免疫学の教科書(大学レベル)

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免疫学は、高校のときに生物をとっていなかったこともあり、また、内容が複雑であることもあり、とても勉強しにくい学問です。いい教科書があればいいのですが、図書館に行っても分厚い教科書しかなくて、とても読む気が起きませんでした。そんなとき、ひょんなことから見つけたのが、河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』です。最初河本先生をしったのは、高校生物の解説サイトでした。

  1. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第25回 免疫のシステム
  2. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第26回 適応免疫 (1) ~細胞性免疫~
  3. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第27回 適応免疫 (2) ~体液性免疫~
  4. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第28回 免疫とヒト

説明がわかりやすく、挿絵もかわいいので、すっかり魅了されてしまいました。

さて、やはり大学レベルの教科書を通読しない限り、自分の中で自信が生まれてきません。教科書レベルのことは理解しているという自負があって初めて、セミナーなどで疑問に思ったことを質問できようってものです。

新しい免疫入門

審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 (ブルーバックス) 2014/12/19

免疫学の大家による教科書がブルーバックスで読めるというのは日本人としては最高の幸せなのではないでしょうか。なにしろブルーバックスの読み物として教科書がまとめられているので、まず最初の一冊として非常にお勧めです。自分は免疫学の教科書を数冊買い、図書館でも何冊も借りていろいろ読み比べましたが、このブルーバックスの本が、一番頭に入ってきました。ブルーバックスだとあなどるなかれ、これ以上わかりやすく説明してくれる免疫学の教科書はないです(少なくとも自分の場合)。2014年の時点で、免疫学における未解明のトピックが何なのかが述べられていて、研究テーマを考える人にも良い本だと思います。

河本 宏

河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』 (実験医学別冊) 2011/2/4

イラストが楽しいし、説明が平易で読み物として楽しめます。ブルーバックスの『新しい免疫入門』よりも先に、読んだ本です。読みやすくて良かったのですが、そうはいっても免疫学は複雑で、読むのに骨が折れました。自分の場合、『新しい免疫入門』を読破したあと、参考図書としてこの本が紹介されていたので、久しぶりにこの本を再度読み返しました。すると、こんどはかなり読みやすくなっていました。『もっとよくわかる!免疫学』の魅力はなんといっても、このイラストです。このかわいいイラストでいやされると、免疫学の難しさのハードルがかなり下がり親しみがわきます。

リッピンコット

リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学 原書第2版 監訳 矢田純一/高橋秀美 丸善出版 平成25年  384ページ

とにかく大学レベルの免疫学の教科書を通読したいと思い、リッピンコットを図書館で借りて読みました。なんとか読み切りました。章末に簡単なクイズがあるので、自分がぼーっと読んで読み飛ばしていなかったかどうかの確認ができます。どういう説明をしてもらえれば頭に入ってきやすいかが人によって異なると思いますが、自分はリッピンコットの説明(文章、レイアウトや図などすべて含めて)が一番「ひっかかり」があって頭に残りやすく感じました。

原書では、第2版は2013年で、第3版が2021年に出ています。リッピンコットが気に入ったので、次は原書の最新版を読んでみようかと思います。

Lippincott Illustrated Reviews: Immunology Third Edition 2021/4/20 

このくらいの薄さなら、読破できそう。免疫学は、まず一冊、通読したいですね。第2版の邦訳を図書館で借りて読んでいるのですが、同じ内容を繰り返し説明していることも多いので、実際の厚さよりも内容量はすくなく、通読できそうです。前書きにも学生が通読できる免疫学の教科書というコンセプトで編集したとい書いてありました。章末に理解をチェックする平易な選択問題がついていて、独習者は確認に便利です。自分はこの本の説明の仕方、文章、図が割と気に入っています。やはり自分が読む気が起きるかどうかという相性が大事です。いい本でも読まなかったら持っている意味がないですし。完璧でなくても読み切れる本ならそのほうがいいと思います。そういう意味で、リッピンコットは最初の一冊、通読する免疫学の教科書として、自分に合っています。

