生化学の教科書を読んでいると酸化還元反応のステップにおいて、NAD+が還元されたときにNADHの隣にいるH+が添えられていることがあります。そうでない教科書もあるように思います。このNADHの隣のH+は一体何者なのでしょうか?
NAD+が電子を受け取る式は、
NAD+ + 2e- + H+ →NADH
でいいのではないでしょうか?
ときどきみかける右辺のNADH+H+とは何なのか不思議に思いました。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13267772093 にわかりやすい解説がありました。結論からいうとどっちでもいいようです。というより、反応式の左と右で原子と電荷の数があっている必要があります。あっていれば、よいという意味です。
電子を取られる側と電子を受け取る側の両方に関して「半反応式」を書くと、
2H → 2H⁺ + 2e⁻
NAD⁺ + H⁺ + 2e⁻ → NADH
となります。
2つの式を合わせると、反応式は
NAD⁺ +2H → NADH + H⁺
となります。つまり右側にH+があるということは、当たり前ですが、左側にもH+があるわけです。原子の数や電荷は左と右で一致している必要がありますので、左に何を書いたかで、それに合わせて右側にもH+が出てくるかどうかが決まるだけのようですね。
グリセルアルデヒド3リン酸が酸化されて1,3,ビスホスホグリセリン酸になるときにNAD+が還元されてNADH+H+が生じます。教科書によってはNADH/H+ とかいたり、NADH2+ と書いたりもするようです。
CH2(-OH)-CH(-OH)-CH2(-OH)はグリセロール
CH(=O)-CH(-OH)-CH2(-OH)はグリセルアルデヒド
CH(=O)-CH(-OH)-CH2(-O-PO4 2-)がグリセルアルデヒド3リン酸
グリセリン酸は
C(=O)(-OH)-CH(-OH)-CH2(-OH)
1,3,ビスホスホグリセリン酸は
C(=O)(-O-PO4 2-)-CH(-OH)-CH2(-O-PO4 2-)
反応式は
CH(=O)-CH(-OH)-CH2(-O-PO4 2-) + NAD+ + HPO4 2-
→ C(=O)(-PO4 2-)-CH(-OH)-CH2(-O-PO4 2-) + NADH + H+
となりますでしょうか。これでHの数が合うはず。
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Reaction 6: G3P ↔1,3 BPG. libretexts. Fundamentals_of_Biochemistry (Jakubowski_and_Flatt)/II_Bioenergetics_and_Metabolism Glycolysis この教科書の図にもNAD + H+と書かれています。
- リン酸 H3PO4
- リン酸イオン PO4 3-
- リン酸水素イオン HPO4 2-
- リン酸二水素イオンH2PO4 –
- http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/glyclysis.htm