特許法
(審決又は決定の取消し)
第百八十一条 裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。2 審判官は、前項の規定による審決又は決定の取消しの判決が確定したときは、更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない。この場合において、審決又は決定の取消しの判決が、第百二十条の五第二項又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた一群の請求項のうち一部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決又は決定を取り消さなければならない。
プロンプト:
この条文の意味がわからないんだが、特許庁は、裁判所の言いなりにならないといけないということ?「更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない。」って、結局、裁判所の判決に拘束されて同じ結論を出すことになるの?別の結論を出してしまうと、堂々巡り(無限のキャッチボール)にならない?「一部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決又は決定を取り消さなければならない。 」というのも、なぜ一群全体が影響を受けるの?具体例で説明して。
注意:生成AIの回答には不正確で間違ったことも混じっています。例えば「一群の請求項」の根拠となる文書に関してClaudeは間違っていました。定義は特許庁の文書(特施則§45 の 4)を読む必要があります。
特許法施行規則
(一群の請求項)
第四十五条の四 特許法第百二十条の五第四項の経済産業省令で定める関係は、一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係が、当該関係に含まれる請求項を介して他の一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係と一体として特許請求の範囲の全部又は一部を形成するように連関している関係をいう。https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000400010#Mp-Ch_8
Gemini 3:
第181条は、特許庁(審判官)と裁判所(知財高裁)の**「権限の分担」**を決めている非常に重要な条文です。
ユーザーさんが危惧されている「無限のキャッチボール」や「言いなり感」は、実務上も非常に熱い議論が交わされるポイントです。わかりやすく噛み砕いて解説しますね。
1. 特許庁は裁判所の「言いなり」なのか?(拘束力)
結論から言うと、「裁判所がダメだと言った理由」については、言いなりにならなければなりません。 これを「拘束力」と呼びます。
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裁判所の仕事: 特許庁の審決が「間違っているか」をチェックし、ダメなら**取り消す(白紙に戻す)**だけ。
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特許庁の仕事: 白紙に戻ったので、もう一度審理をやり直す(第181条2項)。
なぜ特許庁がやり直すのか?
裁判所は「特許だ!」と決める権限を持っていません。それは行政(特許庁)の仕事だからです(三権分立の考え方)。そのため、裁判所ができるのは「特許庁の出した『拒絶』という判断は、この証拠の解釈が間違っているから取り消すね」と言うところまでです。
2. 「無限のキャッチボール」にならないのか?
ここがユーザーさんの鋭い指摘のポイントです。理論上は、「特許庁 vs 裁判所」のキャッチボールが発生する可能性はあります。
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特許庁: 「理由A」で拒絶!
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裁判所: 「理由A」は間違い。取り消す!(181条1項)
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特許庁: わかりました。じゃあ次は、新しい**「理由B」**を見つけたので、やっぱり拒絶!(181条2項の「更に審理」)
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裁判所: 「理由B」も間違い。取り消す!
このように、特許庁が別の理由を持ち出す限り、キャッチボールは続きます。
ただし、「理由A」をもう一度使って拒絶することは法律(行政事件訴訟法33条の準用)で禁止されています。 これを無視して同じ理由で拒絶したら、それは明確なルール違反です。
3. 「一群の請求項」が道連れになる理由
第181条2項の後半、ここが一番ややこしいですよね。具体例で説明します。
具体例:自転車の特許
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請求項1: 2輪の乗り物(広い範囲)
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請求項2: 請求項1において、さらに「電動モーター」を備える(狭い範囲)
この2つの請求項をまとめて**「一群の請求項」として訂正請求(修正)したとします。
なぜ「一群」にするかというと、請求項2は請求項1を引用しているので、「1を直すなら2も一緒に直さないと、文章のつじつまが合わなくなる」からです。これを訂正の不可分性**と言います。
もし一部(請求項1)だけ取り消されたら?
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審決: 請求項1も2も、訂正は認めない!
