特201 両罰規定

特許法

(両罰規定)
第二百一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項 三億円以下の罰金刑
二 第百九十七条又は第百九十八条 一億円以下の罰金刑

2 前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。

3 第一項の規定により第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

プロンプト:枝別問題集(過去問)の中で、業務主 甲 が自然人であっても罰金刑が課されることがあるかないか?問われてるんだけど。法人の代表者(自然人である甲)に対して、罰金は発生しうるというのが答えかね。

Gemini 3:

その過去問のポイントは、**「両罰規定(201条)は法人だけに適用されるのではなく、個人事業主(自然人)にも適用される」**という点にあります。

結論から言うと、業務主である「甲(自然人)」に対しても、罰金刑が科されることはあります。

ただし、ユーザー様が書かれた「法人の代表者に対して罰金が発生する」という理解には、少し整理が必要なポイントがあります。図解とともに解説します。


1. 両罰規定(201条)の仕組み

両罰規定とは、従業員などが悪いことをしたときに、**「実際に手を下した本人(行為者)」だけでなく、「その雇い主(法人や事業主)」**も一緒に処罰するルールです。

雇い主が「法人」か「個人(自然人)」かで、罰金の内容が変わります。

雇い主(業務主)の区分 行為者(従業員など)への罰 雇い主への罰(両罰規定)
法人(株式会社など) 懲役 または 罰金 重い罰金刑(最大3億円など)
自然人(個人事業主) 懲役 または 罰金 各本条の罰金刑(最大1,000万円など)

2. 混乱しやすい「自然人(人)」の扱い

ユーザー様が「法人の代表者(自然人である甲)に対して、罰金は発生しうる」と考えられた部分について、以下の2つのパターンを区別して押さえておきましょう。

パターンA:甲が「個人事業主」の場合

  • 状況: 個人で特許ビジネスをしている甲の従業員が、勝手に他社の特許を侵害した。

  • 結論: 従業員も罰せられますが、雇い主である甲(自然人)にも罰金が科されます。これが、ご質問の「自然人であっても罰金刑が科される」ケースです。

パターンB:甲が「会社の社長(代表取締役)」の場合

  • 状況: 株式会社の社長である甲の部下が、会社の業務で特許を侵害した。

  • 結論: 1. 行為者: 部下が罰せられます。

    2. 法人: 「株式会社」に対して、法人重科(最大3億円)が科されます。

    • ※このとき、社長(甲)個人が直接「両罰規定」で罰金を受けるわけではなく、あくまで「法人としての会社」にお金(罰金)を払わせるという形になります。

3. なぜ試験で問われるのか?

試験(短答式など)で狙われるのは、条文の**「法人に対して…、その人に対して各本条の罰金刑を科する」**という部分です。

  • ひっかけの例: 「両罰規定は、法人に対してのみ適用され、自然人である事業主には適用されない。」

  • 答え: ×(間違い)。自然人であっても、人を雇っている「人(事業主)」であれば、罰金刑を受ける可能性があります。

まとめ

「業務主 甲 が自然人であっても罰金刑が課されることがあるかないか?」という問いに対しては、**「ある(個人事業主が従業員の行為によって罰金を受けるケースがあるため)」**が正解となります。

「法人じゃないから、雇い主個人は責任を負わなくていい」とはならない、という点が重要です。

プロンプト:この条文「その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。」の後半の「その人」というのは、従業者ではなく、法人の代表者(雇用側の人間)という意味?

Gemini 3:その通りです!この条文における「その人」とは、行為者(従業員など)のことではなく、**「雇用主である個人(個人事業主)」**のことを指します。この条文の構造を、パズルのように分解して整理すると非常にスッキリします。

1. 条文の「登場人物」を整理する

条文の冒頭から「誰が誰を指しているか」を色分けするように整理してみましょう。

第二百一条(両罰規定) 「法人の代表者」又は「法人若しくは(=個人事業主)の代理人、使用人その他の従業者」が、その「法人」又は「(=個人事業主)」の業務に関し、……違反行為をしたときは、

  1. 行為者(実際に手を下した人)を罰するほか、

  2. その法人に対して(重い)罰金刑を、

  3. その(=雇用主である個人)に対して各本条の罰金刑を科する。

つまり「その人」とは?

ここでの「その人」は、**「人を雇ってビジネスをしている個人(自然人)」**を指します。 法律用語では、株式会社などの「法人」と対比させる形で、生身の人間を「人(自然人)」と呼びます。

2. なぜ「その人」に従業者を含めないのか?

「従業者(行為者)」は、すでに条文の中の**「行為者を罰する」**という言葉でカバーされているからです。もし「その人」を従業者と解釈してしまうと、「行為者を罰するほか、従業者を罰する」という二重の意味になってしまい、日本語としておかしくなってしまいます。

3. 具体的なケースで考える

「特許権侵害」が起きた場合の罰則の行き先をシミュレーションしてみます。

ケースA:法人(株式会社)の従業員が違反した場合

  • 行為者(従業員): 懲役 または 罰金

  • 法人(会社): 3億円以下の罰金(201条1号)

    • ※このとき、社長(代表者)個人に「両罰規定」による罰金は科されません。罰金は「会社という組織」に対して科されます。

ケースB:個人商店(甲さん)の従業員が違反した場合

  • 行為者(従業員): 懲役 または 罰金

  • その人(事業主 甲さん): 1,000万円以下の罰金(各本条の罰金刑)

    • ※ここでの甲さんが、条文でいう「その人」に当たります。

まとめ:ここが試験のポイント!

試験で「その人」という言葉が出てきたら、**「雇い主としての個人事業主」**と読み替えてください。

  • 行為者: 実際に悪いことをした人(代表者や従業員)

  • 法人: 雇い主が「会社」の場合

  • その人: 雇い主が「個人」の場合

このように、実際にやった人」と「それを利用してビジネスをしていた雇い主」の両方を罰するから「両罰規定」と呼ばれます。