心不全とは
市民公開講座「心不全と上手に付き合う」医師より 神戸市立医療センター西市民病院 チャンネル登録者数 1480人
心不全は疾患名ではなく病態を表す言葉
心臓のポンプとしての働きが低下して、全身の臓器に必要な血液量を送ることができなくなった状態をいいます。‥ 心不全は一つの疾患名ではありません。 心筋梗塞、狭心症、心筋症、弁膜症、高血圧、不整脈などの疾患が最終的に至る病態で『終末像』と言われています。
(第42話 「心不全(しんふぜん)とその予防」 山形済生病院)
心不全は進行性の病気
心不全という病気は、心臓の機能が悪くなった状態で、症状としては息切れやむくみ(浮腫)が生じて、徐々に悪くなっていき寿命を縮めてしまうことになります。治療によって症状がよくなったとしても、完治するものではなく、一度心不全と診断されたら、残りの人生は心不全と気長に付き合っていく必要があります。
心不全は悪化していく病気ですが、薬による治療はバランスを考えた食生活、心臓に負担を掛けないような心がけを日頃からすることによって、改善がみられたり、進行を遅らせることができます。
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急性心不全と慢性心不全の違い
心不全の症状が強く出現して困っている状態を「急性心不全」と呼び、薬を使うことでその症状が落ち着いている状態のことを「慢性心不全」と呼んでいます。つまりどちらも「心不全」ですので、心不全が「治った」という表現は使えません。このような「慢性心不全」の場合、薬をやめてしまえば当然「急性心不全」の状態に逆戻りしてしまう可能性が高いです
(すでに心不全と言われている方のQ&A 日本心不全ネットワーク)
心不全の発症率
心不全は高齢になればなるほど患者数が増えることが知られています。米国の研究によると、50歳代での慢性心不全の発症率は1%であるのに対し、80歳以上では、10%になることが報告されています。
(心不全は繰り返す 上手な付き合い方のポイントは? 乾小児科内科医院)
心不全になったら塩分を控えないといけない理由
- 日本人の平均的な食塩摂取量は一日12g
- 軽症の慢性心不全では一日7g程度に制限が必要
- ナトリウムは、水を体にためる性質があり、食塩を多く摂取すると循環血液量が増加して心臓に負担がかかるから
(心臓にやさしい生き方 日本循環器学会)
塩分摂取量が多いと血液量が増える理由
人の体には、血液などの体液を一定の濃度に保つ仕組みがあります。例えば、小さな梅干し10個(食塩20g相当)※を食べると、濃度を一定に保つために、体液量が約2リットル増加します。この過剰に増えた水分を元に戻すために、腎臓は圧力(血圧)と時間(数日間)をかけて血液をろ過し、尿として排泄しているのです。
(塩分と水分<血圧が高くなる仕組み> 放射線医学県民健康管理センター)
ヒトの体は塩を摂取すると、塩分濃度が上がりすぎないよう希釈するために水分を溜め込み、血液全体の容量が増えます。「心臓が回さなければならない血液量が増える」=「心臓の仕事量が増える」ことになります。
(心臓と塩との関係 佐賀大学医学部循環器内科)
ナトリウムは、人の体内で水分調整に関わっていますが、普段は一定の濃度に保たれています。塩分の摂りすぎなどでナトリウムの量が増えると人の体は水分量を増やし、濃度を下げるように働きます。つまり、日常的に塩分が多すぎる食事をとっていると、血液量が増えることになります。
(心不全になると塩分制限が必要なのはなぜ?理由を分かりやすく解説 心臓血管研究所附属病)
参考サイト