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頭部外傷 talk & deteriorate(T&D)とは

talk & deteriorate(T&D)とは

受傷直後は話せていたのに時間経過とともに意識状態が低下する頭部外傷を、talk & deteriorate(T&D)と呼ぶ。(Talk & deteriorateに御用心! 高齢者頭部外傷の特徴に迫る 2022年03月03日 14:00 MedicalTribune

  1. Marshall et al., 1983. The National Traumatic Coma Data Bank. Part 2: patients who talk and deteriorate: implications for treatment. J Neurosurg. 59:285-288 https://doi.org/10.3171/jns.1983.59.2.0285

T&Dが高齢者に多い理由

高齢者の脳は、脳萎縮を起こしていることにより硬膜下腔が拡大している。すると大脳半球の可動性が増加し、軽度の外傷でも架橋静脈が損傷して急性硬膜下血腫が起きやすくなる。脳萎縮があるせいで最初の出血に伴う症状は現れにくいが、血腫が大きくなった段階で昏睡に陥る。つまり、外傷を受けた直後は話すことができていたのに、その後、意識がなくなる(Talk & deteriorat; T&D)という経過をたどることになるのだそうです。

参考記事:高齢者でT&Dを起こさないために CTとD-ダイマーで見逃し防げ 2022年03月07日 05:00 MedicalTribune

talk & deteriorate(T&D)に関する臨床研究論文

  1. 苅部ら 2020.  高齢者頭部外傷におけるtalk and deteriorateのリアル Neurosurg Emerg 25:187-194 受傷前の抗血栓薬内服の有無、血液凝固指標等とT&Dの有無との関連

 

経度頭蓋内損傷のバイオマーカー

  1. Bazaria et al., 2021. Accuracy of a rapid glial fibrillary acidic protein/ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase L1 test for the prediction of intracranial injuries on head computed tomography after mild traumatic brain injury. Acad Emerg Med . 2021 Nov;28(11):1308-1317. doi: 10.1111/acem.14366. A new, rapid blood test combining measurements of both glial fibrillary acidic protein (GFAP) and ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase L1 (UCH-L1) for predicting acute traumatic intracranial injury (TII) on head CT scan after mild traumatic brain injury (mTBI).
  2. グリア線維性酸性蛋白質の上昇は軽度TBI後の神経画像検査異常所見と関連する Neurology 2018; 91:e1385-e1389
  3. 横堀ら(日本医科大学) 2014. 頭部外傷におけるバイオマーカーの有用性と今後の展望 Jpn J Neurosurg Dec 2014; 23(12):973-980. Neurofilament proteins (NFL, NFM, NFH), Tau protein, Microtubule-associated protein 2 (MAP2) , Myelin basic protein (MBP), Neuron-specific enolase (NSE), S100β, Glial fibrillary acidic protein (GFAP), Ubiquitin C-terminal hydrolase-L1 (UCH-L1)

急性硬膜下血腫とは

急性硬膜下血腫とは、頭蓋骨の下にある硬膜とくも膜との間に出血が起こる病態のことだそうです。出血の原因となる血管の破綻が起きているのは、架橋静脈あるいは脳表動脈です。

参照&参考

  1. 急性硬膜下血腫を徹底まとめ!CT画像のポイント!(遠隔画像診断.jp)
  2. 頭部外傷 https://kuwana-sc.com/ 大事な脳を守るために何重にもバリアが張られています。外から順に①皮膚骨膜頭蓋骨硬膜くも膜軟膜

キーワード

GOS(Glasgow Outcome Scale):GR (good recovery)、MD (moderately disabled)、SD (severely disabled)、VS(vegetative state)、D(dead)

急性硬膜下血腫(Acute subdural hematoma; ASDH)

外傷性くも膜下出血

D-ダイマー

乾燥濃縮人プロトロンビン複合体製剤(4F-PCC)

