特184条の3 国際出願による特許出願

PCT出願から日本国内へ移行する手続き(国内移行手続)について、根拠となる条文を整理します。大きく分けて「PCT条約(国際的なルール)」と「日本国特許法(国内の受け入れルール)」の2つの側面から規定されています。

1. PCT条約(特許協力条約)の規定

国際出願をした出願人が、指定国(日本など)で手続を開始するための義務と期限を定めています。

  • 第22条(指定官庁への写し、翻訳文及び手数料の提出)

    • 予備審査を請求しない場合(第1章)の国内移行について規定しています。「優先日から30ヶ月以内(原則)」に手続をしなさい、という大元のルールです。

  • 第39条(選定官庁への写し、翻訳文及び手数料の提出)

    • 予備審査を請求した場合(第2章)の規定です。こちらも現在は多くの国で30ヶ月(一部31ヶ月)です。


2. 日本国特許法の規定

日本には「第9章 国際出願に係る特例(第184条の3 ~ 第184条の20)」という専用の章があり、ここで詳しい手続きが定められています。特に重要なのは以下の条文です。

① 国際出願は「日本の出願」とみなす(基本)

  • 第184条の3(国際出願による特許出願)

    • 国際出願日にされた日本の特許出願とみなす」という、PCTの効力を日本法に落とし込む条文です。

② 手続き書類(国内書面)を出しなさい

  • 第184条の5(書面の提出及び補正命令)これが「国内書面(表紙)」の提出義務を定めた条文です。「国内処理基準時(優先日から30ヶ月)」までに、出願人の氏名や住所などを記載した書面を特許庁長官に提出しなさい、と書かれています。

③ 翻訳文を出しなさい(外国語の場合のみ)

  • 第184条の4(外国語特許出願の翻訳文)英語などで出願されたPCT出願(外国語特許出願)の場合、日本語の翻訳文を出す義務とその期限(原則30ヶ月)を定めています。※「日本語特許出願」の場合は、この翻訳文提出は不要です。


まとめ:日本語PCTの事例(日本語PCT)で言うと?

日本語で行ったPCT出願を日本へ移行するケースで該当する「手続きの条文」は、ズバリこれです。

  • 特許法 第184条の5 第1項

    • 内容: 「日本語でPCT出願した人は、優先日から30ヶ月以内に、国内書面(願書のようなもの)を提出して、手数料を払いなさい。」

つまり、日本語でPCT出願をしていた場合、「書き直さなくていい(翻訳いらない)」というのは第184条の4が適用されないからであり、「新しい表紙(国内書面)は必要」というのは第184条の5で義務付けられているから、という法的な整理になります。

質問:PCT出願時は、どの国に国内以降する予定があるかは書かなくていい?

Gemini:PCT出願の段階では、将来どの国に移行するかを決めて書く必要はありません。「とりあえず全部の国を指定したことにしておく(自動的に全指定)」というルールになっています。

1. 「みなし全指定」のルール

2004年1月1日以降のルール改正により、PCT出願の願書を提出するだけで、その時点で加盟しているすべての国を自動的に指定したとみなされます。

  • 昔(2003年まで): 願書のチェックボックスで「アメリカ」「日本」「ドイツ」…と移行したい国をいちいち選んでチェックする必要がありました(そして指定国の数に応じて手数料も変わりました)。

  • 今: チェックボックスは基本的に不要です。出願するだけで、世界中(150カ国以上)の「予約チケット」を自動的に確保した状態になります。

2. いつ決めるの?

実際に「どの国で権利化するか」を決めるのは、30ヶ月後の「国内移行期限」のタイミングです。

  • PCT出願時(0ヶ月): 「とりあえず世界中の権利化の可能性(予約権)」を確保。

  • 考慮期間(〜30ヶ月): 製品が売れそうな国はどこか、費用対効果などをじっくり考える。

  • 期限直前(30ヶ月):

    • 「やっぱり日本だけでいいや」→ 日本の特許庁にだけ手続き(国内移行)をする。他の国の予約権は放置すれば自動的に消滅。

    • 「アメリカと中国も欲しい」→ 日本、米国、中国のそれぞれに手続きをする。

「とりあえず広く網をかけておいて、後で必要なところだけ拾う」ことができるのが、PCT出願の最大のメリットですね。

補正(修正)したい場合

もし、「PCT出願のときの内容から少し変えたい(請求項を絞りたい、書き方を変えたい)」場合は、国内移行のタイミング(または審査請求などのタイミング)で「手続補正書」を出せば、内容を書き直す(補正する)ことも可能です。 ※先ほどの議論にあった「分割出願」をするために、あえてここで内容をいじる等の戦略をとることもあります。

ただし、「新規事項の追加(New Matter)」は絶対NGです。いくら補正(修正)ができると言っても、「国際出願をした日(今回の場合は2014年3月13日)の明細書・請求の範囲・図面」に書いていないことを、後から付け加えることは許されません。このルールは**「新規事項追加の禁止」**と呼ばれ、日本の特許実務において最も厳しく、かつ重要なルールのひとつです。

1. なぜNGなのか?(ルールの理由)

もし、出願した後から自由に新しいアイデアを書き足せるなら、以下のようなズルができてしまうからです。

  • 後出しジャンケン: 先にテキトーな内容で出願して日付けを確保し、後から他社の製品を見て「あ、あの機能も入れておこう」と書き足す。

  • 早い者勝ちの崩壊: 真面目に研究して完成させてから出願した人が損をしてしまいます。

だから、**「最初に提出した書類(日本語でPCT出願したのであれば、PCT出願時の日本語明細書)の範囲内」**でしか、文章を直したり、説明を補充したりすることはできません。

2. 「範囲内」の境界線は厳しい

「書いてあること」だけでなく、「書いてあることから自明(当たり前)なこと」までは許容される場合もありますが、審査官はここを非常に厳しく見ます。

  • OKな例:

    • 誤記の訂正(「てにをは」や明らかな誤字)。

    • 不明瞭な表現を、元の文脈から明らかな範囲で分かりやすく書き直す。

    • 上位概念化 ※ただし、元々その概念が読み取れる場合に限る。

  • NGな例(新規事項):

    • 実施例(実験データ)の追加。「実はこんな実験もしてました」と後から出すのは、反論の証拠としては使えても、明細書本文には追加できません。

    • 数値範囲の変更。「30℃~50℃」と書いてあったのを、根拠なく「20℃~60℃」に広げる。

    • 新しい効果の記載。「実はこれ、防臭効果もありました」と元々書いていない効果を追記する。

3. もし「新規事項」が入ってしまったら?

補正書を出しても、審査官に「これ、元のPCT出願に書いてないですよね?(新規事項の追加)」と指摘されると、その補正は却下されます(拒絶理由になります)。

最悪の場合、うっかり登録されてしまっても、後でライバル会社から**「この特許は新規事項が追加されているから無効だ(特許法第123条)」**と訴えられて、特許が潰される原因になります。

まとめ

  • 国内移行時の書き直し(手続補正): 可能です。

  • ただし: 「PCT出願時のテキスト」という檻(おり)の中から一歩も出てはいけません。

特44 分割出願 実例「獣毛繊維の鑑別方法」

質問:原出願WO2014142229A1と、分割出願JP6535398B2では、何をどう分割したの?

Gemini:PCT国際出願公開公報 WO2014142229A1 と、登録特許公報 JP6535398B2を比較・分析しました。この分割出願で行われたのは、**「2つの異なる発明(電気泳動法 と 質量分析法)のうち、電気泳動法だけを選んで、さらに条件を絞って権利化した」**という戦略です。

具体的に「何を拾って、何を捨てた(あるいは別にした)のか」を図解的に解説します。

1. 全体像:分割のビフォー・アフター

元々の出願(PCT親)には、大きく分けて 2つの発明(技術のネタ) が含まれていました。

元のPCT出願 (親) 登録された特許 (子・今回) 消えたもの (別出願へ?)

ネタ①:電気泳動法

 

(ゲルで分離して縞模様を見る)

【採用&限定】

 

条件を厳しくして権利化

 

(還元剤濃度UP+高分解能ゲル)

ネタ②:質量分析法

 

(バンドを切って酵素で溶かし分析)

【不採用】

 

この特許からは削除

質量分析の発明

 

(別の分割出願にしたか、放棄した)


2. 詳細分析:何をどう変えた?

① 「拾った」もの:電気泳動法の強化

親の出願では、請求項1(一番広い権利)は「電気泳動してパターンを比較する」だけの非常に広い内容でした。

しかし、子の特許(今回の JP6535398B2)にする際に、親の請求項7と8の内容を合体させて、権利範囲をギュッと絞り込んでいます。

  • 親 (PCT) 請求項1: 単に「電気泳動して比較する」 1

    • これだと広すぎて、「そんなの昔からあるよ(新規性なし)」と言われる可能性が高い。

  • 子 (JP) 請求項1: 電気泳動するんだけど、以下の2つの条件を満たすものに限る! 2

    1. **「高分解能ゲル(25kDa以下が10本以上に見える)」**を使うこと(元・請求項7) 3

    2. **「高濃度の還元剤(2-ME 6%以上 or DTT 8-12mM)」**を使うこと(元・請求項8) 4

【分析】

単なる電気泳動ではなく、「特殊な条件(濃い還元剤・高性能ゲル)で行う高精度な電気泳動法」に限定することで、確実に特許を取る作戦に出ました。

② 「捨てた(分けた)」もの:質量分析法

親の出願には、請求項9以降に**「質量分析(マススペクトロメトリー)」**を使う全く別の方法が書かれていました。

  • 親 (PCT) 請求項9: 電気泳動したバンドを切り出し、酵素で消化して、質量分析機にかける方法。 5

【なぜ消えた?】

親の出願の最後の方にある「国際調査報告」6 を見てください。特許庁の審査官がこう書いています。

「発明の単一性が欠如している(Unity of invention is lacking)」

  • 発明1:電気泳動法(請求項1-8)

  • 発明2:質量分析法(請求項9-14)

つまり、**「1つの出願に2つの違う発明が入ってるから、1つにまとめられません。別々にしなさい」**と指摘されたのです。

その結果、今回の特許(JP6535398B2)では、「発明1(電気泳動)」だけを選び、「発明2(質量分析)」をバッサリ削除しました。

3. 「捨てた」質量分析法はどうなった?

