老衰の始まり:サルコペニア(筋量の低下)
老衰の始まりにはサルコペニア(筋肉量減少症)がある(老衰に至るプロセスと老衰が示す状態)
人間はどうやって死ぬのか
人の終末期は、一般的には4つの型に分かれると言われています。①くも膜下出血や心筋梗塞、事故などの突然死タイプ、②一定の期間は健康な状態を保ち、末期にかけて病状が急速に進行するがん死タイプ、③心臓・腎臓・肝臓などの慢性的な病気が、良くなったり悪くなったりを繰り返し段階的に弱っていく臓器不全タイプ、④緩やかに活力が低下していく老衰や認知症タイプです(老いと死について考える 大久保病院だより)
延命治療の是非
老衰により体が衰えて、人間は最後は食べ物を食べられなくなり、水しか飲めない状態になります。嚥下機能の低下でご飯が飲み込めないが胃腸の働きは正常であれば、胃瘻(いろう)という選択肢もあります。胃瘻は、食べ物を直接、胃に入れる方法です。消化器官が機能していなければ、静脈に栄養を点滴するという選択肢があります。そういったことを一切やらないとなると、人間はどれくらい生きられるのでしょうか。
人口栄養や中心静脈を使った栄養は、老衰の進んだ寝たきりの方にとって「延命治療」の側面が強いと言わざるを得ないというのが現状のようです。(老いと死について考える 大久保病院だより)
「余命があと3~4日」をどう受け止めるか?これは年齢、病気、ご本人の死生観、ご家族の気持ちにより、千差万別だと思います。例えば寝たきりで長らくご自宅で療養され、100歳を超えた方が、一日の大半を眠って過ごすようになり、食事を摂らなくなった。→この場合はどうでしょう。「点滴も何もしないで、静かに見守り、見送ってあげたい」と思うご家族が多いのではないでしょうか?(「口からご飯が食べられなくなったら・・・」番外編 さくらクリニック 東京都中野区)
自分の父親も90歳を過ぎた年齢でしたが、ひどい便秘で医者にかかったところ大腸がんが見つかり、その時はすでに肝臓やほかの場所にも転移していて、その後はほんの数日の間に急速に悪化しました。最後は食べ物が食べられなくなり、水しか受け付けなくなりましたが、胃瘻や栄養の点滴による延命は拒否していました。医師により余命が数日と判断されるような状態にまでなってしまうと、延命措置によりさらに数日間、死に至る時期を延ばすことにどれほどの意味があるのだろうかと考えさせられました。本人が間近に迫った死を受け入れる心の準備ができていれば、最後の瞬間の迎え方に関しては本人の意思を尊重することが一番良いのかなと思います。
緩和ケアでは、いくつかの場面で点滴による処置が行われることもあります。例えば、痛み止めの薬剤を体へ注入したり、必要な栄養や水分を体へ補給したりする場面です。… 生存予後が数日の段階に入った終末期の患者においては、点滴によって逆に患者を苦しませてしまうことがあるので、積極的な点滴は行われない傾向があります。(緩和ケアで点滴(輸液)を行う場合と行わない場合の違いとは? ClinicC4 東京都渋谷区元代々木町)
がんの末期などで体の中の細胞が水分を取り込めない状態が生じやすく、輸液をおこなうことで浮腫や胸腹水、気道分泌物の増加などが起こり、患者への負担が大きくなる可能性もある。(終末期と輸液療法について 2020.7.13JTCAゼミ 日本終末期ケア協会)
老衰になった人間は水だけで何日間生きられるのか
点滴を全くしない場合の余命は5日〜7日程度、長くても10日間ほどと言われています。(「老衰」で穏やかな最期を迎えるために 2022年12月6日 更新 famille-kazokusou.com)
老衰により自然な死が訪れるのだとしたら、胃瘻や点滴といった延命措置をやることに意味がどれくらいあるのでしょうか。何をしてでも1日でも長く行きたいと思うのか、自然の摂理に身を任せたいと思うのかは、個人の考えに大きく依存する部分だと思います。
静脈栄養とは
ご飯が食べられなくなった人に対しては、直接、静脈から血液中に栄養分を入れる「静脈栄養」という処置がなされることがありす。静脈栄養は2つに大別され、一つが腕などの末梢静脈から投与する「末梢静脈栄養(Peripheral Parenteral Nutrition;PPN)」、もう一つが中心静脈という心臓に近い太い血管から投与する「中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition;TPN)」です。
- 中心静脈栄養の選択基準 大塚製薬工場
- 組成表検索(輸液製剤協議会)
- 輸液製剤の組成一覧表 (輸液製剤協議会)