魚の骨の絵を描くと、
(いらすとや)
のように描く人が多いと思いますが、この上下に伸びる骨は一体、どんな種類の骨なのでしょうか。人間の骨を考えると、

魚の骨=人間の肋骨?と思いますが、肋骨が上側(背側)にも伸びているというのも変です。
今回は、魚の骨の解剖学を勉強してみます。
肋骨
人間の肋骨は内臓を包むような形をしていて内臓を保護していますが、魚も同様です。魚の体の中心をとおる背骨から肋骨が左右にで出て湾曲して、内臓を包み込むような形状をしています。魚の骨の横から見た絵だとわかりませんが、実は肋骨は左右にあって一対なわけです。人間と同様です。
AI による概要:「肋骨」と「腹骨」は同じものを指す言葉です。魚の「肋骨」は、内臓を保護するお腹側の骨で、一般的に「腹骨」や「あばら骨」と呼ばれます。これらの骨周りの肉は「あばら肉」といい、煮付けや汁物などに使われます。
- https://www.shibatashoten.co.jp/dayori/2011/06/15_1118.html 魚の肋骨(腹骨)の断面図があります。
では、魚の背骨から上側(背側)に長く伸びた「肋骨みたいな」骨はいったい何でしょうか?
棘突起
AIによる概要:魚の椎骨(せきついこつ)から背側(はいそく)に伸びる骨は、一般的に神経棘(しんけいきょく)、または棘突起(きょくとっき)と呼ばれます。 料理の文脈では、この神経棘を含めた細く長い骨全体を「中骨」と呼ぶこともあります。 これらの骨は、魚の体を支え、筋肉や靭帯が付着する役割を果たしています。
肋骨ではなくて、椎骨の一部である、棘突起だったのですね。魚の場合は、それが肋骨と同じくらいに長く伸びているというわけです。
- https://www.sekitsui.com/function/anatomy/
棘突起は人間にもあります。ただし魚のように長くはありません。手で背中の中心を触ったときに背骨を感じることができますが、ごつごつと突起を感じ取るができます。これが棘突起の部分です。
血管棘
魚の前方部分の内臓があるところに伸びている骨が肋骨なのはいいとして、じゃあ肋骨が尾の方まで存在しているのでしょうか?そうではありません。
AI による概要:魚の内臓がある部分よりも尾側(後ろ側)にある骨は肋骨ではありません。その部分は尾椎(びつい)と呼ばれる背骨(脊椎)の一部で、そこから腹側(下側)に伸びる骨は血管棘(けっかんきょく)と呼ばれます。
AI による概要:魚類の**血管棘(けっかんきょく)は左右一対ではなく、単一(正中線上)**にあります。血管棘は、魚の脊椎骨の腹側(下側)に突出している骨で、神経棘(背中側への突起)と同様に正中線上の構造物です。これらの棘の間を血管が通るための空間(血道弓門)を形成しています。
- https://kotobank.jp/word/%E9%AD%9A%E9%A1%9E-53530#goog_rewarded 魚類の骨格の図
- 臀鰭の領域(前方)において椎骨の血管棘を観察すると、その基部は分岐し、血管を入れるための椎孔が大きく開口していたが、血管棘の先端では 1 本に癒合し、体幹の正中面を下行し
ていた。同じ正中面に担鰭骨が配列していたが、血管棘とは異なる周期を示していた(図 7a,b)。
魚の腹側で尾側の長い骨は血管棘と呼ばれるのだそうです。基部では左右一対ですがそれが癒合して一本になっているのですね。
これでようやくイラストで描かれる魚の骨の、解剖学的な分類ができました。まとめると、人間と違って魚の場合には体の真ん中に背骨(脊椎)が位置していて、背側に伸びる長い骨は、人間の椎骨にも存在する棘突起、腹側に伸びる長い骨は、内臓部分は人間と同様に肋骨、それより尾側の骨魚特有の骨で血管棘だったというわけです。