Pct規則45の2.1 補充調査請求とは?

Pct規則45の2.1 補充調査請求って、何?趣旨?本調査してくれている機関とは別の機関に頼むの?

PCT規則45の2.1に規定されている「補充国際調査(Supplementary International Search: SIS)」は、「本調査をしてくれた機関(主たる国際調査機関)とは、また別の機関に頼む」制度です。「なぜわざわざ別の機関にお金と時間をかけて頼むのか?」という趣旨や、具体的なメリットについて整理します。


1. 補充国際調査(SIS)とは?
通常の国際調査(主調査)とは別に、出願人が任意で(希望する場合のみ)、別の国際調査機関に対して追加の先行技術調査を請求できる制度です。
* 請求先: 国際事務局(IB)
* 実施機関: 補充国際調査機関(SISA: Supplementary International Searching Authority)
* 期限: 優先日から22ヶ月経過するまで


2. 「別の機関」に頼むの?
はい、その通りです。
ここがこの制度の最大のポイントです。
規則上、**「主たる国際調査を行った機関以外の機関」**に対して請求しなければなりません。
> 例:
>  * 主調査: 日本国特許庁(JPO)で実施
>  * 補充調査: 欧州特許庁(EPO)に依頼する
>
という使い方が一般的です。


3. 制度の趣旨(なぜこれが必要なのか?)
主な趣旨は、**「言語や調査リソースの壁を越えて、先行技術の見落としを減らすこと」**です。
世界中のすべての文献を、一つの調査機関が完璧に網羅するのは物理的に不可能です。特に**「言語の壁」**が大きな理由となります。
具体的なメリット
* 言語的な補完(最大の理由)
   * 例えば、JPO(日本)は日本語や英語の文献調査は得意ですが、ドイツ語やスウェーデン語の文献は見落とす可能性があります。
   * そこで、EPO(欧州)やXN(北欧)に補充調査を頼むことで、それらの言語の先行技術を発見できる可能性が高まります。
* 各国移行後の「不意打ち」防止
   * 各国移行(国内段階)に入ってから、「実はこんな文献がありました」と拒絶されると、翻訳費用や代理人費用が無駄になります。
   * 早い段階(国際段階)で致命的な文献を見つけておけば、**「無駄な各国移行をしない(出願を取り下げる)」や「補正で回避する」**という戦略が立てやすくなります。
* セカンドオピニオン的役割
   * 別の審査官の視点で発明を見てもらうことで、発明の強さを客観的に評価できます。


4. 通常の国際調査と補充国際調査の違い
ざっくりとした比較表です。
| 項目 | 通常の国際調査 (Main Search) | 補充国際調査 (SIS) |
|—|—|—|
| 必須/任意 | 必須 (全出願で行われる) | 任意 (希望者のみ) |
| 実施機関 | 受理官庁が決めた機関 (日本ならJPO) | 主調査とは別の機関から選択 |
| 対象 | 出願全体 | 特定の請求項のみに限定も可能 |
| 目的 | 国際的な特許性の初期判断 | 特定言語・技術分野の穴埋め |


5. 注意点(実務的なポイント)
* すべての機関がやってくれるわけではない
   * 実は、日本国特許庁(JPO)は、現在「補充国際調査機関(SISA)」としての業務を行っていません。
   * つまり、「主調査:EPO → 補充調査:JPO」というルートは現在使えません。(逆に「主調査:JPO → 補充調査:EPO」は可能です)。
* 費用がかかる
   * 当然ですが、追加の調査手数料がかかります。EPOなどは費用が高額なので、費用対効果(本当にその国で権利化したいか)を考える必要があります。
まとめ
* 正体: メインの調査とは別に、おかわりで行う追加調査。
* 機関: 必ずメインとは違う機関(例:JPO以外の機関)に頼む。
* 趣旨: メインの機関が苦手な**「言語」や「技術分野」**をカバーし、後出しジャンケン(国内段階での新たな引用文献発見)のリスクを減らすため。
ご自身の出願戦略において、「欧州市場が重要だが、ドイツ語の文献が怖い」といった場合に非常に有効なツールです。

(Gemini3