されるか」を審理してよい

という条文です。


② 「申立て」とは何か?誰がするのか?

結論から言うと

  • 申立てをするのは
    👉 原則として 無効審判の請求人(=特許を無効にしたい側)
  • 内容は
    👉 「その訂正は、許される訂正ではない」
    という主張です

具体的には、たとえば:

  • 減縮ではなく実質的に拡張している
  • 明瞭化の名を借りた実質的変更
  • 明細書のサポートがない
  • 新規事項追加(126条違反)

こうした点について
「訂正不適法である」
と主張することを、実務では普通にやります。


③ では「請求人が申立てできる」ってどこに書いてある?

ここ、すごく良い疑問です。

実は…

👉 第134条の2第5項は、
「申立て権」を新たに与えている条文ではありません。

根拠はもっと前にあります

1️⃣ 無効審判は「当事者対立構造」

  • 無効審判は 当事者系審判
  • 請求人と被請求人は「当事者」

👉 当事者は、相手方の主張・行為に対して反論できる
(これは審判制度の大前提)

2️⃣ 第126条(訂正審判)の準用(第9項)

第134条の2第9項で、

第126条第5項~第7項 等を準用する

とあります。

ここで準用される第126条関係は、

  • 訂正の適否
  • 新規事項追加禁止
  • 実質的拡張禁止

など、訂正の適法性を争う枠組みです。

👉 つまり
「訂正が適法かどうかを争うことが当然に予定されている」


④ じゃあ第5項は何を“追加”しているの?

ここが核心です。

第5項が言っているのは

相手方(請求人)が
「この訂正はダメだ」と言っていなくても、
審判官は“見逃さずに”職権でチェックしていい

ということ。

つまり、

  • ❌ 申立てがない=OK
    ではない
  • ⭕ 申立てがなくても
    審判官が自分で気づいたらダメと言える

という職権審理の明文化です。


⑤ なぜこんな条文が必要なのか?

理由は明確です。

訂正は「特許の存否そのもの」に直結する

  • 無効審判における訂正は
    👉 特許を“生き残らせる”最重要手段
  • 当事者の攻防だけに任せると
    👉 不適法な訂正がすり抜ける危険

だから、

公益的観点から、
審判官が職権でチェックできる

という仕組みを、
わざわざ第5項で強調しているわけです。


⑥ 手続の流れを図式化すると

  1. 被請求人(特許権者)が訂正請求
  2. 請求人がそれを読んで
    • 訂正不適法を主張してもいい
    • 主張しなくてもよい
  3. しかし
    👉 審判官は必ず適法性を審理
  4. ダメだと思ったら
    • 当事者に通知
    • 意見提出の機会付与(聴聞保障)

⑦ あなたの理解は合っている?

無効審判を請求した人が、
非請求者(特許権者)が出してきた訂正を読んで、
さらに異議を唱えるということ?

👉 はい、その理解で正しいです。

ただし、

  • それは
    第5項が認めているのではなく
  • 当事者構造と準用規定から当然に認められている

という点が重要です。


まとめ(超重要)

  • 第134条の2第5項は
    「申立て権」を定めた条文ではない
  • 趣旨は
    👉 申立てがなくても職権で訂正適否を審理できる
  • 請求人が訂正不適法を主張できる根拠は
    👉 無効審判の当事者構造 + 第126条等の準用
  • 実務では
    👉 請求人は普通に訂正不適法を争う

もし次に進むなら、
「なぜ無効審判での訂正は“審決確定まで”しかできないのか」
とか、訂正審判との制度的違いをやると、理解が一段深くなりますよ。

 

Claude Opus 4.5:いい質問ですね。第5項は確かに分かりにくい条文です。順番に整理します。

第5項の構造

審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

ここでの「申し立てない理由」というのは、職権審理の規定です。

何を「申し立てる」のか

まず前提として、訂正請求に対して請求人(無効審判を請求した人)が「この訂正は認められるべきでない」と主張できます。

例えば:

  • 「これは特許請求の範囲の減縮ではなく、実質的に拡張だ」
  • 「新規事項の追加だ」(126条5項違反)
  • 「独立特許要件を満たさない」(126条7項違反)

こういった主張を「理由を申し立てる」と表現しています。

第5項が言っていること

第5項は、当事者が指摘しなかった理由についても、審判官が職権で審理できるという規定です。

つまり:

  • 請求人が「新規事項追加だ」としか主張していなくても
  • 審判官が「いや、独立特許要件も満たしていないのでは?」と気づいたら
  • その理由でも審理して、訂正を認めないことができる

ただし、当事者が主張していない理由で訂正を認めない場合は、意見を述べる機会を与えなければならない(第5項後段)。

請求人が訂正に意見を述べられる根拠

これは主に以下の規定に基づきます:

  1. 第134条の2第4項:訂正請求書の副本を請求人に送達する
  2. 第134条第2項(審判における答弁)や審判の一般的な手続規定
  3. 第145条以下の審理手続全般

特許法には「請求人は訂正に対して意見を述べることができる」とは明示的には書いていません。しかし、無効審判は当事者対立構造の手続であり、訂正請求書が送達される(4項)のは、当然に反論の機会を与える趣旨です。審判便覧や実務上、請求人は訂正に対する意見書(弁駁書)を提出できます。

まとめると

第5項の「申し立てない理由」は、「当事者(主に請求人)が主張しなかった訂正拒絶理由」のことで、審判官がそれでも職権で審理できる、という規定です。

 

プロンプト:当事者又は参加人 って、どっち側?双方?

