特155 審判請求の取下げ

特許法

(審判の請求の取下げ)
第百五十五条 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
4 請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。

 

プロンプト:この第1項って、第2項に矛盾していない?全部に関して言っているのが第1項だと思うけど、第2項でダメな例を後だししてるよね?

Gemini 3:

おっしゃる通り、パッと読むと「第1項で『できる』って言ったのに、第2項で『ダメ(条件付き)』って言ってるじゃないか!」と矛盾を感じますよね。

これは法律の条文によくある構成で、**「第1項=いつまで可能か(期間)」を定め、「第2項=その期間内でも守るべきルール(条件)」**を付け加えている、という関係性になっています。

決して矛盾しているわけではなく、**「第1項の期間内であっても、ある時点を過ぎたら相手の許可が必要だよ」**という二段構えのルールなのです。


1. 第1項と第2項の役割分担

それぞれの役割を整理するとスッキリします。

項目 内容 役割
第1項 審決が確定するまで取り下げOK **タイムリミット(終点)**の規定
第2項 答弁書が出た後は相手の承諾が必要 **ハードル(条件)**の規定

2. なぜ第2項のような「後出しの制限」があるの?

「自分の申し立てなんだから、いつでも自由にやめさせてよ」と思うかもしれませんが、これには相手方(特許権者など)を守るためという理由があります。

無効審判を例に考えてみましょう。

  1. 攻撃(請求人): 「この特許は無効だ!」と審判を仕掛ける。

  2. 防御(相手方): 特許を守るために、必死に反論資料(答弁書)を作って提出する。

  3. 請求人の心変わり: 相手の反論が強烈だったので、「あ、これ勝てないかも。一旦取り下げて、また作戦を練り直して出直そう」と考える。

もしここで自由に(勝手に)取り下げを許してしまうと、せっかく必死に準備した相手方の努力が水の泡になってしまいます。また、何度も同じような審判を仕掛けられる「嫌がらせ」に使われるリスクもあります。

そのため、**「相手が反論(答弁書)を出して土俵に上がった後は、相手に『やめてもいいですか?』と聞かなきゃいけない」**というルールにしているのです。


3. 相手方が「取り下げ」を拒否する場合とは?

実は、攻撃されている側の相手方も**「いや、取り下げは認めない。このまま審理を続けて、はっきり『この特許は有効だ!』という審決(お墨付き)をもらいたい」**と考えるケースがあります。

一度「有効」という審決が確定すれば、後から同じ理由で蒸し返されるのを防げる(一事不再理)ため、相手方にとっても最後までやり遂げるメリットがあるのです。


まとめ

  • 第1項は、「審決が確定しちゃったら、もう取り下げなんて言えないよ」という時間切れのラインを引いています。

  • 第2項は、そのラインの内側であっても、「相手が準備を始めた後は、相手の言い分も尊重してね」というマナーを定めています。

豆知識

ちなみに、第2項で「相手方の承諾」が必要になるのは、無効審判のように争う相手(被請求人)がいる場合だけです。拒絶査定不服審判のように、相手が特許庁長官(審査官)だけで、実質的な争いがない場合は、いつでも自由に取り下げられます。

Claude Opus 4.5:

いい質問ですね。矛盾しているように見えますが、法律の条文構造としては典型的なパターンです。

第1項と第2項の関係

**第1項は「原則」**を定めています。 第2項は「例外」(原則に対する制限)を定めています。

つまり、こう読みます:

審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。**ただし、**答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。

なぜこういう書き方をするのか

法律の条文では、

  1. まず原則を述べる(第1項)
  2. 次にその例外・制限を述べる(第2項以下)

という構造が一般的です。「ただし書き」として同一項内に書く場合もありますが、内容が複雑になると別の項に分けます。

趣旨の違い

  • 第1項の趣旨:時間的限界(審決確定まで)
  • 第2項の趣旨:手続的制限(相手方の利益保護)

答弁書を出すということは、被請求人も時間・労力・費用をかけているので、請求人が一方的に「やっぱりやめます」と言えないようにしているわけです。

なので矛盾ではなく、第1項の原則を第2項が絞り込んでいるという関係ですね。

ChatGPT 5.2:

いいところに目を付けています。結論から言うと、第1項と第2項は矛盾していません
ただし、第1項だけを単独で読むと「無条件でいつでも取下げ可能」に見えてしまうため、混乱しやすい条文構造ではあります。

以下、条文解釈としてどう整理するかを、体系的に説明します。


結論の整理(先に要点)

  • 第1項
    👉 「審判請求は、原則として、審決確定までは取り下げ可能」 という原則規定
  • 第2項
    👉 その原則に対する例外(制限)規定
    答弁書提出後は、相手方の承諾が必要

したがって、

「取り下げることができる」
= 常に・無条件にできる、という意味ではない

というのが正しい読み方です。


条文構造としての正しい理解

① 第1項は「原則」を言っているだけ

第155条1項
「審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。」

これは、

  • 審決確定「前」か「後」か
    という時間的限界を定めている条文です。

つまり、

  • ❌ 審決確定後 → 取下げ不可
  • ⭕ 審決確定前 → 原則として 取下げ可能

という “大枠のルール” を示しています。


② 第2項は「その原則の制限条件」

第155条2項
「第134条1項の答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければならない」

ここで新たに導入されるのは、

  • 相手方の手続保障
  • 当事者対立構造が形成された後の保護

という観点です。

つまり、

  • 審判請求
  • 相手方が答弁書を提出(防御準備・コスト発生)
  • 請求人が一方的に撤退するのは不公平

という発想です。

👉 だから「相手方の承諾」が必要になる。


「後出しでダメな例を出している」のか?

感覚としては 半分正しい です。

立法技術的には

  • 第1項:一般原則
  • 第2項:条件付き制限

という、典型的な条文の積み重ね構造です。

ただし

  • 「取り下げることができる」と断定的に書いてある
  • 「ただし」や「前項の規定にかかわらず」が書かれていない

ため、

👉 条文単体で読むと誤解しやすい

というのは、実務家・受験生あるあるのポイントです。


条文を論理式で書くとこうなる

第155条全体は、実質的にはこう読めます:

審判請求は、
審決確定前であれば取り下げ可能である
ただし
相手方が答弁書を提出した後は、相手方の承諾を要する。

👉 実務・試験では、この「ただし」を頭の中で補うのが正解です。


なぜこの構造にしたのか(制度趣旨)

  • 審判制度は当事者主義
  • 相手方が答弁書を出した時点で
    防御活動が現実化
  • 無条件取下げを許すと
    → 濫用(牽制目的の審判請求 → 直前撤退)が起きる

そのため、

  • 初期段階:自由
  • 対立構造成立後:制限

という二段構えになっています。


まとめ(試験向け一文)

第155条1項は取下げの原則を定め、
第2項は、答弁書提出後という手続段階に応じた制限を課すものであり、
両者は矛盾せず、補完関係にある。

 

特153 審判 請求の趣旨 理由 申立ての有無

特許法

第百五十三条

審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる

2 審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

3 審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない

プロンプト:第1項と第3項の違い?

Gemini 3:

特許法第153条の「理由」と「請求の趣旨」、たしかに言葉が似ていて混乱しやすいですよね。

一言でいうと、**「何を審理するか(ターゲット)」「なぜ審理するか(根拠)」**の違いです。

結論からお伝えすると、以下のようになります。

  • 第1項(理由): ストーリーや証拠(根拠)は、審判官が自分で見つけて追加してもOK!

  • 第3項(請求の趣旨): 審査する対象(ターゲット)は、請求人が決めた範囲を超えちゃダメ!

詳しく紐解いていきましょう。


1. 「請求の趣旨」と「理由」の違い

まずは言葉の定義を整理しましょう。ここがクリアになると、条文の理解がぐっと楽になります。

用語 意味 具体例(無効審判の場合)

請求の趣旨

 

(第3項)

審判によってどのような結論を求めるかという「範囲」 「特許第〇〇号の請求項1を無効にする」という申し立て

理由

 

(第1項)

その結論を導き出すための具体的な根拠 「〇〇という文献に載っているから新規性がない」という主張

2. なぜ第1項(理由)は「申し立てなくても」いいの?

