腎臓の発生はなかなか込み入っています。まず、腎臓の発生といっても、腎臓の発生は3回起こります。前腎と、中腎と後腎の3つがつくられるので、3回。人間の場合、前腎は作られますが機能することなる消滅します。その後、中腎がつくられて、これは少しの間機能しますが、やがてなくなります。そしてずっと残る腎としては、後腎がつくられるわけです。腎臓らしい立派な形のものは後腎だけですが、中腎にもネフロンの構造はできます。なぜ使わないものを2つもつくるのか?不思議ですが、進化的には、魚や両生類には後腎に相当するものは存在せず、前腎と中腎が成体でも機能しています。
つまり、哺乳類の腎臓の発生は、「個体発生は系統発生を繰り返す」というあの魅力的な仮説を体現しているのです。自分は両生類や魚類の発生を勉強していたときに、なぜ「腎臓」ではなくて「前腎(pronephros)」が発生するのかが、ずっと謎でした。単に勉強不足なだけだったわけですが、ヒトや哺乳類の発生をしっかり学んでいれば「前」の意味がわかっていたのにと悔やまれます。発生する順番に、また体の前後軸方向に、前ー中ー後 になっているのでした。
- http://www.dev-neurobio.med.tohoku.ac.jp/students/lecture/pdf/med_dev/2017/med_dev_2017_21.pdf 腎臓の発生 京都大学医学研究科腎臓内科学 72スライド
- 腎臓発生の分子機構と再生への展望 生化学 第84巻 第12号,pp.985―993,2012 https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/06/84-12-02.pdf
- 医学部発生学(22)泌尿生殖器 東北大学医学部発生学講義資料 http://www.dev-neurobio.med.tohoku.ac.jp/students/lecture/pdf/med_dev/2018/med_dev_2018_22.pdf
Embryology | Development of the Urinary System (44:24) Ninja Nerd チャンネル 303万人