月別アーカイブ: 2020年9月

透析とは

 

透析とは

透析とは、働かなくなった腎臓の代わりにする治療(血液透析)(血液透析について)のこと。

ドライウェイト(DW)とは

透析終了時の目標体重をドライウェイト(DW)として設定します。 透析を始めるまで、特に腎機能が正常なときは、体重の増減は、「太ったか、痩せたか」によって自然に決まっていましたが、透析を始めると、透析ごとに機械的にDWで終了するので、「太ったか、痩せたか」がわかりません。そこで、約1ヶ月ごとに適正なDWを、むくみや血圧、心胸比(心臓と胸郭との比;CTR)などを参考にして決める必要があります。(血液透析における注意点(特に自己管理について) 腎臓内科 東京女子医科大病院)

ドライウェイト(DW)とは? DWは、1967年Thomsonにより提唱されたもので、「臨床的に浮腫などがなく、透析によって最大限体液量を減少させた(除水した)時の体重で、それ以上、除水すれば、血圧低下やショックが必ず起きるような体重」とされました。しかし、現在のDWの考え方はそこまで厳しいものではなく、日本透析医学会のガイドラインでは、「体液量が適正であり、透析中の過度な血圧低下をおこすことなく、且つ、長期的にも心血管系への負担が少ない体重」と定義されています。(ドライウェイトのお話(2) 横浜第一病院 院長 大山 邦雄 よくわかる透析の基礎知識)

ドライウェイトの概念 患者の血圧・心胸比・HANP・BNP・ECF生理検査・自覚症状を元に決定するがこれは絶対的なものでは無い!!適正なDWの設定が安定透析の条件だが現在まで絶対的な指標が存在しない DRやスタッフの経験から推定される事もある (どうしてる? ドライウェイトの設定 大垣徳洲会病院 透析室 久富 俊宏)

除水・除水量とは

毎回の透析ごとに透析前体重を測り、前回透析終了時のドライウェイトとの、すなわち増えた体重分を除水します。(じんラボ

透析の実際

腕の血管に血液を取る側(脱血)と返す側(返血)の2本の針を刺し、血管と透析機器をチューブでつなぎます。… 1回の血液透析にかかる時間はおよそ4〜5時間で、一般的に週3回行います。(透析のいろいろを知ろう ADPKD.JP)

 

腎臓の役割とは?尿をつくること、体液恒常性維持

腎臓の役割

腎臓の役割はいくつもあります。

  1. 老廃物を排泄
  2. 体の水分量を調節
  3. 血圧の調節
  4. 電解質(ミネラル)の恒常性の維持
  5. 血液pHの恒常性の維持(弱アルカリに保つ)
  6. 血液を産生するホルモン(エリスロポエチン)の分泌
  7. ビタミンDの活性化

参考

  1. https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/070/01.html

尿をつくること

腎動脈を通って血液が腎臓に流れ込み、腎臓で老廃物や余計な水分がろ過されて取り除かれ、綺麗になった血液が腎静脈を通って出ていく。腎臓は尿を作っている場所。老廃物は尿として体の外に排出される。つまり、腎臓の大事な仕事の一つは、血液から尿を作ること。

  1. 尿のつくられ方 (「尿」で知る腎臓の病気 [監修]東京女子医科大学 第四内科学 血液浄化療法科 教授 土谷 健(つちや けん)先生)血液をろ過して尿がつくられる 腎臓で尿を作っているのは、「ネフロン」という構造です。ネフロンは腎臓の最小単位の構造物であり、腎臓1個に約100万個あります。
  2. おしっこについて知っていますか(キッセイ) おしっこは、腎臓で血液から作られることを知っていますか?

腎臓の構造

糸球体glomerulusは,毛細血管の糸玉である。糸玉のまわりをボウマン嚢Bowman’s capsuleという袋が取り巻き,濾過された尿を受け止める。糸球体とボウマン嚢を合わせて,腎小体renal corpuscle(マルピギー小体)と呼ぶ。(初心者のための腎臓の構造 坂井建雄順天堂大学医学部解剖学第1)

糸球体という毛細血管の張りめぐらされた場所(糸球体とボーマンのう~腎臓のミクロな構造~ 本田内科クリニック 千葉県市川市市川)

  1. MSDマニュアル家庭版 腎臓 腎臓、ネフロン、遠位曲尿細管、ヘンレ係蹄、近位曲尿細管、糸球体、ボーマン嚢 などの構造や位置関係がわかる

再吸収とは

腎臓の生理学を勉強していると「再吸収」という言葉が当たり前のように使われています。しかし、当たり前すぎるのか、再吸収とは何かが案外説明抜きで使われていることが多いように思います。腎臓は血液中の成分を尿中へと排出するか、排出せずに保持するかを決めているわけですが、いったん排出したものを、その先で再び血液に戻す(再吸収)するという作業をしています。