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裁判: 「請求項1」については、特許庁の判断は間違い。訂正を認めるべき。
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結果: 裁判所が181条1項で「請求項1の審決」を取り消す。
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問題発生: このままでは、**「1はやり直し」なのに「2はダメなまま確定」**という、親子関係がバラバラな状態になってしまいます。
解決策(第181条2項後段)
そこでこの条文は、**「請求項1が取り消されたなら、連動している請求項2の審決も、特許庁の方で一旦自分から取り消して(自ら白紙に戻して)、もう一度セットで審理しなさい」**と命令しているのです。
まとめ
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言いなりか?: 「取り消された理由」については言いなり(拘束力)。
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無限キャッチボール: 新しい理由を探すことは可能。ただし、何度もやると出願人がかわいそうなので、実務上は慎重に行われる。
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一群の請求項: 請求項同士が「親子」や「セット」で修正されている場合、一部がひっくり返ると全体が矛盾するため、セットでやり直しさせるための救済措置。
ポイント:
181条は、特許庁のメンツを潰すためのものではなく、**「裁判所の判断を尊重しつつ、最終的な特許の体裁(請求項の整合性)を整えるのは特許庁の責任ですよ」**と役割分担を明確にしている条文なんです。
次は、裁判所が「取り消す」と判断する際の基準となる**「審決取消訴訟」の審理の範囲**(何でもかんでも裁判所で言っていいのか?)について深掘りしますか?
プロンプト:「請求項1が取り消されたなら、連動している請求項2の審決も、特許庁の方で一旦自分から取り消して(自ら白紙に戻して)、もう一度セットで審理しなさい」 あなたの解説、よくわからないけど。取り消してからもう一度審理するの?取り消すかどうかを審理するんじゃないの?
Gemini 3:
失礼しました!「取り消す」という言葉が二つの意味で使われているので、混乱させてしまいましたね。
ユーザーさんの疑問である「取り消してからもう一度審理するのか?(なぜ二度手間のようなことをするのか)」という点、**「セットメニュー(コンボ)」**に例えて、ステップバイステップで説明します。
1. 「一群の請求項」は「セットメニュー」
まず、前提として**「一群の請求項」=「バラバラにできないセットメニュー」**だと考えてください。
例えば、請求項1(ハンバーガー)と請求項2(ポテト)がセットで「Aセット」として訂正(修正)に出されたとします。
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ルール: セットなので、「ハンバーガーだけOKで、ポテトはダメ」という中途半端な結論は出せません。出すなら「セット全部OK」か「セット全部ダメ」のどちらかです。
2. なぜ特許庁が「自ら取り消す」必要があるのか?(不都合な真実)
ここからが本題です。
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特許庁の判断: 「Aセット(1と2)は全部ダメ!」という審決を出しました。
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裁判所の判断: 出願人が文句を言ったので裁判所が調べた結果、「ハンバーガー(1)の拒絶は間違いだ」と判断しました。
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裁判所のアクション: 裁判所は**「請求項1(ハンバーガー)に関する特許庁の判断」だけ**を取り消しました(181条1項)。
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ここで問題発生!: 裁判所は「請求項2(ポテト)」については何も言っていません。すると特許庁には今、**「1は白紙に戻ったけど、2は『ダメ』と言ったままの記録が残っている」**というチグハグな状態が生まれてしまいます。
3. 「更に審理」の前の「お掃除」
このチグハグな状態(1は白紙、2は拒絶のまま)では、セットメニューとしての審理が再開できません。
そこで、第181条2項の後段が登場します。
「審判官は……その他の請求項についての審決……を取り消さなければならない」
これは、「審理して決める」のではなく、**「2に残っている古い『ダメ』という記録を、形式的に消去(お掃除)しなさい」**という命令です。
4. 正しい順番:お掃除 → やり直し
ユーザーさんの疑問への答えは、以下の順番になります。
-
ステップA(お掃除): 特許庁が、自分たちの記録に残っている「請求項2はダメ」という古い審決を、ポイッと捨てて白紙に戻す。(これが「取り消さなければならない」の意味)
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ステップB(更に審理): 1も2も真っさらな「白紙」になったので、改めて「1と2のセット(Aセット)を認めていいか?」という審理をゼロからやり直す。
まとめ:なぜ「取り消してから審理」なのか?
