特許法
第十一章 罰則
(侵害の罪)
第百九十六条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。第百九十六条の二 第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二節 権利侵害
(差止請求権)
第百条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。(侵害とみなす行為)
第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
(特許権の効力)
第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
プロンプト:101条で「侵害とみなす行為」が定義されているけど、「侵害行為」はどこに定義されているの?それがないと、第196条「侵害した者」が定義されなくない?
*下の説明は、法律を構成するロジックがわかりやすく説明されていると思いました。
Gemini 3:特許法には「侵害とは〜である」という直接的な定義条文は存在しません。その代わりに、**「特許権の効力」を定めた条文(第68条)**を裏返して読むことで、何が侵害行為(直接侵害)になるかを導き出す仕組みになっています。
1. 「侵害行為」の根拠は第68条にある
第196条でいう「特許権を侵害した者」とは、端的に言えば**「正当な権限がないのに、業として特許発明を実施した者」**を指します。
その根拠となるのが以下の条文です。
(特許権の効力)
第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
この「専有する」という言葉がポイントです。「特許権者だけが独占できる」という意味なので、権限のない第三者が「業として特許発明の実施」を行えば、それは自動的に特許権を侵害したことになります。
「実施」の定義(第2条3項)
「実施」の内容については、第2条3項に詳しく定義されています。
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物の発明: その物の生産、使用、譲渡等、輸出、輸入など
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方法の発明: その方法の使用など
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物を生産する方法の発明: その方法の使用、それにより生産した物の使用、譲渡等など
したがって、「第2条3項の行為を、権限なく業として行うこと」が、第196条の対象となる「侵害(直接侵害)」の正体です。
2. 侵害の「二段構え」の構造
特許法では、侵害を以下の2つのレベルで捉えています。今回の罰則規定(196条と196条の2)も、この区分に対応しています。
| 種類 | 内容 | 根拠条文 | 罰則(刑事罰) |
| 直接侵害 | 特許発明の構成要素をすべて満たす行為(ズバリそのものを作るなど) | 第68条の裏返し | 第196条(10年以下の懲役等) |
| 間接侵害 | 侵害を誘発するような予備的行為(専用パーツを売るなど) | 第101条(みなす定義) | 第196条の2(5年以下の懲役等) |
3. なぜ第196条で「101条を除く」と書かれているのか
第196条の括弧書きに「(第百一条の規定により…みなされる行為を行つた者を除く。)」とあるのは、直接的な侵害(196条)と、予備的な侵害(196条の2)で罪の重さを分けるためです。
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196条(直接侵害): 特許品そのものを無断で製造・販売する行為 → 重い
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196条の2(間接侵害): 侵害に使われるパーツを製造・販売する行為(侵害と「みなす」行為) → 少し軽い
もし第101条のような「みなす規定」がなければ、パーツを売っているだけの人を「特許権を侵害した」として処罰することが難しいため、あえて101条で「これも侵害とみなしますよ」と網を広げているのです。
まとめ
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直接侵害(196条): 第68条(専有)に違反して、第2条3項(実施)を行うこと。
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間接侵害(196条の2): 第101条各号に該当する、侵害の予備的行為。
このように、特許法は「権利の範囲(68条)」を定義することで、その範囲を侵すものを「侵害」として特定する構造になっています。