再吸収とは・・・・・血液に戻すこと   分泌とは・・・・・・・尿中に捨てること (泌尿器のしくみと働き

1日におよそ150㍑の原尿から体に必要な電解質を99%再吸収し、残り約1%(1.5リットル)を尿として出し、からだの電解質の濃度を一定に保っています。(腎臓の働きと検査 広島大学)

尿細管で再吸収されるという図をよく見ますが、尿細管から体の内部に取り込まれる絵が描かれていて、どうして血液に入れるの?と疑問を持ったことがありました。

  1. 腎臓の構造的ヒエラルキー —機能を支えるプラットホーム—日腎会誌 2018;60(8):1224‒1228. 第 4 回腎臓セミナー・Nexus Japan プロシーディング シンポジウム:腎臓の構造と機能異常

いろいろな解説記事を読むと、尿細管のまわりには血管があって、血管に入っていくということですが、その部分が省略されて描かれていなかっただけのようです。

糸球体から出た細動脈性の輸出動脈近位尿細管および遠位尿細管纏わりつくように尿細管周囲毛細血管網を形成し,再び集まって細静脈となり,小葉間静脈に流入する.(生理学ものがたり第 12 回 浸透圧および溶液の移動 その 2 滋賀医大名誉教授 北里 宏)

  1. 腎臓の働き 東京女子医科大病院

体液とは

体液という日本語は日常用語としては、血液、リンパ液、精液、汗など様々なものを指す言葉だと思いますが、腎臓内科学で使われる体液という語句はどういう意味をあらわすのでしょうか?

体液(細胞外液と細胞内液)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/9/103_2074/_pdf

参考

  1. 腎臓による体液恒常性維持機構とその破綻 佐々木 成 日本内科学会雑誌 第103巻 第 9 号・平成26年 9 月10日

自然リンパ球とは

自然リンパ球とは

近年の研究から,生体,特に粘膜組織において,抗原受容体をもたないリンパ球が数多く存在することが明 らかとなり,粘膜バリア機能の維持や感染初期応答などの粘膜免疫におけるキープレーヤーとして注目されてい る.これらのリンパ球はリンパ球系共通前駆細胞(Common lymphoid progenitor; CLP)を起源とし,細胞質が 乏しいリンパ球様の形態をもつことから自然リンパ球 (Innate lymphoid cell; ILC)と命名された(1).今日ILC と呼ばれる細胞群は,1975年に発見されたウイルス感染細胞や腫瘍細胞に対する障害活性をもつNK(Natural Killer)細胞(2),1997年に発見されリンパ組織形成に重 要なLTi(Lymphoid Tissue inducer)細胞(3)やその近縁細胞(4, 5),2001年に報告されたIL-25依存的にTh2免疫応答を誘発する非T非B細胞(6)をはじめ2010年以降発見されたNH(Natural Helper)細胞(7)やNuocyte(8)な どを包含する概念である.現在,ILCは機能的な観点か ら1型,2型,3型に分類されている.さらに,「NK細胞はILCではあるが,細胞障害活性をもつという点で 1‒3型のILCとは区別される」との概念が定着してきた(9).一方,ILC同様に迅速な応答を起こすリンパ球としてインバリアント鎖をもつMAITiNKT細胞γδT 細胞,natural IgMを産生するB1細胞や脾臓辺縁帯に存在するMarginal Zone (MZ) B細胞が知られ,免疫初期 応答における重要性が報告されている.これら非典型的 T細胞,B細胞はILCとは別にinnate lymphocyteと呼 ばれることもあるが,日本語の自然リンパ球はILCなら びにinnate lymphocyte両方の概念を含んでおり,しば しば混乱を招く.本稿では自然リンパ球としてILCのみ を紹介し,innate lymphocyteは他稿を参照していただ きたい.(自然リンパ球(ILC: Innate Lymphoid Cell)の役割 澤 新一郎 化学と生物 Vol. 53, No. 2, 2015)

抗原特異的な受容体を発現し獲得免疫で働くT細胞、B細胞に対し、抗原受容体を持たず自然免疫で働くリンパ球をInnate lymphoid cells (ILC)と呼ぶことが定着してきた。3つのサブセットに分類されるILCの中でもILC2は、寄生虫感染やアレルギー性疾患で発現するIL-25IL-33によって活性化し、IL-5IL-13などの2型サイトカインを産生することで寄生虫感染に対して急速な防御反応を示し、一方でアレルギー症状を悪化させる原因細胞となることが明らかになっている。(2型自然リンパ球が関与する多様な疾患 学友会セミナー:2018年06月26日 東京大学医科学研究所)