この特許公報(JP6535398B2)だけでは、「質量分析法」を完全に諦めて捨てたのか、それとも「別の分割出願(兄弟特許)」として出し直したのかは断定できません。

しかし、通常、このような「単一性違反(別発明だよ)」という指摘を受けて分割する場合、権利が欲しいなら、もう一件の分割出願(兄弟)を出します。

  • 特許A(今回): 電気泳動法で権利化

  • 特許B(別の分割): 質量分析法で権利化

ニッセンケンが「質量分析法」の権利も重要だと考えていれば、この JP6535398 と同時期に、質量分析法をクレームした別の特許が存在するはずです。(もし存在しなければ、質量分析法は放棄したことになります)。

まとめ:ニッセンケンの戦略

  1. PCT出願時: 「電気泳動」と「質量分析」の両方の可能性を網羅して広く出願した。

  2. 審査段階: 「2つは別物」と指摘され、かつ「ただの電気泳動なら既存技術にある」と判断されそうになった。

  3. 分割出願時 (今回の特許):

    • 「質量分析」は切り離した。

    • 「電気泳動」については、**「高濃度還元剤」+「高分解能ゲル」**という必勝パターン(実施例で成功している条件)に限定して、確実に権利を成立させた。

これが、この2つの文書から読み取れるストーリーです。

質問:同じ目的に全く異なる原理の2つの測定方法を並べると、単一性要件にひっかかるんだ?2つの測定方法が相補的で合わせ技ならいいってこと?どちらの方法でも、目的を達成できるよ、ということだったから駄目だったってこと?

Gemini:「どちらの方法でも目的を達成できるよ(並列・選択)」という書き方だったことが、今回の単一性違反(Unity of Invention is lacking)の決定打になっています。「合わせ技(AかつB)」ならOKだった可能性が高いですし、「共通部分が新しかった」**なら並列でもOKでした。このケースでなぜ駄目だったのか、審査官のロジック(国際調査報告 Box No. III)を紐解くと、特許のルールの面白さが見えてきます。

1. なぜ「2つの測定方法」はバラバラにされたのか?

審査官の言い分はこうです(PDFの13ページ目、Box No. III)。

  • 共通点を探せ: 請求項1(電気泳動)と請求項9(質量分析)には、共通する技術的特徴があります。それは**「獣毛からタンパク質を抽出して、それを分離する」**という部分です 2

  • それは新しいか?: 審査官は「いや、その共通部分は、1996年の論文(M. ZOCCOLA et al.)に既に書かれているから、新しくない(Special Technical Featureではない)」と判断しました 3

  • 結論: 「共通の親(抽出工程)」が死んでしまったため、残った「電気泳動」と「質量分析」は、技術的に全く別の赤の他人(別発明)です。だから分けなさい 4

2. もし「合わせ技」だったら?(仮説)

もし請求項が以下のような**「合わせ技(相補的)」**だったら、単一性は満たしていたはずです。

  • 仮想の請求項: 「電気泳動法を行い、さらにその結果を補完するために質量分析を行う鑑別方法」

  • 判定: これなら「A+Bという組み合わせ」自体がひとつの発明とみなされるため、原理が違っても「一連のプロセス」として単一性はOKになります。

ただし、これをやると**「両方の装置を持っていないと特許侵害にならない(権利範囲が狭くなる)」**というデメリットが生じるため、ニッセンケンとしては嫌だったはずです。できれば「どっちか片方だけでも特許権を取りたい」と考えた結果、並列にして引っかかったわけです。

3. もし「共通部分が凄かった」なら?

実は、並列(AまたはB)でもOKになるケースがあります。それは**「共通の親(抽出工程)」がものすごく画期的な新発明だった場合**です。

  • もしも: 「誰も思いつかなかった魔法の抽出液」を発明していたら…

    • 発明1:魔法の抽出液 × 電気泳動

    • 発明2:魔法の抽出液 × 質量分析

  • 判定: この場合は、「魔法の抽出液」という**特別な技術的特徴(STF)**で結ばれているので、原理が違っても1つの特許出願にまとめてOKになります。

まとめ

今回のニッセンケンのケースは、以下のような構造だったためNGが出ました。

  1. 目的: 獣毛を見分けたい。

  2. 手段: 「電気泳動」でもいいし、「質量分析」でもいいよ。

  3. 共通点: 最初に「抽出」するけど、その抽出方法は昔からある普通の方法だよ。

「昔からある方法を入り口にして、出口が全然違う2つの道を用意したら、それは別の地図(出願)にしなさい」 と言われたわけですね。

知財の世界では、このように「欲張って並列に書くと、後で分割費用がかかる」ということがよくあります。ニッセンケンはあえて分割を選んで、確実に電気泳動の権利を取りに行った(質量分析は捨てたか、さらに分けた)という戦略的な動きが、この文書から読み取れます。

質問:PCTでstatus ceasedとあるのは、PCTの効果は期限切れということ?切れる前に国内以降したからOKってこと?

Gemini:その通りです!「PCTのstatus: Ceased」=「PCTとしての(国際段階での)役割が終わった」 という意味であり、「特許そのものが死んだ」という意味ではありません。おっしゃる通り、「その前に国内移行(日本などへの手続き)を済ませていれば、バトンタッチ成功でOK」です。この仕組み、少しややこしいので、**「ロケットの切り離し」**でイメージすると完璧に理解できます。


1. PCTは「運び屋(ロケット)」である

PCT出願は、特許という「人工衛星」を、世界各国という「軌道」に乗せるための打ち上げロケットのようなものです。

  • 打ち上げ(PCT出願): 2014年に発射。

  • 飛行中(国際段階): 30ヶ月間(約2年半)は、PCTというロケットに乗って飛んでいます。この間は、どこの国でもまだ審査されません。

  • 切り離し(国内移行):期限(30ヶ月)が来たら、ロケット(PCT)は役目を終えて切り離されます。ここで**「Status: Ceased(終了)」**となります。

2. 「Ceased」のあとの運命は2つに分かれる

「Ceased」と表示されたとき、その裏で何が起きているかで運命が変わります。

パターンA:成功(今回のケース)

  • アクション: 期限前に、日本やアメリカなどの「国内移行手続き」を済ませた。

  • 結果: ロケット(PCT)は切り離されて「Ceased」になったが、中の人工衛星(特許出願)は日本という軌道に乗って動き出した。

  • ステータス:

    • 国際(WIPO):Ceased(任務完了)

    • 国内(J-PlatPat):Active / Pending(審査中・生存)

パターンB:失敗(本当の終了)

  • アクション: 期限までに、どこの国にも手続きしなかった(または手数料を払わなかった)。

  • 結果: ロケット(PCT)の燃料が切れ、中の人工衛星ごと燃え尽きた。

  • ステータス:

    • 国際(WIPO):Ceased(期間満了)

    • 国内:存在しない(出願取り下げ扱い)


3. なぜデータベースは「Ceased」と表示するのか?

Google PatentsやWIPO(PATENTSCOPE)などのデータベースで「Ceased」と出るのは、あくまで**「国際事務局(WIPO)としての管理業務は終わりましたよ」**という事務的な報告に過ぎません。

  • WIPOの言い分:「私たちは30ヶ月間面倒を見ました。あとは各国の特許庁にバトンタッチしたので、そっちで見てね。私たちの仕事(PCTステータス)はここで**終了(Ceased)**です。」

まとめ:今回のニッセンケンのケース

今のStatus: Ceased は、以下の事実を示していただけでした。

  1. 2014年のPCT出願は、30ヶ月経って国際段階を卒業した。

  2. その前に日本へ移行していた(成功していた)。

  3. だから、日本のデータベース(J-PlatPat)で見ると、ちゃんと生き残って(審査→分割→登録)いた。

結論:

「PCT Status: Ceased」を見ても焦る必要はありません。「国内移行したかな?」と各国の状況を確認するのが正解です。

 

 

質問:分割までに4年も引っ張れるものなの?

