「自己調整学習」は,1990年代からアメリカの教育心理学者,バリー・ジマーマン(Barry Zimmerman)らが中心となって提案している新しい教育心理学の理論体系です。(SRL研究会)
自己調整学習: 学習者が〈動機づけ〉〈学習方略〉〈メタ認知〉の3要素において自分自身の学習過程に能動的に関与していること
引用元: 「自ら学ぶ力」を育てる方略 インタビュー 伊藤崇達[愛知教育大学教育学部准教授
「自己調整学習」は,1990年代からアメリカの教育心理学者,バリー・ジマーマン(Barry Zimmerman)らが中心となって提案している新しい教育心理学の理論体系です。(SRL研究会)
自己調整学習: 学習者が〈動機づけ〉〈学習方略〉〈メタ認知〉の3要素において自分自身の学習過程に能動的に関与していること
引用元: 「自ら学ぶ力」を育てる方略 インタビュー 伊藤崇達[愛知教育大学教育学部准教授
科研費を応募する際、申請書を作成していて頭を悩ませることの一つが、「研究分担者」を置くべきかどうかです。分担者がいたほうが採択される可能性が上がるのか?あるいは下がるのか?などと考える人がいることと思います。答えは、「単純に採択されやすくくなるということはない」です。それよりも大事なのは、なぜ分担者を置く必要があるのかです。分担者を置く必然性があればOK,なければNGなのです。
助教や講師、准教授が研究代表者で、教授を研究分担者とし、教授に対する役割として「ご指導を仰ぐ」ためと書く。こう書けば、申請書の他の部分がどれほどよくても、一発で落ちることでしょう。
研究分担者を置いているのに、計画欄のところで分担者の役割を全く書いていない計画調書もありますが、これもなぜ分担者が必要なのかが不明瞭なので、かなり印象が悪くなります。
例えば臨床医とAIの専門家がそれぞれ専門知識を生かして研究プロジェクトを計画したとします。臨床医が研究代表者になるのなら、AIの専門家が研究分担者として参加していないと、実験計画の実現可能性は低く感じられることでしょう。
「研究分担者」は、科研費に採択されたときに研究費を分けあうわけですから、お金が対してかからないような役割しか担っていないのであれば、わざわざ研究分担者にするのは不自然でしょう。その場合、「研究協力者」として、本文中に役割を記載するにとどめれば十分です。完全に一人でできる研究などそうそうなく、たいてい、複数の人達の協力によって研究がなりたっています。ですから、論文を書くときには単著ということはあまりなくて、たいてい共著論文になります。共著者たちがかならず研究分担者になっていないとおかしいということはありません。
研究分担者をおくべきかどうかの判断は、実験計画との整合性で決めるのが良いでしょう。分担者を置く理由が言えないのなら、置くべきではない。分担者がいないと研究計画が実行できないのなら、共著者になるのか、お金が必要かなども含めて考えたうえで、分担者を置くかどうかを考えればよいのです。
免疫学は、高校のときに生物をとっていなかったこともあり、また、内容が複雑であることもあり、とても勉強しにくい学問です。いい教科書があればいいのですが、図書館に行っても分厚い教科書しかなくて、とても読む気が起きませんでした。そんなとき、ひょんなことから見つけたのが、河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』です。最初河本先生をしったのは、高校生物の解説サイトでした。
説明がわかりやすく、挿絵もかわいいので、すっかり魅了されてしまいました。
さて、やはり大学レベルの教科書を通読しない限り、自分の中で自信が生まれてきません。教科書レベルのことは理解しているという自負があって初めて、セミナーなどで疑問に思ったことを質問できようってものです。
審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 (ブルーバックス) 2014/12/19
免疫学の大家による教科書がブルーバックスで読めるというのは日本人としては最高の幸せなのではないでしょうか。なにしろブルーバックスの読み物として教科書がまとめられているので、まず最初の一冊として非常にお勧めです。自分は免疫学の教科書を数冊買い、図書館でも何冊も借りていろいろ読み比べましたが、このブルーバックスの本が、一番頭に入ってきました。ブルーバックスだとあなどるなかれ、これ以上わかりやすく説明してくれる免疫学の教科書はないです(少なくとも自分の場合)。2014年の時点で、免疫学における未解明のトピックが何なのかが述べられていて、研究テーマを考える人にも良い本だと思います。
河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』 (実験医学別冊) 2011/2/4
イラストが楽しいし、説明が平易で読み物として楽しめます。ブルーバックスの『新しい免疫入門』よりも先に、読んだ本です。読みやすくて良かったのですが、そうはいっても免疫学は複雑で、読むのに骨が折れました。自分の場合、『新しい免疫入門』を読破したあと、参考図書としてこの本が紹介されていたので、久しぶりにこの本を再度読み返しました。すると、こんどはかなり読みやすくなっていました。『もっとよくわかる!免疫学』の魅力はなんといっても、このイラストです。このかわいいイラストでいやされると、免疫学の難しさのハードルがかなり下がり親しみがわきます。
リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学 原書第2版 監訳 矢田純一/高橋秀美 丸善出版 平成25年 384ページ
とにかく大学レベルの免疫学の教科書を通読したいと思い、リッピンコットを図書館で借りて読みました。なんとか読み切りました。章末に簡単なクイズがあるので、自分がぼーっと読んで読み飛ばしていなかったかどうかの確認ができます。どういう説明をしてもらえれば頭に入ってきやすいかが人によって異なると思いますが、自分はリッピンコットの説明(文章、レイアウトや図などすべて含めて)が一番「ひっかかり」があって頭に残りやすく感じました。
原書では、第2版は2013年で、第3版が2021年に出ています。リッピンコットが気に入ったので、次は原書の最新版を読んでみようかと思います。
Lippincott Illustrated Reviews: Immunology Third Edition 2021/4/20
このくらいの薄さなら、読破できそう。免疫学は、まず一冊、通読したいですね。第2版の邦訳を図書館で借りて読んでいるのですが、同じ内容を繰り返し説明していることも多いので、実際の厚さよりも内容量はすくなく、通読できそうです。前書きにも学生が通読できる免疫学の教科書というコンセプトで編集したとい書いてありました。章末に理解をチェックする平易な選択問題がついていて、独習者は確認に便利です。自分はこの本の説明の仕方、文章、図が割と気に入っています。やはり自分が読む気が起きるかどうかという相性が大事です。いい本でも読まなかったら持っている意味がないですし。完璧でなくても読み切れる本ならそのほうがいいと思います。そういう意味で、リッピンコットは最初の一冊、通読する免疫学の教科書として、自分に合っています。
内容を絞っている分、説明があまり十分とは思えないところなどもあります。例えばトル様受容体(Toll-like receptors)の説明は、1から11までリストを示しているわりには、文章による説明があっさりしていて、審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門』に見られるようなド迫力の説明はありません。
また、原書が内容的に古くなっていたのか、訳注によって、現在の知識では~という部分がいくつもあります。免疫学の進展は目覚ましいものがありますし、それによって診療も変わる可能性があるので、ちょっとこの古さが気になるところですが、あくまで、免疫学の基本的な概念を押さえておくという目的で読むのであれば問題ないでしょう。
この本を最初の一冊にするにしても、再度読み直して知識を定着させたり、詳しい本を一冊選んで次に読むということは必須だと思います。
Janeway’s Immunobiology 10th Edition 2022/7/12 Kenneth M. Murphy, Casey Weaver, Leslie J. Berg 960ページ
免疫学の研究者に、免疫学を勉強するならどの教科書がいいですかと聞いたときに、名前が挙がったのがジャンウェイの免疫学でした。いい本だからといって、自分が読めるかどうかはまた別問題。しかし、ある抗原を認識したB細胞の増殖を促すヘルパーT細胞はどうやってその同じ抗原を認識できるのかと疑問に思ってこの教科書を紐解いてみたら、非常にしっかりとした説明があって気に入りました。『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 の巻末にも参考図書として挙げられていました。邦訳がいつ出るかわかりませんが、大著を一冊だけ選ぶならジェンウェイに落ち着きそうです。第10版を英語で買って読んでみようと思います。これ一冊を読破すれば、免疫学の研究セミナーを聞いてもだいぶ理解しやすくなるはず。
標準免疫学 第4版 単行本 – 2021/4/19 宮坂 昌之 (著) 医学部の教科書シリーズの中の一つ。それほど厚い本でもなく、びっしりと字で埋めているわけでもなくて、イラストや写真が豊富で余白も結構あって、読みやすいです。なにしろ頻繁に改訂しているので内容は最新だと思います。立ち読みしたのですが、CD8やCD4分子がMHCクラスI分子やMHCクラスII分子にどのように結合しているのか(どの部分がどこに結合しているのか)まで解説されていて驚きました。細かい説明があったほうが、ざっくりと書かれるよりも頭に入りやすいと思います。
Paul’s Fundamental Immunology Eigth Edition 2022/10/19 Martin Flajnik著 1748ページ これは大著ですが、イラストもわかりやすそうですし、アメリカで定評があるのもわかる気がします。ポールさんんは亡くなられていますが、数人の著者があとをつぎ、実際の執筆陣(コントリビューター)は数十人いるみたいです。アマゾンの書籍紹介の受け売りになりますが、免疫が関係する診療科の医師や免疫の研究者になるような人には最高の本かもしれません。
