下垂体前葉が性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を分泌することを指令するための、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン)が視床下部から出されます。
視床下部からのこの指示を受けて、下垂体前葉は、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の一種である卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌します。卵巣においては、FSHに刺激されたことで卵胞が発育します。
発育し成熟した卵胞は卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。エストロゲンは子宮内膜を肥厚させる働きがあります。
エストロゲンは下垂体前葉に対してネガティブフィードバックの働きをして、FSH分泌を抑制させます。また視床下部に対して働きかけて性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を再度分泌させて、その結果としてそれを受けた下垂体前葉から今度はもうひとつの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)である黄体形成ホルモン(LH)を分泌させます。
ホルモンの量を経時的に示したグラフを見ると、まずエストロゲンが大きなピークを示して、それに続いてLHが大きなピーク(LHサージ)を示します。
LHの分泌(LHサージ)により排卵が起きます。排卵後の卵胞は黄体へと変化します。黄体は黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌し続けます。プロゲステロンは子宮内膜に働きかけて、子宮内膜をやわらかくして受精卵が着床しやすくする働きがあります。プロゲステロンにはまた体温を高くする作用もあります。女性が基礎体温をつけたときに、排卵が起きたあとから体温が少し上昇した状態になるのはプロゲステロンが分泌され続けているためです。高温期に入るまえに体温が少し落ち込む場合があり、その下がった時点もしくはその直前が排卵のタイミングになっていることが多いようです。
受精が生じなかった場合は黄体(おうたい)は白体(はくたい)に変化します。
ちなみに、性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、どちらもコレステロールからつくられるステロイドホルモンです。
月経周期(生理周期)の説明動画
下の動画が実にわかりやすい説明でした。こんな解説をしてもらえると、頭にはいりやすいくて良いです。
月経のホルモン、これで十分! mamken チャンネル登録者数 970人
上の動画とほぼ同じ内容ですが、英語サイト(Lecturio Nursing)の動画
The Hypothalamic Pituitary Ovarian Axis | Menstrual Cycle Part 1 Lecturio Nursing チャンネル登録者数 9.51万人
卵巣周期 ovarian cycle:卵胞期 follicular ー 排卵 ovulation ー 黄体期 luteal
卵巣の変化に着目して「卵巣周期」という時期の分類がなされています。月経周期が全部で28日(もちろん個人差があります)とした場合、排卵がおこる14日目までが卵胞期、そのあとが黄体期と呼ばれます。卵胞が発育する時期と、黄体(排卵後の卵胞が変化したもの)が形成されている時期の2つなので、名前が内容をそのまま表しており、覚えやすいと思います。
The Ovarian Cycle | The Menstrual Cycle Part 2 Lecturio Nursing チャンネル登録者数 9.51万人
子宮内膜の周期的な変化 Endometrial Cycle
卵巣の変化に着目したのが「卵巣周期」(卵胞期ー黄体期)でしたが、子宮の変化に着目したのが「子宮周期」です。1~7日めが月経期、7日目~14日目が増殖期、14日得m~28日目が分泌期と呼ばれます。卵巣周期と対応しているので(卵胞期=「月経期+増殖期」、黄体期=分泌期)、それほどややこしくもないと思います。
動画リンク集
- The Menstrual Cycle Nemours KidsHealth 245K subscribers (2:26) 月経(生理)に関する非常に簡単な説明。おそらく子供向けの解説。
- How menstruation works – Emma Bryce TED-Ed 19.7M subscribers (4:11) ホルモンにまで言及した生理に関する簡単な説明(一般向け)
- Understanding the Menstrual Cycle Zero To Finals 731K subscribers (9:52)
- Female Reproductive System – Menstrual Cycle, Hormones and Regulation Armando Hasudungan 2.53M subscribers (15:12)
- Why do women have periods? TED-Ed 19.7M subscribers (4:45)