質問:専用実施権と独占通常実施権との違いは何?
Gemini:独占通常実施権と専用実施権の違い、および関連する特許法の条文について解説します。
💡独占通常実施権と専用実施権の違い
| 項目 | 専用実施権(特許法77条) | 独占通常実施権(特許法に明文規定なし、契約による) |
| 法的性質 | 物権的権利(特許権に準じる強力な独占排他権) | 債権的権利(契約に基づく特約により独占性を付与) |
| 独占性 | 法律上の独占・排他性が保証される(特許権者も実施できない) | 契約上の独占性が保証される(特許権者も実施しない特約を付けることが一般的) |
| 効力発生要件 | 特許庁への登録が効力発生要件(特許法98条1項2号) | 登録は不要(当事者間の契約のみで有効) |
| 対第三者効 | 登録により第三者にも対抗できる(排他性がある) | 原則として第三者に対抗できない(特許法上の排他性がない) |
| 差止請求権 | 自己の名で侵害者に請求できる | 原則として請求できない(特許権者が行う) |
| 損害賠償請求 | 自己の名で侵害者に請求できる | 原則として請求できない(独占侵害の場合など、限定的に可能とされる説もある) |
| 情報公開 | 登録されるため、情報が公開される | 登録不要のため、情報が公開されない |
重要なポイント
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専用実施権は、特許法に規定された独占的かつ排他的な物権的権利です。登録が必須であり、その範囲内では特許権者自身も実施できなくなり、実施権者自身が侵害者に差止請求などができます。
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独占通常実施権は、特許法には直接的な規定がなく、通常実施権(特許法78条、債権的権利)に「特許権者が他に実施許諾をしない」という独占特約を付けたものです。契約上の独占性はありますが、法律上の排他性はないため、原則として侵害者に直接差止請求はできません。ただし、実務上は柔軟性があるため、広く用いられています。
📜特許法の関連条文
独占通常実施権については、特許法に直接その名称で規定された条文はありませんが、そのベースとなる通常実施権に関する条文があります。
専用実施権
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特許法 第77条(専用実施権)
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特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる(1項)。
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専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する(2項)。
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通常実施権(独占通常実施権の法的ベース)
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特許法 第78条(通常実施権)
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特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる(1項)。
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通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する(2項)。
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登録による効力発生
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特許法 第98条(登録の効果)
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次の事項は、登録しなければその効力を生じない。
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一:特許権の移転(相続その他の一般承継の場合を除く。)、変更、消滅(混同による場合を除く。)又は処分の制限
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二:専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継の場合を除く。)、変更、消滅(混同による場合を除く。)又は処分の制限
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特許法 第99条(通常実施権の対抗力)
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登録した通常実施権は、その特許権若しくは専用実施権又はその通常実施権について後に取得した者に対しても、その効力を有する(1項)。
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(独占通常実施権は、この99条に基づく「登録した通常実施権」ではありません。独占通常実施権は、特許法上の排他性を伴うものではないため、原則としてこの登録をもって第三者への対抗力(排他性)は生じません。)
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より詳しく、それぞれの実施権者が侵害者にどのような対抗措置を取れるか知りたいですか?