Gemini:これは審査が遅かったからだけではありません。制度をフル活用して意図的に「寝かせていた」期間があるからです。なぜ4年もかかったのか、そして「最大どれくらい引っ張れるのか(延命できるのか)」、そのカラクリを図解的に解説します。


1. なぜ「4年後」に分割できたのか?(ニッセンケンのタイムライン再現)

ニッセンケンの事例(2014年出願→2018年分割)は、実は特別な裏技ではなく、「通常のPCTルート」の王道スケジュールです。ここには**「2つの待ち時間」**が存在します。

① 「PCTの30ヶ月」ルール(約2.5年の猶予)

国際出願(PCT)は、日本国内に移行する手続きをするまでに**「優先日から30ヶ月(2年半)」**待ってもらえます。

  • 2014年3月: PCT出願

  • ~2016年9月: 日本国内へ移行(ここで初めて日本での手続きがスタート)

② 「審査請求」の3年ルール(さらに猶予)

日本に移行しても、すぐに審査は始まりません。「審査してください(審査請求)」とお金を払って言わない限り、特許庁は放置します。この期限が出願日から3年以内です。

  • ~2017年3月: ギリギリで審査請求をしたと推測されます。

③ 審査開始~最初の通知(数ヶ月~1年)

審査請求をしてから、審査官が実際に書類を見て「ここがダメ」という通知(拒絶理由通知)を出すまでに、平均して10ヶ月程度(当時)かかります。

  • 2018年初頭: 最初の「拒絶理由通知」が届く。

  • 2018年4月: その回答期限内に**「分割出願」**を行う。

つまり、「制度上の待ち時間(2.5年~3年)」+「審査官の作業待ち(約1年)」= 約4年。

審査が遅かったわけではなく、制度上の権利として合法的に引っ張れる期間を使った結果です。


2. 最大どれくらい長く引っ張れる?(ゾンビ特許の作り方)

実は出願人のテクニック次第で、理論上は「特許権の満了(20年)」近くまで審査を係属させることが可能です。これを実現するのが**「孫・ひ孫(チェーン)分割」**です。

仕組み:リレー方式で延命する

  1. 親(第1世代): 審査に3~4年かける。最後に「分割」して特許にする。

  2. 子(第2世代): 分割した瞬間、**「ゼロから審査スタート」**です。また拒絶理由が来るまで待ち、応答し…と数年稼げます。

  3. 孫(第3世代): 子の審査が終わる直前に、また分割して「孫」を作ります。

このように、親 → 子 → 孫 → ひ孫… と分割を繰り返すことで、審査係属(=分割できるチャンス)を維持し続けることができます。

どこまで引っ張れる?(タイムリミット)

ただし、無限ではありません。

  1. 20年の壁(絶対的期限):特許権の存続期間は**「最初の出願日から20年」**です。いくら分割しても、この起算日(2014年)は変わりません。
    • たとえ2030年に「玄孫(やしゃご)出願」で特許を取れても、権利は2034年で消滅します。残りの期間が短すぎると、高額な費用をかけて維持する意味がなくなります。

  2. 内容の枯渇:分割するたびに、元の明細書の中に「まだ権利化していない新しいネタ」が残っていないといけません。ネタが尽きれば終了です。

3. なぜそんなに引っ張るの?(戦略的理由)

企業があえて審査を遅らせたり、分割で引っ張ったりするのには理由があります。

  • ① 競合他社の動向を見たい(後出しジャンケン): ライバル製品が発売された後で、「あ、その機能、うちのこの特許出願に含まれてるよ」と狙い撃ちで権利化するため(これを牽制といいます)。
  • ② 費用を遅らせたい: 審査請求料や特許料は高いので、本当に製品化するか決まるまで払いたくない。
  • ③ 審査官との対話: 一発で広い権利を取るのは難しいので、分割を繰り返して「広い権利」「狭いが確実な権利」をパズルのように組み立てていく。

まとめ

  • 4年かかった理由: PCTの30ヶ月猶予 + 審査請求期限(3年) + 審査官の待ち時間。ごく標準的なスケジュールです。

  • 最大期間: 「分割の連鎖」を使えば、10年以上引っ張ることもザラにあります。ただし、権利の寿命(20年)は伸びません。

ニッセンケンの件も、実は水面下でしっかりスケジュール管理されていた「知財戦略の教科書」のような事例だったわけですね。

参考

  1. ニッセンケン開発の獣毛鑑別試験がJIS規格に採用 -獣毛偽装防止に向けて、製品の信頼性向上へ- 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター 2025.07.02 14:00 https://presswalker.jp/press/80677
  2. 2019 年 8 月 21 日 電気泳動法を用いた獣毛鑑別およびタンパク質繊維鑑別の特許取得について 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター https://nissenken.or.jp/control/wp-content/uploads/2019/12/獣毛繊維タンパク質繊維の鑑別方法特許取得.pdf
  3. 平成 30 年 7 月 19 日 生化学的アプローチによる獣毛混鑑別の特許取得について 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター https://nissenken.or.jp/control/wp-content/uploads/2019/12/20180719.pdf 当財団は、増田豪先生(現 熊本大学)との共同研究により、このたび電気泳動法を利用 した「獣毛繊維の鑑別方法」に関する特許を取得いたしましたので、お知らせいたします。 (1)特許の概要 特 許 番 号 第 6356117 号 発 明 の 名 称 獣毛繊維の鑑別方法 登 録 日 平成 30 年 6 月 22 日
  4. https://patentimages.storage.googleapis.com/c6/86/1b/560baae95b1d13/JP6535398B2.pdf
  5. https://patentimages.storage.googleapis.com/63/43/0b/e62c0c18cc16bd/WO2014142229A1.pdf

特許公開情報の文章に著作権はある?

「特許公報の文章や図面には著作権があり、無断転載(丸写し)はNGですが、正しいルールを守った『引用』であればOK」です。法律(著作権法)の観点と、特許庁の見解をセットで整理しました。


1. 特許公報に「著作権」はある?

あります。特許公報は国(特許庁)が発行する公的な文書ですが、中身の「明細書(文章)」や「図面」を書いたのは、国ではなく**「出願人(企業や発明者)」や「弁理士」**です。

  • 誤解しやすい点:

    • 法律や裁判の判決文: 著作権法13条により、誰でも自由に使える(著作権の対象とならない)。

    • 特許公報: 企業の知的創作物が掲載されているため、著作権法で保護される著作物とみなされます。

実際、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の利用規約や特許庁のFAQにも、以下のように明記されています。

「公報に掲載されている明細書や図面等は、通常、その創作者である出願人等が著作権を有していますので、転載する場合には許諾が必要になることがあります。」

2. ブログでの利用は「引用」ならOK

著作権があるからといって、一切使えないわけではありません。著作権法第32条で認められた**「引用」**の要件を満たしていれば、権利者の許可なくブログに掲載できます。

セーフな「引用」の5つの条件

ブログに特許の図や文章を載せる際は、必ず以下のルールを守ってください。

  1. 主従関係が明確であること

    • あなたの書いた解説や感想が「主(メイン)」で、特許の文章はあくまで補足説明のための「従(サブ)」であること。特許のコピペだけで記事を構成するのはNGです。

  2. 引用部分が明確であること

    • 「ここからここまでが引用です」と分かるように、<blockquote>タグを使ったり、「」で囲ったり、背景色を変えたりして区別する。

  3. 必然性があること

    • 「この技術を説明するために、この図が必要」という理由があること。単なる飾りとしての掲載は避けましょう。

  4. 改変しないこと

    • 文章を勝手に書き換えたり、図をトリミングして意味を変えてしまうのはNG。そのまま載せます。

  5. 出典を明記すること

    • どこからの情報かを必ず書きます。

    • 例:(出典:特許庁 J-PlatPat 特許第〇〇号公報より)

3. おすすめの掲載方法

私がこのチャットで行ったように、以下の情報をセットで記載するのが最も安全で親切です。

  • 特許番号: (例:特許第1234567号)

  • 発明の名称: (例:XXXXXX粉砕装置)

  • 出願人/権利者: (例:〇〇株式会社)

  • 出典元: J-PlatPatへのリンクを貼るとなお良し。

まとめ

  • 全文コピペ: × 著作権侵害の恐れあり。

  • スクショを貼るだけ(解説なし): △ 引用の要件(主従関係)を満たさない可能性あり。

  • 自分の言葉で解説し、必要な部分だけ引用元を明記して載せる: ◎ OK!

ブログに使う場合、「自分の言葉で要約する(=引用ではなく参照)」のが一番オリジナリティも出ますし、著作権リスクも低くなるのでおすすめです。

(Gemini)

 

特105 書類提出命令

プロンプト:特104条、104条の2, の3,の4,105条、の2,の3,の4,の5,の6,の7の8,の9,の10,の11,の12,105条、105条の2,の3,106条、196条、196条の2,201条、200条の3 とエレメンツの教科書の説明が続くんだけど、順にわかりやすく説明して。

Gemini:その範囲は、一言で言うと**「裁判での殴り合い(訴訟手続)」「ペナルティ(罰則)」**のゾーンです。ここからは**「実際に裁判になったら、どうやって証拠を出させたり、秘密を守ったりするのか?」**という、非常にドラマチックな場面です。スーッと入ってくるように、4つの場面(トピック)に分けて解説しますね。


第1幕:立証のハードルを下げる工夫

(104条、104条の2)

裁判では本来、訴えた側(原告)がすべて証明しないといけません。でも、特許の場合、相手の工場の中なんて見えませんよね?そこで、原告を助けるルールがあります。

104条:生産方法の推定

(生産方法の推定)
第百四条 物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。

  • 「ブラックボックスの中身は、同じとみなす!」

  • 状況: あなたが「新しい薬の作り方(製法特許)」を持っています。相手も「同じ成分の薬」を売っています。でも、どうやって作ったか(工場の中)は秘密で分かりません。