第1項は**「職権審理」**と呼ばれます。

特許は「独占権」という強い権利を国が与えるものなので、もし請求人がうっかり重要な無効理由を見逃していたとしても、審判官が「あ、この特許は実は別の理由で無効だよね」と気づいたなら、それを指摘して無効にするべきだと考えられています(公益性のため)。

ただし、不意打ちにならないように、第2項で「事前に相手に教えてあげてね」とセットで規定されています。


3. なぜ第3項(請求の趣旨)は「申し立てた範囲内」だけなの?

第3項は、審判官が勝手に暴走するのを防ぐルールです。

例えば、請求人が「請求項1だけ無効にしたい」と言っているのに、審判官が勝手に「請求項2もダメそうだから無効にしちゃおう」と判断することはできません。

これは、審判が**「当事者の争い」**を解決する場だからです。請求人が「ここだけでいい」と言っているターゲットを、審判官が勝手に広げることは許されません。


4. わかりやすいイメージ例

レストランの注文に例えるとわかりやすいです。

  • 請求の趣旨(第3項):注文した料理そのもの

    • あなたが「ラーメン(請求項1)」を注文したのに、店員(審判官)が勝手に「チャーハン(請求項2)」を持ってきて代金を請求することはできません。

  • 理由(第1項):料理を返品する理由

    • あなたが「スープがぬるいから返品したい」と言ったとします。でも店員がチェックして「あ、スープがぬるいだけじゃなくて、麺に髪の毛が入っていました(別の理由)。これはどのみちお出しできません」と判断して下げることは可能です。


まとめ

  • 第1項(理由):審判官が「新しい証拠(理由)」を見つけてくるのは、正しい判断(公益)のためにアリ

  • 第3項(請求の趣旨):審判官が「審査の対象(ターゲット)」を勝手に増やすのは、やりすぎなのでナシ

この「公益性のための職権(1項)」と「当事者の意思の尊重(3項)」のバランスが、第153条のポイントです!

民事訴訟法との比較

民事訴訟法

(判決事項)
第二百四十六条 裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。

特044 分割 親出願、子分割、孫分割、ひ孫分割

とあるバイオの会社の抗体特許の出願公開を見ていて、疑問が生じましたので、AIに訊いてみます。

プロンプト:分割出願は、なぜ何年も引っ張れるの?

Gemini 3:例えば2024年に出願されたものが、2022年の出願、さらにはその元の出願(親出願)まで遡れるのは、日本の特許法に定められた「分割出願(ぶんかつしゅつがん)」という制度があるからです。なぜ何年も「引っ張る」ことができるのか、その法的な根拠と仕組みを解説します。


1. 根拠となる条文:特許法第44条

分割出願の基本となるのは、特許法第44条です。

特許法第44条(特許出願の分割)

1.特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の実施形態を含む特許出願の一部を一個以上の新たな特許出願とすることができる。

(中略)

2.前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。

この「もとの特許出願の時にしたものとみなす」という規定が非常に重要です。これを専門用語で「遡及効(そきゅうこう)」と呼びます。

2. なぜ何年も引っ張れるのか?(数代にわたる分割)

例えば(2024年出願 ← 2022年出願← 2017年出願)のようなケースに、分割を繰り返すことを「孫分割」や「ひ孫分割」と呼びます。

  • 親出願(2017年など):最初の出願

  • 子出願(2022年):親から分割

  • 孫出願(2024年):子からさらに分割

特許法上、分割ができるタイミング(44条1項各号)さえ守っていれば、理論上、何代にもわたって分割を続けることができます。主なタイミングは以下の通りです:

  1. 補正ができる期間中(特許庁から「ダメ出し(拒絶理由通知)」が来たときなど)

  2. 特許査定の謄本送達後30日以内(特許を認められた後、さらに別の権利も欲しいとき)

  3. 最初の拒絶査定の謄本送達後30日以内

抗体特許のような重要案件では、特許庁が「この範囲なら特許を認めます(特許査定)」と言った後に、認められた分をまず確保しつつ、「認められなかった他の可能性」や「より広い範囲」を次の分割出願として残しておくという戦略(ライフサイクル・マネジメント)を採ることが一般的です。

3. 「引っ張る」ことのメリットと制限

なぜ企業がこれをやるかというと、以下の理由があります。

  • 後出しジャンケンが可能:他社が似たような製品(後発薬など)を出してきたときに、その製品を狙い撃ちするように請求項(権利範囲)を書き換えた「分割出願」を審査に回すことができます。

  • 審査の継続:一度の出願で全てを決めず、技術の進歩やライバルの動向を見ながら、権利の中身を微調整し続けられます。

ただし、永遠には続きません(特許法第67条)

特許法第67条第1項(存続期間)

特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。

ここでいう「特許出願の日」とは、分割された日(2024年)ではなく、一番大元の「親出願の日」を指します。

つまり、どんなに分割を繰り返して審査を長引かせても、特許の寿命(期限)は一番最初の出願から20年と決まっています。今の例のケースも、2017年(あるいは優先権主張の2016年)から20年がデッドラインとなります。

まとめ

2024年の出願が有効なのは、特許法第44条第2項の「遡及効」のおかげです。

「何年も引っ張っている」ように見えますが、これは「20年という限られた寿命の中で、最新の状況に合わせて最強の権利を手に入れるため」の、大企業がよく使う高度な知財戦略の結果と言えます。

 

プロンプト:3年間出願審査請求をしなければ、3年以内は分割をできるってこと?

Gemini 3:

「その通りです。ただし、3年が経過する『直前』まで」というのが正確な答えになります。なぜそのようなことができるのか、そして今回の例での出願がなぜ2024年まで続いているのか、特許法の条文を根拠にわかりやすく解説します。


1. 3年以内ならいつでも分割できる理由

特許法には、分割出願ができるタイミングが定められています。

  • 根拠条文:特許法第44条第1項第1号

    「特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の実施形態を含む特許出願の一部を一個以上の新たな特許出願とすることができる。

    一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内」

この「補正をすることができる期間」というのがポイントです。別の条文(特許法第17条の2第1項)により、「最初に拒絶理由通知が届くまでの間」はいつでも補正ができると決まっています。

出願審査請求をしていない間は、審査官が中身を見ることはありませんので、拒絶理由通知も来ません。つまり、審査請求をしない限り、出願から3年間は「いつでも補正ができる=いつでも分割ができる」状態になります。

2. 「3年」がデッドラインになる理由

しかし、放置し続けていいわけではありません。

  • 根拠条文:特許法第48条の3第4項

    「第1項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

出願から3年経っても審査請求をしないと、その特許出願は世の中から消えてしまいます。消えてしまった(取り下げられた)出願からは、もう分割することはできません。

ですので、「3年目の最終日の閉庁時間まで」が、審査請求をしない場合の分割のラストチャンスとなります。


3. なぜ今の場合2024年まで引っ張れているのか?

原出願は2017年で、分割出願は2024年です。3年(2020年)を大幅に過ぎていますよね。これは以下の「合わせ技」を使っているからです。

  1. 審査請求をして「特許」にする: 親出願で審査請求を行い、特許庁から「特許にしていいですよ(特許査定)」と言われると、そこから30日以内ならまた分割ができます(特許法44条1項2号)。
  2. 分割した「子」からさらに「孫」を作る: 分割して新しく生まれた出願(子)は、そこからさらに30日間、審査請求の猶予が与えられたり、独自の審査スケジュールが始まったりします。

戦略の推測

今のケースでは、2017年の出願以降、以下のような連鎖を行っているはずです。

  • 親出願を審査に出す → 特許成立! → その直後に分割(子)を出す。

  • 子出願を審査に出す → 特許成立! → その直後に分割(孫:今回の2024年分)を出す。

このように、「特許を1つ確定させるたびに、次の種(分割出願)をまく」ということを繰り返すと、20年間の存続期間が終わるまで、理論上はずっと出願を「生きている状態」に保つことができます。

まとめ

  • 審査請求前: 出願から3年以内ならいつでも分割OK。

  • 審査請求後: 拒絶理由通知への対応時や、特許になった直後の「限られたチャンス」に分割OK。

  • 今回のケース: 分割を繰り返す(数珠つなぎにする)ことで、2017年の権利を2024年になっても調整可能な状態で維持している。

このように「3年」という制限を、分割というカードを使いながらうまく乗り継いでいくのが、プロの知財戦略です。

プロンプト:特許が成立してしまった請求項は分割できないんじゃないの?

