知的財産基本法 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122
第二条 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122#Mp-Ch_1-At_2
知的財産基本法 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122
第二条 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122#Mp-Ch_1-At_2
細胞の基本的な構造に関しては十分調べられ尽くしたと思っていました。今頃(といっても最初の発見は1999年ですが)になって新しい構造が発見されるとは夢にも思いませんでした。
Consensusによる総説。
Tunneling nanotubes (TNTs) are thin, actin-based membranous structures that form direct cytoplasmic bridges between cells, enabling the exchange of a wide variety of molecules and organelles. This form of intercellular communication is distinct from other mechanisms like gap junctions or extracellular vesicles, as TNTs allow for long-range, bidirectional, and targeted transfer of cellular cargo, playing crucial roles in both normal physiology and disease.
TNTs facilitate the direct transfer of diverse cellular components, including ions (such as Ca2+), proteins, nucleic acids (DNA, mRNA, miRNA, viral RNA), organelles (mitochondria, lysosomes), vesicles, and even pathogens between connected cells. This transfer can modulate gene expression, metabolism, and cell survival, and is observed in many cell types, including neurons, immune cells, and cancer cells (Driscoll et al., 2022; Khattar et al., 2022; Turos-Korgul et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Kolba et al., 2019; Jansens et al., 2020; Marzo et al., 2012; DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Chakraborty & Zurzolo, 2022; Zhu et al., 2021; Mittal et al., 2018; Wittig et al., 2012; Yamashita et al., 2018).
TNT-mediated communication is essential for tissue homeostasis, immune responses, and development. In the brain, TNTs contribute to neural development, calcium signaling, and the spread of protein aggregates linked to neurodegenerative diseases. In cancer, TNTs enable the transfer of survival signals, drug resistance factors, and mitochondria, supporting tumor progression and therapy resistance. Pathogens, including viruses and prions, can hijack TNTs for cell-to-cell spread (Driscoll et al., 2022; Khattar et al., 2022; Turos-Korgul et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Kolba et al., 2019; Jansens et al., 2020; Marzo et al., 2012; DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Chakraborty & Zurzolo, 2022; Mittal et al., 2018; Yamashita et al., 2018).
Unlike gap junctions (which are limited to small molecules and require close cell proximity), TNTs can bridge distant cells and transport larger cargo. TNTs are also structurally and functionally distinct from cytonemes and extracellular vesicles, offering a unique, direct, and dynamic mode of intercellular exchange (Driscoll et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Marzo et al., 2012; Nawaz & Fatima, 2017; Wittig et al., 2012; Yamashita et al., 2018).
Figure 1: Timeline of tunneling nanotube research and major discoveries. Larger markers indicate more citations.
Tunneling nanotubes are specialized cellular structures that enable direct, long-distance exchange of molecules and organelles between cells. They play vital roles in development, immune function, neural communication, and disease progression, distinguishing themselves from other intercellular communication mechanisms by their ability to transfer large and diverse cargo over significant distances. Understanding TNTs opens new avenues for therapeutic intervention in cancer, neurodegeneration, and infectious diseases.