内容を絞っている分、説明があまり十分とは思えないところなどもあります。例えばトル様受容体(Toll-like receptors)の説明は、1から11までリストを示しているわりには、文章による説明があっさりしていて、審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門』に見られるようなド迫力の説明はありません。

また、原書が内容的に古くなっていたのか、訳注によって、現在の知識では~という部分がいくつもあります。免疫学の進展は目覚ましいものがありますし、それによって診療も変わる可能性があるので、ちょっとこの古さが気になるところですが、あくまで、免疫学の基本的な概念を押さえておくという目的で読むのであれば問題ないでしょう。

この本を最初の一冊にするにしても、再度読み直して知識を定着させたり、詳しい本を一冊選んで次に読むということは必須だと思います。

Janeway’s

Janeway’s Immunobiology  10th Edition 2022/7/12 Kenneth M. Murphy, Casey Weaver, Leslie J. Berg   960ページ

免疫学の研究者に、免疫学を勉強するならどの教科書がいいですかと聞いたときに、名前が挙がったのがジャンウェイの免疫学でした。いい本だからといって、自分が読めるかどうかはまた別問題。しかし、ある抗原を認識したB細胞の増殖を促すヘルパーT細胞はどうやってその同じ抗原を認識できるのかと疑問に思ってこの教科書を紐解いてみたら、非常にしっかりとした説明があって気に入りました。『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 の巻末にも参考図書として挙げられていました。邦訳がいつ出るかわかりませんが、大著を一冊だけ選ぶならジェンウェイに落ち着きそうです。第10版を英語で買って読んでみようと思います。これ一冊を読破すれば、免疫学の研究セミナーを聞いてもだいぶ理解しやすくなるはず。

標準免疫学

標準免疫学 第4版 単行本 – 2021/4/19 宮坂 昌之 (著) 医学部の教科書シリーズの中の一つ。それほど厚い本でもなく、びっしりと字で埋めているわけでもなくて、イラストや写真が豊富で余白も結構あって、読みやすいです。なにしろ頻繁に改訂しているので内容は最新だと思います。立ち読みしたのですが、CD8やCD4分子がMHCクラスI分子やMHCクラスII分子にどのように結合しているのか(どの部分がどこに結合しているのか)まで解説されていて驚きました。細かい説明があったほうが、ざっくりと書かれるよりも頭に入りやすいと思います。

Paul’s

Paul’s Fundamental Immunology Eigth Edition 2022/10/19 Martin Flajnik著 1748ページ これは大著ですが、イラストもわかりやすそうですし、アメリカで定評があるのもわかる気がします。ポールさんんは亡くなられていますが、数人の著者があとをつぎ、実際の執筆陣(コントリビューター)は数十人いるみたいです。アマゾンの書籍紹介の受け売りになりますが、免疫が関係する診療科の医師や免疫の研究者になるような人には最高の本かもしれません。

ポールの免疫学は少し版が古いのなら図書館にあったので見てみましたが、字がびっちりとページを埋めていて、自分にはとても読める気がしませんでした。

矢田 純一

矢田 純一『医系免疫学 改訂16版』  2021/11/17 1052ページ

単著でこの厚さで、しかも数年ごとに改訂しているという、執筆者の熱意が感じられるものです。一人の人の文章だと、一貫性があって、しかもその人の自然観が感じられて、読んでいて楽しいです。

Cellular and Molecular Immunology

Cellular and Molecular Immunology 2021/5/20 Abul K. Abbas MBBS (著), Andrew H. Lichtman MD PhD (著), Shiv Pillai MBBS PhD (著)

Kuby

Kuby Immunology: International Standard Edition IX (English Edition) Kindle版 英語版 Thomas J.Kindt (著), Barbara A.Osborne (著)

Roitt’s

Roitt’s Essential Immunology

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