ユーザーさんが仰った「取り消すかどうかを審理するんじゃないの?」という疑問についてですが、この場合の「取り消し」は審理の結果ではなく、**「審理を始めるための前提条件(お掃除)」**なんです。
-
裁判所がセットの一部を壊した。
-
特許庁が残りの半分も壊して、一旦全部を更地(白紙)にする。
-
更地になったところで、改めて正しい審理をやり直す。
こうしないと、セットメニューなのに「半分だけ古い結論が残っている」という法律上の矛盾が起きてしまうからなんです。
この「セットメニュー(一群の請求項)」の考え方は、無効審判や訂正審判で非常によく出るポイントです。次は、この「やり直し審理」の時に、出願人が**「さらに内容を修正(訂正の再請求)」**できるのかどうか、といった実務的な話に進みますか?
Claude Opus 4.5:
いい質問ですね。この条文は確かに複雑なので、順番に整理します。
1. 特許庁は裁判所の「言いなり」か?
結論:判決の「理由」には拘束されるが、「結論」を同じにする義務はない
行政事件訴訟法33条1項により、取消判決は「その事件について、処分…をした行政庁…を拘束する」とされています。
これは判決理由中の判断に拘束されるという意味であり、例えば「進歩性の判断で引用文献Aの認定を誤った」という理由で取り消された場合、特許庁はその点について同じ誤りを繰り返してはならない、ということです。
2. 別の結論を出せるのか?→出せる
差戻し後の審理で、特許庁は以下が可能です。
- 新たな証拠を採用する(新たな引用文献Bを発見など)
- 別の理由で同じ結論を出す(進歩性でなく記載要件違反など)
- 結論自体を変える(無効→有効、またはその逆)
つまり「堂々巡り」は新たな理由があれば回避できます。同じ理由で同じ判断を繰り返すことは拘束力違反になりますが、別の観点からの判断は許容されるわけです。
3. 「一群の請求項」の規定の趣旨
これは訂正の請求に関する規定で、平成23年・平成26年改正で整備された部分です。
具体例
状況設定
- 特許に請求項1〜5がある
- 請求項1・2・3が「一群の請求項」(請求項2・3が請求項1を引用)
- 無効審判で、権利者が請求項1〜3について訂正請求
- 審決:請求項1〜3すべてについて「訂正を認めた上で無効」
- 権利者が審決取消訴訟を提起、ただし請求項1についてのみ上訴
- 裁判所:請求項1について審決取消
問題
請求項2・3の審決は確定してしまっている(上訴しなかったので)。しかし請求項1が取り消されて再審理されると、訂正内容が変わる可能性がある。
181条2項後段の意味
一群の請求項に対する訂正請求は一体として審理される必要があるため、請求項1の取消しが確定したら、審判官は職権で請求項2・3の審決も取り消して、一緒に再審理しなければならない、ということです。
なぜ一群全体か?
訂正請求は「一群の請求項ごと」に行う必要があり(126条3項等)、その一貫性を確保するためです。請求項1の訂正が変われば、それを引用する請求項2・3の訂正内容も連動して変わる可能性があるからです。
要するに、この規定は「訂正請求の一体性」を維持するための技術的な規定であって、判決の拘束力とは別の話です。
プロンプト:一群の の意味は、互いに引用している請求項 といった意味だったと理解してOK?