These papers were sourced and synthesized using Consensus, an AI-powered search engine for research. Try it at https://consensus.app
その他の文献情報
産学連携・産学協創のための研究助成事業
大学と企業とのマッチングの機会
書籍
Stanford’s Office of Technology Licensing and the Cohen/Boyer Cloning Patents: Oral History Transcript / 199 2022/10/27 Sally Smith Hughes (著), Niels J Reimers (著)
資料
文献
TLO
記事
|
日本の法律
|
対応する米国の法律 (U.S. Code)
|
備考
|
|---|---|---|
|
特許法
|
Title 35 (Patents)
|
ユーティリティ特許 (Utility Patent)
|
|
実用新案法
|
(該当なし)
|
小発明も Title 35 のユーティリティ特許で保護
|
|
意匠法
|
Title 35 (Patents)
|
意匠特許 (Design Patent)
|
|
商標法
|
Title 15 (Commerce and Trade)
|
ランハム法 (Lanham Act)
|
アメリカで働いていた一人の研究者が日本に職を得て、自分の研究試料を新しい職場に輸送した。試料の移送にあたり、長年の友人がアメリカの大学に勤務しているので一時的に、研究試料をラボの冷凍庫で保管してくれるように依頼し快く引き受けてもらった。
これは、研究者の世界ではありきたりの話ではないでしょうか。
ところがこれらの行為が、「窃盗」とみなされてしまい、二人の日本人研究者が告発されるという重大事件に発展しました。また、クリーブランドクリニックから帰国する研究者の日本での新しい職場となるはずだった理化学研究所は、組織的にこの窃盗行為を指示したと糾弾されました。こうして、当事者2人の日本人研究者のキャリアを大きく狂わせる結果になってしまったのです。
1997年から1999年まで米国のクリーブランド・クリニック財団に勤務していた日本人研究者の岡本氏は、細胞株とDNAサンプルを新しい職場である理化学研究所(RIKEN)へ移しました。この行為が「窃盗」と見なされ、友人の芹沢氏も生体試料の移送のための一時保管に協力したとして、両名は2001年5月、1996年制定の経済スパイ法違反、盗品輸送、共謀の罪で起訴されました。
カンザス大学助教授であった芹沢氏は、旧来の友人である岡本氏から研究サンプルを数週間預かってほしいと頼まれ、1999年7月、届いた箱を自身の研究室の冷凍庫で保管し、5週間後に日本の理研での新しい職場に向かう岡本氏に渡しただけでした。しかし、このささやかな親切行為が、思いもよらぬ結果をもたらしてしまったのです。
Serizawa’s legal troubles began in 1999, when he temporarily stored DNA samples as a favor for a friend, Alzheimer’s researcher Takashi Okamoto. Prosecutors allege that Okamoto stole the samples from the Cleveland Clinic Foundation in Ohio when he left for a new job in Japan. (Court Sentences Japanese Researcher Science 6 Jun 2003 Vol 300, Issue 5625 p. 1487 DOI: 10.1126/science.300.5625.1487c https://www.science.org/doi/10.1126/science.300.5625.1487c)
カンザス大学に助教授として勤務していた日本人研究者の芹沢氏は、長年の友人である岡本氏がクリーブランド・クリニックから持ち出したアルツハイマー病の研究試料を一時保管するのに協力したことから科学スパイ(密輸共謀)の容疑で起訴されていましたが、この主要な起訴は後に取り下げられました。その理由は、検察当局自身が、問題となった物質は当初主張していた「企業秘密」には該当しないと認めたためです。ただし、芹沢氏はスパイ容疑とは別に「FBIに虚偽の情報を提供した」という軽い罪については、高額な裁判費用を避けるために罪を認めました。その結果、彼は永住権を維持しましたが、大学のテニュア(終身在職権)を失い、推定25万ドルという高額な訴訟費用を抱えることになりました。
The Information charges that on September 2, 1999, Serizawa provided a materially false, fictitious and fraudulent statement in an interview of him by Special Agents of the Federal Bureau of Investigation, who were investigating the theft of the research and material from the Cleveland Clinic Foundation (CCF), in that Serizawa: falsely understated the number of vials of research material which Okamoto had taken from Serizawa’s laboratory at KUMC, by initially indicating that 10 or fewer vials had been taken, when, in fact, several hundred vials were taken out of Serizawa’s laboratory by Okamoto; initially denied any recent personal contact with Okamoto, when, in fact, Serizawa had been in recent telephone, electronic mail and personal contact with Okamoto; and initially denied any knowledge of Okamoto having accepted a research position with RIKEN, when, in fact, Serizawa knew that Okamoto had accepted a research position at RIKEN.