抗原レセプター を持たないリンパ球にはNK細胞のほかに自然リンパ球(ILCs:innate lymphoid cells)がある。ILC1はインターフェロンγを,ILC2はIL-5,IL-13を,ILC3は IL-17ないしIL-22を産生して機能を果たす。(獲得免疫と自然免疫

 

自然リンパ球の発見

当時大学院生の茂呂和世さんが、腹腔の腸管膜辺りを観察したときに、これまでに報告のないリンパ球細胞の集積を見つけました。研究テーマを探していた彼女は、この集積を調べてみることにしました。細胞表面のマーカータンパク質を調べると、教科書に載っていない新しいタイプのリンパ球が含まれていたのです。最初は、リンパ球の前駆細胞未分化なのだと考えました。それで分化するのではと2年間調べましたが、何の細胞にも分化しなかったのです。Th2型サイトカインの発現が高いことが分かり、また細胞を刺激すると、多量のIL5とIL13を産生したのです。この細胞は、寄生虫感染の初期(感染後約2日目)からIL5やIL13を分泌し、Th2細胞が働き始めるまで、寄生虫を攻撃していることが分かったのです。この細胞は抗原特異的受容体を持たないことから、自然免疫の細胞と考えられ、ナチュラルヘルパー細胞と名付けました。(自然リンパ球の開拓者 小安 重夫 Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140117)

最近,新たな白血球として,「自然リンパ球」と呼ばれる細胞集団が発見されました。最近の研究で,自然リンパ球の活性化がアレルギー疾患自己免疫性疾患がんなどに関係しているらしいことがわかってきましたが,まだまだはっきりしない点が多く,さらなる研究が必要 です。(当院にて2013年1月から2018年12月の間に生体検査または手術を受けられた患者さんへ ― 「自然リンパ球関連疾患の探索研究」について ― 京都大学 kuhp.kyoto-u.ac.jp)

ILC2は腸間膜に存在するリンパ球集積 ”Fat associated lymphoid cluster (FALC)”で発見され、当初NH(ナチュラルヘルパー)細胞と名付けられました。 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター)

自然リンパ球の分類

グループ1に属するILCはインターフェロンγおよび TNFに代表される 1型サイトカイン群を産生し、NK細胞およびILC1を含む。

グループ2に属するIL-4, IL-5, IL-9, IL-13のような2型サイトカイン群を産生する。 ILC2は寄生虫に対する2型サイトカイン応答に決定的な役割を示す。

グループ3に属するILCは IL-17A または IL-22 を産生する能力により特徴付けられる。ILC3、およびリンパ組織誘導細胞 (lymphoid tissue-inducer (LTi) cells)を含む。(自然リンパ球  ウィキペディア)

自然リンパ球に関するレビュー論文

  1. The expanding family of innate lymphoid cells: regulators and effectors of immunity and tissue remodeling Hergen Spits & James P Di Santo Nature Immunology 28 November 2010 ; volume 12, pages21–27(2011) https://www.nature.com/articles/ni.1962

参考

  1. 自然リンパ球とアレルギー 松本健治 アレルギー65(3):153-158

消化管ステント留置術とは

消化管金属ステントとは

金属製のメッシュ構造をした筒状の医療器具であり、留置することにより狭くなった消化管内腔を広げることができます。 (消化管金属ステント留置術 大分三愛メディカルセンター 消化器病・内視鏡センター)

 

大腸ステント vs. ストーマ

もともと欧米ではBTSに大腸ステントを用いていたものの、がん患者さんの予後の悪さを指摘する論文が欧州で複数発表されたことから、14年に欧州消化管内視鏡学会(ESGE)ガイドラインが変更、BTSに大腸ステントを推奨しないことを明示。今回、冨田部長が発表した内容は「大腸ステント安全手技研究会」が実施した多施設共同臨床研究によるもの。岸和田病院を含め、東邦大学や埼玉医科大学、東京大学など50を超える医療機関が参加し、BTSで大腸ステントを用いた計426例の検証結果を報告した。(欧州のストーマ推奨に待った 冨田・岸和田徳洲会病院外科部長が発表 大腸ステント使う有用性 米国消化器内視鏡外科学会議2017 2017年(平成29年)5月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1084 )

ハートチームとは?

ハートチームとは?

