脳波の読み方に関する教科書

脳波の読み方

臨床脳波を基礎から学ぶ人のために

モノグラフ 臨床脳波を基礎から学ぶ人のために / 日本臨床神経生理学会編. — 第2版. — 診断と治療社, 2019

脳波判読step by step

入門編 脳波判読step by step / 大熊輝雄, 松岡洋夫, 上埜高志著 ; 入門編, 症例編. — 第4版. — 医学書院, 2006

脳波判読

よくわかる 脳波判読 / 音成龍司, 辻貞俊著. — 第3版. — 金原出版, 2014

デジタル臨床脳波学

デジタル臨床脳波学 / 末永和榮, 松浦雅人著. — 医歯薬出版, 2011

デジタル脳波判読術

脳波の行間を読む デジタル脳波判読術 / 飛松省三, 重藤寛史著. — 南山堂, 2019

誘発電位ナビ

ここに気をつける! 誘発電位ナビ : はじめの一歩から臨床と研究のヒントまで / 飛松省三著. — 南山堂, 2017

ニューロフィードバックに関する科研費研究

バイオフィードバックは自分の身体の状態(発汗、心拍数など)を計測・可視化しリアルタイムで自覚することにより、よりよい身体の状態になるようにトレーニングすることです。脳波も身体の状態を表しているわけですが、望ましい脳波の状態を得るためのトレーニングが、ニューロフィードバックということになります。