抗凝固薬の中和薬:4F-PCCやイダルシズマブ

新鮮凍結血漿(FFP)

開頭血腫除去

バイオマーカーとは

バイオマーカーという言葉の意味は、「通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される特性」、具体的には、バイタルサイン、血液検査、腫瘍マーカーなどの臨床検査および画像検査の結果などが使われるそうです。バイオマーカー=蛋白質というわけではないのですね。バイオマーカーが画像であることもあるわけです。

  1. 末廣ら2020. 頭部外傷診療における血液バイオマーカーの役割
  2. Biomarkers Definitions Working Group: Biolmarkers and surrogate endpoints: preferred definitions and conceptual framework. Clin Pharmacol Ther 2001; 69:89-95.

 

英語論文執筆に役立つ英作文、語法のコツ・アドバイス集

英文法・語法について

  1. グレン・パケット『科学論文の英語用法百科第1編 よく誤用される単語と表現』京都大学学術出版会 これはなかなかの力作、大作です。英語論文を書く人は必携の書籍でしょう。なにしろ日本人が英語論文を書くときの典型的なやらかしが、網羅的に指摘され、解説されています。目からうろことはまさにこのことかと思えるような明解な解説で、読破すれば英文執筆能力が一皮も二皮も剥けることでしょう。通常の辞書には語法までは載ってません。ここまで詳細な解説は、他で見たことがありません。
  2. 転換語(transition words)の役割と種類:効果的な使い分け方 エナゴ アカデミー Jul 26, 2023 ①追加、②比較・対照、③原因・結果、④例・解説、⑤順序と時系列、⑥明確化・言い換え、⑦強調、⑧要約・結論
  3. 「そして」を英語論文で使う際の注意点とは?「and」以外の英語表現方法 2021-06-11 native camp blog 英語の接続詞には大きく分けて7つの種類が存在します。①帰結、②原因・理由、③目的、④追加情報、⑤否定・逆説、⑥強調、⑦言い換えの7つです。
  4. 【英語論文の書き方】第29回 then, however, therefore, for example など接続副詞の使い方 2017年1月26日 ワールド翻訳サービス 以下に代表的な接続副詞を含め,6つの分類を示します。(1)  時間的移行: then, next, subsequently (2)  補足・追加:additionally, moreover, furthermore (3)  逆接:however, nevertheless, nonetheless (4)  選択: (or) else, otherwise (5)  原因・結果:accordingly, consequently, hence, therefore, thus (6)  例示・言換え:for example, for instance, namely, that is (to say)
  5. 「さらに」の英語表現12選|各表現の例文と使い分け 2023.10.30 BizMates Blog
  6. 科学英文のチェックマニュアル(第7版) (PDF) 牧島一夫 December 27, 2015
  7. 論文英語の組み立て – 学術論文における 口語 の使用について グレン・パケット Glenn Paquette Aug 31, 2018

冠詞の選び方について

  1. 科学論文における英語の話(PDF) 関根郁夫 千葉医学 90:195~200, 2014   その他の著作:関根郁夫:英語で医学論文を書く-曖昧であった思考を形にする方法、医学と看護社 (書籍) 関根郁夫:医師の英語-目的の設定と目標の数値化、千葉医学会雑誌、第81巻、75-80頁、2005 関根郁夫:英語論文を読むことと書くこと. 千葉医学雑誌 90: 251 -258, 2014 関根郁夫:科学論文における英語の話. 千葉医学雑誌 90:195-200,2014
  2. 科学論文の英語用法百科 第2編 冠詞用法 グレン・パケット 2016/10 京都大学学術出版会

語句の選び方

「~によって」はbyかwithか

  1. 【英語論文の書き方】第4回「~を用いて」の表現:by と with の違い 2015年10月14日 15時56分 ワールド翻訳サービス byは抽象的手段に,withは具体的手段 