Claude Opus 4.5:はい、双方です。

「当事者」の意味

特許法における「当事者」は、審判の両当事者を指します:

  • 請求人(無効審判を請求した側)
  • 被請求人(特許権者側)

「参加人」の意味

審判に参加した第三者です(第148条以下)。参加人にも請求人側に参加する者と被請求人側に参加する者がいます。

第5項の文脈では

実際に訂正を認めるべきでない理由を「申し立てる」のは、主に請求人側です(訂正を認めてほしくないから)。

一方、被請求人(特許権者)が自分の訂正請求について「これは認められるべきでない」と申し立てることは通常ありません。

ただ、条文上は「当事者又は参加人」と書くことで、誰が申し立てたかに関係なく、また誰も申し立てなくても、審判官が職権で審理できる、という趣旨を明確にしています。

つまり、第5項のポイントは「誰が申し立てたか」ではなく、「申し立てがなくても審判官が自ら審理できる」という職権審理の権限を定めているところにあります。

 

プロンプト:「当事者又は参加人が申し立てない」:この「申立てない」当事者は審判を請求した側で、「審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与え」:この「申し立てる機会を与えてもらえる当事者は被請求人(特許権者)が主な対象ってこと?しかし当時者と書いているから、いずれにしても双方にってこと?

Claude Opus 4.5:

おっしゃる通りです。整理すると:

前段:「申し立てない」のは主に請求人側

訂正を認めるべきでない理由を積極的に主張するのは、通常は請求人側です。「この訂正は新規事項だ」「減縮になっていない」等。

後段:意見を述べる機会が重要なのは主に被請求人側

審判官が職権で「この訂正は認められない」と判断しようとするとき、被請求人(特許権者) にとっては不意打ちになります。自分が出した訂正が、請求人が指摘していない理由で拒絶されようとしているわけですから。

だから反論の機会を与える必要がある。これが後段の主な趣旨です。

ただし条文上は「当事者及び参加人」

条文が双方を対象としているのは:

  1. 手続の公平性:片方だけに通知するのは不公平
  2. 請求人側にも利害がある:審判官が職権で見つけた理由について、請求人側も「その通りです」と補強したい場合もある
  3. 条文の書き方として:一方だけを書き分けるより、両方に通知・機会付与とする方が簡明

まとめ

ご理解の通りです:

  • 実質的に「申し立てない」のは主に請求人側
  • 実質的に「意見を述べる機会」が重要なのは主に被請求人側
  • でも条文上は双方を対象として書いている

特134の3 「特許庁で一度勝ったのに、裁判所でひっくり返されそうになった特許権者への救済策」

(取消しの判決があつた場合における訂正の請求)

第百三十四条の三 審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第百八十一条第一項の規定による取消しの判決が確定し、同条第二項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。

(AIからの回答を勉強したあとの)自分なりのまとめ:特許が無効だという請求に理由がない(つまり特許は有効であると特許庁が判断)として特許の有効性を認められたあと、無効を請求した人がそれに納得せずに裁判に訴えて、裁判では逆の結果となり、特許の取り消し判決が確定した場合には、特許庁に差し戻されて、特許庁で審理をしないといけない。その場合、判決のあと一週間以内に、特許権者は「申立て」をすれば、訂正をすることが認めてもらえる。もちろん訂正をする目的は、特許を守るため。

疑問(プロンプト):

  1. 第百三十四条の三のの条文の意味が全くわからないんだけど?
  2. (審判の請求に理由がないとするものに限る。)ってどういうこと?
  3. 理由がないって、なんの理由の話をしているの?
  4. 理由があるときってどういう理由?
  5. 「判決」って何?「審決」との違いは?
  6. 取り消しの判決が確定しているのに、なぜ審理を開始するの?なんの審理?
  7. 「その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り」って、なぜ被請求人は、判決が確定した日を知ることができるの?
  8. 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面って、「最初の」じゃなくてもいいの?(もしあった場合)補正後のとか?

Gemini 3:

特許法第134条の3は、弁理士試験や知財検定でも頻出の「キャッチアップ訂正」に関する規定ですね。言葉が難解ですが、「特許庁で一度勝ったのに、裁判所でひっくり返されそうになった特許権者への救済策」だと考えるとスッキリします。ご質問いただいた疑問点を、試験でそのまま使える知識として順番に解説します。


1. 「審判の請求に理由がない」とはどういう意味?

結論から言うと、「特許が無効だという訴え(理由)には、根拠がないつまり特許は有効だ」という審判官の判断のことです。

  • 審判の請求に理由がある: 請求人の勝ち(=特許は無効)。

  • 審判の請求に理由がない: 被請求人(特許権者)の勝ち(=特許は維持)。

なぜこの限定があるのか?

134条の3は、特許庁が一度「この特許は有効だ(理由がない)」と言ったのに、裁判所がそれを「いや、無効の疑いがあるからやり直し!」と取り消した時に発動します。特許権者からすれば、「有効だと言われたから訂正しなかったのに、今さら無効扱いされるのは困る。最後に訂正させて!」という言い分を認める条文なのです。


2. 「判決」と「審決」の違いは?