Scientist Pleads Guilty to Providing False Statements Regarding Trade Secret Theft from Cleveland Clinic Foundation (May 1, 2002) https://www.justice.gov/archive/criminal/cybercrime/press-releases/2002/serizawaPlea.htm
One of two Japanese researchers charged with industrial espionage has been fined $500, put on probation for 3 years, and ordered to put in 150 hours of community service. (Court Sentences Japanese Researcher Science 6 Jun 2003 Vol 300, Issue 5625 p. 1487 DOI: 10.1126/science.300.5625.1487)
理化学研究所(理研)は、米国に対する経済スパイ疑惑への関与を否定する報告書を発表し、岡本氏にオハイオ州のクリーブランド・クリニックから研究資料を盗むよう指示した事実はないと説明しました。また、岡本氏が7月31日付で理研を辞職したことも発表されました。岡本氏は、クリーブランド・クリニックから細胞株やDNAサンプルを持ち出した疑いで、米司法省から起訴されていましたが、理研は、企業秘密へのアクセスを目的として同氏を雇用したという疑惑も否定しています。
魚の骨の絵を描くと、
(いらすとや)
のように描く人が多いと思いますが、この上下に伸びる骨は一体、どんな種類の骨なのでしょうか。人間の骨を考えると、

魚の骨=人間の肋骨?と思いますが、肋骨が上側(背側)にも伸びているというのも変です。
今回は、魚の骨の解剖学を勉強してみます。
人間の肋骨は内臓を包むような形をしていて内臓を保護していますが、魚も同様です。魚の体の中心をとおる背骨から肋骨が左右にで出て湾曲して、内臓を包み込むような形状をしています。魚の骨の横から見た絵だとわかりませんが、実は肋骨は左右にあって一対なわけです。人間と同様です。
AI による概要:「肋骨」と「腹骨」は同じものを指す言葉です。魚の「肋骨」は、内臓を保護するお腹側の骨で、一般的に「腹骨」や「あばら骨」と呼ばれます。これらの骨周りの肉は「あばら肉」といい、煮付けや汁物などに使われます。
では、魚の背骨から上側(背側)に長く伸びた「肋骨みたいな」骨はいったい何でしょうか?
AIによる概要:魚の椎骨(せきついこつ)から背側(はいそく)に伸びる骨は、一般的に神経棘(しんけいきょく)、または棘突起(きょくとっき)と呼ばれます。 料理の文脈では、この神経棘を含めた細く長い骨全体を「中骨」と呼ぶこともあります。 これらの骨は、魚の体を支え、筋肉や靭帯が付着する役割を果たしています。
肋骨ではなくて、椎骨の一部である、棘突起だったのですね。魚の場合は、それが肋骨と同じくらいに長く伸びているというわけです。
棘突起は人間にもあります。ただし魚のように長くはありません。手で背中の中心を触ったときに背骨を感じることができますが、ごつごつと突起を感じ取るができます。これが棘突起の部分です。
魚の前方部分の内臓があるところに伸びている骨が肋骨なのはいいとして、じゃあ肋骨が尾の方まで存在しているのでしょうか?そうではありません。
AI による概要:魚の内臓がある部分よりも尾側(後ろ側)にある骨は肋骨ではありません。その部分は尾椎(びつい)と呼ばれる背骨(脊椎)の一部で、そこから腹側(下側)に伸びる骨は血管棘(けっかんきょく)と呼ばれます。
AI による概要:魚類の**血管棘(けっかんきょく)は左右一対ではなく、単一(正中線上)**にあります。血管棘は、魚の脊椎骨の腹側(下側)に突出している骨で、神経棘(背中側への突起)と同様に正中線上の構造物です。これらの棘の間を血管が通るための空間(血道弓門)を形成しています。
魚の腹側で尾側の長い骨は血管棘と呼ばれるのだそうです。基部では左右一対ですがそれが癒合して一本になっているのですね。
これでようやくイラストで描かれる魚の骨の、解剖学的な分類ができました。まとめると、人間と違って魚の場合には体の真ん中に背骨(脊椎)が位置していて、背側に伸びる長い骨は、人間の椎骨にも存在する棘突起、腹側に伸びる長い骨は、内臓部分は人間と同様に肋骨、それより尾側の骨魚特有の骨で血管棘だったというわけです。
Manus:
はい、非常に重要なご質問です。結論から言うと、**はい、大学内の研究発表会での発表であっても、原則として新規性は失われます。**
これは特許制度における「公知(こうち)」の考え方に基づいています。多くの人が「公の場で発表する」ことだと誤解しがちですが、法律上の扱いはもっと厳しいのです。
—
### なぜ大学内の発表でも新規性が失われるのか?
特許法でいう「公然と知られた発明(公知)」とは、**「秘密保持義務を負わない不特定多数の人に、発明の内容が知られうる状態になったこと」**を指します。
大学内の研究発表会に当てはめてみましょう。
1. **参加者は「不特定」か?**
* たとえ参加者が同じ大学の教員や学生だけであっても、彼らはあなたに対して個別に「この発表内容を外部に漏らしません」という**秘密保持契約(NDA)を結んでいるわけではありません。**
* したがって、法律上は「秘密保持義務を負わない人々」の集まりと見なされます。
2. **発表内容は「知られうる状態」になったか?**
* あなたが口頭で発表し、スライドを見せた時点で、その場にいた人は発明の内容を理解できる状態になります。
* その参加者の一人が、発表会が終わった後に、善意で友人に「今日、〇〇研究室がすごい発表してたよ」と話してしまう可能性を止めることはできません。
* この**「秘密が漏れる可能性が生まれた」**時点で、発明は「公然と知られた」と判断され、新規性が失われてしまうのです。
**ポイント**:
* 実際に外部に情報が漏れたかどうかは関係ありません。
* 参加者が1人でも「秘密保持義務を負わない人」がいれば、その時点で公知となります。
* 学会の要旨集や抄録、大学のウェブサイトに発表内容が掲載された場合も、同様に新規性が失われます。
—
### 新規性を失ってしまった!もう特許は取れないのか?
ご安心ください。こうしたうっかり失効を防ぐための救済措置があります。それが**「新規性喪失の例外規定(グレースピリオド)」**です。
これは、「うっかり自分で発明を公開しちゃったけど、ちゃんと手続きすれば、その公開はなかったことにしてあげるよ」という制度です。
#### 例外規定を使うための重要ルール(日本の場合)
1. **期間制限**:
* 発明を公開した日(大学での発表日)から**1年以内**に特許を出願する必要があります。この1年という期間は絶対に守らなければなりません。
2. **手続き**:
* 特許出願と**同時**に、「新規性喪失の例外規定の適用を受けたい」という書面を特許庁に提出します。
* 出願から**30日以内**に、いつ、どこで、どのように発表したかを証明する「証明書」を提出します。(例:発表会のプログラム、発表で使ったスライド、指導教員による証明など)
#### 注意点!
* **あくまで「自分の行為」に対する救済**: この制度は、自分自身や共同研究者が発明を公開した場合の救済措置です。もし、あなたの発表を聞いた第三者が、あなたより先に同じ内容で特許を出願してしまったら、もう特許は取れません(先願主義)。
* **外国出願では使えないことも**: この例外規定は、国によって制度が大きく異なります。期間が6ヶ月だったり、そもそも制度がなかったり、適用される公開の範囲が限定されていたりします。グローバルな特許取得を目指す場合は、安易にこの制度を頼りにせず、**「発表する前に必ず出願する」**を徹底するのが鉄則です。
### まとめ:研究者が取るべき行動
> **発表前(学会、論文投稿、研究会など)に、まず出願を済ませる。**
これが、研究成果を知的財産として守るための最も安全で確実な方法です。
もし、やむを得ず発表が先になってしまった場合は、慌てずに大学の知財部やTLO(技術移転機関)、あるいは弁理士にすぐに相談し、「新規性喪失の例外規定」の手続きを1年以内に必ず行うようにしてください。
—
– 「新規性喪失の例外規定」の手続きについて、具体的な書類の書き方や流れをさらに詳しくご説明しましょうか?
– 日本、アメリカ、ヨーロッパでの「新規性喪失の例外規定」の制度の違いを比較してご説明しましょうか?
