乳酸アシドーシスとは

グルコースは解糖系によりピルビン酸にまで変換されます。そのあとは、ピルビン酸脱水素酵素の働きによりアセチルCoAになってクエン酸回路に入り、引き続き酸化されます。しかし、何らかの理由でクエン酸回路が回らない場合には、ピルビン酸は乳酸へと変換されますので、乳酸が体の中に蓄積してしまいます。乳酸は「酸」ですので、過剰になると体の中が酸性に傾きます。これが乳酸アシドーシスと呼ばれる状態です。

ピルビン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素が働くには、ビタミンB1の活性型であるチアミンピロリン酸という補酵素が必要である。ビタミンB1が不足すると、ピルビン酸からアセチルCoAが合成できず体内にピルビン酸乳酸が溜まっていくので、徐々に血液が酸性に傾いていき乳酸アシドーシスとなる。(PPN施行時のビタミンB1併用の必要性について 高の原中央病院DIニュース 2015年7月号 )

高カロリー輸液の副作用としての乳酸アシドーシス

高カロリー輸液の普及により当初予想されなかったいくつかの問題が起きている。

現在使用されている高カロリー液としては、パレメンタール(A、B)、ハイカリック(1号、2号、3号、4号、NC-L、NC-N、NC-H)、ワスタ、カロネット(L、H)、リハビックス-K(1号、2号、3号、4号)、エネベース、アリメール及びトリパレン(1号、2号)がある。

各種電解質の配合は、製剤により多少異なるが、ビタミンは全く配合されていない。

高カロリー輸液の場合に認められるアシドーシスは、乳酸アシドーシスであり、これは、乳酸の血中濃度が45mg/dl以上、動脈血のpHが7.25以下の状態をいう。([解説] 高カロリー輸液施行中に認められるアシドーシス 大学病院医療情報ネットワーク)

アニオンギャップ(AG)

アニオンギャップ(anion gap;AG)とは、血液中に存在する陽イオンと陰イオンの差のことだそうです。代謝性アシドーシスにはさまざまな原因がありますが、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全などの代謝性アシドーシスにおいてアニオンギャップ(AG)が増加するそうです。

  1. アニオンギャップ 看護roo!用語辞典

アシドーシスの分類

アシドーシスは体(血液)が酸性に傾いた状態です。大きくわけて、呼吸性アシドーシス代謝性アシドーシスに大別されます。

アシドーシスとは、血液のpHが酸性に傾いた状態をいい、臨床症状として意識障害、血圧低下、痙攣、呼吸障害などが起こる。アシドーシスの原因としては、(1)血液中に何らかの酸性物質が蓄積した場合(代謝性アシドーシス)(2)呼吸機能の障害で血液中にCO2が蓄積した場合(呼吸性アシドーシス)がある。(高カロリー輸液の適正使用について 平成9年6月23日 厚生省)

 

代謝性アシドーシスはさらに、AGが正常なものと、有機酸の蓄積によりAGが高値になるものとに分類されます。AGが上昇する代謝性アシドーシスとしては、乳酸アシドーシスケトアシドーシス、尿毒症、薬物中毒などがあります。

  1. アシドーシス MSDマニュアル家庭版
  2. アニオンギャップ上昇代謝性アシドーシス(代謝性アシドーシス リウマチ・膠原病科 国府台病院)
  3. 代謝性アシドーシス 日本医事新報社