試験対策として、出す場所と呼び方の違いをセットで覚えましょう。

呼び方 出す場所 内容
審決 特許庁 審判官による最終的な行政判断
判決 裁判所 裁判官による司法判断(審決の取り消しなど)

3. なぜ取消判決の後に「審理」を開始するのか?

裁判所(知財高裁)ができるのは、あくまで「特許庁の出した審決が間違っていたから、これを取り消す」という判断までです。裁判所が自ら特許を無効にすることはできません。

  1. 裁判所が「この審決(有効判断)はダメだ」と判決を出す。

  2. 審決が消滅し、ボールが特許庁に投げ返される(これを「差し戻し」と呼びます)。

  3. 特許庁は、もう一度審理をやり直す(特許法181条2項)。

この「やり直しの審理」の中で、特許権者に「最後の訂正のチャンス」を与えるのが134条の3の役割です。


4. 被請求人はなぜ「判決の確定日」を知ることができる?

被請求人(特許権者)は、裁判(審決取消訴訟)の当事者だからです。

  • 判決が出ると、裁判所から「判決書の正本」が送達されます。

  • その判決に対して上告(最高裁への不服申し立て)などがされず、期間が経過した日が「確定日」です。

  • 実務的には、自分の弁護士を通じて、あるいは裁判所に確認することで、正確な確定日を知ることができます。


5. 「願書に添付した明細書等」は、最初のものでなくていい?

はい、「現時点での最新の状態」を指します。

もし、この審理が始まる前にすでに別の訂正(126条の訂正審判や、134条の2の訂正請求)をしていたなら、その訂正後の内容が対象になります。

条文上の「願書に添付した…」という表現は、特許法のテンプレート的な言い回しで、「今、特許庁にある最新の書類」を指していると考えて差し支えありません。


まとめ:試験対策のポイント

この134条の3を理解するコツは、以下のストーリーを頭に入れることです。

  1. 特許庁: 「この特許は有効だ!(審理に理由なし)」→ 特許権者の勝利。

  2. 相手方: 納得いかず、裁判所に訴える(審決取消訴訟)。

  3. 裁判所: 「いや、特許庁の判断は間違い。この特許はダメそうだぞ。審決を取り消す!(取消判決)」→ 特許権者の逆転負け。

  4. 救済策: 特権庁に戻って審理再開。特許権者は「それならダメな部分を直させて!」と1週間以内に申し立てる(134条の3)。

[!IMPORTANT]

試験での注意点:

134条の3による訂正の機会は、「申し立て」があった場合に「審判長が期間を指定する」という2ステップになっています。自動的に期間がもらえるわけではないのが、ひっかけポイントです。

プロンプト:「判決」の一語しか出てこなかったから気づかなかったけど、これ「裁判」の後の話だったのね!?

Gemini 3:

その通りです!特許法で「判決という言葉が出てきたら、それは特許庁の中の話ではなく、その外側にある「裁判所(知財高裁)」が絡んでいるサインです。試験対策として、この「特許庁と裁判所のキャッチボール」の流れを視覚的に整理しておきましょう。これがわかると、134条の3の存在理由が完璧に理解できます。


特許庁と裁判所の「キャッチボール」の流れ

この条文が発動するまでのストーリーは、以下の3ステップです。

① 特許庁での「審決」(第1ラウンド)

  • 内容: 無効審判が行われ、審判官が「この特許は有効!」という審決を出します。

  • 特許権者の心理: 「勝った!今のままで大丈夫だ。訂正(修正)なんて必要ないな」と安心します。

② 裁判所での「判決」(第2ラウンド)

  • 内容: 負けた相手方が「今の審決(有効判断)はおかしい!」と裁判所に訴えます。

  • 結果: 裁判所が「特許庁の判断は間違い。この特許には無効理由があるぞ」として、審決を取消す判決を下します。

  • 特許権者の心理: 「えっ!有効だと思ってたのに!だったら負ける前に直させてよ!」と焦ります。

③ 特許庁での「再審理」(第3ラウンド:ここが134条の3)

  • 内容: 判決によって審決が消されたので、特許庁で審理をやり直します。

  • 134条の3の役割: ここで特許権者が「1週間以内」に申し立てることで、裁判所で指摘されたダメな部分を直すための「キャッチアップ(追いつき)訂正」のチャンスがもらえるのです。


なぜ「1週間以内」に「申立て」が必要なの?

ここが試験でよく狙われる応用ポイントです。

  1. なぜ「申立て」が必要か?裁判で負けたからといって、全員が訂正したいわけではありません。「もうこの特許は諦める」という人もいます。だから、特許庁が勝手に期間を決めるのではなく、特許権者の「直したいです!」という意思表示(申立て)をトリガーにしているのです。
  2. なぜ「1週間」という短期間なのか?裁判ですでに結論(判決)が出ている以上、そこからダラダラ時間をかけるのは相手方にとって酷だからです。「やるならスグ言え!」というのがこの1週間の趣旨です。

試験で間違えやすい「用語の罠」

短答式試験などでよく出る「ひっかけ」を整理しました。

用語 意味・場所 134条の3でのポイント
判決の確定 裁判の結果がもう動かない状態 この「確定日」から1週間がカウントダウン開始!
被請求人 特許権者のこと 「請求人(無効にしたい人)」ではないので注意!
相当の期間 訂正請求のための準備期間 審判長が「いつまでに書類を出してね」と指定します

この条文の「存在意義」をひとことで

「裁判所で手のひらを返された特許権者への、敗者復活のためのラストチャンス」

これが134条の3の本質です。

特121拒絶査定不服審判 特123特許無効審判 特126訂正審判 そもそも審判とは?