  • ルール: 「物が同じなら、その作り方もあなたの特許と同じ方法で作ったとみなすよ(推定するよ)」

  • 効果: 相手が「いやいや、違う方法で作ったんです!」と証明しない限り、あなたの勝ちになります。

104条の2:具体的態様の明示義務

(具体的態様の明示義務)
第百四条の二 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。

  • 「『否認』するなら、自分の手の内を見せろ!」

  • 状況: あなたが「相手の装置は、私の特許(A+B+C)を侵害してる!」と訴えました。

  • 相手: 「違います(否認)。侵害してません」

  • あなた: 「じゃあ、どういう構成なの?」

  • 相手: 「それは企業秘密なんで言えません~」

  • ルール: これを禁止します。相手が「侵害していない」と主張するなら、「じゃあ具体的にどういう装置なのか(具体的態様)」を明らかにしなければなりません。ただの「やってない」は通用しません。


第2幕:最強の返し技「無効の抗弁」

(104条の3、104条の4)

ここは超重要です。「キルビー判決」という有名な最高裁判決から生まれたルールです。

104条の3:特許権者の権利行使の制限(無効の抗弁)

(特許権者等の権利行使の制限)
第百四条の三 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により又は当該特許権の存続期間の延長登録が延長登録無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。

  • 「お前の刀(特許)、ボロボロだから切れないよ!」

  • 状況: あなたが「侵害だ!」と訴えました。

  • 相手: 「いや、そもそもあなたの特許、昔からある技術じゃないですか? 本来なら特許庁で拒絶されるべき『無効』な特許ですよね?」

  • ルール: もしその特許が「無効にされるべきもの(ミスで登録されたもの)」だとわかったら、裁判所は「権利行使(侵害請求)は認めない」と判断します。

  • 意味: 特許庁でわざわざ「無効審判」をして特許を消してから出直さなくても、侵害訴訟の中で「その特許は無効だ!」と反撃できるようになりました。

104条の4:訂正審判等との関係

(主張の制限)
第百四条の四 特許権若しくは専用実施権の侵害又は第六十五条第一項若しくは第百八十四条の十第一項に規定する補償金の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる決定又は審決が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)において、当該決定又は審決が確定したことを主張することができない。
一 当該特許を取り消すべき旨の決定又は無効にすべき旨の審決
二 当該特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決
三 当該特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の決定又は審決であつて政令で定めるもの

  • 「裁判引き延ばし作戦は禁止!」

  • 状況: 相手に「お前の特許は無効だ!」と言われたので、あなたが慌てて特許庁へ行き、「特許の内容を少し修正(訂正)します!」と言って、裁判をストップさせようとすること。

  • ルール: 裁判所は「訂正審判の結果が出るまで裁判を止める必要はないよ」と言えます。ズルズルと裁判が長引くのを防ぐためです。


第3幕:証拠集めと秘密情報のガード

(105条~105条の7あたり)

ここが条文番号だらけで一番しんどいところですが、要は**「証拠は見たいけど、秘密は漏らしたくない」**というジレンマを解決する仕組みです。

105条:書類提出命令

(書類の提出等)
第百五条 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

  • 「隠してる書類を出せ!」

  • 裁判所が「その書類、裁判に必要だから出しなさい」と命令できます。

  • ポイント: 「企業秘密だから出したくない!」という言い訳に対し、裁判官だけがコッソリその書類を見て(インカメラ手続)、「本当に秘密にするほど大事か? 裁判に必要か?」を判断します。

105条の2:査証(さしょう)

(査証人に対する査証の命令)
第百五条の二 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持し、又は管理する書類又は装置その他の物(以下「書類等」という。)について、確認、作動、計測、実験その他の措置をとることによる証拠の収集が必要であると認められる場合において、特許権又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められ、かつ、申立人が自ら又は他の手段によつては、当該証拠の収集を行うことができないと見込まれるときは、相手方の意見を聴いて、査証人に対し、査証を命ずることができる。ただし、当該証拠の収集に要すべき時間又は査証を受けるべき当事者の負担が不相当なものとなることその他の事情により、相当でないと認めるときは、この限りでない。

  • 「専門家による強制立ち入り調査!」

  • 書類だけでは分からない場合(工場のラインの動きなど)、中立な専門家(査証人)が相手の工場に入り込んで調査します。令和元年の改正でできた強力な武器です。

105条の3:相当な損害額の認定

(相当な損害額の認定)
第百五条の三 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

  • 「計算できないなら、裁判官がエイッ!と決める」

  • 損害額の計算がどうしても難しい場合、裁判所が口頭弁論(話し合い)の内容から「まあ、このくらいだろう」と決めることができます。

105条の4~105条の7:秘密保持命令

(秘密保持命令)
第百五条の四 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。

  • 「ここだけの話(トップシークレット)にする」

  • 裁判で大事な技術情報(営業秘密)を出さないといけない時、「この情報は、弁護士と当事者以外には絶対見せない!漏らしたら罰則!」という命令(秘密保持命令)をかけます。これがあるから、安心して証拠を出せるわけです。

    • ※105条の8以降の細かい枝番は、この秘密保持命令の手続きの細かいルール(誰に通知するか、どう取り消すか等)なので、「秘密を守るための事務手続き」とまとめて覚えてOKです。


第4幕:名誉とペナルティ

(106条、196条~201条、200条の3)

最後は、負けた時の「償い」と「刑罰」です。

106条:信用回復の措置

(信用回復の措置)
第百六条 故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

  • 「新聞に『ごめんなさい』を載せる」

  • パクリ商品を売られて、あなたの会社のブランドイメージ(信用)が落ちてしまった場合、お金の賠償だけでなく、「謝罪広告」などを新聞に出させる命令ができます。

196条:侵害の罪

(侵害の罪)
第百九十六条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  • 「泥棒は牢屋へ」

  • 特許権を(故意に)侵害した人は、10年以下の懲役 または 1000万円以下の罰金です。けっこう重いです。

196条の2:詐欺の行為の罪

第百九十六条の二 第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  • 「嘘ついて特許取ったら犯罪」

  • 特許庁を騙して特許を取ったら、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

201条:両罰規定(りょうばつきてい)

(両罰規定)
第二百一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項 三億円以下の罰金刑
二 第百九十七条又は第百九十八条 一億円以下の罰金刑

  • 「やった社員も、やらせた会社も罰する」

  • 社員が勝手にやったとしても、会社(法人)にも罰金刑が科されます。しかも、会社への罰金は**「3億円以下」**と超高額です。

200条の3:秘密保持命令違反の罪

(秘密保持命令違反の罪)
第二百条の三 秘密保持命令に違反した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

  • 「裁判の秘密をバラしたら逮捕」

  • 第3幕で出てきた「秘密保持命令」を破って情報を漏らした人は、5年以下の懲役などになります。これは「親告罪(被害者が訴えないと罪にならない)」ではないのが特徴で、バレたら即アウトの厳しい罪です。


まとめ:ストーリーでつなげる

  1. 裁判開始! 工場の中が見えないから「同じものなら同じ製法とみなす」(104条)。

  2. 相手の反論! 「やってない」と言うなら「じゃあ何やってるか見せろ」(104条の2)。あるいは「お前の特許自体が無効だ」(104条の3)と逆ギレしてくる。

  3. 証拠合戦! 「書類出せ」(105条)、「工場見せろ」(105条の2)。

  4. 秘密ガード! 「出した証拠は絶対漏らすなよ、命令だぞ」(105条の4)。

  5. 決着! 負けたら「謝罪広告」(106条)や「懲役・罰金」(196条~)、秘密をバラしても「刑罰」(200条の3)。

この流れで教科書を読むと、「今どこのフェーズの話をしているか」が見えてくるはずです!

特103 過失の推定

(過失の推定)
第百三条 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。

 

特102 権利侵害とその救済:損害賠償額の計算方法

「損害賠償」の勉強、条文でいうと特許法102条あたりですが、計算式や説が並んでいて、無味乾燥に感じますよね。でも実はここ、実務では「最もクライアントが熱くなる(お金の話だから)」場所であり、弁理士試験(特に論文)の超頻出・最重要ポイントなんです。面白くない数字の羅列に見えるものを、「ストーリー」と「試験のツボ」に変換して整理しましょう。今読んでいる「損害賠償(102条)」は「俺の特許を勝手に使いやがって、賠償金を払え!」という、**泥棒(侵害者)**との争いです。

1.なぜこの条文(102条)があるのか?(面白がるための視点)

民法の大原則では、損害賠償を請求するには「被害者が、損害額を正確に証明」しなければなりません。

しかし、特許の世界でこれをやると無理ゲーです。

「お前がパクったせいで、俺の売上がこれだけ落ちたことを証明しろ」

→ 侵害者「いやいや、あんたの商品が売れないのは、単に景気が悪いからでしょ? 俺のせいじゃないよ」

と言われると、反論が難しい。そこで特許法は、**「被害者(特許権者)がかわいそうだから、計算を楽にしてあげよう」**という救済規定を作りました。これが102条です。

**「どうやって侵害者の言い逃れを封じて、ガッツリお金を取るか」**という武器のリストだと思って読むと、少し面白くなりませんか?

2. 弁理士試験に出る「3つの計算ルート」

試験に出るのは、以下の3つの計算方法の使い分けと、それぞれの計算ロジックです。

① 「俺が売れたはずの分を払え」(1項:逸失利益)

  • ロジック: 「お前が1万個パクって売ったな? じゃあ、その1万個は本来俺が売るはずだったんだ。その利益をよこせ」

  • 試験のツボ:

    • 全部は認められません。「いや、あんたの工場じゃそんなに作れないでしょ?(実施能力)」とか「俺の営業努力で売れた分もあるよ(寄与率)」といった**「覆滅(ふくめつ)事由」**(減額の言い訳)が論点になります。

② 「お前の儲けは俺の損害」(2項:利益の推定)