英文校正に関する考え方

  1. Vol.103 医学論文執筆に際しての、英文“校正”業者の実力と英文添削の意義 医療ガバナンス学会 (2021年6月1日 06:00)

論文原稿作成の実際

  1. 松尾ぐみの論文の書き方:英語論文

その他の参考

  1. 日本人のため.の英語科学論文の書き方I.背景と目的ヒビサトシ(PDF) 私は,日本の科学者たちが書いた英文の意味を理解することができず,他の日本人にその意味を尋ねた経験は何回もある.尋ねられた日本人は,私が質問した部分を読んでその意味が明白に理解できたので,私に理解できないのが不思議に思えたようすであった.このような問題がおこるのは,日本には独特の英語の言い方(Japanese-English)があるからである.

コレスポンディングオーサー(correspoinding author、責任著者)とは?

correspoinding author(コレスポンディングオーサー、責任著者)とは、研究成果を論文発表するときに、著者が複数いる場合の一番の責任を負う著者のことです。correspoindingという名前が示すとおり、論文に関する第三者とのやりとりは、correspoinding authorが行います。つまり、雑誌への投稿の際の雑誌エディターとのやりとりや、出版後に誰か他の研究者が論文に関することを聞きたいときの連絡先でもあります。日本語で責任著者と訳されることからわかるように、単にやり取りをする窓口という意味以上に、論文報告する内容に関する責任を負います。研究者の間では、日常会話ではコレスポと略すことが多いです。

誰がコレスポになるのか

通常はラボのボスがコレスポになります。それは、ラボのボスが研究を立案し、研究資金を獲得し、研究人員を配置し(部下にテーマを与え)、論文を執筆することが多いからです。しかし、ラボの運営体制によっては、中ボスがコレスポになることや、実際に仕事をした部下がコレスポになることもなくはありません。このあたりは、誰がオーサーになるべきかという問題も含めて、分野によって、あるいは業界(学部)などによっても、文化・慣習が異なる場合があるので、一概に何が正しくて、何がおかしいとも言えないものがあります。つまり曖昧な線引きになっているため、俺が当然コレスポになるべきだ、いや、コレスポは私でしょう、というラボ内での意見の相違が生まれることもよくあります。

コレスポでもめる一番のパターンは、ラボのボス(教授)が実質的にはほとんど貢献していないにも関わらずコレスポを要求するパターンです。その場合の正当性の根拠は、自分のラボだから、自分が研究資金を稼いできたのだから、というものです。教科書的に言えばそれだけではオーサーシップにすら値しないということになっていますが、そのような教科書的なルールが実社会で行われているのは、自分は見たことがありません。場合によってはボスはあまり研究費を獲っていなくて、研究を実際に行った部下が自ら研究費も獲得して、研究を立案し、実験を実施し、データを解析して論文まで執筆するということもあります。その場合には、実際に研究を行った部下がコレスポンディングオーサーになるのが、「研究の倫理の教科書」的には正しいと思いますが、現実はというと、権力を持つ立場の人間がコレスポを主張することがあるでしょう。その場合に、どこをお落としどころにするかということに関しては、正解はありません。なぜなら、部下の立場でボスと喧嘩してもその部下に勝ち目がないことが多いですし、かりに主張を押し通せても、しこりが残ってしまって、長期的には必ずしも良いとは限らないからです。

2つのラボが対等の共同研究をした場合にも、コレスポをどちらのラボのボスが取るかで意見の相違が生じる可能性があります。これはもう2つのラボの力関係で決まるのではないでしょうか。オーサーシップでもめてしまって、折角共同研究で良い成果を得て論文発表したにも関わらず、その後の関係が冷え切ってしまうということもあるかもしれません。人間関係なので、難しいところです。

 

コレスポは何人まで可能?