  1. ハイパーニューロフィードバックによる個人間脳同調の制御手法の開発 2021-07-09 – 2024-03-31 野澤 孝之 東京工業大学, その他部局等, 准教授 (60370110) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 挑戦的研究(萌芽) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  2. 脳内サウンド刺激による新奇ニューロフィードバック手法が挑む自己想起型BCI創生 2021-07-09 – 2025-03-31 和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70293248) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 挑戦的研究(開拓) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  3. 妬みのサブタイプを制御する脳内処理メカニズムの同定 2021-04-01 – 2024-03-31 土元 翔平 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特別研究員 (80849315) 小区分10040:実験心理学関連 若手研究 研究開始時の概要:私たちは他者が自分よりも優れていたり、多くの報酬をもらっている状況を見たときに羨んだり妬んだりする。自分よりも優れている他者の中には、他者を目標として自分も頑張ろうと励みになる他者がいる一方で、その他者に不幸が起きれば良いのにと妬みの対象になる他者が存在することが知られている。虐待やいじめの原因の根底にあるネガティブな妬み感情のコントロールは解決すべき社会問題である。そこで本研究では、相手の報酬に対する帰属先に着目して、妬みのサブタイプに対応する脳活動パターンを同定する。そして同定した脳活動パターンをニューロフィードバック法にて制御することで、妬みの感情と行動の因果関係を明らかにする。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  4. ニューロフィードバックを用いた認知行動療法の補強効果 2021-04-01 – 2024-03-31 横山 仁史 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40727814) 小区分10030:臨床心理学関連 若手研究 研究開始時の概要:本研究は、うつ病の治療成績を向上させるための認知行動療法とニューロフィードバックのハイブリッド治療戦略の提案を通して、脳科学に基づく治療開発に向けた実用的・学術的な知見の拡大を目指す。うつ病に対する認知行動療法(CBT)への期待はますます高まっているが、ここ20年の治療効果量は大きく変化してない。CBTが引き起こす脳の機能的変化から、CBTがうまく作用しない脳作用経路が明らかになってきている。ニューロフィードバックはCBTが直接作用しない脳回路に働きかけることが可能であるため、CBTの作用を補強するニューロフィードバックを開発し、それがCBTの治療効果を向上させるかについて検証を行う。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  5. 発達性協調運動障害に対する前頭-頭頂ニューロフィードバックトレーニングの効果検証 2021-04-01 – 2024-03-31 信迫 悟志 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50749794) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder:DCD)は,運動の不器用さを主症状とする神経発達障害の一類型である.この運動の不器用さの原因として,運動学習や運動制御を担う脳機能に問題が生じていることが分かってきている.本研究では,脳波測定によって,DCDにおける脳機能の問題を詳細に明らかにすると共に,問題が生じている脳機能を直接的に活性化させるニューロフィードバック・トレーニングを実施することによって,DCDを有する児の運動の不器用さが改善するか否かを検証するものである. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  6. 脳状態依存刺激を活用した手指分離運動の神経基盤解明とリハビリへの応用 2021-04-01 – 2025-03-31 緒方 勝也 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (50380613) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:本研究計画ではこれまで明らかにしてきた運動誘発電位(MEP)の時間的揺らぎに対して、MEPの標的筋と周囲筋の応答の差異(空間的揺らぎ)に着目する。MEPを多チャンネル(ch)で同時記録し、MEPの空間的揺らぎと脳波の関連(脳波-多chMEP連関)のシステムを構築、分離運動時の脳波律動を解析する。続いて脳波律動に合わせ磁気刺激を行う脳状態依存刺激で分離運動の誘発を行い、脳波-多ch MEP連関を検証する。これらの研究を基に、脳波律動を被験者に視覚提示するニューロフィードバックに応用する。
    一連の研究を通じて手指分離運動の神経基盤の理解を深め、新たなニューロリハビリテーション方法の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  7. 個人の脳活動制御能を予測する脳指標の特定とメカニズム解明 2021-04-01 – 2024-03-31 高村 真広 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (50720653) 小区分52030:精神神経科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:うつ病等の精神疾患に対する新規治療法の候補としてニューロフィードバック治療(NF治療)の研究が進められている。NF治療とは、患者の脳活動状態をリアルタイムでフィードバックし、患者自身が脳活動の制御法を学習することで、疾患によって変化した脳機能を回復させる治療である。これまでNF治療の有効性を示唆する報告がある一方で、脳活動の制御そのものが得意か不得意かという個人差が治療効果を左右してしまう問題が認識され、実用化にむけた課題となっている。本研究はこの問題の解決にむけて、この個人差を事前に予測する脳画像指標や個人差が生まれるメカニズムを検討し、より効果的なNF治療の開発に資する基礎研究を展開する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  8. 神経振動異常と言語性幻聴の因果関係:聴覚訓練とニューロフィードバックによる検討 2021-04-28 – 2024-03-31 小区分10040:実験心理学関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要:統合失調症の新たな病態基盤として大脳皮質における興奮性と抑制性の神経伝達バランスの障害が注目されている。このような障害を反映する神経生理学的な指標として30 Hz以上の頻度で起こる神経活動であるγオシレーションの異常が知られておりその異常の度合いが統合失調症者の約8割に見られるとされる「言語性幻聴」の症状の強さと相関することが知られている。本研究では言語性幻聴の症状と関連が深いと考えられる統合失調症者の聴覚皮質におけるγ及びθオシレーションの異常に注目し、その異常と言語性幻聴の症状を改善するための、聴覚訓練課題とその訓練効果を促進させるニューロフィードバック課題を開発することを最終目的とする。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  9. 感覚運動ネットワークの再編成を誘導する標的定位型ニューロフィードバック法の開発 2021-04-28 – 2024-03-31 小区分59010:リハビリテーション科学関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要:ヒトは与えられた環境に対して感覚情報をもとに動的に適応する。しかしながら、感覚運動適応を実現する脳と行動変化の対応関係は未だ十分に明らかにされていない。そこで本研究では、運動関連脳領域の活動パタンから同定される感覚運動ネットワークを標的とした神経機能修飾技術を確立し、運動技能への影響を検討することを目的とする。上肢運動の遂行に関連する感覚運動ネットワークの機能変化を誘導するニューロフィードバック法を開発し、訓練前後での行動学的評価から神経活動パタンと運動機能の関係を因果的に検証する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  10. 観察学習を促進する脳波フィードバック訓練の検討 2021-04-28 – 2024-03-31 小区分90030:認知科学関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要:本研究では、動作の観察時のニューロフィードバックがミラーシステム(動作観察時に賦活する脳の運動関連領野)の状態にどのように影響するか、活動脳領域の変化を調べる。また、ニューロフィードバックを用いた運動の観察学習を行い、運動学習が促進されるか検討する。実験では、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)と脳波の同時計測システムを使用し、動作観察中の活動脳領域について調査する。また、動作の観察と実行を1 セットとし、それを繰り返す訓練(観察学習訓練)を行う。訓練中の動作観察時にニューロフィードバックを行い、運動学習や運動機能の変化について調べる。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  11. スマート端末を用いた脳状態計測技術の開発とビッグデータ解析 2021-04-05 – 2025-03-31 天野 薫 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (70509976) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 基盤研究(A) 研究開始時の概要:知覚,認知,運動など多くの機能を司る脳の状態を知ることは心身の健康維持にとって不可欠であるにもかかわらず,脳の状態を測る機会は極めて限定的である.そこで本研究では,脳波計やMRIなどの脳計測装置を使わずに,スマート端末だけを使っていつでもどこでも気軽に脳の状態を計測する技術を開発し,日常的な脳の健康管理による健康寿命の延伸を実現することを目的とする.この目的を達成するため,①スマート端末だけを使っていつでもどこでも気軽に脳の状態を計測するための技術開発,②その技術に基づく,脳状態と活動量や認知機能の関係に関するビッグデータ収集と分析,③脳状態の変調による機能向上,の3つのステップで実現する. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  12. TMSニューロフィードバック学習によるヒト脳活動制御と神経疾患への応用 2020-07-30 – 2023-03-31 小金丸 聡子 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40579059) 中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野 挑戦的研究(萌芽) 研究開始時の概要:経頭蓋磁気刺激(TMS)により、一次運動野(M1)を刺激すると、筋電図上、運動誘発電位(MEP)が生じる。MEPの振幅を被験者にフィードバックし、被験者が内因性にMEP振幅の大きさを変化させることを学習する『TMSニューロフィードバック学習システム』を用いることで、TMSニューロフィードバック学習により脳内神経活動を内因性に変化させることを学習させ、脳内神経活動の制御を目指す。健常者においては、新たな学習法の確立をめざす。また患者においては異常な神経活動を内因性に修復することを学習させることにより、新たな治療法の確率をめざす。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  13. ミラーシステムの活動強化による観察学習促進効果の検討 2020-04-01 – 2023-03-31 池田 悠稀 九州大学, 芸術工学研究院, 学術研究員 (60868800) 小区分45060:応用人類学関連 若手研究 研究開始時の概要:観察学習を行うときに、脳ではミラーシステム(動作観察と動作実行の両方で活動する脳の運動関連領域)が賦活する。ミラーシステムは模倣や動作の習得に重要な神経機構であるが、ミラーシステムの活動と動作習熟の関係は不明瞭な点が多い。また、ミラーシステムの活動を向上させることで動作の習得が促進されるかは明らかでない。本研究では、観察学習を行う際にミラーシステムの活動を向上させる訓練を行い、通常の観察学習や観察を行わない運動学習をした群と比較することで、ミラーシステムと動作習熟の関係について明らかにする。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  14. 神経生理学的「あがり」指標の開発とニューロフィードバックトレーニングへの応用 2020-04-01 – 2023-03-31 佐藤 大樹 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (90416933) 小区分59020:スポーツ科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:精神的重圧がかかるスポーツ競技や人前での発表において、緊張に伴いパフォーマンスが低下する現象を「あがり」と呼ぶ。その発生メカニズムの解明は未だ不十分であるが、近年では神経生理学的研究も進みつつあり、「『あがり』は脳で生じた現象である」ということが分かってきた。本研究では、脳血流信号や脳波、心拍、呼吸を含む複数生体信号群の同時計測、および機械学習を用いた解析を用いて、「あがり」と「良い緊張」を切り分ける総合的な神経生理指標(「あがり」指標)を確立することを目的とする。また、その「あがり」指標を用いたニューロフィードバックトレーニング法を開発し、その有効性の評価を試みる。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  15. ニューロフィードバックによる事象関連電位調節手法の開発 2020-04-01 – 2023-03-31 高野 弘二 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究員 (00510588) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:ニューロフィードバックは対象者に自身の脳活動を評価し、視覚・聴覚などの何らかの形で対象者に提示することで、脳活動を自発的に制御し、目的に合わせた脳内ネットワークの構造に誘導する技術である。
    発達障害や高次脳機能障害などでは、特定の認知機能の強弱により、日常に困難が生じることがあり、その解決手法が求められている。
    本研究では、特定の認知課題に対する脳活動を判別する手法を開発、その脳活動の強化・抑制を可能とするニューロフィードバック手法の開発を行う。これによって従来手法では困難であった脳活動を選択的に強化ないし抑制することが可能とし、それにより認知リハビリテーション技術の向上に当てるものである。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  16. 脳卒中片麻痺上肢に対するテーラーメイド型ニューロフィードバック法の開発と効果検証 2020-04-01 – 2023-03-31 中野 英樹 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:高齢者医療費・要介護認定要因の第一位である脳卒中患者の運動機能回復を促進させることは喫緊の学術的・社会的課題である.しかし,脳卒中患者の上肢機能を改善させるエビデンスの高い治療法は未だ確立されていない.本研究は,脳卒中患者の脳機能個人差を考慮したテーラーメイド型ニューロフィードバックトレーニングを開発し,それが脳卒中患者の上肢機能に及ぼす効果を運動機能と脳機能の観点から明らかにすることを目的とする.本研究により,個々の脳の特性に基づいたテーラーメイド型ニューロフィードバックトレーニングが開発されれば,脳卒中患者の運動機能回復を最大限に引き出すことが可能になると考える. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  17. ニューロフィードバック技術を応用した前庭リハビリテーション法の創成 2020-04-01 – 2023-03-31 高倉 大匡 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (50345576) 小区分56050:耳鼻咽喉科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:慢性めまい・体平衡障害患者の治療には前庭リハビリテーション(前庭リハ)が行われているが、十分回復しない難治性症例も存在し、従来の治療法に代わる新たな治療アプローチが求められている。我々は、同患者群への前庭リハとして、従来の手法とは異なった、めまいの認知に関与している大脳皮質機能を直接調節する、ニューロフィードバック(NF)療法の応用を試みる。正常被験者および慢性めまい患者に対して、めまいに対する慣れと代償を促進する従来の前庭リハに対して、NF療法を単独もしくは付加して行い、その臨床効果を検証するとともに、至適な治療条件を決定し、NF療法を応用した前庭リハの実用化を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  18. 認知機能障害と情動調整障害を同時に回復するうつ病のニューロフィードバック法の開発 2020-04-01 – 2023-03-31 松原 敏郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60526896) 小区分52030:精神神経科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:われわれは、情動・認知相関の知見をもとに、陽性情動刺激課題を用いた前頭部ニューロフィードバック(NF)を用いて、うつ病患者の認知機能回復も目指した情動調整法とその脳病態を明らかにする。具体的には、うつ病患者をRCTにて、NF介入群と非介入群に分け、光トポグラフィー装置を用いて、NFを介入群、sham-NFを非介入群に、週1回6ヶ月間行い、0ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の情動・認知機能検査および0ヶ月、6ヶ月後のDTIを測定する。またNF終了6ヶ月後に、情動認知機能が維持されていることを確認する目的で、もう一度情動・認知機能検査を行う。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  19. 多チャンネル脳波を用いた身体所有感の脳基盤の同定と介入法の開発 2020-04-01 – 2023-03-31 大木 紫 杏林大学, 医学部, 教授 (40223755) 小区分51010:基盤脳科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:身体所有感は「自分の身体が自分に所属している」という感覚で、健常者では当然の身体意識である。しかし、例えば脳卒中の片麻痺患者では麻痺肢に対する身体所有感が低下し、不使用につながることが知られている。本研究では身体所有感をモニターし改善することを目的に、多チャンネル脳波を用いて身体所有感の脳活動マーカーの同定を行う。更に、マーカー部位に対し、経頭蓋磁気刺激、直流電気刺激、neurofeedbackで介入し、マーカーと身体意識の因果関係を明らかにすると同時に、介入法を確立する。本研究では、脳波によるマーカーの同定から介入まで統一的に行うことで、そのまま臨床応用できる方法の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  20. ADHD動物研究によるニューロフィードバ ック・薬物療法・応用行動分析の相乗化 2020-04-01 – 2023-03-31 麦島 剛 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (40308143) 小区分09060:特別支援教育関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:この研究では、注意欠如・多動症(ADHD)モデル動物を用いて、ニューロフィードバック(NFB)療法の有効性を検討し、NFB療法と薬物療法の相乗効果の解明し、音への事象関連電位を指標とした前注意過程(注意が生じる前の認知過程)の不全に対する治療薬効果を検討し、オペラント行動に基づく確率割引を指標とした衝動性との関係の解明する。これらによって、ADHDの不注意と衝動性を神経と行動の両面で解明し、NFB療法・行動療法・薬物療法の3者をクロスさせてADHDの療育の相乗化と理論統一をめざす。また、生理心理学領域の基礎研究そのものの進展と、発達障害の臨床応用への将来的な架け橋の一端を築く。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  21. 身体意識の拡張を伴う身体部位拡張の実現 2020-04-24 – 2022-03-31 小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要:義手を代表とする補綴や新たな身体を獲得する身体拡張技術は身体の制約を超えて人の活動および機能を支援することができる.日常生活だけでなく遠隔手術ロボットにみられるように医療など幅広い場において多くの波及効果を生む重要な技術である.人の身体図式は不変のものではなく,四肢の追加や増強といった試みは多くあるものの,身体認識を拡張する明確な方法論は語られていない.
    そこで本研究では,身体認識の変容を順応学習であると捉えなおし,ニューロフィードバックにより身体認識の変容を促進することを試みる.これにより本来の身体と等価な身体認識を身体拡張部位に獲得することができる身体認識の拡張を伴った身体拡張を実現する. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  22. ニューロフィードバックで思考習慣を変える: fMRIと脳波による認知活動の可視化 2020-04-24 – 2023-03-31 小区分10030:臨床心理学関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  23. 聞こえているのに聞こえない:高齢リハビリ患者の聴覚異常の可視化と新規治療法の開発 2020-04-24 – 2023-03-31 小区分59010:リハビリテーション科学関連 特別研究員奨励費 研究開始時の概要:多くの高齢者は、「聞こえているのに理解できない」と訴え、この症状は中枢性聴覚処理(CAP)異常に基づくと考えられる。CAP異常と海馬異常とには密接な関連があることが示唆されているが、隠れたCAP異常を検出する技術は確立されていない。CAP異常とリハビリとの関係性を明らかにするため、本研究では、(実験1; 海外研究施設にて)高齢者てんかんに対して、脳磁図と非侵襲的聴覚刺激を用いたニューロフィードバック治療法を開発することにより、CAPをモデュレートすることができるかどうかを検討する。また(実験2)高齢リハビリ非効率患者に対して、脳磁図を用いて、隠れたCAP異常を検出することを目的とする。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  24. 心脳限界認識の哲学と心脳限界突破の倫理学 2020-10-02 – 2023-03-31 中澤 栄輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90554428) 学術変革領域研究区分(Ⅰ) 学術変革領域研究(B) 研究開始時の概要:本研究は心脳限界の認識と突破に関する科学哲学・倫理学である。領域に特有の倫理的・法的・社会的課題を人文学的に掘り下げ、限界認識・突破の概念を彫琢することで、心脳限界突破という新たな融合学問領域に社会的・学問論的位置づけを与える。
    本研究は心脳限界認識の哲学と心脳限界突破の倫理学に二分される。哲学的考察においては心の哲学、現象学、社会哲学の知見を援用しながら人間の認識、知識、能力の限界を規定する人間の自己反省的な認識のあり方、その限界を突破する人間の欲求を検討する。
    倫理学的考察においては、理論的方法、経験的方法双方を混合させ、心脳限界突破の倫理的妥当性を人間的および社会的側面から検討する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  25. テイラーメード神経活動修飾法による注意機能改善がもたらす高齢者の運動学習促進 2020-04-01 – 2022-03-31 櫻田 武 立命館大学, 理工学部, 助教 (40588802) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要:本研究では、認知機能個人差を考慮したテイラーメードニューロフィードバック訓練環境・プロトコル確立とそれを用いた運動学習効果促進を目指す。これを検証するため、まず個々の脳機能特性を脳活動から定量化したうえで、ニューロフィードバック訓練において賦活させる神経回路(ゴール) を適切に切り替える。最終的には、このような個人差を考慮するプロトコルを適用することで、高齢者の認知機能(注意制御能力)・運動機能(適応能力・運動学習能力) の保持・再獲得が促進することを示す。さらに、その訓練効果を予測するモデルの提案を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  26. 検出不可能なドーピング技術に関する生命・スポーツ倫理学的研究 2020-04-01 – 2023-03-31 近藤 良享 名古屋学院大学, スポーツ健康学部, 教授 (00153734) 小区分59020:スポーツ科学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要:2003年に「遺伝子治療を応用する方法」がドーピングとして禁止されて以来、今まさに新しい局面を迎えようとしている。その1つが遺伝子編集技術、CRISPR-Cas9の開発(2012年)である。もう1つが脳科学のニューロフィードバック技術である。これらの方法はドーピングとして検出困難もしくは不可能な方法になりうる技術である。よって、本研究は、これらの検出困難もしくは不可能とも言えるドーピング方法がどのような影響をスポーツ界に招来させるかを生命倫理やスポーツ倫理の視点から考察する。遺伝子ドーピングや脳ドーピングのスポーツ界への影響を論じる中で、私たちの未来社会のあり方も問うことになる。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  27. パーキンソン病の歩行障害に対するNIRS-ニューロフィードバックシステムの応用 2020-04-01 – 2023-03-31 三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要:本研究では、パーキンソン病の歩行障害に対して、歩行運動の想像中の脳活動を患者に提示し、その活動を大きくする、”ニューロフィードバック”と呼ばれる介入が、通常のリハビリテーション以上の介入効果をもたらすかどうか、およびその効果がどの程度持続するかを多施設共同研究、並行群間デザインによる臨床研究によって明らかにし、併せて脳機能画像を用いた評価で、介入前後の脳内の機能的ネットワークの変化を検討することで、パーキンソン病の歩行障害改善効果をもたらす神経基盤についても検討を行う。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  28. 主体的多感覚統合による知覚・認知過程の新しい枠組みの構築 2019-06-28 – 2022-03-31 乾 敏郎 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (30107015) 中区分10:心理学およびその関連分野 挑戦的研究(開拓) 研究開始時の概要:本研究プロジェクトでは、外受容感覚、自己受容感覚、内受容感覚(内臓感覚で自己の内部状態の情報)、全ての感覚の統合を扱う新しい理論的枠組みの構築を目指す。さらに内受容感覚に着目し、以下の2つの処理過程のメカニズムを実験的に解明し、Karl Fristonの「自由エネルギー原理」を基礎とした新しい枠組みの構築を目指す。
    ①外受容・自己受容・内受容感覚の統合過程
    ②外受容感覚と内受容感覚の統合過程
    最終年度は前年度までの実験データに基づき、自由エネルギー原理に基づく、より一般的な多感覚統合過程の原理を構築する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:内受容感覚の自己評価の高い人は心拍追跡課題の確信度が有意に高く、模倣抑制課題の平均反応時間が有意に長かった。一方、身体感覚と感情状態との関連性への気づき得点の低群の方が模倣課題の反応時間が有意に長かった。また認知的共感、情動的共感と痛みや不快な感覚を伴う精神的苦痛を心配または経験しない傾向得点、情動的共感と自己制御得点の間で有意な相関が見られた。さらに心拍追跡精度の高い人ほど他者のNeutral 表情を不快な表情として捉えており、Angry表情の変化をより強く感じることが示された。また観察者の性別にかかわらず,同性の他者では他者が表出する感情価に対応した生理変化がみられた一方で,異性の他者ではそのような傾向はみられなかった。次に心拍追跡課題の脳活動を検討した。その結果、内受容注意に伴って島皮質でも前中部に位置する中短島回が最も高い活動値を示した。内受容正確性スコアと相関した内受容注意に関わる活動部位は,右背側島皮質/前頭弁蓋に認められた。さらにニューロフィードバックトレーニングを行った結果、フィードバックの視覚的情報により,内受容注意に伴う島皮質の活動が阻害された可能性が認められた。また一部の参加者はトレーニングによって心拍追跡課題の成績が大幅に向上した。
    またわれわれは吃音者におけるより遅延聴覚フィードバックの強い順応効果を見いだしており、その原因として聴覚フィードバックの予測精度の悪さが示唆されている。そこで、因果推定を取り入れた遅延聴覚フィードバック順応のベイズモデルを構築しわれわれの実験条件に適用したところ、感覚フィードバックの遅れ時間の予測精度の悪さのパラメータの値が大きくなるほど、遅延なく呈示された音声が自己の発話運動から生成されたと推定される事後確率(自己主体感の測度)が小さくなり、遅延音声に対して強い順応が生じることも明らかとなった。
  29. アスリートを対象とした簡便なあがり防止法の開発: 脳活動の偏側性を利用した試み 2019-04-01 – 2023-03-31 平尾 貴大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (70824572) 小区分59020:スポーツ科学関連 若手研究 研究開始時の概要:本研究では,脳活動の偏側性(右半球優勢)に着目し,アスリートを対象とした効果の高いあがり防止法の確立を目指す.左手でボールを把握すること(以下,反復把握法と呼ぶ)が,アスリートのあがり対策として有効視されている.本研究では,反復把握法がなぜあがり防止に有効であるのか脳機能の観点から解明した上で,反復把握法とニューロフィードバック訓練(右半球活動の増強)の相乗効果を検証する.相乗効果の検証については,大学生アスリートおよびトップレベルアスリートを対象とすることで,本研究で確立するあがり防止法が競技レベルによらず効果的なものであるか確かめる. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:スポーツ競技パフォーマンス直前に,左手でボールを反復把握するだけで競技場面のあがりを防止できるといった報告がある.以下,このあがり防止法を反復把握法と呼ぶ.大脳の右半球には,スポーツ動作に重要な「空間認知」に関する脳部位が存在する.一方,左半球には「言語野」が存在する(あがり状態では,言語野と運動に関する脳領域活動のコネクティビティが強化される).これらの機能局在に起因して,左手の反復把握はあがり防止効果を有すると推察されているが,実験による検証は行われていない.本研究では,機能的核磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging: fMRI)を用いて,反復把握法がなぜあがり防止策と有効であるか,そのメカニズムを解明する.さらに,反復把握法と脳波測定を用いたニューロフィードバック(neurofeedback: NF)訓練の組み合わせが,あがり防止策として有用であるか検証することで,より効果の高いあがり防止法を模索する.
    令和1年度は,アスリートの内受容感覚に関する実験結果を論文に纏めた.内受容感覚は,内臓を含めた身体内部の感覚であり,不安のようなネガティブな情動と関係することが報告されている.本研究の結果,左半球の島皮質活動が,内受容感覚に関する一部の機能と関係することが示唆された(Hirao, Vogt & Masaki, 2020).内受容感覚について脳機能の観点から調べた本研究の知見は,アスリートが経験するあがりのメカニズム解明の一助となる.特に,左右半球活動の不均衡を利用したあがり防止法の効果検証を実施する上で,重要な知見となる.
  30. 脳卒中患者の認知機能個人差に根ざしたニューロフィードバック訓練と運動機能への影響 2019-04-01 – 2021-03-31 手塚 正幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (40721311) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 若手研究 研究開始時の概要:認知機能個人差により運動学習効果も変化する。このような認知機能個人差は背外側前頭前野の神経活動に反映する。この個人差神経基盤の知見に基づき、これまで急性期脳卒中患者を対象として近赤外分光法を用いたニューロフィードバックを適応し、体性感覚認知機能が高い患者ほど背外側前頭前野活動量が向上する結果を得てきた。しかし、このようなニューロフィードバック訓練で得られた脳活動が運動機能改善に及ぼす影響は明らかではない。そこで本研究は、急性期脳卒中患者におけるニューロフィードバック訓練効果差と訓練後の運動機能改善との関連性を解明することを目指す。最終的には患者の早期社会復帰に貢献する訓練手法を提案する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:研究の基本的スキルの獲得(Matlabによるデータ解析手法など)を進めた。併せて、研究テーマに沿った実験パラダイムの考案を進め、機能的近赤外分光法 (fNIRS:functional near-infrared spectroscopy)を用いた神経活動計測のための系を構築した。さらに健常成人ならびに片側運動麻痺を伴う脳卒中患者を対 象とした実験を積み重ねた。先行基礎研究として、健常若年者を対象とした24症例に対して視覚条件と振動条件の探索課題を行い、2つの条件での探索効率を比 較しどちらが優位か計測することと同時にfNIRSを用いて運動課題中の前頭前野活動を測定した。この結果、視覚条件課題では個人差がみらせず、振動条件課題 では個人差を認めた。その個人差を反映する脳基盤として両側背外側前頭前野の脳活動であることが示された。この背外側前頭前野に内在する脳機能としてワー キングメモリの呼ばれる脳機能があるが、そのワーキングメモリ機能に介入する新たな手法としてfNIRSを使ってリアルタイムに個人の脳活動を測定し、ワーキ ングメモリが内在する両側背外側前頭前野活動を賦活するよう誘導するニューロフィードバックを行う系を構築した。このようなリアルタイムニューロフィード バック系を用いて、当院に入院している片側上肢麻痺を持つ急性期脳卒中患者を対象として20名に実施した結果、ワーキングメモリ機能が高い個人ほど両側背側 前頭前野活動が上昇する傾向が認められ(n=20、群間比較 p=0.072)、これらの研究成果を脳神経外科学会や脳卒中学会に報告した。現在は症例数を計30名に増やし、より群間差や訓練効果差についての結果を解析中で学会報告や論文として発表する予定である。
  31. 難治性ADHDの新規治療・『ニューロフィードバック経頭蓋直流電気刺激法』の開発 2019-04-01 – 2022-03-31 門田 行史 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80382951) 小区分52020:神経内科学関連 若手研究 研究開始時の概要:小児神経発達症の代表疾患である注意欠如多動症(ADHD)の既存治療に難治な症例の症状を改善させる全く新しい治療法の開発を目的とする。そのために、磁気刺激を用いた介入治療を行う。脳機能のリアルタイムに観察できるfNIRS(光トポグラフィー)を用いてtDCS刺激中に変化する脳機能を可視化する。正常な脳機能変化が生ずるために必要なtDCS刺激をfNIRS計測を行いながら検証する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本提案では、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と呼ばれる、頭に微弱な電流を通すことにより、脳神経活動を変化させる方法を用いて発達障害の代表疾患であるADHD(注意欠如多動症)の脳病変を改善させる方法を開発することが目的である。そのために、先行研究において、ADHDの治療薬剤のターゲットとなる脳の局在部位を薬効応答から同定した。
    しかし、近年、DXM-5診断基準において、ADHDの併存症として認められたASD(自閉スペクトラム症・合併率は10-50%と報告されている)の病態の有無によって薬物治療反応性が異なることが2019年から2020年にかけての本提案者の研究成果から明らかとなった。具体的には、現在はADHDのASD併存、非併存の郡を分けて薬物応答の検証した結果、ADHDの代表的治療薬である塩酸メチルフェニデートに関する薬物応答について、各群が持つ特異的な変化を明らかにした。本研究成果は、世界で初めての報告であり、プレスリリースをしたSutoko S, Monden Y, et al., Front Hum Neurosci. 2019 PMID: 30800062)。これらの成果を踏まえ、本年度から、ASD併存、非併存のADHDを対象に、それぞれが持つ異なる脳病変をターゲットとして、当初から目的としている、tDCS刺激条件の最適化を可能とする『ニューロフィードバックtDCS刺激法』を開発する。
  32. 認知機能のリアルタイム個人差判別によるテイラーメード脳卒中リハビリ環境の確立 2019-04-01 – 2022-03-31 櫻田 武 立命館大学, 理工学部, 助教 (40588802) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:運動機能障害を持つ患者が行うリハビリテーションでは、できる限り短い期間において最大限の訓練効果を得ることが重要となる。この際、患者の脳機能特性を事前に明らかとすることで、その人に適した訓練内容や指示を決めることができる。このような個人差を脳活動に基づき客観的かつ短時間で評価し、より多くの患者が最大限の訓練効果を得られるシステムの提案を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究では,個人の認知機能特性をリアルタイムで判別する手法を確立し,運動機能リハビリテーションにおける患者への負担軽減と訓練効果最大化を両立した環境の提案を目指している.このような個々人に着目したテイラーメードな訓練プロトコルの確立により,患者の早期社会復帰につなげていく.
    本年度は,運動学習課題実施のための系構築および個人差判別のために利用する脳波(定常状態体性感覚誘発電位・定常状態視覚誘発電位)を誘発するための刺激呈示装置の開発を主に進めた.具体的には,振動刺激装置としてブラシレスDCモータを利用した振動素子を開発した.これにより特定の周波数における電気的ノイズを抑えることに成功し,より目的の脳波を検出しやすい環境の構築につなげられた.一方,視覚刺激装置としては高輝度LEDを格子状に配列し,それらをArduinoにより任意の周波数で点滅させる制御系を構築した.振動装置・視覚刺激装置はいずれも小型軽量に設計されており,実験系の任意の場所へ柔軟に設置できるよう工夫されている.また,各刺激装置の筐体は3Dプリンタで作成しており,コストも抑えた開発に成功している.
    定常状態体性感覚誘発電位に関しては,本振動刺激装置を用いて誘発できることを既に確認しており,現在データ数を増やすことで安定的に目的の脳波が観察できることを確認する実験を進めている.定常状態視覚誘発電位についても,順次開発した視覚刺激装置により誘発できることを確認していく予定である.
  33. 月経随伴症状を有する若年女性への聴覚ニューロフィードバックトレーニングの基礎研究 2019-04-01 – 2022-03-31 松尾 奈々 京都橘大学, 健康科学部, 専任講師 (50633351) 小区分58070:生涯発達看護学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:女性は身体的・精神的に多岐にわたる月経随伴症状を経験することが多く、症状をセルフケアできずに不快な情動体験が情動痛症状に変質して身体的・精神的症状に現れると考えられる。このような症状は、ストレス要因と連動して脳内神経回路の可塑的変化を引き起こすとされている。よって、月経随伴症状有訴者には脳機能状態を正常化へ向けたマネジメントが有用であると考える。
    本研究では月経随伴症状を有する若年女性に対して脳波周波数のフィードバックとして聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施し、月経随伴症状への効果検証を行い、身体的・精神的な月経随伴症状に対する新たな改善プログラム創出のための基礎研究とする。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:女性は身体的・精神的に多岐にわたる月経随伴症状を経験することが多く、症状をセルフケアできずに不快な情動体験が情動痛症状に変質して身体的・精神的症状に現れると考えられる。このような症状は、ストレス要因と連動して脳内神経回路の可塑的変化を引き起こすとされている。よって、月経随伴症状有訴者には脳機能状態を正常化へ向けたマネジメントが有用であると考える。
    本研究では月経随伴症状を有する若年女性に対して脳波周波数のフィードバックとして聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施し、月経随伴症状への効果検証を行い、身体的・精神的な月経随伴症状に対する新たな改善プログラム創出のための基礎研究とする。本研究では、月経随伴症状を有する若年女性に対して脳波解析による神経生理学的研究を実施する。具体的には以下の点を明らかにする。1:月経随伴症状を有する若年女性のターゲットとなる脳波周波数パターンを明らかにする。 2:月経随伴症状を有する若年女性に対して、リラクセーション法を取り入れ、リアルタイムな聴覚刺激を用いたニューロフィードバックトレーニングを長期間実施することにより、痛みや不安などの月経随伴症状に対して真の効果検証を行う。
    2019年度は予備調査として、対象となる繰り返される月経随伴症状を有する女性を想定して、慢性的な腰背部痛を有する女性患者に対して、脳波周波数パターンの解明および呼吸法を用いたリラクセーション法を実施した際の脳波周波数を聴覚刺激にてフィードバックするニューロフィードバックトレーニングを実施した。聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施することで対象者の多くは、ターゲットとなる脳波周波数のコントロールが可能となった。しかし介入トレーニング実施による痛みや破局的思考に関する詳細な効果検証は現在も継続中である。
  34. マルチスケール侵襲型BMIによる発声のニューロフィードバック 2019-04-01 – 2022-03-31 國井 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80713940) 小区分56010:脳神経外科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:発声障害をターゲットとしたブレインマシンインターフェース(BMI)の研究は端緒についたばかりである。我々は、先行研究において、ひとつひとつの神経細胞の活動と沢山の神経活動の総和としての脳波を同時に計測できる電極を開発して特許を取得した。これにより、発声した母音を脳信号から予測することが可能となった。本研究では、予測した内容を被検者に提示する訓練を行うことで、予測精度を向上する技術の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:我々は微小電極と表面留置型電極からなるハイブリッド電極を開発し、微小電極で記録される単一ニューロン活動と表面留置型電極で記録される高周波律動活動が、復号化において相補的な情報源となることを示した(Front Neurosci.12:221:2018)。本研究ではこのハイブリッド電極をヒトの発声に関わる感覚/運動野に慢性留置し、①得られた脳活動をリアルタイムで復号化するシステムを構築し、②復号化した情報をフィードバックすることにより復号化の精度が経時的に改善することを示すことを目的とした。
    特定診療研究として新規に倫理委員会の承認を得て、ハイブリッド電極を用いたリアルタイムニューロフィードバックシステムを構築し、1例に適用した。結果として、復号化精度はチャンスレベルを有意に超えるものではなかった。ユニット検出数が少ないためスパイクヒストグラムに基づいた復号化アルゴリズムには限界があると考えられた。更に、微小電極で捕捉されたユニットは単一ではなくマルチユニットであることにより復号化アルゴリズムが最適でない可能性が考えられた。さらに、リアルタイムではオフラインで採用したクロスバリデーションを行わない分、復号化精度が低下したと考えられた。また、オンサイトでの計算処理に時間がかかるためセッションを繰り返すことで患者を長時間待機されることになるため、経時変化が観察できないことも今後の課題として抽出された。
  35. ニューロフィードバック制御型の神経結合動態計測による認知過誤リスク推定の研究 2019-04-01 – 2022-03-31 中井 敏晴 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教授 (30344170) 小区分59030:体育および身体教育学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要:加齢により認知機能の予備能力(CR)が減少すると普段は明確な支障が無くても強い認知負荷が加わると急に認知過誤が発生して適切な対応ができず、予期せぬ事故や問題を引き起こしうる。本研究では高齢者に対する神経リハビリを最適化するために、神経回路の可塑的変化を非侵襲脳機能計測と行動データに基づいて定量化する手法を開発する。運動・認知機能の個人差が大きい高齢者のCRを推定する方法として神経フィードバック制御型の神経結合動態計測法を開発する。加速度計を使った日常動作記録や神経心理検査との相関を機械学習(AI分析)により明らかにし、指標の連続的拡張性を確保する。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  36. ニューロモジュレーションによる周辺視野機能の拡張 2019-04-01 – 2022-03-31 中村 仁洋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 主任研究官 (40359633) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要:ヒトの視覚機能には、視野中心部の対象を高速かつ正確に分析する「中心視」と、その外側のより広い範囲の視野情報の処理を担当する「周辺視」がある。周辺視は、日常生活の様々な局面に関わるほか、視覚障害や読み書き障害との関連も注目されており、周辺視機能の向上のために様々な訓練プログラムが考案されてきた。最近の神経科学研究から、周辺視には大脳皮質レベルにおける機能的制約のため、中心視のように精密な視覚分析は難しいことが示されている。本研究計画では、周辺視と脳機能との関係に着目し、経頭蓋脳刺激法とニューロフィードバックを組み合わせて、周辺視の機能増幅のための安全で新しい介入手法の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  37. 重度手指麻痺患者の機能回復を促すマルチモーダル・ニューロリハビリテーションの創生 2019-04-01 – 2023-03-31 小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要:脳血管障害患者の手の運動意図に同期した「マルチモーダル感覚フィードバック」を付与するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を構築し,重度の手指麻痺を回復へ導くニューロリハビリテーション技術の確立を目指す。残存する視覚・運動感覚・触圧覚刺激による手の運動経路の再構築を促す介入を行い,回復期患者に対する臨床効果を検討する。機能回復指標による評価に加え,運動関連脳活動の機能的結合性解析ならびに電気生理学的検査による脳-脊髄興奮性変化を評価し,中枢から末梢に至る手指機能回復の神経機構を明らかにする。通所・在宅訓練にも適用可能な、慢性期患者を対象とした低コスト・自立型システムの開発と検証も行う。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:2019年度は,患側運動野から検出される運動意図に応じて,固有感覚・視覚・触圧覚のマルチモーダルフィードバック(FB)を付与するニューロリハビリテーションシステム(DMB2.0)の構築を行った。DMB2.0では脳波により患側運動野における運動意図を検出し,麻痺手に装着した外骨格ロボットを動作させる。手を動かす運動想起を容易にするために,使用者は麻痺手をタブレット画面越しに観察し,画面の映像の手と共に運動想起を行う。ERDは実際の運動開始より1秒程先行して生じるため,運動想起が検出された場合には映像と外骨格ロボットが同期して動き,同時に手の内側面へ圧刺激が加わり把持感が惹起される。これにより,自らの手を「握ろう」とする運動意思に沿って手が「動き」(視覚・固有感覚),ボールを「握った」(触圧覚)という所有感・動作主体感を伴う即時感覚FBが受容される。ERDが表出されない場合は外骨格ロボットが動作せず,手の映像が動作を完了する前に停止し,圧力刺激も生じないため,患者は毎回の運動想起の良し悪しをFBの有無により認知し,訓練を繰り返すことで患側運動野からの運動指令による麻痺手の運動経路の再構築を促すことができる。FBを付与するERD強度閾値はロボットの動作率により適応的に変化させ,患側運動野からの運動指令の強度を段階的に引き上げる。DMB2.0を用いた脳卒中回復期患者による予備的検討の結果も良好であり,2020年度からの臨床研究に移行する準備が整った。
  38. 身体意識の拡張技術 2019-04-01 – 2024-03-31 前田 太郎 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00260521) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 基盤研究(A) 研究開始時の概要:人の身体図式は生得的な特徴を備えているとはいえ,不変のものでは無く,発達や受傷の過程などを経て変容することが知られている.身体の機能拡張技術においては知覚能力や効果器としての四肢の追加・増強の試みは多くあるが,これらの追加要素を新たな身体として認識し行動を決定する「身体意識」そのものを高いリアリティを伴って拡張する明確な方法論については未だ語られていない.本研究では身体拡張技術の観点からこの「身体意識」の変容を狙う.感覚伝送と身体応答計測,ニューロフィードバック技術を駆使して,身体拡張に伴う身体意識の拡張の可能性について解明し,身体意識の再構築を実現する誘導・制御技術について開発を行う. 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:追加身体への感覚運動順応を長期定着させるために意識下レベルでの反復学習を実現することを試みた.追加身体(ExtraBody)として構築した皮膚触覚・力覚・関節感覚の伝送フィードバック付きの追加腕を改造して用いた.これまでの順応段階では,感覚伝送と意図推定制御によって,感覚情報の把握と,運動の随意性については,RHI研究と同等の自己所有感・自己主体感計測を基準とした場合,RHI実験と同様の「筆でこする」「指でなぞる」といった視覚と触覚の統合刺激によって自己所有感が,能動的/受動的な運動の再現性によって自己主体感が十分な強度で生じるものの,両者の統合指標としての能動的な自己位置再現においてその順応量が最大でも60%程度に縮退することが確認されている.このため,研究の初年度となるH31/R1年度において,この指標において反復学習効果の検証を実現できるだけの安定性を持った実験環境を構築した.
    身体拡張を促進するニューロフィードバック技術において利用が想定されるMismatch Negativity(MMN)の検出において,単一感覚による感覚1次手がかりである「刺激の極性変化(なぞり刺激の方向)」の頻度における少数刺激に対するMMNと,マルチモーダルな感覚間の関係としての2次手がかりである「感覚間の極性の整合性」の頻度における同様のMMNが,複合的に生じる可能性が不可避である問題の解決に着手し,本提案技術において利用が期待される2次手がかりをMMNの主応答とする刺激条件を見いだした.さらに運動生成モデルにおける感覚運動の相互予測性モデルを提唱した.
    スツルムリウビル型連想記憶回路モデルの等価距離空間への変換記述と節の仮想化による記憶容量の増加として,-時間連続事象中で時間離散化された情報のゼロ表現の有用性明らかにした.
  39. 興奮抑制バランス操作による脳の可塑性メカニズムの理解 2019-04-01 – 2023-03-31 柴田 和久 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20505979) 中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野 基盤研究(A) 研究開始時の概要:ピアノ演奏や宝石鑑定といったスキルの学習には、訓練に応じて脳を変化させる可塑性と、無用な脳の変化を防ぐ安定性が不可欠である。本研究では、この可塑性と安定性を制御する仕組みとして、脳の興奮性・抑制性神経修飾物質の変化に焦点をあてる。第一に、研究代表者が開発した脳の状態を操作する技術を援用し、特定脳部位の興奮抑制バランスを操作するための技術を開発する。第二に、この技術を用い、興奮抑制バランスがスキル学習における可塑性・安定性を決めることを実証する。本研究の成果は、興奮抑制バランスの変調に起因する脳機能不全の治療法開発にも貢献し、科学・社会の両面で強い波及効果をもたらす。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:2019年度は、主として最終目標であるMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)フィードバック技術の開発に必要な基礎データの取得および解析を行った。主に脳視覚皮質からMRS信号を異なる時間長で取得し、時間長に応じてMRS信号の信号雑音比がどのように変化するか比較した。その結果、フィードバック技術に耐える測定時間長が大まかに同定された。今後はこの測定時間長をできるだけ短くするための技術的検討が必要である。また、異なるMRSシーケンスを用いてデータを計測するために、MRSシーケンスについての情報を集め、使用可能なものについては、開発元に連絡を取り、シーケンスに移管手続きを進めた。MRSを用いて興奮抑制バランスを測定するシーケンスにはさまざまな種類があるため、多様なシーケンスを用いてデータを取得することで、本研究の最終的な目標であるニューロフィードバックにより親和性の高いシー ケンスの検討が可能になる。さらに、視覚の学習実験を行った。この実験では、ヒトの被験者を対象とし、空間配置に規則性を持った視覚刺激の繰り返し提示により、その規則性がどのように学習されるかを検討するために行った。この実験から得られたデータの一部を論文として投稿し、受理された。この研究に関連して、視覚能力における学習や拡張を論じた総説論文を発表した。モデル動物を用いた実験については、分担研究者の高堂と連携・協力しながら、測定機材のデザイン・実験手順の検討および予備実験を進めている。
  40. fMRIニューロフィードバック法による慢性疼痛の神経科学的修復機構の解明 2020-03-01 – 2022-03-31 吉野 敦雄 広島大学, 病院(医), 講師 (90633727) 小区分52030:精神神経科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要:研究の説明・同意が得られた上で、健常者においてfMRIニューロフィードバック法を行い、制御可能性および安全性の確認を行う。また行動指標としての認知・注意課題の成績変化や、反芻に関する変化、脳内ネットワークの活動変化などのデータ解析を行ったうえでfMRIニューロフィードバック法を確立し、慢性疼痛患者に対する施行を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:【本研究の概要】
    まず健常者においてfMRIニューロフィードバック法を行い、制御可能性および安全性の確認を行う。研究の説明・同意が得られた後、無作為に標的脳領域またはシャム領域にそれぞれ割り付ける。評価項目は行動指標としての認知・注意課題の成績変化や、反芻に関する変化、後部帯状皮質を含めた脳内ネットワークの活動変化について確認する。健常者においてfMRIニューロフィードバック法を確立した後、慢性疼痛患者に対して施行する。研究の説明・同意が得られた後、無作為に標的脳領域またはシャム領域にそれぞれ割り付ける。fMRIニューロフィードバック法施行による認知・注意課題の成績や疼痛症状、反芻、不安・抑うつ、脳内ネットワークの活動変化を確認し、fMRIニューロフィードバック法による効果を検証する。
    【平成30年度】
    当院で行っているニューロフィードバック法の介入に参加し、慢性疼痛に対する同治療の可能性について検討中である。それらと関連した慢性疼痛のメカニズムに関する論文について国際誌に現在2報投稿中である(現在Revision中)。具体的には慢性疼痛の心理療法の改善には感情の改善が重要であること、嫌悪刺激を用いた強化学習課題においてある性格傾向が今回の学習課題に影響を与えていること、さらにそれらについて脳内メカニズムとして解明することができた。これらの結果については将来的なニューロフィードバック法の確立に役立つものであると考える。来年度も引き続き検証を行う予定である。
  41. 複数モダリティ脳イメージングに基づく集中時脳状態の解読技術とその応用 2018-10-09 – 2021-03-31 川鍋 一晃 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (30272389) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:脳波データから、脳機能ネットワークが集中時に近い状態にあるかどうかを推測する脳情報解読技術と、集中力トレーニングのための可視化システムの構築を目指し、本年度は以下の4つの課題に取り組んだ。第一に、前年度に、脳波の特徴量抽出のために、階層的ネットワークモデルSPLICEに時空間方向の畳み込み演算を組み込む拡張法を考案していたが、そのアルゴリズムの様々な改良に取り組んだ。具体的には、学習の不安定さの解消や局所解への対応のために、SGD、Adam、自然勾配法など複数の最適化法を比較したり、バッチ正則化、活性化関数、初期化手法などの諸要素を再検討したりすることで、アルゴリズムの挙動を段階的に改善した。さらに、この改良版アルゴリズムをPRREDiCT安静時EEGデータなどに適用し、前年度の結果と比較した。第二に、安静時と様々な課題実施時といった行動状態に依存しない脳機能結合の個人特性(共通神経モード)抽出法の研究の中で、多集合正準相関分析(M-CCA)に基づくアルゴリズムの開発に貢献した。安静時fMRIデータベースに適用したところ、異なる知性や能力と相関する3つの共通神経モードを発見し、これを説明変数に加えることで、QOLの予測精度が改善することがわかった。第三に、共同研究者のHyvarinen教授のポスドク研究員であるMonti氏が10週間滞在した際に、彼らが提案しているModular Hierarchical Analysisを用い、fMRI脳機能結合から年齢を推定する研究を実施した。この成果は現在論文投稿中である。第四に、ATR内で、SPLICE法から得られる特徴量に基づいて、fMRI脳機能結合の状態を推測するフレームワークを構築し、ATRが保有する、安静時および集中が必要な課題実施時のEEG-fMRI同時計測データに対して適用した。この成果を国内外の学会で発表した。
  42. 極度の忘我状態が引き起こす脳状態の変容-対人相互作用時のフローとチョーキング 2018-10-09 – 2024-03-31 中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320) 中区分61:人間情報学およびその関連分野 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:人間は基本的に社会性を持っており、その対人関係が様々な組織レベルを生み出す基礎となっている。高いエンゲージメント・タスクでは、高いコントロール性、高いパフォーマンス、楽しさを伴う「フロー状態」と、コントロール性の喪失、パフォーマンスの低下、不安を伴う「チョーキング状態」の2つの精神的脳状態が出現する可能性がある。本研究課題では、対人関係がこれら2つの脳の状態にどのように影響を与えるかに注目した。実施した活動は以下の通りである。
    (1)客観的なフロー/チョーキングモニタリングシステムの開発:タスクに関連した聴覚刺激を用いた現在の方法を改良し、他の感覚的な選択肢を検討した。これまでのところ、聴覚刺激が最も実現性が高いと思われる結果を得ている。
    (2-a)特異的な対人フローネットワークとは何か?:チームがフロー状態(チームフロー)に陥る神経認知メカニズムを明らかにする成果を得た。
    (2-b) 対人フローの発達の時間経過の中で、神経ネットワークがどのように動的に変化するのか?:(2-a)で得られた結果をもとに、個人/チームフローのリアルタイムニューラル評価をどのように組み立てるか検討を開始した。