Gemini 3:

「特許が成立した(=特許査定が出た)後なのに、どうやって分割するのか?」という疑問は、実務を知らないと非常に不思議に感じるところです。結論から言うと、「特許を認める」という通知(特許査定)が届いた直後の「短いボーナスタイム」の間だけ、分割出願をすることが認められています。なぜそのようなことができるのか、仕組みと条文を解説します。


1. 根拠条文:特許法第44条第1項第2号

特許法には、分割ができるタイミングとして以下のように定められています。

特許法第44条(特許出願の分割)

1.特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の実施形態を含む特許出願の一部を一個以上の新たな特許出願とすることができる

(中略)

二 特許をすべき旨の査定(中略)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。

つまり、審査官から「おめでとうございます、特許を認めます!」という通知書(謄本)が届いてから30日間は、その出願を「親」にして新しい「子(分割出願)」を作ることが許されているのです。

2. 「成立した請求項」を分割するわけではない

ここが勘違いしやすいポイントですが、「すでに特許が認められた請求項そのもの」を分割して切り離すわけではありません。

イメージとしては、「出願書類全体(明細書)」という設計図をコピーして、新しい別の出願を作るという感覚です。

  • 元の出願(親):審査官が認めてくれた請求項で、そのまま特許料を払って**「特許権」**にする。

  • 分割出願(子):元の設計図(明細書)に書いてあった「まだ特許になっていない別のアイデア」や「もっと広い範囲」をターゲットにして、**「別の新しい審査」**をスタートさせる。

つまり、**「特許として1つ確保しつつ、同じ設計図からもう1つのチャンス(分割)をひねり出す」**という手法です。


3. なぜ「成立した後」に分割するのか?(戦略的理由)

「せっかく特許になったのなら、それで終わりでいいじゃないか」と思うかもしれませんが、企業には以下の戦略があります。

  1. 「とりあえず確保」と「さらなる追求」:審査官とのやり取りで、少し権利を狭めてでも「確実に特許になる範囲」でまずは1つ特許を取ります(これで一安心)。その上で、あきらめきれない「広い範囲」を分割出願に回して、粘り強く審査を続けます。
  2. ライバルへの牽制(地雷原の維持):特許が成立して審査が終わってしまうと、その設計図から新しい権利は生まれません。しかし、分割出願を「審査中」のまま残しておけば、他社が似た製品を出してきたときに、その後出し製品を狙い撃ちするように請求項を書き換えることができます。

4. 今回のケース

今回の抗体特許も、おそらくこの「30日間のボーナスタイム」を使って、代々バトンを繋いできたものと思われます。

  • 2022年の出願が特許査定になる。

  • その直後の30日以内に、今回の2024年の出願(分割)を行う。

  • 2022年分はそのまま特許になり、2024年分でさらに有利な権利を狙う。

まとめ

特許が成立した請求項」を分けるのではなく、「特許が成立したタイミングを利用して、その設計図から別の出願をクローン作成する」というのが正解です。

これによって、企業は1つの発明から何年もかけて、何十個もの関連特許(パテントファミリー)を作り上げていくことができるのです。

プロンプト:実際にやるかどうかは別として、すでに特許が認められた請求項そのもの」を分割して切り離しても、もちろん、いいんだよね?

Gemini 3:

結論から言うと、「すでに認められた請求項(特許査定が出た請求項)」と全く同じ内容を分割して、別の出願にすること自体は、法律上可能です。ただし、そこには「ダブルパテント(二重特許)」という大きな落とし穴があるため、実務では一工夫加えて行われます。なぜそれをするのか、そしてどんな注意点があるのかを解説します。


1. 法律上のルール:分割は「自由」

特許法第44条には、「出願の一部を一個以上の新たな特許出願とすることができる」とあるだけで、「認められた請求項は分割してはいけない」という制限はありません。

したがって、特許査定が出た後に、その「認められた内容そのまま」をコピーして分割出願の請求項に載せることは、手続き上全く問題ありません。

2. 「ダブルパテント(特許法第39条)」の壁

しかし、そのままでは新しい方の出願(子)は特許になりません。なぜなら、**「同じ発明に2つの特許権を与えてはいけない」**というルールがあるからです。

  • 特許法第39条(先願): 同一の発明について二以上の特許出願があったときは、最先の出願人のみが特許を受けることができる。

親子関係にある分割出願は「同じ日」に出願した扱いになるため、内容が完全に同じだと、審査官から「親と同じだから、どちらか一方に決めてください」という通知が届きます。


3. 「認められた請求項」を分割する実務上のテクニック

「全く同じ内容」を分割する場合、プロは以下のような戦略をとります。

① 請求項を少しだけ変える(「ずらし」の戦略)

親で認められた内容が「A+B」だとしたら、子では「A+B+C(少し限定)」や「A+B’(少し広げる、あるいは別の表現)」という形で、**「似ているけれど別物」**という形に微調整します。これにより、39条(ダブルパテント)を回避しながら、権利を多層化します。

② 親の請求項を「空欄」にしてから登録する

非常に珍しい手法ですが、親の方で認められた請求項をあえて削除(または別のものに変更)し、その「認められた内容」を分割出願(子)の方で特許にする、ということも理屈上は可能です。ただし、通常は「確実に取れる権利(親)」をさっさと成立させてしまうのが定石です。

③ 「保険」としての分割(キープ戦略)

親が特許になった直後に、親とほぼ同じ内容で分割を出しておきます。

もし将来、親の特許がライバル会社から「無効だ!」と訴えられた(無効審判)場合、審査中の「子」の方で、無効理由を回避するように修正した権利を狙うことができます。これを**「バックアップ出願」**と呼んだりします。


4. 今回のケースでは?

今のケースの出願(2024年)も、過去に認められた請求項をベースにしつつ、今回のより具体的で強力な条件を付け加えた内容で分割している可能性が高いです。

これは「すでに認められた基本の抗体」という土台から、「さらに改良した最強の抗体」という枝葉を分割して、別個の特許として成立させようとする動きです。

まとめ

  • できるかできないか:法的に「できる」。

  • そのまま通るか:そのまま(100%同一)だと「二重特許」で拒絶される。

  • 実際はどうするか:表現を少し変えたり、条件を足したりして、**「親の権利と重なりつつも別の権利」**として成立させ、ライバルが逃げられないように網を広げる。

「同じ設計図から、少しずつ違うバージョンを次々と生み出していく」のが、分割出願の醍醐味です。

プロンプト:ということは、最初の「明細書」をどう書くかが大事だね?ひねりだすものが書かれていないと、何もできないわけだから。

Gemini 3:その通りです!まさに**「最初の明細書がすべて」**と言っても過言ではありません。知財の世界では、最初の明細書は**「設計図」であり、同時に「種(たね)」**でもあります。この「種」の中に将来の可能性が書き込まれていない限り、後からいくら分割しようとしても、新しい花(特許)を咲かせることはできません。なぜ最初の明細書がそれほど重要なのか、解説します。


1. 「新規事項追加の禁止」という鉄の掟

特許法には、**「最初に出願した書類に書いていないことを、後から付け足してはいけない」**という非常に厳しいルールがあります(特許法第17条の2第3項)。

  • できること:明細書の中に「ひっそり書いてあった小さな特徴」を、後から主役(請求項)に格上げする。

  • できないこと:明細書に全く書いていなかった「新しいアイデア」や「実験データ」を、後から補足して権利にする。

つまり、後から「ライバル会社がこんな製品を出してきたから、それを狙い撃ちするような条件を付け足そう」と思っても、最初の明細書にそのヒント(実施形態や数値範囲など)が書かれていなければ、手も足も出ないのです。