責任著者は通常一人ですが、ジャーナルによっては複数の人が責任著者になっている論文があります(Co-corresponding author)。下のエディテージの記事を見ると、コ・コレスポンディングオーサーを認める雑誌は多くはないが存在するようです。基礎系の雑誌か、臨床系の雑誌かでもその割合は異なるかもしれません。自分は基礎系のジャーナルにしか論文を出したことがありませんが、責任著者が複数ということは比較的よく見かけたように思います。

While some journals allow the practice of including two corresponding authors, many journals do not. (Does your target journal allow more than one corresponding author? A case study editage insights)

コレスポが何人までOKなのかは、雑誌の投稿規定に明示されていないこともありますが、明示している雑誌もあります。

分散はnで割るのかn-1で割るのか?n-1で割ったほうをなぜ不偏分散と呼ぶのか

統計の教科書を読み始めてすぐに挫折する理由は、分散の説明が教科書によってまちまちなせいで頭が混乱させられるからです。分散の定義がある教科書では 1/n Σ (xi-m)^2なのに別の教科書だと 1/(n-1) Σ (xi-m)^2 のようにnでなくn-1で割っています(nは標本の数、mは標本の平均)。そして、n-1で割るほうを不偏分散と呼んでいます。

ちゃんとした教科書であれば、それぞれを正しく呼び分けていることも多いのですが、統計ソフトの場合、分散と言えば、n-1で割るほう(不偏分散)で、統計ソフトの使い方の教科書などでは特に、不偏分散のことを単に分散と呼んでいたりするので、混乱するわけです。

不偏という耳慣れない日本語の意味を知りたいのですが、「偏りが無い」と日本語で説明されても意味不明です。もうこのあたりで嫌気が差して教科書を閉じることになります。

ちゃんと理解したければ、「不偏推定量」なる概念を理解する必要がありました。前提として、「母集団」から標本を抽出するという操作の理解も大事です。母集団には母集団の分布の特性を表す量があります。例えば、平均値(母平均と呼ぶ)などが特性を表す値の一例です。母集団から標本をとってきた場合に、標本から計算される平均値(標本平均と呼ぶ)もあります。標本平均と母平均との関係はどうなっているの?というのが大事なポイントになります。分散についても同様に考えることができます。母集団の分散(母分散と呼ぶ)と、標本から得られた分散(標本分散)との関係はどうなっているのでしょうか。

標本を得るという操作を行うごとに、実際に得られる標本の値は毎回異なるわけですから、標本抽出を何回も行えば、標本平均も毎回異なります。標本分散も毎回異なります。そこで、「標本平均」の期待値や、標本分散の期待値を考えることになります。標本平均の期待値がもし母平均と一致していれば、標本平均は不偏推定量であるという言い方をします。実際、標本平均の期待値を計算すると母平均に一致するので、標本平均は不偏推定量です。分散の場合はどうでしょうか。標本分散の期待値を計算すると、実は母分散とは一致しません。なので標本分散(nで割る方)は不変推定量ではないのです。じゃあ、母分散の不偏推定量になっているのは、どのような量なのでしょうか?実はn-1で割る方が、期待値を計算したときに母分散に一致するので、不偏推定量になっているのです。このことから、n-1で割る定義のほうを不偏分散と呼ぶわけです。不偏推定量になっている分散なので不偏分散と呼ぶ、なるほど納得です。

標本分散の期待値を実際に計算してみると、このことが良くわかります。母分散がσ^2だったとして、標本分散s^2の期待値を計算すると、

期待値E[s^2] = …. = (n-1)/n σ^2 となります。母分散であるσ^2には一致せず、(n-1)/n という係数がかかるという違いがあるわけです。なので(n-1)/n の逆数であるn/(n-1)を標本分散にかけておけば、つまり、

n/(n-1)1/n Σ (xi-m)^2 = 1/(n-1) Σ (xi-m)^2 なる数を考えれば、その期待値は母分散に一致します。なので、不偏分散 1/(n-1) Σ (xi-m)^2 は、 分母にn-1が来ているのです。