    (2-c)チョーキングはinterpersonalになり得るか、対人フローの類似点/相違点は?:フロー活動中に個人の窒息を誘発する行動パラダイムを作成した。今後、このパラダイムをベースに、フローと窒息状態の関係を研究していく予定である。
    (3) これらの状態を開発するための専門性の効果の検討 :上記の目的を全て達成した上で、専門家を雇う可能性を探った。
  43. ニューロフィードバックを用いた言語的直観の神経基盤と可塑性の研究 2018-06-29 – 2020-03-31 時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849) 中区分2:文学、言語学およびその関連分野 挑戦的研究(萌芽) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:ある文に対する適格性判断は、それぞれの話者について不変だと考えられている。しかし、Carroll, et al. (1981, Language)は、英語文に対する適格性判断を母語話者に求める際に、鏡を眼前に置いて自身の姿を見せると、適格性判断が体系的に変化することを示した。本研究では彼らの知見を日本語文において検証すると共に、文呈示に伴う脳波計測によって文の適格性判断の神経基盤を考察した。実験の結果、鏡を眼前に置いた場合、文が非適格として多く排除される傾向があり、また、脳波のシータ帯域ならびにベータ帯域の信号強度が増大した。また適格性判断と話者の対人傾向とは有意な相関を示した。 研究実績の概要:
  44. ブレイン・マシン・インタフェースを使ったベットサイド脳卒中リハビリシステムの開発 2018-04-01 – 2021-03-31 橋本 泰成 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80610253) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 若手研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:脳卒中のリハビリに革新をもたらす技術としてブレイン・マシン・インタフェース(BMI)技術が注目されている。脳卒中患者では、脳の運動指令が正しく伝わらず筋収縮が起きない。そのため、「筋肉から脳への感覚フィードバック」も生じない。BMI を使えば、運動指令に呼応して電気刺激装置が他動的に筋を収縮させ、フィードバックが生じる。この「脳から筋肉、筋肉から脳への経路」の賦活が神経の回復を促進する。
    BMIを使ったリハビリ(BMIリハビリ)は、症例報告などによりある程度、安全性が確立されてきているものの、まだ実用化には至っていない。申請者は、これまでにベットサイドでも利用できるBMIリハビリ装置を開発し、少人数での臨床応用に成功している。本研究課題の2年目である2019年度では、実用化への壁となっている課題であるユーザビリティの強化と訓練効果の定量化に取り組んだ。
    脳波測定には、習熟した測定者が必要になるのが現状である。また運動企図を読み取るための最適な電極配置および頭部のサイズ・形状、神経回路構造には個人差があることも問題になる。そこで初年度に作製したヘッドセットの性能を評価した。脳波取り付けに詳しくない研究者の意見を取り入れて、改良を重ねた結果、硬質のヘッドセットではなく、柔軟性のあるネットにプラスチック製のチャンネルを取り付けたヘッドキャップを使って、頭皮にマークしたのち、能動脳波電極を張り付ける方法のほうが簡便で安定した計測が可能になることが示唆された。そのため、今後の研究ではこの方法を採用して脳波を取りつけることとした。
    また訓練効果定量化のための準備として、健常者における運動時・運動イメージの脳波取得および分析をのべ8名で実施した。これにより、健常者における大脳皮質の興奮性をある程度明らかにでき、今後実施する予定の脳卒中患者での訓練効果の測定の指針となるデータを得られた。
  45. 脳波を用いたニューロフィードバックによりエラー行動を予防する手法の開発 2018-04-01 – 2021-03-31 大良 宏樹 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (80612069) 小区分51010:基盤脳科学関連 若手研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を用いてエラー行動を予知し、注意を促す刺激を事前に提示することができれば、ヒューマンエラーに起因する 様々な事故を防ぐことができる。しかし、注意を促す刺激に反応してエラー行動を起こさないようにするためには、エラー行動にどのくらい先行して注意を促す刺激を提示する必要があるかが分かっていなかった。そこで本研究では申請者が発見したエラー行動に関与する脳活動を検出する手法(Ora et al., 2015, Scientific Reports)を活用することによって、エラー行動を事前に予知し、エラー行動を予防する手法を開発する。これによって、認知神経科学の分野では実行制御系についての知見、さらにはヒューマンエラーに起因する深刻な事故を未然に防止する技術への展開が期待され る。 本年度は昨年度に続き、エラー行動およびその予防手法を多角的に評価するため、ヘッドマウントディスプレイを使用したバーチャルリアリティを使用した行動タスクの開発に向けた検討を更に進めた。その結果、視点が異なっていても複数モーダルの感覚を一定の方法で提示することで、仮想現実世界に対して臨場感を感じることが示唆され、行動タスクの開発に必要な知見が得られた。また、次年度で計画されている行動タスクの拡張等に寄与することが期待される。今後これらの知見をもとにエラー行動を引き起こし、脳活動等からエラーを予防する手法の開発を行っていく。
  46. ASDの安静時脳機能結合評価と介入法の検討:より良い治療効果を得るために 2018-04-01 – 2021-03-31 土屋垣内 晶 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (30778452) 小区分10030:臨床心理学関連 若手研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:近年、科学技術の向上により、認知・行動・感情に加えて、脳活動もセルフ・モニタリングすることが可能になってきた。自身の脳活動をリアルタイムにモニタリングしながらコントロールするニューロフィードバック (Neurofeedback: NF) は、望ましい脳機能活動をフィードバックすることで、覚醒やリラクセーションといった心身相関を脳が自然と学習する手法である。NFは、症状・感情のモニタリングや自己報告が難しい神経発達症の大人や子どもにも適応可能である。しかし、NFは欧米を中心として臨床上の有効性が経験的に示されているものの、研究としてのエビデンスは少ない。うつ病や不安障害といった精神疾患や自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder: ASD) に代表されるような神経発達症においては、何もしていない状態での脳機能結合 (Default Mode Network: DMN)の活動が、健常者のものとは異なることが指摘されてきた。本研究の目的は、安静時におけるDMN領域の脳機能結合の差異を明らかにし、新たなNF手法の開発を行うことである。
    R1年度は、新たなfMRI-NFのプロトコル開発を行い、プロトコルの妥当性の検証を行った。H30年度の研究成果に基づき、否定的反復思考と相関するDMNの脳機能結合を弱めるNF手法を開発し、健常者においてその妥当性が確認された。実験群と統制群を比較した結果、実験群においてのみ、ターゲット領域内のDMNの脳機能結合が弱めることに成功した。
    これらのNFプロトコルの検証と並行して、ASDの安静時EEGデータの取得を継続している。
  47. 脳波と人工知能を用いた条件づけによるマインドワンダリングへのメタ的気づき能力上昇 2018-04-01 – 2021-03-31 川島 一朔 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (90773292) 小区分10030:臨床心理学関連 若手研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:マインドワンダリング(Mind-Wandering: MW)とは、現在取り組んでいることと関係のない事柄について考えてしまうことを指す。日常生活においてMWに陥ることは、気分を下げたり抑うつの原因になったりと、精神的な健康度に悪い影響を及ぼすとされる。一方で、MWに陥る傾向とクリエイティビティとが正相関することも報告されていること等から、MWの頻度を減らすべきとも一概に言い難い。近年、MWが生じていることに気づく能力が高いほど、MWからの悪い影響を受けにくいことが示されつつある。このMWへの気づきを高めることによって、気分の悪化等を防ぎつつ、クリエイティビティの増強といったMWからの良い影響を享受できる可能性がある。しかし現在、MWに気づく能力を操作する手法が存在しないため、この可能性を実験的に検証することは難しい。
    そこで本研究計画は、MWへ気づく能力を高める手法を開発することを主要な目的とした。当該年度においては、脳波からMWを検出しフィードバックすることによって古典的条件づけを成立させ、MWへの気づきが向上するかを検証した。58名を対象に実験を行い、うち条件にあう37名からのデータを検討した。プログラムにより群割付を自動化し、被験者へは実験の真の目的を研究終了時まで伏せることによって、二重盲検法のパラダイムを用いて検証を進めた。その結果、20分1回の条件づけ手続きによって、MWへ気づく能力の行動的・神経科学的指標が条件づけ直後に有意に上昇することが示された。MWへ気づく能力については注目を集めているものの、介入方法が存在しないために研究が進んでいなかった。当該年度における研究成果は、この現状に対するブレイクスルーとなりうるものである。
  48. テーラーメイドニューロリハビリテーション実現に向けた多感覚刺激治療装置の開発 2018-04-01 – 2021-03-31 兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本年度は,昨年度に引き続き,ニューロリハビリテーションデバイスの開発研究(基盤C:15K01439)で完成したプロトタイプデバイスを用いて,介入研究を実施した。本デバイスのシステム(iNems)(特許第6553492号)は,脳血管障害後の感覚運動障害患者や慢性的な感覚異常により身体実在感を創出した患者に対して,自らの能動的な脳内運動感覚指令を起点に視覚的・深部感覚刺激による受動的な代償的運動応答を誘起できるものである。センシングシグナルには脳波成分の出現パターンを利用している。本年度は,脳波センシングの計測・解析方法をより精度の高いものへと改変を行った。
    進捗に関しては,本システムを用いて,共同研究施設である愛知県および京都府の病院施設にて介入を継続している。昨年度は,しびれや感覚異常を主症状とする対象を中心に実施し効果を得た。本年度は,延髄梗塞後に感覚障害と運動障害により身体表象性低下を認める患者2名に対して介入を行った。6週間~7週間にわたる治療介入の結果,FMA上肢感覚項目,運動主体感および身体所属感に改善を認めた。さらに,麻痺側上肢の使用頻度および動作の質が向上した。以上より,運動感覚障害に対するiNemsトレーニングが,行動学的および神経生理学的な変化を引き起ことを明らかにした。本結果を踏まえ,対象者および対象症状の拡大拡充を目指し,現在も研究を継続中である。
  49. 非侵襲脳活動計測を用いた一次運動野刺激の疼痛認知抑制機構の解明 2018-04-01 – 2021-03-31 細見 晃一 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (70533800) 小区分56010:脳神経外科学関連 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:難治性神経障害性疼痛に対する一次運動野刺激療法(MCS)の除痛機序については、運動系の活動が疼痛の認知を抑制することが推定されるが、その詳細な脳内機序については不明な点が多い。本研究では、視床痛霊長類モデルおよび中枢性神経障害性疼痛患者を対象として、MCSによる脳内の運動・感覚関連領域の活動の変化を非侵襲的に計測する。
    動物実験では、マカクサルを各課題へ馴化し、モデル作成前の評価を実施した。健常状態で、経頭蓋磁気刺激(TMS)によるMCSを実施し、行動評価とマルチモダル脳MRI撮影を実施し、TMS-MCSによる行動及び脳内変化を評価した。視床出血後疼痛モデルを作成し、行動実験及び脳MRI、TMS-MCSを行った。また、それぞれの脳MRIの解析手法を検討した。疼痛患者実験では、2018年度までに収集したデータをもとにMCSによる除痛や痛みに特異的な脳内の運動・感覚システムの変化を検討している。
  50. ニューロフィードバックによる社交不安傾向が高い中学生のポジティブ思考教育法の開発 2018-04-25 – 2020-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:ポジティブ思考の想像学習と脳活動をリアルタイムでモニターしながら自ら操作する脳科学の最先端技術であるニューロフィードバックを融合させた革新的なポジティブ思考教育法を開発することが本研究の目的であった。
    令和元年度は、当初予定していた単一の脳領域の活動を用いたニューロフィードバックから研究をさらに発展させることを目指して脳機能画像の追加解析を実施した。具体的には、文献調査などから得られた最新の知見を参考に心理生理学的相互作用(gPPI)分析を用いて複数の脳領域間の機能的結合を解析した。解析の結果、想像学習中の脳活動について、対照介入群と比較して実験介入群では報酬を司る脳領域(側坐核)と感覚, 運動, 顔の認知などと関連する脳領域(中心前・後回,紡錘状回など)との機能的結合が有意に強くみられた。また、介入前後で報酬を司る脳領域と記憶の想起と関連する脳領域(後部帯状回など)との機能的結合が強くなった人ほど介入による社交不安の低減効果が大きくみられた。これらの結果は我々が構築した想像学習法を実施している際に被験者の想像が脳内で社会的報酬(笑顔や友好的な言動など)として処理され、介入後には習得したポジティブ思考の記憶が想起されていたことを示唆している。前年度までに得られた結果と総合して、本研究によりニューロフィードバックのシステム構築に向けて重要となる想像学習の介入効果と関連する脳科学的指標に関する知見が得られた。
    本年度の研究成果については、フランスで開催された研究会にて口頭発表し、筆頭著者として執筆した学術論文が査読付国際学術誌に受理された。加えて、小中学生の社交不安と生活習慣との関係を探索するためのアンケート調査を実施した。また、シドニー大学心理学部へ短期留学し最新の認知心理学の知見を習得するとともに共同研究を開始するなど国際的な人的ネットワークの形成にも努めた。
  51. 脳活動の偏側性を利用したアスリートのあがり防止法の確立 2018-08-24 – 2020-03-31 平尾 貴大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (70824572) 0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野 研究活動スタート支援 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:大脳の右半球には,スポーツ動作に重要な「空間認知」に関する脳部位が存在する.一方,左半球には「言語野」が存在する(あがり状態では,言語野と運動に関する脳領域活動のコネクティビティが強化される).これらの機能局在に起因して,標的を狙う動作を要するスポーツ競技では,相対的に左半球よりも右半球の脳活動を増強させること(右半球優勢な活動)が高パフォーマンスにつながる可能性がある.本研究では,大脳の左右半球における活動の不均衡を応用し,アスリートのあがり防止法を確立することが目的である.
    平成30年度は,コンピュータプログラムによって,右半球活動増強を目的としたニューロフィードバック(neurofeedback: NF)訓練のシステム構築を目指した.右半球の中心部から導出された脳波をオンライン解析し,アルファ帯域(8-13 Hz)のパワ値を棒グラフとしてフィードバックするシステムであった.当該システム作成後,ダーツ課題を用いて効果検証した.NF訓練が,ダーツパフォーマンスおよびダーツ投擲直前の脳活動にどのような影響を及ぼすか,統制群(虚偽のフィードバックを観察し,右半球活動増強を目指した)と比較することで検討した.その結果,訓練直後のダーツ試行では,NF訓練はパフォーマンス向上および右半球優勢な活動状態の創出に有効であると示唆された.しかしながら,プレッシャー下でのダーツ試行においては,その有効性が認められなかった.
    以上の実験に加え,アスリートの内受容感覚に関する脳機能について調べた.内受容感覚は,身体内部の感覚であり,不安と密接に関係することが知られている.本研究の結果,左半球に位置する脳領域の一部が,内受容感覚に対する注意制御に関与していることがわかった(2018年度米国精神生理学会にて成果報告した).
  52. 時の流れの神経基盤 2018-06-29 – 2023-03-31 北澤 茂 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00251231) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究では、ヒトとサルの脳を対象として楔前部を中心とする神経活動の計測を行い、現在(楔前部)を中心とする「時間の流れ」の神経基盤を解明する。本年度は以下の4項目の研究を実施した。
    1. 言語を介さない時間地図の描出: 映像と音声を含む刺激セットを作成し、同刺激条件下におけるヒト脳活動記録(fMRI記録)を進めた。また刺激中に現れる時間に関連した情報を取り出すためのタグ付け等に関する予備的な作業を進めた。
    2. 時間の流れの内観と脳の内部状態(時間地図の勾配など)の関係の解明:2種類の心理・行動課題を開発した。1つは、劇画を1コマごとに各自のペースで読み進める課題である。劇画の10000コマにわたる各コマについて、空間的な変化、時間的な変化、登場人物等のアノテーションを行った。もう1つは、日常場面を3秒間で切り取ったビデオクリップの再生方向を判断する課題である。時間の流れの方向に関するエビデンスを累積して閾値を超えると判断が行われるというモデルで判断過程を定量的に説明することに成功した。
    3. サルの時間地図と神経基盤の解明:本年度は視覚提示装置とMRI用のチェアを開発して、2頭の動物の訓練を開始した。
    4. ヒトのMEG/EcoG計測研究: 脳磁図に対応した視線計測装置を導入し、皮質脳波と脳磁図、および視線計測の同時計測をできる体制を整えた。また、健常者を対象として様々なシネマのfirst episodeを見せる課題と合わせ、同じ動画を頭蓋内脳波を計測中の患者に視聴してもらデータを取得した。皮質脳波と動画との同計測を進めている。
  53. 個体間脳波オシレーションのニューロフィードバックコントロール 2018-04-01 – 2020-03-31 大須 理英子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60374112) 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究課題では、ブレインマシンインターフェース技術やニューロフィードバック技術を社会神経科学に導入し、二者間の脳波同期レベルをリアルタイムフィードバックスするシステムを構築する。同期レベルをモニターしながら二者が様々なインタラクションを試みることで、どのような条件で個体間の脳波の同期がおこるのかを探索することを目指す。本年度は、オフラインの同時計測について、本実験を実施した。また、リアルタイム処理NFシステムを構築した。
    <NFシステム設計> LSLを使用して16チャンネルの脳波計(OpenBCI)2台を同期させ、二個体の脳波をリアルタイム表示しフィードバックするシステムを構築した。
    <二個体間脳波同期の要因の探索> 二人が交互タッピング課題を行っている際の脳波を、Quick30を用いて29チャンネルずつ同時計測した。タッピングはマウスを用いて早いテンポ、テンポ、任意のテンポで実施し、音によるフィードバックで相手とタイミングを合わせられるように設定した。脳波に加え、タッピングの速さや精度、社会性を測る指標(Social Skills Inventory(SSI))、自閉症スペクトラム指数(AQ)、相手との心理的距離を評価する指標(VAS)を取得した。各被験者の脳内の部位間での同期、二人の脳と脳の間での同期を、Circular Correlation Coefficient (CCorr)、Phase Lag Index(PLI)などの、同期を測る指標を使用して評価した。その結果、二人の社会性の関係性や、ダッピングのパフォーマンスと、脳波同期が関連している可能性が示唆された。
  54. 脊髄損傷後の機能回復を促進する脳活動の解明と制御 2018-04-01 – 2023-03-31 貴島 晴彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10332743) 中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究は、脊髄損傷後の代償性神経回路形成における大脳皮質活動の役割を解明し、それらを効果的に促進する治療法の開発を行うことを目的とする。そのため、脊髄損傷患者を対象とした研究と脊髄損傷動物モデルを対象とする研究を並行して行なっている。
    脊髄損傷患者を対象とする研究では、まず、事前準備として、脊髄損傷患者の脳磁図の検査のデータを格納するデータベース作成した。新規の脳磁図の検査条件の決定する過程で、既存の脳磁図の検査データの解析から得た結果の検定値が低いことが判明し、再度の解析を行い、検査条件の決定を行なった。これをもとに、脊髄損傷患者の脳磁図の測定を行なった。得られたデータに対して、電流源推定を行い、脊髄損傷患者と健康人を比較し、脊髄損傷患者に特徴的な変化を見出すことを目的とした解析に着手している。
    動物モデルの研究では、アカゲザル1頭に繰り返し運動ができる様にモンキーチェアに固定しトレーニングを行なった。これは、右手のみで繰り返し餌を獲得する課題である。課題が遂行できることを確認し、その後、頭蓋内に電極を留置する手術を行い、トレーニングを継続した。これにより、脊髄損傷のない状態での運動課題下での皮質脳波の変化を捉えることができた。動物モデルでも運動時のHigh-Gamma 帯域のパワーの増強を感覚運動野で認め、Beta-phaseとGamma amplitude のphase amplitude coupling の挙動の変化が明らかとなった。これらはこれまでのヒトの研究から得られた知見とは若干異なっていた。 この動物に脊髄損傷を作成した。さらにもう一頭のアカゲザルのトレーニングを開始した。
  55. 薬理遺伝学的手法を用いた前頭前野ー頭頂葉経路と前頭前野ー線条体経路の機能分離 2018-04-01 – 2021-03-31 坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782) 中区分10:心理学およびその関連分野 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:2頭のニホンザルに非対称性報酬の空間性遅延反応課題を学習させ、その前頭前野外側部にCre依存的にDREADDを発現するAAVウイルスベクターを注入し、その投射先であ る大脳基底核線条体に逆行性にCreを運ぶレンチウイルスベクターを注入した。これにより、前頭前野外側部ニューロンの中でも、線条体に投射するニューロンに 選択的に抑制性DREADDが発現する。その後、非対称性遅延反応課題遂行中のサルにCNOを注射して、行動の変化を観察した。その結果、前頭前野外側部から大脳基底核線条体への投射の選択的抑制により、2頭のサルともに課題の正答率、 特に小報酬試行での正答率が有意に低下した。しかし、ともに作業記憶機能への影響は見られなかった。前頭前野外側部と線条体から、局所場電位を同時記録したが、2つの部位の活動の位相差の coherenceを計算することにより、2つの部位間の情報伝達量を調べた。1頭目は、20-30Hzの周波数帯で、特に小報酬試行の時に情報伝達量が低下していることがわかったが、2頭目はより高い周波数帯で同様のcoherenceの低下がみられた。前頭前野と線条体の結合は、前頭前野から線条体への1方向性であることが解剖学的に分かっている。このことから、前頭前野外側部から大脳基底核線条体への情報伝達が、特に動機が低下した状況での長期的報酬予測に基づく課題の遂行と関わっていることを示唆するものと思われる。現在、論文執筆を行っている。
    非対称性報酬の空間性遅延反応課題の前頭前野―>頭頂葉の機能的役割を調べる研究については、2頭のサルに課題訓練を施し、現在ウイルスベクターの注入を行っている。
  56. 重度の上肢麻痺に対するニューロフィードバックを併用した複合的CI療法の開発 2018-04-01 – 2023-03-31 道免 和久 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50207685) 小区分59010:リハビリテーション科学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:今年度は当初の計画通り、対象患者を当院に通院中の患者より抽出し、重度上肢麻痺の脳卒中患者に対して上肢リハビリテーションロボット(ReoGo-J)を併用した修正版CI療法(Constraint-induced movement therapy)を実施した。
    CI療法をはじめとした課題指向型訓練の難易度調整による運動学習効果の機序の解明について、近赤外線分光法を用いた脳機能の観点から解明し、効率的に脳可塑性を誘導できるニューロフィードバックシステムの開発を行うため、CI療法前後の近赤外線分光法を用いた脳機能測定も引き続き実施した。
    CI療法による麻痺側上肢機能の長期的な改善効果の機序の解明に関しては、昨年度からやや研究計画を変更し、簡便かつ実用的に上肢の使用状況をモニターできる簡便な方法として、超小型加速度センサー(アクチグラフ社製GT3X-BTシステム)を導入した。これによりCI療法の前後7日以内の通常の活動日の上肢活動量を計測し、麻痺側上肢および非麻痺則上肢の使用状況のモニターを実施した。超小型加速度センサーを用いた上肢活動量に関しては従来の活動量の主観的指標(Motor activity log)との相関傾向を認め、上肢活動量の客観的指標としての有効性が示された。
    重度上肢麻痺の脳卒中患者に対する上肢リハビリテーションロボットを併用した修正版CI療法の効果は、これまでの集積データを含めて第13回国際リハビリテーション医学会世界大会で成果を発表した。
  57. 記憶・想起の脳機能ネットワークの解明と認知症早期治療システムの構築 2018-04-01 – 2022-03-31 呉 景龍 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (30294648) 小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:認知症は記憶障害を主な症状とする高次脳機能の疾患であるが、現時点では認知症を完全に 治す薬がなく、症状の進行を食い止めるための非薬物的な早期治療が極めて重要である。しか し、認知症早期治療技術がまだ確立されていないのが現状である。本研究では、申請者らの脳 機能ネットワークの解明とニューロフィードバックと経頭蓋直流電気刺激による早期 治療に関する最新成果を活かして、高磁場環境で使用できる実験装置を独自に研究開発し、認 知実験、脳波とfMRIを併用する手法によって、記憶・想起の脳機能ネットワークを解明し、認 知症の早期治療モデルを提案する。さらに、早期治療の臨床実験によって認知症の早期治療モ デルの有効性を検証し、記憶・想起の脳機能ネットワークに基づく視覚・聴覚・触覚の多感覚 ニューロフィードバックを用いた認知症早期治療システムを構築する
    実施状況については、まず、記憶・想起の脳機能ネットワークの解明と認知症早期治療システムを研究するため、視覚、聴覚及び触覚の認知記憶脳機能解明の実験タスクを考案した。得られた認知心理学の離散データ、脳波の波形データとfMRI画像データについて多変量・独立成分分析などの手法を用いて実験結果を解析して認知記憶の脳機能ネットワークを解明した。さらに、認知症患者の臨床実験の実施とデータ解析を行って、記憶・想起の脳機能ネットワークに基づく視覚・聴覚・触覚の多感覚ニューロフィードバックを用いた認知症早期治療システムを構築している。
    これらの成果は雑誌論文5件(Frontiers in Integrative Neuroscience 1件, Experimental Brain Research 1件, Perception1件, Heliyon 1件, Journal of Neurophysiology 1件)に掲載され、学会発表9件で発表された。
  58. 予測誤差と運動主体感をつなぐ神経機構の解明 2018-04-01 – 2021-03-31 今水 寛 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30395123) 小区分10040:実験心理学関連 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:人間が身体を動かすとき「体を動かしているのは自分である」という感覚を得る.これは運動主体感と呼ばれる.これまで「運動結果の予測」と「実際の運動結果」とのずれ(予測誤差)が,主体感を決めるといわれてきた.この仮説は,統合失調症の妄想・幻覚なども説明しうる仮説として注目されている.本研究課題は,予測誤差がどのようなプロセスを経て主体感に至るのか,そのメカニズムと神経基盤を解明することを目的とする.2018年度は,1)運動主体感の基礎的なプロセスを調べるために,コンピュータ画面に表示される運動が,自分の運動か他人の運動なのかを曖昧にした実験状況を作り,行動データから推定した予測誤差と,運動の自他帰属の関係をモデル化することを開始した.2)運動の自他帰属を実験的に操作することで,運動そのものにどのような影響を与えるかを調べた.その結果.1)予測誤差は運動の自他帰属に影響を与えるが,確率的に曖昧な過程を含んでいることが解り,その過程をモデル化することが重要であることが解った.2)被験者に自分の運動であったかどうかを判断させ,その判断に「正しい」「間違い」というフィードバックを与えることによって,運動主体感を操作する(バイアスを与える)と,運動そのものが変化することが解った,この結果は,高次認知による判断が,予測誤差などの感覚運動情報に影響を与えることを示唆しており,予測誤差が運動主体感に影響を与えるだけでなく,運動主体感が予測誤差にも影響を与え得ることを示唆していた.その他,予測誤差と運動主体感の間をつなぐ神経基盤を調べるために,脳の領域の結合性を解析する技術の開発,基礎的な運動機能と認知機能の関係を調べる実験を行った.
  59. オラリティを核とする共在や共感の質の定量評価と介入応用 2017-07-18 – 2021-03-31 川島 隆太 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90250828) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:オラリティを核とする共在や共感の質を、実生活空間での脳活動計測データにより定量化し、ニューロフィードバック手法を応用してコミュニケーションや対面的社会関係の支援システムの構築を行うことが本研究の目的である。
    令和元年度はオラリティを核とする共在や共感の質の定量評価法の開発を目指して以下の脳活動計測実験を引き続き実施した。健康な右利きの大学生および大学院生を被験者とし、互いに同性で面識のない5名を1組として、大学の専攻に基づき学問上の興味の異なるグループと近似したグループを3組ずつ形成した。グループ毎に日常生活上の興味や関心と近い話題と遠い話題を3つずつ選定し、指定した話題に関して5分間×6セッションの集団会話をさせた。集団会話中の背内側前頭前野および左背内側前頭前野の活動変化を超小型近赤外分光装置によって計測し、被験者間の同一脳領域間の脳同調をWavelet transform coherence解析で評価した。オラリティの質を反映する定性的評価指標として、各セッション後に直前の集団会話における会話満足度と集団雰囲気に関する内観評価を収集した。加えて、個人差解析の為に心理質問紙による性格指標(5因子性格,共感性,社交不安,全般性不安,社会的スキル)の収集および認知機能検査(実行機能,エピソード記憶,作業記憶,処理速度,注意)を実施した。
    現在までに取得済みの脳活動計測データを解析した結果、興味関心の高い話題について会話をしている時ほど共感や社会的認知に関与する背内側前頭前野の脳同調度が高い傾向がみられた。一方、認知制御や言語思考に関与する左背外側前頭前野の脳同調度には顕著な条件間差は認められなかった。引き続きデータの収集および解析を進め、会話満足度および集団雰囲気と脳同調指標との関係を明らかにし、脳活動計測データによるオラリティの質の定量化について妥当性を検証する予定である。
  60. 脳血管疾患患者へのニューロフィードバックを用いた摂食嚥下リハビリテーションの確立 2017-04-01 – 2020-03-31 元開 早絵 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60792877) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:要介護高齢者が増加する日本では、介護負担を軽減するため有効な機能回復手法の開発が重要である。申請者は運動課題時の脳血流量の増加に注目し、他者の運動映像を視聴することによっても十分な脳機能活性が得られるのではないかと考えた。測定時、他者の運動映像を視聴することにより脳血流増加は認められたが、課題を施行した時ほどの効果は見られなかった。そのため、他者の運動映像を視聴しながら運動課題を施行する場合の検討を行った。結果、運動課題を施行するのみの場合より脳機能が活性化されることが考えられた。 研究実績の概要:
  61. ニューロフィードバックトレーニングを応用した新しい口腔機能訓練法の開発とその評価 2017-04-01 – 2019-03-31 後藤 崇晴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581381) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、ニューロフィードバックトレーニングを用いた口腔機能訓練法の開発として、咬合力と前頭前野の活動に着目し、健常歯列を有する若年者と高齢者、およびインプラントを用いた固定性補綴装置を装着している高齢者を対象にその関連を検討した。本研究により、高齢者同士で比較した場合、インプラントは、天然歯と同等の咬合力調節が可能であり、感覚統合における前頭前野の脳血流量の増加は、天然歯に劣ることはなく、若干増加傾向にあると考えるが、発現する咬合力はやや高くなる傾向で、高齢による調整能力低下には注意を要することが示唆された。 研究実績の概要:
  62. 徳倫理学における「道徳的な性格」という考え方の意義と可能性についての研究 2017-04-01 – 2020-03-31 立花 幸司 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (30707336) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:道徳を探究する現代の学問分野群にとって、アリストテレスを始祖とする徳倫理学のもつ可能性が注目されて久しい。本研究課題では、アリストテレス的徳倫理学のもつ優れたアイデアの一つである「倫理的な反応が求められている状況において、道徳原則に頼ることなく適切な反応を可能とする〈道徳的な性格〉」に焦点をあて、(1)現代の倫理学研究における「道徳的な性格」という考え方のもつ哲学的な意義を検討し、そして(2)この考え方が狭義の哲学倫理学のみならず、道徳性を研究する今日の経験科学に対してもつ可能性を明らかにした。 研究実績の概要:
  63. 脳卒中患者のニューロフィードバックを用いた運動リハビリテーションの効果 2017-04-01 – 2019-03-31 手塚 正幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (40721311) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いた神経活動を修飾する系を構築した。健常者と脳卒中患者を対象とし、視覚条件と振動条件の探索課題を行った結果、振動条件にのみ個人差を認めた。fNIRSを用いて課題中の前頭前野活動も測定しており、その個人差が反映する脳基盤が背外側前頭前野であることを示した。この背外側前頭前野の機能に介入する新たな手法としてfNIRSを使ったニューロフィードバック系を構築し、片側麻痺を持つ急性期脳卒中患者に実施した結果、脳機能が高い個人ほど背外側前頭前野活動が上昇する傾向が得られている(n=20、群間差 p=0.072)。 研究実績の概要:
  64. 違和感の少ない舌動作推定手法を利用した嚥下リハビリテーションシステムの構築 2017-04-01 – 2021-03-31 中谷 真太朗 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (10781700) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究の目的は,電極を取り付けたマウスピースを用いた口腔内電位の計測によって舌の動作状況を可視化できる舌運動訓練システムの開発である.本年度は,識別結果を用いたディスプレイ上へのカーソル表示方法の提案に加えて,開発した舌挙上運動トレーニングシステムによる健常人に対する臨床実験について取り組んだ.
    舌運動に応じたディスプレイ上へのカーソル表示方法については,個人の運動能力に合わせたパラメータ調整を制御器調整法であるFRIT(fictious reference iterative tuning)によって行わせることとし,その際の理想のカーソルの軌道をあらかじめ人間の腕のリーチング軌道を模したモデルであるTBG(time based generator)を利用することを提案した.本手法において線形時不変システムにおいて利用可能なFRITを,時間軸の非線形化によって非線形のTBGモデルに適用することができることをシミュレーションにより示した.この成果は,学術誌 計測自動制御学会論文集にて発表した.
    平行して,舌の上下動時に舌に対して下向きに一定の負荷をかけることができる装置の開発を進めた.一定の負荷を与えながら運動を行わせる動的一定外力抵抗訓練というトレーニング法が知られているが,これを舌の挙上訓練において実現させた.本装置を用いた健常人に対する臨床実験を行い,代表的な舌運動機能の評価手法である最大挙上舌圧や,一定時間内の発生回数を計測するオーラルディアドコキネシスによる結果との比較を行った.本成果は,日本ニューロリハビリテーション学会学術集会およびSICE 2019 において口頭発表を行った.
  65. 脳卒中患者の麻痺側上肢の運動機能回復を促進させるニューロフィードバック法の開発 2017-04-01 – 2020-03-31 中野 英樹 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究の目的は,聴覚ニューロフィードバックトレーニングを用いた運動イメージトレーニングが脳卒中患者の麻痺側上肢機能と運動イメージ能力に及ぼす効果を検証することである.対象者は通常のリハビリテーションに加え,運動イメージを用いた聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施した.その結果,麻痺側上肢機能と運動イメージ能力のスコアはトレーニング後に改善を示した.本研究により,運動イメージを用いた聴覚ニューロフィードバックトレーニングは,脳卒中患者の麻痺側上肢機能と運動イメージ能力の改善に貢献することが示唆された. 研究実績の概要:
  66. 舌痛症に対する抗うつ薬と認知行動療法による治療効果の脳機能画像的評価 2017-04-01 – 2021-03-31 土井 充 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30412620) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:舌痛症の治療法としては、抗うつ薬による治療と認知行動療法による治療はそれぞれエビデンスが高いが、その有効性は患者個人によって違い、病態には様々なタイプがあると考えられる。
    本研究の目的は、抗うつ薬治療や認知行動療法による治癒過程における神経科学的修復機構を脳機能画像で評価し明確にすることである。これにより、舌痛症を病態分類し、それぞれに適切な治療法を立案することができる可能性が考えられる。また、特有の機能不全の脳領域が明らかになれば、今後は患者自身がfunctional-MRI画像を見ながら特定の部位を賦活化するニューロフィードバックの治療に発展していく可能性もあり、これは、臨床的に有意義なだけでなく、国際的にも舌痛症の治療としては先駆的である。
    現在は、舌痛症患者の被験者に対して、まず、抗うつ薬よる治療を行い、治療前後のエンドポイントにおいて、functional-MRI撮像による脳機能画像評価と、破局的思考などの慢性疼痛に関係する各種の心理質問紙による心理評価を行い、データを収集し、さらに、治療効果が悪い患者においては、小グループの12週間1クールの認知行動療法を併用して施行し、治療前後のエンドポイントにおいて、同様の脳機能画像評価と心理評価を行い、データを蓄積しているところである。
    被験者数がまだ少ないこともあり、脳機能的な評価の解析においての大きな変化は認めないが、痛みの主観的な評価や、心理質問紙における評価においては、各治療後のエンドポイントで改善傾向を認めている。
  67. ニューロフィードバックを用いた革新的前庭リハビリテーションシステムの開発 2017-04-01 – 2020-03-31 高倉 大匡 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (50345576) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、めまい時の大脳活動の変化を解明し、脳神経科学を応用した前庭リハビリテーションシステムを開発すること目標とした。主な成果は以下の通りである。
    1) 前庭覚・視覚・体性感覚の不一致によって、縁上回、頭頂側頭接合部などの自己運動認知に関連した大脳皮質が活動することを解明した。2)一側前庭障害後の慢性めまい患者の大脳活動の違いから、患者毎に正常感覚入力(視覚・体性感覚)への依存度が異なる可能性を明らかとした。3)主観的めまい感覚の強さが背側縁上回の活動性と負の相関をもつ事を解明した。4)大脳血流リアルタイムフィードバック装置を導入し、同装置により背側縁上回付近の血流が増加する事を確認した。 研究実績の概要:
  68. 霊長類視床痛モデルにおける中枢性疼痛メカニズムの解明 2017-04-01 – 2020-03-31 齋藤 洋一 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (20252661) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:肥後博士の協力で、マカクサルの片側視床(VPL核)に微小な破壊を行いアロジニアを示す個体を作成した。その2頭のマカクサルの行動データ(温度刺激、触覚刺激)を検討。片側VPL核破壊後、数週間後からアロジニアが反対側に現れ数か月かけて減少していく傾向が見られた。VPL核破壊後の経時的な構造画像では1ヶ月ほどで破壊巣は小さくなった。拡散テンソル画像ではVPL核と一次感覚野を結ぶ神経束の密度が減少した。
    経時的なrs-fMRIデータを解析したところ、アロジニアが発生後は、破壊と同側の視床(MD/Pf核)と扁桃体間の機能結合が上昇していた。rTMSを施行すると、MD/Pf核と扁桃体間の機能結合が低下した。 研究実績の概要:
  69. ニューロフィードバックの倫理―医工連携の研究倫理と社会的受容性 2017-04-01 – 2020-03-31 中澤 栄輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90554428) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、近年、脚光を浴びつつあるニューロフィードバックに焦点を絞り、その倫理的問題について検討し、社会的受容性を評価することを目的とした。ニューロフィードバック技術は近年、急速に進歩している一方で、倫理的視点による分析はいまだ萌芽的段階にとどまっているものの、その倫理的要点は社会受容性、インフォームド・コンセント、リスク・ベネフィット評価である。とりわけ、ニューロフィードバック技術の不可逆性に関するリスク評価と社会的受容性は本技術の倫理的な要点になることが分かった。 研究実績の概要:
  70. 長期間にわたって繰り返し利用可能なブレイン・マシン・インタフェースの開発 2017-04-01 – 2020-03-31 森重 健一 富山県立大学, 工学部, 講師 (30433197) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:異なる日に同じ人の脳波を記録する際、毎日まったく同じ位置にヘッドキャップを被ることはできないため、脳波電極の位置ずれを避けることは困難である。そのため、これまでのBMIでは、脳波電極を頭に取り付けるたびに、脳活動とノイズを分離し直したり、解読器を用意し直したりすることで、脳波データから脳情報を解読していた。これらの計算には長い時間を要するため、日常生活の中でインタフェースとして毎日使い続けるには大きな障害であった。本研究課題では、電極の位置ずれがある脳波データであっても、アーチファクトを分離して、短時間で精度よく脳電流を推定でき、その時系列データを長期間にわたって繰り返し再構成できた。 研究実績の概要:
  71. 脳活動の変調に伴う運動記憶の獲得 2017-04-01 – 2020-03-31 門田 宏 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (00415366) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:我々が日常生活を営むうえで運動は欠かせないものであり、その多くは学習によって獲得されたものである。本研究では、実験参加者の脳の活動状態と運動学習との関係を明らかにしていくことを目的とした。実験参加者は視覚的に提示される脳活動情報に基づいて、自己の脳活動状態を変化するようトレーニングを行った。また、トレーニング後に2種類の相対する環境を学習する課題を行った。その結果、トレーニングによって自己の脳活動を変調させることができるようになること、しかし異なる運動記憶を獲得するには今回の脳活動の変調では不十分であることが示唆された。 研究実績の概要:
  72. 機能回復を促進する意識と工学的デバイスとの相互作用解明 2017-04-01 – 2020-03-31 浦川 将 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (30445811) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:リハビリテーション領域で活用される工学的手法を用いる際の、利用者の脳活動と意識に着目して研究を行った。自らの脳活動をフィードバックしながら運動想像を行う研究では、前頭極の脳活動をフィードバックしながら制御することで、効果的なパフォーマンス向上が得られることが明らかとなった。ロボットHALを装着して、意識的に運動を制御する場合には、前頭葉-頭頂葉の運動関連領域の活動上昇が得られ、パフォーマンス制御に関わっていることが示唆された。 研究実績の概要:
  73. ニューロフィードバックが高齢者の認知機能に及ぼす効果の解明 2017-04-01 – 2021-03-31 山口 哲生 東邦大学, 医学部, 講師 (70464592) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:ニューロフィードバック(NFB)とは、脳波の変化を視覚刺激や聴覚刺激として実験参加者へフィードバックすることで参加者自身が脳波を制御する手続きである。NFBでは、特定の脳波周波数帯の振幅を強化(または抑制)することで、臨床効果を得られることが示されている。一般にα波の振幅は加齢とともに低下するが、低い周波数帯のθ波は、加齢とともに増加する。また、健常者に比べてアルツハイマー患者では、θ波が多く見られることも明らかになっている。本年度は前年度に引き続き、α波(もしくはSMR波)の振幅を強化、θ波の振幅を抑制するNFBが健常高齢者の認知機能に及ぼす効果を検討した。特に本年度は、75歳以上の後期高齢者を主な参加者とした。NFBの効果を検討するために、介入の前後で、①簡易型認知機能検査(MMSE)、②「ワーキングメモリ」、 「実行機能」、「注意」、「エピソード記憶」を測定する認知テストバッテリーを実施した。その結果、α波の振幅に有意な増加は見られなかったが、θ波は有意に減少することが示された。また、認知テストバッテリーのうち「ワーキングメモリ」の得点は、NFBの介入後で有意に増加することが示された。これらの結果は、 NFBが健常高齢者、特に後期高齢者においてもその認知機能の向上に有効であることを示している。次年度は、NFBの長期的な効果を検討するために、 介入から6ヶ月後に再び脳波の測定と上記のテストを実施する予定である。
  74. 歩行律動同期型脳・末梢神経筋ハイブリッド刺激による神経可塑性誘導と歩行機能回復 2017-04-01 – 2020-03-31 小金丸 聡子 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40579059) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:これまで手術を必要としない非侵襲的な脳刺激法が広く、脳神経損傷患者において使用されており、多くの機能回復の報告が出ています。しかしながら、脳刺激法により歩行機能を再建するには、まだまだ報告が少なく、効果的な刺激法がわかっていません。そこでこの研究では、電流強度が一定のリズムで変化する脳刺激を用いて、これがヒトの歩行を変化させることができるか、まず健康な成人で検討しました。その結果、歩行リズムが脳刺激のリズムに同期していくことが分かりました。そこで、歩行に同期した脳刺激を行い、歩行障害のある脳卒中患者で検討しました。その結果、脳卒中患者にて歩行機能を回復させることが分かりました。 研究実績の概要:
  75. チックの抑制のための神経認知行動療法:バイオフィードバックの新たな応用可能性 2017-04-26 – 2021-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:2019年夏からHRVを用いたCBITの介入研究を開始し、現在までに4名が評価を完了した。これまでに14名をリクルートし、10名が参加し、2名が脱落した。脱落例のうち、1名は家庭の事情による初期の中断であり、もう1名は介入終了後の評価ができなかった。CBITによってチック症状が悪化した例はみられなかった。事前事後の評価ができた7名について、Yale Global Tic Symptom Scale(YGTSS)によるチック症状の変化は以下のとおりである。事前評価:チック症状合計の平均36.4点(標準偏差:8.2,範囲:24-45),社会機能の障害の平均37.1点(標準偏差:7.6,範囲:30-50),全重症度平均73.6点(標準偏差:14.8,範囲:54-95)。介入後評価:チック症状合計平均27.3点(標準偏差:10.0,範囲:8-39),社会機能の障害の平均26.4点(標準偏差:9.4,範囲:10-40),全重症度平均53.7点(標準偏差:18.7,範囲:18-79)。チック症状合計の差の平均は9.1点(標準偏差:4.1,範囲:5-16)であった。大規模なトゥレット症候群に対する CBITのRCTにおけるYGTSSチック症状合計の点数変化は,子どものグループで24.7点から17.1点(Piacentini(2010))であり、大人のグループで24.0点から17.8点(Wilhelm(2012))であった。今回の対象者は,介入前のチック症状合計が35点を超える重症例が5名おり,先行研究と比べて重症な対象者が多かった。CBITは軽度~中程度のチック症状に効果があるとされてきたが、HRVを併用することや、暴露反応妨害法を併用することによって、重症なチック症状を持つ当事者に対しても認知行動療法の効果が期待されることが示唆された。
  76. 行動設計時の海馬発火シークエンスの意義の解明 2017-04-26 – 2020-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:将来の行動と相関する海馬神経細胞の発火シークエンスの意義の解明のために、昨年度に引き続き、主にi)状況依存的な経路設計課題の設定、および海馬からの神経活動の記録、ii)自由行動下における海馬シャープウェーブリップル(Sharp-wave ripple)および海馬発火シークエンスの意義の検討のための、フィードバックシステムの開発を行った。
    i)について、平成30年度までに改善した行動実験系において、ラット海馬CA1野から神経活動を記録し、100個以上の神経細胞の活動の同時記録に成功し、データ解析を行った。
    ii)について、本研究では、特徴的な海馬Sharp-wave rippleを伴う発火シークエンスの意義を解明するために、自由行動下でフィードバックできるシステムを構築した。システムを最適化し、これまでより低いレイテンシでデジタル信号処理を行い、フィードバックすることが可能となった。このシステムを用いて、フィードバック実験を行った。
    これらの実験・解析データをもとに、海馬の細胞は自身の場所だけでなく、行動課題の文脈の情報もコードしており、そのような細胞がより優先的にリプレイに組み込まれることを発見した。これは、海馬神経回路が学習課題の構造という抽象的な情報を抽出し表現することができることを示唆している。また学習中のリプレイは、そのような表現を用いて、これまでの経験からの予測と比較して学習に重要なエピソードを優先的に再生していることを見出した。
  77. うつ病の再発防止のためのマインドフルネスのニューロフィードバック介入法の開発 2017-04-26 – 2020-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究は、うつ病の再発防止のためのマインドフルネスのニューロフィードバック法を開発することを目的としていた。2019年度の主な成果は以下である。
    ①マインドフルネスのニューロフィードバックのターゲットとなる脳波指標を検討するにあたって、まずマインドフルネス介入の作用機序を明らかにする必要がある。マインドフルネスの標準的な介入プログラムでは、身体感覚への注意から始まり、ネガティブな思考や感情を回避しないことなど、多くの要素を扱う。そのため、それらの多くの要素の中から、実際にどの要素がマインドフルネス介入によるうつ・不安の改善を説明するのかを明らかにするために、探索的な検討を行った(単群介入デザイン)。その結果、思考と現実を混同する傾向(認知的フュージョン)の低減が、マインドフルネス集団療法によるうつ・不安の改善を大きく説明することが明らかになった。
    ②マインドフルネスのニューロフィードバックのターゲットとなり得る脳波指標として、マインドワンダリングの程度を予測するモデルから推定された、瞑想中にマインドワンダリングから戻る時間(復帰時間)が有用である可能性を示した。このことは、瞑想実践者において、マインドワンダリングからの復帰時間が短い人ほど、マインドフルネスの要素の1つである「思考に反応しない」スキルが高いことから示唆された。
    ③上記の②の指標(マインドワンダリングからの復帰時間)が、実際にマインドフルネス集団療法の作用機序を担う変数となり得るかどうかを、うつ・不安に対するマインドフルネス集団療法のランダム化比較試験によって検証した。その結果、マインドワンダリングからの復帰時間の変化は、直接的にうつ・不安の改善を説明する変数ではないが、思考に反応しないスキルの向上と関連することが示され、間接的にマインドフルネス介入の作用機序と関わる可能性が示唆された。
  78. 脳卒中片麻痺の皮質ー視床ループの異常興奮を抑制するニューロフィードバック法の開発 2017-04-26 – 2019-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究では、安静時における不随意な筋緊張を治療するために、筋緊張の原因である皮質の興奮性を抑制するためのニューロフィードバック法を用いた運動訓練を開発し、その効果を神経生理学的な観点から評価した。本年度は慢性期脳卒中患者を対象に10日間のニューロフィードバック法を用いた運動訓練をおこなった。1日あたりの介入時間は40分であった。ニューロフィードバック法を用いた運動訓練による脳構造的変化を評価するために、介入前 (0日目)と介入後(10日目)において磁気共鳴画像法 (MRI) を用いて3次元脳構造画像を測定した。安静時に不随意に痙縮していた状態の麻痺手が、訓練5日目では屈曲が緩和し、さらに訓練最終日では伸展した状態にまで改善した。ニューロフィードバックにおいて、生体指標としている脳波の関心周波数帯の信号強度変化を評価したところ、介入初日と比較して介入最終日では、訓練半球である損傷半球一次体性感覚運動野近傍の神経群活動の興奮性を修飾したことが分かった。さらに、脳構造画像の解析において、訓練半球側とは対側の非損傷半球一次体性感覚運動野において有意な密度減少が確認された。この結果は、脳卒中によって生じる非損傷半球から損傷半球への過剰な抑制性神経投写が減少したことを示唆する。さらに安静時の機能的活動性を評価すると、ニューロフィードバック法によって麻痺側の体性感覚運動野の機能的活動性が即時的に増強した。これらの結果を併せると、開発したニューロフィードバック法は、対象脳領域である損傷半球一次体性感覚運動野の神経活動を修飾し、経日的に繰り返し介入することで、非損傷半球との半球間抑制を調節することが示唆された。これらの結果は、ニューロフィードバック法を用いた運動訓練の神経生理学的な作用に関する重要な知見を明らかにした。
  79. ミラーシステムの活動向上は他者感情知覚時の反応を変化させるか? 2017-04-26 – 2019-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究課題は感情知覚時のミラーシステム活動の役割について明らかにすることを目的とし、ニューロフィードバック訓練を用いてミラーシステムの活動を変化させることで、どのように他者の表情知覚が変化するか調べることとした。
    本年度は、前年度に構築したニューロフィードバックシステムを使用して2度実験を行った。
    実験の1度目は、構築したシステムで期待するフィードバックが行えるか検証するものであった。実験参加者11名に対し、動作観察時にμ波のフィードバックと後頭部α波のフィードバックをした時の比較を行い、μ波のフィードバックを行った時にμ波抑制が維持されることを確認した。2度目の実験では、実験参加者30名をフィードバック群と偽フィードバック群に分け、システムを使用した訓練を15分間行った。群間と訓練前後で課題成績や脳波パワー値を比較することで、訓練の効果を検証した。その結果、ミラーシステムの一領域である運動野近傍の活動がフィードバック群において向上することが確認された。これらの結果より、ミラーシステムの機能について調べる研究に使用できるシステムが構築できたと考えている。現在1度目の内容について論文を投稿中であり、2度目の実験についても投稿準備を進めている。
    また、本年度は2017年度末に行った実験の解析も進め、ミラーシステムの活動が観察時の意識状態によって変化することを明らかにした。研究成果は学術論文として国際誌に掲載された。
  80. 適応的記憶忘却メカニズムの解明―行動およびfMRIデータモデリングの活用― 2017-04-26 – 2020-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:自分自身の意思決定についての主観的認識(メタ認知)について研究を行った。前年度の研究は、強制二肢選択についての主観的確信度の計算メカニズムを実験的に示すものであった。今年度は、昨年実験的に示された確信度計算メカニズムの背景的数理を生態学的合理性の観点から意義付けるコンピュータシミュレーションを行った。生態学的に妥当な状況設定の下で効率的に働くヒューリスティック的アルゴリズムを考えることで、従来の規範的な理論では説明できないと考えられていた無意識的な記憶想起(潜在記憶)や知覚現象(盲視)を節約的に捉えることに成功した。本研究の成果はカリフォルニア大学ロサンゼルス校のHakwan Lau教授との共著論文として心理学誌の最高峰であるPsychological Reviewに掲載された。また、今年度の後半はカリフォルニア大学ロサンゼルス校およびリバーサイド校においてfMRIニューロフィードバックを用いた実験をスタートさせたが、間もなくコロナウィルスの蔓延により施設が閉鎖となり、研究は中断となった。
  81. 双方向ニューロフィードバックによる神経刺激型再運動学習パラダイムの開発 2017-08-25 – 2019-03-31 林部 充宏 東北大学, 工学研究科, 教授 (40338934) 研究活動スタート支援 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:脳卒中すなわち脳血管障害の増加は全世界で社会的に深刻な問題を起こしうる要因のひとつとなっており患者、介護者と社会に大きな経済的負担を課している。この傾向は高齢化社会に伴いさらに今後深刻になることが予想される。本研究は脳の可塑性と脳の持つ運動学習の原則を考慮してリハビリテーションを行えるブレイン・マシン・インタフェース型機能的電気刺激システムの開発を目指す。