Claude Opus 4.5:
はい、基本的にその理解でOKです。
「一群の請求項」の定義
特許法126条4項に定義があります。(???見当たらないが。。。)
二以上の請求項を引用する請求項を含む一群の請求項
具体的には、
例1:直列的な引用
- 請求項1:独立項
- 請求項2:「請求項1において…」(請求項1を引用)
- 請求項3:「請求項2において…」(請求項2を引用)
→ 請求項1・2・3が一群
例2:複数引用
- 請求項1:独立項
- 請求項2:独立項
- 請求項3:「請求項1または2において…」(両方を引用)
→ 請求項1・2・3が一群(請求項3が「二以上の請求項を引用」しているため)
引用関係がなければ一群にならない
- 請求項1:独立項
- 請求項2:独立項(請求項1を引用していない)
→ これらは別々の請求項であり、一群ではない。個別に訂正請求できる。
趣旨
一群の請求項を一体として訂正させることで、引用関係にある請求項間の整合性を確保し、訂正によって権利範囲が矛盾することを防ぐためです。
ChatGPT5.2:
とても良い疑問です。
この 特許法181条 は、**「裁判所と特許庁(審判部)の役割分担」と「無限ループを防ぐための仕組み」**を一気に書いているので、初見だとかなり分かりにくい条文です。順を追って整理します。
① 結論から:特許庁は「裁判所の言いなり」ではないが、「判決理由には拘束される」
まず核心だけ言うと:
- ❌ 結論(勝ち負け)まで同じにしなければならないわけではない
- ⭕ 裁判所が示した「違法とされた理由・判断枠組み」には拘束される
これが行政事件訴訟(取消訴訟)の基本構造です。
② 第1項の意味(これはシンプル)
裁判所は…請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。
👉
審決取消訴訟で、裁判所が「この審決は違法だ」と判断したら、裁判所は“取消判決”を出すだけです。
- 裁判所は
- 新しい審決を出さない
- 特許を有効・無効に確定しない
👉 「取り消す」だけ。
③ 第2項前段:「更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない」の意味
ここが一番の疑問点ですね。
審判官は、取消判決が確定したときは、更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない。
これは何を意味する?
✔ 取消されたまま放置は禁止
✔ 特許庁は必ず「やり直し審理」をしなさい
という義務規定です。
では「同じ結論」を出さないとダメ?
👉 必ずしも同じ結論ではない。
ただし重要なのは:
- 裁判所が
- 「この認定は違法」
- 「この解釈は誤り」
- 「この手続は違反」
と判断したその理由を無視することはできない。
これを 「判決理由拘束力」 と言います。
🔁 無限キャッチボールにならないの?
理論上はあり得ますが、実務上ほぼ起きません。理由は:
- 裁判所の違法判断を踏まえない審決
→ 再度100%取消される - 行政庁(特許庁)がそれを繰り返す
→ 行政裁量逸脱として厳しく批判される
つまり、
「結論は自由だが、理屈は縛られる」
という構造です。
④ 具体例①:結論が変わることもある
例:進歩性判断
- 裁判所
- 「引用例AとBの組み合わせ動機の認定が誤り」
- 特許庁(再審理)
- A+Bではダメ
- でも A+Cなら動機がある
- → やはり無効(ただし理由は別)
👉
同じ結論(無効)でも、別ルートでOK
⑤ 具体例②:結論が逆転することもある
- 裁判所
- 「技術的意義の評価を誤っている」
- 再審理
- 正しく評価すると進歩性あり
- → 有効
👉
これはまったく問題なし
⑥ 第2項後段が一番クセ者
一群の請求項のうち一部の請求項について確定したときは…
ここでいう「一群の請求項」とは?
👉 **訂正請求で「まとめて扱われた請求項のセット」**です。
- 例:
- 請求項1〜5について
- 同じ訂正(減縮・誤記訂正など)を
- 一体として請求
- 請求項1〜5について
⑦ なぜ「一部が取り消されたら、残りも全部取り消す」の?
理由は一言でいうと:
訂正の適法性は「一体評価」だから
具体例で説明します
状況
- 請求項1〜5をまとめて訂正請求
- 特許庁:
- 「全部OK」と判断
- 裁判所:
- 「請求項3の訂正は新規事項追加で違法」
ここで問題になるのは?