これらの議論は少し詳しい統計の教科書や数理統計学の教科書に説明されています。自分が参考にしたのは、松本裕行・宮原孝夫『数理統計学入門』学術図書出版社(1990年)です(72ページ目)。

 

主要な確率分布と標本分布の確率密度関数と平均、分散

確率・統計で用いられる言葉の定義

確率変数とは、ある確率に基づいた試行の結果として値が定まるような変数のことです。例えば、サイコロを振るという試行を考えた場合に、確率変数Xは、1から6までの自然数の値を取り得ます。各々の目が出る確率は、1/6になります。

確率関数とは、確率変数が離散型の場合に、確率を規定する関数のこと。確率pで当たりくじが出るくじをn回引いたときにr回当たりが出る確率の確率関数は、

P(X=r)=f(x)=nCr p^r (1-p)^n-r

となります。

確率分布とは、確率関数と確率変数との対応関係のことです。上の式の場合は、二項分布とよばれる確率分布です。

確率密度関数とは、確率変数が連続型の場合に、P(a=< X <=b)がaからbまでの積分で確率が求まるような関数f(x)のことです。

分布関数とは、累積分布関数とも呼ばれますが、F(x):=P(X<=x)で定義されるような関数F(x)のこと。

期待値とは、離散型確率変数Xの場合は、Xと、Xの確率との積を全てのXに関して足し合わせたもののことです。連続型確率変数Xの場合は、確率変数と確率密度関数との積をマイナス無限大からプラス無限大まで積分したものになります。

m次モーメントとは、確率変数Xのm乗の期待値$E[X^m]$のこと。

確率母関数$G _X(t)$は、tのX乗の期待値$E[t^X]$として定義されます。

$G _X(t)\stackrel{\mathrm{def}}{=}E[t^X]$

積率母関数モーメント母関数)$M _X(t)$は、「eのtX乗」の期待値$E[e^{tX}]$として定義されます。

$M _X(t)\stackrel{\mathrm{def}}{=}E[e^{tX}]$

さて用語のおさらいが終わったところで、よく出てくる確率分布を纏めておきます。

離散型確率変数の確率分布

離散一様分布

ベルヌーイ分布

二項分布

ポアソン分布

幾何分布

超幾何分布

負の二項分布多幸分布

多項分布

連続型確率変数の確率分布

正規分布

指数分布

ガンマ分布

ベータ分布

コーシー分布

対数正規分布

ワイブル分布

Gompertz分布

ロジスティック分布

標本に対する確率分布(標本分布)

母集団から抽出する「標本」は確率変数とみなせるので、標本分布は確率分布のことなのですが、習慣的にか標本分布という言葉を使うようです。

カイ2乗分布

t分布

F分布

参考図書

  1. 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学 日本統計学会編

参考(LaTex)

  1. https://mathlandscape.com/latex-equal/
  2. https://48n.jp/blog/2016/07/12/sample-of-formula/
  3. https://www.applstat.gr.jp/wp/wp-content/themes/jsas/common/img/readme.pdf
  4. https://atatat.hatenablog.com/entry/2020/05/01/230319

[医学論文の種類]Editoral(エディトリアル)とは?

一口に論文と言っても、様々な種類があります。新しい発見を報告する「原著論文」(Original article)がなんといっても重要であり、これが研究者を評価する際の最重要項目になります。その分野の専門家であれば、領域の動向をまとめたReview Article(レビュー論文)を書くことも多いでしょう。Review Article の「review」と、論文査読{review)の「review」とは、全く別物ですので混同しないように。念のため。さて、医学論文ではEditorialという論文の形式もよく目にします。

医学においては、著書としての学術論文はその内容や様式により、基本的には原著症例報告総説短報告手紙文などにまとめて分類される。論説(Editorial)は学術論文の範疇からは除外される。(https://seiyogakuin.ac.jp/guide/criticism/doc/055.pdf)