特許法の第6章は、「審判」で、特121拒絶査定不服審判、特123特許無効審判、特126訂正審判、特125の2延長登録無効審判など、「審判」と名がつく条文がいくつもありますが、そもそも審判とは何でしょうか?

Gemini 3:

特許法における「審判(しんぱん)」を一言でいうと、特許庁が行う「特許庁内部の裁判」のようなものです。通常の「審査」は1人の審査官が行いますが、その判断に納得がいかない場合や、登録された特許を後から取り消したい場合に、より慎重に(通常3名の審判官で)審議する手続きを指します。

1. 審判の役割:なぜ「審査」だけではダメなの?

特許の審査は非常に高度で複雑な判断を伴います。そのため、1人の審査官の判断が常に絶対とは限りません。

  • 不服への対応: 「審査官はダメだと言ったけど、納得いかない!」という出願人を救済する。

  • 公平性の確保: 既に登録された特許について、「これは本来認められるべきではない特許だ」と第三者が指摘する場を作る。

このように、審査よりもさらに慎重に、専門性の高い「審判官」というチームで判断を下すのが審判の役割です。

2. 主な審判の種類(よく出る3つ)

審判にはいくつか種類がありますが、まずは以下の3つを押さえておけば完璧です。

① 拒絶査定不服審判

審査の結果、「この発明に特許はあげられません(拒絶査定)」と言われた際に、**「いや、もう一度ちゃんと検討してください!」**と不服を申し立てる審判です。

  • 誰が?: 出願人(自分)

  • いつ?: 拒絶査定の通知を受け取った後

② 無効審判

一度成立してしまった特許に対して、**「この特許は要件を満たしていないから、最初からなかったことにして(無効にして)ください!」**と訴える審判です。

  • 誰が?: 利害関係人(競合他社など)

  • いつ?: 特許が登録された後いつでも

③ 訂正審判

自分が持っている特許の内容に、後から不備が見つかった場合などに**「少し内容を直させてください」**と自発的に申し出る審判です。

  • 誰が?: 特許権者(自分)

  • いつ?: 特許が登録された後


3. 「審査」と「審判」の違いまとめ

違いを一覧表にしました。

項目 審査 (Examination) 審判 (Trial / Appeal)
担当者 審査官(1名) 審判官(3名または5名の合議体)
位置づけ 第一審(最初のチェック) 特許庁における最終判断(上訴審的な役割)
判断の呼び名 査定 (Decision) 審決 (Trial Decision)
不服がある時 審判へ進む 裁判所(知財高裁)へ訴える

まとめ

審判は、「特許庁の中にある、よりレベルの高い判定会議」だとイメージすると分かりやすいです。審査官の判断をチェックしたり、登録後のトラブルを解決したりするための重要なステップです。

豆知識: 審判の結論である「審決」にすら納得がいかない場合は、いよいよ特許庁の外へ出て、「知財高裁(裁判所)」で争うことになります。

特133条の2(決定)と特135条(審決)の比較

特許法 (不適法な手続の却下)

第百三十三条の二 審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。

2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。

3 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。   特許法 (不適法な審判請求の審決による却下)

第百三十五条 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。

 

プロンプト:「決定をもつてその手続を却下」と「審決をもつてこれを却下」は、何が違うの?

Gemini 3:

「決定」と「審決」の使い分けは、審判手続の全体像を理解する上で非常に重要なポイントです。この2つの最大の違いは「却下される対象が『手続の一部』か『審判の請求そのもの』か」という点にあります。


「133条の2(決定)」と「135条(審決)」の比較

以下の表で、主な違いを比較してみました。

項目 133条の2(決定による却下 135条(審決による却下
却下の対象

審判の中の「特定の手続

 

(例:証拠の提出、書面の提出など)

審判請求」そのもの

 

(審判の開始そのものを認めない)

主な理由 方式不備、期間経過、手数料未納など 請求人適格がない、不服申立てできない処分への請求など
判断を下す主体 審判長(一人で行える) 合議体(3人または5人の審判官)
その後の流れ その手続(書面など)は無視されるが、審判自体は継続する 審判がその時点で終了する(門前払い)

1. 決定による却下(133条の2)とは?

これは、審判の途中で行われる「個別の手続」に対するお断りです。

  • イメージ: 審判という「試合」は続いているけれど、提出された「特定の書類」に不備があり、直すこともできないので、その書類は受け取りません、という状態です。

  • 具体例: 審判の途中で提出した「証拠調べの申立て」が、法律上ありえない形式だった場合など。

  • ポイント: 「審判の請求を除く」と条文にある通り、審判を始めるためのメインの書類(請求書)以外のサブ的な手続が対象です。

2. 審決による却下(135条)とは?

これは、「審判の請求(訴え)そのもの」に対するお断りです。

  • イメージ: そもそも試合を始めるための条件(参加資格など)を満たしていないので、試合(審理)を始めることすら拒否する、という「門前払い」の状態です。

  • 具体例:

    • 特許権がすでに消滅しているのに、無効審判を請求した。

    • 審判を請求できる期間を過ぎているのに請求した。

  • ポイント: 本来なら相手方(被請求人)に「反論していいですよ(答弁書の提出機会)」と言うべきですが、そもそも請求が不適法で直しようがないので、相手方の手間を省くために即座に終了させます。


なぜ「決定」と「審決」で呼び方が違うのか?