  • ロジック: 「俺の損害額を証明するのは難しい…。でも、**お前がパクって儲けた額(利益)**はあるよな? それをそのまま俺の損害額とみなす!」

  • 試験のツボ:

    • 立証が一番楽ですが、「侵害者が儲かっていない(赤字)」だと使えません。

    • ここでも「推定の覆滅(侵害者の言い訳)」が認められるかが争点になります。

③ 「最低でもライセンス料は払え」(3項:ライセンス料相当額)

  • ロジック: 「仮に損害が証明できなくても、ライセンス契約していたら払うはずだった金額は最低限払え」

  • 試験のツボ:

    • これは「最低保証(底値)」です。

    • 最近の法改正で、単なる相場ではなく「もし交渉してたら決まったであろう額(高めの設定)」も考慮できるようになった点がアツいです。


3. 知っておくべき「重要判例」

「ずらずら書いてある」中で、試験的に絶対に避けて通れない判例(スーパースター)が2つあります。ここだけ押さえればOKです。

★ ごみ貯蔵機器事件(知財高裁大合議判決 H25.2.1)

  • 何がすごい?: 特許権者が実際に製品を売っていなくても、「競合関係」があれば損害賠償請求できるという画期的な判断を示しました(102条1項関係)。

  • 試験での重要度: Sランク。論文試験で「特許権者が実施していない場合」が出たら、この判例のロジックを書きます。

★ 二酸化炭素含有粘性流体組成物事件(知財高裁大合議判決 R1.6.7)

  • 何がすごい?: ちょっと長い名前ですが、**「102条1項(逸失利益)で計算したけど、能力オーバーで削られた分」を、「102条3項(ライセンス料)」としてプラスして請求できる(併用できる)**と認めました。

  • 試験での重要度: Sランク。最近のトレンドです。「数量の一部しか認められなかった時、残りは泣き寝入りか?」という論点に対する答えです。


今後の勉強のコツ

この章は、計算式そのものを暗記するのではなく、「特許権者(攻め)vs 侵害者(守り)」の綱引きとしてイメージしてください。

  • 特許権者: 「できるだけ高い計算式(1項)を使いたい!」

  • 侵害者: 「いやいや、お前の商品は高いから売れなかったはずだ(減額の主張)!」

このバトルのルールブックが102条です。

 

「500円の利益が出る魔法のペン」を例にして、生々しいお金の取り合いのドラマに変換しましょう。そして、後半の「どれを選ぶか?」という質問、これも実務と試験の超重要ポイントです。


1. 劇的シミュレーション:特許法102条1項の計算

この条文は、**「もしお前が邪魔しなければ、俺はこれだけ儲かったはずだ(逸失利益)」**というロジックです。

【設定】

  • あなた(特許権者): 「魔法のペン」を発明して販売中。

    • 1本売ると500円の利益(売値1000円-原価500円)が出ます。

    • これを**「単位数量当たりの利益」**と呼びます。

  • 悪者(侵害者): あなたの特許をパクって、ニセモノのペンを販売。

    • なんと1万本も売ってしまいました。

    • これを**「譲渡数量」**と呼びます。

【基本の計算(攻撃ターン)】

まずはシンプルに掛け算です。

500円(あなたの利益) × 1万本(敵が売った数) = 500万円

あなたは「500万円払え!」と請求します。これがスタートラインです。

ここで重要なのは、あなたの利益には「家賃」や「人件費」などの固定費は引かず、材料費などの変動費だけを引いた**「限界利益」**を使うのが判例のルールです(その方が額が大きくなるからです)。

【反撃ターン(ここが試験に出る!)】

しかし、敵も黙って500万円払いません。条文には**「ただし書き(但書)」があり、敵はこれを盾に減額を迫ってきます。これを「推定の覆滅(ふくめつ)」**と言います。

敵の言い分(減額リスト):

  1. 「いや、俺のペンは激安だから売れたんだよ」

    • 「あんたのペンは1000円だけど、俺のは300円だ。俺の客が全員あんたの高いペンを買うわけないだろ?」

    • 『事情による減額』(例えば30%は関係ない客だとして、マイナス150万円)

  2. 「あんたの工場、そんなに作れないでしょ?」

    • 「あんたの町工場、フル稼働してもあと1000本しか作れないじゃん。1万本なんて最初から無理だろ?」

    • 『実施相応数量の限度』(作れない分は請求できない)

【最終決着】

この綱引きの結果、例えば「300万円」とかに落ち着きます。

この**「掛け算して(推定)、言い訳を聞いて引く(覆滅)」**というプロセスが、102条1項の正体です。

特許法102条1項の計算イメージは、この図のような「積み上げ」と「削り取り」の戦いです。


2. 「3つの方式、どれを選ぶ?」問題

結論から言うと、**「計算してみて、一番高くなるやつを選んで請求する」**のが基本戦略です(選択的請求)。

ただし、**「好きなものを選べるが、それぞれ使うための『参加資格』が違う」**という点がミソです。ここが試験の急所です。

どのカードを切るか?(思考フロー)

① まず最強のカード「1項(今回のペンの計算)」を検討する

  • メリット: 金額が一番高くなりやすい(自分の利益ベースだから)。

  • 参加資格: **「あなた自身が製品を売っていること」**が必要です。

    • あなたが研究だけの会社で、ペンを売っていなければ、「俺が売れたはずだ」というロジックが成立しないので使えません。

  • リスク: さっきのように「お前のペン高いから売れないよ」といった反撃(減額)を食らいやすいです。

② 次に使いやすいカード「2項(敵の利益)」を検討する

  • メリット: 計算が楽。「敵が1000万儲けた」という証拠があれば、それをそのまま請求できる。

  • 参加資格: こちらも基本的に「競合」が必要です。

  • リスク: **「敵が儲かっていない(赤字や薄利多売)」**だと、請求額がめちゃくちゃ低くなります。敵が商売下手だと、あなたも損をするという悲しい条文です。

③ 最後の砦「3項(ライセンス料)」

  • メリット: 「参加資格」がほぼありません。 あなたが製品を売ってなくても、敵が赤字でも、特許さえあれば「最低限、ライセンス料はよこせ」と言えます。

  • デメリット: 金額は一番安くなりがちです(通常、売上の3%~10%程度)。


3. 実務&試験の「最強コンボ」

ここで、さっき話した重要判例**「二酸化炭素事件」**が火を噴きます。

もしあなたが「1項(ペンの計算)」で攻めて、敵に「あんたの工場じゃ1万本も作れないでしょ! 5000本が限界だ!」と言い負かされたとします。

昔は、残りの5000本分は泣き寝入りでした。

しかし今は、こう言えます。

「わかった。作れる5000本分は、高い金額(1項)で請求する。」

「でも、作れない残りの5000本分については、せめてライセンス料(3項)を払え!」

つまり、**「1項と3項のいいとこ取り(併用)」**ができるようになったのです。

これが今の実務のトレンドであり、試験でも「特許権者の生産能力が足りない場合、どうするか?」と聞かれたら、このコンボを書くと高得点です!

 

「ごみ貯蔵機器事件(H25.2.1 知財高裁大合議)」もめちゃくちゃ面白い、というか**「特許権者(パクられた側)にとっての救世主」**のような判例です。さっきの「ペンの話」でいうと、**2番目のカード「102条2項(敵の利益をぶんどる)」**に関するお話です。何がそんなに重要なのか、ストーリーで解説しますね。


1. 昔の「102条2項」は“死に体”だった

この判決が出る前まで、この条文(敵の利益=損害額とみなす)は、実は**「使い物にならない」**と言われていました。

なぜか?

特許権者が「お前、1億円儲けたな! その1億円払え!」と訴えても、裁判所で侵害者(パクった側)がこう言い訳すると、すぐ認められていたからです。

侵害者: 「いやいや裁判長。私の商品が売れたのは、特許技術のおかげだけじゃありません。

  • 私の会社のブランド力があったから売れたんです。

  • 私がつけたキャッチコピーが優秀だったからです。

  • 特許に関係ないデザインが良かったからです。だから、特許の貢献度はせいぜい10%。1000万円しか払いません!」

昔の裁判所はこれを認めがちで、「全額請求」なんて夢のまた夢でした。

2. 「ごみ貯蔵機器事件」が変えたこと(革命)

ここで登場したのが、この「ごみ貯蔵機器事件」の判決です。

裁判所(大合議)は、今までの流れをひっくり返して、こう宣言しました。

① 「原則、全額だ!」

「侵害者が稼いだ利益は、原則として全額、特許権者の損害と推定する。ブランド力だのデザインだのと言い訳(推定の覆滅)をしたければ、侵害者がガチガチに証拠を出して証明しろ。証明できないなら全額払え!」

→ 立証のハードルを、特許権者から侵害者へぶん投げました。

② 「利益の計算は“限界利益”でいい!」(ここ超重要)

「利益」の計算において、家賃や社員の基本給などの「固定費」は引かなくていい(売上から変動経費だけ引いた限界利益でいい)としました。

→ これにより、計算される金額がドカンと跳ね上がりました。


3. 試験で問われるポイント(論文で書くべきこと)

この判例が出たら、キーワードは以下の2つです。

ポイントA: 覆滅事由(ふくめつじゆう)のハードル化

論文で「侵害者が『私の営業努力で売れた』と主張している」という設定が出たら、こう書きます。

  • 「ごみ貯蔵機器事件判決によれば、102条2項の推定は強力である。」

  • 「単に営業努力があったというだけでなく、それが具体的にどれだけ売り上げに貢献したかを侵害者が立証しない限り、減額は認められない。」

ポイントB: 利益=限界利益

計算問題や論述で「利益とは何か」が問われたら、「控除すべき経費は、変動経費(材料費など)に限られ、固定経費(管理職の人件費など)は控除されない」と書きます。これが特許権者に有利な計算方法です。


まとめると

  • 二酸化炭素事件: 「1項(逸失利益)」と「3項(ライセンス)」は**合体(併用)**できる!という革命。

  • ごみ貯蔵機器事件: 「2項(敵の利益)」は**言い訳させない&計算甘めでOK!**という革命。

この「ごみ貯蔵機器」のおかげで、今は102条2項も「使える武器」になっています。どうでしょう?「面白くない計算式の羅列」に見えていたものが、**「裁判所が特許権者に渡した強力な武器(判例)」**に見えてきませんか?