- 訂正請求は
- 請求項ごとに独立審査できない
- 一部違法=全体違法
👉
だから条文はこう命じています:
「他の請求項についての審決又は決定を取り消さなければならない」
⑧ なぜこんな厳しい構造なのか(制度趣旨)
放置するとどうなる?
- 請求項3:取消
- 請求項1,2,4,5:そのまま有効
👉
でも、それらは「違法な訂正を前提」に成立した審決
➡ 論理破綻・不整合が生じる
⑨ 全体構造を一枚でまとめると
| 観点 | 答え |
|---|---|
| 裁判所は新しい審決を出す? | ❌ 出さない |
| 特許庁は再審理義務? | ⭕ ある |
| 同じ結論に拘束? | ❌ されない |
| 理由に拘束? | ⭕ される |
| 無限ループ? | 実務上ほぼ起きない |
| 一部取消で全体取消? | ⭕ 訂正は一体評価 |
⑩ 一言で言い切るなら
裁判所は「赤ペン先生」、特許庁は「書き直す生徒」
ただし、赤ペンを無視して同じ答案を書くことは許されない
という関係です。
もしよければ、
- 無効審判 × 訂正審判
- 進歩性 vs サポート要件
など、具体的なパターン別にもう一段踏み込んで説明できますよ。
AI Overview
特許法における「二以上の請求項を引用する請求項を含む一群の請求項」とは、複数の請求項(例えば請求項1と請求項2)の記載をまとめて引用している請求項(例えば請求項3)を含んだ、一連の請求項群を指し、主に訂正審判(特許法第126条)や無効審判(同第134条の2)などの手続きにおいて、引用関係にある請求項群全体を一つの訂正単位として扱えるようにする概念です。これは、引用関係が複雑な場合に請求項ごとに訂正を求める手間を省き、関連する請求項群を一括で審査・判断させるための例外的な仕組みで、特許権者の便宜を図るものです。
「一群の請求項」のポイント
引用関係: 複数の請求項が相互に引用し合っている(例:請求項3が請求項1と請求項2を引用している)場合に、それらをまとめたグループを指します。
訂正単位: 通常は請求項ごとに訂正の請求が可能ですが、この「一群」の概念により、引用関係の解消などを行う際に、まとめて一つの訂正単位として請求・審査を受けることができます。
法的根拠: 主に特許法第126条(訂正審判)や関連条文(第120条の5、第134条の2など)の適用上、考慮される考え方です。
具体例: 請求項1、2、3があり、3が1と2を引用している場合、1、2、3全体で一つの訂正単位(一群)として扱われることがあります。
なぜ「一群」で扱うのか
便宜: 引用関係にある請求項を個別に扱うと、複数の訂正請求が必要になり煩雑になるため、まとめて処理することで出願人・特許権者の負担を軽減します。
一貫性: 関連する発明の範囲をまとめて訂正することで、特許権の明確化や審査の一貫性を保ちやすくなります。
この仕組みは、特に無効審判などで特許権の維持・存続のために訂正を求める際に重要となり、特許庁のガイドライン等でもその取り扱いが示されています。
特許庁
訂正の請求単位の考え方
第2 訂正の請求単位
1.「特許権全体に対して請求」及び「請求項ごとに請求」
(1)「特許権全体に対して請求」及び「請求項ごとに請求」の選択
訂正は「特許権全体に対して請求」する(訂正の請求単位を特許権全体と する)方法と、「請求項ごとに請求」する(訂正の請求単位を請求項ごとと する)方法があります (特§120の5③④、特§126③、特§134の2②③)。 訂正に際しては、訂正の請求単位ごとに訂正の認否が判断され、請求単 位ごとに審決等が確定します(特§120の7、特§167の2)。 訂正前の請求項の数が1つであるときは、訂正を「特許権全体に対して 請求」する必要があります。訂正前の請求項が2つ以上であるときは、「特 許権全体に対して請求」するか、「請求項ごとに請求」するかを請求人は選 択することができますが、無効審判等における訂正請求については、通常、 特許権者は、「請求項ごとに請求」する必要があります1(表1参照)。(2)「特許権全体に対して請求」について