日本の特許法では、以下のような使い分けのルールがあるからです。

  1. 審決(しんけつ): 審判の最終的な結論(判決に相当)。審判官の合議体によって慎重に判断されます。

  2. 決定(けってい): 審判の過程で発生する事務的・付随的な判断。主に審判長がスピーディーに処理します。

135条の却下は、「その審判ケースを終わらせる」という最終的な判断なので、重みのある「審決」という形式がとられます。一方で、133条の2は審判を終わらせるものではないため、より簡便な「決定」で行われます。

まとめ

  • 133条の2(決定) = 審理の中で出された「書類」をポイ捨てする。

  • 135条(審決) = 審判という「事件」そのものを終了させて追い返す。

この違いを意識すると、その後の不服申立て(知財高裁への訴え方)などの理解もスムーズになりますよ!

送達と送付の違い、到達との違いも

ChatGPT 5.2:

送達・送付・到達、試験でも実務でも最重要の整理点です。結論から、きっぱり分けます。


1️⃣ 結論を一行で

送達=国家が責任をもって行う「法的到達」
送付=単なる「発送・交付という事実行為」

送付には、原則として法律効果は自動的にくっつきません。


2️⃣ 定義の厳密整理

🔴 送達(そうたつ)

定義
👉 裁判所・特許庁などの国家機関が、法定の方法により、相手方に書面を届けたと評価する制度

本質

  • 手続保障(防御権)
  • 不利益処分との結合
  • 法律効果が直結

🔵 送付(そうふ)

定義
👉 書面・物を相手方に送るという事実行為

本質

  • 事務処理・連絡
  • 国家責任は伴わない
  • 到達しなくても手続違法にならないことが多い

3️⃣ 決定的な違い(一覧表)

観点 送達 送付
性質 法制度 事実行為
主体 裁判所・特許庁 行政庁・私人
法定手続 必要 不要
防御権保障 必須 原則なし
効果発生 送達時 原則なし
記録 送達調書等 残らないことも多い

4️⃣ 特許法での典型的使い分け

① 「送達」と書いてある場合(重い)

👉 不利益・争訟性あり

  • 審決の送達
  • 決定の送達
  • 副本の送達

📌 効果

  • 不服申立期間の起算点
  • 再審期間の起算点

② 「送付」と書いてある場合(軽い)

👉 事務的連絡・便宜的交付

  • 書類の写しの送付
  • 参考資料の送付
  • 補正指令の送付(※条文表現に注意)

📌 効果

  • 原則として期間起算点にならない

5️⃣ 試験での最重要ひっかけ

❌ 誤解

「送付されたから、期間が進行する」

ほぼ誤り

⭕ 正解思考

期間が進行するのは
送達または到達と書いてある場合だけ


6️⃣ 送付でも意味を持つ例外

⚠️ 重要な例外整理

  • 条文上

    「送付した日から〇日」
    と明記されている場合

送付が効果発生要件に格上げされる

📌 ただし

  • この場合でも「送達」ほどの防御保障はない

7️⃣ 到達との関係(再整理)

用語 本質
送達 国家が到達と評価
到達 事実として相手の支配下
送付 発送しただけ

8️⃣ 覚え方(試験用)

覚え方①

送達=制度
送付=作業

覚え方②

送達は条文に書く
送付は実務でやる

覚え方③

期間が動くか?
送達かどうかを見る


9️⃣ まとめ(最短)

  • 送達
    • 公的・法定
    • 防御権保障
    • 期間起算点になる
  • 送付
    • 事実行為
    • 原則、法的効果なし

 

 

送達と到達

特許法・民事手続を理解するうえで最重要クラスの論点「送達」と「到達」を、定義 → 効果 → 試験の見分け方の順で整理します。


1️⃣ 結論を一行で

送達=国(裁判所・特許庁)が責任をもって行う「公的な到達」
到達=相手方の支配領域に入ったという「事実状態」

この違いがすべてです。


2️⃣ 送達とは何か

定義

送達とは、
👉 国家機関(裁判所・特許庁)が、法定の方法で、書面を相手方に届けたと評価する制度

特徴(重要)

  • 郵便・執行官など法定手段限定
  • 相手が実際に読んだかは関係ない
  • 送達調書・記録が残る
  • 送達が成立した時点で、法律効果が発生

📌 典型例

  • 審決謄本の送達
  • 訴状の送達
  • 副本の送達

3️⃣ 到達とは何か

定義

到達とは、
👉 相手方が了知可能な状態に置かれたという事実

特徴

  • 私人間の意思表示が前提
  • 郵便・FAX・メールなど手段は問わない
  • 相手が読まなくても「読める状態」なら足りる
  • 国家の関与は不要

📌 典型例

  • 契約の解除通知
  • 意思表示の到達(民法97条)

4️⃣ 一番重要な違い(試験頻出)

観点 送達 到達
主体 裁判所・特許庁 私人
性質 公的制度 事実状態
記録 残る 残らないことも多い
効果発生 送達成立時 到達時
実際に読む必要 なし なし(読める状態でOK)

5️⃣ 特許法での使い分け

🔹 送達が使われる場面

👉 不利益処分・争訟性があるもの

  • 審決
  • 決定
  • 副本送達
  • 異議・無効審判関係

理由:

相手方の防御権保障が必要
→ 国家が責任をもって届ける必要がある


🔹 到達が使われる場面

👉 私人の意思表示レベル

  • 特許権の譲渡通知
  • 契約関係
  • 民法上の解除・通知

6️⃣ 試験での超重要ポイント

① 起算点の違い

  • 送達
    → 「送達された日から〇日」
  • 到達
    → 「到達した時に効力発生」

👉 文言を見た瞬間に識別する


② 受取拒否・不在の場合

送達

  • 受取拒否でも成立する場合あり
  • 補充送達・付郵便送達など制度あり

到達

  • 相手の支配領域に入らなければ未到達
  • ただし、正当理由なき受領拒否は到達と評価されることあり(判例)

7️⃣ よくあるひっかけ

「送達=相手が実際に読んだとき」

誤り

「送達=国家が到達したと評価した時点」


8️⃣ 覚え方(試験向け)

覚え方①

送達=国が保証する到達

覚え方②

到達=事実、送達=制度

覚え方③

不利益処分 → 送達
私人の通知 → 到達


9️⃣ まとめ(最短)

  • 送達
    • 公的
    • 国家責任
    • 防御権保障
    • 記録あり
  • 到達
    • 私的
    • 事実評価
    • 民法中心

 

 

謄本、抄本、副本の違い

ChatGPT 5.2:

結論から整理します。


1️⃣ 「謄本」とは何か(特許法文脈)

**謄本(とうほん)**とは、
👉 原本の内容を完全に写した公的な写し
です。

特許法の世界では、

  • 「特許原簿」という原本
  • その内容をそのまま写した証明付きコピー

この 後者を総称して「謄本」と呼びます。

📌 ポイント

  • 抜粋ではない(=抄本ではない)
  • 要約でもない
  • 法的証明力をもつ

2️⃣ 特許法でいう「謄本」は何種類あるか

特許実務・試験対策上、実質的に問題になる謄本は3種類です。


① 特許原簿謄本(最重要)

定義

  • 特許庁に備え付けられた「特許原簿」の写し

記載内容

  • 特許番号
  • 出願日・登録日
  • 特許権者
  • 存続期間
  • 専用実施権・通常実施権
  • 質権設定
  • 移転・抹消などの履歴

📌 法的効力

  • 権利の存否・帰属を証明する唯一の公的資料
  • 裁判・実務・試験で最頻出

👉 「謄本」と言われたら、まずこれ


② 出願書類等の謄本(広義の謄本)

対象

  • 明細書
  • 特許請求の範囲
  • 図面
  • 要約書
  • 補正書 など

性質

  • 「原本(出願書類)」の完全コピー
  • 現在は電子データ(写し)として交付

📌 注意
これは

  • 特許原簿謄本ほどの法的中核性はない
  • ただし「完全写し」という意味では謄本

③ 審決・決定等の謄本

対象

  • 審決(拒絶審決、無効審決など)
  • 決定(却下決定等)

用途

  • 確定審決の内容証明
  • 再審・訴訟関係

📌 試験では

  • 「審決謄本が送達された日」などの形で登場

3️⃣ 「謄本」と「抄本」の違い(超重要)

区分 内容
謄本 原本を全部写したもの
抄本 原本の一部だけ写したもの

👉 特許法では
原則=謄本
抄本は例外的・補助的


4️⃣ 弁理士試験・条文解釈的な整理(覚え方)

覚え方①

謄本 ≒ 特許原簿の写し

覚え方②

権利関係を証明したければ
原簿謄本一択

覚え方③(試験向け)

「第三者対抗要件」「善意・悪意」「登録」
原簿謄本を見ろ


5️⃣ まとめ(1分で復習)

  • 謄本とは:原本の完全コピー(証明付き)
  • 特許法で重要な謄本
    1. ✅ 特許原簿謄本(最重要)
    2. 出願書類等の謄本
    3. 審決・決定の謄本
  • 試験・実務では
    👉 「謄本」=特許原簿謄本

いいところに目が行きました。
**「副本(ふくほん)」**は、謄本とセットで理解すると一気に腑に落ちます。


1️⃣ 副本とは何か(結論)

副本とは、
👉 原本ではなく、当事者に送付・交付するための写し
です。

しかも重要なのは👇

副本は「証明用」ではなく、「通知・手続進行用」

という点です。


2️⃣ 謄本との決定的な違い

まず対比で整理します。

区分 謄本 副本
目的 権利関係の証明 相手方への通知・手続進行
正確性 原本と完全一致(証明力あり) 原本の写し(証明力は前提でない)
交付先 利害関係人・裁判所等 相手方当事者
法的地位 公文書的 手続文書

📌 重要
副本は「見せるため」「知らせるため」
謄本は「証明するため」


3️⃣ 特許法で副本が出てくる典型場面

① 相手方がいる手続(対立構造)

たとえば:

  • 特許異議申立て
  • 無効審判
  • 訂正審判
  • 拒絶査定不服審判

👉 この種の手続では必ず、

「〇〇書面の副本を相手方に送達する

という構造になります。


② 代表例(条文イメージ)

条文ではだいたいこう書かれます:

審判長は、
その副本を相手方に送達しなければならない

ここでの意味は:

  • 原本 → 特許庁に存在
  • 副本 → 相手方が読む用

4️⃣ 副本は「謄本」ではないのか?