    平成29年度では、機能的電気刺激システムの制御アルゴリズムの開発を行った。フィードバックするべき運動情報をいかに筋肉への機能的電気刺激システムで実現できるかを検討し、システムの設計、制御デザインを行った。望まれる筋肉の活性化を電気刺激によっていかに真に生み出せるかの問題があるが、EMGに基づく閉ループ制御機能を持つFESを開発した。電気刺激によって誘起される筋肉の反応をみながら電気刺激を行う点が従来の方法にない新しいアプローチである。本研究ではリアルタイムに電気刺激により誘起された筋力を補償しながら行う制御を実現した。またこれまでの結果に基づきそれを発展させて正確で信頼性のあるFESシステムを実現し,特にポータブルな筋肉電気制御システムにて本制御則の検証を行った。以前所属したフランスの機関と連携して脊髄損傷患者の筋肉において本制御の検証実験を解析し、論文誌に掲載した(International Journal of Neural Systems)。本研究の成果でThe 15th Annual Delsys Prize for Innovation in Electromyographyを受賞した。 本賞は、米国De Luca Foundationが主催するEMG(Electromyography)技術のInnovationに関する国際的な賞で、日本人としては初めての受賞となった。
  82. 皮質脳波ビッグデータによる革新的人工知能の開発 2017-04-01 – 2019-03-31 柳澤 琢史 大阪大学, 高等共創研究院, 教授 (90533802) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究では、頭蓋内脳波と行動・思考内容のライフログの同時計測データに、DNNを適用することを目的とした。既に、33名の患者(330日以上)から、テレビなどの視聴内容と脳波の同期計測を16人分500時間以上得た。また、独自開発した気分・思考内容調査法にて、7名の患者から全104回答を得た。本年度は、これらのデータからDNNに適用可能なデータを作成した。
    1)運動状態の抽出:皮質脳波と同時にビデオカメラにて患者の様子を記録した。得られた動画から、OpenPoseを用いて骨格座標を推定し、220時間分のデータを得た。このデータについて皮質脳波から骨格座標を推定するDNNの学習を開始した。
    2)被験者の普段の気分や情動、思考内容についての同時計測:被験者の気分・思考内容調査から、各電極での活動と質問項目への回答との相関関係を検討した。回答数の多かった2名の患者について、各回答の数値と、その回答をした直前5分間の各電極のパワー(Θ、δ、α、β)との相関を計算した結果、2人に共通して、“未来について考えている”項目と、“今の気分が悲しい-幸せ”の項目の数値が、側頭葉でのβパワーに相関が見られた(相関係数, -0.7程度)。今後、機械学習を用いて気分や思考内容を脳波から推定する予定である。
    3)患者の視聴したTVの内容のグラウンディング:皮質脳波を計測中に患者が視聴したTVの動画を1秒毎の静止画に変換し、各静止画について以下の3つの方法でアノテーションをつけた;(1)アノテータ(クラウド)により状況を記述してもらう、(2)Pre-trained DNNにより、各画像にラベルをつける、(3)TVの字幕データを取得する。1についてはride regressionにて脳活動から意味内容を推定できることを確認し、closed-loopで推定できることを示した。現在、DNNを適用して学習を行っている。
  83. ヒト前頭・頭頂葉内の脳内身体表現:皮質脳波解読と刺激・病変研究による包括的研究 2017-04-01 – 2019-03-31 松本 理器 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00378754) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:術前評価目的に硬膜下電極を留置した難治部分てんかん患者で本研究計画に同意を得た者を対象に、左半球では高次運動、右半球では身体意識に焦点をあてて、腹側前頭・頭頂葉ネットワークの皮質活動の探索と変容様式の同定を進めた。左半球では、通常の臨床機能マッピングより弱い刺激強度で陰性運動野に介入し、運動制御の変容の定量解析から、中心前回の陰性運動野は肢節運動失行、腹側運動前野の陰性運動野はより高次の失行への関与が示唆された(国際学会発表)。そして、電気的線維追跡法(皮質皮質間誘発電位)の検討から、中心前回と腹側運動前野間の機能分担は、異なる機能的結合様式が神経基盤であることを明らかにした(国内学会発表)。術中の皮質皮質間誘発電位の検討から、このような前頭葉-頭頂葉・側頭葉間のネットワークには左右差があることを明らかにした(論文発表)。刺激最中の誘発神経活動の検討から、高頻度皮質刺激マッピングでは、高次運動ではネットワークとして機能が発現されるものの、症状の大部分は刺激直下の皮質に由来することを明らかにした(国内学会発表)。また、運動関連皮質で、高頻度刺激を用いない、自発運動に伴う皮質脳波の脳律動解析の手法を提案した(論文発表)。一連の研究成果は、電気刺激による臨床脳機能マッピングの作動原理を明らかにし、より正確な皮質機能の同定を可能にし、今後の非侵襲的機能マッピングにつながる知見と位置づけられる。
    身体意識に関しては、左右島皮質に脳腫瘍などの病変があり切除術を施行した患者7例を対象に、手術前後の運動主体感の変容を心理的手法から定量的に計測した。右島切除で運動主体感について動的変容を認め、経時的に正常化する傾向にあった (国際学会発表)。右半球が有する身体意識(運動主体感)への島皮質の関与と切除後の緩徐な代償が明らかとなり、今後のリハビリテーションへの応用が期待される。
  84. 柔軟な学習の調整を可能にする脳メカニズムの解明 2017-04-01 – 2020-03-31 柴田 和久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主幹研究員(任常) (20505979) 若手研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:学習内容を長期的に保持すること、必要に応じてこれを強化することは、学習全般に普遍的に求められる重要な機能である。一見相反するこれらの機能が脳でどう実現されるかを調べるために、本研究では、視覚における見分けの課題訓練と核磁気共鳴分光法を組み合わせた実験的検証を行い、以下の成果を得た。第一に、視覚課題訓練後の学習内容の固定化、脱固定化、再固定化に伴い、脳の低次視覚野における興奮・抑制バランス(グルタミン酸・GABA比)が変化することを突き止めた。第二に、脳の興奮・抑制バランスを操作するためのニューロフィードバック技術の開発に着手した。この開発は、発展的な形で次の基盤研究Aに引き継がれる。 研究実績の概要:
  85. 運動学習に対する安静時脳活動の影響とニューロフィードバックによる促進 2017-04-01 – 2020-03-31 小川 健二 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (50586021) 若手研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、安静時脳活動が運動学習に果たす役割を機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)で検討した。運動学習課題としてMRI内で視覚追随運動を用いた。まず、感覚運動野の脳活動パターンから運動学習試行とコントロール試行との識別を行い、次にその識別器を学習前後の安静時脳活動パターンに対して適用した。その結果、学習後の安静時において運動学習時と同じ脳活動パターンが再現されることが明らかとなった。次に安静時脳活動を計測し、ニューロフィードバックとして学習時の脳活動との類似度を、被験者に視覚的にリアルタイムに提示した。その結果、ニューロフィードバックにより運動時と類似した活動に誘導可能である点が示された。 研究実績の概要:
  86. 注意の逆説的投資効果とニューロフィードバック 2017-04-01 – 2020-03-31 河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30322241) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究はトップダウンの認知制御が3つの注意の下位成分を変調しうるかを調べた。注意ネットワーク課題を用いて,認知エフォートをすべて投入する場合と,自分がもつ半分の認知エフォートのみを投入する場合を設けた。行動成績は当初の通り,予定した効果を概ね再現することができたため,この手法は妥当であるといえる。一方で,前年までに実施した脳機能計測実験の結果を再分析したが,予測した部位での神経活動と,認知資源の意図的配置との関連は得られなかった。しかし,意図的な注意制御に関して,視覚探索中の抑制テンプレートを調べたプロジェクトが派生し,その生起要因を特定することに成功した。 研究実績の概要:
  87. 身体的表象から自他分離表象にいたる発達プロセスの解明 2017-04-01 – 2021-03-31 明和 政子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (00372839) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:ヒト特有の社会的知性の根幹は,「他者について直接知覚した状態とその背後にある心的状態を自己のそれと分離表象する能力(自他分離表象)」にある.私たちは,身体と環境との相互作用経験が自他表象の分離を創発,発達させ,それを基盤としてヒト特有の社会的認知システムが構築されると予測するが,自他分離表象が起こる動的プロセスについてはいまだ科学的理解は進んでいない.本研究は,ヒト乳幼児と成人を対象とした実証研究を行い,成人の認知モデルを軸に,自他分離表象がどのように創発,発達していくのかを,観測―モデル化-シミュレーション実験により解釈し,自他分離表象の創発モデルを構築することを目的としている.
    当該年度は,「自己―他者視点の相互変換時の脳内ネットワーク解明」に関する課題を遂行した.児童期の子どもを対象とした視点取得課題を考案し,fMRIを用いてその脳構造・機能的変化の計測を行った.また,implicit(知覚・無意識的)-explicit (認知・意識的)な誤信念理解および他者の心的状態に対する共感についての発達プロセスを明らかにするfMRI実験にも着手した.データの収集は当初予定をはるかに上回るスピ―ドで遂行することができ,本年度中に完了した.
    その一部成果については,研究代表者が主催した日本発達神経科学学会第8回学術集会,およびBar=Ilan University, University of Portsmouth,CIFER-IRCN国際セミナー等での招待講演で発表してきた.現在,国際学術誌投稿に向けた準備を進めているところである.
  88. 難治性疼痛患者の脳波周波数解明と聴覚ニューロフィードバックトレーニングの基礎研究 2016-04-01 – 2018-03-31 松尾 奈々 京都橘大学, 健康科学部, 専任講師 (50633351) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、難治性疼痛患者の脳波周波数パターンの解明および聴覚刺激をフィードバック情報とするニューロフィードバックトレーニングを実施し、難治性疼痛症状の効果を検証した。その結果、聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施することで身体知覚異常の改善および痛みの破局的思考に改善がみられ、トレーニング終了後3週においてもその効果を認めることができた。このことから、聴覚刺激を用いたニューロフィードバックトレーニングの実施は、脳波周波数をコントロールすることができ、痛みの破局的思考および身体知覚異常などの難治性疼痛症状の改善に有効である可能性が示唆された。 研究実績の概要:
  89. 脳の使い方を学ぶ精神活動・運動トレーニング法の提案 2016-04-01 – 2020-03-31 廣瀬 智士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (70590058) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:課題中の脳活動が空間解像度高く計測できる機能的磁気共鳴装置(以下fMRI)で撮像した脳機能画像から機械学習を用いて課題の成績と関連する脳活動のパターンを取り出し、成績が高い人の活動パターンを真似ることで、脳の使い方を模倣し、学習を促進することを目指した。しかし、本研究期間内では、学習に使用するのに十分な精度で課題の成績と関連する脳活動のパターンを同定することができず、学習促進を達成するには至らなかった。目的を達成するにはよりfMRI信号内のノイズに頑強な機械学習法、画像処理法の開発を進めるとともに、より多人数を対象とした実験が必要であると考える。 研究実績の概要:
  90. 脳卒中後の認知機能障害に対するニューロフィードバック介入の試み 2016-04-01 – 2019-03-31 大杉 紘徳 城西国際大学, 福祉総合学部, 助教 (00708159) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  91. 小型ヒューマノイドを使った自己動作モニタリングによる運動訓練支援システムの開発 2016-04-01 – 2019-03-31 中井 敏晴 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 神経情報画像開発研究室, 室長 (30344170) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究ではリアルタイムfMRIにより抽出された脳活動を小型ヒューマノイド(SHR)の動作に反映させ、其の映像をニューロフィードバック(NF)情報として利用する運動学習法を開発した。訓練学習の進行に伴う逐次的な二重判別分析法を考案し、身体座標系を直感的に反映するMI学習方法としてBrain Machine Interfaceに応用する見通しを得た。加齢による脳活動領域の非特異的拡大は必ずしも判別分析に不利ではなく、高齢者でも本法による運動学習が有効である事を見出した。実際のロボットの動作による印象評価実験では、高齢者でも自己動作表象を使った視覚的NFはモチベーションを促進する事が判明した。 研究実績の概要:
  92. 階層化ニューロフィードバックによる認知制御機能の改善 2016-04-01 – 2018-03-31 齋木 潤 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60283470) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、理論指向と応用指向のニューロフィードバック研究を架橋し、複雑な注意機能を改善するために、認知制御課題を題材として、課題間転移が可能なニューロフィードバック技術の確立を目指した。頑健な干渉効果が知られている多資源干渉課題に着目し、行動フィードバックによる干渉効果の減少を試み、有効に干渉を減少させることができる方法を発見した。並行して、多資源干渉課題遂行時の脳活動を計測し、干渉効果の個人差と相関する脳活動、特に干渉の小さな協力者で賦活する領域、大きな協力者で賦活する領域を同定した。これらの知見を基に、今後、ニューロフィードバック信号の設計を行い、その有効性を検証する。 研究実績の概要:
  93. 脳内身体マップに基づく手指運動能力の個人差の解明および介入法の開発 2016-04-01 – 2018-03-31 小川 健二 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50586021) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は手指運動能力に関する神経基盤の検討を行った。健常成人を対象にし、示指、中指、環指、小指を使ったタッピングを実行してもらい、脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測した。空間的なボクセル活動パターンを解析した結果、一次運動野の活動を使ってそれぞれの指パターンを識別できた。さらに参加者のピアノ練習経験の有無に応じ、タッピング運動中の指の神経表現が異なっていることが示された。またニューロフィードバックを使って一次運動野の活動レベルを視覚提示するシステムを開発し、運動イメージ化を用いて一次運動野の活動を上げることにより、手指運動のパフォーマンスが促進される可能性を示した。 研究実績の概要:
  94. 再発予防を目的としたneurofeedbackと情動調整によるうつ病治療法の開発 2016-04-01 – 2021-03-31 松原 敏郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60526896) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:光トポグラフィーを用いた前頭部ニューロフィードバックシステムを研究分担者とともに完成させ、73th Society of Biological Psychiatry (2018, in
    N.Y.,T Matsubara)で発表をおこなった。また神経画像検査としての光トポグラフィーの有用性をアピールすべく、光トポグラフィーの今までの研究についても
    まとめて、海外の教科書に報告することができた(Toshio Matsubara et al. Mood Disorders: Brain imaging and Therapeutic Implicationschapter22.
    Functional Near-Infrared Spectroscopy studies in Mood Disorders. Cambridge University Press. 2020. In press.)。また光トポグラフィー装置を用いて、精神疾患のうつ状態やアルコール依存症の病態解明も行っており、海外学会にて発表予定である(75th Society of Biological Psychiatry (2020, in N.Y.,T Matsubara and J Sasaki)。
  95. セロトニン神経系が司る辛抱強さの神経機構の解明 2016-04-01 – 2019-03-31 宮崎 勝彦 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 研究員 (10426570) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:申請者はこれまでの研究から、背側縫線核のセロトニン神経活動と将来報酬を辛抱強く待つことの因果関係を明らかにしてきた。本研究では、将来の報酬のための辛抱強い振る舞いで「待つ」場合だけでなく「行動する」場合も背側縫線核セロトニンは関与してるかを光遺伝学行動実験により調べた。その結果、辛抱強く待つ場合と行動する場合で、背側縫線核セロトニン神経は異なった関与をしていることが明らかになった。 研究実績の概要:
  96. バイオフィードバックによる心拍変動の増大が圧受容体反射に及ぼす影響 2016-04-01 – 2019-03-31 榊原 雅人 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (10221996) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:バイオフィードバックを通じて心拍変動を増大させると、自律神経障害やストレスに関わるさまざまな症状(特に抑うつや不安)が緩和することが報告されている。この臨床的効果の背景には圧受容体反射機能の活性化が仮定されているが実際的な検討は少ない。本研究は心拍変動の増大によって圧受容体反射の感度が増加するかどうか、さらに認知機能に関わる皮質活動の指標として脳波の随伴性陰性変動が変化するかどうかを検討した。実験によって得られた結果から、バイオフィードバックによって引き起こされた心拍変動の増大は自律神経系ホメオスタシス機能を向上させるとともに、認知/注意過程に関わる皮質活動に影響を与えていることが示唆された。 研究実績の概要:
  97. 重度手指麻痺患者の手の機能回復を目指す「脳波+ロボット」リハビリテーションの創生 2016-04-01 – 2019-03-31 小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:脳血管障害患者の手の運動意図に同期した感覚フィードバックを付与するロボットシステムの構築を通じて,重度の手指麻痺を回復へ導く自立的なリハビリテーションシステムを作成した。これまで運動機能リハの対象から外れてきた最重度の麻痺症例に対しても咀嚼刺激や視覚,運動感覚刺激による運動経路への介入を行い,週・日単位の運動機能変化を感度良く追跡する手指機能評価装置を開発・適用して機能回復の可能性を探索した。従来廃用手とせざるをえなかった随意運動がみられない患者においても随意運動が回復した症例を経験し,患側運動野における事象関連脱同期(ERD)信号強度の回復が,手指機能回復に寄与していることを明らかにした。 研究実績の概要:
  98. 運動習慣がパーキンソン病に与える影響:マルチモーダルイメージングを用いた解析 2016-04-01 – 2020-03-31 三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:我々は、パーキンソン病における日常生活活動が、ドーパミン変性と密接に関連していることを明らかにし、また、併せてパーキンソン病の運動機能特に立位バランス機能については大脳皮質活動の機能低下も関連していることを明らかにした。大脳皮質活動と歩行バランス機能との関連においては、前頭前野における認知処理リソースが重要な役割を果たしていることを健常者での検討によって明らかにし、パーキンソン病においても大脳皮質の賦活が立位歩行能力の向上につながる可能性を示唆する知見を得た。 研究実績の概要:
  99. 発話・上肢・下肢の運動制御の個人差に着目した吃音の神経メカニズムの探求 2016-04-01 – 2020-03-31 豊村 暁 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (90421990) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:疑似対面発話時の脳活動を計測したところ,吃音の頻度と扁桃体の活動が有意に相関していた。下肢運動時の脳活動を計測するために,非磁性の円筒型トレッドミルを作成し,評価した。8週間のマインドフルネス瞑想法の練習が聴覚フィードバックを介した発話の知覚・生成過程に影響を及ぼした。3歳児の吃音の割合は1.41%,回復率は82.8%であり,1歳半における言語発達の程度によって回復率が有意に異なっていた。口唇運動の模倣時の運動野の働きには左右差があり,親密度によって異なっていた。 研究実績の概要:
  100. スポーツスキル向上を目指した神経科学的研究 2016-04-22 – 2019-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:運動パフォーマンスのバラツキの原因となる脳活動を同定し、運動パフォーマンス向上となる知見を得るために、これまでに被験者17名から128ch高密度脳波計を用いての運動課題中の脳波データを取得した。運動課題は右手で直径35mmの球2個をなるべく早く回す課題とした。運動パフォーマンスは、指に貼付したゴニオメータから球の一回転に要する時間を求め評価した。先行研究結果と同様に、各被験者のパフォーマンスはプラトーに達していたが、試行ごとまたは試行内の回転ごとみるとそのパフォーマンスはばらついていることが確認できた。前頭部のα帯の瞬時振幅変化が運動パフォーマンス悪化の直前に見られており、fMRIを用いた先行研究では観察できなかった新たな結果が得られている。現在はその実験データを論文としてまとめつつ、さらに詳細な解析を続けている。
    2017年8月からドイツのマックスプランク研究所で研究を開始し、2018年度は、2017年度に行った系列運動学習課題のパフォーマンスレベルおよび学習に伴って変化する脳活動、脳構造を検討した。解析の結果、行動データは仮説通りの結果であり、パフォーマンス向上が確認できた。運動学習前後の機能的結合強度の変化量を比較したところ、右側前頭前野と大脳基底核間の機能的結合変化に差がみられた。さらに、この機能的結合強度変化と学習量に相関がみられた。これは学習が進んだ人ほど右側前頭前野と大脳基底核間の機能的結合が高まったことを意味している。また、右側前頭前野と大脳基底核間の機能的結合変化と関連する白質微細構造を検討したところ、右側前頭前野と大脳基底核間の機能的結合が増大の程度と右側前頭前野下の白質微細構造に関連があることが示唆された。この研究により全身運動の学習に関連した機能的・解剖学的結合を明らかにすることができた。現在、研究成果は改定稿が査読中である。
  101. 前頭前野における情報の抽象化と演繹的情報創生の神経メカニズムの研究 2016-06-30 – 2021-03-31 坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:2019年度には以下の3つのことを行った。①推移的推論課題遂行中のサルの前頭前野と大脳基底核から記録した単一ニューロン活動の比較。②新しい記録実験のための課題訓練、③カルシウムイメージング法によるニューロン活動の同時記録。
    ①推移的推論課題遂行中のサルの前頭前野外側部と大脳基底核線条体から記録した単一ニューロン活動の応答特性の比較を行った。この課題における第一刺激呈示に対するニューロン応答は、前頭前野、線条体ともに、報酬予測に関連するものであったが、前頭前野は刺激のカテゴリーに基づく予測であり、線条体は個別の刺激に基づくものであった。カテゴリー情報を反映する前頭前野ニューロンの報酬情報に対する応答性には、刺激の経験量(familiarity)によって情報量に差が見られたが、視覚情報に関してはそのような差は見られなかった。つまり、新奇な刺激が提示されても、前頭前野はそのカテゴリー情報を瞬時に検出し、カテゴリーに基づく報酬予測を行っていることが分かった。
    ②遅延見本合わせ課題を2頭のニホンザルに訓練した。行動解析を行った結果、これらのサルはこの課題を、カテゴリーではなく連合学習によって遂行していることが分かった。これは予定通りであり、ユタ電極を刺入し、ニューロン活動記録を開始してから、新たなカテゴリー学習訓練を施すことにより、課題の遂行の変化に伴うニューロン活動の変化を観察する予定である。
    ③ウイルスベクター(AAV)注入により、視覚野(V1野)にGCaMP6を発現させた。様々なオリエンテーションの刺激を視野の様々な位置に提示することにより、同時に数十個のV1ニューロンの受容野とオリエンテーションチューニングを検出することができた。この成功に基づき、2020年度は、推論課題遂行中のサル前頭前野にこの方法を適用する予定である。
  102. 「コグニティブライフシステム」の創出を目指して 2016-04-01 – 2020-03-31 野田 隆政 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 医長 (50446572) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:衝動性の神経基盤に関する検討を行い、事象関連電位において課題提示から300ms以降に生じる脳活動(P300)が衝動性のコントロールに関連している可能性を確認した。安静時の脳活動を利用していた従来のニューロフィードバック(Neurofeedback: NF)手法を改良し、課題中にフィードバックするタスク型NFを開発した。効果検証試験においてもタスク型NFは脳活動の良好な変化を認めた。また、タスク型NFトレーニングは従来法よりも短い期間で効果が発揮されることも分かった。また、NFと併用することで増強効果が期待できる知覚感度に関する自律神経系フィードバックを考案した。 研究実績の概要:
  103. 動物モデルを用いた中枢性脳卒中後疼痛の病態および神経刺激療法の除痛機序の解明 2015-04-01 – 2018-03-31 細見 晃一 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (70533800) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:霊長類中枢性脳卒中後疼痛(CPSP)モデルを作成し、行動評価および高磁場MRIを用いた脳機能評価を行った。疼痛発症後には、痛み関連領域内における領域間の機能的結合が増加していた。その疼痛モデルザルに一次運動野に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を実施したところ、感覚過敏が改善すると共に、痛み関連領域内における領域間の機能的結合が減弱していた。CPSPの発症機序やrTMSの除痛機序に痛み関連領域内の領域間機能的結合が関与していることが示唆された。 研究実績の概要:
  104. 情動制御を実現する脳内ネットワークの解明 2015-04-01 – 2019-03-31 村上 裕樹 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (40600325) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:マインドフルネス傾向の高い参加者に対して,実験的なストレス場面として,不快な画像を呈示した際の脳活動を測定した。その結果,右前部島皮質においてより高い活動が見られた。前部島皮質は情動の自覚に関する脳領域とされていることから,マインドフルネス傾向の高い人では,身体の情動反応における気づきが高いことを表している。また,前部島皮質と右扁桃体の機能的結合が,マインドフルネス傾向の高い人で低下していることが確認された。 研究実績の概要:
  105. 脳可塑性への働きかけに基づく言語障害リハビリテーション 2015-04-01 – 2018-03-31 岩渕 俊樹 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (20711518) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:ニューロフィードバックに代表されるような脳の可塑性を利用する手法を用いて、言語の神経メカニズムの解明および言語リハビリテーション法への応用可能性の探索を目的として研究を行った。機能的MRIによる2つの研究(研究1、研究2)を行い、文処理の神経メカニズムを検討した。研究1により、文処理の負荷が統語処理とワーキングメモリに分離され、前者に左下前頭回弁蓋部が、後者に左前頭弁蓋(op9)が関与することが示された。研究2は、背側言語経路が統語処理に、腹側言語経路が意味的統合に関わることを示した。これらの研究に基づきfMRIニューロフィードバックによる統語障害リハビリテーションの確立を目指す。 研究実績の概要:
  106. 感性的好意度評価の変動と脳内可塑的変化との因果性の解明 2015-04-01 – 2019-03-31 緒方 洋輔 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (60641355) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では脳領域の活動をフィードバックし脳活動を変化させる際にタイミングを個人ごとに変化させることで効果の確度が増す傾向は見られ、同時にEEGを用いた計測により機械学習アルゴリズムを用いて好意度を200msから400msの事象関連電位成分から読み取ることに成功した。
    以上の結果から、好意度変化に関与する可能性のある脳活動情報は刺激呈示より比較的短時間の成分であり、精度の高いニューロフィードバックを行うためには、時間解像度に優れるEEGなどに由来する時間成分情報抽出やミリ秒単位でのfMRI高速撮像法による活動量の抽出が必要になることが示唆された。 研究実績の概要:
  107. 米国での調査を踏まえて長期間ニューロフィードバック訓練の効果検討 2015-04-01 – 2019-03-31 山口 浩 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20174625) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は抑うつ傾向に対して効果の考えられる脳波neurofeedback(NF)法で特に前頭部脳波非対称性(左前頭部賦活>右前頭部賦活を訓練)のNF訓練を長期間(20日間)実施し効果を検討した。
    実験は、統制群(8名;BDI-2平均23.1,SD=6.6)とNF実験群(8名;同23.5,SD=5.1)を設け、実験群に毎回25分間のNF訓練を実施。訓練未終了の被験者がいるため途中結果報告だが、抑うつ傾向に関し実験群でのみ得点が有意に低下。学習法について集中学習法の有利を予測したがそうとも言えなかった。更に訓練効果を上げるためには今回収集した内省報告をもとに修得方法や訓練時間配分の検討が必要である。 研究実績の概要:
  108. fMRIニューロフィードバックを用いた吃音の発話流暢性改善手法の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 錦戸 信和 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60610409) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:発話の流暢性が損なわれる発話障害である吃音のある成人に対して,fMRIニューロフィードバックを用いた流暢性改善手法を検討する前に,発話の流暢性に関する神経基盤を調べるために,発話時および発話のイメージ時の脳活動と生体信号を同時に計測した.
    また,吃音のある成人と無い成人の脳形態の比較および,心理的特性や吃症状との関係を調べた.その結果、吃音のある成人は無い成人に比べ,左の楔部および,紡錘状回の体積が有意に小さいことが示された.また,楔部に関しては心理的特性と負の相関があることも示された.これらの結果は,心理的特性が脳形態に影響する可能性を示唆する. 研究実績の概要:
  109. 脳血流BFトレーニングシステムの開発と評価 2015-04-01 – 2017-03-31 川島 隆太 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90250828) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:機能的MRIを用いた個人脳活動解析によって、食欲の制御に関わる脳領域を同定し、それらの領域内に超小型NIRS装置を用いたバイオフィードバック訓練のターゲット領域が含まれることを確認した。しかし、実生活環境でシステムを稼働させると、ベースラインシフトへの対応、脳活動をフィードバック信号に変換する係数の設定が非常に困難であることが判明し、プログラムの修正を行ったが、目的とする実証実験を行うことができなかった。 研究実績の概要:
  110. 運動想起型相互適応BCIにおけるフィードバック訓練のための信号取得法 2015-04-01 – 2018-03-31 加納 慎一郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00282103) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:ユーザが身体動作を想起した際の脳波を検出する運動想起型BCIの正答率向上のため,脳活動信号をユーザにリアルタイムで提示しながら課題の遂行を求めるニューロフィードバック(NF)訓練を行う際,被験者に提示するフィードバック情報を統計的手法により取得する方法を検討した.本研究の結果,多チャネル脳波に適用する空間フィルタによってNF訓練の効果が向上することがわかった,また,脳波から脳内信号源の電気活動を推定してNFに供することでNFの効果が向上する可能性が示された. 研究実績の概要:
  111. 運動錯覚と運動イメージを同期させたニューロリハビリテーションデバイスの開発 2015-04-01 – 2018-03-31 兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (80708371) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究の目的は、運動錯覚生成メカニズムに及ぼす運動イメージ能力の影響を解明し、ニューロリハビリテーション介入時に運動イメージ能力を高めながら、感覚運動機能を改善させる効果的な脳内神経機能再編成システムを構築することであった。振動刺激時の脳内神経活動についてMicrostate法解析を行った結果、錯覚誘起には運動イメージ能力が影響を及ぼすことが明らかとなった。また、脳卒中片麻痺患者に対して、我々が開発した脳波周波数パターン認識型システムを用いた介入を実施した結果、感覚運動関連脳領域の神経活動性に向上を認め運動主体感も改善を認めた。以上より、本システムの介入手法としての有用性が示唆された。 研究実績の概要:
  112. リアルタイムfMRIによるニューロフィードバックを用いた慢性不眠症治療法の開発 2015-04-24 – 2018-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:初年度は不眠症治療用のリアルタイムfMRIを用いたニューロフィードバックシステムを構築し、健常被験者を対象に構築したシステムの性能試験を行うことを目標としていた。本研究室にて実施している不安症を対象にしたニューロフィードバック研究に共同研究者として参加し、システム構築の技能、プログラミング技術について習得した。
    次年度は、近年にほかの研究グループから出版された論文によって従来予定していた手法の難点が明らかになったことから、異なる方向性を模索することとなった。新たな不眠症のニューロフィードバック治療法の開発に貢献する成果を得るため、不眠症患者の安静時脳活動と、治療前後の脳構造(T1,拡散テンソル画像)データの取得を継続した。今年度において、健常者36名、患者15名の安静時脳活動、健常者40名、患者44名の脳構造データ、そのうち16名は認知行動療法による治療後のデータを取得した。解析の結果、認知行動療法前に比較して治療後で、楔前部の灰白質容量が有意に低下していること、左眼窩前頭皮質の灰白質容量が有意に増大する傾向にあることが明らかとなった。楔前部はデフォルトモードネットワークの中心領域で、反芻思考と関連していることが示唆されている。また左眼窩前頭皮質は先行研究においても不眠症患者において灰白質容量の減少が認められ、さらに多疾患における治療介入において増大が認められている部位で、不眠症の病態生理、認知行動療法の治療メカニズムと何らかの関連を持つ領域であることが示唆される。
    脳組織の変性が治療の背後にあることが予想され、今後はこれらの領域に焦点を当ててニューロフィードバックシステム構築をしていく。
  113. NIRSと機械学習を用いたアレキシサイミアに対するニューロフィードバックの開発 2015-04-24 – 2017-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究の目的は、自己の感情認知障害と関わるパーソナリティである「アレキシサイミア」に対するNIRSを用いたニューロフィードバックシステムの開発であった。しかしながら、最終年度である28年度を終えた現在、その目的が達成できたとは言えない。これは、27年度に研究計画を変更したためである。
    当初はアレキシサイミアの感情喚起時の脳活動に対してニューロフィードバックを行い、アレキシサイミアの感情認知障害を改善するという計画であった。しかしながら、アレキシサイミアの感情認知障害が、感情喚起時(感情刺激を受けた後)の脳機能障害によるものであるのか、安静時の脳機能障害によるものであるのか、また、そもそもアレキシサイミアは安静時に脳機能障害を持つのかについての検討はほとんどないことから、アレキシサイミアの安静時の脳活動について検討を行い、どちらの状態がより感情認知障害に関わっているかを精査した上でニューロフィードバックを行うべきであると考え、研究計画を変更した。
    こういった経緯があり、28年度は、アレキシサイミアの安静時の脳活動と感情喚起刺激を受けた際の主観的な感情評価との関連を検討した。その結果、有意な差は認められなかったものの、アレキシサイミア傾向の高群と低群間で安静時の脳の機能的接合(Functional Connectivity)の差に大きな効果量が認められる箇所がいくつかあり、左の上側頭回と背側前頭前皮質の機能的接合がアレキシサイミア傾向高群のほうが低い可能性が示された。
    サンプル数がまだ少なく、検出力が低いため、今後引き続き実験を行い、アレキシサイミアの安静時の脳機能障害について精査する予定である。その後、本研究の目的である、アレキシサイミアに対するニューロフィードバックシステムの開発を目指して、研究を進める。
  114. 精神疾患の次世代治療法に繋がるfMRIニューロフィードバックトレーニングの開発 2015-04-24 – 2017-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究の目的は,精神疾患の次世代治療法に繋がるfMRIニューロフィードバックトレーニングの開発である.目的達成に向けて,今年度は「fMRI結合ニューロフィードバックトレーニング(結合NFB)の手法開発」及び「安静時脳機能画像データから施設が与える影響を減少させる手法を開発する研究」を行った.
    「fMRI結合NFBの手法開発」では、結合NFBによる脳機能結合の変化と認知機能の変化を調査した.結合NFB実験の施行自体による副次的な影響の可能性を除外するため,脳領域間の活動の時間相関(脳機能結合)を上げる群と下げる群の2群を用意し,群間でトレーニング効果を比較した.認知機能としては持続的注意能力や抑制能力を対象とした.実験の結果,相関を上げる群と下げる群の両群において,結合NFBトレーニングにより脳機能結合が所望の方向に有意に変化した.さらに、結合NFBトレーニング前後での認知機能の変化を群間で比較したところ,認知機能の変化する方向が有意に異なっていた.すなわち、脳機能結合を操作した方向に応じて認知機能が変化したということである.
    「安静時脳機能画像データから施設が与える影響を減少させる手法開発」では、実験協力者9名が12施設(東京大学病院や広島大学病院など)に出向きデータを取得するTraveling subject designで安静時脳機能画像データを取得した.このデータを用いることで、施設間で選択バイアスが統制でき純粋な測定バイアスのみを推定することが可能となる.さらに、階層ベイズに自動関連度決定事前分布を用いて測定バイアスをスパースに推定した.そして、従来の施設間の違いを補正する方法に比べて、上記で推定した測定バイアスを用いて施設間の違いを補正する方法を用いることで安静時脳機能画像に基づくうつ病バイオマーカーの精度が向上することを確認した.
  115. 発振操作による動的ネットワークの再組織化 2015-06-29 – 2020-03-31 美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、精神神経疾患の発症とそこからの機能的回復には、発振現象を基盤とした動的ネットワークの変化(再組織化)が関わっているという「ネットワーク病態」仮説を元にして新しい着想での研究を展開した。実験研究班として、Aグループ、Cグループ、公募班と共同研究を行い、健常人および神経精神疾患患者での新規の発振現象を探索し、脳卒中やパーキンソン病など運動障害のバイオマーカを開発するとともに、発振制御によるヒト脳可塑性誘導手法を開発することを達成し、リハビリテーション効果を実証した。 研究実績の概要:
  116. ネットワーク自己再組織化の数理的基盤の創成 2015-06-29 – 2020-03-31 津田 一郎 中部大学, 創発学術院, 教授 (10207384) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:脳の病態を非線形振動子ネットワークの異常ととらえ、特にてんかん患者の脳波の異常発振とレビー小体型認知症の複合型視覚性幻覚に対するバイオマーカーを提案することを目標にした。拘束条件付き自己組織化理論を構築し、ミクロとマクロのニューロフィードバックを実現する計測システムをネコなどの動物で構築した。これらの理論的基盤、実験的基盤に基づき、てんかん患者の脳波データを複雑系解析し、少数自由度力学系の出現、パワースペクトル揺らぎの減少をバイオマーカーとして提案した。また、視覚性幻覚に関する数理モデルを構築しネットワークの自己再組織化過程においてネットワーク病としてのシナプス学習異常を発見した。 研究実績の概要:
  117. 心的イメージの神経基盤の解明 2015-05-29 – 2020-03-31 神谷 之康 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50418513) 基盤研究(S) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:イメージはわれわれの心の状態を構成するもっとも重要な要素の一つである。本課題では、脳情報デコーディングを活用して知覚、想起、および、夢に共通する神経情報処理とその相違を明らかにすることを目標とした。イメージの種類による脳情報表現の類似性・相違を、画像特徴の階層性と脳部位の両面から解析する方法を確立し、世界で初めて想起イメージを脳から画像として可視化することに成功するなど、分野を超えたインパクトをもたらす成果が得られた。 研究実績の概要:
  118. 過剰訓練が引き起こす脳神経疾患の神経リハビリテーション法の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 古屋 晋一 上智大学, 音楽医科学研究センター, 特任准教授 (20509690) 若手研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を両側の大脳皮質運動野に印可しながら両手指鏡像動作を行う介入(ニューロリハビリテーション)を実施し,その前後に神経生理学評価(経頭蓋磁気刺激:TMS)と巧緻運動機能評価(データグローブ,MIDI)を行うことで,当該介入効果の神経生理学的機序を明らかにした.さらにTMSと動作分析により,大脳皮質運動野の興奮性異常と巧緻運動機能低下の間にある詳細な関連を,機械学習手法を用いて明らかにした.加えて,経日介入を行うことで,当該介入効果の漸増が認められた. 研究実績の概要:
  119. 運動機能再建を目的としたreal-timefMRIニューロフィードバックの構築 2015-04-01 – 2019-03-31 北 佳保里 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (60550548) 若手研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:職業性ジストニアとは局所性ジストニアに分類され、長期間にわたる過剰な運動学習により、訓練した課題に特異的に異常な不随意運動が生じる神経疾患であるが、その治療法は確立されていないのが現状である。また、Brain-Machine Interface(BMI)とは、機械学習を用いて運動系に関わる神経信号を読み取りロボットハンドなどを制御する、脳と情報装置を直接接続する神経工学技術である。近年、BMIは神経補綴だけでなく、リハビリテーションにも応用されており、治療法が未確立な疾患への応用が期待されている。本研究では、fMRIにより計測された脳活動をリアルタイムに可視化して提示し、その情報を手掛かりに自身の脳活動を調整することで、脳活動や運動機能の改善をはかるreal-time fMRIニューロフィードバックの構築を目的とする。本年度は、音楽家のジストニアを対象として、ジストニアの病態解明を目的とし、かつ、ニューロフィードバックのターゲットとなりうる健常群との脳活動の違いを検証した。音楽家のジストニアは、楽器演奏時に異常な筋収縮が見られる神経疾患であるが、安静時機能結合に関して健常音楽家との差異があるかを検証した。さらに、安静時機能結合と音楽スキルとの関連についても検証を行った。ジストニアに罹患した音楽家21名、健常音楽家34名の安静時機能結合を全脳で比較したところ、音楽家のジストニアは課題特異的な疾患であるにも関わらず、基底核安静時機能結合ネットワークが被殻の右前部において群間で有意差があった。さらに、健常音楽家では、音楽スキルの一種である打鍵間隔の正確さと基底核の機能的結合の強さに有意な相関が見られたが、ジストニアに罹患した音楽家ではその相関関係が見られなかった。これらの知見は、音楽家のジストニアの病態解明の一助となると考えられる。
  120. 共鳴の輪の中で:音楽の場とその形成について 2015-04-01 – 2018-03-31 古川 聖 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40323761) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:3人~5人の参加者の脳波計測データの実時間分析しそのデータを音や映像に変換し芸術表現を行った、さらにこのシステムを双方向化、つまり、参加者がその音や映像を再び体験し、その結果を脳波が変化し音や映像も変化するという、フィードバックループする状況をインスタレーションとして発表した。多数の人が簡単に装着できる脳波計を開発し、10人以上の人が同時に脳波計測できるシステムの準備をおこなっており、次のフェーズで実施公開する。 研究実績の概要:
  121. 運動処方への初期応答による高齢者の分類法の確立 2015-04-01 – 2019-03-31 中井 敏晴 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 神経情報画像開発研究室, 室長 (30344170) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:fMRIを用いて高齢者に対する介入開始4週間後に運動処方の効果予測を行ない、運動処方の長期的効果を反映する脳活動指標を探索した。何れも前部帯状回の安静時脳活動が有力な指標候補と考えられた。認知負荷への応答特性を高精度で抽出するためのNeurofeedback fMRIを開発し年齢群間比較を行なったところ、若年者では後部帯状回と視覚野群の活動が脱賦活化されるが高齢者ではこの傾向は見られず、認知処理の予備能力減少を反映すると考えられた。対人認知機能の評定実験では高齢者は第一印象と一致しない情報処理への動機付けが弱いと考えられた。 研究実績の概要:
  122. 超多点BMI環境におけるニューロフィードバックによる神経系の可塑的変化の研究 2015-04-01 – 2018-03-31 鈴木 隆文 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 室長 (50302659) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:BMI接続による神経系の変化が注目されている。本研究は申請者が開発中の超多点BMIシステム等の技術を統合させた実験システムを構築して、神経系の可塑的変化の特性や限界を解明し、その制御・誘導を図ることを目的として行った。なお本研究における動物実験は、大阪大学生命科学研究科の承認のもと、大阪大学にて実施された。まず、(1)実験用統合システムの構築と評価として高密度柔軟電極を試作し、BMIデコーディングなどの用途における高密度電極の設計指針を得た。次に(2)多点柔軟神経電極を利用した可塑特性解明実験を動物モデルにより行い、BMI接続によりハイガンマ帯域の信号などに変化がみられることが観察された。 研究実績の概要:
  123. 音声の病態分析を用いた治療効果のフォローアップ技術の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 徳野 慎一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40508339) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:診療上で医師の主観的評価や自記式質問紙による患者本人の主観的判断に頼らざるを得ない疾患が少なからずある。我々は患者の音声を解析して客観的な指標を示すことで、そうした疾病のスクリーニングやモニタリングを可能とする技術を開発した。うつ病においては、十分な感度と特異度を持った指標が完成した。また、その指標が医師の評価と相関が取れることも確認した。さらにこの指標を用いてスマートフォンアプリケーションを作成し一般に公開した、また、この指標を用いたクラウドシステムが商品化された。パーキンソン病についても同様の指標を開発したが、更なる検証が必要である。双極性障害や認知症の指標については現在なお開発中である。 研究実績の概要:
  124. 多利用者・多状況に共通する特性の抽出による情報転移BMI 2015-04-01 – 2018-03-31 川鍋 一晃 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (30272389) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:脳活動パターンは、同一の認知課題であっても利用者間で異なる上、同一利用者でも状況により揺れが存在する。このような脳計測データの不均質性を把握する解析手法を開発し、fMRIや脳波の実データに適用した。また、利用者や計測状況に共通した特徴を発見するために、変動の軽減に役立つノイズ除去法の評価、およびロバストな特徴抽出法の構築を行った。さらに、利用者への負担が軽いブレインマシンインタフェース(BMI)をめざして、辞書学習法や多変量自己回帰モデルなどに基づく転移学習法の枠組みを提案し、30日間分の筋電データを用いて転移学習法の有効性を検証した。 研究実績の概要:
  125. うつ病の神経回路病態の解明とそのリモデリングに関わる基盤研究 2015-04-01 – 2018-03-31 山脇 成人 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 特任教授 (40230601) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究の目的はうつ病の病態を局所の神経活動の異常および関連する神経回路の機能異常として理解し、神経回路のリモデリングによる治療法を解明することである。本研究の成果として、① 前頭前野と前帯状皮質を含めたうつ病患者の特異的な機能的結合の同定、②ラットの前頭前野の神経活動変化による行動変化の同定、③ラットの行動変化と前頭前野における電気生理学的変化との関連、④ ①から③の基礎検討を元にうつ病患者に対してNeurofeedbackを実践し、前頭前野と前帯状皮質の機能的結合の改善、を明らかにすることができた。社会実装の観点から今後さらなる症例の蓄積や方法論において修正を重ねていく必要がある。 研究実績の概要:
  126. 身心変容技法と霊的暴力ー宗教経験における負の感情の浄化のワザに関する総合的研究 2015-04-01 – 2019-03-31 鎌田 東二 上智大学, グリーフケア研究所, 教授 (00233924) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:「身心変容技法」がもたらす負の側面の考察を主軸に考察した。例えば、気功修行で言う「入魔」、禅の修行で問題とされる「魔境」、諸宗教で信仰されてきた「悪魔・悪霊」などの観念や経験を含む「霊的暴力」という観点から総合的に研究を進め、研究成果を『身心変容技法シリーズ第1巻 身心変容の科学~瞑想の科学』『同2巻 身心変容のワザ』(ともにサンガ、2017年9月、2018年2月)として出版した。また、2018年9月9日に日本宗教学会で分担研究者5名と共に成果をパネル発表し、同学会誌『宗教研究』に掲載した。本科研の全活動と全成果は研究年報『身心変容技法研究』に掲載し、HP上でPDF全頁公開し社会還元している。 研究実績の概要:
  127. 認知モデルを利用した自伝的記憶のミラーリングエージェント 2015-04-01 – 2017-03-31 森田 純哉 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40397443) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:自伝的記憶の個人化認知モデルを実現する要素技術として、ライフログから構築される意味ネットワークの可視化システムを構築した。このシステムにおいて、ユーザが撮影した写真(ライフログかつ自伝的記憶)は、Exifや画像認識、ユーザによる写真撮影時の感情評定などの属性によって結合される。ユーザはそれぞれの属性の重みや粒度を主体的に調整でき、自身の記憶を辿るように記憶の探索を行うことができる。つまり、本システムにおいて、ユーザの自伝的記憶の構造は、ユーザとシステムのインタラクションによって、ネットワークにミラーリングされる。
    ユーザの記憶想起や情動喚起に対する効果を検討するために、本システムを介して実験参加者の日常生活を振り返らせる実験を実施した。実験において参加者は10日程度の期間、自身の日常生活を記録する写真を撮影した。 写真撮影期間から1週間程度の間をおき、実験参加者はシステムを介して自身の記憶を振り返った。写真が正しい属性を介して結合される実験群に加え、写真がランダムな属性を介して結合される 対照群を設定した。実験の結果、実験群は対照群に対して、自身の記憶構造が可視化されたネットワークにモデル化されているという認識、日常記憶の振り返りの鮮明さ、行動変容への意欲などを問うアンケート項目が有意に上昇した。この結果は、属性を介した意味ネットワークの構築が 、自伝的記憶の個人化認知モデルを構築する要素技術として、一定の有効性を保持することを示すものである 。
    上記の成果に加え、H28年度は、ユーザの情動をリアルタイムにミラーリングするニューロフィードバック環境、およびライフログ閲覧時の脳波の解析技術に関わる研究を実施した。
  128. 統合失調症・気分障害における「寛解」と「回復」の脳機能基盤に関する縦断的研究 2014-04-01 – 2016-03-31 滝沢 龍 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30420243) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:精神症状のみの軽減を目指した「寛解」だけでなく、社会的機能や幸福感の改善も含めた「回復」の脳機能基盤の背景を明らかにすることを目的とした。うつ状態の診断の補助に資する指標として、NIRSによる脳機能計測法が2013年に保険適応となったが、いまだ状態把握や予後予測に資する客観的・生物学的な指標は確立されていないため、縦断的研究により個人内の継時的変動を明らかにすることを目指した。
    脳部位によって、特性依存的と状態依存的なNIRS信号がそれぞれ存在する可能性を示した。臨床応用には、さらなる検討が必要であるが、NIRSにより計測された局所脳機能が状態依存性に変動し、予後を予測する可能性が示唆された。 研究実績の概要:
  129. 発達性ディスレクシアのリスク児における病態解明と早期支援システムの導入 2014-04-01 – 2018-03-31 北 洋輔 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的障害研究部, 室長 (90627978) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:文字の読み書きに著しいつまずきのある発達性ディスレクシアは、小学校入学後に初めて診断を受けるものの、既に著しい学習困難に陥っていることが少なくない。そのために、就学前の段階で早期に発見し、適切な支援を行うことが効果的とされる。この研究では、ディスレクシアの可能性のある子どもを年長の段階で発見し支援につなげるための方法を、心理学・教育学・認知神経科学の観点から開発した。そして、年長の時点から行うことが可能な支援の方法を、神経生物学的エビデンスに基づいて提案することを達成した。 研究実績の概要:
  130. 脳波による難治性疼痛症例の運動療法の治療効果の予測 2014-04-01 – 2017-03-31 西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (60515691) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:慢性痛の多くは器質的な問題だけでなく心理的・社会的な要因、さらには、中枢神経系の変調が関与しあっている。本研究の目的は,慢性痛患者の初期評価時の脳活動が運動療法の治療効果を予測できるか検証することである。対象は慢性痛患者(男性12名,女性23名)であった.初診時及び3ヶ月後に疼痛強度,疼痛生活障害尺度、不安、抑うつの評価指標、痛みの破局的思考、生活の質の指標及び脳活動を評価した。結果、20%以上疼痛が改善した患者は14名で,20以内であった患者は21名であった.初期評価時に両群間に有意な差を認めたものは、EQ-5Dのみであり、各周波数解析の結果に両群に有意な差を認めなかった。 研究実績の概要:
  131. 脳波による指運動情報の予測 -脳波バーチャルキーボードに向けて- 2014-04-01 – 2017-03-31 南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (40553235) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、直感的で操作が容易な脳情報バーチャルキーボード構築に向けた基礎検討を行った。最初に、脳波(EEG)を用いて、運動実行時および想起時の個々の指運動(想起)を予測できる可能性を明らかにした。次に、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)により、運動準備時には対側の運動前野や補足運動野に高精度な指運動情報(系列)が含まれることがわかった。最後に、機能的近赤外分光計測(fNIRS)を用いた運動情報の抽出を目指し、fNIRS信号に混在する頭皮血流アーチファクトを除去し、脳活動の推定精度を向上させる手法を開発した.以上の結果は、脳情報を利用したバーチャルキーボード構築に貢献すると期待される。 研究実績の概要:
  132. 動作主体感を生み出す脳内機構の操作的検証 2014-04-01 – 2016-03-31 小川 健二 北海道大学, 大学院文学研究科, 准教授 (50586021) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、fMRIニューロフィードバックを利用し、脳の感覚運動学習に関わる神経表象、および学習に付随する運動主体感の操作を試みた。まず研究代表者の所属機関に新規導入されたMRI装置に対して、新たにfMRIのリアルタイム処理系およびフィードバック・システムを構築した。そのシステムを使って実験参加者は感覚運動学習時の感覚運動領域の脳活動パターンを変化させた。本研究からニューロフィードバックにより感覚運動領域における脳活動パターンの操作が可能である点が示された。 研究実績の概要:
  133. Learning to control brain activity pattern using real-time functional MRI: A feasibility study 2014-04-01 – 2017-03-31 BAGARINAO E. 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 特任准教授 (00443218) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、即時に脳機能状態を識別して可視化する、リアルタイム機能的MRIによる脳機能識別システムを独自に開発し、被験者が自分の脳の状態を観察しながら、目的とするパターンに制御する、つまり、ニューロフィードバック制御、の可能性について検証した。結果では、開発したシステムは、全体の処理を、画像取得時間(2秒)よりも速く行う事が出来た。3つのタスク(指を鳴らす行為を想像、語想起、引き算)について、リアルタイム機能的MRIを撮像しながら、被検者に識別、再現させるフィードバック実験では、サポートベクターマシンを用いる事により、一貫して80%以上の平均識別精度で、目的とする脳状態を再現する事ができた。 研究実績の概要:
  134. 内的思考への注意揺らぎ神経基盤の解明と集中持続支援への応用 2014-04-01 – 2017-03-31 野澤 孝之 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60370110) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本課題の目的は,思考の諸次元における揺らぎの神経基盤を解明し,その知見をもとに日常的思考活動を支援する脳計測応用の基盤を確立することである.一連の研究を通じて以下のような成果を得た:(1)自発的に生じる内的思考への注意・意識状態の揺らぎの神経基盤を同定した; (2)ポジティヴ/ネガティブな思考の持続や移り変わりの背後にある脳活動ダイナミクスを同定した; (3) 思考の多様性を支える,時空間的に非一様な高次元機能的結合ダイナミクスの存在を明らかにした; (4) コミュニケーションを介した集団的思考の評価における多人数同時脳計測と脳活動同調分析の有効性を明らかにした. 研究実績の概要:
  135. 脳内身体表現のスローダイナミクスモデル 2014-07-10 – 2019-03-31 淺間 一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50184156) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:運動主体感や身体保持感などの身体意識は,脳内身体表現に基づき実時間で創出される(Fast dynamics).一方,脳内身体表現は知覚運動経験を通してゆっくりと生成・更新され,変容する(Slow dynamics).研究項目B01では,この身体意識に関する脳内身体表現の生成・更新のダイナミクスのモデル化を行った.具体的に、身体意識の創出と脳内身体表現の変容の数理モデル化,認知身体マッピング器モデルの検証,およびモデルベーストリハビリテーションへの応用の検討を行った. 研究実績の概要:
  136. 脳内身体表現の変容を促す神経機構 2014-07-10 – 2019-03-31 今水 寛 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30395123) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:人間が適切に身体を動かしているときには“自身が運動している”という運動主体感や“これが自身の身体である”という身体所有感などの身体意識を得られる.本研究は,身体意識の神経基盤が,主に右半球の下頭頂小葉と前頭回を結ぶ神経回路網に存在することを,健常者における行動実験・脳活動計測・非侵襲脳刺激,身体意識に変容のある統合失調症患者における脳内ネットワーク解析で明らかにした.また,身体意識の基礎となる感覚抑制のメカニズムを,サルの神経活動記録により,ニューロンレベルで明らかにした. 研究実績の概要:
  137. 運動学習の獲得と実現に関わる神経回路の構造基盤と機能変化 2014-07-10 – 2019-03-31 藤山 文乃 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20244022) 生物系 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:最近この運動学習の過程には、線条体の異なる領域間での機能シフトが関与するという報告がある。しかし大脳皮質―基底核―視床ループは、点対点の、あるいは部位ごとの整然とした中継によって構成されているわけではなく、獲得期から熟練期への機能シフトを担う“真の機能領域”がこのループにおいて何に規定されているのかはほとんどわかっていない。そこで本計画研究では、まず形態学、電気生理学、光遺伝学を系統的に組みあわせて解析し、線条体コンパートメントと大脳皮質―基底核―視床ループにおける機能的な結合様式を同定した。さらに皮質入力と視床入力の差異を調べることで、各々のシナプス特性の違いを解明した。 研究実績の概要:
  138. ニューロフィードバックを用いた患側手の自発的使用の意思決定介入 2014-04-25 – 2016-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:脳卒中など損傷により障害を受けた麻痺側を積極的に利用することは、麻痺側の機能回復にとって重要なポイントとなる。しかし、麻痺患者が麻痺側を無意識に利用することは難しい。また、自分がどのように動かし、どれほど動かしているかという運動の感覚が、障害を受けると、麻痺側の利用や学習に悪影響を及ぼすと考えられる。
    そこで、麻痺側の利用の強化、麻痺側の運動の正確な認知につながる端緒として、本研究では健常者を用いて、①両肢選択に影響を及ぼしている脳活動の特定と、②運動を行っているという状態の脳内表現の特定、という二点の検討を行った。
    両肢選択においては、通常、ターゲットとなる運動遂行の対象の位置など、さまざまな要素が複合して最終決定となる。本研究では意思決定との関連が示唆されている自発脳活動に着目し、自発脳活動と、運動課題の情報がどのように統合し最終的な運動意思決定となるかの過程を検討した。結果、意思決定に悩むほど先行する自発脳波活動の影響が強く、一方簡易に意思決定ができるほど課題の情報が先行脳活動を上書きするように意思決定に影響することが分かった。一方、こうした先行した脳の状態は、俊敏な反応速度との関連は見受けられなかった。ある左右手の選択は、先行する自発的脳情報により影響を受けるものの、反応の運動自体を促進するものではないことがわかった。
    次に運動を自己が行っているという主体的な感覚や動いているという感覚がどのように表現されているかをfMRIを用いて検討した。運動感覚は右の前頭頭頂により表現されており、これらの領域が実際に上縦束という白質繊維束により結びついた領域であることが分かった。また、どれほど動いたかという運動の量の認知と、領域の活動量の相関が示された。右の頭頂や前頭がそれぞれ運動の主体感に影響する先行研究と合致するとともに、運動感覚の右半球の重要性を明らかにした。
  139. ニューロフィードバックを用いた位相同期ダイナミクスの制御と脳機能解明 2014 – 2015 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:本研究の目的はニューロフィードバックにより脳の位相同期制御を行い, 位相同期の機能的・因果的役割を明らかにすることである. ニューロフィードバックは被験者の脳活動を視覚刺激等にして見せ, 自らの意思で脳活動を制御することである. ニューロフィードバックによる脳の位相同期制御はこれまで行われておらず, 本研究が基礎的な知見となる. さらに, 今まで行われていなかった脳活動の位相同期の因果的役割に関する研究を促進できる.
    今年度は予備実験を繰り返し, 実験パラダイムを決定し, さらに本実験を行い, ニューロフィードバック時の脳波データの取得を行った. ニューロフィードバックによる位相同期制御実験の前に位相同期制御の評価のためにBimanual movement taskを行った. Bimanual movement taskは左右の人差し指を同時に動かすあるいは交互に動かす課題である. ニューロフィードバックによる位相同期制御実験では被験者に縦長のバーを伸ばしてもらう課題を行う. このバーの長さは脳の位相同期度に連動して伸縮するしくみである. ここで, 2つのグループを用意し, 比較を行う. 1つのグループは位相同期度が高いほどバーが長くなるグループ, もう1つはコントロールグループとして位相同期度が低いほどバーが長くなるグループである. この位相同期の制御を5日間行った. 複数被験者で行い, ニューロフィードバック時の脳波データおよびBimanual movement task時の脳波データを測定した.
  140. 高機能自閉症スペクトラム障害における共感の神経基盤の解明と育成に関する研究 2014-04-25 – 2016-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:特定の課題に取り組んでいない時に脳内で活性化されているデフォルトモードネットワークの活動と、自閉症傾向や共感傾向との関連を明らかにするための研究を実施した。デフォルトモードネットワークは社会脳との関連が想定されており、自閉症スペクトラム障害では活動が低下されていると報告されているが、その詳細は明らかになっていない。そこで、脳血流を測定できる光トポグラフィ(near infra-red spectroscopy: NIRS)でデフォルトモードネットワークの活動が捉えられるかを検討し、その活動と、自己記入式質問紙で測定する自閉症傾向や共感傾向との関りを明らかにする研究を行った。
    上記の研究を進めるために、学内の倫理審査委員会に申請書類を提出し、承認を得て、講義後の時間等で被験者募集を行った。その結果、およそ20人の被験者候補が集まったため、実験を開始し、データの蓄積を進めた。集団解析の結果、デフォルトモードネットワークと自閉症傾向の間に有意な結果を認めることができなかったが、今後、ノイズ除去の方法をより精緻なものにし、さらに機械学習などの手法をもちいて分析を行い、まとめ次第発表したいと考えている。
  141. オプトジェネティクスを応用した特異的セロトニン神経刺激による強迫性障害の病態解明 2013-08-30 – 2015-03-31 酒井 雄希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60714475) 研究活動スタート支援 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:麻酔下マウスで海馬を対象としたオプトジェネティクス特異的刺激を行うことで、マウス機能的MRIで光刺激による変化を全脳評価できることが確認できた(Takata 2015)。無麻酔でマウス用MR画像を撮像する実験系を確立し、オプトジェネティクスを用いた刺激を行っても、体動アーチファクトがほとんど起きないことを確認した。麻酔下と覚醒下や、セロトニン作動性抗うつ薬投与前後での検討では有意な差を検出し、高い精度で測定できていることが確認できた。
    ヒトOCD患者の安静時機能的MRIデータ収集を行い、脳ネットワークを対象とした判別解析にて、線条体・前頭葉ネットワークと関連した仮説を裏付ける結果が得られた。 研究実績の概要:
  142. 数学認知と神経基盤を共有する高次認知機能の学習効果 2013-04-01 – 2016-03-31 丸山 雅紀 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (70443033) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:数学能力と神経基盤を共有する認知機能を示すために、日常で得られる経験学習の差異で生じる個人差に着目し、数感覚と、痛覚などの認知課題を20名の健常成人に遂行させ、収集した行動データの相関を調べた。簡易的な解析を行った結果、数感覚と有意に正の相関を示す認知課題は得られなかった。今後、高度な解析の導入や被験者数の追加などにより統計解析の精度を高め、更に検証を進める。
    学習課題を遂行させて計算式の文法認知を強化または弱化させ、その効果の言語機能への汎化も調べた。16名の健常成人が実験に参加し、課題成績の上昇が確認された。今後、学習課題の前後に収集した言語機能のデータを比較し、学習効果の汎化を検証する。 研究実績の概要:
  143. NIRSを用いたrealtimeneurofeedbackによるうつ病治療の開発 2013-04-01 – 2017-03-31 松原 敏郎 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (60526896) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:ニューロフィードバック(Neurofeedback:NF)とは,被験者が脳機能測定中に自身の脳活動をモニターでリアルタイムに見ながら,脳活動コントロールを学ぶことである。 うつ病患者で情動刺激に対する前頭葉の機能異常が報告されており、その機能異常をNFを用いて改善できれば,有用な治療法となる可能性がある。われわれは脳機能測定装置として、被験者に副作用のない光トポグラフィーを用いた。研究成果としては、1)うつ病患者に脳の情動調整障害があることを明らかにした、2)健常人を対象に前頭部NFを行い、NFは1)気分を改善する効果があり,2)陰性情動刺激に対して,前頭部血流を上昇させることを明らかにした。 研究実績の概要:
  144. 吃音者・児の発話における運動前野の役割-近赤外分光法による検証- 2013-04-01 – 2017-03-31 青木 淳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 流動研究員 (00633174) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:発話時の左前頭皮質における脳血液応答について近赤外分光法(NIRS)を用いて測定し、吃音者・非吃音者間で差異があるか検討した。その結果、被験者群と単語種類(高親密度単語、低親密度単語、無意味単語)の間で、ブロードマンエリア(BA)46における脳血液応答に有意な相互作用がみられた。一方でブローカ野では差がみられなかった。本研究より、左BA46が単語親密度と関連し、発話において吃音者・非吃音者間で応答が異なることが示唆された。本研究では発話に関わる神経応答を定量する新しい方法を示し、吃音の発達問題をより理解するために吃音児へ適用できる可能性がある。 研究実績の概要:
  145. 動作に対する好ましさの感性とその感性脳機能学的情報処理モデルの検討 2013-04-01 – 2015-03-31 緒方 洋輔 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 流動研究員 (60641355) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究の目的は、運動・動作を美しく、または好ましく感じる際にどのような神経基盤によって表象されているかを明らかにすることであった。研究の結果、反復模倣・観察を行った動作に対して好意度評価の増加が認められた。関連して、反復模倣・観察を行った動作刺激に対する好意度の評価時には、報酬価値の表象に関与する腹側線条体を含む部位の活動増加が認められた。加えて、動作を反復している際に下頭頂小葉の活動が減少し、その減少量と好意度の増加量の相関が認められた、これらの結果から、動作の反復模倣・観察が、刺激に対する価値表象の変化を誘発し、選好に影響を与えている可能性が示唆された。 研究実績の概要:
  146. ニューロフィードバックを利用した直接伝送型脳波コミュニケーションの実現 2013-04-01 – 2015-03-31 飯塚 博幸 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30396832) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:通常,ニューロフィードバックは自分の脳波を観察することによって行われるが,本研究では,計測された脳波を直接伝送し,2者の間においてニューロフィードバックを行う実験を行った.フィードバックする脳波はα波帯域のパワーを視覚刺激で表示する方法を用いた.結果として,この相互の脳波を伝え合うコミュニケーション状態を利用し,双方のα波を高める訓練が成功した.2者間でのコミュニケーション型ニューロフィードバックで訓練をした場合には,その後,1者でニューロフィードバックを行ってもその効果が継続していることがわかった. 研究実績の概要:
  147. ニューロフィードバックを用いた知的障害者のための言語学習支援システム 2013-04-01 – 2016-03-31 伊良皆 啓治 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20211758) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:発達障害児や知的障害児の学習をサポートするため、脳情報を計測しフィードバックする学習支援システムを開発することを目ざしたが、脳波や脳血流の情報を非拘束状態で計測するシステム開発、特に脳波の動きによるノイズ除去法の提案、フラクタルディメンジョンを用いた脳波、NIRS解析法の構築、また、重度心身障害児に対する脳波応答の特徴抽出により、シータ波の事象関連位相解析が言語の応答に対して有効であるという研究成果を得た。 研究実績の概要:
  148. こころの時間長・同期・クロックを作り出す認知メカニズムの解明 2013-06-28 – 2018-03-31 村上 郁也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (60396166) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:主観的現在の時間スケールにおいて私たちが感じる時間長や時間差などをつかさどる脳内メカニズムが、視覚運動・位置知覚・注意・多感覚統合などの処理プロセスと階層的に相互作用している計算枠組みが、心理物理学と機能的脳計測の手法で解明された。心的時間に関わる神経表現が感覚モダリティごとに特有の同期周波数をもつことが示唆され、また感覚証拠が乏しい際に事前確率が重視されるなどの最適推定が行われることがわかった。 研究実績の概要:
  149. 感性特性に着目した自閉性障害者の視覚的短期記憶機構の解明と感性知能検査の開発 2013 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:本研究の目的は, ①「自閉症者を対象としたパターン認知と視覚的短期記憶における感性特性の影響に関する心理物理的検討, および個人差の検討」, ②「心理物理データ蓄よび個人差に関する生理学的基盤の証明」, ③「感性知能検査の開発」から構成されている。
    研究時間およびエフォートの多くは, 研究所における研究課題と日常業務に充てられた。研究所の研究課題としては, 本年度は脳波に着目したニューロフィードバック訓練の導入を試みた。ニューロフィードバック訓練は, 注意などの高次視覚機能の改善を目的とする訓練法である。海外では導入が検討され始めているものの, 日本では学術的検討がなされてこなかった。このため, 注意欠陥多動性障害(ADHD)のある児童に対してニューロフィードバック訓練を実施することは, これらの児童の高次認知機能を検討するために有益であると考えられる。本年度も結果から, ニューロフィードバック訓練に関する一定の効県が認められた。この結果は, neuroReport誌に掲載された。
    日本学術振興会特別研究員としての研究課題に関しては, 満足な研究時間とエフォートを充てることはできなかった。したがって, これまで行なってきた研究内容を論文化することに尽力した。これらは研究課題で対象としている自閉症スペクトラムに関する研究であり, 「Journal of Autism and Developmental Disorders誌」を始めとして5本が掲載された。また, 自閉症スペクトラムの早期診断と関連があるとされている低出生体重児の研究についても1本が掲載された。学会発表も積極的に行ない, 発達障害や低出生体重児に関する内容を7つの国際・国内学会で発表した。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  150. ヒトの知覚における確率共振現象の生理学的メカニズムの解明 2012-04-01 – 2015-03-31 相原 孝次 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (10600918) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:脳内で確率共振が起きる証拠を示すために、脳波から逆問題を解いて脳内ノイズレベルを推定することを試みたが、計算機シミュレーションの結果から正確な推定は困難であることが明らかになった。次に、経頭蓋ランダムノイズ刺激により脳内ノイズレベルを操作できる証拠を得るために、心理物理実験により脳内ノイズレベルを推定した。操作できることが示唆されたが、さらなる実験的裏付けが必要である。最後に、安静状態ネットワークのノードに経頭蓋磁気刺激を行い、誘発反応を脳波で計測した。脳波からアーチファクトを除去する方法を検討し、安静状態ネットワークに固有の神経振動周波数が存在するかどうかを調べた。 研究実績の概要:
  151. ニューロフィードバックを利用した複数運動課題の同時学習 2012-04-01 – 2014-03-31 池上 剛 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (20588660) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:申請者は,ある一定方向(運動方向に対して左向き)に外乱が生じる新奇な力場課題を用いた腕到達運動学習実験を行なっている際に,獲得される運動記憶が,運動計画と運動実行に対応する階層的な2つの学習プロセスによって構成され,それらの相互作用によって形成されることを示唆する興味深い結果を得た.
    力場環境下において、多くの被験者が,6~7試行に一回程の頻度で,力場の影響を“過補償”し,それまでとは逆方向の右向きの弧を描くように大きく軌道を修正することが分かった.この軌道修正は,直前の試行で課題を失敗した場合に観察された.この結果は,課題が成功していた際に活性化していたプロセスだけでなく,課題が失敗した場合に活性化する別の学習プロセスが存在する可能性を示唆している.そこで、意図的に課題の失敗を誘起させるため,運動終点で外乱が最大になる力場を開発した.実験の結果,課題が失敗した直後の試行で,力場を過補償する程大きな軌道の修正が観察された.さらに驚くべき現象が,力場学習後の脱学習過程(力場なし環境)において観察された.力場環境から力場なし環境に移行する際,力場学習の後効果によってターゲットに到達できず課題を失敗するため,次の試行では軌道が大きく修正される.さらに課題を継続すると,運動はある曲線軌道に収束した.この軌道は,力場学習前に力場なし環境下で観察される直線軌道とは明らかに異なっていた.その曲線軌道は20分以上も保持されたことから,単なる力場学習の後効果の持続では説明できない.むしろ,課題の失敗を誘起する力場学習前後において,異なる運動計画によって異なる運動が実行されたことを示唆している.
    本研究によって得られた知見は,運動学習過程において,運動計画と運動指令の学習プロセスがどのように相互作用し,どのように潜在的な運動記憶を形成するかという神経メカニズムに示唆を与える. 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  152. 異なる変形性膝関節症モデル動物に対する歩行エクササイズの効果 2012-04-01 – 2014-03-31 西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (60515691) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:歩行エクササイズが関節炎モデル,関節不安定性モデルの痛みを抑制するか検討した。結果,関節炎モデルラットにおいて,トレッドミル歩行群はトレッドミル開始2週間後のみ通常飼育群より,疼痛閾値が改善していた。一方,関節不安定モデルではトレッドミル歩行群はトレッドミル開始4週間後より通常飼育群と比較して疼痛閾値が改善していた。脊髄後根神経節においてCGRPやASIC3といった疼痛関連分子に歩行エクササイズ群と通常飼育群に有意な差は認めなかった。関節炎モデルと関節不安定性モデルではトレッドミル歩行による疼痛抑制効果の減少には時間的な差があることが示唆されが,疼痛抑制メカニズムは明らかにできなかった。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  153. 脳磁計による神経義手の開発と上肢運動機能再建による大脳皮質再構築の検討 2012-04-01 – 2014-03-31 柳澤 琢史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90533802) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では臨床用脳磁計からオンラインで脳磁場信号を取得し、リアルタイムで脳情報抽出処理を行い、その結果に基づいて、患者が思った通りに動作する神経義手を開発した。また、これを腕神経叢引き抜き損傷や脳卒中、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺等により重度の運動麻痺がある患者に適用した。麻痺で動かない上肢を動かす想起時の脳信号から運動情報を抽出し、麻痺患者でも脳信号で義手操作が出来る事を示した。また、この操作に習熟することで、脳活動自体も変化する事が示され、リハビリテーションなどへの応用が示唆された。本研究により非侵襲的BMIの新たな可能性が示された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  154. リアルタイムfMRIを用いたバイオフィードバックによる社会認知機能改善プログラム 2012-04-01 – 2014-03-31 松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30384720) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では、リアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いて、局所脳活動を改善させることで高機能自閉症・アスペルガーの社会的認知機能を改善させることを目指し、感情機能や社会認知機能の改善・回復への有用性を調べ、臨床応用の可能性について検討することを目的とした。
    その結果、アスペルガー症候群もニューロフィードバックによるトレーニングにより扁桃体の活動を制御することが可能であることが確認され、トレーニング後に扁桃体の活動がトレーニング前と比較し活性化されていた。これらのことから、今後このようなトレーニング法は精神科のリハビリテーションにも十分応用できる可能性があることが示唆された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  155. 痛みと共感―“痛みの社会性”の認知・生理・神経的基盤に関する萌芽的検討 2012-04-01 – 2014-03-31 亀田 達也 北海道大学, 文学研究科, 教授 (20214554) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要:「他者の不遇や痛みをどのように共有できるか」という問いは、社会科学の根本的な問いであると共に、災害・格差を含む今日的問題の中核を形成する。本研究は“痛みの社会性”を領域交叉的な形で検討するための有効な概念的フレームを構築することを目的とした。本研究は多領域にまたがる経験的知見を整理し、“痛みの社会性”に関わる複数の鍵次元を概念的に析出した上で、そのフレームがどの程度有効かを見極めるため、「他者の痛みに対する共感」を出発点に、行動・認知・生理・脳機能画像計測を組み合わせた一連の実験を実行した。この結果、他者の苦痛に対して、その身体状況に応じた共感反応が生理レベルで起きることが明らかになった。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  156. 随意性の低い効果器の訓練及び非侵襲脳刺激法による随意性向上と神経基盤の変化 2012-04-01 – 2016-03-31 荒牧 勇 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40414023) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、非利き手や足など随意性の低い効果器を対象として、その随意性を向上させ、その随意性向上に伴う神経基盤の変化を明らかにする研究を行った。足によるボールリフティングや非利き手による投球訓練により、運動制御・学習に重要な役割を果たす小脳の灰白質量が増加することが明らかとなり、成人でも脳構造が発達する証拠を示した。また、一次体性感覚・運動野への非侵襲的な経頭蓋直流電気刺激により、足関節の関節可動域を変調することに成功し、ヒト運動システムに対する神経モジュレーションの可能性を示した。 研究実績の概要:
  157. 多様な記憶情報の活用を担う機能的神経回路の解析 2012-04-01 – 2016-03-31 櫻井 芳雄 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (60153962) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は、多様な記憶情報の活用を担う機能的神経回路、すなわちセル・アセンブリの活動を神経科学的に実証することを目的とした。様々な記憶課題を考案し、それらを遂行中のラットからマルチニューロン活動を記録し解析した。その結果、時間弁別課題、報酬確率予測課題、順序弁別課題など多様な記憶課題の遂行中に、海馬、扁桃体、前頭前野などでニューロン活動が変化することがわかり、さらにそれらの部位間で同期的に活動するニューロン集団、つまりマクロなセル・アセンブリの活動を検出することができた。 研究実績の概要:
  158. 思春期および小児期・青年期における精神疾患の治療と予防に関わる脳神経倫理学 2012-04-01 – 2014-03-31 石原 孝二 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30291991) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要:本年度は昨年度に引き続き、自閉症に対するオキシトシンの治療適用に関する倫理的問題の検討を中心に研究を進めた。オキシトシンは向社会性を高める効果があるものとされ、自閉症への適用が期待されてきたが、近年オキシトシンの向社会性の効果に関する文脈依存性を示唆する結果や効果に関する矛盾する結果が報告されるようになっている。本研究では、オキシトシン効果の向社会性に関する文脈依存性が倫理的問題に対してもつ意義の明確化を試みるとともに、オキシトシンと自閉症の関係を扱った論文における「社会性の障害」の捉え方を検証し、倫理的問題を分析するための基盤について検討した。また、2013年に発表されたDSM-5における診断基準の変更が自閉症(自閉症スペクトラム)の診断や教育などに対して与える影響についても検討を行った。
    自閉症の治療に関する倫理的問題に関しては、ハイデルベルク大学において討論会(Extended Colloquium: New Ethical Issues on Autism)を開催し、ハイデルベルク大学の研究者などと自閉症の診断や治療に関わる倫理的問題に関する討論を行った。また、東京大学においてワークショップを開催し、オキシトシンに関する臨床試験を行っている研究者、当事者、東京都自閉症協会の関係者をスピーカーとして招き、オキシトシンの治療適用に伴う倫理的問題などについて討論を行った。
    自閉症の治療に関する問題以外では、薬物療法が精神病理学に与えた影響についての論文を執筆したほか、投薬に依らない精神病早期介入のアプローチとして注目されつつあるOpen Dialogueに関する調査などを行った。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  159. ハイパースキャン手法による協調的動作の解明:個人差と注意量の観点から 2012 – 2014-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  160. ニューロフィードバックを応用した新たなリハビリ手法の開発 2011 – 2012 三原 雅史 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (80513150) 若手研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では、多チャンネル近赤外分光法(NIRS)を用いたリアルタイム解析システムを構築し、そのシステムを用いて脳卒中後片麻痺患者を対象に、リハビリテーションと組み合わせた際の NIRS を用いたニューロフィードバックの効果を検討する目的で、プラセボ群を用いたランダム化試験を行い、対象脳領域の賦活効果と、麻痺側手指機能回復促進効果を確認し、ニューロフィードバックが安全で侵襲性の低いリハビリテーション手法として有効であることを証明した。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  161. 神経経済学の手法を用いた「幸福度指標」の確立 2011-04-01 – 2015-03-31 田中 沙織 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (00505985) 若手研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:満足度・幸福度が生物学的指標で記述できるかを検証した。経済的な満足度を測定する実験課題の作成および脳活動データ、経済学・社会・生物学的属性データを収集し、経済学・社会・生物学的属性と満足度に関連する脳活動との関係を明らかにした。頭頂皮質と線条体が主観的効用の表現にかかわり、また島皮質と背外側前頭前野が社会的効用にかかわりかつ性別という個人属性によってその活動が異なることを明らかにした。これらの幸福度に関わる脳部位の具体的な機能の検証を行うためにfMRIによるニューロフィードバック実験を検討し、主観的効用に関わる線条体の活動の変化とそれに伴う意思決定行動の変化を示唆する予備的な結果を得た。 研究実績の概要:
  162. 二者同時計測によるインタラクティブなニューロフィードバックシステムの提案 2011 – 2012 大村 一史 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90431634) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では、セルフコントロールの効果的なトレーニングを促進するために、モバイル計測に適した携帯型脳波計を用いた二者同時計測によるニューロフィードバックシステムの提案を目的とした。従来の単独型とは異なる対戦型というインタラクティブなトレーニングスタイルを導入することによって、より短時間にトレーニング効果を引き出しうるニューロフィードバックシステムを構築し、そのシステムの信頼性・妥当性を検証した。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  163. ポータブルNIRS計測装置を用いた実利用型ブレイン・マシン・インタフェースの構築 2011 – 2013 伊藤 友孝 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00283341) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究は,脳機能計測装置を用いて人の脳活動を計測し,その情報を各種機器の操作やコミュニケーションに用いる「ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)」の構築を目的とした.本研究では,ポータブルNIRS計測装置を用いて,脳血流変化から人の思考や感情を識別するための手法を考案し,有効性を確認した.また,日常生活で利用可能なBMIの構築を目指し,使用状況の変化に対応すべく識別精度を向上させるための方法を検討した.さらに,将来の双方向BMIの実現を目指して,外部刺激が脳血流に与える影響についても実験的に検討を行った.今回の研究によりBMIの応用可能性を高める上での重要な指針が得られた. 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  164. 脳卒中片麻痺上肢に対するニューロフィードバック療法の開発とその効果検証 2011 – 2013 森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究は、まず健常者の道具操作および観察・イメージ時の運動関連領域の脳活動をNIRS-EEGシステムを用いて検出し、それから得た脳活動を基に閾値を設定し、その閾値を超えると視覚フィードバックを与えるニューロフィードバック装置を開発した。なお全ての対象者において左運動前野の活動が明確であったため、その領域の活動に焦点を置いた。この装置を用いて、脳卒中後に上肢運動障害を呈した10名の患者に対して2週間の介入を行った。結果、道具操作観察・イメージ時に左運動前野の閾値を超える活動を認めた6名は、介入によって有意な機能改善を認めた。一方、閾値を超えなかった4名は介入によって著明な効果が見られなかった。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  165. 運動想起型BCIへのユーザ適応を促すニューロフィードバック手法の開発 2011 – 2013 加納 慎一郎 東北工業大学, 工学部, 准教授 (00282103) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要:ヒトの感覚運動野の脳活動から運動の想起の有無やその種類を検出するBCI(brain-computer interface)における適用性や検出成績を向上させるために,脳波やNIRS(近赤外分光法による脳血流計測)によって得られたヒトの運動想起に伴う脳活動信号から生成された情報をユーザにフィードバックするニューロフィードバック(NF)を用いるための方法論について検討を行った.本実験の結果,計測信号からの情報抽出法,NF実験の実施方法などの知見が得られた. 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  166. アレキシサイミアにおける、自己意識・メタ認知に関する統合的脳機能画像研究 2011-04-01 – 2016-03-31 守口 善也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神生理研究部, 客員研究員 (40392477) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:アレキシサイミアとは自己情動の同定や表現困難を主徴とする心身症での重要な病態生理である。今回は,自己の身体―情動状態の変化とその認知の脳内基盤に関する知見を,fMRIを用いて得ることが目的である。’自伝的記憶に立脚した自己継続感’について日常の出来事を記録するwebシステムにより,ポジティブな記憶の方が保持され,海馬の活動の関与を明らかにした。情動刺激の際の脳活動と心拍変動との同時測定では,心拍変動の副交感成分と島皮質・腹側前帯状回の活動・機能的結合が関連していた。さらに、内受容感覚の認知の鋭敏さが不安を増大させ,内受容感覚への気づきに重要な島皮質の活動が,アレキシサイミア群で低下していた。 研究実績の概要:
  167. 発達性「読み」障害に関する臨床的、計算論的、脳機能研究 2011-04-01 – 2016-03-31 宇野 彰 筑波大学, 人間系, 教授 (10270688) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究の結果、ひらがなの習得には、過去に報告されていた音韻認識能力だけでなく、記号や意味から素早く音韻に変換する自動化能力が重要であることが分かった。そして、良好な認知能力を活用することにより、3条件を満たす場合には、かなをほぼ完璧に習得できる方法を開発できた。このような発達性読み書き障害のある方の多くが習得困難である漢字の脳内処理部位に関して、非言語的図形から漢字という言語的図形に変化するにつれて、処理する部位が連続的に移動することが分かった。そして、トライアングルモデルにて、子ども達の仮名の習得や、習得困難さが計算論的研究によりシミュレイションされた。 研究実績の概要:
  168. 運動療法によるストレス緩和作用の神経基盤に関する生涯発達研究 2011-04-01 – 2014-03-31 酒谷 薫 日本大学, 工学部, 教授 (90244350) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:現代社会に蔓延するストレスは、様々な疾患の主要原因の一つである。本研究では、近赤外分光法(NIRS)を用いて、前頭前野の神経活動を計測し、自律神経系・内分泌系機能及び心理状態とともに、ストレスを客観的に評価する方法を開発した。さらに本法を用いて、中高齢者における運動療法のストレス緩和効果について検討し、軽い運動でもストレス緩和効果があることを明らかにした。さらに高齢者に軽い運動を負荷することにより、前頭前野のワーキングメモリー課題に対する反応性が上昇し、パフォーマンスが向上することが示唆された。本ストレス評価法と運動療法を組み合わせることにより、ストレス性疾患を予防できる可能性がある。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  169. 知的エージェント介在型運動機能再建手法の開発 2011-04-01 – 2015-03-31 近藤 敏之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60323820) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究は運動関連領野の損傷による下肢運動麻痺患者に対するBCIリハビリシステムの開発を目的とした.本研究の成果は以下の3つである.第1に,運動想起型BCIの特徴量である事象関連脱同期/同期(ERD/ERS)の発現には,運動想像に加え,運動計画が重要であることを実験的に検証した.第2に,健常者の運動学習をモデルとして用いて,麻痺患者の運動機能再建過程における自発的な運動企図と運動機能向上の関係を調査した.第3に,上記BCI型リハビリシステムによって随意的な下肢筋活動に回復が見られた患者等に対し,自発的な筋活動を入力として実世界の自由な移動を実現する下肢筋活動駆動型電動車椅子システムを開発した. 研究実績の概要:
  170. 自己と外界の関係を表現する脳内機構 2011-04-01 – 2015-03-31 神作 憲司 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 室長 (60399318) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、脳で自己と外界の関係がどのように表現されているかを解明するための研究を行った。まず、腕を交差した状態で左右の手を触覚刺激すると時間順序判断の逆転が生じる現象に着目して研究を進め、神経画像にて交差逆転現象に左後部頭頂皮質が関与していることを示し、さらに自閉症児では腕交差時に生じる時間順序判断の逆転が定型発達児に比べて少ないことを見出した。また、マウスが自己と外界の関係をどのように処理しているかについて評価するための新しい行動実験系を開発し、これによりマウスにも自己身体表象が存在する可能性を示唆する結果を得た。これらの研究を続けることでこうした脳内表現が明らかとなることが期待される。 研究実績の概要:
  171. 熟慮的判断のための神経基盤の研究 2011-04-01 – 2014-03-31 坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要:思考の基礎過程を調べるために、独自開発の推論課題(Pan et al., 2008)を使い、サルの脳の推論機能について調べた。その結果、①単一ニューロン活動記録から、前頭前野外側部のニューロンは推移的推論機能を反映した活動を見せたが、大脳基底核線条体にはそのような活動が見られなかった(Pan et al., 2014)。②前頭前野外側部の推移的推論機能は、カテゴリカルな処理と密接な関係があることが示された(Pan & Sakagami, 2012)。さらに③多電極同時記録による局所場電位解析から、前頭前野外側部から線条体への情報伝達が、正しい課題遂行に重要な役割を果たしていることが示唆された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  172. 分子から社会までの統合的アプローチによる自己制御の形成・修復支援 2011-04-01 – 2016-03-31 笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80322056) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:人間の精神機能は、自分自身を知り(自己意識・自我・メタ認知[=自分自身の認知・行動を対象化し、自己像として認識すること])、社会環境適応的な自己制御性を持つという、他の動物にない特長を持つ。ヒトの自己制御をその神経基盤も含めて包括的に解明し、それにもとづいて自己制御の形成・修復の支援方法を開発することは、精神疾患が急増していることを鑑みれば喫緊の課題である。本領域では、5年間の研究を通して、自己制御の障害を呈する思春期精神病理における神経基盤を明らかにし、自己制御の支援方法を具体的に提案することに成功した。 研究実績の概要:
  173. メタ認知と社会行動の発達にもとづく自己制御 2011-04-01 – 2016-03-31 藤井 直敬 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (20392095) 複合領域 新学術領域研究(研究領域提案型) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本課題では動物とヒトを対象とした比較認知科学的アプローチを用いて、内的・外的過程であるメタ認知・社会行動にもとづく自己制御とその思春期発達の神経基盤を明らかにすることを目的とした。その結果、社会性の行動基盤としての脳内ネットワークの解明、メタ認知の動物実験プラットフォームの構築、 言語的アプローチによる自己認知メカニズム、因果推論や対人コミュニケーションの神経メカニズム等を明らかにすることが出来た。 研究実績の概要:
  174. 神経科学的アプローチによる倫理的行動モデルの研究 2011 – 2012 松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30384720) 人文・社会系 特定領域研究 研究開始時の概要: 研究概要:これまでの脳科学研究によって、社会規範を犯した人に対する制裁の欲求など道徳や倫理のメカニズムが脳内に存在することが示されてきた。その一方で、私たちは、そのような人の不遇な境遇や事情を知ることで、その人を哀れみ、同情することがある。その際に、同情と犯罪者への責任追及との関係性が問題となるが、脳内でどのようなメカニズムが働いているかについては未解明のままであった。そこで今回の研究では情状酌量に着目し、同情と量刑判断に関連する脳機能を探索した。被験者は、模擬裁判の裁判員として、被告人が犯罪行為に至った背景を基に量刑を決定するとともに、被告人に対してどの程度同情できるかを評定した。被告人が犯罪に至った背景に関する説明書を被験者に読んでもらい、そのときの被験者の脳活動をfMRIにより解析した。その結果、被告人への同情と量刑判断は、他者理解や道徳的葛藤に関わる内側前頭前皮質と襖前部という共通した脳領域の働きによるものであることが判明した。一方で、情状酌量傾向には個人差があり、その個人差は、主観的体験に関わる右島皮質の活動と関連しており、同情により刑を軽くしやすい人ほど島皮質の活動が高いことが明らかとなった。2009年に裁判員制度が我が国において導入され、法律に基づき人を裁くことは、とても身近な話となった。今回の研究の成果は、法律的判断の訓練を必ずしも十分には受けていない一般人の、裁判審理における情状酌量に関連する脳機能メカニズムを調べた世界で最初の研究成果である。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  175. 社会的評価ストレス下における運動パフォーマンスとその神経基盤 2011 – 2013 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:日常的に, 他者から評価される状況で行動する際, 他者の反応によって知覚や行動そのものに影響が生じることがある。本研究では, 社会的評価を受けている際の運動知覚や運動制御の特徴を明らかにし, 身体教育等の実践に役立てることを目指した。
    最終年度である本年度は, 「研究実施計画」に記載の通り, 主に昨年度までに得たデータの分析及び論文の執筆を行った。まず, 英国University College LondonのPatrick Haggard教授と共同で行った心理物理学実験のデータを分析した。本実験では, 自分の行為が外界に結果を生み出したという感覚である「行為主体感」を客観的に測定するため, 自発的な運動(ボタン押し)とその結果として生じる感覚(音)の主観的時間間隔が狭まるという時間知覚のイリュージョン(intentional binding)を用いた。すると, ボタン押しの際に, 他者が快反応を示した条件に比べて, 不快反応を示した条件では, intentional bindingが小さくなり, 行為主体感が弱まったことが示された。すなわち, 他者から不快反応が生じると, 「自分のせいではない」と感じる知覚的バイアスが存在することが示唆された。本研究成果は, Current Biology誌より出版され, 海外のメディアにも報道された。また, データの分析と並行して, イタリア・ミラノのサンパウロ病院と共同で, 気分障害の患者様を対象に実験を行った。本実験により, 行為者の気分によって, 他者からの感情的反応が行為主体感に与える影響が変化するかが明らかになると見込まれる。年度中, 2編の原著論文が出版された他, 2013年度包括脳ネットワーク夏のワークショップや第7回Motor Control研究会など, 6件の研究発表を行い, 包括脳ネットワークより若手優秀発表賞を受賞することができた。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  176. ニューロフィードバックによる行動制御の発達支援に関する実証的研究 2010 – 2012 篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 教授 (90235549) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要:近年、ニューロフィードバックは、発達障害に適応され、非薬物療法として、自己制御能力を高め、問題を軽減することが報告されている。本研究では、健常者および発達障害事例を対象に、その効果を多面的に検討し、臨床適用上の手がかりを探索した。トレーニングにより、主観的自己制御感が変容するとともに、前頭部におけるN2事象関連脳電位、右前頭前野における脳血流の亢進が生じることを見出し、制御的注意の活性化が示唆された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  177. 社会性の個人差を決める脳メカニズムの解明とその利用 2010-04-01 – 2014-03-31 春野 雅彦 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (40395124) 基盤研究(B) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では社会性の個人差における前頭葉皮質と皮質下の領域の役割を調べることが目的であった。 向社会的な被験者と個人的な被験者に公平性に基づき意思決定を行うゲームをfMRI計測時に行ってもらった。この課題には、ゲームと同時に乱数を記憶させ背外側前頭前野を使用、そのような要求がない2条件がある。背外側前頭前野を乱数記憶に使用すると、向社会的な人はより向社会的、個人的な人はより個人的な行動を示した。この時のfMRIデータを解析した結果、両者の差は扁桃体と側坐核の活動に現れることが明らかとなった。 さらにこの扁桃体と側坐核の脳活動に機械学習技術を適用することで被験者の行動を予測できる可能性を示した。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  178. 機能的近赤外分光装置を用いた高次脳機能の計測とその評価に関する研究 2010 – 2012 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:近年,非侵襲式の脳活動計測方法の発展に伴い,ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)が注目されている.BCIとは,脳活動から使用者の意図を検出し,様々な機器を操作する技術であり,医療・福祉・エンターテインメントなど幅広い分野への応用が期待されている.BCIにおげる非侵襲式の脳活動計測方法としては,脳波(EEG),近赤外分光法(NIRS)が挙げられる.特に,NIRSは空間分解能が高く,環境ノイズに強いという特徴を持つことから,新しいBCIの脳活動計測方法として注目されているしかし,NIRSを用いたBCI(NIRS-BCI)においては,BCIを目的とした信号処理方法が確立されていないため,BCIを開発する上での大きな障害となっていた.
    本研究では,小型で汎用性が高いBCIシステムの開発のために,まずNIRS-BCIのための信号処理方法の検討を行い,次に検討した信号処理方法をもとに運動野を対象としたBCIと前頭連合野を対象としたBCIシステムの開発を行った.その結果,運動野を対象としたBCIの開発では,NIRSを用いて運動意図を識別し,筋刺激装置やロボットアームを操作できることを確認した.これにより,片マヒ患者などのリハビリテーションにBCIを応用できる可能性を示した.
    前頭連合野を対象としたBCIでは,BCI使用者の訓練とニューラルネットワークによる識別を組み合わせることで,計測できる情報が少ない小型BCIでも,約80%の正答率を実現できることを確認した.この結果から,NIRSを用いた小型で汎用性が高いBCIシステムを実現した.また,前頭連合野を対象とすることで,NIRS-BCIの新しい応用としてメンタルヘルスケアへの応用の可能性を確認した. 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  179. ブレイン・コンタクトによる予測協調制御に向けた適応型BMIの展開 2009 – 2011 和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70293248) 基盤研究(A) 研究開始時の概要: 研究概要:非侵襲の脳活動計測(近赤外分光法: fNIRS)によって,ヒトが外部装置を思い浮かべるだけで制御できるようにするための基礎研究を実施した。ヒトが前後左右4方向への等尺性収縮運動を行った際のfNIRS信号を測定し、得られた信号から腕の力方向の時間的・空間的な特徴量選択を行い,方向推定を行い, 80-90%程度の推定精度が得られた。結果,運動情報の空間的、時間的局在が示された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  180. 「身体で覚える」ニューロフィードバックを用いた自己コントロールプログラムの開発 2008 – 2009 大村 一史 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90431634) 挑戦的萌芽研究 研究開始時の概要: 研究概要:昨年度に引き続き、前半は据置型の脳波計を利用した脳波・皮膚電位・脈波を用いたニューロフィードバックシステムの構築をメインに行っていたが、より簡便で広範囲かつ効率的な利用を目指すために、後半からはモバイル型の生体アンプを利用したシステムへと移行した。移行に際し、自律神経系の指標としては脈波から導出される心拍および心拍変動を、中枢神経系の指標としてはθ/βパワーを選出し、ターゲットとする指標を絞り込んだシステムを確立するようにした。大学生3名を対象とした予備実験を継続的に実施し、試行錯誤を繰り返しながら、システムの基本形を完成させた。このシステムの妥当性を検討するために、数名の参加者を対象に、1セッション(10分×3セット)からなるトレーニングを長期間縦断的に試用し、トレーニングを通じての認知・情動的変化の観察を継続中である。
    さらに、このフィードバックを用いたセルフコントロールプログラムを適用した場合に、どのようにセルフコントロールが改善されたのかを評価検討するために、プログラム適用前と適用後に実施する心理生理実験の検討を行った。前年度の行動実験に加え、今年度は多チャンネル脳波計を利用した事象関連電位(P300)を指標として導入し、連続遂行課題(Continuous Performance Task : CPT)と時間評価課題を中心に、心理・生理の両面からトレーニング効果を評価できる方法を検討した。
    前年度同様に、研究分担者を中心にプログラム適用前の衝動性傾向を広く検討するための質問紙調査を行った。大学生の基本的生活習慣がセルフコントロールに及ぼす影響を検討し、規則正しいリズムがより高いセルフコントロールにつながることが示され、その成果は学会で発表された。今後はこの知見をニューロフィードバックプログラムの総合的な事前事後指導に導入する。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  181. 神経行動科学的アプローチによる芸術的パフォーマンスの向上を目指して 2008 – 2010 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:公での音楽演奏場面で演奏者に引き起こされる演奏不安は,多くの演奏家を悩ませる深刻な問題であり,その適切な対処法を探ることは急務である。本研究では,運動生理学・心理学・神経科学を組み合わせた学際的アプローチを用い,不安喚起がピアノ演奏のパフォーマンスに及ぼす影響について包括的に検討し,教育場面で役立つ実践的知見を得るとともに,情動が身体運動に影響を及ぼす機構の解明に寄与することを目指した。本年度は,「研究実施計画」に記載の通り,社会的評価ストレスがピアノ奏者の脳波に及ぼす影響に関する実験を東京大学駒場キャンパスにて実施した。昨年度実施した質問紙調査に基づき,低不安群8名,高不安群9名の計17名の熟練ピアノ奏者に参加してもらった。分析の結果,ストレス下での自律神経系反応(心拍数の増加)には群間で差がなかったが,高不安群においてのみ,唾液中ストレスホルモン(コルチゾール)濃度や筋活動強度が上昇するとともに,前腕の屈筋・伸筋が同時に収縮する傾向が強まったことが明らかとなった。さらに,こうした反応の違いの背景には,脳の感覚運動関連領域由来の律動波であるμ波の変化があることが示された。本研究成果より,演奏不安の悪影響を緩和するために,脳波ニューロフィードバックを利用できる可能性が示唆された。また,脳波の実験の分析と並行して,英国サセックス大学のHugo D.Critchley教授の研究室にて,健常被験者を対象として,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と脳波,心電図,筋電図を同時計測する実験を行った。空間解像度の優れた本実験データの詳細な分析により,不安による運動パフォーマンス低下を媒介する脳部位を特定することができると考えられる。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  182. 脳波を用いたユーザ適応型ヒューマンインターフェース(BCI)のシステム化 2007 – 2009 加納 慎一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00282103) 基盤研究(C) 研究開始時の概要: 研究概要:従来の非侵襲計測によるBCI(brain-computer interface)で問題になっていたユーザへの適応性を改善する方法論を提案し,ユーザ適応性の高いBCI を実現するための手法を検討した.運動のイメージによって生じる脳活動を検出するBCI のための特徴抽出,パターン分類,ユーザ訓練の手法を脳波,近赤外分光法(NIRS),機能的磁気共鳴画像法(fMRI)により検討した,また,事象関連電位を用いたBCI を開発し,そのユーザへの適用性の向上のための検討を行った. 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  183. プライミング効果に対応したMEG応答を用いた多義的仮現運動における知覚交代の予測 2007 – 2008 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:我々は,先年度,武田研究室が有する440ch全頭型MEGを用いて,(1)多義図形の一種での知覚交替を予測する事,(2)その知覚が意図によりコントロール可能な事などを明らかとしてきました.成果(1)は本年度,生体磁気学会にて若手奨励賞を受賞しました.さらに,同学会の査読付き学会誌にて出版されました.さらに,日本機械学会から招待論文のご依頼を頂き,出版される事となりました.成果(2)は,英文雑誌への出版を直前に迎えている段階にあります.
    また,その解析技術を土台として,ATR(国際電気通信基礎技術研究所)との共同研究を行いました.ここでは,画像情報をオブジェクトカテゴリー情報に変更した上で,オフラインで高精度のクラシフィケーションに成功いたしました.この成果は,国際学会(Biomag2008)において,Young Investigator Award(U35)を受賞いたしました.
    さらに,先年度から開発を進めておりました脳信号をリアルタイムで画像もしくは音声刺激に反映させるニューロフィードバックシステムの改良(高速化など)を進めました.ニューロフィードバックの効果を調査する中で本年度の終了を迎える事となりましたが,近い将来にそのシステムを用いた波及的な成果が得られる事が期待されます. 研究成果の概要: 研究実績の概要:

哺乳類が腸で空気呼吸?腸呼吸が治療に使えるか

「腸呼吸」なる言葉を初めて聞いたのですが、ドジョウでは有名なことのようです。

ドジョウの腸呼吸

ドジョウがときどき水表面に浮かび出て水面上の空気をのみこみ,肛門より気泡を放出する特殊な習性をもっていることは,古くから知られている。のみこんだ空気が腸管を通って肛門より排出されることは末広1)により証明され,腸管表面の粘膜に毛細血管が密に分布すること2),排出されるガスを分析した結果,酸素が減少し炭酸ガスが増加していることなどが報告されている。(ドジョウの腸呼吸について 水産増殖 15(3) 1967 THE AQUICULTURE)

ドジョウの腸呼吸について 水産増殖 15(3) 1967 THE AQUICULTURE

ドジョウがぐるぐる廻りながら時々水面にやってきては空気を飲み込み、お尻からあぶくを出しながら水底に戻っていく光景を興味深く思ったものです。‥ 空気呼吸をする魚は他にもいますが、そのやり方はいろいろです。ドジョウの場合、その名も腸呼吸といい、口から飲み込んだ空気を腸管内に密に分布する毛細血管でガス交換を行います。腸が肺の役割をしているわけです。ドジョウは魚ですので、当然、鰓呼吸もしていますが、水が乏しくなったときや、水中の酸素が少なくなったときに、腸呼吸によって補っているのです。(第20回「ドジョウ」 さかな博士)

腸呼吸する種

Breaking wind to survive: fishes that breathe air with their gut. J. A. Nelson 2014 The Fisheries Society of the British Isles When gut segments evolve into an air-breathing organ (ABO), there is generally a specialized region for exchange of gases where the gut wall has diminished, vascularization has increased, capillaries have penetrated into the luminal epithelium and surfactant is produced. This specialized region is generally separated from digestive portions of the gut by sphincters.

哺乳類で腸呼吸?

研究グループはマウスブタ直腸酸素ガス多量の酸素が溶け込んだ液体を入れる方法を試した。その結果、何もしなければ5分程度で死んでしまう低酸素の環境でマウスの直腸に酸素ガスを入れた場合、生存時間が2倍程度に延びた。腸の粘膜をはがした状態にすると1時間以上生存し、呼吸不全の状態は改善された。血中の酸素量も大幅に増加した。酸素が溶け込んだ液体を入れた場合も呼吸不全が改善。ブタでも同様の効果が確認された。(朝日新聞 尻から酸素、腸呼吸で呼吸不全を改善 コロナ治療に期待 2021年5月15日 0時00分 )

 

ドジョウなどの水棲生物の一部は、泥池における低酸素環境を生き抜くために、副呼吸機構として、肛門側近傍の腸を活用して酸素換気を行う「腸呼吸」を有している。最近、研究代表者らは、この腸呼吸システムを活用することで、マウスブタなどの哺乳類において、致死的な低酸素条件下でも生存可能である、という驚くべき知見を得た。本研究では、「進化的に廃絶した機能と考えられてきた腸呼吸が、なぜ哺乳類でも機能するのか?」という問いに迫る。本研究を通じて、腸呼吸の生物学的理解を深めるとともに、肺移植に代替する治療法確立に貢献する革新的な技術の創出につなげる。(武部 貴則 基盤研究(A)  東京医科歯科大学 2021-04-05 – 2025-03-31 KAKEN

  1. Clinical and Translational Resource and Technology Insights Mammalian enteral ventilation ameliorates respiratory failure. Med Volume 2, Issue 6, 11 June 2021, Pages 773-783.e5
  2. 腸呼吸の応用により、呼吸不全の治療に成功 -腸換気技術を用いた新たな呼吸管理法の開発へ光-  2021年05月19日 京都大学プレスリリース https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-05/210515-date-5b169b4c37f36459545f90ab144cbc60.pdf

ノーベル賞を受賞した田中耕一氏は、2003年に島津製作所質量分析研究所を訪れた当時の皇太子殿下ご夫妻に対して、「血液一滴で数百の病気の早期診断を可能にする」と語ったのだそうです(MedicalTribune 「血液一滴から」の約束は果たされたか 2021年10月18日)。病気を早い時期に見つけて早くから治療を開始することが大事ですが、そのためには検査を受ける人があまり負担を感じないような簡便な診断スクリーニング方法が望まれます。田中耕一氏の言葉にあった血液だけでなく、「鼻腔・咽頭拭い液」、呼気、唾液、尿、糞便などに、病気の「証拠」となる「マーカー」が見つけられないかという研究が盛んです。とくに侵襲性がなく、心理的な負担も少ない方法として唾液、呼気が注目されます。

呼気に排出される微量の物質を病気になったときのバイオマーカーとして用いて、診断に役立てようという研究があるそうです。KAKENデータべ―スで「呼気 マーカー」で検索すると8件の研究課題が見つかりました。

  1. 前立腺癌バイオマーカーとしての呼気中アルデヒド類の有用性の検討 2021-04-01 – 2024-03-31 若手研究 小区分90130:医用システム関連 佐々木 陽典 東邦大学, 医学部, 助教 (80744151) 研究開始時の概要:呼気中には癌細胞が抗腫瘍免疫による活性ラジカルを介した攻撃を受けた際に生成されるアルデヒド類が排泄されることが報告されており、癌のバイオマーカーとして精力的な研究が行われているが、前立腺癌のバイオマーカーとなりうるアルデヒド類の同定には至っていない。本研究は、この現状を踏まえてアルデヒドと特異的に反応する性質をもつO-(2,3,4,5,6-Pentafluorobenzyl) hydroxylamine (PFBHA)を用いたPFBHAサンプラー捕集・溶媒抽出-ガスクロマトグラフィー/質量分析法を用いて、前立腺癌のバイオマーカーとなりうる呼気中のアルデヒド類の同定を目指すものである。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  2. 呼気癌マーカー複数同時検出のための酵素電気化学センサアレイの開発 2020-04-24 – 2022-03-31 特別研究員奨励費 小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連 研究開始時の概要:近年、予防医学という観点から呼気中に含まれる病気に関連したバイオマーカーを非侵襲に検出し、病気の初期段階を手軽に診断可能な医療用デバイスが注目されている。診断に使用するセンサーには選択性・感度が求められるが、従来の無機半導体ガスセンサーでは選択性・感度が不十分であった。本研究では、選択性の高い酵素と高感度測定可能な電位差測定を組み合わせたセンサー・システムを構築し、センサー表面を気相中の呼気癌マーカーを取り込むハイドロゲルで被覆することで、呼気癌マーカー検出を試みる。また、酵素の組み合わせを変えて様々な癌マーカーに対応したセンサーをアレイ化することで、1次スクリーニングデバイス開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  3. 呼気癌診断を実現する嗅覚センサシグナルの「マーカー特徴量」の網羅的探索と最適化 2018-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(A) 中区分90:人間医工学およびその関連分野 吉川 元起 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70401172) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要: 研究実績の概要:1000種類以上の多成分混合ガスである呼気は、疾患によって数十種類のガス濃度比が微妙に変化すると考えられており、疾患の状態を反映する「マーカー分子」の特定が難しい。またそれらのピンポイント測定だけでは情報不足となる可能性が報告されている。
    そこで本研究では、呼気全体を多種類のセンサ素子でパターン化する嗅覚センサを用いて、疾患に起因する複雑なガス濃度比の変化全体を捉え、この嗅覚センサシグナルのうち、がん関連の医療メタデータと明確な相関を示す特徴を「マーカー特徴量」と定義し、その網羅的な探索を行う。本研究では、小型嗅覚センサ素子として高い感度や多様性を有する「MSS」を利用する。このMSSに関しては、産学官連携によって、嗅覚センサに必要となるハードウェア/ソフトウェア両面の包括的な技術体系を構築しており、これらと密に連携することにより、嗅覚センサの呼気診断への適用可能性を最大限追求する。
    2018年度は、可能な限り効率よく信頼性の高いデータを収集するために、呼気の採取から測定までの一連のプロトコルの確立を進めた。具体的には、温度や湿度の揺らぎやサンプルの経時変化など、センサシグナルの信頼性や再現性の低下の原因となる不確定な要素の徹底的な排除を行った。その結果、センサシグナルに影響を与えている要因が明らかになり、その影響の少ないサンプルを用いた解析では良好な結果が得られることも明らかになってきた。
  4. 呼気ガスバイオマーカーの周術期管理における有用性の検討 2012-04-01 – 2014-03-31 挑戦的萌芽研究 松永 明 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70284883) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究は、周術期の患者管理に有用な呼気ガス中の揮発性有機化合物(volatile Organic Compounds: VOCs)を特定し、そのガスセンサを開発することである。ガスクロマトグラフィーを用いて侵襲度の高い手術における呼気ガス中VOCsの変動を測定したが、有用なマーカーを特定できなかった。
    VOCs測定のためのガスセンサは、水蒸気の影響や触媒活性の低下などがその測定精度に影響を与えることが分かった。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  5. 喫煙者の呼気中ガス成分と酸化ストレスマーカー及び吸煙行動の因果関係の解明 2010 – 2012 若手研究(B) 稲葉 洋平 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 主任研究官 (80446583) 研究開始時の概要: 研究概要:我々は,固相抽出とGC/MS またはLC/MS/MS を組合せた呼気中の 揮発性有機化合物,尿中の8-isoprostane 及びニコチン代謝物の測定法の確立を行った。これ らの手法を用いて喫煙者の酸化ストレスマーカー,ニコチン代謝物及び喫煙行動との関連性を 解析した。その結果,8-OHdG は1 日の喫煙本数,1 日の総吸煙量,尿中コチニンに有意であ った(p<0.05)。iPF_<2α->は,年齢,唾液中コチニン,尿中3-ハイドロキシコチンンに有意であっ た(p<0.05)。一方で,呼気中一酸化炭素と尿中酸化ストレスマーカーとの関連性は,認めら れなかった。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  6. 呼気凝縮液中バイオマーカーの迅速診断法の開発と難治性喘息管理への応用 2010 – 2012 基盤研究(C) 片岡 幹男 岡山大学, 大学医保健学研究科, 教授 (50177391) 研究開始時の概要: 研究概要:呼気凝縮液(EBC)を用いて、喘息患者の気道炎症状態を反映する炎症性マーカーを見いだし、point of care testing (POCT)に応用可能な迅速診断法の確立を試みた。EBC中の好酸球性炎症マーカーとして主要塩基性蛋白(MBP)が、好中球性炎症マーカーとしてミエロペルオキシダーゼ(MPO)がELISA法により測定可能であった。POCTとして免疫クロマト法によりEBC中のMBPとMPOを半定量的に測定できる迅速診断デバイスの構築と測定結果の評価を行った。本法によりMPOとMBPが同時に測定できた喘息患者では好中球性マーカーが優位の群と、好酸球性マーカーが優位の2群にわかれることが判明した。気道炎症状態をベッドサイドで把握し、喘息患者の治療、管理に応用可能と考えられた。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  7. ヘムオキシゲナーゼ1による生体保護作用:バイオマーカーとしての呼気一酸化炭素 2006 – 2008 基盤研究(C) 野口 宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20065569) 研究開始時の概要: 研究概要:集中治療室に敗血症にて入室患者の、血中一酸化炭素(CO)濃度(ガスクロマトグラフィー)、単球中ヘヘムオキシゲナーゼI蛋白量(フローサイトメトリー)、血液中酸化ストレス度(分光高度計)、炎症性サイトカイン(ELISA)等を測定することにより、侵襲による酸化ストレス、ヘムオキシゲナーゼI発現、CO濃度の相関を検討した。その結果、ヘムオキシゲナーゼI蛋白発現と血中CO濃度間に正の相関が認められた。COはNOとともにグアニールサイクラーゼ活性化による血管拡張作用を有するが、それ以外に抗炎症作用も有する。内因性COの起源は、その代謝経路からヘムオキシゲナーゼ系由来と推察されていたが確証はなかった。今回の結果は、内因性のCOとヘムオキシゲナーゼ経路との関連性を強く推察するものである。次にヘムオキシゲナーゼ1を調節する要因として酸化ストレスをはじめとした生体侵襲が重要視されている。今回、APACHE IIによる重症度スコアー、酸化ストレス度、およびヘムオキシゲナーゼI発現間に正の相関が認められた。この結果は、強い侵襲が生体に加わり酸化ストレス度が増加した状態下で、抗炎症作用を有するヘムオキシゲナーゼ1蛋白質が増加している可能性を強く示唆する。ヘムオキシゲナーゼIの上昇しない敗血症患者は予後が悪いことも今回の検討から明らかになっており、ヘムオキシゲナーゼI-CO系は生体防御系として重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 研究成果の概要: 研究実績の概要:
  8. 新しい酸化ストレスのバイオマーカー:呼気一酸化炭素濃度 2006 – 2008 基盤研究(C) 松三 昌樹 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (70219476) 研究開始時の概要: 研究概要:医学の発達により心臓や肝臓などに対する侵襲の大きな手術が行われるようになってきた。しかし、手術自体が成功しても、その後、呼吸不全・腎不全などの多臓器不全に陥って死亡する症例が後を絶たない。本研究では、ストレスにより細胞内に誘導される蛋白Heme Oxygenase-1 (HO-1)の酵素反応産物である一酸化炭素(CO)が呼気に排出され、これが臓器不全の指標となり治療に応用できる可能性を示した。 研究成果の概要: 研究実績の概要:

心不全と心腎連関に関する科研費研究87件

心不全は心腎連関ぬきには考えられないのだそうです。心不全と心腎連関に関する最新の研究を網羅するため、KAKENデータベースで採択研究課題を調べてみました。科研費研究が87件見つかりました。

ちなみに採択された研究課題の概要を読むと、科研費計画調書の概要の書き方を学ぶことができます。以下、太字や下線は、私が自分で読み解くときの手がかりとして付したものです。