「特許権全体に対して請求」するとは、提出する訂正明細書、特許請求の範囲又は図面のとおりに一括で訂正することを求めるものです。したがって、その訂正の一部でも要件を満たさないものがあれば、全ての訂正が一体的に認められません。これにより、常に1組の明細書、特許請求の範囲又は図面を確認するだけでよく、権利の管理が容易となります。ただし、全請求項に対して訂正の請求をしたことになりますので、仮に1つの請求項のみ記載を訂正する場合であっても特許登録簿に記載された請求項の数の分の手数料がかかります。
(3)「請求項ごとに請求」について
「請求項ごとに請求」するとは、訂正前の特許請求の範囲の請求項のそれぞ れを請求単位として訂正することを求めるものです。請求項ごとに訂正の認 否の判断がされますので、ある請求項の訂正が認められない場合でも、他 の請求項の訂正については認められることがあります。 ただし、請求項ごとに訂正の認否の判断がされることから、1つの請求 項に係る訂正事項が2以上あり、訂正が認められない訂正事項が1以上あ る場合には、当該請求項に係る全ての訂正事項は一体的に認められず、当 該請求項の訂正は認められないことになります。 なお、訂正する請求項の中に所定の引用関係を有する請求項の群(以下、 「一群の請求項」といいます。)があるときには、それらの請求項について は、「一群の請求項」ごとに訂正を請求する必要があり(特§120の5③④、 特§126③、特§134の2②③)、その訂正の認否の判断も、その「一群の請 求項」という請求単位ごとにされます(「2. 一群の請求項」参照)。「請求項ごとに請求」するときは、一部の請求項についてのみ訂正を請求することができ、「特許権全体に対して請求」するときと比較して、手数料が安価になる場合があります。一方、訂正の請求単位ごとに訂正の認否が異なり、1組の訂正明細書、特許請求の範囲又は図面で全ての請求項に係る発明を特定できない場合があり得ることから、権利の管理が繁雑になります。また、明細書又は図面を訂正する場合には、その明細書又は図面についての訂正と、訂正の請求単位(請求項ごと又は一群の請求項ごと)との対応関係を明記する必要があります。その明細書又は図面についての訂正と対応関係がない請求項(一群の請求項)の解釈については、明細書又は図面の訂正が考慮されず、訂正前の明細書又は図面によって解釈されると考えられるため、当該対応関係については慎重に検討する必要があります。
2. 一群の請求項
「一群の請求項」は特施則§45 の 4 に定められたとおりです。 この関係をわかりやすく説明すると、「一群の請求項」の特定は、以下の ように行います。 まず、記載を訂正する請求項を特定します。 次に、訂正前の引用関係において、記載を訂正する請求項を直接的又は 間接的に引用する全ての引用形式請求項(従属項)を特定します。そのよ うな引用形式請求項(従属項)は、通常、記載を訂正する請求項の訂正事 項を含むことになるので、引用形式請求項(従属項)の記載の訂正の有無 にかかわらず、記載を訂正する請求項と連動して訂正するものとして扱い ます2。 これらの、記載を訂正する請求項とその引用形式請求項(従属項)の群 を「一群の請求項」といいます3。
例:特許請求の範囲が、請求項1と請求項1を引用する請求項2からなり、請求項1の「A」という記載を「A’」に訂正する場合を考えます。このような場合、請求項1の記載を訂正する訂正事項によって請求項2も連動して訂正するものとして扱われ、請求項1及び2が「一群の請求項」を構成します(図1)。「一群の請求項」は、訂正前の引用関係に基づいて特定されますが、ある訂正事項によって連動して訂正される請求項の群によって構成されるものです。したがって、訂正前に引用関係がある請求項であっても、訂正事項の対象とならない請求項は、「一群の請求項」を構成しないことに注意が必要です。
以下略