ここが混乱ポイントですが、結論は👇

副本 ≠ 謄本

理由:

  • 副本は
    • 証明文言付きである必要がない
    • 「誰に送るか」が本質
  • 謄本は
    • 証明性が本質
    • 送達とは無関係

📌 たとえ内容が完全一致でも
目的が違えば呼び名が違う


5️⃣ 試験でのひっかけポイント(超重要)

❌ よくある誤解

「副本=謄本の副コピー」

不正確

⭕ 正しい理解

副本とは
手続相手方に送るための写し


6️⃣ 副本が問題になる典型論点

① 送達の有無

  • 副本が送達されない
    手続違法の可能性

② 送達日基準

  • 期間計算の起算点が
    副本の送達日になることがある

③ 相手方防御権

  • 副本送達は
    防御の機会保障

7️⃣ 一発で覚える整理

謄本=証明用
副本=相手に渡す用

あるいは、

謄本は「法廷向け」
副本は「相手方向け」


8️⃣ まとめ(短く)

  • 副本とは
    👉 手続相手方に送るための写し
  • 証明力が本質ではない
  • 謄本とは目的が違う
  • 審判・異議・無効手続で頻出
  • 試験では
    👉 送達・防御権・期間計算と結びつく

 

特105条の4 秘密保持命令

特許法

(秘密保持命令) 第百五条の四 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。

一 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第百五条第三項の規定により開示された書類、第百五条の二の四第一項の規定により提出された査証報告書の全部若しくは一部又は第百五条の七第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。

二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。

2 前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 一 秘密保持命令を受けるべき者 二 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実 三 前項各号に掲げる事由に該当する事実

3 秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。

4 秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。

5 秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

 

プロンプト:わかりやすくまとめて。

ChatGPT 5.2:

OK、条文の**「できる」「ただし」「できない」**が混ざっていて混乱しやすいところなので、
結論 → できる場合/できない場合 → 抗告の可否の順で、整理してまとめます。


① まず結論(超要約)

  • 秘密保持命令は
    👉 原則:申立てがあれば、要件を満たす限り「できる」
  • ただし
    👉 すでに相手がその営業秘密を正当に知っていた場合は「できない」
  • 申立てが却下されたら
    👉 即時抗告は「できる」

② 秘密保持命令が「できる」場合(原則)

次の 2つを両方満たす ことについて、**疎明(=一応もっともらしい証明)**があれば、
👉 裁判所は、当事者の申立てにより、秘密保持命令を出すことができる

【要件①】訴訟資料に営業秘密が含まれている

次のいずれかに当てはまること:

  • 準備書面に営業秘密が書かれている/書かれる予定
  • 証拠(書類・査証報告書など)に営業秘密が含まれている/含まれる予定

👉 要するに
「この訴訟を進めると、営業秘密が相手の目に触れる状況にある」


【要件②】放置すると事業に支障が出るおそれがある

  • 営業秘密が
    • 訴訟目的以外に使われたり
    • 第三者に漏れたり
      すると、
  • その秘密を前提とした事業活動に支障が出るおそれがある
  • だから
    👉 使用・開示を制限する必要がある

📌 この2つがそろえば

裁判所は「秘密保持命令を出せる」
(※自動ではなく、あくまで裁量)


③ ただし:秘密保持命令が「できない」場合(例外)

条文後半の 「ただし書」 がここ。

❌ できないのはどんなとき?

申立ての時点より前に、相手方がすでに:

  • 準備書面の閲読
  • 証拠の取調べ
  • それ以外の方法(例:取引、共同研究など)

によって、
👉 その営業秘密をすでに取得・保有していた場合


🔍 ポイント

  • 「すでに知っている人」に対して、後から口止めはできない
  • だから
    👉 秘密保持命令は出せない

④ まとめると(できる/できないの分岐)

状況 秘密保持命令
訴訟資料に営業秘密が含まれ、漏れると事業に支障が出る ✅ できる
その営業秘密を相手が訴訟前から正当に知っていた ❌ できない
単なる不利益・嫌がらせレベル ❌ できない

⑤ 「即時抗告できる/できない」

最後の第5項。

✅ 即時抗告「できる」

  • 秘密保持命令の申立てが却下された場合

👉 「命令を出してほしかったのに、裁判所がNOと言った」
👉 すぐに上級審に不服申立てできる


❌ 即時抗告「できない」

  • 秘密保持命令が出された側からの不服申立て
    (=条文上、抗告の規定がない)

⑥ 全体を一文で言うと

秘密保持命令は、訴訟で営業秘密が扱われ、放置すれば事業に支障が出るおそれがある場合に、申立てにより裁判所が出すことができるが、相手がすでにその秘密を正当に知っていた場合には出せず、申立てが却下されたときは即時抗告ができる。

 

特105の2の12

特許法

(損害計算のための鑑定) 第百五条の二の十二 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。

プロンプト:この条文で、「当時者の申立てにより」が、「裁判所が職権により」って書き換えられて、丸かバツか、という問題が出てたんだけど、何がどう違うの?