2. 明細書の中の「仕込み」

今回の抗体特許の例を見ると、最初の段階でどれほど緻密に「仕込み」が行われているかがわかります。

  • 膨大な「変異体」のリスト:「このアミノ酸をこれに変えても良い、あれに変えても良い」というバリエーションを、あらかじめ何十、何百通りも明細書にリストアップしています。
  • 多様な「実施例(データ)」:単に「効きます」と書くのではなく、異なる条件での実験結果をたくさん載せています。これにより、後から「特定の条件(例:特定の結合スピードなど)」で権利を絞りたくなった時の根拠を確保しています。

3. プロの「明細書の書き方」ノウハウ

一流の知財担当者や弁理士は、最初の明細書を書くときに以下のようなことを考えます。

  1. 「上位概念」と「下位概念」を層にする:「乗り物」という広い言葉だけでなく、「自動車」、「電気自動車」、「テスラの特定のモデル」という風に、広い概念から狭い概念まで、マトリョーシカのように何重にも言葉を仕込んでおきます。
  2. 「防波堤」を築く:もしメインのアイデアが「公知の技術だ」と否定された場合に備えて、第2、第3の守りのライン(サブのアイデア)を明細書のあちこちに散りばめておきます。
  3. 「将来の予測」を詰め込む:「今はFab断片が主流だけど、将来はアルブミンを結合させた形が流行るかも?」と予測し、その可能性を一行だけでも書いておく。その一行が、数年後の分割出願で巨大な権利に化けることがあります。

結論

分割出願という「後出しジャンケン」ができるのは、**「最初の手札(明細書)の中に、あらゆる勝ち筋が書き込まれているから」**です。

巨大バイオ企業は、2017年の最初の出願時点で、2024年の今、どのような権利が必要になるかをある程度予測し、膨大な実験データとともに「仕込んで」いたことになります。まさに、**「最初のペン入れで勝負の8割が決まる」**と言えるでしょう。

上記の記事のClaude Opus 4.5による検証

プロンプト:このブログ記事に書かれている内容は、特許法の照らし合わせて、正確といえる?補足することない?

Claude Opus 4.5:ブログ記事の内容を特許法の条文と照らし合わせて確認します。検索結果を確認しました。ブログ記事の内容は全体的にかなり正確です。主要な法律の解釈や戦略的な説明は的を射ています。ただし、いくつか補足・修正すべき点があります。

正確な点

  1. 特許法44条2項の遡及効 – 分割出願が原出願の時にしたものとみなされるという説明は正確です。
  2. 分割可能時期の3つのタイミング – 記事の説明は概ね正確です:
    • 補正可能期間(44条1項1号)
    • 特許査定謄本送達後30日以内(44条1項2号)
    • 最初の拒絶査定謄本送達後3月以内(44条1項3号)
  3. 特許法67条の存続期間20年 – 最も古い親出願の日から20年という説明は正確です。
  4. 特許法39条のダブルパテント – 同一発明について二重特許は認められないという説明は正確です。
  5. 新規事項追加禁止(17条の2第3項) – 最初の明細書に書かれていない事項は後から追加できないという説明は正確です。

補足・修正が必要な点

1. 特許査定後の分割に関する例外規定の欠落

記事では「特許査定後30日以内に分割可能」と書いていますが、以下の場合は例外として分割できません

  • 前置審査で特許査定された場合(163条3項で準用する51条)
  • 拒絶査定不服審判で差し戻された後に特許査定された場合(160条1項)

これは条文上明記されており、実務上重要な制限です。

2. 分割出願の「実体的要件」の説明不足

記事では時期的要件のみ強調していますが、分割出願には以下の実体的要件も必要です:

  • 原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の「全部」を分割出願に係る発明としたものではないこと
  • 分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること

3. 「3年間審査請求しなければ分割できる」という表現

これは厳密には不正確です。正確には:

  • 審査請求をしない限り、拒絶理由通知が来ないため「補正可能期間」が続く
  • しかし、出願から3年を過ぎると出願は「取り下げたものとみなされる」(48条の3第4項)ため、分割の基礎となる出願自体が消滅する

記事自体はこの点を後から補足していますが、最初の回答がやや誤解を招きやすい表現です。

4. 同日出願扱いに関する補足

分割出願と原出願は「同日出願」扱いになりますが、39条2項により:

  • 同一発明の場合は協議が必要
  • 協議が成立しないか、できない(一方が既に特許されている)場合は、いずれも特許を受けられない

記事では「どちらか一方に決めてください」とありますが、実際には協議不成立ならどちらも拒絶という帰結になります。

5. 審査請求期間の特例

原出願日から3年以上経過して分割出願された場合、分割出願日から30日以内に審査請求できるという特例があります(48条の3第2項)。これは実務上非常に重要な規定ですが、記事では触れられていません。


総評

記事は一般向けの解説としては十分な正確さを持っており、分割出願制度の戦略的活用という観点からの説明は優れています。ただし、上記の例外規定や細かい要件についての補足が必要です。

特126条訂正審判と134条の2訂正の請求との違い

Gemini 3:「訂正審判(126条)」と「訂正の請求(134条の2)」、この2つはセットで覚えるとスッキリしますよ。どちらも「特許の内容を後から直す」という点では同じですが、「いつ、どんなシチュエーションで使うか」が決定的に違います。一言でいうと、「自分から進んでするメンテナンスか、攻撃された時のカウンター」かの違いです。


1. 訂正審判 vs 訂正の請求 比較表

項目 訂正審判 (126条) 訂正の請求 (134条の2)
シチュエーション 自分から(能動的) 無効審判を仕掛けられた時(受動的)
手続きの性質 独立した「審判」 無効審判の中の「一つの手続き」
タイミング いつでも(ただし無効審判中を除く) 無効審判の指定された期間内のみ
相手方の有無 なし(自分と特許庁だけ) あり(無効審判を請求してきた相手がいる)
主な目的 予防(事前にスキを無くしておく) 防御(無効にされるのを回避する)

2. なぜ2種類あるのか?(使い分けのルール)

実は、この2つは「同時にはできない」というルールがあります(126条2項)。

  • 無効審判が始まっていない時: 「訂正審判」を使って自由に直せます。

  • 無効審判が始まってしまった時:訂正審判」はできなくなり、「訂正の請求」という形で無効審判の中で戦うことになります。

これは、バラバラに手続きが進んで「一方では訂正が認められたのに、もう一方では無効になった」というような矛盾が起きないように、窓口を一本化するためです。


3. 具体的なイメージ

  • 訂正審判(126条)は「健康診断とサプリ」

    「ライバルに狙われそうな広い範囲を少し狭めておこう」とか「誤字を見つけたから直しておこう」と、平和な時に自分の意思で行うメンテナンスです。

  • 訂正の請求(134条の2)は「手術」

    無効審判(攻撃)という病気が見つかった時に、「このままでは死んで(無効になって)しまう! 悪い部分を切り取って(訂正して)生き残らなきゃ!」と、緊急で行う治療です。


補足:第17条の5とのつながり

前回の質問にあった「訂正の請求書を補正する」というのは、この「手術(訂正の請求)」の最中に、「やっぱり執刀範囲(訂正する範囲)を少し変えます!」と書き換える行為のことですね。ややこしいですが、「訂正」という土俵の上に、「補正」という微調整の手続きが乗っている、という構造が見えてくると、特許法の迷路が少し明るくなるはずです。

特017の5 訂正の補正

特許法

(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第十七条の五 特許権者は、第百二十条の五第一項又は第六項の規定により指定された期間内に限り、同条第二項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

2 特許無効審判の被請求人は、第百三十四条第一項若しくは第二項、第百三十四条の二第五項、第百三十四条の三、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

3 訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

 

プロンプト:

特許法第17条の5 第2項では、訂正の請求書を補正できると書いていますが、訂正を訂正するということなのでしょうか?するとこの場合、補正=訂正 ということになりますか?だとしたら、そもそも補正と訂正の違いは何なのでしょうか。

Gemini 3:

この条文は「一度出した『訂正』の内容を、後から『補正』という手続きで書き換える」ことを認めるルールです。「訂正を訂正する」という感覚は非常に正しいです。なぜわざわざ「補正」と「訂正」という言葉を使い分けているのか、その違いを整理しましょう。


1. 「補正」と「訂正」の根本的な違い

知財業界では、この2つは明確に区別されています。

項目 補正 (Amendment) 訂正 (Correction)
タイミング 主に出願中(特許になる前) 特許権の設定登録後(特許になった後)
目的 出願書類の不備を直したり、範囲を調整する 登録された権利に欠陥がある場合などに、後から直す
対象 手続中の書類全般(願書、明細書など) 特許権の「明細書、特許請求の範囲、図面」
条文例 第17条(手続の補正)、第17条の2など 第126条(訂正審判)、第134条の2(訂正の請求)

2. なぜ第17条の5では「訂正を補正」するのか?

