目的と目標の違い:科研費申請書において

科研費の実験計画書(申請書)には、研究目的を書くことが指示されています。しかし、申請書を書いて人に見てもらったときに、目標は書いてあるけど目的が書かれてないよねという指摘を受けることがあります。目標と目的って同じじゃなかったんでしょうか?違うとすればどう違うのでしょう?ChatGPT 4oに訊いてみました。

自分:目的と目標の違い?

ChatGPT 4o:

いい質問ですね。「目的」と「目標」は似たように使われることが多いですが、実は少し違う意味を持っています。それぞれの違いをわかりやすく説明しますね。


✅ 「目的」とは?

最終的に達成したい状態や意図のこと。
つまり「なぜそれをするのか?」という理由やゴールです。

  • :「健康的な生活を送りたい」が目的。
    • → なぜ運動するの?→ 健康的な生活を送りたいから。

✅ 「目標」とは?

目的を達成するために設定する具体的なステップや到達点。
「何を」「いつまでに」「どのくらい」やるかを示す、行動の指針です。

  • :「週に3回、30分ジョギングをする」が目標。
    • → 目的(健康的な生活)のために何をする?→ ジョギング!

🔁 違いをまとめると:

項目 目的 目標
意味 最終的なゴール(なぜ) ゴールへの具体的ステップ(なにを・いつまでに)
抽象度 高い 具体的
英語が話せるようになりたい 毎日30分英語を勉強する

何か具体的なシチュエーションで使い分けたいケースがあれば、それに合わせて説明もできますよ!

自分:科研費申請書における研究目的と目標の違いは?どう書き分けるの?具体例も出して説明して。

ChatGPT 4o:

科研費申請書(科学研究費助成事業)では、「研究目的」と「研究目標」は明確に書き分けることが求められます。審査員はこの2つの違いを重視して読みますので、それぞれの役割を理解し、論理的に整合性のある記述が重要です。


🔍 研究目的と研究目標の違い(科研費申請書の場合)

項目 研究目的 研究目標
定義 研究を行う理由や背景、何を明らかにしたいかという根本的な問い(Why) 目的を達成するために設定された、達成可能かつ具体的な成果(What, How)
抽象度 高い(理論的) 具体的(実践的)
内容 社会的・学術的意義、既存研究とのギャップ、課題設定の意図など 解明する仮説、到達すべき成果、研究ステップ、方法論など
時間軸 長期的視点 短期〜中期的ステップ

✍️ 書き分け方のポイント

【研究目的】

  • なぜこの研究を行うのか?という大きな問いを明確にする
  • 既存研究の限界、学術的課題、社会的背景を踏まえて、意義深い理由付けを行う
  • 「◯◯のメカニズムを解明し、△△分野の発展に貢献すること」が目的

💡 書き方の例:

本研究の目的は、都市におけるヒートアイランド現象の進行メカニズムを明らかにし、持続可能な都市設計の基盤を提供することである。


【研究目標】

  • 上記の目的を達成するために、どこまで成果を出すかを具体的に記述
  • 方法や分析内容、得られるデータ・知見を明示する
  • SMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)を意識すると良い

💡 書き方の例:

本研究では以下の3点を目標とする。

  1. 大都市圏における地表温度変化の高解像度データを取得・解析する
  2. 植生や建物配置と温度変化の相関関係を定量的に明らかにする
  3. 気候適応型都市モデルの初期設計指針を提示する

🧠 具体的な事例(分野別)

◼️ 生命科学の例

  • 研究目的
    アルツハイマー病における神経変性の初期メカニズムを分子的に解明し、新規治療戦略の基盤を提供すること。
  • 研究目標
    1. ヒトiPS細胞由来ニューロンを用いたin vitroモデルの確立
    2. 初期段階で発現変動する候補分子群の同定
    3. 標的分子の機能阻害による細胞機能の回復可能性の評価

◼️ 工学系の例

  • 研究目的
    持続可能な建築材料の開発に向けて、廃棄物由来のバイオ複合素材の構造的特性を明らかにする。
  • 研究目標
    1. 廃棄セルロースと樹脂による複合材料の成形プロセスの最適化
    2. 各種力学特性(引張強度、耐衝撃性)の評価
    3. リサイクル可能性および環境負荷の定量分析

✅ コツと注意点

  • 「目的」と「目標」の間に論理の飛躍がないようにする(目標を達成すれば目的が達成できる関係性を作る)
  • 研究目標は定量的・段階的に分けて書く(1, 2, 3と箇条書きが好ましい)
  • 「目的だけ高尚で、目標が実現可能に見えない」と評価されるのはNG

必要なら、あなたの研究テーマに合わせて目的・目標の文案も一緒に考えますよ!テーマを教えてくれたら、すぐ対応できます。

 

う~ん、どうなんでしょう。自分の理解、考え方とはだいぶ違う回答が返ってきました。自分も科研費の申請書を書いた経験は多くありますが、このChatGPTのような意図で書いたことはありません。

「◯◯のメカニズムを解明し、△△分野の発展に貢献すること」と書くと、それは確かに日常的な日本語の意味としては「目的」です。しかし、申請書における「研究目的」といった場合には、日常的な目的のことではなくて、あくまで研究期間内で成し遂げられる具体的なことと自分は理解しています。自分の感覚でいうと、「△△分野の発展に貢献すること」は研究目的とは言えません。それは社会的な意義、波及効果です。これを研究目的として書いたら採択されないと思います。「◯のメカニズムを解明すること」と、研究目的に書いていいか?というと、やはりこれだけでは足りません。メカニズムはどこまで深く細かく考えるかでいくらでも違いが出てきますので、こういう漠然とした言い方は研究目的の書き方としては不適切だと思います。「因子○○が現象××にどのように関与しているかを△△の手法を用いて明らかにすることを本研究目的とする」程度の具体性な記述が必要でしょう。

実は、「目標」という言葉は科研費の申請書には出てきません。AMEDなどの申請書だと中間ゴールなどを設定させられたりするので、数値目標を書かされることが多いと思います。