これは、専門家が特定の分野に関して簡潔にまとめたものだそうです。

エディトリアルとは、現在重要視されている問題や、今後大きく議論されると予測されるトピックや研究に言及した論文を指します。‥ 雑誌に掲載された特定の論文内容や研究方法に言及する場合はあります。(巻頭辞(エディトリアル)の書き方について genius.jp.net)

特定の論文に関するコメントもEditorialに含まれるようです。

NEJM誌はEditorial、Lancet誌はCommentとしていますが、要は論文著者以外で当該分野に詳しい人が書く批評です。(医学論文の読み方(2) 西村多寿子のブログ)

編集後記」editorials は、医学学術誌のその号に掲載された様々な論文を批評した論文です。世界的に著名な学術誌では、論文ごとに editorial を掲載することが一般的で、その号に掲載された original articles を批評する editorials が掲載されます。(Menu 15 医学論文の抄読会を楽しく乗り切る方法 icrip.jp)

参考サイト

  1. New England Journal of Medicine (NEJM) Editorial検索
  2. Lancet Comments

免疫学 プライミングとは?

プライミングとは プライミングという現象が見られる例

免疫系を賦活するための予備刺激 少量のLPS処理によるpro-IL-1βの誘導,いわゆる“プライミング” (プライミング 実験医学online)

アレルギー反応は1)最初に遭遇したアレルゲンへの曝露時に生じる反応(感作あるいはプライミング相)と、2)感作を受けた後で獲得免疫系が誘導された後に、同じ抗原に曝露された時の反応(エフェクター相)に区別することができる(図2)(2)。https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/autoimmune/immunology/im09/01.php

cDC(標準型樹状細胞)2細胞は、通常DCファミリーに起因する一般的な機能、MHCクラスII上の抗原提示を介したナイーブCD4+ T細胞のプライミング、および共刺激に関与します。https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/cell-analysis-learning-center/immunology-at-work/dendritic-cell-overview.html

Interleukin-12 (IL-12) is a heterodimeric cytokine produced primarily by antigen-presenting cells (monocytes, macrophages, dendritic cells, and B cells). Its production is stimulated by bacteria, bacterial products, and intracellular parasites and enhanced by priming with granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (CM-CSF) and interferon-gamma (IFN-gamma) or inhibited by IL-10. https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/8613697

好中球のO2-産生には、プライミングという現象が知られている。好中球があらかじめ特定の刺激因子の作用を受けるとプライミングされた状態になり、続いて異なる刺激因子の作用によりO2-産生の著しい亢進が起こる1, 2)。プライミング作用を有する因子として、IL-1、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor; TNF-α)、顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulatingfactor; G-CSF)、顆粒球・マクロファージ刺激因子(granulocyte-macrophage colony-stimulatingfactor; GM-CSF)、IL-8などのサイトカインがある3, 4)。http://plaza.umin.ac.jp/j-jabs/35/35.322.pdf

IL-2 は、IL2Rβ鎖および IL2Rγ鎖の両者を発現する抗原特異的なナイーブ T 細胞や NK 細胞を含む隣接細胞にトランスプレゼンテーション(trans-presentation)するため、活性化された DCの表面上に発現する IL2Rαに結合することができます4。この IL-2 のトランスプレゼンテーションは、IL-2 を産生するためにナイーブ T 細胞をプライミングする初期の免疫応答に必要な、高親和性の初期 IL-2 シグナル伝達を促進することが示されています6。https://www.nacalai.co.jp/ss/Contact/pdf/review-IL2-invivogen.pdf

脳波の解析に必要な線形代数の知識

主成分分析(PCA)

独立成分分析(ICA)

 

参考サイト

  1. 脳波解析マニュアル 脳波解析の方法を紹介
  2. ヒトの状態推定をするために脳波の時系列データを如何にモデリングするか 2018-11-09 kenyu-life.com
  3. https://www.slideshare.net/ssuser186f56/eeg-analysis-nonlinear

参考文献

  1. 物理からみた脳波 青木亮三 日本物理学会誌45(9):621-628 (1990).