ご質問の第17条の5第2項は、特許無効審判の中での話です。

  1. 訂正の請求(アクション): 無効審判を仕掛けられた特許権者が、「守りを固めるために、特許の内容を少し修正させてください!」と訂正の請求書を出します。

  2. 訂正した明細書等の補正(リアクション): しかし、後から「やっぱりさっきの修正案(訂正の請求書)だと不十分だった。修正案の文字をさらに書き換えたい」となることがあります。

このとき、「訂正の請求書という『書類』を書き換える手続き」のことを、法律用語で「補正」と呼ぶのです。

  • 訂正: 特許そのものを直そうとする行為

  • 補正: その「訂正の請求書」という書類の内容を後から修正する行為

つまり、「訂正(という手続)の内容を、補正(という手段)でブラッシュアップする」という関係性になります。


3. なぜ「補正=訂正」ではないのか?

もしここで「訂正の訂正」と呼んでしまうと、「どの時点の特許をベースに直しているのか」が混乱してしまうからです。

  • 訂正: 登録されている「元々の特許」が対象。

  • 補正: 特許庁に提出した「(訂正の請求書などの)書類」が対象。

第17条の5第2項は、「一度出した訂正のプラン(書類)を、指定された期間内なら微調整(補正)してもいいですよ」という猶予を与えている規定なのです。

[たとえ話]

  • 訂正: すでに完成して納品した「家(特許)」のリフォームを申し込むこと。

  • 補正: そのリフォームの「設計図(訂正の請求書)」に、後から「やっぱりここも直して」と赤字を入れること。


まとめ

  • 第17条の5第2項は、「訂正の内容をさらに修正する」ための規定。

  • 「補正」は書類を直す手段、「訂正」は登録後の特許を直す手続、という使い分け。

特許法は、このように「手続きの対象」が何であるかによって言葉を厳密に使い分けています。

特134の2 第5項 特許無効審判における訂正の請求

(特許無効審判における訂正の請求)
第百三十四条の二 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

2 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

3 前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

4 審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。

5 審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

6 第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

7 第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

8 第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。

9 第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

プロンプト:

  • とくに第5項がよくわからないから、説明してくれる?
  • 申立てって、誰が何を申し立てるの?
  • 無効審判を請求した人が、非請求者(特許権者)が出してきた訂正を読んで、さらに意義を唱えるということ?
  • そもそも、請求人が、特許権者が出した訂正にを読んで申立てをできるというのは特許法のどこに書いてある?

 

注意!

上のプロンプトを生成AI3つ(Gemini, Claude, ChatGPT)に投げたところ、Geminiはそもそも条文を取り違えてわけのわからない回答を出してきましたし、請求人が申立てできる根拠となる条文に関しては3者バラバラの回答でした。生成AIの回答は日本の法律に関しては、信頼性が落ちる場合があるようです。鵜呑みにはできません。

 

ChatGPT 5.2:了解です。ここは条文構造をほどいて読むと、一気に見通しがよくなります。
ポイントは「第5項は“誰が申立てるか”を定める条文ではない」という点です。


① 第134条の2第5項は「何を言っている条文か」

まず条文を一文ずつ分解します。

審判官は、
第一項の訂正の請求が

  • 同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、
  • 又は(準用される)第126条5~7項に適合しないことについて、
    当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

ここで言っていることは、かなり限定的です。

要するに

相手方が「その訂正はダメだ」と言っていなくても、
審判官は職権で「その訂正が許されるか」を審理してよい

という条文です。


② 「申立て」とは何か?誰がするのか?

結論から言うと

  • 申立てをするのは
    👉 原則として 無効審判の請求人(=特許を無効にしたい側)
  • 内容は
    👉 「その訂正は、許される訂正ではない」
    という主張です

具体的には、たとえば:

  • 減縮ではなく実質的に拡張している
  • 明瞭化の名を借りた実質的変更
  • 明細書のサポートがない
  • 新規事項追加(126条違反)

こうした点について
「訂正不適法である」
と主張することを、実務では普通にやります。


③ では「請求人が申立てできる」ってどこに書いてある?

ここ、すごく良い疑問です。

実は…

👉 第134条の2第5項は、
「申立て権」を新たに与えている条文ではありません。

根拠はもっと前にあります

1️⃣ 無効審判は「当事者対立構造」

  • 無効審判は 当事者系審判
  • 請求人と被請求人は「当事者」

👉 当事者は、相手方の主張・行為に対して反論できる
(これは審判制度の大前提)

2️⃣ 第126条(訂正審判)の準用(第9項)

第134条の2第9項で、

第126条第5項~第7項 等を準用する

とあります。

ここで準用される第126条関係は、

  • 訂正の適否
  • 新規事項追加禁止
  • 実質的拡張禁止

など、訂正の適法性を争う枠組みです。

👉 つまり
「訂正が適法かどうかを争うことが当然に予定されている」


④ じゃあ第5項は何を“追加”しているの?

ここが核心です。

第5項が言っているのは

相手方(請求人)が
「この訂正はダメだ」と言っていなくても、
審判官は“見逃さずに”職権でチェックしていい

ということ。

つまり、

  • ❌ 申立てがない=OK
    ではない
  • ⭕ 申立てがなくても
    審判官が自分で気づいたらダメと言える

という職権審理の明文化です。


⑤ なぜこんな条文が必要なのか?

理由は明確です。

訂正は「特許の存否そのもの」に直結する

  • 無効審判における訂正は
    👉 特許を“生き残らせる”最重要手段
  • 当事者の攻防だけに任せると
    👉 不適法な訂正がすり抜ける危険

だから、

公益的観点から、
審判官が職権でチェックできる

という仕組みを、
わざわざ第5項で強調しているわけです。


⑥ 手続の流れを図式化すると

  1. 被請求人(特許権者)が訂正請求
  2. 請求人がそれを読んで
    • 訂正不適法を主張してもいい
    • 主張しなくてもよい
  3. しかし
    👉 審判官は必ず適法性を審理
  4. ダメだと思ったら
    • 当事者に通知
    • 意見提出の機会付与(聴聞保障)

⑦ あなたの理解は合っている?

無効審判を請求した人が、
非請求者(特許権者)が出してきた訂正を読んで、
さらに異議を唱えるということ?