– 共同研究の場合、誰が特許を出願する権利を持つのか(発明者の認定)について知りたいですか?
研究から産業へ ― 発明発掘から技術移転までの実践的アプローチ ― INPIT Channel チャンネル登録者数 1020人 チャンネル登録
下の動画は、特許に関する非常に基本的な考え方を含めて、具体的な事例も交えた解説になっています。ですので、初めて特許について学ぶ人にも向いている動画です。
MEDISOセミナーシリーズ~医療系ベンチャーの壁を超える~ vol.09知財編:開発初期から知っておきたい、プログラム医療機器の知財戦略 MEDISO / 医療系ベンチャー・トータルサポート事業 チャンネル登録者数 393人
下の動画でも、特許の基本のキから説明があって、分かりやすいです。
MEDISOセミナーシリーズ~医療系ベンチャーの壁を超える~ vol.03 知財編:医療系ベンチャーが先ず理解すべき知財戦略を知る MEDISO / 医療系ベンチャー・トータルサポート事業 チャンネル登録者数 393人 https://www.youtube.com/watch?v=7aJ0214lOmk
下の動画は、非常にわかりやすい説明でした。話の内容も具体的かつ普遍性が高くて、役立ちます。
知の探究から価値創造へ ー 研究者ならではの発想で起業を実現する方法 ー INPIT Channel チャンネル登録者数 1020人
アカデミアにおける知財マネジメント研究の最前線-吉岡(小林) 徹 氏(一橋大学イノベーション研究センター講師)Vol.069 野崎篤志のイーパテントチャンネル-調査・分析系中心- チャンネル登録者数 3170人
Manus:
「用途発明」、よく耳にしますよね。非常に重要かつ強力な発明のカテゴリーです。一言でいうと、**「すでにある物の、誰も知らなかった新しい使い道を見つける発明」**のことです。
ポイントは、**「物」自体は新しくなくてもよい**、という点です。
—
### 用途発明のキホン
用途発明は、以下の3つの要素で成り立っています。
1. **既知の物質(物)**:
* その存在や構造がすでに知られている化学物質、タンパク質、化合物など。
* 例:昔から存在する化合物X
2. **未知の属性(性質)**:
* その物質が持つ、これまで誰にも知られていなかった性質や機能。
* 例:化合物Xに「血糖値を下げる効果」があることを発見した!
3. **特定の用途への利用**:
* その新しく発見した属性を利用して、特定の目的(用途)に使うこと。
* 例:化合物Xを「糖尿病の治療」に利用する。
この場合、たとえ「化合物X」自体が何十年も前から知られている物質であっても、**「化合物Xを有効成分として含有する、糖尿病治療薬」**という形で、新しい特許(用途発明)を取得することができるのです。
### なぜ用途発明が重要なのか?
もし用途発明が認められないと、せっかく莫大な費用と時間をかけて新しい薬効を見つけても、誰でも自由にその薬を作れてしまい、開発費を回収できなくなります。それでは、新しい薬を開発しようという意欲がなくなってしまいますよね。
そのため、特に医薬品の分野では、新しい使い道(薬効)を発見したことを発明として保護する「医薬用途発明」が、製薬会社の生命線となっており、非常に重要視されています。
### 具体例でイメージする
* **例1:育毛剤「ミノキシジル」**
1. **既知の物質**: もともと「ミノキシジル」は、高血圧の治療薬(血管拡張剤)として開発されました。
2. **未知の属性発見**: 臨床試験中に、副作用として「多毛」の症状が報告されました。
3. **新しい用途**: 「なるほど、髪を生やす効果があるのか!」ということで、「育毛剤」としての用途が見出されました。
4. **用途発明**: 結果として、「ミノキシジルを含有する、脱毛症治療薬(育毛剤)」という用途発明が成立しました。
* **例2:ご提示のタンパク質Aの例**
1. **既知の物質**: タンパク質A(アミノ酸配列も構造も知られている)
2. **未知の属性発見**: あなたが研究した結果、タンパク質Aに「肌のコラーゲン産生を促進する効果」があることを発見した。
3. **新しい用途**: タンパク質Aを「肌のハリを改善する」という美容目的に利用する。
4. **用途発明**: **「タンパク質Aを有効成分として含有する、皮膚のハリ改善用化粧品組成物」**という用途発明が成立する可能性があります。
### 特許請求の範囲(クレーム)の書き方
用途発明は、「方法の発明」ではなく、「物の発明」として表現するのが一般的です。
* **NGな表現**: 「化合物Xを患者に投与する**方法**。」
* これは「治療方法」そのものと見なされ、日本では特許になりません。
* **OKな表現**: 「化合物Xを有効成分として含有する、〇〇病治療**用医薬組成物**。」
* これは「特定の用途(〇〇病治療)に限定された物(医薬組成物)」の発明と解釈され、特許の対象となります。
このように、用途発明は、既存の物質の価値を再発見し、新たなイノベーションを生み出すための非常に強力なツールなのです。
—
– 医薬品以外の分野(例:農薬、食品、材料科学など)での用途発明の具体例を調べてみましょうか?