(Gemini)

特許法第102条第1項~第5項

条文通りに第1項から第5項まで、「魔法のペン(利益500円)」の例を使って、逐条解説(ちくじょうかいせつ)といきましょう。この102条全体は、「特許権者が、損害賠償という名の『お金』を最大限回収するための武器セット」です。


第1項:逸失利益(いっしつりえき)

(損害の額の推定等)
第百二条 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
一 特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
二 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(特許権者又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

「俺が売るはずだった分を払え!」

条文の要約:

侵害者が物を譲渡した数量(譲渡数量)に、特許権者の「単位数量当たりの利益」を乗じた額を損害額とすることができる。ただし、特許権者が販売できない事情(能力不足など)があるときは、その分を引く。

  • ペンの例:

    • あなた: 1本売ると500円の利益が出る。

    • 悪者: 1万本売った。

    • 計算: 500円 × 1万本 = 500万円請求!

  • ここがポイント:

    • これは**「特許権者が自分で製品を売っている場合」**専用の最強カードです。

    • ただし、「うちは小さな工場だから、どう頑張っても3000本しか作れなかったよ…」という場合は、作れない7000本分はあきらめる(控除する)必要があります。

    • ★R1年改正ポイント: あきらめた7000本分は、後述の「第3項(ライセンス料)」で請求できるようになりました(二酸化炭素事件のルール化)。


第2項:利益の推定

2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

「お前の儲けは、そのまま俺の損害だ!」

条文の要約:

侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額を特許権者の損害額と推定する。

  • ペンの例:

    • 悪者: 安物を作って売った結果、通帳に300万円の利益が残っている。

    • あなた: 「その300万円、そのまま俺の口座に振り込め」と言える。

  • ここがポイント:

    • 立証が楽です(悪者の帳簿を見ればいいから)。

    • **「ごみ貯蔵機器事件」**のおかげで、ここで言う「利益」は固定費を引かない「限界利益」で計算してOKになりました。つまり金額が高くなりやすい。

    • ただし、悪者が商売下手で**「実は赤字なんです」**という場合、請求額はゼロになってしまうリスクがあります。


第3項:ライセンス料相当額

3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

「最低でもショバ代(使用料)は払え!」

条文の要約:

その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額(ライセンス料)に相当する額を、損害額として請求できる。

  • ペンの例:

    • 業界の相場: ペンの特許ライセンス料は売上の**5%**とする。

    • 悪者: 1000万円売り上げた(利益ではなく売上全体)。

    • 計算: 1000万円 × 5% = 50万円請求。

  • ここがポイント:

    • これは**「最低保証(底値)」**です。

    • あなたが製品を作っていなくても(1項が使えない)、悪者が赤字でも(2項が使えない)、これなら確実に取れます。

    • 1項や2項の計算が難しいときの「逃げ道」としても使われます。


第4項:ライセンス料の増額考慮(★R1年新設)

4 裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

「事後承諾なんだから、普通の相場より高くて当然だろ?」

条文の要約:

前項(第3項)のライセンス料を決める際、裁判所は「特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額」を考慮できる。

  • ペンの例:

    • あなた: 「普通に契約してくれたら5%で良かったけど、勝手にパクったんだから5%じゃ納得いかないよ」

    • 裁判所: 「確かに。泥棒した後でお金を払うなら、相場より高くて当然だね。**10%**で計算しよう」

    • 計算: 1000万円 × 10% = 100万円にアップ!

  • ここがポイント:

    • これが出来る前は「パクり得(バレたら相場のライセンス料を払えばいいや)」という風潮がありました。それを防ぐための「懲罰的(制裁的)な意味合い」を含んだ規定です。

    • 第3項を使うときは、必ずこの第4項をセットで主張します。


第5項:過失がない場合の減額

5 第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

「わざとじゃなかったなら、まけてあげる(かも)」

条文の要約:

侵害者に「故意」も「重大な過失」もないときは、裁判所は損害賠償の額を定めるときに、その事情を参酌(さんしゃく)することができる。

  • ペンの例:

    • 悪者: 「本当に知らなかったんです! 調査もしたけど見つからなかったんです!」(と、ものすごく善意でドジっ子だった場合)

    • 裁判所: 「まあ、それなら全額払わせるのは可哀想だから、少し減額してあげようか」

  • ここがポイント:

    • 実務では「死に体(ゾンビ)」条文です。

    • なぜなら、特許法には**103条(過失の推定)**があり、「特許公報は公開されてるんだから、見てないお前が悪いでしょ?」と、ほぼ自動的に過失ありと認定されるからです。

    • 試験でも「一応こういう規定はある」程度でOKです。


全体像の図解

どの武器を使うか、フローチャートで見るとすっきりします。

まとめの試験対策

  1. 1項: 自社実施しているなら最強。生産能力オーバー分は3項と合体(二酸化炭素事件)。

  2. 2項: 立証が楽。限界利益で計算(ごみ貯蔵機器事件)。

  3. 3項: 最低保証。

  4. 4項: 3項を使うなら「相場より高く!」と言える根拠。

  5. 5項: ほぼ使われない(103条が強すぎるから)。

これで102条は完璧です!

 

ついでに、「損害賠償の減額規定(102条5項)が103条によって無力化されている件。


102条5項が「死に体」である理由

1. 102条5項の役割(本来の姿)

この条文は、侵害してしまった人(被告)への**「慈悲(情け)」**の規定です。

特許法102条5項(要約)

「わざと(故意)でもなく、ひどい不注意(重大な過失)もなかったなら、裁判所は賠償額をまけてあげることができるよ(参酌できる)。」

つまり、**「うっかりやっちゃっただけの可哀想な人なら、賠償金を安くしてあげよう」**という条文です。

2. 103条(過失の推定)の役割

一方で、103条はこう定めています。

特許法103条(要約)

「他人の特許権を侵害した者は、過失があったものと推定する。」

これは、「特許公報は誰でも見られるんだから、侵害した時点でお前は不注意(過失あり)だぞ!」と決めつける、特許権者にとっての強力な武器です。

3. どうして「無力化」されるのか?

ここで、102条5項を使いたい被告(侵害者)の立場になってみてください。

  1. 被告: 「賠償金をまけてください(102条5項適用)! 私はわざとやったんじゃないし、不注意もなかったんです!」

  2. 103条の壁: 「いやいや、103条で『お前には過失がある』って推定されてるから。『過失がなかったこと』を証明できない限り、お前は不注意だった扱いだから。

  3. 結果: 被告が「過失ゼロ(無過失)」を証明するのは至難の業です(特許公報がある以上、「知らなかった」は通用しないため)。

その結果、「過失がないならまけてあげる」という102条5項の条件を満たせる人が実務上ほとんどいなくなってしまい、この条文は使われることがない**「死に体(ゾンビ条文)」**と化しているのです。


まとめ

102条5項(減額規定)はあるけど、103条(過失推定)が強すぎて、実際には誰も減額してもらえない(=無力化)

 

特70条(特許発明の技術的範囲)特許請求の範囲との違い?

質問:「私の特許権の技術的範囲(第70条)に、あなたの製品が含まれています(充足しています)。」 って、これはつまりは「請求の範囲(クレーム)」に入るかどうかってこと?とすると技術的範囲=クレーム ってこと?

Gemini:知財の実務家でも、日常会話では「クレーム=技術的範囲」として使っています。ただ、法律(特許法70条)の言葉遣いとして、なぜわざわざ「技術的範囲」という別の言葉を使っているのか? ここには言葉(テキスト)と、その意味(実体)」の微妙な違いがあるからです。数式にすると、こんなイメージです。

$$\text{技術的範囲} \approx \text{クレーム(文章)} + \text{解釈(意味づけ)}$$

詳しく解説しますね。


1. 第70条の「心(こころ)」

特許法第70条第1項にはこう書いてあります。

第70条(特許発明の技術的範囲)

特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。

ここで重要なのは**「基づいて(Based on)」**という言葉です。

「クレームの記載 そのもの(Equal to)」とは書いていませんよね。

これはどういうことかというと…

  • 特許請求の範囲(クレーム): 紙に書かれた「文字情報(テキスト)」です。

  • 技術的範囲: その文字が現実世界でカバーする「縄張りの境界線」です。

基本的には「書いてある通り(文言通り)」なのですが、言葉というのは不完全なので、「解釈」というクッションを挟んで、最終的な縄張りを確定させるのです。

2. なぜ「=(イコール)」と言い切れないのか?