👉 はい、その理解で正しいです。

ただし、

  • それは
    第5項が認めているのではなく
  • 当事者構造と準用規定から当然に認められている

という点が重要です。


まとめ(超重要)

  • 第134条の2第5項は
    「申立て権」を定めた条文ではない
  • 趣旨は
    👉 申立てがなくても職権で訂正適否を審理できる
  • 請求人が訂正不適法を主張できる根拠は
    👉 無効審判の当事者構造 + 第126条等の準用
  • 実務では
    👉 請求人は普通に訂正不適法を争う

もし次に進むなら、
「なぜ無効審判での訂正は“審決確定まで”しかできないのか」
とか、訂正審判との制度的違いをやると、理解が一段深くなりますよ。

 

Claude Opus 4.5:いい質問ですね。第5項は確かに分かりにくい条文です。順番に整理します。

第5項の構造

審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

ここでの「申し立てない理由」というのは、職権審理の規定です。

何を「申し立てる」のか

まず前提として、訂正請求に対して請求人(無効審判を請求した人)が「この訂正は認められるべきでない」と主張できます。

例えば:

  • 「これは特許請求の範囲の減縮ではなく、実質的に拡張だ」
  • 「新規事項の追加だ」(126条5項違反)
  • 「独立特許要件を満たさない」(126条7項違反)

こういった主張を「理由を申し立てる」と表現しています。

第5項が言っていること

第5項は、当事者が指摘しなかった理由についても、審判官が職権で審理できるという規定です。

つまり:

  • 請求人が「新規事項追加だ」としか主張していなくても
  • 審判官が「いや、独立特許要件も満たしていないのでは?」と気づいたら
  • その理由でも審理して、訂正を認めないことができる

ただし、当事者が主張していない理由で訂正を認めない場合は、意見を述べる機会を与えなければならない(第5項後段)。

請求人が訂正に意見を述べられる根拠

これは主に以下の規定に基づきます:

  1. 第134条の2第4項:訂正請求書の副本を請求人に送達する
  2. 第134条第2項(審判における答弁)や審判の一般的な手続規定
  3. 第145条以下の審理手続全般

特許法には「請求人は訂正に対して意見を述べることができる」とは明示的には書いていません。しかし、無効審判は当事者対立構造の手続であり、訂正請求書が送達される(4項)のは、当然に反論の機会を与える趣旨です。審判便覧や実務上、請求人は訂正に対する意見書(弁駁書)を提出できます。

まとめると

第5項の「申し立てない理由」は、「当事者(主に請求人)が主張しなかった訂正拒絶理由」のことで、審判官がそれでも職権で審理できる、という規定です。

 

プロンプト:当事者又は参加人 って、どっち側?双方?

Claude Opus 4.5:はい、双方です。

「当事者」の意味

特許法における「当事者」は、審判の両当事者を指します:

  • 請求人(無効審判を請求した側)
  • 被請求人(特許権者側)

「参加人」の意味

審判に参加した第三者です(第148条以下)。参加人にも請求人側に参加する者と被請求人側に参加する者がいます。

第5項の文脈では

実際に訂正を認めるべきでない理由を「申し立てる」のは、主に請求人側です(訂正を認めてほしくないから)。

一方、被請求人(特許権者)が自分の訂正請求について「これは認められるべきでない」と申し立てることは通常ありません。

ただ、条文上は「当事者又は参加人」と書くことで、誰が申し立てたかに関係なく、また誰も申し立てなくても、審判官が職権で審理できる、という趣旨を明確にしています。

つまり、第5項のポイントは「誰が申し立てたか」ではなく、「申し立てがなくても審判官が自ら審理できる」という職権審理の権限を定めているところにあります。

 

プロンプト:「当事者又は参加人が申し立てない」:この「申立てない」当事者は審判を請求した側で、「審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与え」:この「申し立てる機会を与えてもらえる当事者は被請求人(特許権者)が主な対象ってこと?しかし当時者と書いているから、いずれにしても双方にってこと?

Claude Opus 4.5:

おっしゃる通りです。整理すると:

前段:「申し立てない」のは主に請求人側

訂正を認めるべきでない理由を積極的に主張するのは、通常は請求人側です。「この訂正は新規事項だ」「減縮になっていない」等。

後段:意見を述べる機会が重要なのは主に被請求人側

審判官が職権で「この訂正は認められない」と判断しようとするとき、被請求人(特許権者) にとっては不意打ちになります。自分が出した訂正が、請求人が指摘していない理由で拒絶されようとしているわけですから。

だから反論の機会を与える必要がある。これが後段の主な趣旨です。

ただし条文上は「当事者及び参加人」

条文が双方を対象としているのは:

  1. 手続の公平性:片方だけに通知するのは不公平
  2. 請求人側にも利害がある:審判官が職権で見つけた理由について、請求人側も「その通りです」と補強したい場合もある
  3. 条文の書き方として:一方だけを書き分けるより、両方に通知・機会付与とする方が簡明

まとめ

ご理解の通りです:

  • 実質的に「申し立てない」のは主に請求人側
  • 実質的に「意見を述べる機会」が重要なのは主に被請求人側
  • でも条文上は双方を対象として書いている

特134の3 「特許庁で一度勝ったのに、裁判所でひっくり返されそうになった特許権者への救済策」

(取消しの判決があつた場合における訂正の請求)

第百三十四条の三 審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第百八十一条第一項の規定による取消しの判決が確定し、同条第二項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。

(AIからの回答を勉強したあとの)自分なりのまとめ:特許が無効だという請求に理由がない(つまり特許は有効であると特許庁が判断)として特許の有効性を認められたあと、無効を請求した人がそれに納得せずに裁判に訴えて、裁判では逆の結果となり、特許の取り消し判決が確定した場合には、特許庁に差し戻されて、特許庁で審理をしないといけない。その場合、判決のあと一週間以内に、特許権者は「申立て」をすれば、訂正をすることが認めてもらえる。もちろん訂正をする目的は、特許を守るため。

疑問(プロンプト):

  1. 第百三十四条の三のの条文の意味が全くわからないんだけど?
  2. (審判の請求に理由がないとするものに限る。)ってどういうこと?
  3. 理由がないって、なんの理由の話をしているの?
  4. 理由があるときってどういう理由?
  5. 「判決」って何?「審決」との違いは?
  6. 取り消しの判決が確定しているのに、なぜ審理を開始するの?なんの審理?
  7. 「その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り」って、なぜ被請求人は、判決が確定した日を知ることができるの?
  8. 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面って、「最初の」じゃなくてもいいの?(もしあった場合)補正後のとか?

Gemini 3:

特許法第134条の3は、弁理士試験や知財検定でも頻出の「キャッチアップ訂正」に関する規定ですね。言葉が難解ですが、「特許庁で一度勝ったのに、裁判所でひっくり返されそうになった特許権者への救済策」だと考えるとスッキリします。ご質問いただいた疑問点を、試験でそのまま使える知識として順番に解説します。


1. 「審判の請求に理由がない」とはどういう意味?

結論から言うと、「特許が無効だという訴え(理由)には、根拠がないつまり特許は有効だ」という審判官の判断のことです。

  • 審判の請求に理由がある: 請求人の勝ち(=特許は無効)。

  • 審判の請求に理由がない: 被請求人(特許権者)の勝ち(=特許は維持)。

なぜこの限定があるのか?

134条の3は、特許庁が一度「この特許は有効だ(理由がない)」と言ったのに、裁判所がそれを「いや、無効の疑いがあるからやり直し!」と取り消した時に発動します。特許権者からすれば、「有効だと言われたから訂正しなかったのに、今さら無効扱いされるのは困る。最後に訂正させて!」という言い分を認める条文なのです。


2. 「判決」と「審決」の違いは?

試験対策として、出す場所と呼び方の違いをセットで覚えましょう。

呼び方 出す場所 内容
審決 特許庁 審判官による最終的な行政判断
判決 裁判所 裁判官による司法判断(審決の取り消しなど)

3. なぜ取消判決の後に「審理」を開始するのか?

裁判所(知財高裁)ができるのは、あくまで「特許庁の出した審決が間違っていたから、これを取り消す」という判断までです。裁判所が自ら特許を無効にすることはできません。

  1. 裁判所が「この審決(有効判断)はダメだ」と判決を出す。

  2. 審決が消滅し、ボールが特許庁に投げ返される(これを「差し戻し」と呼びます)。

  3. 特許庁は、もう一度審理をやり直す(特許法181条2項)。

この「やり直しの審理」の中で、特許権者に「最後の訂正のチャンス」を与えるのが134条の3の役割です。


4. 被請求人はなぜ「判決の確定日」を知ることができる?

被請求人(特許権者)は、裁判(審決取消訴訟)の当事者だからです。

  • 判決が出ると、裁判所から「判決書の正本」が送達されます。

  • その判決に対して上告(最高裁への不服申し立て)などがされず、期間が経過した日が「確定日」です。

  • 実務的には、自分の弁護士を通じて、あるいは裁判所に確認することで、正確な確定日を知ることができます。


5. 「願書に添付した明細書等」は、最初のものでなくていい?