Chat GPT 5.2:この○×問題、「民事訴訟における裁判所の権限の立ち位置」を分かっているかを聞いています。


条文の骨格を分解すると

第105条の2の12は、構造としてこうなっています。

  1. 誰がきっかけを出すか
    👉 当事者の申立てにより
  2. 誰が判断・実行するか
    👉 裁判所が鑑定を命じる
  3. 鑑定が命じられた場合の義務
    👉 当事者は鑑定人に説明義務を負う

つまりこの条文は、

当事者が求めた場合に限って、裁判所は鑑定を命じることができ、その結果として当事者に協力義務が生じる」

という条件付き発動型の規定です。


「当事者の申立てにより」と「裁判所が職権により」の決定的な違い

① 当事者の申立てにより(原文)

  • 裁判所は 勝手には動けない
  • 当事者の意思表示(申立て)が 発動条件
  • 民事訴訟の原則である
    **「当事者主義」**に忠実

👉 当事者が「鑑定してほしい」と言わなければ、
👉 裁判所は鑑定を命じない


② 裁判所が職権により(書き換え後)

  • 当事者の申立てがなくても
  • 裁判所の判断だけで
  • 鑑定を命じられる

👉 これは 職権主義 的な構造になります。


なぜ「×」になるのか(試験的に重要)

理由①:民事訴訟の大原則に反する

損害額の立証・主張は、

  • 原則:当事者の責任
  • 裁判所は「補助役」

特許侵害訴訟であっても、
損害計算を裁判所が勝手に始めることはできない


理由②:条文の趣旨が変わってしまう

「当事者の申立てにより」を
「裁判所が職権により」に変えると、

  • 当事者が鑑定を望んでいなくても
  • 強制的に説明義務が発生する

ことになります。

👉 当事者の訴訟追行の自由を侵害します。


まとめ(○×問題の正体)

「当事者の申立てにより」を
「裁判所が職権により」に書き換えるのは
✕(誤り)

理由は一言で言うと:

民事訴訟は当事者主義が原則であり、
本条はその例外を定めた規定ではないから

民法90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

民法

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

プロンプト:「法律行為」とは?

ChatGPT 5.2:

いい質問です。ここ、民法の理解の入口であり核心でもあります。


結論から

**民法90条の「法律行為」**とは、

当事者の意思表示によって、法律上の効果(権利・義務の発生・変更・消滅)を生じさせる行為

のことです。


もう少し噛み砕くと

「法律行為」とは、

  • 人が意思をもって
  • 何かをする(またはしない)ことで
  • 法律がその意思を尊重して効果を与える行為

です。

単なる行動や事実そのものではありません。


具体例で整理

① 法律行為にあたるもの(典型)

  • 売買契約(売る・買うという意思)
  • 賃貸借契約
  • 贈与
  • 遺言
  • 解除・取消し
  • 結婚(婚姻届)

👉 いずれも
「こうしたい」という意思表示 → 法律効果が発生


② 法律行為ではないもの(対比)

  • 不法行為(交通事故など)
  • 事務管理
  • 不当利得
  • 自然事実(死亡・出生)

👉 これらは
意思表示によらず法律効果が発生
→ 法律行為ではない


民法90条との関係(ここが重要)

民法90条が言っていることは:

「公序良俗に反する“意思表示に基づく行為”は、最初から無効」

ということです。

典型例

  • 愛人契約
  • 犯罪請負契約
  • 売春を内容とする契約
  • 過度に人身拘束的な契約

👉 「当事者が合意していても」
👉 「意思があっても」
👉 公序良俗に反すれば、法律はその意思を尊重しない


「法律行為」という言葉を一文で言うなら

法律が“効力を与える”と認めた意思表示のまとまり

です。


ワンランク上の理解(試験的に大事)

  • 民法90条は
    契約内容だけでなく、動機・目的・態様まで含めて判断される
  • だから
    形式上は合法でも、実質が公序良俗違反なら無効

 

プロンプト:不法行為 って、法律に違反する行為 という意味じゃないの?法律行為でない行為 という意味だったの?

ChatGPT 5.2:

ここ、多くの人が一度は混乱する超重要ポイントです。
結論から言いますね。


結論(ズバッと)

不法行為=「法律に違反する行為」ではあるが、
それは「法律行為ではない」

👉 両立します。矛盾しません。


なぜ混乱するか

日常語では

不法行為 = 違法な行為

と理解しますよね。
でも民法では、

  • 「違法かどうか」
  • 「法律行為かどうか」

は、まったく別の軸で分類します。


民法の分類軸を整理

軸①:法律に違反しているか?

  • 違反している → 違法
  • 違反していない → 適法

軸②:意思表示による行為か?

  • はい → 法律行為
  • いいえ → 事実行為

👉 不法行為は後者(事実行為)


不法行為とは(民法709条)

故意または過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為

ここに
「契約する」「権利を発生させよう」という意思表示は要りません。


具体例で比較

① 売買契約

  • 合意あり
  • 権利義務を発生させる意思あり
    法律行為

② 殴る(暴行)

  • 「損害賠償義務を発生させよう」という意思はない
  • でも結果として義務が発生する
    不法行為(法律行為ではない)

👉 意思表示がない点が決定的


重要な整理(ここ試験に出る)

区分 法律行為 不法行為
意思表示 必要 不要
法律効果 意思に基づく 法律が強制的に与える
適法性 適法が前提 違法
典型条文 民法90条など 民法709条

「じゃあ不法“行為”って言うのおかしくない?」

→ 日常語と法律用語のズレです。

  • 法律行為
    法律効果を「生じさせようとしてする行為」
  • 不法行為
    法律効果を「生じさせようとしていないが、生じてしまう行為」

まとめ(1行で)

不法行為とは「違法な“事実行為”」であって、「法律行為」ではない