参考図書

  1. 脳波解析入門 Windows10対応版 EEGLABとSPMを使いこなす 開 一夫 編金山 範明 編 2020年12月09日 東京大学出版会 適切な脳波の計測解析がこの一冊で可能に!脳活動研究に興味のある人必携の書。EEGLAB開発者スコット・マケイグの全面協力を得てチュートリアルを作成。専用ウェブサイトにて、チュートリアルデータや詳細な説明を提供。
  2. 市川 忠彦 新版 脳波の旅への誘い 第2版 ‐楽しく学べるわかりやすい脳波入門 2006/4/24  星和書店
  3. Mike X. Cohen and Jordan Grafman『Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice』Chapter5
  4. 田中 聡久 信号・データ処理のための行列とベクトル- 複素数,線形代数,統計学の基礎 – (次世代信号情報処理シリーズ 1) 2019/7/10  コロナ社
  5. 岡部 靖憲『実験数学 ―地震波,オーロラ,脳波,音声の時系列解析― 』2005年11月10日 朝倉書店 *大学図書館(他キャンパス)に蔵書ある

その他

  1. パッチ式脳波計 https://www.pgv.co.jp/technology-device
  2. 脳の神経細胞が行う掛け算の仕組みを解明

HALBAUによる多変量解析の実践 現代数学社

HALBAUによる多変量解析の実践

『HALBAUによる多変量解析の実践』現代数学社1995年1月25日

HALBAUという統計ソフトは現代数学社から(当時?)売れているものだそう。愛称「ハル坊」は、NECのPC9801で走る統計プログラムパッケージで、High-quality Analysis Libraries for Business and Academic Users)とのこと。PC9801っていつの時代だよ?って思います。HALBAUによる という書籍タイトルですが、別にHALBAUを使う必要はいまどきありません。本の中身は具体例が多くて、興味深いものです。編著者の名前でこの本に辿り着いたのですが、期待を裏切らないいい教科書だと思いました。理屈の部分が結構数式できっちり説明されています。

アマゾンで1円で売られていますが、HALBAUの部分を除いて考えても、とてもよい、コンパクトにまとまった多変量解析の教科書なので、お買い得かも。

『多変量解析の展開 隠れた構造と因果を推定推理する』(統計科学のフロンティア5 岩波書店 2002年12月10日)

『多変量解析の展開 隠れた構造と因果を推定推理する』(統計科学のフロンティア5 岩波書店 2002年12月10日)

図書館で借りました。

共著ですが各チャプターの著者がその領域の第一人者ばかりで、それだけでも刺激的な本であることがわかります。

目次

第I部 独立成分分析とその周辺 甘利俊一

1 信号の混合と分離独立成分分析の枠組み 2 問題の定式化 3 独立成分分析,主成分分析,因子分析 4 確率変数の従属性コスト関数 5 最急降下学習法 6 自然勾配学習法 7 独立成分分析における最急降下学習 8 推定関数と学習アルゴリズム 9 独立成分の逐次的抽出 10 信号の時間相関を利用する方法 11 時間的な混合とデコンボリューション 12 画像の分解と独立成分解析 参考文献

第II部 構造方程式モデリング,因果推論,そして非正規性 狩野裕

1 因果推論何が問題か 2 検証的因果推論パス解析 3 探索的因果推論共分散選択 4 構造方程式モデリング 5 因果の大きさを正確に測定する 6 因果の方向を同定する 7 回帰分析の役割 8 非正規性の問題 9 構造方程式モデリングの役割まとめに代えて 参考文献

第III部 疫学・臨床研究における因果推論 佐藤俊哉・松山裕

1 因果を探る 2 因果モデル 3 因果グラフ 4 因果パラメータの推定 5 因果は巡る 参考文献

補論A 分布の非正規性の利用 竹内啓

補論B 多次元AR モデルと因果関係 石黒真木夫