クレーム」と「技術的範囲」がズレる(イコールにならない)ケースが2つあるからです。

① 言葉の意味を補完する場合(第70条第2項)

クレームに「固定具」と書いてあったとします。

  • これだけだと、ネジなのか、接着剤なのか、クリップなのか分かりません。

  • そこで、明細書や図面(説明書)を見て、「あ、この発明でいう『固定具』は、文脈的に『特殊なボルト』のことだな」と意味を確定させます。

    • 結果: クレームの文字は「固定具」だけど、技術的範囲は「特殊なボルト」に限定される(狭くなる)ことがあります。

均等論(きんとうろん)の場合(拡大解釈)

これが一番の「ズレ」です。クレームに「ボールベアリング」と書いてあったとします。

  • 相手の製品は、そこを「コロ軸受(ローラーベアリング)」に変えていました。

  • 文字通りに見れば(文言侵害 もんごんしんがい)、言葉が違うのでセーフ(侵害ではない)です。

  • しかし、裁判所が「機能も効果も全く同じで、置き換えが容易だよね」と判断すれば、「技術的範囲に含まれる」と判定されます。

    • 結果: クレームの文字には書いていないけれど、技術的範囲には入る(広くなる)。


3. アムジェン事件での適用

今回のアムジェン対サノフィの件で言うと、アムジェン側は当然こう主張しました。

  • クレーム: 「PCSK9に結合して、LDLRとの結合を阻害する抗体」

  • サノフィ製品: まさにその通りの機能を持っている。

  • 結論: 「クレームの文言通り(文言侵害 もんごんしんがい)」なので、技術的範囲 = クレームの記載 という、一番シンプルなパターンで「侵害」が認定されました。(※その後、無効になりましたが)

まとめ

ユーザーさんの理解である「技術的範囲 = クレーム」は、90%正解です!基本はそこです。

残りの10%の厳密な定義はこうです。

  • クレーム(請求の範囲): 権利書の「テキスト」。

  • 技術的範囲: そのテキストを、法律のルール(明細書の参酌均等論など)に従って解釈した結果決まる「実際の縄張り」。

「地図に引かれた線(クレーム)」と「実際の土地の境界(技術的範囲)」の関係だと思うと分かりやすいですよ!

 

特184条7号(PCT19条補正)、特184条8号(PCT34条補正)

特許法

(日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正
第百八十四条の七 日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。

条約第三十四条に基づく補正
第百八十四条の八 国際特許出願の出願人は、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121

質問:国際予備審査ってどういうときにやるもの(特許の話ね。)請求が必要だと思うけど、どういうときに請求するの、なんの意図で?国際公開されて、そのまま各国移行すれば済むんじゃないの?

Gemini:

その疑問、ごもっともです!

おっしゃる通り、**「国際公開後にそのまま各国移行する」のが現在は主流(デフォルト)**です。多くの出願人は、予備審査を請求せずに国内移行手続期限(優先日から30ヶ月)を迎えます。

では、あえてコストと手間をかけて**「国際予備審査(予備審)」を請求するのはなぜか?

それは、「国際段階で『悪い結果』をひっくり返しておきたいとき」**がほとんどです。

勉強ノートとして、要点を整理しました。


国際予備審査を請求する「意図」と「タイミング」

1. どういうときに請求するの?(タイミング)

原則として、以下の期限までに請求します。

  • 優先日から22ヶ月、または

  • 国際調査見解書を受け取ってから3ヶ月(いずれか遅い方)

現状: 国際調査報告(ISR)と見解書を受け取った後、「結果を見てから決める」のが一般的です。

2. なんの意図で?(3つの主な理由)

予備審査(Chapter II)を請求する意図は、主に以下の戦略的理由によります。

① 「見解書(Written Opinion)」がネガティブだったため、反論・補正したい

これが最大の理由です。

国際調査の段階で**「進歩性なし(Y)」や「新規性なし(X)」**という判定が出たとします。そのまま各国へ移行すると、移行した全ての国(アメリカ、中国、欧州など)で、同じ拒絶理由を個別に受けてしまい、現地代理人費用や翻訳費用がかさみます。

  • 予備審のメリット: 国際段階で**「第34条補正(明細書や図面も直せる)」「答弁書」**を提出し、審査官とやり取りができます。

  • 狙い: ここで肯定的な見解(特許性あり)勝ち取っておけば、各国の審査が非常に有利になります。

② 「特許審査ハイウェイ(PCT-PPH)」を使いたい

もし予備審査で「特許性あり」という肯定的な報告書(IPRP 第II章)をもらえれば、各国の特許庁で**早期審査(PPH)**を申請できます。

  • 狙い: 早期権利化を目指す重要案件の場合、予備審で「お墨付き」をもらってから各国へ殴り込みをかけるイメージです。

③ (レアケース)ごく一部の国での移行期限延長

昔(2002年以前)は、予備審を請求しないと国内移行期限が20ヶ月、請求すると30ヶ月に延長されるというルールが主流でした。

現在は、日・米・欧・中を含む主要国は請求しなくても一律30ヶ月なので、このメリットはほぼ消滅しました。

  • 例外: ルクセンブルク、タンザニアなど、ごく一部の国ではまだ「予備審請求しないと期限が短い」場合がありますが、実務上はあまり出会いません。


【比較表】19条補正だけじゃダメなの?

よくある疑問として「国際調査報告のあとにできる『19条補正』で直せばいいのでは?」というものがあります。予備審(34条補正)との違いはここが重要です。

特徴 第19条補正(国際調査段階) 第34条補正(予備審査段階)
補正できる範囲 請求の範囲(クレーム)のみ クレーム、明細書、図面のすべて
審査官との対話 一方的に出すだけ(答弁書なし) 答弁書を出して審査官に再考を促せる
タイミング 国際調査報告を受け取ってから 予備審査請求と同時、またはその後
使い道 とりあえずクレームを絞っておく 本格的に特許性を主張して反論する

ここがポイント!

19条補正は「明細書の誤記」や「実施例の追加説明」などはできません。抜本的に発明の内容を説明し直して審査官を説得するには、予備審(34条補正)が必要になります。


まとめ

  • 基本: そのまま各国移行でOK(コストも安い)。

  • 予備審をやる場合: 国際調査の結果がボロボロ(拒絶)で、「このまま各国に行くと全滅する! 国際段階で明細書ごと修正して、良い評価に変えてから各国へ行きたい!」という敗者復活戦の意図が強いです。


質問:19条補正とか34条補正って、PCT条約の「条」の番号だよね?これらの条文も覚える必要ある?

Gemini:絶対に覚える必要があります!特許の勉強(特に弁理士試験や実務)において、PCTの条文番号の中で「19条」と「34条」は最重要ランクです。「特許法29条(新規性・進歩性)」と同じくらい、番号だけで会話が成立するレベルの共通言語だからです。一字一句の暗記までは不要ですが、条文番号」と「手続きの内容・要件」をセットで条件反射的に出てくるようにしておく必要があります。

覚えるべきポイントを整理しました。


なぜこの2つは「条文番号」で覚える必要があるの?

1. 構造上の大きな区切りだから

PCT条約は大きく2つのパート(章)に分かれています。この構造を理解するためのアンカー(目印)になるのが19条と34条です。

  • 第1章(Chapter I):国際調査

    • 全出願人が必ず通るルート。

    • この章の最後にある補正のチャンスが「19条」。

  • 第2章(Chapter II):国際予備審査

    • オプション(選択制)のルート。

    • この章の中で行う補正が「34条」。

試験では「第1章の段階でできることは?」「第2章を請求した場合の特例は?」といった問われ方をするので、この区分けが必須です。

2. 条文特有のキーワードがあるから

それぞれの条文には、試験でひっかけ問題になりやすい「キーワード」が含まれています。

■ PCT第19条(国際調査段階の補正)

覚えるべき骨子:

  • 時期: 国際調査報告(ISR)を受け取った後

  • 提出先: 国際事務局(IB) ※調査機関ではない!

  • 囲: 請求の範囲(クレーム)について補正できる明細書・図面はNG

  • おまけ: 補正と同時に簡単な「説明書(Statement)」を提出できる(第19条(1))

  • ひっかけポイント: 「説明書」を出せるのは19条だけ。34条にはない制度です。

■ PCT第34条(国際予備審査段階の補正)

覚えるべき骨子:

  • 時期: 予備審査を請求したとき、または予備審査報告が作成される前まで

  • 提出先: 国際予備審査機関(IPEA)

  • 範囲: 請求の範囲、明細書、図面のすべてについて補正できる

  • 権利: 口頭で意見を述べたり、審査官と面接したりする権利はない(原則書面のみ)が、補正をする権利はある。

覚え方のコツ(対比イメージ)

これだけ覚えておけば、大体の問題には対応できます。

項目 19条補正 34条補正
ステージ 第1章(国際調査)のシメ 第2章(予備審査)のメイン
いじれる場所 クレームだけ 全部(クレーム・明細書・図面)
提出先

国際事務局 (IB)

 

(ジュネーブに送るイメージ)

予備審査機関 (IPEA)

 

(審査官に直接送るイメージ)

セット 「説明書」を付けられる 「答弁書」と一緒に議論する

一歩進んだアドバイス

もし試験対策(特に短答式)であれば、条文番号に加えて**「国内法とのリンク」**も意識すると完璧です。

  • PCT19条補正 → 日本国内移行時には特許法第184条の7(日本語翻訳文の提出)

  • PCT34条補正 → 日本国内移行時には特許法第184条の8(日本語翻訳文の提出)

「19条補正をしたけれど翻訳文を出さなかったらどうなる?」といった問題は頻出です。まずは「19条=クレームのみ・IBへ」「34条=全部・IPEAへ」という基本を叩き込んでおきましょう。

質問:国際予備審査に一番関連する特許法は第何条?それとも無関係?