ポールの免疫学は少し版が古いのなら図書館にあったので見てみましたが、字がびっちりとページを埋めていて、自分にはとても読める気がしませんでした。
矢田 純一『医系免疫学 改訂16版』 2021/11/17 1052ページ
単著でこの厚さで、しかも数年ごとに改訂しているという、執筆者の熱意が感じられるものです。一人の人の文章だと、一貫性があって、しかもその人の自然観が感じられて、読んでいて楽しいです。
Cellular and Molecular Immunology 2021/5/20 Abul K. Abbas MBBS (著), Andrew H. Lichtman MD PhD (著), Shiv Pillai MBBS PhD (著)
Kuby Immunology: International Standard Edition IX (English Edition) Kindle版 英語版 Thomas J.Kindt (著), Barbara A.Osborne (著)
Roitt’s Essential Immunology
心臓、とくに左心室の働きとして、収縮能だけでなく拡張能も考慮しないといけないよということを良く見かけます。収縮は、心臓が血液を送り出すイメージが湧くので理解しやすいのですが、拡張に関しては今まであまりピンときていないままにしていました。しかしたまたま手に取った本、「レジデントノート増刊 Vol.23 No.8 今こそ学び直す!生理学・解剖学 あのとき学んだ知識と臨床経験をつないで、納得して動く!」にわかりやすい説明があったので、紹介します。
- 心室は、心房を経て心室に流入する血液量しか駆出できない
- 心室が何もしなくても勝手に心房からの血液の流入が起きるわけではない
- 血液は上流と下流の圧較差を推進力として流れ、上流の心房より下流の心室が低い圧を維持できなければ心房から血液は流入できない
- 心房から心室に血液が流入する拡張期に心室の圧を低圧にするための機能が拡張機能であり、これと収縮機能を合わせて、心室の機能という
「レジデントノート増刊 Vol.23 No.8 今こそ学び直す!生理学・解剖学 あのとき学んだ知識と臨床経験をつないで、納得して動く! 第1章 循環器系 1.総論:循環生理の基礎 山本一博」
これは実にわかりやすい説明だと思いました。
現在、その感染力の強さから猛威を振るっている新型コロナウイルス変異体デルタ株ですが、最近の気になるニュースを纏めておきます。ワクチン接種はデルタ株にも有効というニュースがありますが、感染を抑える効果と重症かを抑える効果とを分けて考える必要があります。ワクチン接種後の人がデルタ株に感染した場合、本人の症状が軽くても、まだワクチン接種をしていない自分の家族や友人知人、職場の人に感染させてしまう恐れがあるからです。
Advice for Potential Healthcare Workers from Hawaii ER Doctor Josh Green, M.D. 2012/07/13 dlirvideo
胚中心という言葉が免疫学について書かれた文章の中で当たり前に出てきて、何それ?胚の中心?と思いました。名は体を表すといいますが、例外はつきもので、全く名称からは想像がつかない内容です。生物学は、覚えないといけない名称が無数にあって本当に難しい。
リンパ節という組織は体のあちこちにありますが、小さくて丸い組織で、輸入リンパ管からリンパ液がリンパ節内へと流れこみます。リンパ液は白血球や死んだ細胞、死にかかった細胞、微生物、細胞残渣などからなりますが、リンパ節はこれらの「ゴミ」を濾す役割を担います。リンパ節には、マクロファージや樹状細胞といった貪食細胞が待ち構えていて、これらを処理します。こうして、「綺麗になった」リンパ液が、輸出リンパ管からリンパ節を出ていきます。
リンパ節は皮質と髄質という2つの領域に分けられますが、皮質の部分にはたくさんの濾胞があり、リンパ球集団が存在します。免疫応答があると(すなわち、抗原を認識したB細胞が、ヘルパーT細胞と相互作用すると)、それぞれの濾胞の中心部には、B細胞が増殖、分化している細胞からなる「胚中心」が生じます。
参考:
- 胚中心は免疫応答の際に脾臓やリンパ節などの免疫組織に形成される微小な構造
- 高親和性の抗体を産生するB細胞が分化する場
- 胚中心における免疫応答は胚中心B細胞と濾胞性ヘルパーT細胞との相互作用により担われ,抗原受容体との親和性にもとづき選択される
胚中心B細胞のプラズマ細胞への分化は濾胞性ヘルパーT細胞との相互作用により制御される 伊勢 渉・黒崎知博 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター 分化制御) email:伊勢 渉 DOI: 10.7875/first.author.2018.051 ライフサイエンス新着論文レビュー
Germinal centers (GC) are sites in peripheral lymphoid tissues where B cells proliferate, switch classes of antigen receptors, and increase their affinity to antigens.