  1. 心不全における腎交感神経求心路の役割:「腎→脳→心」の臓器連携機序の解明 2021-04-01 – 2024-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 篠原 啓介 九州大学, 医学研究院, 助教 (30784491) 研究開始時の概要:心臓病と腎臓病が互いに関連しあう「心腎連関」の機序はいまだ不明な点が多い。交感神経系は心臓や腎臓のコントロールを含む循環調節に重要であり、交感神経活動を最終的に規定するのは脳である。腎臓交感神経求心路の興奮は脳に入力し、交感神経制御に関連することが示唆されている。応募者らは、脳内レニン・アンジオテンシン系の亢進が交感神経活性化を引き起こすことを示してきた。本研究の目的は、「腎交感神経求心路の心不全病態への寄与」を調べ、さらに「腎→脳→心の連携における脳内機序」を明らかにすることであり、特に脳内レニン・アンジオテンシン系に着目した脳内機序を検証する。 研究概要: 研究成果の概要
  2. 心腎連関におけるミトコンドリア代謝 2020-04-01 – 2022-03-31 若手研究 小区分53040:腎臓内科学関連 松浦 亮 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30847041) 研究開始時の概要:心不全患者における慢性腎臓病(CKD)の合併率は高く、CKDを合併している場合には予後が不良である。しかし、その病態は明らかではなく、有効な治療方法もない。本研究では心不全による腎障害の進展は、腎交感神経活性化を介したミトコンドリア生合成の低下が主病態であるという仮説を立て、それを証明することを目的とした。またミトコンドリア生合成を活性化する物質を投与することで心不全における腎障害の改善がみられることも検証する。 研究概要: 研究成果の概要
  3. 超音波検査で犬の心腎連関を解明できるか:右心室機能と腎うっ血に注目した検討 2020-04-01 – 2023-03-31 若手研究 小区分42020:獣医学関連 森田 智也 岩手大学, 農学部, 助教 (60862282) 研究開始時の概要:人医療において心臓と腎臓の密接な関わり「心腎連関」が心不全患者の寿命に大きく影響を与えていることが近年明らかとなってきた。また心腎連関の主要因である腎臓のむくみ「腎うっ血」を超音波検査で評価することが可能であり、その有用性が示されてきた。しかし犬においての研究はほとんど行われていない。本研究では、臨床例の心疾患犬とモデル犬における検討を行うことで、犬において腎うっ血が実際に起こるのか、もし起こるのならどのような因子によって引き起こされているかを明らかにすることを目的とする。その結果、犬における心腎連関に関する基礎的な情報が得られるとともに、高リスク患者の選別や治療選択への応用が期待できる。 研究概要: 研究成果の概要
  4. 尿細管上皮のNaチャネル発現亢進を標的とした心腎連関に対する新規治療の確立 2020-04-01 – 2023-03-31 基盤研究(C) 小区分53040:腎臓内科学関連 草場 哲郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60367365) 研究開始時の概要:本研究では腎近位尿細管Naチャネルの抑制を標的とした心-腎連関に対する治療法の確立に向けた基盤となる研究を行う。具体的に、①心不全モデルマウスの腎臓でのNaチャネルを中心とした遺伝子発現を網羅的に解析し、候補分子(今回はNaPi2aが第一候補)を同定する。②同分子の遺伝子改変もしくは薬物を用いた機能抑制により、心不全の予後改善、心機能保護効果を検討する。 研究概要: 研究成果の概要
  5. 慢性腎臓病進展における心腎連関の機序解明 2020-04-01 – 2023-03-31 基盤研究(C) 小区分53040:腎臓内科学関連 横井 秀基 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378779) 研究開始時の概要:近年、心臓と腎臓の生理学的・病理学的な密接な関係性を「心腎連関」と呼称し、包括的な病態理解・治療介入探索が検討されるようになってきている。心臓・腎臓の一方に生じた障害が、他方にも影響して障害を引きおこすcardio-renal syndrome (CRS)という疾患概念も広く受け入れられている。本研究は心不全マウスを用いて、そのマウスに腎障害を起こすことにより心腎連関の機序を解明する研究である。 研究概要: 研究成果の概要
  6. 心腎連関において長期的運動が酸化ストレスにおよぼす影響について 2019-04-01 – 2023-03-31 若手研究 小区分59010:リハビリテーション科学関連 高橋 麻子 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (20825773) 研究開始時の概要:腎不全と心不全の病態はお互いに密接に関係しており、心腎連関と呼ばれる。このメカニズムには、レニン-アンジオテンシン系、nitric oxide系、交感神経、酸化ストレスが関与していると考えられているが、その詳細は不明である。心不全患者への運動療法の有効性は示されている一方で、腎不全患者の心機能への運動療法の有効性は明らかでない。そこで、腎不全モデルラットを用いて長期的運動が心臓の酸化ストレスに及ぼす影響を検証することを本研究の目的としる。運動療法と薬物療法の併用の有効性を提言し、ひいては心不全・腎不全患者の予後改善、透析導入患者数の減少に寄与できることを期待する。 研究概要: 研究成果の概要
  7. 腎尿細管における受容体随伴性プロレニン(RAP)系による循環調節の解明 2019-04-01 – 2021-03-31 若手研究 小区分53020:循環器内科学関連 木野 旅人 横浜市立大学, 医学部, 客員研究員 (00829608) 研究開始時の概要:心疾患と腎疾患には、共通する病態があり心腎連関と呼ばれている。慢性腎臓病は心血管疾患の強いリスクであり、急性心不全には高頻度に急性腎障害を合併する。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系や自律神経系が、この病態に深く関与しており、RA系阻害薬、アルドステロン拮抗薬、β遮断薬が臨床応用されている。本研究は、近年明らかにされた、RAA系の新たなコンポーネントであるRAP(Receptor Associated Prorenin:受容体随伴プロレニン)系に注目して、腎尿細管でのRAP系の機能、心腎連関の病態への関与を、遺伝子改変動物を用いて分子レベルで解明することを目的としている。 研究概要: 研究成果の概要
  8. 血液透析患者における歯周病が心血管病に与える影響 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分57080:社会系歯学関連 大田 祐子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90610973) 研究開始時の概要:慢性腎臓病(CKD)における心血管疾患による死亡原因は最も多く、CKDは心血管病の危険因子であることが明らかになっている。また、歯周病は、心血管病とCKDに共通する危険因子である。歯周病が予防可能、治療可能な疾患であることを考慮すると、歯周病と心血管病の関連を明らかにする意義は大きいが、歯周病とCKDの関連性を検討した臨床研究のほとんどは欧米人が対象で、コホート研究は少ない。本研究では、日本人の血液透析患者を対象とした心血管病データベースを再構築した疫学研究の成績を用いて、心血管病発症とそれによる死亡を標的として、歯周病重症度との関連を評価し、歯周病が心腎連関進展へ与える影響について検討する。 研究概要: 研究成果の概要
  9. 尿毒素による心不全発症・再発の病態解明と新規治療戦略の基盤構築 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047) 研究開始時の概要:慢性腎臓病は心血管疾患発症のリスク因子である。心腎連関の主因物質は十分明らかでないが、血液中の尿毒素の一つであるインドキシル硫酸の関与が示唆されている。本研究では、基礎研究として尿毒素が心不全発症に関与する分子病態を動物実験にて明らかにし、心臓における心腎連関の新規標的分子の探索を行う。同時に、臨床研究として血中インドキシル硫酸と心不全発症の関連を前向きの多施設レジストリーにて検証する。このように、基礎と臨床の両面からインドキシル硫酸の心臓への影響を明らかにし、心不全に対する新規治療戦略の基盤を構築する。 研究概要: 研究成果の概要
  10. グルカゴン依存性交感神経制御機構の解明と心血管病での役割ー心事故予防を目指して 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(B) 小区分53020:循環器内科学関連 暮石泰子 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190) 研究開始時の概要:代表者らは、グルカゴン欠損マウス(Gcg-null)の心臓を解析し、高血圧と心肥大を伴う収縮機能不全性心不全を呈することを発見した(投稿準備中)。その機序には、Gcg欠損により、副腎アドレナリン分泌を制御する責任分子の生理的抑制制御の逸脱が起こり、Adrの過剰分泌を引き起こすことを解明し現在その責任分子X関連シグナリングの探索と、このGcgによる新たな神経―内分泌制御系の病態意義に関して研究を継続している。本研究は糖尿病専門医との連携により代表者らが発見したGcg依存性交感神経制御機構の解析結果を発展応用させ、交感神経活性評価の血液サンプルによる簡便なサロゲート診断法や治療法の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要
  11. 慢性腎臓病におけるPlGFとsFlt-1の発現不均衡に関する機序の解明 2018-04-01 – 2020-03-31 若手研究 小区分53020:循環器内科学関連 中田 康紀 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70812379) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:慢性腎臓病患者では心血管疾患が,逆に心疾患患者では腎機能低下が予後に大きな影響を与えている.この心腎連関の機序の一つとして,動脈硬化を促進する胎盤増殖因子(PlGF)とPlGFに拮抗的に働く可溶性Flt-1(sFlt-1)の発現不均衡がある.本研究では既存薬剤である球形吸着炭AST-120の投与によりsFlt-1の発現低下が抑制され,抗動脈硬化作用を示すことが示唆された.また,慢性腎臓病を多く含む急性心不全患者において,血清PlGF値の上昇が予後悪化に強く関連していることを示した.
  12. 臓器連関を介した心機能制御:一酸化窒素を基軸とした糖尿病性心筋症の新たな治療戦略 2018-04-01 – 2021-03-31 若手研究 小区分48030:薬理学関連 三上 義礼 東邦大学, 医学部, 助教 (80532671) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  13. 心筋傷害と心筋保護に与えるミッドカインの作用機構の解明と新規心不全治療法の開発 2018-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 宍戸 哲郎 山形大学, 医学部, 助教 (60400545) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  14. 腎尿細管糖取り込み調節による心腎血管障害治療戦略の構築 2018-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(C) 小区分48030:薬理学関連 中野 大介 香川大学, 医学部, 准教授 (30524178) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  15. 新しい急性心不全治療戦略構築への基盤的研究-利尿薬反応性とバイオマーカーの応用- 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(C) 吉原 史樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (70393220) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:急性心不全は呼吸苦や全身浮腫を来し、適切な治療が実施されなければ死に至る病である。高齢化に伴う心不全患者の増加はわが国の社会問題のひとつである。急性腎障害は急性心不全に合併し易く、心不全治療を困難にする重要な要因のひとつである。今回我々は、急性腎障害を合併した急性心不全患者が重症化する際の関連因子を検討した。利尿薬の反応性(単位投与量当たりの尿量)や右心房と右心室を隔てている三尖弁の逆流の程度、尿中バイオマーカーの検討を実施した。
  16. 犬における心不全による膵炎発現のメカニズムの解明と新規の治療法の確立 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(C) 福島 隆治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10466922) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:心不全(HF)を呈した犬において、膵炎の罹患率が高いことが報告されている。また、以前より人医療においても、心機能低下に伴う膵炎の発生が報告されている。そこで、HFがもたらす膵細胞傷害発生のメカニズムを解明するとともに、それに基づいた新しい治療法の確立を目指した。その結果、犬においてHF時の心拍出量と血圧低下に起因し、膵血流量の減少が引き起こされることが明らかとなった。また、それにより膵腺房細胞のチモーゲン顆粒の減少を伴う細胞萎縮が発現することが判明した。この結果を受けて、新しい膵臓障害の治療法の確立を期待しピモベンダンを投与したところ、膵臓の血流量の維持と病理学的変化の軽減が確認できた。
  17. タンパク質アルギニンメチル化修飾の個体機能の解明 2017-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(C) 加香 孝一郎 筑波大学, 生命環境系, 講師 (60311594) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  18. 臓器連関によるストレス応答機構の解明 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(B) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、心臓の恒常性維持機構として、新たに心臓・脳・腎臓が連携して心臓に圧負荷が掛かった際に、それを補正するシステムが存在することを明らかにした。この恒常性維持機構が機能しないマウスを作成すると、心不全を発症し心不全死した。このことから、この新しい恒常性維持機構は心不全発生と関係している可能性が高い。さらに、新しい臓器間連携として、心臓・脳・臓器Xという連携を発見した。この臓器X内において、心臓へのストレス時の応答を行っており、この反応によって心臓のストレスに対する反応が変化した。このことは、心不全発症に臓器Xも関与していることを示唆した。
  19. 臓器障害・線維化に対するリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:腎障害モデルにおける長期的運動による糸球体硬化や腎間質線維化抑制効果とその機序を検討した。5/6腎摘腎不全ラットでは、腎のコラーゲン産生低下と分解亢進、腎レニン-アンジオテンシン系の改善が明らかになった。高フルクトース摂取ラットでは、腎内脂肪酸代謝やミトコンドリア機能の改善が明らかになった。高フルクトース摂取は、Dahl食塩感受性ラットにおいて腎レニン-アンジオテンシン系の亢進を伴って血圧上昇、糸球体過剰濾過、腎障害が増強しており、長期的運動はレニン-アンジオテンシン系阻害薬と同様な有効性が明らかになった。
  20. 循環器疾患におけるSDF-1αのバイオマーカーとしての臨床的有用性の検討 2016-04-01 – 2019-03-31 若手研究(B) 植松 学 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00622151) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:Stromal cell-derived factor-1α(SDF-1α) は炎症性ケモカインの一つで、心血管病の病態に深くかかわっていることが報告されている。本研究は循環器疾患におけるSDF-1αの臨床的意義を明らかにすることを目的とした。その結果、①末梢血のSDF-1α値は心筋梗塞後の二次心血管イベントの予測因子になること、②アンギオテンシン受容体拮抗薬は心筋からのSDF-1αの産生を抑制すること、③腎不全進行の予測因子になることがわかった。SDF-1αは心血管病の臨床病態に深くかかわっており、新しいバイオマーカーになりうる可能性がある。
  21. 心腎連関における新規アペリン受容体リガンドの機能的意義の解明 2016-04-01 – 2018-03-31 若手研究(B) 佐藤 輝紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30733422) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究においてまず、心機能調節における、新規APJリガンドELABELA(ELA)の機能的意義を明らかにした。APJ受容体のリガンドはこれまでApelinのみと考えられていたが、新規にELAが同定されたことを受け、そのペプチドを心不全モデルマウスに投与することによって心保護効果を発揮することを明らかにした。Apelin同様にレニンアンジオテンシン系の亢進を抑制する一方で、そのメカニズムはApelinと異なり、ACEを転写性に抑制することを解明した。さらに、腎集合管特異的なELA欠損マウスの作製、機能解析を行った。
  22. 急性腎障害回復後の腎障害進展における病態解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80505892) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では急性腎障害(acute kidney injury: AKI)回復後の慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)進展を動物モデルで再現することを目的とした。大動脈縮窄(Transverse Aortic Constriction:TAC)圧負荷心不全モデルと腎虚血再灌流モデルを組み合わせることで、臨床的に数多くみられる心腎連関症候群を再現し検討を進めた。心不全マウスにおける腎虚血再灌流障害の長期的な影響を線維化進展を中心に検討を行い、交感神経活性の亢進が腎障害に対して保護的に作用しているのではないかという知見を得た。
  23. 心腎脳連関におけるバゾプレッシン系と交感神経系のクロストークの解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 岩永 善高 近畿大学, 医学部, 准教授 (80360816) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要「バゾプレッシン系と交感神経系のクロストークを心腎脳ネットワークの観点より検討し、その修飾による新規治療の可能性を探ること」を目的とした。心不全モデル動物では、腎臓交感神経切除術、β遮断薬のみならず、イバブラジンも全身および心臓感神経活動を抑制すること、更にはそれを介しバゾプレッシン系にも作用することを明らかにしクロストークの存在を明らかにした。また敗血症性臓器障害モデルにて、腎臓交感神経切除術は心機能障害の発現および生命予後を改善すること、バゾプレッシン受容体ノックアウトマウスでは、更なる心腎機能改善および生命予後改善がもたらされることを明らかにし、両システム遮断の相乗効果も存在した。
  24. 長期的有酸素運動の抗加齢効果とその機序の解明および高齢化社会問題解決策の検討模索 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 伊藤 大亮 東北大学, 医工学研究科, 特任助教 (50466570) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要高齢ラット、若齢ラット、運動介入高齢ラット(Sprague-Dawley (SD)ラット)の3群について、心臓・腎臓機能および機序として、一酸化窒素(NO)系、酸化ストレス系、老化関連指標への長期的運動の影響を比較検討した。運動はトレッドミル有酸素運動を2カ月間行った。血圧は3群間で有意差は認めなかった。NO系、酸化ストレス系パラメータは運動で変化が認められる傾向があり、今後解析を進める。老化関連指標の細胞老化特異的βガラクトシダーゼ活性を免疫染色で評価したが、運動介入による変化が認められており、今後統計学的検証を進める。腎臓のその他免疫組織化学的検討においても現在解析中である。
  25. Flt-1系を介する心腎連関分子機序の解明:新規LncRNAの関与 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関の分子機序は十分に理解されていない。本研究では、慢性腎臓病では胎盤由来増殖因子(PLGF)の産生が増加し、PLGFの内因拮抗物質であるPLGF特異的受容体(Flt-1)の可溶性アイソフォームであるsFlt-1の産生が低下することにより、PLGF/Flt-1系が活性化していることを証明した。その結果その下流に存在するMCP-1の活性化が心不全発症に関係していること、また、Flt-1下流でMEKに直接結合し、MEK活性を抑制する新規のLnc RNAXを同定し、それが心肥大や心不全の発症に関係していることを発見した。これらの分子は心腎連関の分子機序に関与し、創薬の対象となる可能性を示した。
  26. 心血管疾患の多臓器連携機序の解明と臨床応用 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要世界的な心不全の急増は医療上の重要な課題となっている。我々はこれまでに、肥満脂肪組織に始まった炎症が遠隔組織に波及し、糖尿病や動脈硬化を促進することを見いだしていた。本研究ではさらに、慢性腎臓病において心不全が増加する心腎連関のあらたなメカニズムを明らかにした。心臓へのストレスに対して体が心臓-脳-腎臓を連携するネットワークによって適切に応答していることを見いだした。
  27. 心臓リハビリテーションによる骨髄老化への有効性の検証 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 礒 良崇 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60384244) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究は、急性心筋梗塞後における運動耐容能に焦点をあて、バイオマーカーとしてmicroRNA(miR)に着目し、その関連性を検討した。網羅的small RNA解析・定量的RT―PCR解析により、急性心筋梗塞の急性期経過中に大きな変動を示す一群のmiRを同定した。その中で、免疫老化関連miRであるmiR-181cが、急性心筋梗塞例の運動耐容能・換気効率と統計学的に相関することが明らかになった。また、心臓リハビリテーションにおける換気効率の改善効果とも関連していた。
  28. 心腎連関における炎症とキニン系、アンジオテンシン系の役割 2016-04-22 – 2019-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  29. 重症心不全における自由水排泄促進に抗する代償機構の解明 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 日浅 謙一 九州大学, 大学病院, 助教 (00380452) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要薬物治療抵抗性心不全症例において、トルバプタン投与後のカリウム排泄率(FEK)亢進は予後不良と有意に相関していることが判明した。トルバプタンは他のナトリウム利尿薬と異なり、カリウム排泄に全く関与しない薬剤であり、投与後の腎におけるカリウム排泄率増加は腎血流量低下もしくはレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系亢進を反映すると考えられ、FEKは利尿薬の中では唯一トルバプタンによる過度の除水を早期に発見することが出来る簡便かつ有用な指標と考えられた。
  30. アクアポリン2で選定したレスポンダーにおけるトルバプタン長期投与の有効性の検討 2015-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 絹川 弘一郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00345216) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要リアルワールドに近い患者背景のもとではほとんどすべての心不全患者はレスポンダーであった.しかしながら,以前の検討と著しい違いはトルバプタンを継続投与したレスポンダーでも予後が悪い群が存在することである.トルバプタンの急性期のレスポンスは尿中AQP2/血漿AVP比0.5×10^3以上で担保されるが,予後改善効果はより高い尿中AQP2/血漿AVP比が必要となる可能性がある.多変量解析ではより強い因子としてeGFRが存在し,腎機能低下とともに尿中AQP2/血漿AVP比が低下することを考えると,腎機能が一定以上低下した場合にはトルバプタンの長期継続投与も入院回避効果が少なくなると考えられる.
  31. 深部静脈血栓形成におけるオートファジーのメカニズムの解明とその法医学への応用 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要血栓陳旧度にともなうオートファジー機能の動態を検討するために,LC3及びp62について実験的マウス血栓における両者の陽性細胞数や,両者の比(p62/LC3 ratio)の変化を明らかにした.血栓溶解過程では,オートファジーが関与していることが明らかとなり,法医診断学的には,血栓中のオートファジーの動態が,剖検例においても血栓の陳旧度判定の有用な指標となると考えられた.
  32. 心不全における腎髄質循環とNa貯留メカニズムの解明 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(B) 伊藤 貞嘉 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40271613) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎臓は体液・ミネラルの恒常性維持を介して循環血漿量を調節し、心臓は腎臓により調節された血漿量を血液として拍出することから、心機能と腎機能は互いに影響しあっている。従って、心機能の低下は腎機能を低下させ、腎機能の低下は心機能を低下させることとなり、結果として心腎症候群を形成する場合がある。我々は心腎症候群モデル動物として脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHR-SP)ならびにDahl食塩感受性高血圧(DahlS)ラットを対象として、体液貯留の改善される薬剤数種類を投与して心腎症候群の発症機序解明を試みるべく、検討を行った。
  33. 基礎研究の臨床応用による心血管病の新しい早期診断・予防・治療法の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(B) 佐藤 公雄 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (80436120) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要遺伝子改変動物を用いた基礎研究により、CyPAが肺高血圧症にとって重要蛋白であることを確認した。さらに、ヒト肺高血圧症患者の末梢血での血漿中CyPA濃度の測定法を開発し、患者群で健常者群に比較して、濃度が上昇していることを確認した。さらに、CyPA高濃度群と低濃度群に分け、長期的な予後調査を行ったところ、血漿中CyPA濃度が高い群で、明らかに生命予後が不良であった。さらに、患者由来の組織や血液検体およびハイスループット・スクリーニング(HTS)システムを用い、CyPA分泌抑制・細胞外CyPA受容体阻害に着目した治療薬のスクリーニングを進め、肺高血圧モデルマウスにおける有効性を検証した。
  34. 肺高血圧症の新規標的蛋白に関する基礎的・臨床的研究 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(A) 下川 宏明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00235681) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要肺動脈性肺高血圧症(PAH)は重篤かつ致死的であり、本質的治療薬の開発が待ち望まれている。PAHの血管平滑筋細胞は癌類似の増殖性を有し、肺動脈抵抗血管の狭小化を来す。そこで、患者由来肺動脈平滑筋細胞(PAH細胞)の網羅的遺伝子解析および各種のオミックス解析により新規病因蛋白の探索を進め、合成病因蛋白によるPAH細胞増殖性試験、血管平滑筋特異的遺伝子欠損マウスでの検証を行い、複数の新規病因蛋白を同定した。また、一部の病因蛋白は血漿中に分泌されることが分かり、患者血清中濃度が、予後予測能を有することが判明した。このように、PAH患者由来の臨床検体を用いた基礎研究の臨床応用研究を進めた。
  35. 都市部地域住民を対象とする血漿Na利尿ペプチドと頸動脈硬化の進展に関する追跡研究 2014-04-01 – 2016-03-31 挑戦的萌芽研究 小久保 喜弘 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20393217) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要ベースライン時の3239名を対象に、hANP 43 pg/mL以上をhANP高値、BNP 100 pg/mL以上をBNP高値とした。頸動脈エコー検査において、平均、最大内膜中膜複合体厚がそれぞれ、1.1mm、1.7mm以上を平均IMT、最大IMTで有意プラークありと定義した。BNP高値郡において最大IMTプラークの危険度(95%信頼区間)が性年齢調整で、1.28 (1.01-1.61)、多変量調整で1.27 (1.01-1.60)であった。hANP高値と平均、最大IMTとの関係は見られなかった。
  36. 睡眠時無呼吸症候群における腎交感神経と高血圧のメカニズム解明 2014-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 小倉 彩世子 日本大学, 医学部, 助教 (30618202) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要間欠的低酸素は腎臓尿細管においてNCC(The thiazide-sensitive Na+-Cl- cotransporter)の膜への移行を増加させ、食塩負荷によっても持続的に活性化していることが明らかとなった。そのほかの腎臓NaCl輸送体については検討したがNCCの様な変化は認められなかった。またHCTZ(サイアザイド)負荷試験においても間欠的低酸素ではNa排泄が亢進し、NCCが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
  37. 骨格筋由来ホルモンによる心腎連関の新たな治療介入 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 泉家 康宏 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10515414) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要我々は運動療法の臓器保護作用を骨格筋由来ホルモンの観点から検討した。筋肥大が誘導できる遺伝子改変マウスでは腎疾患モデル後の組織障害が減弱しており、機序として腎臓でのeNOSの活性化が関与していた。骨格筋由来ホルモンを網羅的に探索し、Heme oxygenase-1 (HO-1)とThrombospondin-2 (TSP-2)をスクリーニングした。骨格筋特異的HO-1欠損マウスの解析から、HO-1は血管内皮細胞やマクロファージ由来である可能性が示唆された。TSP-2は心不全患者のバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。本研究成果は骨格筋を中心とした臓器連関の機序解明に寄与すると考えられた。
  38. 心腎連関を考慮した新しい心不全治療の開発 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 浅沼 博司 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (20416217) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全発症や進展のプロセスに腎機能障害が関与することが報告され、心腎連関として知られている。本研究では、まず前臨床段階研究として、大動物心不全モデルにおいて、慢性腎不全用剤である炭素微粒体(AST-120)投与が腎機能低下および血中インドキシル硫酸(IS)濃度増加を抑制し、心筋アポトーシス・線維化を抑制することで心不全の病態を改善させることが明らかになった。次に、慢性腎臓病を合併する心不全患者でAST-120投与前後のISと心機能を、AST-120を投与されていない患者とでレトロスペクティブに比較検討した結果、AST-120投与群でのみ腎機能が改善しISが低下し、心機能の改善が認められた。
  39. グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βのミトコンドリア移行抑制による心不全治療の開発 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00398322) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要GSK-3β活性によるミトコンドリア透過性遷移孔(mPTP)開孔の機序解明を目的として研究を行った。(1) GSK-3βはvoltage dependent anion channel 2との相互作用によりミトコンドリアへ移行すること、(2) N末端のK15がミトコンドリア移行シグナルの機能に重要であること、 (3) GSK-3βの上流のERKおよびAktは酸化ストレスによりミトコンドリアへ移行し、脱リン酸化されること (4) ERKおよびAktの特異的な脱リン酸化酵素であるDusp5およびPHLPP1は酸化ストレスによりミトコンドリアへ移行することを見出した。
  40. 心臓マクロファージによる不整脈発症機序の解明と治療法開発 2014-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要これまで我々は心臓内に存在している炎症細胞である心臓マクロファージが心臓にどのような役割をしているのかを明らかにすることを検討してきた。この研究の中で我々はまず、心臓マクロファージが心臓の収縮を正常に保つために必要であることを見出した。さらに心臓には収縮を行う機能に加えて、脈を正確に打つという機能がある。心臓マクロファージを除去したマウスは、不整脈を発症することを見出した。このことから、心臓マクロファージのもう一つの機能として心臓の脈を正常に保つことが存在することを明らかにした。
  41. 心-肺腎連関に与えるミッドカインの役割の解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 宍戸 哲郎 山形大学, 医学部, 助教 (60400545) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎臓病において、心臓リモデリングが観察されることが知られているが、我々はその肥大に先立って腎臓と血中のミッドカイン濃度が亢進することを見出した。その上昇はGPCR依存性に細胞内シグナルの活性を促、MAPK活性の亢進、ANPなどような胎児型遺伝子発現の亢進と心肥大に関与していた。さらにミッドカインノックアウトマウスで腎臓病モデルを作成すると、これらの細胞内シグナルや心臓肥大が野生型マウスと比べて抑制されており、心不全の進展が抑制されていることを超音波心臓図で確認した。これらのことから、腎臓から発現するミッドカインが心臓リモデリングの進展に関与していることを明らかにした。
  42. 臨床データとエピジェネティックスの統合に立脚した急性心不全の病態解明と治療応用 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 松下 健一 杏林大学, 医学部, 講師 (10317133) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要急性心不全のデータベースの解析を中心に研究を遂行した。左室駆出分画による分類や入院時血圧による分類からの解析で、心エコー指標の有用性の相違や予後増悪因子として知られている急性腎障害合併の危険因子の相違等の臨床的に意義ある結果が得られ、報告を重ねた。また、急性心不全の発生母地としての肥満・メタボリックシンドロームにおけるエピジェネティックスについて纏め、報告した。さらに、急性心不全の病態・予後を規定する心腎連関におけるエピジェネティックスについても纏め、報告した。
  43. 腎除神経による心不全の自律神経概日リズム異常への介入に関する研究 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 平井 忠和 富山大学, 附属病院, 講師 (10303215) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全では交感神経機能が賦活し、心不全の発症・進展に重要な役割を果たしている。最近、腎除神経により全身の交感神経の賦活を抑制できることがわかってきた。本研究では慢性心不全の自律神経機能の日内リズムを評価し、腎除神経により心不全ラットの自律神経機能の異常が是正できるかどうか検討した。腎除神経を施行したラットに心筋梗塞による心不全モデルを作成し、腹部大動脈に挿入した血圧テレメーターの動脈圧波形をスペクトル解析することにより、自由行動下での自律神経機能の日内リズムを評価した。腎除神経により早朝覚醒時の一過性の交感神経機能の賦活および中枢性二酸化炭素化学反射感受性の亢進が是正されることがわかった。
  44. 受容体間相互作用を介した血管平滑筋APJ受容体による血管狭窄メカニズムの解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 石田 純治 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 講師 (30323257) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要血圧調節に重要な血管の平滑筋細胞で、7回膜貫通型受容体APJを過剰発現するマウス・SMA-APJを作製し、APJ受容体がα1アドレナリン受容体(α1-AR)と機能的に相互作用することで血管の強縮や血圧上昇、心臓冠動脈の狭窄を誘導することを見出した。本研究では、血管平滑筋APJ活性化による血管の収縮反応をマウス心臓で直接証明し、また、APJがα1-ARと物理的に相互作用すること、さらに、細胞内シグナルや血管異常収縮にてAPJはα1A-ARと最も強い協調的な増強反応を示すことが判明し、生体内での血管収縮制御におけるAPJとα1A-ARとの機能的相互作用の重要性を初めて明らかにした。
  45. 進行性臓器障害におけるリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要進行性臓器障害における運動療法の有効性の機序を明らかにするため、高食塩食摂取下のDahl食塩感受性ラットと高フルクトース食摂取下のSprague-Dawleyラットにおいてトレッドミルによる長期的運動の効果を検討した。長期的運動は高食塩食や高フルクトース食による腎機能障害、糸球体効果、腎間質線維化を軽減し、これらの腎保護効果には腎内レニン-アンジオテンシン (RA)系の改善、腎トリグリセライド含有量の低下、xanthine oxidase (XO)活性の抑制を伴っていた。これらの結果から、長期的運動による腎保護効果には、腎内RA系、脂質代謝、酸化ストレスの改善が関与していると示唆された。
  46. PETによる腎臓の新規画像評価法の確立 2013-04-01 – 2016-03-31 挑戦的萌芽研究 伊藤 貞嘉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271613) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究ではポジトロン断層法(PET)を用いて腎臓をイメージングによる解析する方法を開発することを目的とした。健常人と末期腎不全患者を対象として[15O]H2O-PETを施行したところ、軽度飲水制限下と飲水負荷後の比較においては有意な変化を認めなかったものの、健常人と比較して末期腎不全患者において腎局所血流量が低下していることが明らかとなり、重要な機能を果たしている腎髄質機能の臨床評価法につながる知見を得るに至った。
  47. 重症虚血性心筋症に対する心移植代替療法の開発 2013-04-01 – 2014-03-31 挑戦的萌芽研究 佐田 政隆 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80345214) 研究開始時の概要: 研究概要:虚血性心筋症と呼ばれる重症心疾患患者に対して唯一の治療法は心臓移植であるがドナーは絶対的に不足している。そこで、心移植の代替となる革新的治療法の開発を試みた。冠動脈バイパス手術中に得られたヒト心臓周囲脂肪ならびに冠動脈内膜摘出標本の解析から、動脈硬化部位では血管壁のみでなく周囲脂肪組織に慢性炎症が生じていることが明らかになった。また、脂肪細胞死により放出された核酸がマクロファージのTLR9と相互作用することが、脂肪組織における慢性炎症の惹起機構として重要であることが判明した。この知見をもとに、血管と同時に良質の脂肪組織を移植する画期的なバイパス手術法の開発に着手した。 研究成果の概要
  48. 急性腎障害における心腎連関とミトコンドリア障害 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80505892) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関症候群は、急性および慢性心不全が腎障害を惹起する、あるいは急性腎障害と慢性腎臓病により心疾患が発症・増悪する、という臨床的な観察に基づいて定義されているが、心臓と腎臓という二つの臓器をつなぐ病態メカニズムについては十分明らかにされていない。特に、急性腎障害が原因で心機能低下を呈するとされるType 3心腎連関症候群については基礎的な検討がほとんどなされていなかった。本研究では、腎虚血再灌流モデルを用い、急性腎障害が心臓組織におけるミトコンドリア断片化とアポトーシスを惹起すること、ミトコンドリア制御蛋白の一つであるDrp-1がこの現象において重要な役割を示していることを見出した。
  49. 腎不全合併による循環器疾患増悪の機序解明と新規治療法の開発 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 鈴木 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (90313858) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎不全患者の主な死因は心血管疾患である。腎機能障害が循環器疾患にどのように影響するかを、新しい心腎連関動物実験モデルを用いて検討した。5/6腎臓摘出モデルに心筋梗塞を発症させ、アンジオテンシンII受容体阻害剤(ARB)を投与した。このモデルは無治療で13%しか生存しなかったのに対し、ARB治療により生存率が28%まで改善した。ARBが心筋梗塞後の心機能を著しく改善しており、残存心筋細胞の肥大、炎症細胞浸潤、酸化ストレスを抑制していた。これらの結果より、レニンアンジオテンシン系が腎不全状態における心筋虚血および心不全の増悪に影響していることが明らかとなった。
  50. 可溶性Flt-1のCKD関連心不全における役割と肺水腫発症抑制効果の検討 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 竹田 征治 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60398443) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性腎臓病(CKD)は、心肥大を呈し心不全をよく合併することは臨床的によく観察されるが、その分子機序は不明であった。今回の研究で、CKDでは慢性炎症や血管新生を惹起するサイトカインであるPLGFの産生が増加し、その内因性の拮抗物質である可溶性Flt-1の産生が低下することによって、CKDで心肥大や心不全の発症に関与していることを、sFlt-1を特異的に欠損するマウスを用いて証明した。PLGFの働きを抑制することや、sFlt-1の産生を増加させることが、CKDに合併する心肥大や心不全の治療に応用される可能性を示した。
  51. 睡眠時無呼吸症候群合併及び非合併心不全患者に対する呼吸補助療法の確立 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 義久 精臣 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40448642) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全における呼吸補助療法(持続気道陽圧療法、順応性制御換気療法、酸素療法)による心機能、血管機能、呼吸機能、自律神経機能、神経体液性因子、心負荷、心筋障害などに対する多面的な効果について検討を行った。心不全や睡眠時無呼吸症候群の病態に応じた適切な呼吸補助療法を行うことで、心機能、呼吸機能、血管機能や予後など多面的な改善効果が得られた。なかでも、標準的な薬物療法の存在しない左室収縮の保持された心不全に対する呼吸補助療法にて、左室拡張能、血管機能、呼吸機能、運動耐用能、予後の改善を認めた。各結果詳細については、適宜学術誌にて公表を行っている。
  52. リハビリテーション運動療法における一酸化窒素系および交感神経系の役割の解明 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 伊藤 大亮 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50466570) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要高血圧自然発症ラット(SHR)を、偽手術群、除神経処置群、運動群、除神経処置+運動群の4群に分け、トレッドミル運動を8週間施行した。収縮期血圧は、開始後2週間で偽手術群に比較して他3群が低値を示し、最終8週間後では、加えて除神経処置+運動群が除神経処置群と運動群より更に低値を示した。尿中アルブミンクレアチニン比は、偽手術群に比較して他3群が低値、体重当たりクレアチニンクリアランス値は、偽手術群に比較して他3群が高値を示し、両介入共腎機能改善効果が示唆されたが相加効果は認めなかった。その他、血漿および腎組織のノルエピネフリン濃度、NO系、酸化ストレス系、免疫組織化学的検討は現在解析中である。
  53. 腎ミトコンドリア酸化ストレスをターゲットとした慢性腎臓病の治療戦略の開発 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(B) 森 建文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375001) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要ラット腎臓髄質ヘンレのループ太い上行脚(mTAL)において、生理的刺激に対するミトコンドリアにおける活性酸素種(ROS)産生について検討を行った。アンジオテンシンII刺激はミトコンドリアROS産生上昇を介して細胞質内ROS上昇を誘導した。高濃度ブドウ糖は糖分解産物産生を介してミトコンドリアROS産生を上昇させた。低酸素はミトコンドリアROS産生を上昇させ、この消去薬であるmitoTEMPO投与は腎虚血再灌流時に低下する腎臓髄質血流量の低下を抑制した。
  54. 動脈壁と周囲脂肪組織における慢性炎症の可視化と病態解明 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(B) 佐田 政隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (80345214) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性炎症の起点となるインフラマソームの活性化をCaspase1活性をでFRETを用いて評価する系の確立を試みたが困難を極めた。また他のグループから、当初の計画では低強度の慢性炎症を可視化することが不可能であることが報告された。そこで、慢性炎症の機序を明らかにすることにした。肥大化によって変性した脂肪細胞から遊離したDNA断片が病原体センサーを活性化することで、無菌的慢性炎症の契機となるという仮説を、遺伝子改変マウスやオリゴヌクレオチドを用いた実験で証明した。変性脂肪細胞から遊離するDNA断片が、TLR9を介してマクロファージを活性化することで脂肪組織の慢性炎症を引き起こすことが明らかとなった。
  55. 電気刺激による筋力維持・廃用防止と膀胱機能改善効果の確立:リハ物理療法の新展開 2012-04-01 – 2014-03-31 挑戦的萌芽研究 上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698) 研究開始時の概要: 研究概要:膀胱尿道カテーテル長期留置者は、一日中活動に制限を受け、感染症罹患率や死亡率が高い。そこで今回、2週間以上膀胱尿道カテーテル留置された虚弱高齢患者(平均年齢83±3.1歳、FIM43±0.3)に対して、腹部電気刺激を行った。電気刺激箇所は、両側腹斜筋部とし、周波数は30Hzで、1日30分間を8週間施行した。介入前後で、肺活量(VC)、1秒量(FEV1)、吸気終末圧(MIP)、呼気終末圧(MEP)、最大呼気流気量(PEFR)の測定を行い、さらに日常生活動作を測定した。その結果、対照群では低下がみられたが、介入群では、VC、FEV、MEPは改善し、感染症や死亡による脱落もなく安全に実施できた。 研究成果の概要
  56. 心臓手術後心房細動発生のメカニズム解明に関する臨床研究 2012-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 瀬在 明 日本大学, 医学部, 講師 (70350006) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究で我々はその発生を予防するために術前に術後心房細動を予測しうる因子を特定することが目的である。本研究で、術後心房細動は24%に認め、その発生危険因子は、75歳以上、慢性腎臓病、緊急手術、体外循環時間>180分、術中カルペリチドと塩酸ランジオロール非使用、術前ARB、β遮断薬非使用、術前カルシウム拮抗薬、スタチン使用、術後β遮断薬非使用であった。術前ANP、angiotensin-II, KL-6, ヒアルロン酸、1型コラーゲンC端テロペプタイドは心房細動発生の新しいマーカーになりうると考えられた。線維化と術前、術中、術後の薬剤が術後心房細動に強く関与していることも明らかにされた。
  57. 大動脈瘤形成過程におけるHMGB1蛋白の役割 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 安斉 俊久 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60232089) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要核内非ヒストン蛋白であるHMGB1は、強力な炎症反応を惹起することが知られている。我々は、大動脈瘤形成過程におけるHMGB1の役割を明らかにするため、塩化カルシウム刺激によるマウス大動脈瘤モデルを用いて検討を行った。HMGB1中和抗体の投与により、6週後の腹部大動脈瘤径縮小、炎症細胞浸潤の軽減、大動脈中膜層の菲薄化とエラスチンの波状構造の破壊軽減が認められた。同時に、HMGB1発現の低下、Mac-3陽性マクロファージの浸潤軽減、MMP-2、MMP-9の活性低下、TNF-α、CD68、MCP-1の発現低下が認められ、HMGB1が炎症惹起を介して、大動脈瘤進展を促進している可能性が示唆された。
  58. 慢性心不全における東洋医学的アプローチの有用性に関する検討 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 伊澤 淳 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (50464095) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関を呈する慢性心不全症例を対象とし,従来の内服薬に加えて最大7.5 g/日の防已黄耆湯を併用し,平均3.5ヵ月および9.4ヵ月後の有効性と安全性を評価した。BUN値, 血清クレアチニン値, 推定糸球体濾過量,脳性ナトリウム利尿ペプチドを測定した結果,いずれも治療経過中に有意に改善した。心不全および腎機能の両面において防已黄耆湯の利水作用は有効であり,治療経過中の安全性も確認できた。
  59. 心腎貧血連関ネットワークの解析と新規治療戦略の開発 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 増山 理 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70273670) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全・腎不全・貧血連関の分子機構について、鉄代謝調節機構に着目し、基礎および臨床研究より検討した。心不全モデル及び慢性腎臓病モデル動物を用いた検討より、十二指腸鉄吸収蛋白の発現異常が明らかとなり、これが心不全・腎不全・貧血連関の増悪因子の一つであることを示された。また、臨床研究より心不全患者には貧血や鉄欠乏合併例が多く、心不全患者の鉄吸収能は貧血合併例で低下傾向にあることも明らかになり、十二指腸における鉄吸収能を改善することが心腎貧血連関ネットワークの新たな治療標的になることが示唆された。
  60. 慢性腎臓病の基盤病態と心血管病との連関機序の統合的理解と新規治療法開発 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(B) 柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性腎臓病CKDは末期腎不全のみならず、脳卒中、心血管病、認知機能障害等の独立したリスク因子である。アルブミン尿はごく微量から心血管病と強く連関している。血管障害の最早期病態は内皮障害と微小炎症である。アルブミン尿が内皮障害を反映すると想定されてきたが、糸球体内皮が有窓性であるため、仮説に止まっていた。微小循環動態、透過性変化を生体において解析しうるin vivo imaging技術を確立し、血管内皮障害の役割を解明した。加齢腎、腹膜組織線維化にも内皮障害が関与することも明らかにした。CKDと心血管病の共通基盤病態は内皮機能障害であり、CKD・心血管病予防・治療のための標的病態を確定した。
  61. 鉱質コルチコイド/糖質コルチコイド受容体パラドックスの解明と腎臓病治療への応用 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(B) 長瀬 美樹 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302733) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究では、Rac1によるMR活性化と臓器障害の機序につき検討した。足細胞特異的Rac1活性化、同Rac1 KOマウスは足細胞障害、アルブミン尿、糸球体硬化を自然発症し、Rac1活性とMR活性、MR阻害薬の保護効果が平行していた。マクロファージや心筋特異的Rac1/MR KOマウスでは心腎障害が軽微であった。肥満糖尿病性腎症、TAC心障害モデル、Ang II/食塩腎障害モデル、皮膚老化モデルにおいてRac1やMRの活性化、慢性炎症が関与し、Rac阻害薬やMR拮抗薬により病変が改善した。以上、Rac1-MR系の標的細胞とシグナルカスケードを同定し、この系が関与する新たな病態を明らかにした。
  62. 心臓病と腎臓病の臓器間相互作用(心腎連関)を制御する分子機構の解明と新規治療戦略 2011 – 2013 若手研究(B) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要:腎臓の集合間上皮細胞が腎臓の炎症を惹起するために重要な細胞であることを初めて見出した。その機序として転写因子KLF5は定常状態ではCdh1遺伝子を転写調節しているが、腎臓ストレス時には、S100A8, S100A9を誘導し、炎症性マクロファージを骨髄から腎臓へリクルートすることによって腎臓の炎症が惹起されることを見出し、Journal of Clinical Investigationに発表した。 研究成果の概要
  63. Endothelin-1(ET-1)高値は腎不全悪化の予知因子である。 2011 – 2012 若手研究(B) 横井 加奈子 久留米大学, 医学部, 助教 (80569385) 研究開始時の概要: 研究概要:血漿エンドセリン-1(ET-1)は強力な血管収縮物質である。血漿ET-1の上昇は心血管疾患及び悪性腫瘍患者の予後マーカーである。しかし、これまでに住民検診の場で多人数に対してET-1を測定した報告はなく、本研究は10年に及ぶ予後調査の結果から、世界において初めて血漿ET-1の上昇が健常者において死亡の予知因子であることを立証した極めて意義深い研究である。しかし10年の追跡調査において血漿ET-1上昇は総死亡と有意な関連を認めたものの、死亡原因として多い、脳・心血管死および癌死との関連は得られず、さらに追跡調査を行うことにより臨床的エビデンスが得られると考えられる。今後、死因別に血漿ET-1がどのように関連しているのかを分析し、予防法や治療法にまで言及することが期待される。 研究成果の概要
  64. 心不全における脳自律神経異常のシステム同定とバイオニック心不全治療の探索 2011 – 2012 若手研究(B) 佐田 悠輔 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (70570258) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全の最多原疾患である高血圧(高血圧性心肥大)ラットにおける自律神経制御機構(脳特性および末梢特性)をシステム生理実験により解析し、脳特性の異常(血圧に対する交感神経応答の亢進)を突き止め、一方の末梢特性(交感神経活動に対する昇圧反応)は正常であることを明らかにした。更に、腎臓交感神経除神経による自律神経介入治療を行い、脳特性異常の是正による降圧効果を確認した。しかし、正常血圧対照ラットと比較すると、脳特性の完全な正常化には至らなかった。 研究成果の概要
  65. 心不全における心腎連関のメカニズム-機能的腎予備力評価からのアプローチ- 2011 – 2013 基盤研究(C) 真野 敏昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90379165) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全における腎機能障害は重要な予後規定因子であるが、腎機能障害が心不全の病態にどのような影響を持っているかについては不明な点が多い。本研究では、心不全のうち特に拡張不全患者における機能的腎予備力評価を、腎血流ドプラを用いた生理学的指標、探索的研究による生化学的代謝指標を用いて行い、腎動脈抵抗が拡張不全患者で増加しており、また特異的な免疫因子の拡張不全患者血中での増加が認められ、心機能と関連があることがわかった。 研究成果の概要
  66. 心不全の心腎連関における自律神経機能の概日リズム異常に関する研究 2011 – 2013 基盤研究(C) 井上 博 富山大学, 事務局, 理事・副学長 (60151619) 研究開始時の概要: 研究概要:ラット心不全モデルにおいて慢性腎臓病の自律神経機能の概日リズムへの影響を検討するため、雄性ラットを用いて5/6腎摘除し、さらに左冠動脈結紮による心筋梗塞を作成し慢性腎臓病合併心不全モデルを作成した。自律神経機能の概日リズムを評価するため、腹部大動脈に挿入した超小型血圧テレメータから送信される動脈圧波形をA/D変換し,24~48時間連続的にラットの自由行動下で記録した。拡張期血圧のスペクトル解析の結果、交感神経活動を反映する低周波成分は、慢性腎臓病合併ラットにおいて早朝覚醒期に一過性に亢進しており、その交感神経の賦活は、間歇的二酸化炭素負荷により評価した中枢性化学反射感受性と関連していた。 研究成果の概要
  67. 細胞間接着装置の障害としての蛋白尿ー他臓器疾患との関連ー 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400) 研究開始時の概要: 研究概要:蛋白尿と他臓器疾患の発症に関連がある分子としてEphrin-B1とSV2Bを同定し、これら分子の性状、機能解析を行った。Ephrin-B1は、神経細胞の軸索誘導に関与する分子で、腎ではポドサイトの膜部に局在し、細胞外部でネフリンと結合しスリット膜のバリア機能維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。シナプス小胞関連分子であるSV2B、その関連分子がポドサイトに発現していることを観察した。KOマウスを用いた検討で、SV2Bはスリット膜、足突起、基底膜の形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらの観察はポドサイト障害と他臓器疾患の関連を考えるうえで極めて重要な知見である。 研究成果の概要
  68. 難治性コモン不整脈における遺伝子ー環境因子相互作用:GWASデータに基づく検討 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552) 研究開始時の概要: 研究概要:不整脈の疾患研究では、心房細動と心室細動の機序と対策が問題として残されている。全ゲノム関連解析(GWAS)は網羅的な遺伝的リスクの検討で、今まで同定されなかった疾患パスウェイが同定される可能性がある。そこで、自験・他験の心房細動、心室細動/心臓突然死に関するGWASから得られた新規遺伝子と心房細動・心室細動の関係を生物学的に検討した。その結果、心房細動は1つの不整脈のトリガーに関係する強い遺伝的リスクと複数の不整脈の維持に関係する弱い遺伝的リスクがあることが分かった。心室細動では、His-Purkinje系に発現する転写因子が運動誘発性不整脈に関連することが明らかとなった。 研究成果の概要
  69. 臓器連関と慢性炎症による心血管疾患発症・進展分子機構の解明と診断・治療法への応用 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 眞鍋 一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70359628) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究計画は、メタボリックシンドロームによる心血管系での慢性炎症プロセス惹起とそれによる病態進行機序を解析し、また、臓器連関によって、さらに病態と臓器機能障害が拡大する可能性を検討した。その結果、肥満脂肪組織から放出が増加する遊離脂肪酸が、心血管系での炎症を誘導するという心血管-脂肪連関がメタボリックシンドロームにおける心血管疾患リスクの増大に重要であることを見いだした。また、心-腎連関が心臓のストレスへの応答に重要であるとともに、心不全の進展にも寄与することを明らかにした。また、この臓器連携のメディエータが病態を修飾することを見いだした。 研究成果の概要
  70. リハビリテーション運動療法の多面的効果における臓器連関の機序解明 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要:Wistar-Kyotoラット(WKY)と高血圧自然発症ラット(SHR)において、長期的な運動による大動脈のnitric oxide (NO)合成酵素(NOS)発現増強効果はNADPH oxidase依存性であり、腎のNOS発現増強効果はWKYではNADPH oxidase依存性、SHRではxanthine oxidase依存性であることを明らかにした。食塩感受性高血圧ラットにおいても、長期的な運動は腎保護作用を有することを明らかにし、その作用機序は 血圧とは独立したものであり、運動による酸化ストレスの軽減、NO産生系、腎アラキドン酸代謝の改善が関与している可能性が示唆された。 研究成果の概要
  71. 腎臓リハビリテーション:有効性の機序解明と臨床応用 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(A) 上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698) 研究開始時の概要: 研究概要:長期的運動の腎保護相加・相乗作用およびその機序をラットで検討し、運動療法を腎不全患者に適用して、それらの臨床的有効性を検証した。慢性腎不全ラットにおいて、長期的運動とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用療法は腎保護効果を示し、カルボニルストレス軽減の関与が示唆された。食塩感受性ラットにおいても長期的運動は腎保護作用を示し、酸化ストレスとNO産生系の改善の関与が示唆された。透析中の運動療法に使用できる、安価・軽量で、負荷量を調整できるエルゴメータを開発・試用し、透析中の血圧過降圧の頻度の減少、身体機能やQOLの向上を認めた。 研究成果の概要
  72. 貧血合併心不全における分子機構解明と新規治療への応用 2010 – 2011 若手研究(B) 内藤 由朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10446049) 研究開始時の概要: 研究概要:貧血、特に鉄欠乏性貧血が心機能に及ぼす分子機構について、ノックアウトマウスを用いた基礎研究より検討した。エリスロポエチン(EPO)受容体ノックアウトマウスを用いた検討より、鉄欠乏による貧血合併心において心臓の内在性EPO-EPO受容体を介したシグナル伝達系が心保護に作用していることが示された。一方、アンジオテンシンII受容体(1a型;AT1aR)ノックアウトマウスを用いた検討では、鉄欠乏による貧血合併心において腎臓AT1aRを介したEPOが心保護に作用していることが示唆された。以上より、貧血合併心不全において腎臓AT1aR-EPO-心臓EPO受容体を介した経路が心保護に作用していることが示された。 研究成果の概要
  73. 慢性心不全患者における悪性新生物の発生・進展に関するコホート研究 2010 – 2012 基盤研究(C) 柴 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科循環器内科学分野, 非常勤講師 (60374998) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では、心血管疾患症例(N=10,114)における悪性新生物の既往と予後に関する検討を行った。症例は平均68±12歳、男性は70%、悪性腫瘍の既往は12%であった。悪性腫瘍の既往がある症例は、既往のない症例と比較し高齢で男性が多く、特に心不全症例ではBMIが低く、収縮期血圧が低く、心拍数が早かった。約3年間の追跡では悪性腫瘍の既往のある症例は、心血管疾患のステージ(BまたはC/D)に関係なく予後不良であった。 研究成果の概要
  74. KLF転写因子による生活習慣病・癌の病態分子機構解明と治療応用 2010-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(S) 永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (60207975) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要KLFファミリーはzincフィンガー型転写因子であり、現在17種類が知られている。本研究では、KLF5とKLF6に着目し、生活習慣病とがんにおける機能の解明をめざした。心臓においては心筋細胞ではKLF6が、線維芽細胞ではKLF5が働き、心臓肥大や線維化を制御している。また、KLF6は大動脈瘤と解離の病態に重要である。腎臓においては、KLF5が腎傷害に対する炎症を制御しており、慢性腎臓病に寄与することを見いだした。またKLF5が大腸癌と関連することを明らかとした。本研究で明らかにされたメカニズムは、新しい治療法や診断法開発の標的となる。
  75. 心腎連関におけるレニン-アンジオテンシン系の役割の解明 2010 – 2012 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:生活習慣病の広がりに伴い、糖尿病や高血圧に関連した腎機能障害患者数が著しく増えている。腎不全をもった心疾患患者はより重度の心不全を引き起こすことや治療効果の低下が問題点である。この現象は「心腎連関」とやばれており、この病態を明らかにすることは医学的に解決すべき重要な点である。「心腎連関」の病態解明と治療法の開発が進まないのは、適切な疾患解析モデルがこれまでに開発されていないためと考えられる。腎不全の存在により心筋梗塞後の進展が助長されることを確認でき、その病態機序の一つとしてレニンの上昇とそれによる酸化ストレスの産生によりこの現象が引き起こされていることを証明した。この研究は論文として学術誌への掲載が決定した。これにより心腎連関の新しいモデルとしての可能性や新たな病態機構の解明に繋がる研究だと考えている。またこの実験モデルの良い点は、糖尿病モデル等による糖代謝異常を起こすことがなく腎不全を誘導できることが可能なため、腎機能の低下が直接的に心機能の低下を誘導する証拠となることが示唆される。更なる心臓と腎臓をつなぐ因子として自然免疫についても検討している。腎臓の傷害によって産生されるHMGB-1やATP、AGEはそれぞれTLRやP2×7、RAGEに結合する。これにより自然免疫が助長されその後の炎症を誘導することが知られている。これらのノックアウトマウスを用いてこの病態に対する影響を確認することにより、更なる心腎連関の機構の解明と新たに治療法の確立に役立つと考えている。 研究成果の概要
  76. 心臓組織内の内皮細胞を起点としたシグナルネットワークによる心筋保護の分子機構 2009 – 2011 基盤研究(C) 中岡 良和 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90393214) 研究開始時の概要: 研究概要:心筋から分泌されるangiopoietin-1(Ang1)の機能を解明するため、Ang1 floxマウスを作成してα-MHC-Creマウスと交配して、心筋特異的Ang1欠損(Ang1CKO)マウスを作成した。Ang1 CKOマウスはE12. 5-E14. 5で胎生致死を呈し、(1)心内膜と心筋肉柱層の接着不全、(2)心筋肉柱と緻密帯の発達不全、(3)冠血管形成異常などの表現型を呈した。Ang1 CKOマウスと野生型マウスの心臓で内皮細胞を抗CD31抗体で免疫染色すると、野生型で心室壁の心外膜直下と一層内側に形成される冠静脈と冠動脈の2層の血管構造のうち、外側の冠静脈のみがAng1 CKOマウスで特異的に欠損していた。 研究成果の概要
  77. 薬剤溶出性ステント後の再内皮化誘導療法に関する研究 2009 – 2011 基盤研究(C) 野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950) 研究開始時の概要: 研究概要:ヒト末梢血単核球の培養にて、シロスタゾール処理で内皮細胞への分化が誘導されることが示された。又PKA阻害薬がシロスタゾールの内皮細胞誘導作用を抑制することが明らかになった。臨床研究の方は、シロスタゾールはSESによる血管内皮再生遅延を改善する明らかな効果は認められなかった。 研究成果の概要
  78. 心不全患者,虚血性心疾患患者に対する新たな診断マーカー 2009 – 2011 基盤研究(C) 長谷川 洋 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50375656) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全患者の血液サンプルを用いて,既知の血中因子や治療薬の心不全との関連,および,新規心不全関連血中因子の探索を目標とた。血中P53抗体は,本来変異p53に対するもので,循環器疾患患者において,優位な変化は認められなかったが,患者末梢血由来mRNAの発現変化をみたところ,p53および関連する因子に年齢および各種危険因子と相関する変化が認められた。一方,心不全において,心不全の進展に大きく関連している,各種のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker, ARB)を投与している患者において,各種因子と内服しているARBの種類から,ARBの作用の薬剤間の違いについて検証を行ったところ,テルミサルタンはロサルタン内服患者に比較して,動脈硬化進展のサロゲートマーカーである内頚動脈壁厚(IMT)の進展が有意に抑制されており,一方,やはり心血管疾患の予測因子である血中尿酸値は,ロサルタン内服患者で低い傾向にあることが示された。また,カンデサルタン内服患者では,家庭血圧測定において,心血管死と大きく関連する早朝高血圧が改善されていることを明らかにした。 研究成果の概要
  79. 熱ショック蛋白と酸化的DNA塩基損傷修復による心血管リモデリング抑制の研究 2009 – 2011 基盤研究(C) 長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272) 研究開始時の概要: 研究概要:動脈硬化性心血管障害の主要な機序として酸化ストレスによるDNA塩基損傷がある。この修復に関わる塩基除去修復(base excision repair : BER)機構の主要酵素であるApe1に着目し、Ape1の障害心血管局所での発現亢進を検出し、遺伝子導入による心血管リモデリングの抑制効果を明らかにした。また、温熱刺激(41℃)が熱ショック蛋白(HSP)72の発現亢進を介して酸化ストレス軽減効果をもたらすことを明らかにし、両者の相加的な抗動脈硬化作用が、心血管リモデリング抑制の新たな戦略となる可能性が示唆された。 研究成果の概要
  80. 慢性腎不全における心血管病発症の分子機構:血管内皮機能の視点から 2009 – 2011 基盤研究(B) 今泉 勉 久留米大学, 医学部, 教授 (60148947) 研究開始時の概要: 研究概要:心・血管・腎連関は臨床的に注目されているが、その分子メカニズムは不明である。本研究は、腎不全患者の血中において上昇が報告されているAsymmetric Dimethylarginine(ADMA)が血管内皮機能障害を引き起こすことが、心腎連関の重要なメカニズムであることを初めて明らかにした。さらに、ADMAの従来報告されていたL-アルギニンアナログとしての内皮型NO合成酵素(eNOS)阻害作用とは独立したeNOSリン酸化抑制作用が、このADMAによる内皮機能障害を起こすことを報告した。 研究成果の概要
  81. 心筋リモデリングにおけるミトコンドリア転写因子制御の分子機構の解明と治療への応用 2009 – 2011 基盤研究(B) 筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017) 研究開始時の概要: 研究概要:活性酸素は、ミトコンドリアDNA・機能障害をもたらし、さらなるミトコンドリア酸化ストレスと細胞障害を引き起こす。酸化ストレスは肥大・アポトーシス・細胞外マトリックスリモデリングを惹起する。心筋リモデリングにおけるミトコンドリア転写因子による機能制御機構を解明するとともに、ミトコンドリアDNA・ミトコンドリア機能の保持による心筋保護基盤をあきらかにした。さらに、これらは心筋リモデリング・心不全の形成・進展に密接に関与した。 研究成果の概要
  82. 生活習慣病の病態におけるアルドステロン/鉱質コルチコイド受容体活性化機構の解明 2009-05-11 – 2014-03-31 基盤研究(S) 藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員、名誉教授 (10114125) 研究開始時の概要: 研究概要:私達はアルドステロンがRac1を介して直接受容体(MR)を活性化することを報告した(Nat Med 2008)。本研究でRac1-MR活性化が腎糸球体足細胞で糸球体障害、腎尿細管細胞で食塩感受性高血圧の原因となり(JCI 2011)、メタボリックシンドロームの臓器障害に関わることを示した。一方、糖質コルチコイド受容体は交感神経亢進からWNK4-NCC系を介し食塩感受性高血圧を発症させることを発見した(Nat Med 2011)。この過程にエピジェネティクスが関わっていた。食塩感受性高血圧及び臓器障害発症の新機序を確立し、心腎連関形成でのエピジェネティックス研究へと発展させることが出来た。 研究成果の概要
  83. 循環器疾患におけるアルドステロンの病態生理学的研究 2008 – 2010 基盤研究(C) 吉村 道博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30264295) 研究開始時の概要: 研究概要:アルドステロンは心不全の病態に深くかかわっているが,副腎における古典的アルドステロン産生経路に加え,近年我々は心臓でもアルドステロンが産生されていることを報告した.今回の研究では,これまで神経終末にのみ存在が知られていたN型カルシウムチャネルが実は副腎におけるアルドステロン産生について深く関与していることを初めて報告した。また,心臓での組織アルドステロンの産生についても食塩や糖濃度,時間の関与が強く示唆された。これらの知見は将来的に糖と食塩と心疾患の関連の解明と心血管病の新たな治療戦略の開発に重要な意味をもたらすものと考えられる. 研究成果の概要
  84. 慢性心不全におけるthrombospondinのβ遮断薬反応性への関与と機序 2008 – 2010 基盤研究(C) 竹本 恭彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (20364002) 研究開始時の概要: 研究概要:非虚血性慢性心不全例へのアドレナリンβ受容体遮断薬治療前後で、thrombospondin-1濃度へのthrombospondin-1Ala523Thr多型(G/A)の影響は認めなかった。thrombospondin-1濃度のアドレナリンβ受容体遮断薬投与前と開始後12ヶ月後の間の変化は、BNPの同期間中変化と相関し、慢性期血行動態安定化へのthrombospondin-1の関与が推察された。 研究成果の概要
  85. 心腎連関の基盤たる分子機序の解明 2008 – 2010 基盤研究(B) 斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260) 研究開始時の概要: 研究概要:心腎連関が大変注目されているが、分子機序は不明である。今回、我々は、腎機能の低下に伴い可溶型Flt-1の体内での発現が減少し、相対的にPlGF/Flt-1系が活性化することにより動脈硬化が増悪すること、また、糖尿病性腎症でKlotho遺伝子の発現が特異的に低下し、尿中Ca排泄が増加し、動脈硬化の増悪に関連する可能性を示した。 研究成果の概要
  86. 心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御 2008 – 2012 新学術領域研究(研究領域提案型) 生物系 筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017) 研究開始時の概要: 研究概要:ミトコンドリアの生体維持機能は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)によって動的に制御されている。近年、mtDNAの酸化損傷およびそれに起因する活性酸素の過剰産生が、種々の疾病の発症、さらには老化にも関与することがあきらかにされ、疾病発症の共通基盤としてのミトコンドリア機能不全が注目されている。本研究では、心血管ストレス応答におけるミトコンドリア転写因子およびミトコンドリア酸化ストレスの役割をあきらかにした。 研究成果の概要
  87. 成人した先天性心疾患患者の管理における心機能、運動耐容能と神経体液性因子の意義 2006 – 2007 基盤研究(C) 武田 裕 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70381837) 研究開始時の概要: 研究概要:平成18年度に引き続き研究を継続し、通算で成人先天性心疾患患者20名からデータを収集した。NYHA心機能クラスは2.4±0.6で、問診法による運動耐容能は5.1±1.3METsであった。単変量回帰分析によると、血漿エンドセリン-1濃度(標準化回帰係数[β]=-0.446,p=0.049)、尿中ノルエピネフリン濃度(β=-0.536,p=0.015)、尿中バイオピリン濃度(β=-0.535,p=0.015)がそれぞれ運動耐容能と逆相関した。SpO_2が90%以上か未満かで分けた場合、低酸素を呈する群で運動耐容能が低い傾向があった(β=0.396,p=0.084)。一方、血漿ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド濃度は理論に反して運動耐容能と正相関した。前方ステップワイズ法で変数を選択して重回帰分析を行うと、低酸素の有無(β=-0.439,p=0.023)と尿中ノルエピネフリン(β=-0.569,p=0.005)が有意な因子として残った。尿中ノルエピネフリンと尿中バイオピリンとの間に強い正相関を認めた(β=0.806,p<0.001)。本研究において、脳性ヒトナトリウム利尿ペプチドが重症度の指標性を失っていることを示し、これに代わり尿中ノルエピネフリン、尿中バイオピリン、血漿エンドセリン級が重症度指標となりうることを示した。また、尿中ノルエピネフリンと尿中バイオピリンが強い相関を示すことから、酸化ストレスの制御や交感神経の過剰充進の制御が、成人先天性心疾患の治療戦略となる可能性があるとの知見を得た。 研究成果の概要