– ある物質の新しい用途を発見した場合、どのような実験データがあれば特許として認められやすいかご説明しましょうか?
– 「用途発明」と似ていて間違いやすい「剤形発明」(例:錠剤を貼り薬にするなど)との違いについて知りたいですか?
質問:「治療は特許保護の対象外」だと、例えば患者のT細胞と採取して遺伝子導入してまた同じ患者に戻すCAR-T治療は、定義のうえで「治療」になってしまって特許が取れないのでしょうか?
Manus:
CAR-T細胞療法のような技術が特許の対象になるか、というご質問ですね。これは非常に専門的な分野ですので、正確な情報に基づいて回答させていただきます。
まず、ご認識の通り、医師が行う手術、治療、診断といった医療行為そのものは、日本では特許の対象外とされています。 これは、特許によって医療行為が独占されると、患者が最適な治療を受ける機会が妨げられる可能性があるためです。
しかし、CAR-T細胞療法のような技術は、単なる「治療」という行為だけではなく、様々な要素を含んでいます。そのため、工夫次第で特許を取得することが可能です。
### CAR-T細胞療法で特許を取得する方法
CAR-T細胞療法に関連する発明は、主に以下のカテゴリーで特許化されています。
1. **物(プロダクト)に関する発明**:
* **CAR-T細胞そのもの**: 遺伝子導入されたCAR-T細胞という「物」として特許を取得できます。 例えば、「特定の遺伝子配列(CAR)が導入されたT細胞」といった形で権利を主張します。
* **CAR遺伝子**: T細胞に導入するキメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子配列自体も特許の対象となります。
* **治療薬・医薬組成物**: CAR-T細胞を含む医薬組成物(医薬品)として特許を取得する方法が一般的です。
2. **方法(プロセス)に関する発明**:
* **CAR-T細胞の製造方法**: 患者から採取したT細胞に遺伝子を導入し、培養してCAR-T細胞を製造する一連のプロセスも特許の対象となります。
* **品質管理方法**: 製造されたCAR-T細胞の品質を評価・管理する方法も特許になり得ます。
### 特許請求の範囲(クレーム)の表現方法
特許を取得するためには、「医療行為」に該当しないように特許請求の範囲(クレーム)を記述する必要があります。
* **NGな表現**: 「患者にCAR-T細胞を投与する**方法**。」
* これは「治療方法」そのものを指すため、特許になりません。
* **OKな表現**:
* 「有効成分としてCAR-T細胞を含有する、〇〇(疾患名)治療**用医薬組成物**。」
* これは「物」の発明として扱われるため、特許の対象となります。
* 「患者からT細胞を採取し、該T細胞にCAR遺伝子を導入し、培養する工程を含む、CAR-T細胞の**製造方法**。」
* これは人体から切り離された細胞を処理する「製造方法」であり、医療行為には該当しません。
このように、CAR-T細胞療法は、治療方法そのものではなく、そこで用いられる「細胞」や「医薬組成物」、またはその「製造方法」といった形で特許を取得するのが一般的です。実際に、CAR-T細胞療法に関連する多くの特許が世界中で成立しています。
CAR-T細胞療法に関する具体的な特許の事例ですね。承知いたしました。どのような特許が存在するのか、具体的な事例を調べてみましょう。CAR-T細胞療法に関する具体的な特許事例について、代表的な製品である「キムリア」や「イエスカルタ」に関連する特許、そして日本国内での特許事例を調査しました。