はい、「現時点での最新の状態」を指します。

もし、この審理が始まる前にすでに別の訂正(126条の訂正審判や、134条の2の訂正請求)をしていたなら、その訂正後の内容が対象になります。

条文上の「願書に添付した…」という表現は、特許法のテンプレート的な言い回しで、「今、特許庁にある最新の書類」を指していると考えて差し支えありません。


まとめ:試験対策のポイント

この134条の3を理解するコツは、以下のストーリーを頭に入れることです。

  1. 特許庁: 「この特許は有効だ!(審理に理由なし)」→ 特許権者の勝利。

  2. 相手方: 納得いかず、裁判所に訴える(審決取消訴訟)。

  3. 裁判所: 「いや、特許庁の判断は間違い。この特許はダメそうだぞ。審決を取り消す!(取消判決)」→ 特許権者の逆転負け。

  4. 救済策: 特権庁に戻って審理再開。特許権者は「それならダメな部分を直させて!」と1週間以内に申し立てる(134条の3)。

[!IMPORTANT]

試験での注意点:

134条の3による訂正の機会は、「申し立て」があった場合に「審判長が期間を指定する」という2ステップになっています。自動的に期間がもらえるわけではないのが、ひっかけポイントです。

プロンプト:「判決」の一語しか出てこなかったから気づかなかったけど、これ「裁判」の後の話だったのね!?

Gemini 3:

その通りです!特許法で「判決という言葉が出てきたら、それは特許庁の中の話ではなく、その外側にある「裁判所(知財高裁)」が絡んでいるサインです。試験対策として、この「特許庁と裁判所のキャッチボール」の流れを視覚的に整理しておきましょう。これがわかると、134条の3の存在理由が完璧に理解できます。


特許庁と裁判所の「キャッチボール」の流れ

この条文が発動するまでのストーリーは、以下の3ステップです。

① 特許庁での「審決」(第1ラウンド)

  • 内容: 無効審判が行われ、審判官が「この特許は有効!」という審決を出します。

  • 特許権者の心理: 「勝った!今のままで大丈夫だ。訂正(修正)なんて必要ないな」と安心します。

② 裁判所での「判決」(第2ラウンド)

  • 内容: 負けた相手方が「今の審決(有効判断)はおかしい!」と裁判所に訴えます。

  • 結果: 裁判所が「特許庁の判断は間違い。この特許には無効理由があるぞ」として、審決を取消す判決を下します。

  • 特許権者の心理: 「えっ!有効だと思ってたのに!だったら負ける前に直させてよ!」と焦ります。

③ 特許庁での「再審理」(第3ラウンド:ここが134条の3)

  • 内容: 判決によって審決が消されたので、特許庁で審理をやり直します。

  • 134条の3の役割: ここで特許権者が「1週間以内」に申し立てることで、裁判所で指摘されたダメな部分を直すための「キャッチアップ(追いつき)訂正」のチャンスがもらえるのです。


なぜ「1週間以内」に「申立て」が必要なの?

ここが試験でよく狙われる応用ポイントです。

  1. なぜ「申立て」が必要か?裁判で負けたからといって、全員が訂正したいわけではありません。「もうこの特許は諦める」という人もいます。だから、特許庁が勝手に期間を決めるのではなく、特許権者の「直したいです!」という意思表示(申立て)をトリガーにしているのです。
  2. なぜ「1週間」という短期間なのか?裁判ですでに結論(判決)が出ている以上、そこからダラダラ時間をかけるのは相手方にとって酷だからです。「やるならスグ言え!」というのがこの1週間の趣旨です。

試験で間違えやすい「用語の罠」

短答式試験などでよく出る「ひっかけ」を整理しました。

用語 意味・場所 134条の3でのポイント
判決の確定 裁判の結果がもう動かない状態 この「確定日」から1週間がカウントダウン開始!
被請求人 特許権者のこと 「請求人(無効にしたい人)」ではないので注意!
相当の期間 訂正請求のための準備期間 審判長が「いつまでに書類を出してね」と指定します

この条文の「存在意義」をひとことで

「裁判所で手のひらを返された特許権者への、敗者復活のためのラストチャンス」

これが134条の3の本質です。

特121拒絶査定不服審判 特123特許無効審判 特126訂正審判 そもそも審判とは?

特許法の第6章は、「審判」で、特121拒絶査定不服審判、特123特許無効審判、特126訂正審判、特125の2延長登録無効審判など、「審判」と名がつく条文がいくつもありますが、そもそも審判とは何でしょうか?

Gemini 3:

特許法における「審判(しんぱん)」を一言でいうと、特許庁が行う「特許庁内部の裁判」のようなものです。通常の「審査」は1人の審査官が行いますが、その判断に納得がいかない場合や、登録された特許を後から取り消したい場合に、より慎重に(通常3名の審判官で)審議する手続きを指します。

1. 審判の役割:なぜ「審査」だけではダメなの?

特許の審査は非常に高度で複雑な判断を伴います。そのため、1人の審査官の判断が常に絶対とは限りません。

  • 不服への対応: 「審査官はダメだと言ったけど、納得いかない!」という出願人を救済する。

  • 公平性の確保: 既に登録された特許について、「これは本来認められるべきではない特許だ」と第三者が指摘する場を作る。

このように、審査よりもさらに慎重に、専門性の高い「審判官」というチームで判断を下すのが審判の役割です。

2. 主な審判の種類(よく出る3つ)

審判にはいくつか種類がありますが、まずは以下の3つを押さえておけば完璧です。

① 拒絶査定不服審判

審査の結果、「この発明に特許はあげられません(拒絶査定)」と言われた際に、**「いや、もう一度ちゃんと検討してください!」**と不服を申し立てる審判です。

  • 誰が?: 出願人(自分)

  • いつ?: 拒絶査定の通知を受け取った後

② 無効審判

一度成立してしまった特許に対して、**「この特許は要件を満たしていないから、最初からなかったことにして(無効にして)ください!」**と訴える審判です。

  • 誰が?: 利害関係人(競合他社など)

  • いつ?: 特許が登録された後いつでも

③ 訂正審判

自分が持っている特許の内容に、後から不備が見つかった場合などに**「少し内容を直させてください」**と自発的に申し出る審判です。

  • 誰が?: 特許権者(自分)

  • いつ?: 特許が登録された後


3. 「審査」と「審判」の違いまとめ

違いを一覧表にしました。

項目 審査 (Examination) 審判 (Trial / Appeal)
担当者 審査官(1名) 審判官(3名または5名の合議体)
位置づけ 第一審(最初のチェック) 特許庁における最終判断(上訴審的な役割)
判断の呼び名 査定 (Decision) 審決 (Trial Decision)
不服がある時 審判へ進む 裁判所(知財高裁)へ訴える

まとめ

審判は、「特許庁の中にある、よりレベルの高い判定会議」だとイメージすると分かりやすいです。審査官の判断をチェックしたり、登録後のトラブルを解決したりするための重要なステップです。

豆知識: 審判の結論である「審決」にすら納得がいかない場合は、いよいよ特許庁の外へ出て、「知財高裁(裁判所)」で争うことになります。

特133条の2(決定)と特135条(審決)の比較

特許法 (不適法な手続の却下)

第百三十三条の二 審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。

2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。

3 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。   特許法 (不適法な審判請求の審決による却下)

第百三十五条 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。

 

プロンプト:「決定をもつてその手続を却下」と「審決をもつてこれを却下」は、何が違うの?

Gemini 3:

「決定」と「審決」の使い分けは、審判手続の全体像を理解する上で非常に重要なポイントです。この2つの最大の違いは「却下される対象が『手続の一部』か『審判の請求そのもの』か」という点にあります。


「133条の2(決定)」と「135条(審決)」の比較

以下の表で、主な違いを比較してみました。

項目 133条の2(決定による却下 135条(審決による却下
却下の対象

審判の中の「特定の手続

 

(例:証拠の提出、書面の提出など)

審判請求」そのもの

 

(審判の開始そのものを認めない)

主な理由 方式不備、期間経過、手数料未納など 請求人適格がない、不服申立てできない処分への請求など
判断を下す主体 審判長(一人で行える) 合議体(3人または5人の審判官)
その後の流れ その手続(書面など)は無視されるが、審判自体は継続する 審判がその時点で終了する(門前払い)

1. 決定による却下(133条の2)とは?