アンケート調査に基づく研究デザインの実践

アンケート調査票を作成のための仮説の必要性

  1. 仮説構築と調査検証 株式会社 日立インフォメーションアカデミー 調査結果を考察することで「何が言えそうか」という新たな仮説が導けます。その新たな仮説を調査検証することで、さらに深い仮説が導けます。仮説検証は繰り返すことでより高い価値を発揮します高い価値を発揮します。
  2. アンケートの計画
  3. アンケート調査実施前の注意点ー計画編ー アンケート調査には、2つの種類があります。①発見型アンケート②仮説検証型アンケート
  4. アンケート調査を成功させるコツ Point1. 調査目的を明確にする  調査結果をどう活用するかが明確に定まっていないと、調査をやっただけで終わってしまうことがあるため、調査を実施する前に、「今回の調査結果をもとに、どのようなアクションを起こすのか」を決めておくことが重要です。Point2. 調査課題をモレなく整理する 調査課題とは、調査の目的を達成するために、得るべき知見のことです。 Point3. 仮説を立てる アンケート調査の本質は、仮説検証です。仮説を立てる際に重要なのが、検証により仮説が肯定された際の次のアクションまでがきちんと描かれていることです。 
  5. アンケート調査の方法とコツ② 課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編 手法 ネットリサーチ 2019.07.26 アンケート調査の企画をする時には、具体的な方法や質問の内容を考え始める前に、解決すべき課題の設定仮説の構築~調査の企画というプロセスが必要です。ここで重要なのは、調査結果が課題の解決に向けたアクションに繋がるように企画することです。このプロセスでしっかり準備することが、調査結果の価値の大半を決めます。問題の原因を次のアクションにおとしこめるレベルまで具体化することで、アンケート調査の結果をマーケティングに活かすことができる 最初に考えた仮説が本当に原因であるとは限りません。考えられる原因=仮説を出来るだけアンケート調査に盛り込んでおく
  6. マーケティングリサーチの成功の秘訣は「仮説」にある 2018 / 02 / 15 市場調査における仮説は成功の鍵 現状仮説とは具体案を提示する際に「現在の状況は、このような状態になっているのではないか」という推測です。実行仮説とは(戦略推定ともいう)ビジネス展開するにあたり「このような方法で実行すればうまく行くのではないか」という仮定です。現状推定は次の実行推定の立案に結びつくような項目でなければならない。想定作りの前の事前調査の方法は、インターネットは基より実際の現場を訪れて生きた情報を集める事が大切である。
  7. 調査仮説の立て方 「調査仮説」がない場合 例えば、「売上不振の理由(商品の不満内容)を把握したい」というだけでは、調査設計まで落とし込めません。「調査仮説」がある場合  例えば、「売上不振の理由(商品の不満内容)は、 商品パッケージのデザインが良くないからだと考えられる」という仮説がある場合、その仮説に沿って踏査を設計することができます。
  8. https://www.advertimes.com/20180308/article266951/ 考察 → 分析 → 設計 という順で考えていく 調査項目を考える、いわゆる調査設計から考え始めると、必ずと言っていいほど後から『あれも聞けば良かった、こう聞けば良かった』という声が聴かれる
  9. https://www.and-d.co.jp/researches/form-hypothesis/ マーケティング上の課題を整理し、リサーチによって明らかにすべきテーマに変換したうえで、「仮説の構築」を行い、マーケティングリサーチで「何を」「どんなふうに」明らかにしていくのかの骨格を作っていきます。
  10. はじめての市場調査:アンケート調査票の作り方は?良い例・悪い例 精度の高いアンケートを作る9つのステップとポイント 2021年05月10日 精度の低いアンケートを行ってしまうと正しい調査結果が得られず、知りたかったことが分からなかったり、間違った結論を導いてしまったりすることがあります。
  11. https://globis.jp/article/5823 アンケートが長くなりすぎるのはもちろんのこと、レイアウトが見づらいとか、ウェブアンケートの場合は操作性が悪いと、答える方が面倒くさくなって、いい加減に答えてしまうことがあります。たとえば、ウェブのスピードが遅く、アンケートで20分以上かかるようなものでは、すべて真面目に答える人は多くありません。
  12. https://www.kcsf.co.jp/marketing/column.html 理想を言えば、設問数は10問~20問程度ではないでしょうか。・最初の数問で、回答者の頭をウォーミングアップ。 (前菜)・その後、やや、本題に近寄りながら、 (スープ)・本題に数問。 (メインディッシュ)・最後は、必要な属性などを確認します。 (デザート)

その他

  1. https://www.marketing-literacy.org/blog/hypothesis-excavation-method/
  2. 課題を把握し、商品・サービスの改善で売り上げを上げるための情報は『顧客』が持っています。「Consumer is Boss」(お客様はボス)はP&G社で徹底されている考え方であり、「ファブリーズ」に代表される徹底的なマーケティング・リサーチ実施による成功例は、まさに好事例と言えます。 https://www.startrise.jp/columuns/view/4179
  3. マーケティングを学ぶ学生たちには、仮説をもつことの重要さを説いています。リサーチの講義においては、そのことはリサーチの位置づけを理解することにもつながるので、とりわけ重要なことと考えています。ここで言う仮説とは、市場における消費者やブランド等の現況に関わる仮説にはじまり、それにもとづいて設定する課題の仮説、さらにはそれを解決するための戦略や施策の仮説まで、すべてを含みます。 https://insight.rakuten.co.jp/knowledge/researchcolumn/vol21.html

分散や標準偏差を計算するときにnで割るべきかn-1で割るべきか

統計の勉強はそうでなくても複雑でとっつきにくいのですが、なかでも初心者を簡単にくじく原因は、分散や標準偏差を計算するときにnで割るべきかn-1で割るべきかという混乱だと思います。授業で習ったことと教科書に書いてあることが違っている、複数の教科書を見てみると定義がまちまち。どうしてこういうことが起きているのでしょうか。まず、分散(やその平方根をとった標準偏差)と一言で言っても、実は分散には種類があり定義が異なるということを知ることが大事です。母分散、標本分散、不偏分散という概念を理解すればすべての問題は氷解します。分散という言葉が出てきたときには、それが、母分散、標本分散、不偏分散の3つのどれのことを指しているのかがわかれば、nで割ればいいのかそれともn-1で割ればいいのかがわかるわけです。

まず高校の数学を思い出しましょう。分散の定義は何だったかというと、

分散 = (1/n) * Σ (データ-平均値)^2

でした。5人の人のテストの点数がデータ=[100, 85, 30, 50, 60] だとします。

平均値 = (100+85+30+50+60)/5 = 65 点ですので、

分散 = (1/5)* {(100-65)^2 + (85-65)^2 + (30-65)^2 + (50-65)^2 + (60-65)^2 } =620

標準偏差はその平方根をとって、24.9 点となります。高校のときはこれで何も悩まなかったわけです。ところが大学に入って統計の勉強をすると、母集団から標本を抽出して、抽出した標本の統計量をもとに母集団の統計量を推定するということをやります。例えば、1000人がテストを受けていたとして、そのうちの5人をランダムに抜き出して(標本)たところ、データ=[100, 85, 30, 50, 60] だったというわけです。そうすると、本当に知りたいのは標本の平均値や分散ではなくて、母集団1000人の平均値や分散ということになります。つまり母平均や母分散に興味があるのです。現実的には1000人のテストの点もデータとして入手可能な場合もあるでしょうから、1000個のデータに関して上記の分散の定義で計算することができるでしょう。

しかし、それでは実はしりたいのは日本全国の大学1年生にこのテストをさせたときの点数だったとしたらどうでしょうか。そもそも大学1年生全員はテストを受けていません。受けたのは1000人だけだったとします。そうなると、その1000人が実は「標本」だったと考えることもできます。その場合、母集団のデータは手に入りませんので、標本から推測するしかありません。ここまででわかることは、母集団が何で、標本が何かをはっきりさせない限り、議論ができないということです。そこが曖昧だと、統計の勉強がよくわからないということになります。

さて、上で求めたのはnで割っているので、標本分散だったということになります。高校数学では標本分散のことを単に分散と呼んでいたわけです。ところが、大学以降は単に分散といえば、不偏分散(母分散の推定値)のことを指すのです。言葉の意味がいつの間にかすり替わっているのに、誰もちゃんとそれを教えてくれなかったから、統計の学習者はみな混乱させられているというわけです。もっとややこしいのは、日本語の言葉遣いの問題で、標本から計算される不偏分散のことを、標本の分散と呼ぶ本もあるようです。つまりその日本語の言葉遣いにおいては、「標本の分散」は、「標本分散」ではないというわけ。

分散や標準偏差を計算するときにnで割るべきかn-1で割るべきかという問いの答えは、母集団の母平均を推定したいので、不偏分散を計算しないといけないのが通常。だから、n-1で割るのが通常ということになります。もちろん標本分散を求めなさいといわれたときにはnで割ります。あるいは与えられたデータは母集団のデータ全てですという場合は、標本分散と同じ定義になるので、nで割ることになります。エクセルで標準偏差を求める関数としてSTDEVというものがありますが、これはn-1で割った値を返してくれる関数です。母標準偏差や標本標準偏差を求める場合には、STDEVPという関数を使います。要注意なのはpythonで、pythonでは標準偏差や分散はデフォルトではnで割った値を返します。

 

参考

  1. STDEVとSTDEVP―2つの標準偏差 BellCurve統計WEB
  2. パッと見でわかる統計学ノート【分散や標準偏差において n-1 で割る公式の理由】 2016年6月3日 / 2020年2月11日 アタリマエ!
  3. 読めば必ずわかる分散分析の基礎 第2版2003年12月5日 小野 滋
  4. 不偏推定量とは?平均と分散を例に分かりやすく解説 AVILEN TREND
  5. 7 母分散の推定(n-1で割る理由)

 

 

 

 

 

統計学的な手法の選択 2群か3群以上か、パラメトリックかノンパラか、データ間の対応の有無は、‥

実験群と対照群との間の差の有無を検定する統計学的な手法の選択は、慣れないと頭がこんがらがりそうです。考え方の基本となるのは、比べたい量が連続的に変化する量なのか、それとも離散的なデータなのか、また、データが正規分布していることを仮定しているのか(パラメトリック)、仮定しないのか(ノンパラメトリック)、群間のデータに対応があるかないかをしっかりと把握することが検定の手法選びのポイントです。それがわかっていないと、選びようがありません。

 

2群間の比較

パラメトリック

2群のデータに対応が無い場合には、t検定を(ただし等分散でない場合にはウェルチのt検定を)、対応があるデータに関しては、「対応のあるt検定」を用いる。

 

ノンパラメトリック

2群のデータに対応が無い場合には、マン・ホイットニー検定(またはそれと同値の、ウィルコクソンの順位和検定)を、対応があるデータに関しては、ウィルコクソンの符号付順和検定を用いる。つまりt検定のノンパラメトリック版がマン・ホイットニー検定で、ウェルチのt検定のノンパラメトリック版がウィルコクソンの符号付順和検定ということになります。

 

3群以上の間の比較

対照群、実験群(実験条件1)、実験群(実験条件2)といった研究デザインの場合です。

パラメトリック

1-way ANOVA (Analysis of variants 1元配置分散分析):多群間で、平均値が他と異なる群があるかどうかを検定する手法。2群間の比較で使われるt検定の、多群バージョンと考えられる。どの群とどの群の間に差があるのかは、ANOVAではわからないため、ANOVAのあとにチューキーのテストなどを行う。

1-way ANOVA (Analysis of variants 1元配置分散分析)とは

チューキーの検定 (Tukey’s test): 多群間のペアワイズな検定を行う。

ダネットの検定(Dunnett’s test):対照群1つと実験群複数の場合に、個々の実験群を対照群と比較する。

シッフェ(Scheffe)検定:

ボンフェローニ検定:

参考

  1. 杉本典夫『医学・薬学分野で役立つ 統計学の基礎 推定を中心にした統計手法の理論と実践』(プレアデス出版2015年)

ノンパラメトリック

クラスカル・ウォリス検定 (Kruskal-Wallis test):ノンパラメトリック検定の一つ。3群以上の間で、差がある群が存在するかどうかを検定する。どの群とどの群との間に差があるかはわからないので、その場合はSteel-Dwass test(スティール・デュワス検定)などを続けて行う。

Steel-Dwass test(スティール・デュワス検定):ノンパラメトリック検定の一つ。多群の場合に、群間の比較をペアワイズに行う。

 

参考

  1. 理学療法領域における統計解析法の選択 小林 武 理学療法の歩み16巻1号 2005年1月25■講座■ 統計学的手法を選ぶためのフローチャートが見やすい。
  2. 28-4. Welchのt検定 BellCure 統計WEB

1-way ANOVA (Analysis of variants 1元配置分散分析)とは

1-way ANOVA (Analysis of variants 1元配置分散分析)とは、簡単にいうとt-検定の多群への拡張版です。t検定は2群間比較にしか使えないのでした。それに対して、ANOVAは多群に対して用いることができます。ただし、それぞれの群の平均値に差があるものがあるかどうか、しか検定できません。どの群とどの群との間に差があるのかを調べたければ、ANOVAの後に、post hoc(事後に の意味)な検定を行います。post hocに用いる検定の種類としては、チューキーの検定 (Tukey’s test)(多群間のペアワイズな検定)、ダネットの検定(Dunnett’s test)(個々の実験群を共通の対照群と比較)、シッフェ(Scheffe)検定、ボンフェローニ検定などがあります(加納・高橋著『基礎医学統計学』改訂第6版 南江堂2011 などを参照)。

平均値の検定なのになぜ分散分析と呼ぶのかというと、平均値に差があるかどうかを分散の値を調べることによって分析するからです。以下のウェブ記事が非常にわかりやすいと思います。

独習教材「ハンバーガーショップで学ぶ楽しい統計学」──平均から分散分析まで──

上のウェブ記事ではFの値が危険率0.05のときのFの値と比べて有意かどうかを判定しており確率は載せていませんでしたので、確率p-valueをpythonで求めておきます。

import scipy.stats as st

ワクワク=[80,75,80,90,95,80,80,85,85,80,90,80,75,90,85,85,90,90,85,80]
モグモグ=[75,70,80,85,90,75,85,80,80,75,80,75,70,85,80,75,80,80,90,80]
パクパク=[80,80,80,90,95,85,95,90,85,90,95,85,98,95,85,85,90,90,85,85]

f, p = st.f_oneway(ワクワク,モグモグ,パクパク)
print(“F=%f, p-value = %f”%(f,p))

出力結果は、

 

参考

  1. 向後研究室 独習教材「ハンバーガーショップで学ぶ楽しい統計学」──平均から分散分析まで──
  2. 基礎 医学統計学 改訂第6版 加納・高橋 著 南江堂 2011年
  3. 杉本典夫『医学・薬学分野で役立つ 統計学の基礎 推定を中心にした統計手法の理論と実践』(プレアデス出版2015年)
  4. Fratio (or F) Distribution docs.scipy.org
  5. Pythonで統計学を学ぶ(6)  whitewell.sakura.ne.jp
  6. 分散分析 ようこそ、化学標準物質の不確かさへのいざない