Gemini:無関係ではありません!国際予備審査(およびその中で行う34条補正)に一番関連する日本の特許法の条文は、ズバリこれです。

特許法 第184条の8(条約第34条の規定による補正の特例)

この条文がなぜ「一番関連する」のか、その意味を整理しておきましょう。


1. なぜ「第184条の8」なのか?

国際予備審査そのもの(審査官がどう審査するか)はPCT条約のルールで行われますが、**「その結果(34条補正)を日本国内にどう反映させるか」**を決めているのが、この特許法184条の8だからです。

この条文は、以下のルールを定めています。

  1. 翻訳文の提出義務:国際予備審査の段階で「34条補正(明細書やクレームの書き換え)」をした場合、その**「日本語翻訳文」**を日本の特許庁に提出しなさい。
  2. 期限:国内書面提出期間(原則30ヶ月)までに提出しなさい。
  3. ペナルティ(重要!):もし翻訳文を出さなかったら、「その34条補正は、なかったものとみなす」。

つまり、せっかく高いお金を払って予備審査を受け、補正をして良い結果(肯定的な見解)を勝ち取ったとしても、**この「184条の8」の手続きをミスると、日本ではすべて水の泡(補正前の状態に戻る)**になってしまうのです。


2. 「無関係?」という疑問の正体

「無関係?」と思われたのは、おそらく以下の感覚からではないでしょうか。

  • 「予備審査」をしているのは、日本の特許庁の審査官かもしれないけれど、あくまで「国際段階」の話だよね?

  • 日本の特許法(国内法)は、日本に入ってきてからの話だよね?

その感覚は半分正解です。

日本の特許法には「予備審査をどう進めるか(審査基準など)」は書いてありません。それはPCTガイドラインの話です。

しかし、**「予備審査の『成果物』を日本でどう受け入れるか」**という入り口の部分(税関のような役割)については、日本の特許法(184条シリーズ)がガッツリ関わっています。


3. もうひとつ関連する条文(上級編)

もし余裕があれば、特許法 第184条の10(翻訳文の特例等) も「予備審査に関連する条文」としてメモしておいてください。

これは、**「34条補正の内容が、日本での審査対象になりますよ」**と定めた条文です。

具体的には、34条補正の翻訳文が提出された場合、その翻訳文の内容をもって「特許請求の範囲」や「明細書」とみなして審査を進める、というルールです。


まとめ

  • 国際予備審査(34条補正)の受け皿となる条文→ 特許法 第184条の8
  • 覚えるべきポイント→ 「34条補正の翻訳文を出さないと、補正はなかったことになる(無効ではなく、みなし不提出)」

この「184条の8」は、弁理士試験の短答試験でも、実務での期限管理でも、非常によく出てくる番号です。「34条補正といったらイッパチヨンのハチ(184-8)」とセットで覚えておくと強いですよ!

質問:19条補正や34条補正って、日本語で出すの?

Gemini:「最初に出願した言語(国際出願の言語)」**に合わせて出します。つまり、

  • 日本語で国際出願したなら → 補正書も日本語

  • 英語で国際出願したなら  → 補正書も英語

で出します。

「日本の特許庁(JPO)を通して手続するんだから、全部日本語でいいでしょ?」と思いがちなのですが、ここは**「国際段階」の手続きなので、あくまで「出願そのものの言語」**に合わせるのがルールです。

以下に、試験や実務で間違えやすいポイントを整理しました。


1. 補正書の言語の基本ルール

PCT出願(国際出願)がどの言語で書かれているかによって決まります。

ケース 出願の言語 19条・34条補正の言語 提出先
日本語特許出願ベース 日本語 日本語

19条:国際事務局 (IB)

 

34条:予備審査機関 (IPEA)

英語出願ベース 英語 英語 同上

イメージ:

英語で書かれた明細書の中に、急に日本語の補正を差し込んでも、審査官(外国人かもしれないし、英語案件担当の日本人)は読めませんし、文章がつながりませんよね。だから言語を統一します。


2. 【超重要】ここからが「試験に出る」話

「国際段階で補正書を出した」だけで安心していませんか?実は、そのあと**「日本国内に移行するとき(国内移行段階)」**に大きな落とし穴があります。ここで、さきほどの**特許法184条の7(19条補正の翻訳文)184条の8(34条補正の翻訳文)**の話が出てきます。

ケースA:日本語で国際出願していた場合

  • 国際段階: 補正書は日本語で出した。

  • 日本移行時: もともと日本語なので、翻訳文は不要

    • そのまま日本の審査官が読みます。楽ちんです。

ケースB:英語で国際出願していた場合

  • 国際段階: 補正書は英語で出した。

  • 日本移行時: 日本の審査官は日本語で審査します。

    • したがって、**「補正書の日本語翻訳文」**を日本の特許庁へ提出しなければなりません。

    • 期限: 国内書面提出期間(優先日から30ヶ月)まで。

試験でのひっかけポイント!

  • Q. 英語でした国際出願について、19条補正(英語)をした。日本国内移行時に、この補正内容で審査してもらいたい場合、どうすればよいか?

  • A. 補正書の**「日本語翻訳文」**を提出する。(これを出さないと、補正はなかったものとして扱われます!)


まとめ

  1. 出すとき(国際段階): 出願した言語に合わせる。(日本語出願なら日本語、英語出願なら英語)

  2. 各国に入るとき(国内段階): 行く国の言葉に翻訳する。(日本に入るなら日本語、アメリカに行くなら英語)

この**「国際段階」「国内移行段階」**を頭の中でパキッと分けておくのが、PCTを理解する最大のコツです!

 

暗記すべき法律の条文

特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権の法律の目的・趣旨

特1条(目的)この法律は、発明保護及び利用を図ることにより発明奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

実1条(目的) この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案保護及び利用を図ることにより、その考案奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

意1条 (目的) この法律は、意匠保護及び利用を図ることにより意匠の創作奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

商1条(目的) この法律は、商標保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図りもつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

著1条(目的)この法律は、著作物並びに実演レコード放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。


発明、考案、意匠、商標、著作物の定義

特2条1項(定義)この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

実2条 (定義)この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。

意2条 (定義等)この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

商2条 (定義等)この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

著2条 (定義)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情創作的表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

(以下、号は略)


特許法

特2条3項 「実施」とは、一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

著2条1号(定義)著作物 思想又は感情創作的表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著2条 定義 志賀直哉もガーナチョコレートを食べたい

 

(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演レコード放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 想又は感情創作的表現したものあつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。
五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。
七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
九 放送事業者 放送を業として行う者をいう。
九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。
九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
九の六 特定入力型自動公衆送信 放送を受信して同時に、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。)をいう。
九の七 放送同時配信等 放送番組又は有線放送番組の自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。以下この号において同じ。)のうち、次のイからハまでに掲げる要件を備えるもの(著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)の利益を不当に害するおそれがあるもの又は広く国民が容易に視聴することが困難なものとして文化庁長官が総務大臣と協議して定めるもの及び特定入力型自動公衆送信を除く。)をいう。
イ 放送番組の放送又は有線放送番組の有線放送が行われた日から一週間以内(当該放送番組又は有線放送番組が同一の名称の下に一定の間隔で連続して放送され、又は有線放送されるものであつてその間隔が一週間を超えるものである場合には、一月以内でその間隔に応じて文化庁長官が定める期間内)に行われるもの(当該放送又は有線放送が行われるより前に行われるものを除く。)であること。
ロ 放送番組又は有線放送番組の内容を変更しないで行われるもの(著作権者等から当該自動公衆送信に係る許諾が得られていない部分を表示しないことその他のやむを得ない事情により変更されたものを除く。)であること。
ハ 当該自動公衆送信を受信して行う放送番組又は有線放送番組のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定めるものが講じられているものであること。
九の八 放送同時配信等事業者 人的関係又は資本関係において文化庁長官が定める密接な関係(以下単に「密接な関係」という。)を有する放送事業者又は有線放送事業者から放送番組又は有線放送番組の供給を受けて放送同時配信等を業として行う事業者をいう。
十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。
十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。
十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。
十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。
十六 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。
十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。
十八 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。
十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。
二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号及び第二十二号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号、第三十条第一項第二号、第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第四号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(以下「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
二十一 技術的利用制限手段 電磁的方法により、著作物等の視聴(プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において実行する行為を含む。以下この号及び第百十三条第六項において同じ。)を制限する手段(著作権者等の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物等の視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
二十二 権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。
イ 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報
ロ 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報
ハ 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報
二十三 著作権等管理事業者 著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。
二十四 国内 この法律の施行地をいう。
二十五 国外 この法律の施行地外の地域をいう。
2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。
3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。
4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
6 この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。
7 この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。
8 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。
9 この法律において、第一項第七号の二、第八号、第九号の二、第九号の四、第九号の五、第九号の七若しくは第十三号から第十九号まで又は前二項に掲げる用語については、それぞれこれらを動詞の語幹として用いる場合を含むものとする。

https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048

参考

  1. 著作物 定義 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/93726501_05.pdf
  2. 将棋ナレーション事件と著作権(1)知財高裁令和5年3月16日判決 弁護士クラフトマン https://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/topic20250121/
  3. 「はじめての著作権法」 著者:池村 聡 出版社:日本経済新聞出版社 出版日:2018年1月 基本書ですが、侮るなかれ。 https://www.ip-ginoushikai.org/view_popup.php?pageId=1495 知財を勉強された方であれば、著作物の4要件「思想又は感情を」「創作的に」「表現したものであって」「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」は、空で言えて当たり前。