https://www.sciencedirect.com/topics/medicine-and-dentistry/germinal-center
英語だと単数形と複数形があるので、胚中心が複数だということがわかります。日本語で「中心」というとひとつのように思えるので、英語のほうがわかりやすい。ウィキペディアの説明は簡潔なのに詳細。胚中心とは、二次リンパ器官(リンパ節、回腸のパイエル板、脾臓)の中にある「B細胞領域(濾胞)」の内部に一時的にできる構造だそう。
Germinal centers (GCs) are transiently formed structures within B cell zone (follicles) in secondary lymphoid organs – lymph nodes, ileal Peyer’s patches, and the spleen– where mature B cells are activated, proliferate, differentiate, and mutate their antibody genes (through somatic hypermutation aimed at achieving higher affinity) during a normal immune response; most of the germinal center B cells (BGC) are removed by tingible body macrophages.
https://en.wikipedia.org/wiki/Germinal_center
胚中心は、抗原に暴露されたときにできる一時的な構造のようです。
This selective processoccurs in microanatomical structures known as germinal centers(GCs) (Berek et al., 1991; Jacob et al., 1991b), which emerge in several copies within secondary lymphoid organs upon exposure to antigen by infection or immunization.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5123673/
『もっとよくわかる免疫学』(河本宏)の113ページ~114ページにリンパ節の構造の説明があります。それによれば、リンパ節はリンパ液が入ってくる「輸入リンパ管」側とリンパ液が出ていく「輸出リンパ管」側とにそれぞれ、B細胞が多く存在する「B細胞領域」と、T細胞が多く存在する「T細胞領域」とが隣接しているそうです。その「B細胞領域」の内部に、胚中心と呼ばれる構造があります。
免疫学の教科書によって、あるいは、その教科書が書かれた年(新しさ、古さ)によって、肺中心で起こることの記述の詳細さには差があるようです。そうなると、何冊もの免疫学の教科書を見比べる必要がありそうですね。
胚中心の「暗帯」で、抗原に反応するB細胞が増殖するときに、免疫グロブリンのV領域に点突然変異が多数はいります。その結果、元の抗原に対してもっと高い親和性を持つものも作られます。胚中心の「明帯」には濾胞樹状細胞が抗原提示を行っており、これに強く反応するB細胞が選別されてます。濾胞ヘルパーT細胞はこの項親和性B細胞に対してIL-21やIL-4の刺激をあたえることにより活性化し、その結果、このB細胞は抗体産生細胞へと分化します。ただし一部はそのまま存続して「記憶B細胞」として長期間維持されることになります。
なぜ高親和性B細胞が生き残るのかそのメカニズムとに関しては、矢田純一「医系免疫学』改訂16版(2021年11月20日)には、濾胞樹状細胞が提示している抗原を、その高親和性ゆえに奪い取って自分がそれを抗原提示して、濾胞ヘルパーT細胞からのヘルプを受けることで生存、増殖するのだと説明されていました。ちなみにこの段階ではBCRシグナリングが働かないようにキープレイヤーは脱リン酸化された不活性な状態にあるのだそうです。なかなか複雑ですね。
教科書によって力点を置くポイントが少しずつ違っていて、どの教科書で勉強するのがベストなのか、なかなかわかりにくいです。医系免疫学』はかなり文章での説明が多いので、苦しい。『標準免疫学』 第4版 医学書院は、コンパクトなわりにポイントポイントで詳しいと思います。
お盆の時期は、電車はガラガラで、一般企業は当然のようにお盆休みをとっています。では、大学病院もお盆休みを取るのでしょうか。大学病院にお盆休みは、もちろん無いそうです。市中の大きな病院も暦通りで、暦の上で祝日ではないお盆の休みはないみたいですが、街中の個人病院の場合には、お盆休みをとる病院ととらない病院とがあるようです。