ビタミンKの生理作用、生体における役割とは?

ビタミンKがビタミンKと呼ばれる理由

ビタミンの名前は、ビタミンA,ビタミンB,ビタミンC、ビタミンD,ビタミンEとアルファベット順なのに、なぜか次がビタミンKです。これは一体どうしてでしょうか。ビタミンとは生体に不可欠だが生体内では合成できないもの、すなわち食べ物から摂取する必要がある微量な栄養素です。そのような物質として、最初に脂溶性のビタミンと水溶性のビタミンが見つかったので、各々がビタミンA、ビタミンBと名付けられました。しかし、水溶性のビタミンにもたくさん種類があることが徐々にわかってきてビタミンB1,ビタミンB2,と数字が振られました。そのようにして、あらたにビタミンがみつかり、それまでに見つかっていたビタミンとは全然異なるものであれば、新たな名前が付けられるということになります。

ところが、ビタミンEの次はビタミンKで、アルファベット順というルールを逸脱した命名になっています。ビタミンKのKはドイツ語で凝固KoagulationのKです。血液凝固に重要な役割を果たすビタミンとして見つかったのでこの名があります。ビタミンKの作用は、血液凝固因子の活性化です。

ビタミンKの作用:血液凝固

血液凝固因子プロトロンビンが肝臓で合成されるときの補酵素としてビタミンKが必要です。

ワルファリンを服用している患者が納豆を控えたほうがよい理由

ワルファリンは血液が凝固しにくくなるようにする薬です。血栓ができるのを予防する目的で使われるお薬です。ワルファリンの作用は、血液を凝固させるビタミンKと競合することにより、血液を凝固しにくくするというものです。なのでワルファリンを使っている患者さんは、ビタミンKを豊富に含む食品の摂取を控えたほうがよいということになります。ビタミンKが多い食べ物として、納豆があります。これが納豆を控えたほうがよい理由になります。

第103回 看護師国家試験 追試 午後80問

ワルファリンの服用時に避けた方がよい食品はどれか。

  1. 緑 茶
  2. 納 豆
  3. チーズ
  4. バナナ
  5. グレープフルーツ

 

第95回 看護師国家試験 午前20問

ワルファリンカリウム服用時に避けた方がよい食品はどれか。

  1. 緑 茶
  2. 納 豆
  3. チーズ
  4. グレープフルーツ

ビタミンKの血液凝固以外の作用:骨形成の促進

血液凝固に大事なビタミンKには、もうひと大事な作用があります。それは骨形成です。

ビタミンKは、骨芽細胞に働きかけてオステオカルシンというタンパク質を産生させます。オステオカルシンは、カルシウム結合蛋白質であり、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用を持ちます。

ビタミンKの種類

ビタミンKには種類があり、ビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)のに大別されます。ビタミンK1は植物の葉緑体が生産し、ビタミンK2は微生物が生産しています。ビタミンK2はさらに動物性食品に含まれるメナキノン-4と納豆が産生するメナキノン-7に分類されます。ビタミンKは、フィロキノン、メナキノン-4、メナキノン-7を総称する言葉です。フィロキノンは生体内でメナキノンに変換され、栄養学的に重要なビタミンKはビタミンK2(メナキノン)です。