ハートチームにおいては,①その構成メンバーが定められており,②治療方針決定プロセスが明示され,③治療アウトカムが測定され,かつ共有されていることが求められる.インターベンション医と心臓外科医による合同カンファレンスではなく,一般循環器科医,麻酔科医,合併疾患に関する専門医,全身状態や社会・家族背景を把握した看護師などを含めた構成が望ましい(表6).(安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン (2018 年改訂版) PDF

ハートチームに関する論文

  1. JAMA Netw Open . 2020 Aug 3;3(8):e2012749. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.12749. Comparison of Heart Team vs Interventional Cardiologist Recommendations for the Treatment of Patients With Multivessel Coronary Artery Disease 論文紹介:実臨床の場においてこうしたチームが有機的に機能することは、日本でも米国でもなかなか困難とされる。今回取り上げる論文(JAMA Netw Open 2020; 3: e2012749)では、こうした問題にスポットライトを当てて検討を行っている(このような叙述的な内容を扱う学術論文は極めて珍しいこともあり、スポットを当てさせていただいた)。(メディカルトリビューン

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌とは

肺炎球菌は、とてもありふれた菌で、多くの子どもが鼻や喉に保菌(菌を持っていること)しています。(肺炎球菌 ワクチン yoshida-cl.com)

肺炎球菌は、莢膜(きょうまく)という分厚い膜に包まれているため、からだの免疫からの攻撃に強く、退治するのが難しい細菌です。(肺炎球菌感染症は、なぜ予防したほうがよいのでしょう。 肺炎予防に関するQ&A 肺炎予防.jp)

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌が起こす病気の総称で、肺炎のほかにも中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎(ずいまくえん)などが含まれます。(肺炎球菌感染症について こどもとおとなのワクチンサイト

肺炎球菌感染症の重大さ

日本人の死因の中で、肺炎は第3位に挙げられる。また肺炎を起こす原因としては、肺炎球菌が最も多い。(肺炎球菌感染症 ドクターズファイル 同愛記念病院 アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生)

肺炎球菌のワクチン

ニューモバックス NP:23 価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン、  プレベナ−13:13 価肺炎球菌結合型ワクチン(高齢者の肺炎球菌ワクチンについて

ワクチンには、23価肺炎球菌莢膜(きょうまく)ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)以外に、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(商品名:プレベナー13)など複数の種類があります。(肺炎球菌感染症Q&A 国立がんセンター)

肺炎球菌には80種類以上の型があって、それぞれの型に対して免疫をつける必要がありますが、ニューモバックスは、そのうちで感染する機会の多い23種類の型に対して免疫をつけることができます。これらの23種類の型で、すべての肺炎球菌による感染症の約8割を占めています。 1回の接種で23の型ほとんどに対し、有効レベル以上の免疫ができ、その免疫は5年程度続きます。予防のために5年毎に継続的に接種することが推奨されています。(ニューモバックス 肺炎球菌ワクチンとは 肺炎球菌について 吉行医院)

肺炎球菌の英語名

肺炎球菌は、英語では、pneumococcusあるいは、Streptococcus pneumoniae と言います。(肺炎球菌感染症について 横浜市衛生保健所)

肺炎球菌の発見

1881年に、Pasteur が、狂犬病の患者の唾液から初めて分離しました。1883年に、FriedlanderとTalamonとが、肺炎球菌と肺炎との関係を記述しています。(肺炎球菌感染症について 横浜市衛生保健所)

肺炎球菌の形態

肺炎球菌は構造上ポリサッカライド(多糖体)からなる莢膜(カプセル)を持つものと持たないものがあり、このカプセルを持つものが人に対する病原性を持っています。(ご存知ですか?「肺炎球菌ワクチン」 健康プラザ)

図-3に電子顕微鏡,図-4に光学顕微鏡で観察した肺炎球菌像を示します。本菌はその形態的特徴から肺炎双球菌とも呼ばれます (肺炎球菌とは 重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に関するサーベイランスの構築と病院解析、その診断・治療に関する研究)

肺炎球菌は、英語では、pneumococcusあるいは、Streptococcus pneumoniae と言います。1881年に、Pasteur が、狂犬病の患者の唾液から初めて分離しました。1883年に、FriedlanderとTalamonとが、肺炎球菌と肺炎との関係を記述しています。肺炎球菌は、短い鎖状の連鎖球菌(Streptococcus )の状態以外にも、二つの菌がくっついた双球菌の状態や、他の菌とくっつかない一つの菌だけの状態でも観察されます。(肺炎球菌感染症について 横浜市衛生保健所)

肺炎球菌感染症に関する参考サイト

  1. 肺炎球菌とは(感染症予防接種ナビ)