### CAR-T細胞療法の主要な特許事例
CAR-T細胞療法に関する特許は、2015年頃から急激に増加しており、企業や大学、研究機関による激しい開発競争が繰り広げられています。 特許の対象は多岐にわたりますが、主に以下のカテゴリーに分類されます。
* **CAR-T細胞そのもの(物の発明)**:
* 特定の構造を持つCAR(キメラ抗原受容体)をコードする核酸配列。
* その核酸配列が導入されたT細胞。
* **CAR-T細胞を含む医薬組成物**:
* CAR-T細胞を有効成分として含む、特定の疾患(例:B細胞性急性リンパ芽球性白血病など)の治療用医薬組成物。
* **製造方法**:
* 患者からT細胞を採取し、遺伝子導入を行い、培養・増殖させる一連の製造プロセス。
* **周辺技術**:
* CAR-T細胞の有効性を高めるための併用薬(例:インターロイキン)。
* 治療の安全性を高めるための副作用管理技術。
### 具体的な製品と関連特許
CAR-T細胞療法の代表的な製品として、ノバルティス社の「**キムリア(Kymriah)**」とギリアド・サイエンシズ(カイト・ファーマ)の「**イエスカルタ(Yescarta)**」が知られています。 これらの製品を巡っては、激しい特許紛争も起きています。
* **キムリア(ノバルティス)**:
* ペンシルベニア大学で開発された技術を基に製品化されました。
* 関連特許としては、CD19を標的とするCARの構造や、それを含むT細胞、医薬組成物などが挙げられます。
* ノバルティスは複数の特許によってキムリアの技術を保護する戦略をとっています。 2019年には、欧州で異議申し立てを受けていた特許の一つを放棄した事例もありますが、これは多数の関連特許の中の一つであり、製品開発には重要ではないと判断されたためです。
* 日本でも2019年3月に製造販売が承認されています。
* **イエスカルタ(ギリアド・サイエンシズ/カイト・ファーマ)**:
* こちらもCD19を標的とするCAR-T細胞療法で、キムリアと並んで最初に承認された治療薬の一つです。
* 関連特許を巡り、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(ジュノ・セラピューティクス)との間で大規模な特許侵害訴訟がありました。 この訴訟の中心となったのは、CARをコードするポリヌクレオチド(DNA)に関する特許(米国特許第7,446,190号)でした。 この事例は、CAR-T細胞療法の分野における特許の重要性を示しています。
### 日本国内の特許事例
日本でもCAR-T細胞療法に関する研究開発・特許出願が活発に行われています。
* **ブライトパス・バイオ株式会社と信州大学の共同出願**:
* 2024年10月、「CAR発現免疫細胞を含む細胞集団の製造方法」に関する特許査定を受けたと発表しました。
* この特許は、人工的に作製した抗原提示細胞を用いてCAR-T細胞を製造する方法に関するもので、標的抗原やT細胞の種類を限定しない、権利範囲の広い特許とされています。
* **ティーセルヌーヴォー株式会社**:
* がん抗原の一種である「GD2」を標的とする新しいCAR-T細胞療法に関する特許を取得しています。 GD2は、神経芽腫などの小児がんや、トリプルネガティブ乳がんなどで過剰に発現することが知られています。
これらの事例からわかるように、CAR-T細胞療法の特許は、CARの基本的な構造だけでなく、その改良(例:安全性を高める、標的を増やす)、製造プロセスの効率化、品質管理の方法など、非常に多岐にわたる技術が保護の対象となっています。