これは、審判の途中で行われる「個別の手続」に対するお断りです。

  • イメージ: 審判という「試合」は続いているけれど、提出された「特定の書類」に不備があり、直すこともできないので、その書類は受け取りません、という状態です。

  • 具体例: 審判の途中で提出した「証拠調べの申立て」が、法律上ありえない形式だった場合など。

  • ポイント: 「審判の請求を除く」と条文にある通り、審判を始めるためのメインの書類(請求書)以外のサブ的な手続が対象です。

2. 審決による却下(135条)とは?

これは、「審判の請求(訴え)そのもの」に対するお断りです。

  • イメージ: そもそも試合を始めるための条件(参加資格など)を満たしていないので、試合(審理)を始めることすら拒否する、という「門前払い」の状態です。

  • 具体例:

    • 特許権がすでに消滅しているのに、無効審判を請求した。

    • 審判を請求できる期間を過ぎているのに請求した。

  • ポイント: 本来なら相手方(被請求人)に「反論していいですよ(答弁書の提出機会)」と言うべきですが、そもそも請求が不適法で直しようがないので、相手方の手間を省くために即座に終了させます。


なぜ「決定」と「審決」で呼び方が違うのか?

日本の特許法では、以下のような使い分けのルールがあるからです。

  1. 審決(しんけつ): 審判の最終的な結論(判決に相当)。審判官の合議体によって慎重に判断されます。

  2. 決定(けってい): 審判の過程で発生する事務的・付随的な判断。主に審判長がスピーディーに処理します。

135条の却下は、「その審判ケースを終わらせる」という最終的な判断なので、重みのある「審決」という形式がとられます。一方で、133条の2は審判を終わらせるものではないため、より簡便な「決定」で行われます。

まとめ

  • 133条の2(決定) = 審理の中で出された「書類」をポイ捨てする。

  • 135条(審決) = 審判という「事件」そのものを終了させて追い返す。

この違いを意識すると、その後の不服申立て(知財高裁への訴え方)などの理解もスムーズになりますよ!

送達と送付の違い、到達との違いも

ChatGPT 5.2:

送達・送付・到達、試験でも実務でも最重要の整理点です。結論から、きっぱり分けます。


1️⃣ 結論を一行で

送達=国家が責任をもって行う「法的到達」
送付=単なる「発送・交付という事実行為」

送付には、原則として法律効果は自動的にくっつきません。


2️⃣ 定義の厳密整理

🔴 送達(そうたつ)

定義
👉 裁判所・特許庁などの国家機関が、法定の方法により、相手方に書面を届けたと評価する制度

本質

  • 手続保障(防御権)
  • 不利益処分との結合
  • 法律効果が直結

🔵 送付(そうふ)

定義
👉 書面・物を相手方に送るという事実行為

本質

  • 事務処理・連絡
  • 国家責任は伴わない
  • 到達しなくても手続違法にならないことが多い

3️⃣ 決定的な違い(一覧表)

観点 送達 送付
性質 法制度 事実行為
主体 裁判所・特許庁 行政庁・私人
法定手続 必要 不要
防御権保障 必須 原則なし
効果発生 送達時 原則なし
記録 送達調書等 残らないことも多い

4️⃣ 特許法での典型的使い分け

① 「送達」と書いてある場合(重い)

👉 不利益・争訟性あり

  • 審決の送達
  • 決定の送達
  • 副本の送達

📌 効果

  • 不服申立期間の起算点
  • 再審期間の起算点

② 「送付」と書いてある場合(軽い)

👉 事務的連絡・便宜的交付

  • 書類の写しの送付
  • 参考資料の送付
  • 補正指令の送付(※条文表現に注意)

📌 効果

  • 原則として期間起算点にならない

5️⃣ 試験での最重要ひっかけ

❌ 誤解

「送付されたから、期間が進行する」

ほぼ誤り

⭕ 正解思考

期間が進行するのは
送達または到達と書いてある場合だけ


6️⃣ 送付でも意味を持つ例外

⚠️ 重要な例外整理

  • 条文上

    「送付した日から〇日」
    と明記されている場合

送付が効果発生要件に格上げされる

📌 ただし

  • この場合でも「送達」ほどの防御保障はない

7️⃣ 到達との関係(再整理)

用語 本質
送達 国家が到達と評価
到達 事実として相手の支配下
送付 発送しただけ

8️⃣ 覚え方(試験用)

覚え方①

送達=制度
送付=作業

覚え方②

送達は条文に書く
送付は実務でやる

覚え方③

期間が動くか?
送達かどうかを見る


9️⃣ まとめ(最短)

  • 送達
    • 公的・法定
    • 防御権保障
    • 期間起算点になる
  • 送付
    • 事実行為
    • 原則、法的効果なし

 

 

送達と到達

特許法・民事手続を理解するうえで最重要クラスの論点「送達」と「到達」を、定義 → 効果 → 試験の見分け方の順で整理します。


1️⃣ 結論を一行で

送達=国(裁判所・特許庁)が責任をもって行う「公的な到達」
到達=相手方の支配領域に入ったという「事実状態」

この違いがすべてです。


2️⃣ 送達とは何か

定義

送達とは、
👉 国家機関(裁判所・特許庁)が、法定の方法で、書面を相手方に届けたと評価する制度

特徴(重要)

  • 郵便・執行官など法定手段限定
  • 相手が実際に読んだかは関係ない
  • 送達調書・記録が残る
  • 送達が成立した時点で、法律効果が発生

📌 典型例

  • 審決謄本の送達
  • 訴状の送達
  • 副本の送達

3️⃣ 到達とは何か

定義

到達とは、
👉 相手方が了知可能な状態に置かれたという事実

特徴

  • 私人間の意思表示が前提
  • 郵便・FAX・メールなど手段は問わない
  • 相手が読まなくても「読める状態」なら足りる
  • 国家の関与は不要

📌 典型例

  • 契約の解除通知
  • 意思表示の到達(民法97条)

4️⃣ 一番重要な違い(試験頻出)

観点 送達 到達
主体 裁判所・特許庁 私人
性質 公的制度 事実状態
記録 残る 残らないことも多い
効果発生 送達成立時 到達時
実際に読む必要 なし なし(読める状態でOK)

5️⃣ 特許法での使い分け

🔹 送達が使われる場面

👉 不利益処分・争訟性があるもの

  • 審決
  • 決定
  • 副本送達
  • 異議・無効審判関係

理由:

相手方の防御権保障が必要
→ 国家が責任をもって届ける必要がある


🔹 到達が使われる場面

👉 私人の意思表示レベル

  • 特許権の譲渡通知
  • 契約関係
  • 民法上の解除・通知

6️⃣ 試験での超重要ポイント

① 起算点の違い

  • 送達
    → 「送達された日から〇日」
  • 到達
    → 「到達した時に効力発生」

👉 文言を見た瞬間に識別する


② 受取拒否・不在の場合

送達

  • 受取拒否でも成立する場合あり
  • 補充送達・付郵便送達など制度あり

到達

  • 相手の支配領域に入らなければ未到達
  • ただし、正当理由なき受領拒否は到達と評価されることあり(判例)

7️⃣ よくあるひっかけ

「送達=相手が実際に読んだとき」

誤り

「送達=国家が到達したと評価した時点」


8️⃣ 覚え方(試験向け)

覚え方①

送達=国が保証する到達

覚え方②

到達=事実、送達=制度

覚え方③

不利益処分 → 送達
私人の通知 → 到達


9️⃣ まとめ(最短)

  • 送達
    • 公的
    • 国家責任
    • 防御権保障
    • 記録あり
  • 到達
    • 私的
    • 事実評価
    • 民法中心